ようこそ努力と感情の教室へ   作:ガムの小説部屋

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ちょっと言いたいこと言わせてもらおう。
なぜこんなに長くなってしまったんだ!?本当は5000文字以内に収めるつもりが7500文字オーバーってどゆことやー!
あ、本編どうぞ


第4話 小テスト

もう数日で5月になるといった頃。俺こと星ヶ峯冬也は自室にいて

 

 

「星ヶ峯君、なんで学校来てないの?」

 

 

一之瀬に絶賛お説教をもらっています。

 

 

「なんでか……と言われてもな。そうしたかったから?」

 

「はぁ……いつものことだし、あまり強く言わないけど、流石に学校は行こうよ」

 

 

そう、俺は2週間半ほど学校に行っていない。何か特別な理由(学校側にとって)があるわけでもなく休んでいる。

 

 

「いや、もともと明日から行くつもりではいたんだけどな」

 

「ほんとに?……なんか怪しい」

 

「ほんとだって!信じてくれよ一之瀬!」

 

「……分かった。それは信じるから安心して。ところで、今回は何してたの?」

 

「えっと……これです」

 

「これってルービックキューブ?」

 

「そうだけど」

 

「今回は一段とマニアックなものに手を出したね。成果はどうなの?」

 

「じゃあ、俺は後ろ向くから適当に混ぜて」

 

「分かった」

 

 

俺は後ろを向いて一之瀬が準備を終えるのを待つ

 

 

「準備できたよ」

 

「じゃあ一之瀬の合図でそっち向いてそろえるから」

 

「オッケー。よーい、スタート!」

 

 

一之瀬がそう合図を出した瞬間に俺はルービックキューブを解きにかかる

 

 

「ま、こんなもんだろ」

 

「……たったの15秒。本当にすごいよね、星ヶ峯君は」

 

「そんなことはないさ。俺は自分が興味を持ったものしかやってないからな。それに比べて一之瀬はしっかり考えて努力してるだろ?俺とは大違いだ」

 

「もう、過度な謙遜は相手を傷つけるんだよ?」

 

「別に過度な謙遜なんてしてないよ」

 

「だからそういうところが……ってもういっか。とにかく!明日は学校に来るんだよね?」

 

「うん、行くよ」

 

「その言葉信じるからね?」

 

 

そういって一之瀬は俺の部屋から出て行った。

 

 

「はあ、俺の悪い癖だ。もう5月だしいい加減この悪習慣は直さないとまずいな」

 

 

そう呟いて、俺は明日に向けて、休んでいた2週間半分の勉強をできるだけ進めて眠ることにした

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ところ変わって星ヶ峯冬也の部屋から出た一之瀬帆波は自室に帰り、ある人物と電話をしていた

 

 

「それでね、どう思う?六花ちゃん」

 

『いや、どう思う?って聞かれても星ヶ峯君だっけ?その人のこと分かんないからどう言ったらいいのか……というか2週間半のお休みってどういうこと?』

 

「そっか、六花ちゃんはまだ会ったことないよね」

 

 

一之瀬の電話相手は高峰六花。そう、あの部屋を訪れて星ヶ峯冬也から受けた指示をしっかりと遂行していたのである。そして、六花は冬也との約束を守り、しっかりと星ヶ峯冬也と高峯六花は無関係だということを守っているのである。だが、キャラが少し変わっている気がするのはそれが高峯六花の素の顔なのか、偽りの顔をしているのかは分からない

 

 

「星ヶ峯君は一言でいうと……努力家なのかな?」

 

『努力家?』

 

「うん、努力家。星ヶ峯君はとにかく努力が得意。いや、大好きなんだろうね。そのせいで今回の2週間半の休みだって無断欠席だろうし、中学でもこんなことはざらにあったから」

 

『え?それって大丈夫なの?』

 

「それなんだよね。中学ではいろいろあって大丈夫だったんだけど、高校はそういうわけにもいかないからね。だから今日、星ヶ峯君の部屋に行ってきたんだよ」

 

『それでどうだったの?(実は毎日通ってるけど)』

 

「それがね、今回はルービックキューブを完全マスターしたみたい」

 

『ル、ルービックキューブ?か、完全マスター?(そばで見てたから知ってるけど)』

 

「うん、多分この学校の制度的にちょっと節約しながらで選んだんじゃないのかな?あとは、期間も考えて」

 

