ようこそ努力と感情の教室へ   作:ガムの小説部屋

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どうもガムです!
前話からかなり遅くなりすみませんでした!
今回からの修正点で『高峯立花』→『高峯六花』に変更致しました。理由としては自分で立花(りっか)を立花(たちばな)と読んでしまい紛らわしくなってしまったからですwwちゃんと名付け理由があったんですけどね.......
あと、1月3日の話ですが、日間ランキングに載らせていただけたようで読んで下さる皆様に感謝です!
では長くなりましたが、本編どうぞ!


第6話 クラスへの不満

重苦しい空気が漂っているDクラス。その中は酷い荒れようで、所々から口げんかやら、嘆きの声やらが飛び交っているところだった。その中を、俺はこっそりと抜け出す

 

 

「なんて言うか、醜いな」

 

 

だが、人間は良いところがあれば悪いところもある生き物だ。別に醜いことは悪いことではないと思っている。肝心なのはその後だ

 

 

「ここから、どうやって立て直して尚且つDクラスが成り上がっていくのか見物だな」

 

 

まあ、それには俺自身も大きく関わってくると思うんだけどね。

なんて考えていると背後から声が聞こえてきた。

 

 

「星ヶ峯くん、もうすぐ授業だけど何してるの? ……もしかしてまたサボり?!」

 

「んな訳ないだろ。さっきこの学校のシステムについて説明があっただろう? 今からそんなことをする度胸と余裕は俺にはない。しかし、そういう一之瀬はどうしたんだ?」

 

「私は星ヶ峯くんに聞いておきたいことがあって」

 

「聞いておきたいこと?」

 

 

なんだろうか? 一之瀬が俺に何か聞かなければいけない事なんて何かあったか? 

 

 

「ほら、この学校ってクラス別で活動するような雰囲気だから、いつもやってた勉強会どうしようかなって……」

 

「あー、あれか」

 

 

俺たちがまだ出会い立ての頃、俺のことを気にかけてくれて複数人での勉強会を開いてくれたんだけど、なんやかんやあって最終的に俺と一之瀬の二人でテスト前に集まって勉強する勉強会が生まれて、最後にしたのはこの学校を受験する直前だった

 

 

「それで、その勉強会なんだけどなんだけど、Dクラスって今は大変な状況でしょ? だから、どうするのかなって」

 

「そうだな……俺はあの時間が好きだし、一之瀬が迷惑じゃなければ、あの勉強会をさせてもらえないかな?」

 

 

そう言うと、途端に一之瀬の顔が笑顔になって頷くと

 

 

「そっか、ならまた今度日にちとか決めようね!」

 

 

と言って、そのまま立ち去ろうとしたので

 

 

「おい、一之瀬!」

 

「ん? どうしたのかにゃ~?」 

 

「いや、お前の用件はそれだけじゃないだろ?」

 

 

そう、こう見えても一之瀬は効率を求む一面もある。まぁ、人のために労力を惜しまない奴でもあるけどな。そういう奴が勉強会の用件のためだけに、俺の元に来る理由がない。ましてや、クラスが少なからず混乱や不安で渦巻いているであろう中である。恐らくメール。もしくは電話で済ませられる用事なのだ。俺らのクラスの雰囲気を察してメールや電話をしなかった可能性もあるが、その場合はまた後でいいやで済む。テストまでは2週間以上あるわけだしな。

 

 

「にゃはは。やっぱり、星ヶ峯くんの前じゃ隠し事はなかなか出来ないものだね」

 

「別に、俺は相手を見抜く千里眼なんか持ってないぞ?」

 

「千里眼なんてものじゃないよ。さながら相手を丸裸にしてしまう照魔鏡だね」

 

 

そう俺を評価する一之瀬の表情はどこか暗くどこかに思いを馳せているようで、胸を締め付けられる感覚を覚えた

 

 

「だからそれは大袈裟だよ」

 

「……まぁ、いいけどね。それが星ケ峯君だし」

 

「?」

 

