ビクトリア湖、そして、撃たれた頭。
大量の血液という命の水がマランビジーとなって、周りを駆け巡り、母なる海や大地をも越えて、意識は鳥となって羽ばたき、銀河を歴史をめぐりある場所にたどり着く。そう、時空を超えた電子の海、枯れることがない水道に落ち着いた。
死んだはずのハサウェイ・ノアは電子の存在になって、現代社会に舞い戻り、タイムスリップをして、電影を駆け抜ける。閃光のごとく。
「俺は死んだはずだが、旧暦の西暦2016年か。」
俺はたしかに死んだ。しかし、こうして電子の媒体の中に体があり、たしかにこうして生きているのならば宇宙世紀の二の舞いを踏ませないようにしなければならない。それに深刻な環境汚染がまだ進んでいないから地球連邦政府も生まれてはいない。今ならまだやり直せるはずだ!
「まずはマフティーと一緒でフォーラムを動画サイトに作るべきだな。」
数ヶ月前、2015年に来たときは右も左も分からなかったが、今は様々なニュースなどを見て学んで、色々と動き回れる。空を飛ぶ鳥のように渡り歩いた。
アカウント名を入れてくださいと出る。ハサウェイ・ノアだと安直すぎる。新しいノア‥‥グリーン・ノアいや、駄目だな。ニュー、ニュー!?
「そうか!これかわかったぞ!」
ν・ナビーユだ。それでアカウントを作ると動画配信用の小物を用意する。何分、電子媒体の存在だから電子的な写真があればそれを着用できる。顔を隠す為に巨大なサングラスと辛子色のスーツ、エンジのネクタイを揃えて着て、背景となる場所は決まっているホワイトハウスの大統領執務室だ。人々はやはり、権威には弱い、だからこそ権威ある部屋を選び、用意は整った。
動画配信をスタートする。
「はじめまして皆さん。ヴァーチャル動画主、ν・ナビーユです。」
日曜の昼間だからかそこそこ人が集まってくる。
コメント欄には、声とグラフィックがヴァーチャル界では最高だとか、モデルがきれいに動いてるとか、謎の超技術やら背景が実物のように作り込まれは過ぎてる。だとか言われている。
そして数ヶ月見た中で気が付いた。ゲーム配信とやらが人気だと。人々に警鐘を鳴らす為には視聴者やフォロワーを増やさねばならない。有名にすらならなければ明日を生きる人々に100年先、1000年先の危機を教えれないのだ。
そして、俺達の世界がこの世界では宇宙世紀として観測できるにも関わらずに地球に住む人々は環境汚染すら考えてもいない。到底許される話ではないのだ。その無関心さが世界を汚染して、無関心さから戦争をする。負の循環だ。
「では、ゲームをしたいと思います。やるゲームはこちら。エクバです。使う機体はクスィー。ではマッチングします。」
ロード時間は暇なために環境問題の話をしていたら視聴者が減っていく。何故だ!世直しのためにこうして道化になって人々に警鐘を鳴らしているというのに!まだ、マフティー・ナビーユ・エリンとしての活動が足りないのか。もっと民衆にもマフティーがわかるようにフォロワーを増やさねばならない!
「マッチング出来たか。相棒はリ・ガズィ?その声はチェーン・アギ!?」
コメント欄が一気に動く。チェーン・アギにガチ恋か?やそういえばお前の機体のパイロットはチェーン殺してるなとかハサウェイになりきり系Vか?にニュータイプに憧れたニュータイプのなりそこないか?とか罵倒のセリフが続く。
「相手は‥‥νガンダムとサザビー!?」
背景はアクシズ、なんだこれは!?宇宙世紀をこうやって茶化して楽しいのか!