『あの、2週間半で完全マスターなんてできるの?』

 

「あー、うん。そういう反応にはなるよね。にゃはは。でも、本当なんだよ?たったの15秒で揃えちゃったし」

 

『星ヶ峯君って何者?!』

 

「でもね、これはまだ序の口でね。中学の時はもっとすごかったんだよ?」

 

『帆波ちゃんストップ!ちょっと、なんかすごすぎて今日はもうおなか一杯かな?(あとボロが出しそう)』

 

「え?……そうだね、もう1時間も話し込んじゃってたね。にゃはは」

 

『帆波ちゃん……最後にひとつ聞いていい?』

 

「ん、なに?何でも聞いていいよ」

 

『帆波ちゃんって……その、星ヶ峯君のことが好きなの?』

 

「好き……か。確かに私は星ヶ峯君のことが好きなのかもしれない」

 

『かもしれない?』

 

「うん、私が星ヶ峯君を好きって思うのは、きっと憧れだから」

 

『……』

 

「それに、彼氏彼女って言われてもあまり分かんないし……こんなのでよかったかな?」

 

『うん、帆波ちゃんの気持ちは伝わったよ。私もその気持ち分かる気がする』

 

「そっか、ならよかったよ。それじゃまた明日。お休み~」

 

『うん、また明日。お休み~』

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

そして次の日、俺は学校に来ていた。

 

 

「星ヶ峯?学校に来たのか……久しぶりか?」

 

「おはよう、綾小路。俺自身はあまり久しぶりな気はしてないんだけどな。あはは」

 

 

長い期間休んでいた(サボり)ことに対しては昨日一之瀬から散々な説教を受けているので笑って誤魔化す。その意図を汲んでくれたのか、理由などは聞いてこなかった。

 

そして、綾小路との会話を聞いていた周りのクラスメイトが「星ヶ峯君来たの?」とか「プールとかあったのにもったいねぇな」などなどの反応があり自分の周りに人が集まってきてたことをここに記しておこう。そしてこのとき俺は誓った。こんなめんどくさいことになるんだったら二度と休んでやるもんか!……と、本当にできるのか俺?って思ったのは内緒の話。

 

朝っぱらからめんどくさい目にあったものの、その後は何事もなく過ごすことができたが、変化が起こり始めたのは3時間目の社会。担任の茶柱の先生の授業だった。

 

 

「ちょっと静かにしろー。今日はちょっとだけ真面目に授業を受けてもらうぞ」

 

 

その茶柱の一言に何かおかしいと思ったのか一部生徒が騒ぎ立てるが

 

 

「月末だからな。小テストを行うことになった。後ろに配ってくれ」

 

 

軽々とスルーされる。そして、次々と配られていくテストが俺のところに来てそれを後ろの綾小路に渡し、配られてきたテストの中身を確認すると

 

 

「なんだ?このテスト」

 

 

国数理英社の5教科が数問ずつのテストで如何にも小テストって感じなのはいいんだが

 

 

「簡単過ぎね?」

 

 

そう、一目見てわかる難易度、ここの入試試験を突破したものなら分からないものはいないだろうと思えるような簡単なテスト

 

 

「今回のテストはあくまで今後の参考用だ。成績表には反映されることはない。ノーリスクだから安心しろ。ただしカンニングは当然厳禁だぞ」

 

 

……この学校は相変わらず言葉遊びが大好きらしい。成績表に()反映されないとか、成績表以外には反映することありますよ~って言ってるようなもんだし。だが流石に嘘はつかないだろうからノーリスクというのは本当だろう。

そんなこんなでいきなり始まった小テストもやらないという選択肢はないのでとりあえずやるが、こんな低難易度の小テストを行って何が参考用なのかはマジで疑問だ。

 

 

「あれ?」

 

 

そんな疑問を持ちながらも本物のテスト同様にまず問題を流し見て時間配分を考えていると

 

 

「なんだ?このラスト3問は……他と比べたら難易度が異様に高い」

 

 

問題を1つずつ流し目で見ていくと、各教科4問ずつの全20問で各問題5点ずつの配分になっているのが分かったが、このテストにある最後の3問の難易度が桁違いなのだ。

 

 

「これは……さすがにほとんどのやつが解けるわけないよな。こんな問題仕込んで何が参考用なんだか」

 

 

だが、こんな問題があるということは学校側にも何かしらの意図があるのだろうが……

 

