ようこそ努力と感情の教室へ   作:ガムの小説部屋

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どうもガムです!
今話は早めに投稿できて良かったです!

※追記
今話の最後のところだけ変えました。話の大筋に影響はないですが、お知らせしておきます。


第7話 ご立腹なお姫様達

綾小路と堀北の2人と別れたあと、自分の部屋に戻ろうと寮に入った瞬間…

 

 

「ほ・し・が・み・ね君♪」

 

 

字面だけを見ればとても上機嫌に思えるが、そんなものとは真逆の名前を呼ぶだけで人を呪いにかけててしまえるんじゃないかというくらい冷たい声で背後から話しかけられ俺の服を掴まれた。俺はその声の主の方へ振り向く勇気などあるはずもなく体が全く動かなくなってしまうも、かろうじて声を絞り出す

 

 

「な、ななな何でしょうか? 有栖様?」

 

「何故、私の連絡を無視するんですか?」

 

「えっ?」

 

 

俺は隼の如くポケットに入れてあるスマホを取り出しすぐさま、有栖からの連絡が無いかを確認すると.はい、ちゃんとありましたよ

 

 

「いや、返信しなかったのは悪かったけどさ、放送聞いてただろ? 担任に呼び出されてた訳だから許してくれませんか!」

 

 

そう言って俺はその場で振り返る勢いを利用してそのまま地面に頭を擦り付けるようにして土下座をする。その姿はさながら浮気がバレた夫が妻に許しを乞う時と同じだ.そんな状況を見たことが無いから知らんけど

 

 

「そ、それは私も聞きましたけど。それでも何も反応していただけないのは.」

 

 

さすがに、ここまでされるとは思ってなかったのかバツ悪そうにしながらも頬を膨らませて拗ねる有栖は正直言って、めちゃくちゃ可愛い。とても写真を撮りたくなってしまう衝動が湧き出てしまい、それを抑えようとするが、俺の右手にはカメラが搭載されているスマホ。その後の対応は未来の俺に任せた! 

 

 

カシャ

 

「ちょ、ちょっと星ケ峯くん!? 今、私にカメラ向けて写真撮りましたよね! い、今すぐそれを消してください!」

 

「まぁ、悪ふざけはこれくらいにしてちゃんと返信してあげられなくてすまなかった」

 

「い、いえ。私もちょっと理不尽な怒り方をしてしまいました.けど、さっきの写真は別です。ちゃんと消しておいてくださいね」

 

「はいはい、分かったよ」

 

 

そう言って俺は有栖の写真をちゃんと消す。本当は消したくないが、過去に有栖に消せと言われた写真を消した振りをしてスマホに残したことがある。だが、何故かすぐにバレて結構長い期間拗ねられて機嫌を治すのに時間がかかったことがある。

意外に思われるかもしれないが、俺と有栖は結構こういうやり取りをする。今回は、放送があったおかげで有栖も俺に不満を垂らすだけですぐ終わったが、これがもしDクラスの集まりだったら有栖の機嫌を治すのにもう少し時間を要しただろう。

 

 

「それで、星ケ峯くん。呼び出しは何だったのですか? まさか、また何かやらかしましたか?」

 

「またってなんだよ。別に特に何かあった訳じゃない。ただ、Dクラスの今後に関わることではあったな」

 

「あら? それは私に話してもよろしいのですか?」

 

「うーん、別にいいんじゃないか? 有栖だって、Dクラスの方を意識する余裕なんてまだないだろ?」

 

「分かりませんよ? もしかしたら、真っ先にDクラスの方を叩きに向かう可能性もあるのでは?」

 

 

確かに、有栖が1人であり尚且つ狙う相手が俺1人であったらその線は考えるが、今現在のAクラスの状況だとそうはいかないだろう。なぜなら

 

 

「お前らのクラスは今絶賛分裂中だろ? それに、有栖()自分の足元を疎かにしないからまだ外のクラスに目を向けてないだろうしな。ポイント差もしっかりあるし、有栖なら下げてもすぐ上げられるだろ」

 

「私()…ですか。それにしても、もうそこまで掴んでいますか。さすがは星ケ峯くんといったところですね。それに、私のことも随分な高評価をいただけているようで」

 

 

俺に賛辞を送る有栖は不敵な笑みを浮かべている。有栖は本当に人と競い合うのが好きだな。それも自分が認めた相手との競い合いが特に。何故俺が有栖に認められているのかは知らんが。

 

 