「巫山戯るな!世直しの一環としてお前達を討つ!」
コックピットに座るとファンネルミサイルを起動させ、背中にミサイルを飛ばしνガンダムを硬直させるとそのまま殴り、リ・ガズィに向かうサザビーの背中にシールドを投げつけて止めるとメガ粒子砲で撃ち抜き、ビームサーベルでνガンダムを斬りつけてから蹴り飛ばす。爆散するサザビーとνガンダム。
コメント欄がざわつく。なんだこいつ、動きが良すぎる、なんでそんな動きができるんだ?対戦相手がライブ配信していたから見てきたけど有名なライバーだったぞなどなど好き勝手をいう。
「まだ来るのか!アクシズ・ショックの亡霊が!おもちゃにされ、道化にされてるとも気が付かない!だからそうやって迂闊に出てきて落とされる!戦いは楽しみではない!俺の、マフティー・ナビーユ・エリンの理念の礎になれ!シャア・アズナブル!」
着地するより早くファンネルミサイルで蜂の巣にするとキックを決めて、殴り倒すそして、背中から狙うνガンダムに前を向かずにビームライフルを撃ち込み一気に距離を詰めると硬直したνガンダムを抱きしめてゼロ距離からメガ粒子砲を浴びせて爆散させる。
サザビーはと言うとリ・ガズィにボコボコにされてこうした試合運びにより完勝した。配信をやめる。
電子の体で相手のチャンネルを見に行くとシャア・アズナブルに似た男がサザビーを操っていたのがわかる。許せるか!シャア・アズナブルを語って笑いものにしてそうやって、事実を隠す!許せるか!
「貴様のやり方、まるで地球連邦高官のようだ!負けて、支持者になぐさめてもらう。シャア・アズナブルを知らないのだな!お山の大将にすぎない!シャア・アズナブル程の大義もなければなにもない!だからそうなる!迂闊に出てきて落とされる。なぜそれに気が付かない?お前は何をしたい?何もない。そうやって笑われているんだよ!お前は!負けるのは当然だ!貴様は卑怯なやつなのだな!支持者にそう守ってもらうなどという悪知恵が働くのだから、負けたのもそちらの腕なら、慰められて気持ちよくなるのもまたお前の本質なのだ!」
ガンガン、奴のコメント欄に文字を送る。10分も過ぎた頃、奴は配信をやめた。
その夜、奴は引退宣言をした。なぜ、俺には引退宣言をするのかが理解ができない。そして、ネットの海をさまようといろんな記事が出てくる。新人VTuber、古参を論破し、引退させる。や俺の話題で持ちきりでいわゆる炎上とやらをしていたが、実社会で暮らしていない俺を特定しようにも意味はない。
そして、この騒動で俺は21人程度だった登録者が2400人を突破した。そして、動物園台パン猿などと悪評を流されるが気にならなかった。世直しのためには悪評でも知名度が必要だ。
知名度による波及効果。人々に知られなければ人々に警鐘を鳴らせれない。鳴らせられないのならば鳴らすのがマフティー・ナビーユ・エリンをやってしまった俺の責任だから。
そして、配信を始める。
「皆さん、おはよう、ヴァーチャル動画主、ν・ナビーユです。」
コメント欄にはガンダムを早くしろ、ガンダム動物園、公式からあんな動きは想定してないと言われた男、ガノタの末路、シャア・アズナブル信者、頭ハサウェイ、クェス・パラヤ殺しと書かれ‥‥。
「クェス・パラヤの話はやめろ!何がわかる?事情があったんだ。」
人の心にズケズケと入り込んで楽しむような輩だ!クェス・パラヤやチェーン・アギは‥‥あれはニュータイプと若い思い上がった俺が犯した罪だ。許されはしないが笑いの種にするような真似は許されない。
コメント欄には、閃光のハサウェイ好きなのかな?、じゃあ、チェーンの話でも、ブライトの消したい息子、ブライトが処刑したことにされた息子、環境テロリスト芸人ハサウェイ、ハサウェイ芸人、シャア・アズナブル系動画主を引退させた男、世直し(マンハンターを野放し)、シャアでもなくアムロでもなくハサウェイしかも閃光のハサウェイ系動画主とかテロリスト、お上品にしたデラーズ・フリートもどきのマフティーなどなど批判がされる。
なぜ、マフティーのやり方は間違っていたかもしれないがじゃあ、誰か教えてくれよ。あの深い仕組みを破壊する方法を‥‥。
「では、地球連邦のやり方にどうすればよかったんだよ!世界が持たなくなってきて!それでもやるしかなくて!アクシズ・ショックを見ても地球連邦は変わらずに腐敗を加速させていく!腐敗が腐敗を呼ぶ腐敗の連鎖だ。その終わらない腐敗のスパイラルから抜け出すための世直しと言うやつをさ。」
コメント欄には、今めちゃくちゃハサウェイ、この恵まれた声から出るクソコテ感癖になる。、テロじゃなくてマンハンターと戦ってエゥーゴ化すりゃあええやろとコメントが溢れてくる。
「あぁ、わかった。だったらやってみせ‥‥。」
ゲームがプレゼントされたと通知が来て、開くと殺人鬼から逃げるゲームだ。今の会話に何が関係ある?