 

「そんなの考えたところで分かるわけないし、こんな簡単なテストを普通にやるのもつまんないよな……ちょっと遊んでやるか」

 

 

そして俺はまたテストに向かって問題を解き始める

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

3

 

 

 

 

小テストが終わり昼休み。俺は今1人で食堂にやってきていた。

 

 

「綾小路は須藤って言ったかな?そいつに連れられていくし、俺は学校来てなかったから友達居ないし、そのせいで1人でここに来る羽目になってしまった……」

 

 

俺が一人食堂に向かう道程で呟いていると

 

 

「それは、星ケ峯君の自業自得では?」

 

「そうだよ。だから、今まさに後悔してるんだろうが」

 

「でも、それが星ケ峯君らしさではあるんですがね?」

 

「そりゃ、昔からなにかにハマれば飲まず食わずでも集中しっぱなしで色々親にも迷惑かけてるしな。それが俺らしさなのかは疑問だが」

 

「えぇ、私も迷惑被ることが幾度となくありましたね」

 

「その節はすまなかったな。それで、俺に何か用か?有栖さんや」

 

「いえいえ、特にこれといった用事はありませんよ?ただ、竹馬の友にご挨拶をと思いまして」

 

 

俺の独り言がいつの間にか会話になっていたが、その会話に入ってきた人物は俺が幼少期の頃から交流のある坂柳有栖(さかやなぎありす)だ。先天性心疾患を患っており、杖が無いと歩けない体なのだが、それゆえか運動が出来ない分何かと頭が良い。所謂天才ってやつだ

 

 

「そうだったか、それじゃ改めて久しぶりだな有栖」

 

「はい、お久しぶりです。星ケ峯君」

 

「……それで有栖。お前が連れてるのは?」

 

「そうでした。彼女は神室真澄(かむろますみ)さん。私のお友達です」

 

 

神室真澄、クールな見た目で背も有栖と比べて高い(有栖と比べるから)どちらかというと美人タイプの女の子。それにしてもお友達か……有栖には似合わない言葉だな。まぁ、神室の立ち位置は想像に容易いけど

 

 

「神室真澄よ。よろしく」

 

「俺は星ヶ峯冬也だ。よろしく。有栖に目つけられて災難だな」

 

「ちょっと星ケ峯君、変なこと言わないでください」

 

 

そんなほっぺた膨らませて可愛らしい否定の仕方しても俺は騙されません

 

 

「変なことも何もお前が友達って紹介すること自体が物語ってるだろ」

 

「……ちょっと口を挟むけどさ、あんたと坂柳ってどんな関係?」

 

「え?どんな関係と言われても……」

 

「親友ですよ」

 

「なあ有栖。俺とお前はいつから親友になった?」

 

「そんなのいつでも良いではありませんか」

 

「はぁ、有栖がそれでいいならいいけどよ……まぁ、こんな関係だ」

 

「いや、どんな関係よ」

 

「見ての通り、一言では言い表せない縁が深い関係。またの名を呪縛と言う」

 

 

そんな感じで不毛な会話を繰り広げていると昼休みがいくらあっても足りなく無くなってしまうので3人で昼食を食べることにして3人がまとまって座れる席を確保する。その間に俺は食堂を回って気づく

 

 

(それにしても山菜定食の多いこと……まぁ、そういうことだよな)

 

「そうだ星ヶ峯君。貴方のクラスでは小テストは行いましたか?」

 

「小テストか?それなら今日やったばかりだぞ」

 

 

そういえば有栖と神室はAクラスらしい。さっき端末取り出してるのを見てちょこっと覗いたらAクラスって書いてあったしついでにちゃんと口頭でも教えてもらった

 

 

「小テストってあの目的がなにかも分からないようなテストのこと?」

 

「はい、あの中学生レベルの問題かと思いきや最後に高難易度……というより未履修の範囲の問題を入れてきたあのテストです」

 

 

確かにあれは基礎問題は基礎問題でも中学の範囲の積み重ねって感じじゃなかったな

 

 

「有栖は全部解けたのか?」

 

「ええ、もちろんです。そういう星ヶ峯君は?」

 

「うーん、数問?」

 

 

そう俺が答えた瞬間澄ましたようなクール顔が驚愕に染まった

 

 

「は?数問?あの超簡単な問題ばかりのテストで?」

 

「おう、俺はバカだからな……って有栖!なに笑ってんだよ!」

 

