【悲報】気がつけば目の前に知らない遺跡があるんですが…【なにこれ】   作:絆蛙

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なんとかギリギリ投稿……。そろそろ戦闘が書きたいです。
あと二人やな……!




「-遅めの誕生日会-レイトバースディパーティ」

 

◆◆◆

 

 第 11 話 

 

-遅めの誕生日会-レイトバースディパーティ

 

×××

 

日常編その①

犬吠埼風編

 

 

◆◆◆

 

 

 

 

 

 

 

 

 

あれから紡絆は、さらに二度樹の手料理で意識を失った。

しかし、その成果は得られたのだろう。

無事に綺麗とは言い難いが、まともなケーキを作れたのだ。紡絆の犠牲は無駄ではなく、今度は意識を失うことはなかったし普通に食べることが出来た。

紡絆からすると、まさに免許皆伝である。でも暫くはケーキを食べたくないとは本人談。

パーティの方も飾り付けを半分は終わらせ、残るは当日を迎えさせて準備を終えるだけだ。

だが紡絆は迷っていた。

夜の街を歩きながら、店が閉じる前に考えなくてはならない。

それは何か、と言われると---

 

 

 

 

 

 

「……誕生日プレゼント、女子力しか思いつかねぇ」

 

誕生日プレゼントである。

結局今日まで悩み、何も浮かばなかった風を除いた勇者部一同はプレゼントではなく料理を豪勢にすることを選んだ。

しかし紡絆としてはある意味記憶だけは大人なので是非ちゃんとしたプレゼントをしたい。

だが、彼は分からないのだ。中学生の範囲であるなら何がいいのか、風が何が欲しいのか、そして何が喜ばれるのか。

 

(やっぱり受験シーズンにいつか入るだろうから、時計か……? それとも財布? 風先輩も女の子だし香水や化粧関連がいいのか? でも香水に至っては俺が決めるもんじゃないしなー。風先輩料理するらしいし、包丁とかがいいのだろうか)

 

プレゼントの意味を考えるならば、アクセサリー系統は本来するべきではない。

もちろん紡絆のことなので、風もそんな深い意味は無いことは間違いなく分かるだろうが。

 

「こうなれば……頼るか? いやいや、絶対嫌だ。嫌な予感しかしない」

 

掲示板(ヤツら)は頼れるが、ふざけまくるのだ。風のプレゼントとなればまともにするかもしれないが、逆にやばいのを言うかもしれない。

実際に欲しいものが何かあるか聞いたらチェンソーとか言ってる奴も既に居た。何に使わせるつもりなのか分からないが。

 

(前世の記憶も役に立たないな……明らかに風先輩には関係ないし)

 

約二年間近くを除いて、唯一持っている記憶は、前世の記憶だ。

しかし中一の記憶も役に立たなければ前世の記憶も役に立たない。となると、やはり頼るしかなくなってきたのである。

 

「はぁ………小都音が今の俺を見たら怒るだろうか」

 

はっきりいって、紡絆はこういうことには前世を含めて疎い。

誕生日プレゼントに至っては、中学生と大人相手では渡すものも違う。

なかなかに難しい問題なのだ。

特に紡絆は男で女心が分からないのだから余計にだろう。

その分、彼の妹は色々と強かった。女の子らしかったし、買い物もよくしていた。

しっかりとオシャレをして、自身の素材をより際立たせていた。髪型だって服によって変えたりなどして。

 

「……すぐイメージ出来るなぁ」

 

可愛らしく、ぷりぷりと怒る姿。

肩にまでかかる水のような、海のような綺麗な髪。怒りながら首を動かして髪の毛をバシバシと当ててくる光景が目に浮かぶが、それはあくまで過去の話だ。

 

「今は風先輩のプレゼント考えないと!」

 

深く考えてしまえば、いくら紡絆でも暗くなる。

だからこそ、過去を思い出すことがあってもすぐに切り替えた。

終わったものは、終わりなのだ。

紡絆に力を授けてくれ、導いてくれた人は、姫矢准は言った。過去は変えられないと。

それと同じだ。今を生きる紡絆には未来しか変えれない。この先の、世界の未来を、選択を誤らないようにする未来を。

 

「……うどん玉にするか?」

 

---残念ながら、未来は無さそうだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

◆◆◆

 

20:光を継いだ転生者 ID:nX2S4UypW

てことで、非常に癪だし頼りたくなかったが、助けてくれない?

 

 

21:名無しの転生者 ID:ACKoRfzUU

それが人に頼む態度か!?

 

 

22:名無しの転生者 ID:L7u+bMCXQ

いうて俺らも好みとか知らんぞ。イッチの情報と映像でしか見たことないし

 

 

23:名無しの転生者 ID:5Ay6c0vsz

失礼なこと言うやつだな

 

 

24:名無しの転生者 ID:jvFz8HisL

そうだそうだ、いい加減にしろー!

 

 

25:名無しの転生者 ID:ywLnh54zX

ふざけるわけないだろ! いい加減にしろ!

ところでスライムは楽しいぞ

 

 

26:名無しの転生者 ID:++C2Yk7kI

練り消しも意外といいぞ

 

 

27:名無しの転生者 ID:BVat5t4u/

トランプもありだな

 

 

28:名無しの転生者 ID:HP9qPI0m4

UNO一択よUNO。UNOやろうぜ! UNO楽しいぞ!

 

 

29:名無しの転生者 ID:JyyBjR08P

ガンプラでよくね?

 

 

30:名無しの転生者 ID:F6bP/s15H

特撮の玩具とか

 

 

31:名無しの転生者 ID:3Yt0Xyuj6

指輪♡

 

 

32:名無しの転生者 ID:iLcpo5evs

(イッチを刺すための)ナイフ

 

 

33:名無しの転生者 ID:zPJv8W1OI

エ口本

 

 

34:光を継いだ転生者 ID:nX2S4UypW

こうなるから言いたくなかったんだ……そんなの渡したら怪しまれるし引かれるだろうが!

てか絶対趣味でしょ! ガンプラとかUNOとかさぁ! UNOとトランプに至ってはプレゼントでもないし! エロ本なんてもってのほかじゃい!

 

 

35:名無しの転生者 ID:4c1FTOpsX

人に頼む態度じゃないから悪いんじゃ……

 

 

36:名無しの転生者 ID:3aMf6SpQT

イッチ、よく見ろ。それはエロ本じゃない。エ口本だ

 

 

37:名無しの転生者 ID:dvxdZXTKM

物騒なの紛れ込んでるの草

 

 

38:名無しの転生者 ID:noyMiZTpC

>>36

うわ、確かにロじゃないやんけ!?

