先に言っておきますと、先にある程度の登場人物を出すために最初だけ進みが遅いのでイライラされるかもしれませんが我慢をよろしくお願いします。
これがあと1,2話続きます(予定)。
そして、綾小路と堀北とのファーストコンタクトを終え、チャイムが鳴り、教室の扉が開く、そこには見た目はしっかりした印象でいかにも美人という言葉が似合う女性。齢は30に届いていないといったところで、後頭部でまとめられたポニーテールが特徴的だ。
「えー新入生諸君。私はDクラスを担当することになった
「特殊なルール...ねぇ。これがな~んかなぁ」
そう、この学校には全国各地にある高校とは異なるルールが存在する。
その中のひとつに、この学校を入学してから卒業までに3年間外部との連絡の一切を禁ずるというのがある。
そして、この学校が他と特にここが違うであろう点は、学校の敷地にある様々な施設だろう。カラオケ、映画館、カフェ、ブティックなど60万平米を超える土地に一つの街が出来ているという認識でいいと思う。
そして、この学校にはもう一つ特質すべき点があり、それがSシステムというものだ。
「今から配る学生証カード。それを使い、施設内にあるすべての施設を利用したり、売店などで商品を購入することができるようになっている。クレジットカードのようなものだな。ただし、ポイントを消費することになるので注意が必要だ。学校内においてこのポイントで買えないものはない。学校の敷地内にあるものなら、何でも購入可能だ」
この学校ではSシステムによるポイントがあるため逆に紙幣などが使えない。生徒間のトラブル防止なのか、生徒のポイントの消費量などを管理して統計を取ったりして教育に利用するのか、はたまた別の目的があるのか定かではないが、全てのポイントは学校側からの支給で家庭状況などに関係なくポイントは支給されるらしい。
「施設では機械にこの学生証を通すか、提示することで使用可能だ。使い方はシンプルだから迷うことはないだろう。それからポイントは毎月1日に自動的に振り込まれることになっている。お前たち全員、平等に10万ポイントが既に支給されているはずだ。なお、1ポイントにつき1円の価値がある。それ以上の説明は不要だろう」
その瞬間、教室がざわめき始めた。
それも無理はない、なにせ高校入学した途端に10万円が手元に来たのだ。驚かない方がおかしいまである。しかし、今月10万で生活しろと言われたら結構ギリギリだと思うが、ここは国が関わっている学校だ。おそらくだが、外より物価は低めだし、寮などの電気代や水道代も無償である可能性が高いと思う。生活で苦労しないように結構な余裕を持たせた金額設定にしているんだろう。あくまで可能性だが。
だとしても、いきなり高校生になりたての俺たちに10万円はどうかと思うがな。
「ポイントの支給額が多いことに驚いたか? この学校は実力で生徒を測る。入学を果たしたお前たちには、それだけの価値と可能性がある。そのことに対する評価みたいなものだ。遠慮することなく使え。ただし、このポイントは卒業後には全て学校側が回収することになっている。現金化したりなんて出来ないから、ポイント貯めても得は無いぞ。振り込まれた後、ポイントをどう使おうがお前たちの自由だ。好きに使ってくれ。仮にポイントを使う必要が無いと思った者は誰かに譲渡しても構わない。だが、無理やりカツアゲするような真似だけはするなよ? 学校はいじめ問題にだけは敏感だからな」
......前言撤回。この教師やけに俺たちにポイントを使わせたがるような言葉選びしている。「遠慮することなく使え」とか「ポイントを貯めても得は無いぞ」とか正直言ってポイントを消費させようとしている風にしか聞こえない。確かに、俺らへのご褒美として10万を好きに使えと言っているだけなのかもしれないが、あくまでもここは高等学校。立派な教育機関だ。それにこの学校は国主導であり、このお金(ポイント)も国からの支援、所謂税金が使われているわけで、お金の使い方としての教育があるならまだしも、ただただ10万を全生徒に税金で払うとはどうしても思えない。