コメント欄にプレゼントを贈ってきた相手が、ガンダム雑談よりゲーム配信がみたいですと書いていた。スポンサーは無理をいう。しかし、ここまでしてくれたのにやらないのは筋が通らない。
「ゲームが来たから、やらせてもらう。」
ホラーゲームをすぐに起動する。
コメント欄が、えっ?ダウンロード時間とかなしかよ。どんなPCを使ってるんだ?とかザワつくが知ったことではない。
マッチング開始して終わる。そして、例のごとくゲームの世界に俺の目の前が切り替わる。薄気味の悪い場所だ。そして、発電機を直して早速、女性が捕まったようだ。悲鳴が聞こえた。
『キャーッ!』(ハサウェイ!怖い!助けてよ!)
クェスの声を感じて振り向くとそこに殺人鬼が女性を背負ってフックに吊るすところだった。あれはクェスではない。
(だからって、逃げるの?そんな大人になったの?やっちゃいなよハサウェイ!)
クェスの声が聞こえた気がした。
「何をやっている!」
殺人鬼が斧を振り上げるとそのまま、手首を掴み斧を取り上げて斧で滅多打ちにする。そして、顔を蹴り上げ、地面と相手は一緒になるとそのまま首を踏み抜いた。
コメント欄にはこれそういうゲームじゃねーから、バグかな?、何だこいつ強すぎるだろ、殺人鬼をキラーする男、やめてよね殺人鬼が僕にかなうわけがないじゃないなどとたくさん書かれていた。
「やったよ、僕はやったんだ。クェス・パラヤ‥‥。」
涙を流しながら勝った。しかし、俺には勝ったという実感は薄く勝ってしまったという気持ちが強かった。勝ってしまったなら負けるまで勝ち続けなければならないのだ。
気が付くとフォロワーが3000人を超えていた。そんな事はどうでもいい。あの時に俺が力があればクェスもチェーンも死なずに済んで、その結果あの二人が虹の向こう側に行かずに済んだのかなと思うと堪らなく虚しかった。戦うことばかりが上手くなる。しかし、上手くなっても何かが手に残る事はない。虚無だ。
「勝ってしまったなら!負けるまでやるしかなかろう!」
連戦をするがやるたびに殺人鬼を殺す為にコメント欄が一人だけFPSしてるとか、アクション映画してるとか、ハリウッド版閃光のハサウェイだとか言われる。しかし、俺には関係ない。今、目の前に殺人鬼がいて殺そうとしてくるのに抗うのが途轍もなく救いだった。戦いの中では戦い以外のことは忘れられる。いや、忘れせてくれる。戦いが救いになるとは、アムロ大尉やシャア・アズナブルも同じ気持ちだったのだろうか?
なら、親父もそうなのか?これが男の世界、男の仕事なのか。虚しさを埋めるために虚しく戦争をやり続ける。まるで、地球連邦政府の深い仕組みのようだと俺は思った。皆、一人では生きられないが皆、一人で生きられるようになってしまう。されてしまう。それこそが母なる大地である地球に人々を縛り付ける本質なのかもしれない。
では、俺の死は‥‥マフティー・ナビーユ・エリンはどうだったのだろうか?きっと無駄死にではあるが無駄死にではなかろう。疲れてしまった。とてもな。俺は何をしているんだろうか?それでも、地球環境の為に俺は立ち上がるしかない。あの虚しい戦争の繰り返しを無くす為に。
(ハサウェイがしたいことは本当にそんなことなの?)(自分に素直になっちゃいなよハサウェイ。)
ギギ・アンダルシアとクェス・パラヤが俺に話しかけてくる。どうせ幻聴なんだから無視をする。
(幻聴でも、私が話しかけることにハサウェイが考えてないことがあった?)(幻聴だとしても考えてるのはハサウェイ!アンタなんだよ!)
ギギ・アンダルシアとクェス・パラヤの抗議に俺は‥‥。
その日、ガンダムのゲームでは歴代成績一位と言うアカウントが生まれた。その名はν・ナビーユ。