 

 

39:名無しの転生者 ID:wI3qw4FZn

不思議だよなーロと口って。

 

 

40:名無しの転生者 ID:Fft/A2yQz

似てるせいでどっちか分からなくなるしな。特に紙に書いたりしたら

 

 

41:名無しの転生者 ID:t9NSTYe8H

これだから日本語は難しい

 

 

42:光を継いだ転生者 ID:nX2S4UypW

謝るから勘弁してくださいお願いします。

まじで分からないので助けてください、はい。前世の記憶では中学生にプレゼントなんてしたことなくてさ……分からないんだよ

 

 

43:名無しの転生者 ID:ISmxuF1XE

ガチ悩みじゃん。てか中学生にプレゼントとか絶対事案だもん

 

 

44:名無しの転生者 ID:+R+zxQZlQ

しゃあない、許したるわ

 

 

45:名無しの転生者 ID:pdzAIS+9i

ホモは寛容だからな、任せろ

 

 

46:名無しの転生者 ID:g3ZxgAtmw

一 転 攻 勢

 

 

47:名無しの転生者 ID:/XjmWh7Yy

ただの手のひら返しともいう

 

 

48:名無しの転生者 ID:zMbu+vHbx

まぁ、普通に考えたら部活に関連するもの、生活に使えそうなもの、好きな物、趣味のもの、だよな

 

 

49:名無しの転生者 ID:HaFObwINN

ワイ、女の子にプレゼントした回数0

(ギャルゲー脳でも)バレへんか……

 

 

50:名無しの転生者 ID:b+VVPHdzF

料理してるんだっけ。包丁とかは確かにありだよな。あとは鍋とかフライパンとか?

 

 

51:名無しの転生者 ID:ZVUElivlw

>>49

書いてる時点でバレバレなんだよなぁ……

 

 

52:名無しの転生者 ID:G5MN2dS/R

今皐月……五月だっけ。そろそろ夏用のやつ色々と出てるんじゃない?

 

 

53:光を継いだ転生者 ID:nX2S4UypW

夏用か…。タオルとかかな。後は日焼け止めとか、ハンカチ? 後は扇子か?

 

 

54:名無しの転生者 ID:qSKCL23sc

正直下手にコスメ買うのはおすすめ出来ないからな……使い心地とかあるだろうし、その辺でいいかもしれん

 

 

55:名無しの転生者 ID:eI2nKrqiP

あの人って、ぬいぐるみプレゼントとかはイメージと違うしな

 

 

56:名無しの転生者 ID:o73wc/T2S

誕生日プレゼントならいっそのことリラックスグッズとかどうよ。形に残る方が良いだろ

 

 

57:名無しの転生者 ID:5n1kqIcqr

入浴剤とかもありやぞ。シャーペンとかポールペンとか意外と使うやつもいいかもな

 

 

58:名無しの転生者 ID:bB0rpK74O

梅雨入ること考えて傘の手段もあるくない? 探せばいくらでも贈れるものはあるぞ?

 

 

59:名無しの転生者 ID:6IdTwjldE

指輪、ネックレス、ブレスレットと言った輪っか状のものはあなたを独占したいという意味があるとはよく言われているよな。

ピアスとイヤリングはいつも側で見守っている。

腕時計はあなたと一緒に時間を過ごしたい、勤勉・努力して。

ハンカチだと手切れ、靴だと踏みつける、見下す。

ちなみにボールペンだとお世話になっている、日頃の感謝、尊敬の意味があったはず

 

 

60:名無しの転生者 ID:qfqCviC4B

消しゴムもありじゃない?

 

 

61:名無しの転生者 ID:Qd25pmwn2

>>59

ほへーそんな意味が

 

 

62:名無しの転生者 ID:vvKGYYRJN

なるほどなぁ…プレゼントの意味を考えるのもありか。確かに知ってる人からすると誤解を産むものだ

 

 

63:名無しの転生者 ID:aDbXfgbcv

ちなみにタオルは悪いことは続かないだったり嫌なことを水に流すみたいな意味もあるね

 

 

64:名無しの転生者 ID:XgGRmXFX9

メッセージカードさえありゃ別に誤解する要素ないんだけどね

 

 

65:名無しの転生者 ID:gP5ofH+xA

>>56

まあ、でも正解だよな

形に残った方が絶対良い

 

 

66:名無しの転生者 ID:k8t0XwyLB

まぁ、不安なら聞いてくれたらここの人達なら誰か知ってる人いると思うし、イッチのセンスが皆無でもフォロー出来るわ

 

 

67:名無しの転生者 ID:oY2yk0PdH

やっぱりガチ悩みの時は真面目にするよな

 

 

68:名無しの転生者 ID:eSiJYLn5W

落差が酷いけど、ある意味リラックスみたいなもんなんでしょうな

 

 

69:光を継いだ転生者 ID:nX2S4UypW

なるほど……ありがとう。

意味から考えて、ボールペンとタオルにするわ。何か良い奴あるかなー

 

 

 

◆◆◆

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

真面目にしてくれたことに感謝しつつ、紡絆はボールペンが売っている箇所へ行き、一個ずつ見ていく。

 

「風先輩って黄色だよな……イメージカラー。勇者の時も黄色だし…でもタオルはともかく、ボールペンが黄色ってのはなぁ」

 

黒ではなく、黄色のカラーペンはあんまり使わないだろう、そして芯が黒でも外面が黄色の色をしたボールペンなんてそうそうない。

タオルなら黄色はあるが、紡絆は外面が黄色のボールペンなんて今世でも前世でもあまり見た記憶はなかった。

4か5種類の色がまとめて使える多色ボールペンならあったりしたが。

 

「万札か……別に買ってもいいけど貰った側からすると使いにくいだろうし……これでいいか」

 

ふと目に入ったボールペンを手にすると、値段を見る。

3320円で、シルバー×ゴールドの色だ。黄色ではないが、イメージとしては問題ないだろう。一万の物よりかは安物だが、持ち心地も悪くはなかった。

それに色が綺麗なのだ。使われるかどうかは分からないが、買って損はなさそうだということで紡絆は迷うことなくレジへ向かう。

レジでは誕生日プレゼントということでラッピングして貰って、購入した。

掲示板の人達にも良いんじゃないかという評価は受け取ったので、紡絆のセンスは皆無ではないのかもしれない。

もし要らないと言われたら自分で使うか誰かにあげればいいだろう、とそう考えながら、紡絆はタオルが売っているコーナーを探しに向かい、商品を見ていく。

 

「うどんのタオル……使う度にお腹空きそうだから却下。女子にあげるものじゃないし……うーんシンプルイズザベストってな。これでいいか」

 

紡絆は黄色のレモンが描かれたタオルを手にする。

夏といえば、レモンは大切だろう。皐月ともなれば、夏は近い。そして夏は暑さや紫外線により活性酸素が増えビタミンCが減少してしまうのだ。

そういう意味でも、レモンを選んだのかもしれない。体に気をつけるようにというメッセージを込めて。

 

