ようこそ努力と感情の教室へ   作:ガムの小説部屋

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どうもガムです。
最新刊の6巻を読んでから執筆していたらちょっと間が長くなってしまいました!後書きにその感想も書きます
では、本編どうぞ!


第8話 Dクラスの勉強会

あの疲れる1日が終わって約1週間が経った。中間テストも近づいており、『そろそろテスト勉強しないと』と思いつつも『まだ時間あるしなぁ…』なんて普通の高校ならこんな風に思ってしまう生徒が多いのではないだろうか?

 

だが、この学校は一味違い、赤点を取ってしまえば退学なのだ。そのせいか、周りがものすごくピリピリしてる。.......だからこそ俺はこんな空気の中堂々と寝ていられる須藤の胆力に尊敬の念を抱く

 

でも、だからといって俺も寝てしまいたいかと言われれば全くそんなことは無いけどな

 

 

「たうわ!?」

 

 

急に後ろから変な声が聞こえて無意識に振り返ってしまった。綾小路の若干眠そうな顔と隣の堀北がコンパスを持った手が机の外側にあった事を見ると十中八九堀北が綾小路に何かしたんだろう

 

ただ、それ以降は何かあった訳でもなく、ただただ淡々と授業が進んでいくが、終わった後に平田が口を開いた

 

 

「茶柱先生の言っていたテストが近づいている。赤点を取れば、即退学だという話は、全員理解していると思う。そこで、参加者を募って勉強会を開こうと思うんだ」

 

 

俺は流石だなぁと感心する。こういう時にこういう事が出来る人は人を惹き付ける術を持っている。だが、こういう良い人が過ぎると損をしてしまう危うさみたいなのもあるけどな

 

 

「もし勉強を疎かにして、赤点を取ったらその瞬間退学。それだけは避けたいんだ。それに、勉強することは退学を阻止するだけじゃなく、ポイントのプラスにも繋がる可能性がある。高得点をクラスで保持すれば査定だって良くなるはずだよ。テストの点数が良かった上位数人で、テスト対策に向けて用意をしてみたんだ。だから、不安のある人は僕たちの勉強会に参加してほしい。もちろん誰でも歓迎するよ」

 

 

そう言うと、須藤と俺の方に視線を向けて来た。……まぁ、4月末の小テストで須藤と1点差だったんだ。目をつけられてても仕方がないな

 

 

「今日の5時からこの教室でテストまでの間、毎日2時間やるつもりだ。参加したいと思ったら、いつでも来てほしい。もちろん、途中で抜けても構わない。僕からは以上だ」

 

 

そう平田が言い終えた途端、数人の赤点候補生がすぐに席を立ち、平田の元へ向かう。赤点候補生の中で平田の元へ行かなかったのは、須藤、池、山内、そして俺の4人。

 

ちなみに俺は単純に、今から参加を決めると近々あるだろう有栖の連絡が急に来ると怖いからだ。

 

平田は途中で抜けても構わないとか言ってるけど、堂々と抜けていける自信はないため、参加する時は飛び入りにするつもりだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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俺は、ここ最近では習慣になってきた綾小路との昼食の時間に入ろうとしたところで

 

 

「お昼、暇?もし良かったら、一緒に食べない?」

 

 

まさかの、堀北からのお昼のお誘いを、俺と綾小路の2人にしてきました。お昼を奢るなんてほざいてるがどうせ何か裏があるのは重々承知だが、

 

 

「あー、分かっーーー」

 

「あなたに聞いていないわ」

 

 

え?まさかの俺を省こうとしているんですか?何故なんでしょうか?