「私はね、星ケ峯君が心配なんだよ」

 

「俺が心配?」

 

 

俺は別に誰かを心配させるような事をした覚えはないんだけど……

 

 

「星ケ峯君ってさ、無自覚かもしれないけどとにかく自分を弱く見せたがるよね」

 

「……そうかな?」

 

 

正直、一之瀬が言う自分を弱く見せたがるというのは自分には当てはまっているように到底思えない

 

 

「だから、クラスの中で星ケ峯君はどんな風になってるのかなって。あの時の二の舞になってないかなって。とにかくそこが心配。星ケ峯君は休んでクラスにマイナスを与えた存在でもあるしね」

 

 

そう言われて、俺は気づいた。そう言えばそんなこともあったなって、一之瀬に心配かけるようなこと沢山してたなって。こういうところがあるよな、俺って

 

 

「そうだったな。俺は一之瀬にたくさん迷惑かけてきたもんな」

 

「迷惑とは思ってないよ。迷惑なら私の方が掛けてる。でもね、私には迷惑より心配をかけて欲しくないなって。分かってくれる?」

 

「善処はするが、分かったとは言いきれない。だが、今回に関しては一之瀬が心配するようなことは何も無い。何かあるとすればこの先だな」

 

「……そっか。私は星ケ峯君からその言葉が聞ければ十分だよ。信用してるから」

 

「本当にありがとな。一之瀬」

 

「ううん、こっちこそ星ケ峯君には感謝してるから。また勉強会については連絡するね」

 

「分かった」

 

 

その言葉を残した一之瀬は俺に背を向けて教室に戻って行った。それを見た俺は

 

 

「一之瀬、先に謝っとく。迷惑かけるわ、すまん」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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その後は特に何も起きることなく放課後になった。まぁ、何も起きなかったと言ったが、教室内はちょっとお通夜並に静かでとても昨日までのDクラスとまるで違っていた。変わらないやつも少々だったが

 

 

「星ヶ峯くん!」

 

「ん? 櫛田か。俺に何か用か?」

 

 

放課後は、有栖から連絡がある予定なのであまり時間は取られたくないんだけど……

 

 

「今朝、星ヶ峯くんが居なくて教えるタイミングが遅くなったんだけど、これからDクラスがポイントを増やすためにどうしていくかの会議をするんだ。だから、星ヶ峯くんも参加してほしいなって」

 

 

なるほど、俺が一之瀬と会話してるときにそんなことを計画していたのか。有栖との約束があるけど、どうしようか。有栖との約束をすっぽかしたら拗ねて機嫌取りが結構大変なんだけどな……

 

 

「ちなみに、参加率は?」

 

「ほとんどの人は出席する予定だよ。残念ながら全員とはいかなかったけどね」

 

「いや、逆にこのクラスの大半が出席するなら大したもんだと思うけどな」

 

 

正直、俺にはこの集まりに関しては無意味だと思う。話し合うにしても、情報が少なくて、学校生活の改善と今度の中間テストの勉強について話が出てしまえば、それで終わりだ。それ以上の結果が出ることはないと断言してもいい。だが、この集まり自体はクラスにとって、意識を統一するためのプロセスになる。ならば、俺も出た方がプラスは無くとも、マイナスもないし無難と言ったところ……

 

 

「それで、星ヶ峯くんは参加してくれる?」

 

「分かった。俺も参加するよ」

 

「良かった! じゃあ、もう少ししたら始まると思うから待っててね」

 

 

そう言って、櫛田は綾小路の方へと向かっていった。……俺は、櫛田桔梗という女の人物像というか、本質が一切と言って良いほど見えない。人間というものは少なからず自分の思考であったり、感情というものが少なからず表面に出てくる。よくメンタリストがテレビで相手の考えてる事を当てるようなパフォーマンスをしているのを見たことがあるのでは無いだろうか。あれは、相手の癖を見て相手の思考や感情を探るというものだ。しかし、その癖が櫛田桔梗には()()()()()()。綾小路清隆という男のように、癖を極限まで矯正しているようなものでは無く、癖を後付けしたかのような歪な違和感がある。