「最後のは適当だけど、いらないならいらないでいいし……」

 

そんなのはなかった。

しかし文句を言ったりはしないだろう。渡す相手が相手なのでもっと女子っぽいのにするべきかと思ったが、そこは紡絆が選ぶより彼女自身が選んだ方が間違いなくセンスがある。

なので、紡絆はとりあえず良さげなやつにしたわけだ。

 

「ま、でも……無地のも買っとこう」

 

黄色の柄も特にない無地のを取り、紡絆は同じくレジでラッピングして貰った。

無地ならどこで使っても問題ないし、レモンよりかはマシだろう。だがもしかしたらレモンよりうどんにするべきだったかもしれない。

そこはもう分からないが、無事に用意することは出来た紡絆は家に帰宅することを選んだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

そして当日。

残る飾り付けも完全に終わり、後はケーキやうどんを作るだけ。

しかし解散して風だけ一人にすれば怪しまれることは確定だろう。

なので、考えた末に出た案とは---

 

 

「今なら鉄骨や電柱ごと持てそうですよ、俺」

 

やはり勇者部の活動だった。

そもそも紡絆がそんな誰かとデートなどするかと言われると、微妙としか言えない。

いや、正確には周りから見たらデートでも、本人からするとデートでは無いのだ。

 

「それは流石に無茶だと思うわよ? というか、危ないからやめなさい」

 

そんな紡絆の近くには地面から見上げた風が苦笑していた。

鉄骨クラスを単体で持つなんて間違いなく肩があの世に逝くが、紡絆はウルトラマンの恩恵を受けている者だ。

ただでさえ高かった身体能力にプラスされているのだから、持ててもおかしくは無いかもしれない。

危ないため、絶対にやらないだろうが。

 

(俺的には樹ちゃんの方が危ないと思うから早く治した方が良いと思うけど……料理の腕)

 

いくらケーキを普通に作れるようにしたとはいえ、数は覚えてないが最低でも四回殺されかけた身なので、彼女の妹である樹の料理がどれだけ脅威なのか身をもって知っている紡絆は心の中でそう言うしかない。

もし彼じゃなければ殺人事件となっていたかもしれないのだから。

 

「いやーそれにしても中々久しぶりじゃないですかね、風先輩と依頼って」

 

「まぁ、普段は動ける友奈と活動してもらう事が多いからね。あともうちょっと右よ」

 

「一人でやることも多いですもんね。あ、こっちです?」

 

「そうそう、いい感じ」

 

コンコンと叩く音が響く。

紡絆が何をしているか?と言われると、彼は納屋の修理をしている。

はっきり言うと紡絆はこういうのは得意ではない。力加減を間違えると壊れるし、動く運動系が得意だ。

それでも頼まれてしまえば断ることの出来ないのがお人好しな彼なので、時間が掛かるという意味でも請け負ったのだ。

しかし前世の記憶を取り戻した今の紡絆には優秀なもの(転生者)達が居るので、問題なくこなせていた。

勇者部はボランティア、何でも屋に近い部活だ。

 

「こんなもんかなぁ。よっと」

 

「えっ」

 

しかし彼も素人同然なので、ちゃんとした修理はプロに任せるしかない。

応急処置をした紡絆は物を持って屋根から飛び降り、地面に着地する。

 

「何のための脚立よ!?」

 

「この方が楽かなーと! あはは」

 

「怪我することも考えなさいよ……はぁ」

 

哀れ脚立。

何故か脚立に哀愁が漂っているように見えるが、本来の役目を果たすことなくスルーされたからだろうか。

普通だと怪我するので、間違えても良い子は真似をしてはいけない。

そして危険な真似をする割に笑うだけ笑う紡絆に風は顳顬を抑えながらため息を吐くしかなかった。

 

「おや、終わったのかい?」

 

「あ、はい応急処置なので、ちゃんとした修繕は大工の方に連絡をして頂いて---」

 

危ないため、納屋から離れていた年寄り---60代後半か70代前半くらいの女性が風に近づいて終わったのか聞いてきたため、風は即座に対応する。

紡絆は詳しく説明しだした風の言葉は前世含めてよく分からないので、道具だけ片付けておいた。

 

「ふぅ……さて、どうするか」

 

紡絆の目的は、出来る限りの時間稼ぎ。

もちろん目標の時間となれば戻るようにしているが、今は連絡が来ないことからまだ終わってないのだろう。

であるならば、まだまだ勇者部の活動をしなければならない。

友奈や東郷、樹は誕生日パーティーの準備を。紡絆は参加出来ないみんなの分も動こうと考えていた。

サボりすぎると勇者部の依頼は貯まるのもあるが、紡絆自身は眠っていた期間迷惑をかけた自覚はあるので、それもあるのかもしれない。

とりあえずは風が話終えるまでは何もすることが出来ないため、今の紡絆は何しようかなと頭の中で考えていた。

 

「にーちゃん! あそぼ!」

 

「ん? おー、いいぞ。何する?」

 

そんなことを考えていると、小さい男の子が紡絆のズボンを引っ張ってきた。

紡絆は腰を下ろして目線を合わし、笑顔で答える。

ちなみに紡絆のズボンを引っ張った男の子は、老女の孫らしく、今は遊びに来てるところで、紡絆と風が依頼を果たすために来た---という経緯だ。

 

「うーん、キャッチボール!」

 

「お、やるか! でもお兄ちゃんそんな時間取れないからさ、ちょっとだけだからな?」

 

「うん!」

 

「よしよし、良い子だ」

 

紡絆が男の子の頭をそっと撫でると、その子は笑顔になる。それを見て、紡絆も笑みを浮かべていた。

そして男の子はとにかく遊べたらいいのか、はたまた紡絆と同じく暇だからか野球ボール---それもゆうボールと呼ばれる柔らかいボールを手に持って、離れてからグローブを互いに着用。

男の子は紡絆に向かって投げた。

当然元々身体能力も高く、部活に助っ人として呼ばれる紡絆にとって余裕だろう。

片手で悠々と取ると、男の子に向かってそっと投げる。

正確に投げられたボールは男の子の手にすっぽりと入る軌道で飛んでいき、実際に真ん中に入っていった。

 

「いつか野球選手でも目指すのか?」

 

「うーん……まだわかんない」

 

「そっか。まぁ、まだまだ若いもんな」

 

キャッチボールを互いに落とすことなくこなし---というより紡絆が上手く立ち回るお陰で男の子のボールがどこかへ飛んでいくことはないため、話しながら投げ合う。

男の子は全力で。紡絆は年齢的にも当然ながら物凄く手加減して。

 