 

 

「えっと、そうらしいわ綾小路。行ってこい」

 

「え?」

 

 

少し唖然としている綾小路の背中を押してやる。すると、すぐさま意識を取り戻し俺に視線を送ってきた。恐らく『なぜ俺なんだ?』と言った感じの疑問の視線だろう。それに対して俺は首を横に振って不明の意を示しておく

 

そして、綾小路と堀北の2人が教室から見えなくなった頃に俺に近づいてくる1つの影が…

 

 

「ちょっといいかな?星ケ峯くん」

 

「櫛田か、どうしたんだ?」

 

「えっと…良ければなんだけど、私と一緒にお昼を食べない?」

 

 

……堀北に連行された綾小路よ。俺には新しい春が来た。だから、そっちはそっちで楽しめよ

 

なんて、どうでもいいことを一瞬考えてしまったが、すぐに意識を目の前にいる櫛田の方へ向ける

 

 

「それは良いが、櫛田が俺を誘うなんて珍しいな?」

 

「珍しいも何も、星ケ峯くんがあまりクラスのみんなと関わってないだけじゃないの?」

 

「そうとも言うな」

 

 

そんなやりとりの後、俺と櫛田は二人で食堂に赴く。そこで俺は気になったことを聞く

 

 

「櫛田は、ポイントの方は大丈夫なのか?」

 

「大丈夫……といえるのか分からないけど、それなりには残ってるよ」

 

「女の子だし、結構入り用だと思ったけどな。軽井沢なんか他の奴にポイントだって借りてたし」

 

 

ちなみに軽井沢とは、その名を軽井沢恵(かるいざわけい)といい、女子のカースト上位にいるギャルだ。平田と付き合ってるんじゃないかという噂もあり、リア充の最高峰にいるかのように思われているが、俺は少し違うように思うとだけ言っておく

 

 

「あはは、軽井沢さん達は毎日のようにいろんなところへ遊びに行ってたみたいだからね」

 

「なるほどな」

 

「それに私は、10万円って思うとなんかちょっと怖くて使うのためらっちゃったんだよね」

 

 

そういう櫛田の顔には嘘をついてるような感じには見えない。恐らく本心なんだとは思うんだが

 

 

「そういえば、星ヶ峯くんの方はどうなの?もしかして、私が誘ったからって無理はしてないよね?」

 

「俺は別に無理はしてないぞ」

 

 

そう言って俺は端末に表示されているポイントを櫛田に見せる。

 

 

「へー、星ヶ峯くんって意外とケチな人?」

 

「どうだろうな?あまり金銭感覚については考えたこと無いからな」

 

 

そんな会話をしながら、俺と櫛田は各々注文を済ませて席に着く。その途中で綾小路が堀北に詰められてたのを見つけたのはここだけの話

 

 

「それで、櫛田は俺に何の用があるんだ?」

 

「えっとね、私、みんなとお友達になりたくていろんな人に連絡先をもらってるんだけど、Dクラスで連絡先交換してないの星ヶ峯くんと、綾小路くんと、堀北さんだけなんだよね」

 

 

確かに、入学式の日に行った自己紹介で櫛田はそんなことを言っていた。本当に1年全員と友達になろうとしてるんだな。正直口だけだと思っていたが、意外だった。

 

 

「それで、星ヶ峯くんもお友達になってほしいんだよね」

 

「別にそれくらいなら良いぞ。ちょっと待てよ」

 

 

俺は、すぐに端末を取り出し、櫛田と連絡先を交換する

 

 

「それで、櫛田の用はこれだけか?」

 

「えっと…もう一つ聞きたいことがあってね?」

 

 

その瞬間。櫛田の雰囲気が変わった…気がした。気がしたと思った理由は、何かあるわけじゃ無い。ただの勘と言って問題ない。だけど、俺と櫛田の間でだけ雰囲気が少し重くなった気がした。まるで、俺の一挙手一投足全てを観察されるような…

 

 

「聞きたいこと?」

 

 

だが、そんなことは表に出さないようにしながら、平静を装って会話を促す

 

 

「星ヶ峯くんの家族。親戚でも良いんだけど、()()はいる?」

 

「え、教師?一応、俺の母さんが教師をやってるけど知ってるのか?」

 

 

正直、俺は拍子抜けした。もっと俺の根幹部分でも聞かれてしまうんでは無いかと緊張していただけに落差がすごい。俺の母親は、父親と違って表に顔を出すことも多い人だから、櫛田が知っていても何も疑問は無い。

 

 

「ううん、星ヶ峯くん授業中にノート取らずに何か別のもの作ってたよね?」

 