 

 

『1年Dクラスの綾小路くん、星ヶ峯くん。担任の茶柱先生がお呼びです。職員実まで来てください』

 

 

自分が感じている櫛田の違和感について考えていると、そんな案内の放送が流れてきた

 

 

「これは、有栖のご機嫌取りをしなくても良いチャンスなのでは?!」

 

 

そんな不毛なことを考えながらも、櫛田に一言断りを入れて綾小路と二人で職員室へと向かう

 

 

「綾小路は呼び出しに心当たりは?」

 

「いや、無いな。星ヶ峯はどうなんだ?」

 

「俺だけならまだしも、綾小路と二人で呼ばれるような呼び出しに心当たりは無いかな」

 

 

そんな職員室へ向かう途中にピンク色の髪をしたとても特徴的で俺が知る中で一人しか居ない生徒がいて

 

 

「あれ? 星ヶ峯くん、奇遇だね」

 

「よく言うよ、俺が放送で呼び出されるのを聞いて様子見に来たくせに」

 

「にゃはは、確かにそれもあるけど今回は本題が別にあるから」

 

 

そんな会話を、俺を待ち伏せていたであろう一之瀬と交わす。だが、この場には俺と一之瀬だけで無く綾小路もいるわけで除け者にしとくわけにはいかない

 

 

「そうだ、綾小路。紹介しとくと、こいつは俺の同中で俺の数少ない友達の一之瀬帆波だ」

 

「もう、そんなことばっかり言ってると女の子にモテないよ? えっと、一之瀬帆波です。よろしくね綾小路くん」

 

「綾小路清隆だ。よろしく」

 

 

お互いの顔合わせを済ませたところで、一之瀬も職員室に用事があるというので一緒に行くことにした

 

 

「失礼します。1年Dクラスの綾小路と星ヶ峯です。茶柱先生はおられますか?」

 

「やっときたか。遅いぞ二人とも」

 

「すみません」

 

 

職員室に入ると茶柱先生がそのまま迎えてくれた。が、その後ろから

 

 

「あれ? 星ヶ峯くんじゃない?」

 

 

正直、俺としては関わりたくない星之宮先生も一緒に出てきた。

 

 

「それに星ヶ峯くんのお隣にいるのは星ヶ峯くんのお友達?」

 

「ええ、そうですけど」

 

 

そう言うと、こんどは綾小路に彼女はいるのかとか言って絡み出した。この先生、相変わらず生徒との距離感が近いな。綾小路もちょっと苦手にするようなタイプの先生だし、ここは助けを──

 

 

「いい加減にしろ、星之宮」

 

 

と、思ったが見かねた茶柱先生がスパーンっと星之宮先生に制裁を加えた。音が結構鈍かったし、痛そうだな。

 

 

「いったぁ。何するの!」

 

「うちの生徒にお前のダルがらみはキツいからやめろ」

 

「そ、そんなこと無いでしょ!」

 

「なら、二人の後ろにいるお前の生徒に聞いてみたらどうだ?」

 

「へ……?」

 

 

聞き捨てならない言葉を聞いたような顔をした星之宮先生は俺たちの後ろの方に目線を向けるとそこには、微妙な顔をした一之瀬が

 

 

「星之宮先生。女子生徒ならまだしも、男子生徒にそのセクハラ紛いの発言はどうかと……」

 

「い、一之瀬さん?! こ、これはね──」

 

 

そして、この流れに乗じて、俺と綾小路と茶柱先生の三人で生徒指導室に移動することになった。ちなみに、一之瀬の職員室の用事とは去り際に聞こえてきたが、生徒会に関することらしい。なんとも一之瀬らしい行動だなと思うが、同時に大丈夫かなと心配にもなってくる

 

 

「で……俺と綾小路を呼びだしてどうしたんですか?」

 

 

生徒指導室に着いた俺は話をせかすように茶柱先生へ問いを投げかける

 