「ふふ、いえいえ、何もありませんよ?」

 

 

だったら必死に笑いをこらえてる顔やめてくれんか?こっちがなんだか恥ずかしくなってくるじゃねぇかと心の中で有栖に言う。心の中で

 

 

「それで?その小テストがどうしたんだよ?」

 

「特にありませんよ?強いて言うなら全クラス共通なのか知りたかっただけですから、星ヶ峯君の反応を見る限りDクラスとAクラスのテスト内容は同じだったとみて間違いないようですから」

 

「てことは有栖はなんとなく分かってんだな?」

 

「ええ、でもそれは星ヶ峯君もでしょ?」

 

「……そうだな」

 

 

この有栖の俺を見透かすような目に表情はいつまでたっても慣れないな

 

 

「そういえば星ヶ峯君、お母様はお元気で?」

 

 

軽い駆け引きは終わったと言わんばかりに話題を変えてくる有栖。正直あのままの雰囲気は俺の精神的な疲労が蓄積しそうなのでありがたく乗らせてもらう

 

 

「母さんか?1ヶ月前ならそりゃいつも通り元気だったぞ。どうせ今も元気にしてるだろうがな」

 

「そうですか。また近いうちにお会いしたいものですね」

 

「そりゃ、卒業後だな」

 

「ええ、ですから卒業後に私をご両親のもとにご挨拶に行かせてくださいね」

 

「それはそのときにならんと分からんな」

 

「……バカ」

 

 

……俺はライトノベルに出てくるような難聴主人公じゃないから聞こえたぞ。俺は今、顔を赤くした有栖に罵倒されたのか?いや、なんで?

 

 

「そ、そういえば有栖。六花にはあったのか?」

 

 

なんとなくここは話題を変えた方がいいと数少ないライトノベルを読んだ経験から導き出した俺は

 

 

「六花さんですか?まだ会ってないですがこの学校に来ているのですか?」

 

「おう、Bクラスだったはずだから暇があったら挨拶してやってくれ、初対面で」

 

「え?初対面で?その六花って子知り合いなんでしょ?」

 

 

横から入ってきた神室に俺は自分の犯した失態を悔いた。有栖のことで頭いっぱいになり過ぎて神室のことを忘れてた俺が悪いのは自覚してるが、なんでここに神室が居るの?とは思わずにはいられない

 

 

「星ヶ峯君にもいろんな事情がありましてね?あまり気にしないで上げてください」

 

「まぁ、なんでもいいけど」

 

「助かるよ。ここで俺が話したのが悪かったし神室も口外だけ気を付けてくれたらいいから。っと俺はもう行くよ。じゃあまたな有栖」

 

 

まだここにいると俺の口からボロボロとボロが出ていきそうでやばいしな

 

 

「ええ、ではまたですね星ヶ峯君」

 

 

その言葉を聞いた俺はそそくさと食堂を後にする。やっぱり有栖と一緒にいると自分の調子というかリズムというか自分というものが崩れていく感じがするんだよな

 

 

「有栖は魔性の女だった?なんてな」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ところ変わって食堂に残った神室真澄と坂柳有栖の二人はというと

 

 

「うぅ~」

 

「ちょっと坂柳どうしたのさ」

 

 

星ヶ峯が食堂から出て行ったあと、急に坂柳が机に突っ伏し始めたのだ

 

 

「あのさ坂柳、あんたさっきの星ヶ峯ってやつのこと……好きなの?」

 

「っ!」

 

「あんた頭はいいのに恋愛は不器用なんだね『ええ、ですから卒業後に私をご両親のもとにご挨拶に行かせてくださいね』とか何?結婚の挨拶に行きたがるとか……」

 

「ところで神室さん、星ヶ峯君のことどう思いますか?」

 

 

急に話を変えてきた坂柳に話を変えたいという意思があるのは見え見えで、だがそれを拒否する理由も特にない神室はその話に乗った

 

 

「え?どう思いますかって言われてもさっき初めて会ったばかりだし何もわからないわよ」

 

「そうですか、では質問を変えましょう。彼の第一印象は?」

 

「特にこれといった特徴もない顔がいいだけの平凡なやつ」

 

「そうですね。第一印象でそう見えてればいいでしょう」

 

「こんなこと聞いて何があるのよ」

 

「……彼との出会いは正直覚えていません。それほど小さなころに出会いました」

 