「いや、Aクラスが分裂しているという情報は六花から聞いただけだよ」

 

「なるほど、六花さんでしたか。あの方もなかなかですね」

 

「だろ? 俺の自慢の義妹だよ」

 

「.今まで敢えて聞いてきませんでしたが、六花さんって養子縁組しているんですか?」

 

「確かしてるはずだけどな。そこら辺のことは両親に聞かなければ分からん。でも、なんでそんなことを聞く?」

 

「いえ、それならば何故六花さんの苗字が『高峯』なのかとても気になりまして」

 

「それは俺も聞きかじった程度だから分からんが、結構強引なことしたらしいぞ」

 

「そうでしたか、私の疑問が1つ解消したところでこれからお付き合い頂いても?」

 

「おう、全然構わんぞ」

 

 

俺と有栖は暗くなりかけている空の中を2人で歩いていく。移動中に六花が夕食を用意してる事を忘れてることに気づき急いで連絡をして六花を困らせたのはまた別の話。

 

 

「今日は私が持ちますのでなんでも頼んで頂いても構いませんよ」

 

「そうか、なら遠慮なく」

 

 

俺と有栖が来たのはちょっと和風な定食屋といった雰囲気のお店で中は意外と空いていた。料理が来るまで有栖との雑談に花を咲かせていた。料理が来ると俺が先に本題へと切り出す

 

 

「それで、俺に何か聞きたいことでも?」

 

「あら、用が無ければ来ていただけていなかったんですか?」

 

「別にそういう訳じゃねぇよ。時が時だからな。何かしらはあると思ってただけだ」

 

「そうですか。特にない…と言いたいところですが、ありましてね」

 

 

有栖は1度食事の手を止めて俺の方に向き合う。その雰囲気に当てられて、つい俺も食事の手を止めてしまう

 

 

「星ケ峯くん。あなたは中学時代に何をしたんですか?」

 

 

あらかた予想通りの質問だ

 

 

「…何をしたとは?」

 

「私から見た星ケ峯くんはDクラスにいて良いような人材ではない。ですが、あなたがDクラスにいるということは何か理由があるのでしょう?」

 

「それで、俺の中学時代の話をねぇ」

 

「当時の星ケ峯くんは自分のことを頑なに喋らない人でした。だから、私は星ケ峯くんが詮索されたくないと思い、何も詮索はしていません。今私が知っていることは、星ケ峯くんのいた中学にBクラスの一之瀬帆波さんがいたということくらいしか知りません」

 

「そっか、そんな気を使ってくれてたんだな。でもな有栖。俺は本当に()()()()()()んだよ」

 

「何もしてないのにDクラス…いや、何もしてないからこそDクラスという訳ですか」

 

 

この学校は生徒の実力を評価する。すなわち、何かしらのその人を示す『実績』となるようなものがいるのだ。それは学力でもスポーツでも何でもいい。だが、星ケ峯はそのような実績を全くたててこなかったから俺はDクラスにいるんだ。ということだ

 

 

「そうだよ、分かってくれたか?」

 

「いえ、逆です。ますます気になってきましたよ」

 

 

しかし、有栖はここで星ケ峯の言い分に対する穴らしきものを見つけた。星ケ峯は何もしていないからこそDクラスと言ったが、Dクラスはいわゆる不良品だ。不良品はかけているからこそ不良品なのであって、たとえ性能は低くとも完璧に組み立てられていればそれは不良品では無い。有栖の目から見れば星ケ峯はBクラス又はCクラスに居るということだ。だが、これは有栖の主観から見た星ケ峯冬也であり、学校の仕組みである。つまり、学校からの評価とはまた違うので完璧な穴とは言えないが、星ケ峯の言い分をそのまま受け取れない理由にはなるだろう

 

 

「そうか、でも俺は何もしてないから何も話せないけどな」

 

「別に構いません。星ケ峯くんの口から本心はしっかりと聞けていますので」

 

 

2人は会話を一旦止めて冷めかけている自分の食事を食べ進める。そして、食べ終えた2人の話はまた元に戻って

 

 

「さて、話を少し戻しますが星ケ峯くん。星ケ峯くんの通っていた中学校には()()()()()()()()()()()、星ケ峯くんが何もしてないとしてもDクラスは無理があるのでは?」

 

「なるほど、確かにそう思うのも納得だが、そう言われても俺には分からない。としか言いようがない」

 

 