「ただ人生の先輩として助言すると、夢というのは大切だ。自身がなりたいものがあれば、真っ直ぐ夢に向かってゆける。あきらめない勇気、挫けない心さえあったら、いつかの未来にその夢を手に掴むことが出来ると思う。あと、親御さんは大切にな。これは絶対」

 

「ちょっとムズかしい……でも分かった! お母さんやお父さん、おばあちゃんのこと大切にする!」

 

「その気持ちは大切にな? 家族ってかけがえのない宝物だからさ」

 

キャッチボールをしながら、目の前の子供の言葉に紡絆はただ嬉しそうにする。

家族というのは、亡くなってしまえば終わりなのだ。代わりはいない。遺伝子で繋がっている唯一の存在が家族であり、()()()()()()()()はいても()()()()()は自身を産んでくれた両親だけだ。

もちろん、血縁関係が広い者だと他人であっても血は繋がっている場合はあるが。

だが紡絆は()()()()()を喪っているので、大切にするという思いは例え口だけでも嬉しいのだ。

 

(そのためにも、ウルトラマンとして頑張らないとなぁ……)

 

だんだんと気配のみでキャッチするようになりながら、紡絆は思う。

スペースビーストという存在は、バーテックスと違って無数に存在する。

何処で生まれ、何処から来ているかは分からないが、仮に外の世界がウイルスで蔓延して滅んでいたとしても、動物や水といった自然さえあれば幾らでも存在するだろう。

無論、外の世界はもしかしたらスペースビーストすら存在することが出来ず、生物や自然だって滅んでいる可能性もある。

自分たちが気づいていだけで、人気のない他の場所で生まれてるのかもしれない。

だからこそ確信は出来ないのだが、結局はスペースビーストはまだまだ来る可能性が高いということ。バーテックスも相手しなければだが、紡絆は目の前の少年の家族と少年を守るためにもウルトラマンとして一層頑張ることを決断した。

 

「ほい。良いボールだ! 練習したら、もっと上手くなれるよ」

 

ふと風の方を見た紡絆は話を終えたことを理解し、少年に近づいてボールを手渡すと、グローブも返して軽く頭をくしゃくしゃと撫でる。

 

「へへ……そうかな?」

 

「そうだとも。君の未来は君が決めることだ。だからとやかくは言わないが、これからも頑張れよ!」

 

「うん!」

 

「いい返事」

 

最後に髪を整えるように撫でた紡絆は、少年の背中を優しく支えるように歩き、話し終えたらしい老女と風の元へ辿り着くと、少年を返した。

すると老女は少年を撫でて、優しそうな表情を浮かべる。

 

「ありがとうねぇ。この子と遊んでくれて」

 

「いえ、運動するのは好きですから。それで風先輩、終わりました?」

 

軽くキャッチボールくらいなら、運動できるものなら簡単だ。

なので、紡絆は気にしてないというように首を横に振りつつ、風に言葉を投げかけた。

 

「ちゃんと説明はしておいたわよ。というか、あんたじゃ間違いなく無理でしょうし……」

 

「失礼な、業者呼ぶことくらいは分かりますよ。会社とか何の業者とかは知りませんけどね!」

 

「そこが大事なんだけど!?」

 

「俺が知ってるとでも!?」

 

「それは---ないわね」

 

「え、ちょ。少しくらい否定してくれても良くないですか?」

 

「普段の行いが悪いからでしょ!」

 

「酷い! 頭を使いたくないだけなのに!」

 

「いや使いなさいよ!?」

 

まだ依頼を完全に達成したというわけでもないのに、依頼人の目の前でコントのようなものを繰り広げる紡絆と風。

というよりは、紡絆のせいではありそうではある。

 

「仲が良いのねぇ」

 

「にーちゃんとおねえちゃん、おにあい?」

 

それを見てか、老女はくすくすと笑い、少年はきょとんと首を傾げていた。

 

「あ、すみません。それと風先輩と俺じゃ釣り合ってないから違うぞ。

この人は料理も作れて洗濯も出来て家事出来るし優しかったりリーダー力もある。それに美人な人だからな。

俺には勿体ない」

 

「ちょ……!?」

 

「おねえちゃん、すごい人なんだ!」

 

まだ終わってないことに気づいた紡絆はすぐに頭を下げ、少年の言葉を誤解が生まれないために否定する。

なにやら隣で驚くような声が聞こえたが、紡絆はまた同じことになりそうだったのでスルーを決め込んだ。

すると、少年はキラキラとした尊敬のような目を風に向けていた。

さらに何故か得意げにする紡絆である。

 

「えー、でもお父さん言ってたよ? 言い合える仲がいいって」

 

「う、うーん間違ってはないんだろうけど、俺とこの人の関係はそんなのじゃないんだ。

先輩と後輩。そういうふうに恋人みたいなのじゃないからさ。

むしろ恋人じゃないのに恋人扱いしたら相手に失礼になっちゃうから気をつけなくちゃダメだ」

 

不思議、というように首を傾げて言う純粋な少年に紡絆は困ったような表情をしつつ、目の前の少年が将来とんでもない間違いをしないように考えながら優しく注意をしておく。

実際、恋人扱いされても平気ということはその人が恋人扱いしている人に対して、付き合いたい、恋人になりたいという()()を持ってることが前提になる。

だからこそ、自分と風はそんな関係ではないと言いたいのだろう。

 

「そうなんだ。にーちゃんとおねえちゃん良いと思うんだけどなぁ。ね、おばあちゃん」

 

「えぇ、そうねぇ」

 

「あはは……ありがとうございます(?)」

 

なんと言えば良いか分からない紡絆は疑問系になりながらとりあえずお礼を言い、何故か機能していない隣の風の手を取ると、もう一度頭を下げた。

 

「じゃあ、これで」

 

「もう行くのねぇ。助かったわ」

 

「また遊ぼうね!」

 

「おう! 風先輩、行きますよー!」

 

頭を上げると手を振り、別れの挨拶を交わした紡絆は風の手を引っ張って離れていく。

これ以上言われても対応に困るのもあるが、紡絆としては風に失礼なんじゃないかと思っていた。

なので、戦力的撤退である。しかしやけに静かになったので、紡絆はなんとなしに言ってみる。

 

「おーい、風先輩ー? ええと、美人が台無しですよ?」

 

「え? あ、あぁ、ちょっと考え事していて……」

 

「美人なのは自分で認めるんですね、いや実際そうですけど」

 

「と、当然でしょう? 私ほどの女子力を持つ者からすれば必然だもの!」

 

誤魔化すように自信満々に言う風に、紡絆は少し微笑する。

 

「おー、いつもの風先輩だ。悩みがあったら言ってくださいよ?」

 

「そうね。なら……あまりあんなこと言うと誤解されるわよ? あたしだったから良かったものの……」

 