「み、見てたのか?」

 

「うん、授業中はわかんなかったけど、休み時間に覗いたらなんか勉強用のプリント作ってたよね?」

 

 

そう、俺は今度の一之瀬との勉強会に使う勉強用プリントを作っていた。それを見られてたとは思わなかった。

 

 

「それで、なんで俺の家族が教師だと?」

 

「そこは、なんとなくかな?だから、星ヶ峯くんに聞いてみたんだよ」

 

 

答えにもなっていないような煮え切らない返答だが、これ以上聞いても追加で答えてくれる事はないだろう

 

 

「そうか」

 

 

俺はただ、この場ではそう答えるしか選択肢はなかった

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

2

 

 

放課後になると、綾小路が俺に話しかけてきた。

 

 

「なぁ、星ヶ峯。これから放課後に毎日勉強会をやろうと思ってるんだが、参加してくれないか?」

 

「え?勉強会か……」

 

 

参加すること自体は全く問題ないし、むしろ大歓迎なんだけど、綾小路から誘われるとは全く思っておらずちょっと動揺してしまう。それが綾小路に伝わってしまったのか

 

 

「無理強いするつもりはないから断っても良いぞ?」

 

「いや、勉強会は参加しても良いけど毎日は行けないぞ?」

 

「それでもいい」

 

「あと、『参加してくれ』なんてどうしたんだ?おそらく、この勉強会は綾小路の主催じゃ無いだろ?」

 

 

そこを詰めると少しバツが悪そうにしながらも、綾小路は昼休みに堀北に連行された後のことを話してくれた

 

 

「要するに、堀北が奢ると言ったが、それが罠で食べたら協力しなければいけない立場になったと」

 

「そういうことだ」

 

「そして、須藤や池達といった平田の方に行かなさそうな奴らを集めようと」

 

「まさにその通りだ」

 

「そして、綾小路は堀北が怖いからせめて俺に着いてきて欲しいということだな?」

 

「……」

 

 

あー、綾小路くんは今目を逸らしたせいで、俺の言葉を肯定しましたー。とまぁ、それは置いといて

 

 

「それで、その当事者達はどうするんだ?」

 

「それなんだが、櫛田を頼ろうと思ってる」

 

 

櫛田か……男とは単純なもので可愛い女の子がいるだけでモチベーションになっちゃうんだから安いもんだよな。

 

 

「良いんじゃねぇの?櫛田は池達の良いモチベーションになるだろうし、それに櫛田はこういう時断らないだろうしな」

 

 

俺の言葉を聞いた後、綾小路は帰ろうとしてる櫛田を俺らの陰謀(言い過ぎ)に巻き込もうと声をかけに行った

 

 

「多分、堀北居ないし今日は勉強会無いだろうから、俺も帰ろうかな」

 

 

俺は、横目に綾小路と櫛田のやりとりを見つつそのまま帰路に着いた

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

3

 

 

次の日の放課後に、昨日のうちに綾小路の方から勉強会が開かれる旨を聞かされていたのでそのまま図書館へと向かう

 

 

「ん?電話か?」

 

 

教室を出たところで電話が鳴り端末を取り出すとディスプレイに表示されているのは『一之瀬帆波』の文字。今度の勉強会の話だろうと当たりをつけて一之瀬からの通話に出る

 

 

「もしもし?」

 

『あ、もしもし?星ヶ峯くん、今話せる?』

 

「おう、話せるぞ」

 

『前に話してた勉強会なんだけどね?星ヶ峯くんに紹介したい人が居るからその人も連れて行って良いかな?』

 

 

この前の六花との作戦通り、一之瀬と俺の勉強会に割って入ることに成功したんだろう。でも、そのまま『良いよ!』と返事するのは少し味気ないので

 

 

「なんだ?いよいよ彼氏でも出来たのか?だったら俺はお邪魔だろうから退散するけど」

 

『か、かかか彼氏?!そんなわけ無いじゃん!もう!勉強会無しにするよ?』

 

「あはは、悪かったって」

 

 

ちょっと言い過ぎたみたいだ

 

 