教子先生は本名を星ケ峯教子(ほしがみねきょうこ)と言い、まぁ名前を見ての通り俺の母親である。俺の母親は凄腕の教師として名を馳せており、教育関係者に対してはいろんなところに顔が利く人だ。そして、俺がいた中学の教師兼経営者として在籍していた

 

 

「星ケ峯くんにも分からない事情があるってことですか?」

 

「.これは俺の推測だが、母さんがいたからこそのDクラスかもな」

 

「いるからこそ…ですか?」

 

 

俺の言っていることが分からず首を傾げる有栖

 

 

「そう、俺が学校生活では見せてないことも沢山あるわけだが、逆に母さんだからこそ知ってることもある。だとすればそこに俺がDクラスである理由があるかもしれない」

 

「だとすれば、教子先生…いや、()()()()()()()()()()()()()()()この学校のDクラスという環境が与えられたのかもしれませんね」

 

「まぁ、それも俺のなんの根拠も無い憶測だし、お前の親父さんが俺の家のことなんてのを考慮に入れた所謂、特別待遇なんてのはするはずがないし、仮に俺の憶測が当たっていたとしても他になにか要素があるんだろうな」

 

 

有栖の父親、要するにこの学校の理事長はとにかく公平な立ち回りをする。権力に屈すること無く不平等を生まないようにする姿勢は俺も尊敬するところだ

 

 

「今のところ、これ以上星ヶ峯くんについては新しい情報も何も生まれないでしょう」

 

「あぁ、同感だ」

 

 

その後は堅苦しい話をやめて、また雑談話に花を咲かせて帰るまで俺らは笑い合った。

 

 

「奢ってもらって悪いな」

 

「いえ、最初からそういう話でしたし、それに私が無理を言って誘ってしまいましたから」

 

「そっか、ならありがたくその気遣いを受けるよ」

 

 

お店を出た帰り道、5月になったとはいえ夜の外はまだ肌寒く夏服になるにはまだまだ早いなと、そんなことを一人思いながら、隣にいる少女との会話を繰り広げる

 

 

「そういえば、有栖はどうなんだ?」

 

「どう、とは?」

 

「中学時代の話だよ。まさか俺にだけ聞いといて自分は聞かれないとか思ってないよな?」

 

「そんなことは思ってませんよ。ですが、星ヶ峯くんもあまり詳しくは話してくれて無いですからね…とは言っても、星ヶ峯くんが知ってる私とあまり大差ないと思いますよ?」

 

「だよなぁ。有栖が集団の中にいて大人しくしてるのとか全く想像がつかないし、規模や難易度が違うだけで今もやってることと変わんないよな」

 

「あら? もしかして星ヶ峯くんはもう少し慎ましやかな女性が好みで?」

 

「あ? 有栖は十分つつまs…いててててててて! 俺が悪かったから脇腹をつねながら臑を思い切りけらないでくれ!」

 

 

俺にそういう意図は無かったが…無いったら無いやい! 有栖はやっと俺に対する攻撃をやめる。…臑に青あざとか出来てないかな? 有栖は杖をついてるのに蹴る力が意外にも強い。女の子はやっぱり侮れない

 

 

「コホン。冗談はこのくらいにして」

 

「本当に冗談ですか?」

 

 

有栖の笑顔が怖い。もう有栖の地雷は踏み抜かないに気をつけよう

 

 

「冗談だから気にすんなって」

 

 

機嫌を直してもらうために有栖の頭を撫でてやる。子供扱いされてるようで本人は不服と言うがその顔は満更でも無い

 

 

「まあ、おしとやかで慎ましやかな女性が嫌いなわけじゃ無いが、俺は有栖みたいな自分に自信があるような子の方が好きかな」

 

 

そう言うと、有栖は顔を背けるが耳が少し赤く染まっているところを見ると照れているようだ

 

 

「ほら有栖、寮に着いたぞ。いつまでも照れてんなよ」

 

「べ、別に照れてなんか…」

 

「分かったから。有栖は一人で自分の部屋まで行けるな?」

 

「そんな子供扱いされなくても一人で行けますから!」

 

 

俺に抗議の声を上げる有栖をエレベーターの中に押しこみつつ乗り込む

 

 

「じゃあ、俺はこの階だから。また連絡するわ、じゃあな有栖」

 

「はい、さようなら」

 

 

俺と有栖は互いに手を振り別れる。そしてエレベーターの扉がしっかりと閉まって上の階へ向かったのを確認する

 

 