 

「うむ、それなんだが……話をする前にちょっとこっちへ来てくれ」

 

 

質問の答えが来ず、何か釈然としなかったが、茶柱先生はそんな俺の胸中を知ること無く指導室の中にある扉を開き、そこに俺たち二人を招き入れる。中は給湯室のようで、コンロの上にヤカンが置かれていた。

 

 

「余計なことはしなくていい。黙ってここに入ってろ。いいか、私が出てきて良いと言うまでここで物音を立てずに静かにしているんだ。破ったら退学にする」

 

「は? 言っている意味が全く──」

 

 

綾小路が茶柱先生の真意を聞く暇も無く給湯室の扉が閉められた。だが、俺にはここで何が起こるのかについては見当がついている。でも、俺たち二人の必要性が全く分からない。と、そんなことを考えていると生徒指導室の扉が開く音がした。

 

 

「まあ入ってくれ。それで、私に話とは何だ? 堀北」

 

 

やはりというかなんというか、茶柱先生を尋ねてきたのは堀北のようだ。

 

 

「率直にお聞きします。なぜ私が、Dクラスに配属されたのでしょうか」

 

「本当に率直だな」

 

「先生は本日、クラスは優秀な人間から順にAクラスに選ばれたと仰いました。そしてDクラスは学校の落ちこぼれが集まる最後の砦だと」

 

「私が言ったことは事実だ。どうやらお前は自分が優秀な人間だと思っているようだな」

 

「入学試験の問題は殆ど解けたと自負していますし、面接でも大きなミスをした記憶はありません。少なくともDクラスになるとは思えないんです」

 

「入試問題は殆ど解けた、か。本来なら入試問題の結果など個人に見せないが、お前には特別に見せてやろう。そう、偶然ここにお前の答案用紙がある」

 

「随分と用意周到ですね。まるで私が抗議のために来る、と分かっていたようです」

 

「これでも教師だ。生徒の性格はある程度理解しているつもりなんでな。堀北鈴音。お前の入試結果は自分の見立て通り、今年の1年の中では同率で3位の成績を収めている。1位2位とも僅差。十分過ぎる出来だな。面接でも、たしかに特別注視される問題点は見つかっていない。むしろ高評価だったと思われる」

 

「ありがとうございます。では何故?」

 

「その前に、お前はどうしてDクラスであることが不服なんだ?」

 

「正当に評価されていない状況を喜ぶ者などいません。ましてこの学校はクラスの差によって将来が大きく左右されます。当然のことです」

 

「正当な評価? おいおい、お前は随分と自己評価が高いんだな」

 

 

茶柱先生は堀北を嘲笑うような、乾いた笑いを浴びせる

 

 

「お前の学力が優れている点は認めよう。確かにお前は頭が良い。だけどな、お前は今朝のHRで何を聞いていた?」

 

「何を.......とは?」

 

「星ケ峯がちゃんと説明してくれていただろ? 『僕達はこの学校に入る前に入試と面接を受けて入りました。それに俺たちの中学校の学校生活を聞いているかもしれない』と、そして星ケ峯が例で出した学力の分け方も1つの例に過ぎず、もっと詳細な分け方があると。私が説明するつもりがないところまで懇切丁寧に教えてくれてたぞ?」

 

「ですが、世の中の常識では──」

 

「その常識が今の日本の社会を作っていったのだろう? 学力は確かに人を見るために良い指標の1つだ。だが、それに縋りすぎると痛い目を見るぞ? そして、痛い目を見るのが最終的に世襲制だ」

 

 

世襲制とは地位や名誉、職を子孫代々受け継いで行くという意味だ。その言葉は正直こちらにもダメージがある

 

 

「いいか? 勉強は重要なステータスだ。それは私も認めている。だがな、この学校は本当の意味で優秀な人間を生み出すための学校だ。他の学校とは違うんだ。本当ならそこは星ケ峯のように全員が入学した時に理解させるための説明をしたはずだがな」