『もう、そういうの心臓に悪いからやめてよね……それで、日程なんだけどーーー』

 

 

俺と帆波はこの後、集まれる日時などを話し合い、ついでに一之瀬が連れてくるという友人(六花)についての話も一緒に聞いておく。…なんか俺の知ってる六花とかけ離れてるんだけど、六花は大丈夫なのかちょっと心配になってしまったのはここだけの話

 

一之瀬との電話で結構時間を使ってしまった俺は(俺の知ってる六花と違いすぎて色々聞きすぎた)少し急ぎつつも上手くいってないんだろうなというある種の確信めいた予想を抱きながら図書館へ急いで行くとそこには

 

 

「私はあなたには全く興味ないけれど、見ていればどんな人間かは大体わかるわ。バスケットでプロを目指す?そんな幼稚な夢が、簡単に叶う世界だとでも思っているの?あなたのようにすぐに逃げ出すような中途半端な人間は、絶対にプロなんてなれない。もっとも、仮にプロになれたとしても、納得の行く年収が貰えるとは思えない。そんな現実味のない職業を志す時点で、あなたは愚か者よ」

 

「テメエ……!」

 

 

須藤と堀北が激しい口論を交わしていました。

 

いや、なんでだよ!俺がいない間というか俺が来る前でどんなことがあったらこんな口論が繰り広げられるんだろうか?いや、言われなくても分かるけどね。大方、須藤達の勉強の出来なさぶりを見て堀北がなんか言ったとかそんなんでしょ?

 

須藤と堀北の口論が繰り広げられている最中でどうしたらいいか全く分からない俺は、二人の動向を見守ることしか出来ず、須藤が出て行き、それに池や山内、あと何故か来ていた沖谷(おきたに)が続いて図書館を出て行く。さらには櫛田までもが出て行ってしまった。そして残ったのは、俺と綾小路と堀北の3人と静寂に包まれた空間のみとなってしまった

 

 

「ご苦労だったわね。勉強会はこれで終了よ」

 

「そうみたいだな」

 

 

そう言って綾小路は帰り支度を始める綾小路、それを見て俺は我に返る

 

 

「結局こうなったんだな…」

 

「あら?星ヶ峯くんはこうなることが分かっていてこの勉強会に参加しようとしたのかしら?だとしたらあなたも相当な愚か者ね」

 

「そうかもな。でもな堀北、お前と須藤の間でどんなことがあったかは知らないからどちらが正しいとか建設的かとかは何も言わないが、これだけは言っておく」

 

「何かしら?」

 

「人ってのはな、夢を見る生き物なんだ。知ってるか?プロのスポーツ選手になるための道で一番最初に必要なことって『俺はプロのスポーツ選手になる!』って夢を見ることなんだぜ?そういう意味では須藤は堀北より1歩進んでるんだよ」

 

「ただの現実を見れていない愚か者の間違いよ」

 

「俺が言いたいのはそういうことじゃねぇよ。堀北には須藤のプロのバスケ選手になる夢をどうこう言えるような奴じゃないって話だ。それじゃ俺は帰るわ。またやるんだったら教えてくれ」

 

 

堀北に置き土産を置いて俺は図書館から出て行く。図書館を出たところで待っていると、綾小路が出てきたので、綾小路に声をかける

 

 

「綾小路はこれからどうするんだ?」

 

「櫛田の後を追ってみる。今回一番動いてくれたから、堀北の代わりに謝罪とお礼だけでもしとかないとな」

 

「そうか。俺はいるか?」

 

「いや、今回は大丈夫だ」

 

 

そう言うや否や櫛田の後を追って小走りで駆け出す綾小路を見送って、俺も今日は寮へ戻ろうと歩を進めようとすると

 

 

「星ヶ峯か?」

 

「…堀北先輩と橘先輩でしたか。なにかご用で?」

 

 

急に背後の方から声がかかったので振り返るとそこには堀北学生徒会長と橘先輩が立っていた

 

 

「いや、たまたま見かけたので声をかけたに過ぎん。そっちこそ図書館で勉強か?」

 

「あはは、そのつもりだったんですけどね。ちょっと色々ありまして」

 

 

俺は、笑って誤魔化しはしているが、堀北先輩は何が起きたのか察しているような顔でこちらを見ている。正直、ここをさっさと離れてしまいたい

 

 

「……ところで、星ヶ峯。生徒会にはどうしたら入って貰える?」

 

 

へー、ここでもお誘いか。何か生徒会にただ事じゃないことが起きているのか?