「はぁ。今日はいろんな事がありすぎて疲れた。早く部屋に帰って寝よう」

 

 

今日はぐっすり眠れるかな? なんて思いながら部屋に戻る星ヶ峯だったが、まだ1人相手をしなきゃいけなくなるとはこのときは思いもしなかった

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

1

 

 

一方、星ヶ峯と別れた有栖がいるエレベーター内

 

 

「星ヶ峯くん。本当に分かっていらっしゃらないご様子でした」

 

 

彼がDクラスに配属された理由なんて、丸わかりなはずなのに。部外者の私ですら分かるのですからご本人が気付いていても何ら不思議は無い。ですが、そこに全く気付くこと無く…いや、意図的に避けているのでは無いか? とも思ってしまうほどに彼が違和感を気付けないなんて

 

 

「星ヶ峯くんの中では何が起こっているのでしょう?」

 

 

考えられる可能性はいくつもあるが、正直に言って彼が私に気づかれないように演技をしていると言われた方が納得のいく可能性ばかりだが決して無いとも言い切れないのが難しいところ

 

 

「やはり、あの病気の悪化? でも、あれはがんなどの病気と違い精神的なもの。治し方はとても難しいですが、時間による病気の進行は無いと言ってもいい」

 

 

そんなことを考えていると目的の階についてしまい思考が一度中断されてしまう

 

 

「はぁ、星ヶ峯くんのことになると難しく考えてしまうのは私の悪い癖ですね」

 

 

杖をつきながらゆっくりとエレベーターから降りる

 

 

「もっと根本的なところだとしたらどうでしょうか?」

 

 

例えば、そもそも私が彼のDクラス行きの理由を間違えているとか。そう考えると、少し沸騰した頭が冷えていく。すると、ひとつまだ確認していないことがあることを思い出した

 

 

「これは…私の早とちりのしすぎだったかもしれませんね」

 

 

となると、これはいよいよあの人達との接触を図ってみなければいけないかもしれない

 

 

「ですが、その前に私たちのクラスが最優先ですがね」

 

 

待っていてください。一之瀬帆波さん。高峯六花さん。あなた方が星ヶ峯くんのことをどう思っているのか分かりませんが、私から見れば一番の敵。誰にも星ヶ峯くんは渡しませんから

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

2

 

 

有栖と別れた俺は部屋に戻ってゆっくりしようと思っていた時期がありました

 

 

「冬也様?」

 

「はい、何でしょうか?」

 

「何故、こんなギリギリの時間に連絡をしてきたんですか? 夜ご飯の準備を済ませておいたんですよ?」

 

「はい、悪かったと思ってます」

 

 

俺は今、お怒りの六花の前で正座してお説教をもらっています。なんか今日は謝罪をする量が半端ないと思うのは俺だけですか? あ、俺だけですか。すみませんでした

 

 

「申し訳ありませんでした」

 

 

誠心誠意を込めた土下座を全力で六花にする。すると、六花は肩の力を抜いて

 

 

「冬也様、顔を上げてください。元はといえば、私が冬也様のもとへ押しかけている状態ですから本当は私が怒る道理はありませんが、せめてもう少し早く連絡をください」

 

「はい、分かりました」

 

「ということで、今日の夜ご飯に関しては明日の朝食と、余れば明日の夜に消費してください」

 

 

そう言って、俺への見せつけのためか、ラップに包んである夜ご飯を冷蔵庫の中に入れていく。何というか、帰りが遅くて先に寝てしまった奥さんを起こさないように帰ってきたら机の上に置いてある夜ご飯を見つけた夫の気分だ。…結婚したこと無いから知らんけど

 

 

「そういえば六花、最近俺の部屋に来る回数減ったけど何かあったか?」

 

 

本当に入学した時は毎日ように俺の部屋に来ては夜ご飯を食べて帰るという感じだったが、最近は週5まで減っている。とはいえまだ多い方ではあるが

 

 

「いえ、冬也様が関わるようなことはありません。ただ、一之瀬様方と行動を共にするとどうしてもそういう友達付き合いというものも増えまして…」

 

 

そう語る六花の顔はなんだか楽しそうで、とりあえず一安心だ。やっぱり一之瀬に六花のことを任せて正解だったと思う。だが、そろそろ次のステップにいかないとな

 

 

「そっか、六花が学校生活を楽しんでるようでなによりだよ。だから、そろそろ次のステップに進もうと思ってるんだ」

 

「次のステップですか?」

 

「俺と六花の顔合わせだ」

 