「質問はないようだな。では良い学生ライフを送ってくれたまえ」
そして、この生徒が動揺している最中で話を進めてできるだけ考えさせる時間を奪いこの場で疑問を疑問として持たせず、質問をさせないようなこのやり口。
考えすぎの可能性ももちろんあるが、考慮しておかないに越したことはないよな。
「優遇され過ぎてて少し怖いくらいね」
そんなことを考えていると後ろの席のほうから聞こえてきた堀北の言葉に俺は心の中で同意する。
いくら国主導とはいえ希望の進学率・就職率がほぼ100%という他の学校にはない魅力があるのにそれに加えて、学校の敷地内の施設から、この生徒に配られた10万円分のポイント...どっからどう見ても話がうますぎる。でも、それを帳消しにできるのが『国主導』という部分。俺には分からない国の事情や何かの計画があるのか知らないが、うまい話には裏があると言うし正直に言って判断が悩ましいところだ。
「皆、少し話を聞いてもらってもいいかな?」
俺が思考の波の中にいると喧噪の鳴りやまない教室の中に一つの声が上がった。その手を挙げた少年は所謂イケメンという部類の男だった。男の俺が見てもわかる。こいつ絶対女子のやつらに囲まれるタイプの野郎だろ。
「僕らは今日から同じクラスで過ごすことになる。だから自発的に自己紹介を行って、一日も早く皆が友達になれたらと思うんだ。入学式まで時間もあるし、どうかな?」
おー、こいつは中身までもがイケメンだ。普通こういう時に前に出るのはみんながやりたがらない役回りだ...俺が苦手なだけってことはないよね?
まあ、それは置いといてそれをこんな平然とやってのけるとは、俺は貴方を尊敬します。
「僕の名前は
なんかこなれてる自己紹介だな。サッカー部は予想してたけどね。お決まりの展開知ってましたよ。周りの女子なんか平田を狙う気満々な面してるし。ほんとサッカー部ってなんでモテるんですかね? 逆にモテないサッカー部がいづらいよな!
...にしても見るからに”できるやつ”って感じだな。
「もし良ければ、端から自己紹介を始めて貰いたいんだけど......いいかな?」
わぁ、これはリーダーの器だわ。なにこの自然な会話運び。これは、このクラスのトップに立ってまとめ上げられる生徒だわ。マジ尊敬。
そして始まった自己紹介。
でも、これらより俺はこっちの方に持っていかれたけどな。
「あの、自己紹介をお願いできるかな?」
そう言って平田は金髪頭のガタイの良い少年に話しかける。
「フッ。いいだろう」
すると、ふんぞり返って両足をおもむろに上げて机の上にのせる...こいつ、相変わらずだな。
「私の名前は
クラス向けというより、女の子向けの自己紹介終えその直後こちらに目線を合わせてきた...気がした。確証はない。でも高円寺に向けられる目線はただただ変人を見る目が集まってたけどな。そりゃそうだ。
ここまで他のやつら自己紹介を聞いてきたが、なんとも癖が強いんだろうか。俺はこのクラスで3年間過ごすんだよな? 俺心配だよ。
そんな独り言を心の中で一人つぶやいていると俺の番が来た。
「えっと、次はそこの君にお願いできるかな?」
「えーっと、俺の名前は星ヶ峯冬也。趣味は基本飽き性...というよりは色んなものに目移りしやすいタイプだから、みんなの好きなことなんかを教えてくれると嬉しい。これからよろしく頼む」
そう俺が自己紹介をすると、「星ヶ峯君よろしくね~♪」やら「連絡先交換して~♪」やらと声が聞こえてくるが一旦無視しよう。ここでの対応は一言でいうとめんどくさい。
「えーっと、次の人...そこの君、お願いできるかな?」
「え?」
そうこうしている内に俺の席の後ろの綾小路の番になった。っていうかこの「え?」は絶対に自己紹介の内容とか考えて意識を違う方向に向けてたろ。
「えー......えっと、綾小路清隆です。その、えー.......得意なことは特にありませんが、皆と仲良くなれるよう頑張りますので、えー、よろしくお願いします」
...これはなんというか、うん口下手ってやつだな。ちょっと意外だが、環境を考えれば逆に納得も行く。まぁ、ここは俺だけでもフォローしてやるか。