元通りへ戻った風の姿に安心するが、紡絆の言葉を聞いて風は注意を投げかける。

あんなこと、というのは女性を褒める言葉、などだろう。

 

「いや、ただ俺は本音で言ってるだけですけど? 大切な人たちのことはちゃんと知って貰って、そこを褒められるのは嬉しいものです。

みんなのことはちゃんと評価して貰いたいですからね。

それに俺と付き合ってるなんて噂が出てくると、みんなが可哀想でしょう。

みんなが不快になることは嫌ですし、それは阻止します」

 

それは紡絆の嘘偽りない本音なのだろう。

というより、風は紡絆が嘘をついてないことを看破している。紡絆はだいたい嘘をつくなんてことはしないし、基本的に心の底から思ってることを言っている。

だから人を不愉快にさせたりしないし悪意を抱かせたりもしない。

もちろん正直に直球で言うのではなく、状況をしっかり理解して何も言わない時だってある。

時に優しい嘘をつくことだってある。

紡絆自身の嘘や誤魔化しは自身がウルトラマンだということを隠していた時のように全力で隠さないとすぐに分かってしまう点はあるが。

しかし、だからこそ本音で言う彼はタチが悪い。

天然、とも言えるだろう。

 

「それに……今の俺には勇者部が一番大切ですから」

 

何処か遠い目をして言う紡絆の姿に、風は流石に口を出すことは出来なかった。

風には家族を喪うことの辛さは知っている。そして妹である樹は知らないが、原因は知っているのだ。

一方で、紡絆は何も知らない。

家族が交通事故にあって、亡くなって、終わり。

車での事故が原因、ということくらいだろうか。

 

「ほら、次々と行きますよー! まだまだあるんですから頑張らないと!」

 

「……そうね」

 

だからこそ、風にとって紡絆という存在は眩しかった。

紡絆は決して誰かを恨んだりしない。そうしたら楽だというのに、自分を責める。

それを風は知っている---いや、聞いたことがあった。

紡絆が家族を喪ったのは四ヶ月前、それから少し経った後に風は一度二人っきりになった時に聞いたことがあった---

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

◆◆◆

 

まだ樹が入ってきておらず、四人しか居なかった勇者部。

その部活で紡絆は家族が亡くなったことを知った()()()には部活へ顔を出した。

そう、()()()()()()()()()にも関わらず、顔を出したのだ。

その日は、普通だった。

何も知らず、何も分からず、ただ()()()()()の紡絆をからかったり、ふざけあったり、馬鹿なことを言い出す紡絆を注意するだけ。

そんな日々が続き、流石に一週間も経てば紡絆は友奈や東郷と家が近所なのもあって、彼の噂が立つ。立ってしまう。

紡絆の家族が亡くなった、という噂が。

実際に警察の見解でも地面や車などに付着した血の量が致死量を超えていることから、生存は不可能だという診断があった。

紡絆はそれを疑わなかったし、事実家族が帰ってこないこと、讃州市のみとはいえ、讃州市の全ての病院を見て回っても居なかったことから紡絆は家族が死んだということを受け入れるしかなかった。

なぜなら、記憶喪失の紡絆を大切にしていた家族が彼を見捨てるわけないからだ。

もし虐待などをしていたなら、見捨てるのも有り得ただろう。しかしそれを考えられないほどに仲が良すぎたし、紡絆の両親は彼に過保護になっていた。妹に至っては、しょっちゅう紡絆から離れない時もあったほど。

そんな仲の良い家族が彼を見捨てるわけがない。しかし、死体だけは消えていた。

何故消えたのか、それともどこかへ捨てられたのか、海へ投げ捨てられたのか、そこまでは警察でも捜査のしようがなかった。

いくらなんでも、証拠が無さすぎたからだ。だから捜索は打ち切られた。

風が知ったのは、そんなふうに噂が立ち始め、浸透しだした頃合だった。

紡絆が居ない時に、友奈や東郷に相談するように言われたのだ。

 

『それで、相談って?』

 

『えっと……私たちが言っていいか分からないんですけど……』

 

困ったような、言うべきかどうか分からない表情をして、若干影を残しながら言い淀む友奈の姿と、辛そうな面持ちをしている東郷。

 

『なに? 二人とも具合でも悪いの?』

 

『ええっと……』

 

『……単刀直入に言いますと、紡絆くんの家族が亡くなったって噂が最近聞こえてくるんです。いえ、恐らく事実かと』

 

話せない友奈に代わって、東郷が話す。

本来ならば、それは言うべきことではないのかもしれない。

だが、友奈や東郷、それから風の立場になって考えたら分かるだろう。言われるまで知らなかった風はともかく、友奈や東郷は近所なのもあって嫌でも聞いてしまう。歩くだけで、帰り道を歩くだけで。

隣同士なのだから、余計に。

そんな彼女たちが知ったら、どうだろうか。紡絆は一度も、辛いと言わなかった。悲しそうな顔をしなかった。明るく、元気に、()()()()()()ようにいつも通り接する。同級生とも、友人とも、依頼人とも、勇者部の人たちにも。

それは、虚勢だろう。空回りしていても、そうしなければ耐えられなくなるからかもしれない。本人の心は、ずっと自身を責めていたことは誰も知らないのだから。

実際のところは、自分のせいで誰かが悲しむ姿が見たくないだけなのだが。

だがそれでも---紡絆の心の中がどうであれ、周りから見れば、彼女たちから見れば、大切な家族を喪ってもなお、泣くことすらせずに笑顔を向ける紡絆の姿は、友奈や東郷にとって、何処か見ていられなかった。

だからこそ、相談したのだろう。

 

『紡絆くんに聞こうにも私たちが踏み込んでいいか分からなくて、友奈ちゃんと話してたんです。そうしたら、風先輩にも相談しようってことになったので……』

 

『私たちに出来ることがあるかずっと考えてるんですけど……』

 

『なるほど…それは確かに難しい話ね……。紡絆自身が悩んでるってわけじゃないなら下手に干渉するのはアレでしょうし、その辛さは本人にしか分からないから……』

 

そう、この場で友奈も東郷も、家族を喪っていない。そして風ですら、家族は一人はいる。

だからこそ、共感がどうやっても出来ない。その気持ちは、全てを喪った気持ちは本人にしか分からないのだから。

 

『失礼しまーす! すみません、クラスメイトの手伝いをしてたら遅れました!』

 

そんなことを話していると、紡絆が()()()()()()()()()で部室へ入ってくる。

息が少し乱れてることから、走ってきたのだろう。

 

『……とりあえず私が話してみるわ』

 

『は、はい……』

 

『あれ、なんの話ですか? も、もしかして遅刻したこと怒ってます?』

 