 

そう、お忘れの方も多いかもしれないが、俺と六花は表ではまだ一度も顔を合わせていない状態。故に表だって二人で行動する上で、俺と六花の顔合わせはとても重要なプロセスといえる

 

 

「どのようになされるんですか?」

 

「それは全然考えてなかったが…俺と一之瀬の恒例の勉強会を利用しようかなとは思ってる」

 

「あの勉強会ですか。私には恋人同士の逢瀬にしか見えませんでしたが?」

 

「別にそんなんじゃない。まあ似たような時期もあったから完全に否定はできなけどな」

 

 

今思い返すとあのときは確かに俺と一之瀬にそういう雰囲気があったことは否めないが、残念ながら雰囲気止まりだ(残念と言って良いのか分からないが)。特に関係を持ったりは一切無かったし、俺らもそんな意識は無かった。…少なくとも俺は。

 

 

「私にも予想がつきますが、その勉強会をどのように使うんですか?」

 

「そうだな…でもやっぱりここはベタな展開で行こう」

 

「分かりました。私の方で勉強会参加に関しては進めておきます。では、続いてその当日はいかがなさいますか?」

 

「そこは、適当なアドリブで良い。俺と六花が連絡先を交換するところまでいければ完了だな。後は勝手に俺と六花の距離が縮まっても問題は無いからな」

 

 

そういった今後の打ち合わせを済ませ、六花は自分の部屋へ戻ろうとするが

 

 

「そういえば、冬也様」

 

「ん? どうしたぁ?」

 

「昨日の朝におっしゃってた『俺からしたら社会を模すことに疑問をもった』っていう話聞いてもよろしいですか?」

 

「あぁ、そういえばそんなことも言ったな」

 

 

今日はいろんな事がありすぎてそんな昨日の朝の事なんて忘れてた。説明してやっても良いけど…正直上手く伝わるか不安だが話してみるか

 

 

「そうだな。この学校は本当の意味で優秀な人材を作る学校というのは俺のクラスの担任の言葉だが、その点ではこの学校は上手く機能するんだろうという、ある種の確信を持っている」

 

「では、何故疑問をお持ちに?」

 

「俺は、この学校にいる生徒の誰よりも社会というものには理解を持っているつもりだ。もちろん大人には負けているとは思うがな」

 

「それについては私も同意見です」

 

「だけどな、大半は社会を知らないひよっこばかりだ。もちろん、俺もその一人だ。その、ひよっこたちの中に急に資本主義の思想を取り入れて、学校側の用意した答えに辿り着いて見せて自分達の実力を見せてみろ! なんて正直無茶も良いところだ。極めつけはクラス間の実力差」

 

「それは学力や運動能力などを総じての実力ですか?」

 

「あぁ、この学校は飽くまで社会を模している学校だが、その実態は大手塾となんら変わりない。言うとすれば、社会と塾のハイブリッドといったところか。だからこそ俺は分からない、この()()()()()()()()()()()()()()()()()が疑問なんだ」

 

「それは、先ほど星ヶ峯様がおっしゃった『本当の意味で優秀な人材を作る学校』を求めた結果じゃ無いですか?」

 

「いや、それは分かってる。分かってはいるんだが、なんて言えば良いのか…この学校の言う『本当の意味で優秀な人材』というものが明確に見えない。優秀な人材を育てるシステムが上手く生かし切れていない…というのが俺の言語化の限界だな」

 

「なるほど…なんとなくですが分かった気がします」

 

六花は言葉こそ納得の色を見せていたが表情は疑問の色がありありと浮かんでいたが、それも無理はないと思う。これはロジックだけで語れる事では無いからな。

 

この場はこれでお開きになり、六花は自分の部屋へと戻っていった。その後、俺は風呂に入りそのまま休むことにした。今日はいろんな事がありすぎて疲れていたのか、すぐに眠りにつくことが出来た。

 

 

 

 

 

 

 

 




第7話いかがでしたでしょうか?

今回は完全オリジナル回でしたけどいかがでしたか?正直、有栖をメインヒロインに持ってきてしまったが故に恋愛描写の苦手な僕が二人の絡みに苦手意識が先に来るか克服してしまうか見物です!

そして、皆さんお気づきか分かりませんが、3話連続で5月1日の話を書きました。そう、まだ5月1日(原作1巻)。急がないと全然先に進まないですねww

最後に、感想と評価の方もよろしくお願いします!

ではまた次回!
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