「綾小路、改めて俺の名前は星ヶ峯冬也。3年間よろしく。今度良かったら、俺と遊ぼうぜ」
「え? あ、あぁ。オレで良かったらよろしく」
1
その後、時間になり入学式が始まった。ありがたい校長先生のお話しはどこの学校も共通なんだなと思いつつ、学校に来てそんなに時間が経っていないにも関わらず、色んなことがあったため考えを整理する。
この学校のルールや仕組み。綾小路清隆。高円寺六助。などなど、軽く整理したところで入学式がそのまま終了した。
「とりあえず、今日は2つ動いとくか」
そう言って、目的の人物が1人になったところで声をかける。
「おい、高円寺」
「私に何か用かな? 冬也ボーイ」
「いや、用というよりはただの世間話に近い話だよ」
「生憎と私はこれから大事な用事があるからね。手短に頼むよ」
「……じゃあもう少しストレートに言ってやる。高円寺、不用意な発言はよしてくれ。俺の困り具合は流石のお前でも分かるだろ?」
「フッ、それについては謝ろう。だが、安心したまえ冬也ボーイ。ヘマはしないさ」
「そうか。ならいい。どうせ、遅かれ早かれバレることだ。お前のその口からそれが聞ければ十分だ。それにしても高円寺がこの学校に入学するとは思わなかったよ」
「私には冬也ボーイがこの学校にいる方が驚きさ。では、私はこれで失礼するよ」
「おう」
まず1つ目は終わりだ。まぁ、こっちは正直挨拶ついでだから特に難しくも無いが。2つ目はどうなる事やら。
さて、職員室ってどこかな? と職員室を探す。
それにしても、この学校思ったより監視カメラの台数が多いな。警備を厳重にしすぎだと思うんですが。まぁ、この学校の情報は基本外に出てこないし多分、そういうところで神経質になってるんだろうな。
「あ、職員室あった」
と目的の場所を見つけたので、そのまま職員室の扉に向かいノックする。
「失礼します。1年Dクラスの星ヶ峯冬也です。茶柱先生はおられますか?」
「ごめんね~。今サエちゃんいないの。もうすぐ職員室に戻ってくると思うよ~」
「サエちゃん? ...茶柱先生のことですか」
「うん、そうだよ〜。ところでサエちゃんに何の用事だったの? 良ければ私が聞いてあげるよ~」
な、なんかすごい先生だな。なんていうか距離感っていうか。
「あ、あの、それよりあなたは?」
「あ、ごめんねぇ。私はBクラスの担任をしている
何故か、俺が聞いていないことまでべらべらと喋る星之宮先生。言っちゃ悪いけど、典型的な人だなー。
「それで〜、星ヶ峯君はサエちゃんに何の用なの?」
本当は茶柱先生に聞くつもりだったんだけど、この際星之宮先生に聞いてみるか? でも、目立つのは避けたいとこだ。
「......では星野宮先生、1年生の担任ということなのでお聞きしたいのですが、今日話されたSシステムについての説明をもう一度聞かせていただけませんか?」
「え? ...もしかして星ヶ峯君ちゃんと話を聞いてなかったの? 駄目だよ、ちゃんと聞いてなきゃ!」
「すみません」
「でも、ちゃんとここまで聞きに来てるし、1回だけ私が説明してあげるわよ」
「ありがとうございます」
そして、星之宮先生から改めて聞いた話は今日茶柱先生に聞いたのと言い回しなど細かいところは違えどほとんど一緒だった。正直にいって、これだけでも十分な収穫なんだが
「それで星ヶ峯君はこんなことを聞いてどうするの?」
「いや、どうするもなにも僕はSシステムについてもう一度聞きに来ただけですよ」
「ふーん、そっかそういうことにしといてあげる」
...中々勘が鋭いな。この学校の教師も伊達じゃないってことか。
「星之宮! 私の生徒に何してるんだ?」
星之宮先生と話しているとそこに茶柱先生がやってきた。茶柱先生、助かりました。この人能力が高いのは分かるけど距離感がなんか苦手だわ。
「サエちゃんが来るまで星ヶ峯君のお相手をしてただけだよ~」
「ここでサエちゃんはやめろ星之宮。で、その話は本当か星ヶ峯。こいつに何かされてないか?」
「い、いえ特に何もされてないので大丈夫ですよ」