 

 

「すみません、堀北先輩。俺には生徒会は務まりませんので」

 

「そうか、俺は星ヶ峯が生徒会に入って貰えたらと考えてる。俺は結構しつこいぞ?」

 

「そうですか。俺は結構揺れやすいのでそのうち答えが変わると良いですね」

 

 

そんな軽い皮肉はものともしない堀北会長は鼻で笑うと、他にも話があるのか立ち去ろうとはしない

 

 

「では、話を少し変えよう。星ヶ峯、1年Bクラスの一之瀬帆波は知っているな?」

 

「ええ、知ってるも何もこの学校に来てる唯一の同じ中学ですから。それなりには仲良いですよ?あ、そういえば一之瀬は生徒会を希望していましたね。どうです?彼女優秀でしょ?」

 

「ふ、なかなかの饒舌じゃないか星ヶ峯。確かに彼女は優秀だ。だが、ただ優秀なだけだ」

 

 

俺は堀北先輩の返してきた言葉に引っかかりを覚えた。ただ優秀なだけ?

 

 

「もしかして、一之瀬を突っぱねたんですか?」

 

「あぁ、他にもAクラスか一人希望してきていたがそいつも一之瀬と同じただ優秀なだけだった」

 

「なにが、不服なんです?」

 

 

俺はこのとき胸に何かこみ上げるものを感じた。それが、一之瀬が生徒会を落とされたことによる怒りか、または悲しみか、はたまたそれ以外か。俺には理解できなかった

 

そんな俺に気付くこと無く堀北先輩は言葉を綴っていく

 

 

「いや、不服なのでは無い。今の状況じゃなきゃ二人とも生徒会に入れていた。生徒会は必ずしも完璧な人間でなければならないわけでは無い。たとえDクラスだろうと生徒会に所属するという名を背負う覚悟とそれに伴う責任感などを満たせば良い。まあ、それでもある程度の能力はいるがな。でも今は、そうは言ってられないんだ」

 

「……生徒会では何が起きてるんですか?」

 

「星ヶ峯は、2年生の状態を知っているか?」

 

「いえ、知りませんが。それが何か?」

 

「今、2年生はAクラスの言いなりと言って良い状態だ。そのAクラスでトップに立っているのが南雲雅(なぐもみやび)という男だ」

 

 

言いなりとか、気になる単語が出てきたが、その疑問に堀北先輩は答える気が無いらしく話を止めない

 

 

「南雲は生徒会の副会長を務めていて、とても優秀だ。優秀なんだが、悪癖が多くてな。特に女癖だ」

 

 

女癖の悪さと言われて俺は気付いた。一之瀬が生徒会に入れて貰えないのも納得だ。

 

 

「こちらとしても、対応するに出来なくてな。だから、1年に被害を伸ばさないために対抗できる人材が今は欲しいんだ。」

 

「なるほど、南雲雅先輩ですか」

 

 

俺は頭に南雲雅の名前をしっかりとインプットしておく。恐らく、生徒会のトップが四苦八苦してしまうほど優秀で性格が悪い奴なんだろう。だからこそ、一之瀬との相性も悪いというわけか。だが、これで誤魔化されてしまう程俺も考えなしじゃない

 

 

「一之瀬が突っぱねられた理由ってのは分かりました。ですが、それで全部じゃありませんよね?恐らくAクラスのもう1人の立候補者も南雲先輩に対抗するには荷が重い人材だったんでしょう。ですが、堀北学()()()()2()()()()()()()()()()()()()()()を探す理由にはなっていませんが?」

 

 