 

急に過去話を始めた坂柳に疑問を持ちつつも、興味が少しあったので神室はそのまま聞くことにした

 

 

「それから彼とは家ぐるみでのお付き合いもありよく二人で遊んでいました。その頃の彼はとても平凡でした。そう、とても」

 

「平凡がどうかしたの?」

 

 

神室が質問するも、まるでそれが聞こえていないかのように坂柳は話を続ける

 

 

「ですが彼はある日解離性障害を患います」

 

「解離性障害って過度なストレスやトラウマから記憶をなくしたりするあれ?」

 

「はい、記憶がなくなるのは解離性健忘と言って解離性障害の一つです。他にも解離性同一性障害、所謂多重人格というやつですね。そういうのがすべて合わさって解離性障害です。星ヶ峯君はそのうちの一つ、神室さんが言った解離性健忘になり記憶を失いました。おそらく今も記憶は戻っていないと思います」

 

「それで終わりってわけじゃないわよね」

 

「はい、ここからが本題です。彼は解離性健忘と一緒にとても特殊な病……いや才能を手にいれました。特大の爆弾付きで」

 

「特別な病?才能?」

 

「実は現在の医療では全く分かっていません。現存する中では失感情症に近いとは言われていますが……そうですね、彼は今感情が無い。というより自分の感情を認知できていない状態です。そのせいで感情表現が非常に乏しくなりました」

 

「え?でもさっきは」

 

「そうですね、あれが病がもたらした星ヶ峯君の才能の一つ『感情の模倣』です。彼は自分の感情で喋ったり行動しているわけではありません。彼自身がこういう時ならこうなんじゃないかという自分自身の感情を模倣しているんです。彼は自分の感情が分からないだけで他人の感情を察したりはできますから、他人の感情や本などの物語で吸収しているのだと思います。ですが、それも完壁ではなく自分でも理解できない行動を体が勝手にしてしまうこともあるようで、それが彼自身のほんとうの感情がある証拠であり、彼の体を蝕む原因にもなります」

 

「体を蝕む?」

 

「体と心はつながっているというのはなんとなくでも理解できますか?」

 

「それはなんとなくわかるけど」

 

「実際、失感情症の人は体の不調がとても起きやすいです。なにせ自分が感情が分かっていなくても実際に感じているわけですから自分の行動と感情の差異が我慢と同じような状態になりそれが高頻度になりますから嫌でもストレスが溜まります。ですが彼は不調という不調を起こしたことはありません。それは彼の感情の模倣がうまく作用してストレスがたまりにくいのかもしくは彼の預かり知らぬところで溜まり続けているのか……それが私はとても心配です」

 

「……」

 

「そしてもう一つが……『苦痛の無効化』とでも言いましょうか」

 

「苦痛の無効化?」

 

「すいません、これは私もよく分かっていないんですが、彼は苦痛というものを感じませんというより苦痛を楽しんでると言いますか……こんなこと言うと彼がマゾヒストかと思われるかもしれませんがそうではないんです。ただ、これは私の推測ですが、彼はとても努力家です。100人中100人が努力家と答えるほどの」

 

「そうは見えなかったけど」

 

「人は見た目ばかりじゃありませんから。とにかく彼は努力家ですが、ただ度を越えすぎているんです。不眠不休で一つのことにずっとのめりこむんです。誰かが止めなければそれこそ倒れるまで努力を続けるんじゃないかというほどに。そしてそれを可能にするのが……いや、この話はやめておきましょう」

 

「ちょっ、そこまでいっておいてやめるの?!」

 

「すいません。でもここまで神室さんに話して少し気が軽くなったかもですね。では教室に戻りましょうか」

 

 

そういって二人は食堂を後にして教室へと戻っていった。




第4話いかがでしたでしょうか?

神室さんは堀北並に書くのが難しい!まさかまさかの星ケ峯君にそんな事実があるとは!

そして、今回今作のメインヒロインをつとめていただく坂柳有栖ちゃんがご登場です!2人の恋の展開は不器用なまま進んでいきます。なぜなら作者が恋愛描写を書くこと自体が不器用だからです。なので、安易なハーレムは作りませんというか作れませんのでご容赦ください。

星ケ峯君についてはまだまだ序の口程度ですので今後を楽しみにしていただけたらと思います!


とても押したくなる魔法

↑他作でやった姑息な手

ではまた次回!
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