 

 

おい、ちょっと待て。今、俺の事に関して結構重大なこと言わなかったか? 流れるように言い放つものだからそのままスルーするところだったけど、これは俺の過剰反応なのか? ……隣の綾小路も気にした様子もないし、もうそのままスルーしてしまおう。

 

 

「それに、冷静になって考えてみろ。仮に学力だけで優劣を決めていたのなら、須藤たちが入学できたと思うか?」

 

「っ…」

 

「それに、正当に評価されていない状況を喜ぶ者はいない、と決めつけた発言をするのも早計だな。Aクラスともなれば、学校から受けるプレッシャーは強く下のクラスからの妬みも強い。日々重いプレッシャーの中で競争させられるのは想像よりも遥かに大変なものだ。中には正当に評価されないことを良しとする者もいる」

 

「冗談でしょう? そのような人間、私には理解できません」

 

 

堀北には理解し難いだろうが、実際今の日本社会においてそういう人間が増えているのも事実だ。特に管理職に昇格するのを嫌がる人間が増えている。まぁ、待遇などのアレもあるだろうが、これ以上の話は長くなるし控えさせてもらおう

 

 

「そうかな? Dクラスにも居ると思うがな。低いレベルのクラスに割り当てられて喜んでいる変わり者のD生徒が」

 

 

.......もしかして、これって俺と綾小路のことを言ってるのかな? 綾小路はともかく俺は喜んではいないぞ? 別に怒ってもいないけど

 

 

「説明になっていません。私がDクラスに配属されたのが事実かどうか、採点基準が間違っていないかどうか。再度確認をお願いします」

 

「はぁ、そこら辺も全部星ケ峯が懇切丁寧に教えてくれていたんだがな。星ケ峯という存在を間に挟めば少しは理解できるだろうと思っていたが、無駄なあがきだったか」

 

 

俺を壇上に立たせた理由ってそれかぁ。でもなんかちょっとスッキリしないな

 

 

「.......わかりました。改めて学校側に聞くことにします」

 

 

うわー、上への執念がすごすぎて自分と自分の足元を全く見ていないやつの典型的な例がここにいるよ。胆力に自信がある俺でもこれは諦めるよ

 

 

「上に掛け合っても結果は同じだ。それに悲観する必要はない。朝も話したが、出来不出来でクラスは上下する。卒業までにAクラスへと上がれる可能性は残されている」

 

「簡単な道のりとは思えません。未熟な者が集まるDクラスがどうやってAクラスよりも優れたポイントを取れるというのですか。どう考えても不可能じゃないでしょうか」

 

 

堀北の苦言はもっともだ。だがその考えのままじゃ、堀北は一生Dクラスのままこの学校生活3年間を終えるだろう。何故かは俺には知ることも出来ないが、堀北はとにかく上を見すぎなんだ。そして、何事も短期的にしか見ていない。長期的な目線の一切が欠如してる。そう俺は短い期間だが堀北を見て思ったことだ。もし、堀北が上へと行くというのならば

 

 

「それは私の知ったことじゃないが、それを真剣に考えることが出来て実現可能な人物ならいると思うがな」

 

「.......それは誰ですか」

 

 

まさか、俺の事を指して言ってるわけじゃないよな? 

 

 

「さぁ、それは知らんな」

 

「そうですか、今日のところは、これで失礼します。ですが私が納得していないことだけは覚えておいてください」

 

「分かった、覚えておこう」

 

 

俺の名前が出ることなく終わって内心めちゃくちゃ安堵していると

 

 

「あぁそうだった。あと2人指導室に呼んでいたんだったな。お前にも関係のある人物だぞ」

 

「関係のある人物.? まさか.......兄さ──」

 

「出てこい星ケ峯、綾小路」

 

 

修羅場は続きそうです。綾小路の方を見ると首を横に振っている。出たくないという意味だろう。それには同意だが、ここで出なくとも勝手に向こうが空けてくるだろうし、意味ないと思うんだけどな

 

 