正直に言って、この解決方法は簡単だ。男を生徒会に入れればいい。そうなると、南雲に簡単に1年生の女の子に手を出されてしまうのでは?となってしまうが、そこは結論を言ってしまえば南雲先輩はそんなことはしない。いや、やろうとしてもなかなか出来ない。考えても見ろ、女癖が悪くて口説き上手でも男女間には何かしらのつながりが必要だ。何も無ければそこには何も起こらない。仮に、何も接点の無かった女のところまで手が伸びるようであれば、対策自体無駄なんだ。例えばナンパとかされたら対策の仕様が無いって事だ。だってそれは生徒会に南雲先輩に対抗できる人材をおいたとしても防ごうとすれば生徒会の範疇を超えてしまう、所謂プライバシーの侵害だ。だから、生徒会所属の一個人で出来るのは生徒会というとても近いコミュニティに女を置かないことで接点をなるべくなくすことだけ。それが分からない堀北先輩でも無いからこそ他に何かあると思うわけだ

 

 

「……南雲は俺が生徒会を退いた後、この学校を変えるつもりだ。俺はそれを止めたい」

 

「か、会長!そこまで話してもよろしいのですか?」

 

 

今までずっと堀北先輩の後ろで黙っていた橘先輩が一歩前へ出てきて声を上げた。察するにこの話は生徒会内で留めておきたかったんだろう

 

 

「ここまで見抜かれておいて隠してしまえば、星ヶ峯の協力は絶対に手に入らないと判断したまでだ」

 

「……会長がそう仰るなら」

 

 

そう言って、橘先輩はまた一歩後ろへと下がる

 

 

「星ヶ峯はまだこの学校の全貌を知っていないと言ってもいい、それはこれから過ごして知って欲しい。少なくとも俺からは言えないのでな」

 

「そうですね。この学校が一体俺たちにどんなことをしたり、させたりするのかはまだまだ想像できませんね」

 

「だが、俺はこの学校で少なくない時間をAクラスで過ごしてきた。だから、この学校の目指すところも分かっているつもりだ。だからこそ、俺はこのままの学校が良いと思っているが、南雲はそれを変えようとしている。それを止めて欲しい」

 

 

なるほど、だから南雲先輩に対抗できる人材を1年生に求めるわけだ。2年生は堀北先輩の言うことを完全に真に受けるなら、Aクラスの言いなり状態。そのトップにいる南雲に対抗できる2年生などいないということだしな

 

 

「なるほど、堀北会長の志、しかと受け止めさせていただきました。しかし、私は生徒会に入る意思はない。だから()()外部からで良いからできるだけ協力をして欲しいと言うことですか」

 

「本当なら、生徒会で活動して欲しいが、そうはいかないのだろう?もちろん、協力してくれるのなら報酬は支払おう」

 

「それは、ポイントですか?」

 

「こちらが対応できるものであれば、ポイント以外でも構わない」

 

 

ここまでするなんて、そこまで南雲先輩を警戒しているということか、はたまた違う理由でもあるのか?

 

 

「協力内容は何です?」

 

「その時々によるが、1年の生徒会を入れることが出来ないのでな、その穴埋めとして生徒会の仕事をしてもらうのがメインであり建前であり表だ」

 

「なるほど、理解しました。俺で良ければその時々でできる限りの協力はしましょう。ですが、あまり期待されても困りますからね?」

 

「ふ、あなたはそれでいい」

 

 

そうして、俺と堀北先輩は握手を交わす。これが俺と堀北先輩の協力関係が生まれた瞬間だった

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




第8話いかがでしたか?

皆さん意外かと思われますが、黒い櫛田暴露編…カットです!これにもちゃんとした理由があったり無かったりするんですが、今後も読んでいただければと思ってます。

最新刊の6巻ですが、動き自体は少なめで、今後のための伏線貼りが目立ちましたね。あと個人的にですけど、櫛田の好感度は上がりました。伊吹の言うように心の底からの善人なんてそうそういないと僕も思ってます。心からの善人なんて上条当麻くらいなんじゃないかな?ww

最後に、感想と評価の方よろしくお願いします!
(私は評価より感想の方が嬉しいかな?なんて…)

ではまた次話にて!
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