やってきたのはいいが、紡絆は風と友奈、東郷が話し合ってるのを見て何のことか分からずに、怒ってるのかと少しビクビクとしつつ疑問を投げる。

 

『そうね。とりあえず紡絆は……帰って大丈夫よ』

 

『せ、戦力外通告!?』

 

『ち、違うの。紡絆くんは頼りになってるわ。でも……』

 

『そ、そう! えっと……アレ! 紡絆くんはよく頑張ってるから今日は休んでもらおうかなーと!』

 

『いやいや、そういう訳にはいかないだろ。依頼だって男手が必要になるし、帰っても暇だし』

 

『あ……。うぅ……』

 

『え、な、なんか悪いこと言った? ご、ごめん!』

 

さりげなく言った暇という単語に失言したと自覚したのか、友奈が申し訳なさそうな表情をして、何故か紡絆が慌てて友奈に謝る。

 

『でもね、紡絆。休むことは大切よ。特にあんたは……』

 

『俺? 俺は別に平気ですけど?』

 

風の言葉を聞いてもなお、紡絆は全然怪我もないというように首を傾げるが、やはりその先を言おうとするとなると、風も躊躇してしまうのだろう。詰まってしまう。

しかし、そこで紡絆は何処かみんなの表情が暗いことに気づいた。

 

『……あぁ、そういうことですか。友奈と東郷は知っちゃうもんな。

別に大丈夫です。確かに一週間前に交通事故で家族を亡くしましたけど、今は平気ですよ。

それより! ほら、依頼ぱぱっとやっちゃいましょう! 四月になるまでにある程度減らしておかなきゃ、忙しさのあまり新入部員が来なくなって、取れなくなりますよ!』

 

一人察すると、平気というように笑いながら紡絆はどれにしようかな、と言いながら依頼書を見ていく。

平気といっても、紡絆はまだ中学生だ。他の人と違って、今まで生きてきた記憶すらない。

だというのに、何故ここまで笑顔で居られるのか---少なくとも本当に大丈夫そうである姿にそれぞれ顔を合わせると、今は触れないことにした。

少なくとも休むように言っても、休みそうにはない。なら少しでも考えないように勇者部の活動をしようと。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

そうして、依頼をやり、紡絆と風は最後の依頼へ向かっていた。

夕陽は既に半分隠れており、冬なのもあってだんだんと暗くなってきた。

この間にも、紡絆は一度も暗い顔をしてなどいない。

だからこそ、風には疑問が浮かんでいた。家族全員じゃないとはいえ、風にも両親を喪う気持ちについては知っていたからだ。

 

『ねぇ、紡絆』

 

『なんですか、風先輩』

 

『本当に大丈夫なの? もし辛いなら相談してくれても』

 

『いやいや大丈夫ですって! 確かに辛いですけど、今更どうしようも出来ないでしょう。

だったら俺は、辛い想いをしてる誰かに手を差し伸べるために動きたいんです。

風先輩もそんな暗い顔せず、明るく行きましょう! そうじゃないとこの気温なんで寒くなりますよ!』

 

手を差し伸べたとしても、紡絆はそれを取らない。

いや、取る必要がないのだろう。実際に、その通りなのだ。喪ったものは取り戻せない。

だから紡絆は誰かに手を伸ばそうとする。

同じ想いをさせないために。

現に、暗い顔をする風を逆に気遣っていた。本来ならば、反対の立場であるにも関わらず。

 

『……凄いわね』

 

『へ?』

 

その姿を見た風はふと呟いてしまい、その言葉を拾った紡絆は先に歩んでいた足を止め、困惑しながら振り向いた。

すると、正面で向き合う形になる。向き合った紡絆からは何処か影を落としている風の顔が見え、対する風からは何ともなさそうな普通の紡絆の表情が見える。

 

『あ……いや、その……憎いとか、許せないとか、そういう復讐心があんたには浮かばないんだな、と思ったのよ。普通は大切な家族を喪ったら、殺されたならそう思うものでしょ』

 

『それって……そう言うということは、風先輩は思ってるんですね』

 

『それは………』

 

墓穴を掘ったと一瞬の後悔が風の脳裏を巡る。

だが、今更撤回することなど出来ないだろう。

風が恨んでいるのは、人間ではない。勇者部の本当の目的を伝える訳にも行かず、一言も発することが出来ない。そもそも、風は出来るなら当たって欲しくはないと願っている。

()()()()()()()()()()()が居ることから、どれだけ外れる確率の方が低くとも。

 

『まぁ、別にいいんですけど。人間なんですから、憎しみを抱いて復讐をしたいと願うのは不思議じゃありませんよね。それがどんな相手だろうとも』

 

紡絆が移動すると橋の手すりを掴んで、ただ沈みそうな、抗うように沈みそうにない太陽を見つめる。

風から見ると、紡絆の横顔が太陽の光に照らされていた。

 

『風先輩は言いましたよね、復讐心はないのかと。

俺には、多分ないです。だって、意味無いじゃないですか。

それをしたって、そんな感情を抱いたって、誰かが帰ってくる訳でもない。

それどころか、憎しみの次に生まれるのは新たな憎しみです。負の連鎖になるだけで、復讐したって意味がありません。虚しさを覚えるかもしれません。

それに、相手にも家族がいるかもしれない……少なくともわざとじゃないならば、此方の運が悪かったとしか言えないでしょう。まぁ、故意的でも俺は誰かを責めないんでしょうけど』

 

それは風には察知出来たかどうかは不明だが、すなわち、遠回しに言っているのだろう。

()()()()()()と。

紡絆は家族を喪った原因は、他人だと思い込んでいない。普通の人間ならば、大切にしていた家族が亡くなったとなれば事故でも故意的でも殺した犯人を憎むだろう。

しかし誰かを恨んだり、憎んだり、殺意を抱くには---紡絆は人が良すぎた。あまりなもの純粋すぎた、というのもあるだろう。

 

『でもそれだとあんたは……!』

 

『あ、別にやめろとは言いませんよ。それをやるのは風先輩の勝手です。俺に止める権利なんてない。

風先輩も両親を喪ったから、俺の気持ちを心配して言ってきたんでしょう? 今も、救われないみたいなこと言いたいんですよね。ですけど---』

 

こういう時に限って、無駄に勘が働くのか風の言葉を先読みした紡絆は一度言葉を区切る。

否定しないということは、それは合っている証拠。風はただ苦々しそうな表情を浮かべていた。

それを見て、紡絆は振り向く。

 

『気持ちは嬉しいですけど、それでも俺は復讐心を抱きません。許しを乞われたとしても、許します。

善人ぶるわけじゃないですけどね、終わったものは取り返せない。俺にとってはこれに尽きるんです。

そして、もし風先輩が道を外すことをするなら、止めます。相手がどうであれ、です。危険なことをするなら、止めるために手伝います。

……風先輩が誰に復讐したいのか、そもそも相手が人間なのかどうかすら分かりませんけど』

 