「はぁ、できるだけ俺が対応するから出るぞ。綾小路」

 

 

そういうと、綾小路は渋々と言った顔で扉を開ける。

 

 

「すまんな堀北、お前の兄貴じゃなくて。あと、俺たちの扱いが雑じゃありません?」

 

 

俺がわざとらしくふてぶてしい態度で指導室へと入る。堀北は当然こっちを睨んでる。おー怖い怖い

 

 

「私の話を.......聞いていたの?」

 

 

そんな問いを俺たちに投げかけてきたので、俺と綾小路はアイコンタクトを交わす。

 

 

「聞いてたら不味かったか?」

 

 

給湯室を出る前に俺が言った通りできるだけ俺が対応するべく般若(堀北)に答えを返す。すまんな綾小路、お前はこういう時は土俵に登らないことを選ぶだろうが、もう逃げ場がガチで無いんだ

 

 

「.......先生、何故このようなことを?」

 

 

これが仕組まれた流れだったことに気づいた堀北。怒らないわけが無い

 

 

「それはすぐに分かる。分からなかったら分かるやつに後で聞け。さて、2人共お前たちを指導室に呼んだワケを話そう」

 

 

茶柱先生は堀北の疑問を適当に流し、俺たち2人に話題を変える

 

 

「お前ら2人は本当に面白い生徒だな」

 

「よく言われますよ」

 

「ちょっとした皮肉のつもりだったんだがな。まぁいい、これを見ろ」

 

 

そうして机の上に俺たちが受けた入試問題の解答用紙とこの前の小テストがゆっくりと並べられる

 

 

「まずは綾小路、入試の結果を元に個別の指導方法を思案していたんだが、お前のテスト結果を見て興味深いことに気づいたんだ。最初は心底驚いたぞ」

 

 

そのテストには国語、数学、英語、社会、理科、そしてこの前の小テストの結果も全てそれぞれ50点という数字があり正直偶然とは言い難い代物だ。あまり目立ちたくないとかって雰囲気だしてるけどこんなことして、綾小路って意外と馬鹿なのかな? 

 

 

「次に星ケ峯、お前の場合はこれは遊んでるのか? こんな馬鹿なことしたのはお前が初めてだ」

 

 

そう言って出されたのは俺の15点の小テスト

 

 

「学校側が答えさせる気のない問題()()を正答している。初めて見た時は自分の目を疑ったぞ」

 

 

俺と綾小路の第三者から見たら異常と言えるテストを見た堀北はテスト用紙を食い入るように見て俺たちと視線を交互させている

 

 

「これの意味してることが分かるか?」

 

「偶然って怖いっスね」「偶然って怖いっスね」

 

 

ここで俺と綾小路の奇跡のシンクロが出るとは、人生分からないものだ。なーんて、現実逃避をさせて貰える訳もなく

 

 

「ほう? あくまでもこれらの結果は全て偶然でこうなったと? 意図的にやっただろ」

 

「偶然です。証拠はありません。そもそも試験の点数を操作してオレにどんな得があると? 高得点を取れる頭があるなら全科目満点狙ってますよ」

 

 

わざとらしくおどけてみせる綾小路に教師は溜息をつき次はこちらを見てくる

 

 

「星ケ峯はどうだ? 意図的だろ?」

 

「偶然では無いとしても、別に意図的じゃありませんよ。全て答えられる問題だったのをニアミスが多発した。それだけですよ」

 

「.......まぁ、お前はそれでいい」

 

 

正直のところ、大きな理由はない。ただそうしたら面白そうだったと言うだけだ。綾小路みたいに目立たないためにそんなことをした訳でもないし、本当なら俺が小テストが返されて1人で見てニヤニヤする変態みたいな事をするだけだったのに、教室で点数公開はもちろんのこと、こんなところでも公開されてしまうんだったらあんなことしなかった。まぁ、魔が差したってやつだ。

そんな言い訳を自分の心の中でしていると俺は放置され、綾小路が色々と詰められているようで、もうちょっとちゃんと誤魔化せるような点数にしとけば良かったのにと思う

 