「そうかならいい。それで私に用があるんだったな。ここではアレだ、場所を変えよう」
「分かりました」
「私もついていっていい?」
「駄目だ星之宮。お前は仕事に戻れ」
「はーい、分かりました~」
「? 今日はなんかやけに...まぁいい。いくぞ星ヶ峯」
「はい」
そうして、俺と茶柱先生は場所を変えるために移動する。
少し歩くとそこは生徒指導室だった。そして中に通されて対面になっているソファーの片方に座らせる。
「さて星ヶ峯。入学早々私に用事があって職員室を訪ねるということはお前にとって何か重要なことがあるからだろう? 話してみろ」
「だから、場所を変えるなんてこと言ったんですね。まぁ、ありがたかったですけど」
「いいから、要件を言え」
「分かりました。では、茶柱先生にお聞きします...今日ご説明されたSシステムについて、あれは
「...どうしてそう思った」
「勘...ってわけにはいきませんよね」
「ああ、そうだな」
「そうですね。でも、正直言って勘ってのには間違いないんですよね」
「どういうことだ?」
「茶柱先生、あなた俺たちにポイントを消費させようとしてますよね?」
「..」
「Sシステムの説明時になんかやけにポイントに関して使わせようみたいなのを感じました。何が目的なのかは知りませんが、おそらくポイントを使わせようと促したのは貴方の独断なんじゃないんですか?そこで1つ思い至ったことがあったんです。 先程、星之宮先生にSシステムについてもう一度聞いたところ、説明に関しては貴方のものと驚くほど一致してました。特に説明しないといけないであろう
「続けろ」
「俺は最初、あなたのミスかと思っていました。まぁ、日本語は難しいもので日本人にも完璧に扱いきれない人が多いです。もちろん俺も扱いきれているとは思ってはいませんが。なので先生の日本語の不備の可能性も考えました。でも、何か違和感を覚えて先程星之宮先生とのお話の中でSシステムについてもう一度だけ説明をしていただきました。そしたら見事に同じようなミス。もといぼかし方をするので確信しました。この学校では日本語をうまくつかってSシステムの何かを隠すように意思統一されていることに。だとすればマニュアルが存在しても不思議じゃない」
「なるほど。星ヶ峯の質問の答えはYESだ。だとしてもマニュアルについてこれ以上は何を聞かれても詳しくは言えないがな」
「ええ、それが聞ければ十分です」
「それで星ヶ峯、これからどうするつもりだ? クラスにこのことを伝えて何かするのか?」
「いえ、ここから先の話...特にこの学校が生徒に隠してる『ルール』については僕も分かりませんから。それに、こんなことを伝えたところで何も変わりませんよ。もっと確実な情報でないと、人間甘い蜜に飛び込んでしまいます。なので次のポイント支給日まで、要するに種明かしの時まで俺は何もしませんよ。
「そうか、星ヶ峯。お前は面白い生徒だな」
「俺がですか? そんなことはありませんよ。では今日はこれで失礼します」
俺はソファーから立ち上がりそのまま生徒指導室を出た。
「それにしても、この学校は何考えてることやら。そのうち分かったりするものなのかな? ま、この件は考えるのをやめて正解発表を待ちますか。その間は...どうしよっか?」
この後、今後必要になるであろう生活必需品をそろえ、そのまま寮に帰った。
そのときに店にあった無料の商品と寮の光熱費や水道代が無料をしっかりと確認して。
第2話いかがでしたでしょうか。
私にしては長い文章をよく書いたと思います。
さて、星ケ峯が初っ端から目ざといところを見せましたね。まだまだ序の口です。
結構原作かぶりをしてしまっていますが、まだ最初なんでご容赦ください。僕の頭の中では体育祭辺りがターニングポイントかな?と考えておりますので!
それと、感想と評価のほどよろしくお願いします!
ここからは余談ですが、賛否両論で溢れてた2年生編の5巻を読みました。個人的には驚きはしたものの納得はしたって感じですかね。本当は櫛田のはずだった。でも、だからこそ櫛田の行動が鍵になると私は期待してます。