一瞬、風はドキッとした。

紡絆は、バーテックスの存在を知らない。しかし、風の復讐対象はバーテックスであり、人間ではないのだ。

知るはずもないのに、似た言葉を言われたら、驚くだろう。

 

『まぁ、なんというか……俺は良いんです。誰かが悲しい想いをするぐらいなら、こんな想いをするぐらないなら、それを阻止しようと、この件をきっかけにより強く思えましたから。

だから今度は、俺の手の届く範囲で伸ばしてみんなの力になって見せますよ。だって俺は---風先輩が作ってくれた勇者部は人のためになることをするのが活動内容なんですからね!』

 

そう言って笑顔で言ってのける紡絆は、誰から見ても『変なやつ』としか思えないだろう。

風ですら、聞いた瞬間にそう思った。

しかしその姿は---あまりにもの眩しい。沈みそうな太陽が紡絆の明るさに呼応するように一層紡絆の背後を照らし、輝かせる。

騙していること、隠していること、バーテックスへの復讐心。

風の様々な心へダイレクトに当たってくる紡絆の言葉は---

 

(真っ直ぐで、眩しい光ね……。ほんと、何処までお人好しなんだか。それに、強い。

あたしは両親の死因を知った時には復讐することを誓ったのに、紡絆は相手が人間だと分かっていても、同じ人間に手を伸ばして助けようとするんだから……)

 

『って、なに語ってんだって話ですよね。たはは、流石にちょっと恥ずかしいです』

 

照れたように後頭部を掻く後輩の姿を見て、風はただ眩しいと感じた。

自身とは違う、真っ直ぐで眩しい光。悪意に染まることのない穢れのない眩しさ。

誰かのために行動することが生き甲斐なのではと錯覚してしまうほど、他者を想う姿は、風にはとても強い生き方に見えた。

だからこそ、風はこんな暗い話はやめよう、と思った。きっと紡絆も望んでいないと。

 

『まったく、良い話だと思ったのに台無しじゃない! そこまで来たらピシッと決めなさいよ!』

 

『い、いやいやこういうのは誰かに言うことじゃないでしょう!?』

 

『言ったのは紡絆だけど?』

 

『最初に聞いたのは風先輩じゃないですかっ! 責任転嫁とか酷い! 人生の先輩のくせに!』

 

『一年しか変わらないでしょうが!』

 

『一年、たったの一年を舐めちゃ行きませんよ! 知識の量も違いますし、日数に変換するとかなりの時間なんですからね! 計算出来ないけど!』

 

『それくらいできるでしょ!? ええい、もう黙りなさい!』

 

『え、ちょ。じ、実力行使とは卑怯者ぉおおおおお!』

 

先程の雰囲気は何処へ行ったのか、絡みついた風に紡絆は抵抗するだけ抵抗するしか無かった。

だがこれこそが---彼らしくもあるのだろう。風にとっては誰かを恨まない紡絆の在り方は眩しいが、そうある紡絆の姿は、真っ直ぐな姿は他の男子とは違うようにも感じた。

少なくとも、こうやって無茶苦茶で馬鹿正直で、真っ直ぐな後輩と過ごす日常は風に楽しいという変化を齎していたのは言うまでもないだろう。

それこそ---本来の役目を忘れてしまうぐらいには。

 

 

 

◆◆◆

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「もしもーし、風先輩ー? イタズラしますよー?」

 

そんなふうに思い出していると、風の目の前には不思議そうな表情をして顔を覗き込んできている紡絆の姿があった。

 

「ちょ……近いっての!」

 

「なんで俺のせい!?」

 

注意すると、理不尽だ……と小さく呟きながら離れた紡絆がいるが、よく分からないので風は無視した。

 

「で、なんか思い耽ってましたけど、なんかありました? 相談なら乗りますけど」

 

「変わらないなーと思っただけよ」

 

「ふーん……いや、変わんないでしょう。何いってんすか、怖いです」

 

「なにをーッ!」

 

「ぎゃあああー!?」

 

バカなのか、と言いたげに見つめる紡絆に風は少しの怒りの込めて頭をグリグリした。

紡絆は学ばずに即ダウンしたが、紡絆ではないのだからそんな目で見られたくない風であった。

 

「卑怯者ォー! 頭ばかり攻めて、俺がバカになってもいいんですか!?」

 

「バカでしょ」

 

「ひどっ!? もしや樹ちゃんが時々毒舌なのは風先輩のせいなのでは……?」

 

「樹は天然だと思うけど……ほら、可愛いからいいのよ」

 

「……ぐぬぬ、それについて否定はしません。意外とダメージ来ますけどねぇ」

 

「それは分かる……」

 

何故か話題が変わって樹の話になると、時々見せる毒舌を思い出して互いになんとも言えなさそうな表情になった。

バカをやる紡絆には毒舌が飛んでくるし、大雑把な姉である風にも時々飛んでくるのだ。

だからこそ、この場で同感し合っていた。

 

「まぁ、可愛さなら俺の妹も負けてなかったんですけど」

 

「それは割とシャレにならないから勘弁して……」

 

「あっ、はい」

 

「素直でよろしい」

 

死んだ妹について引きに出されると、どう反応すればいいか困るだろう。

紡絆は気にしてないようだが、風が困るのだ。紡絆は素直にやめたが。

 

「まぁでも……ウルトラマンになりましたもん俺。変わったと思っても不思議じゃないです」

 

話しを戻すように言う紡絆は、まだ昼なのもあって真上に出ている太陽を直視---は出来ないので、斜め上の青空を見ていた。

 

「でも見た通り俺は変わってないですから安心してください。なんなら逆に元気一杯になったかも知らないですよ!」

 

「こ、これ以上元気になられてもねぇ……。でも確かに変わってないようで安心したわ」

 

既に元気な人間がよりイキイキとしたなら、どうなるか分からないので困ったような表情をするしかない風だった。

しかしすぐに安心したような表情になり、紡絆はただそれを見て笑顔を浮かべた。

 

「あと俺の場合、変わってもすぐバレそうですけどね。

それに風先輩。不安がることはありませんよ」

 

「……えっ?」

 

紡絆も自覚はあるのか、バレそうだということに苦笑したかと思えば、真剣な表情となっていた。

手で太陽を少し遮り、空を眺めながら。

その後ろでは、固まった風の姿があることを知らずして。

 

「別に……例え俺たちの日常が変わったとしても、全てが変わるわけじゃないんです。俺がウルトラマンになっても、みんなが勇者になっても変わらなかったでしょう。

ただ部活内容に、お役目が入っただけ。もしそのことに風先輩が、俺たちを巻き込んだことで不安になってるのでしたら---」

 

真っ直ぐ太陽に照らされる道を数歩前に歩み、振り向いた紡絆は無表情に固まっている風に対して手を差し出す。

 

「俺が守ってみせますから! みんなの日常を、笑顔を!