 

「あなたたちは.......どうしてこんな訳の分からないことをしたの?」

 

「俺は別に深い意味はないぞ? 綾小路は偶然らしいけど」

 

「どうだかなぁ。ひょっとしたら2人ともお前よりも頭脳明晰かもしれないぞ堀北。特に星ケ峯は」

 

 

ピクリと堀北が反応する。ちょっと先生が生徒を煽るのはやめて欲しい。どうせこっちに飛び火が来るから

 

 

「オレは勉強好きじゃないですし、頑張るつもりもないですし。だからこんな点数なんですよ」

 

「俺は別に勉強が出来るだけの人間なんで。頭脳明晰って言うなら堀北の方では?」

 

「綾小路はこの学校を選んだ生徒が言うことじゃないな。もっとも、お前の場合、高円寺のように、DでもAでも良いと思えるような、他の生徒とは異なる理由があるかも知れないが」

 

 

俺たちの返答にまた茶柱先生が答える。それにしても、この学校はどこまで俺たちのことを調べてるんだ? 俺たち2人は理事長が居るから何処かで制限が掛かっているだろうが、堀北の『秘密』となるような部分まで把握しているような口振り。これも、また今後のヒントになっていくかもしれないな

 

 

「私はもう行く。そろそろ職員室の始まる時間だ。ここは閉めるから3人とも出ろ」

 

 

そう急かされ俺たちはさっさと廊下に出る。そして、茶柱先生が俺と綾小路を堀北と会わせたのか何となく分かった。ただ、俺の予想通りだとすれば俺はここで弾かれるだろう。堀北はとにかくプライドの高い人間だ。さっきの茶柱との会話の中で俺を堀北より上と認識させるような話し方をしていた。そのせいで堀北が俺に協力を求むことをプライドが邪魔する。そして、そのプライドを利用して俺を堀北の発火剤にして、綾小路清隆というブレインを付けさせてAクラスを目指せさせる。なんとも上手くできたストーリーだ。だとすれば、ここは一旦堀北に綾小路を預けるのも1つの手段か.

 

 

「とりあえず.......帰るか」

 

 

そういった綾小路は俺らを見向きもせず歩き出した。恐らく、今は距離を置いた方がいいという判断をしたんだろう。俺も逆の立場ならそうする

 

 

「待って」

 

 

だが、そんなことはさせないと堀北は綾小路を呼び止めようとするが止まらない。そしてそれを堀北が追いかける

 

 

「あれ? もしかして、俺はここで帰っても良さげな感じ?」

 

 

綾小路と堀北は今2人で歩いている。恐らく、堀北は俺より綾小路の方に興味を持ったのだろう。そりゃ、綾小路の方が謎が深く感じるし、違和感が俺より満載にあるから分かるけど

 

 

「ちょうど良かったけど、ちょっと寂しいな」

 

 

まぁ、見た感じこの高校入ってから結構一緒にいる時間長いし、俺より話もしやすいんだろう。今あの二人が何を話しているかは分からないが、俺を無視して堀北が綾小路の方へ行ったということはそういうことだ。俺は、堀北のお眼鏡にかなわなかった、だから俺は自分が好きなようにやっていく。誰にも邪魔だけはさせない

 

 

そんなこれからの事を色々と考えながら、俺は2人に会わないように帰路についた




第6話いかがでしたでしょうか?

ここまでは結構原作準拠でやって来ましたが、ここから少しずつ物語が分かれていきます。この作品はイメージとしてはテツandトモさんの『なんでだろう』みたいに、星ケ峯冬也の物語と綾小路清隆の物語。要するに二次創作と原作ですね!それが交互に、交わったり離れたりを繰り返して作られていく物語だと思っていただければと思います!

あと、前書きで六花の名前を変えたと報告しましたけど、今話に出てきませんでしたねww

最後に、感想と評価をよろしくお願いします!

ではまた次話までお楽しみに!
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