風先輩の不安がポンッっと消えてしまえるように!

だから風先輩はいつもみたいに笑って、人のことを揶揄って、揶揄わられたりして、ふさげて、俺たちに指示を出して、導いてください。

風先輩には不安がる姿よりもそんなふうに明るい姿の方が似合います!」

 

紡絆は絶望するわけでも、失望するわけでも、落胆するわけでも、憤慨するわけでも、悲観するわけでもない。

純粋に屈託のない笑顔を向けながら、真っ直ぐな姿を見せる。

何も変わらない、在り方すら変わることのない()()()()()()()()()のような姿を見て、風は近づいて手を伸ばした---

 

 

 

 

 

 

 

「な〜にかっこつけちゃってんのよ! まったく」

 

「あだっ!?」

 

あと、紡絆の頭をひっぱ叩いた。それはもう、容赦なく。

何故か叩かれたのか分からない紡絆は不満そうに見つめるが、風は既に紡絆を抜かして、止まった。

背後から風の姿を見る紡絆は表情が見えないが、風は両手を後ろで組み、さっきの紡絆のように青空を見上げていた。

 

「けど、そうね。紡絆は放っておくと不安要素しかないもの。しっかりと指示してあげようじゃないの」

 

「それなら、俺も安心---うん? ちょっと待ってください! 不安要素!? 不安要素ってなに!? 俺はいつも真面目なんですけど!」

 

大丈夫そうな様子を見て安心しかけたところで、紡絆は引っ掛かりを覚えて、不服そうに伝える。

良い話で終わるかと思えば、失礼なことを言われたのだ。突っかかるのは当然だろう。

 

「さぁて、なんの事かしらね。気のせいじゃない?」

 

しかし、そう言って振り向いた風は笑顔を浮かべており、ニヤニヤとしたのを見て、紡絆は呆れたような表情をしながら隣へ移動する。

 

「いいや、絶対気のせいじゃないです! 俺、難聴系じゃないんでちゃんと聞こえてましたからね!?」

 

「男なんだから細かいことは気にしない気にしない! まだ依頼は残ってるんだからさ、早く行きましょ行きましょ」

 

「細かい……細かいのか……? そうなのか……!?」

 

風が紡絆の後ろへ行き、背中を押していく。

紡絆は風の言葉に惑わされ、混乱していた。そんな姿を後ろから押しつつ、くすりと笑いながら呟く。

 

「アホで助かるわ〜」

 

「あーっ! 今言いましたよね、絶対バカにするようなこと言いましたよね!?」

 

「あたしがそんなこと言うわけないじゃない。あんたは勇者部の部長であって、先輩であるあたしのことが信じられないの?」

 

「うわぁ……卑怯な大人だ。先生に言いつける並に卑怯な手段だ!」

 

「あたしまだ子供だしぃ? わかんないからなーうん、仕方がない!」

 

「ち、ちくしょう! 正論だ! そんなこと言われたら信じるしかないじゃないか!」

 

紡絆は途中から自分から歩くようにしながら、不満を伝えては風が紡絆を言い負かす。

正論をぶつけられてしまえば何も言えなくなる紡絆は、何処か悔しそうな声音だった。

 

「でも……ありがとう。お陰で少し楽になったわ」

 

だが風は紡絆のそんな様子を気にした様子がないまま、小さくそう呟いた。

(かぜ)にすら負けてしまいそうな、本当に細い糸のような、小さな囁き。

 

「え? なんか言いました?」

 

「べっつに〜?」

 

当然ながら、紡絆にそのような声は聞き取ることは出来ず、きょとんとしていたが何でもないというように風は逸らす。

紡絆は何かが聞こえたのは気のせいだと思い、これ以上は何も言うことは無かった。

 

(本当に……こういう時に限って無駄に鋭いんだから。邪な考えもなく、ただ本当に心配して言っているからこそ、困るのよ。調子が狂うというか……)

 

それが紡絆の魅力だとは分かっているが、先程の発言を思い出して後ろにいるのを良いことに風は俯きつつ、顔を赤めていた。

仲も良く、不安を抱いていたことを見抜いて、守るなんて言われてしまえば幾ら風でもドキッとしてしまう。

これでも彼女は乙女なのだ---

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

そんなこんなで、今日出来る依頼を二個ほどこなすと、今日は引き上げることになった。

紡絆は最後の依頼の途中で準備が出来たことをスマホの通知によって知ると、終わったあとにどうやって風を連れていくか相談していなかったため、アドリブで何とか強引に説得したのだ。

 

「じゃあ、樹ちゃんが来ると思うので俺はこれで」

 

「樹が? ちょっとどう---ってちゃんと説明しなさい!」

 

東郷の家の前に辿り着くと、それだけ言い残して紡絆は超人的な身体能力を解放して一瞬でその場から姿を消す。

やったことは物凄く速く走っただけだが、風からするとギャグアニメのような足の速さで走っていったようにしか見えなかった。

 

「なんなのよ一体……」

 

「あ、お姉ちゃん!」

 

何の説明もなく妹である樹が来るとだけ言われた風はため息を零し、すぐに樹がやってきて駆け寄ってきた。

 

「あ、樹。紡絆が物凄い速度でどっか行ったんだけど、何か知らない?」

 

「え? そ、そうなんだ……そ、それよりお姉ちゃんこっちこっち!」

 

風は消えた紡絆のことを聞くが、どうにかして離れるとしか聞かされてない樹は話題を変えるしかなく、風の手を引っ張っていく。

引っ張ってるのは樹だからか、風は特に抵抗したりしない。

 

「お邪魔しまーす!」

 

「え、ちょ!?」

 

そんな風を良いことに、樹はそのまま引っ張って東郷の家へと入っていく。

何の説明もなく、勝手に侵入するような形になってしまっている風は遠慮がちに歩きながら声を潜めて樹へ声をかけた。

 

「い、樹? それはまずいんじゃ……」

 

「大丈夫だよ。既に連れてくることは伝えてるから」

 

「えっ? どういうこと? 紡絆といい樹といい、そろそろ何なのか教えて欲しいんだけど……」

 

「うふふ…もう少し♪」

 

何も知らされてない風からすると不安だろうが、既に許可は貰っているらしい。

しかし依頼を終わってから紡絆は明らかに何かを隠していると誰の目から見ても分かるくらい怪しかったし、樹も樹で何かを企んでるようにも見える。それがなんなのか、風には皆目見当もつかなかった。

一方で樹は何も分かっていない風の姿を見ながら、こっそりと細長い円柱状の小道具をポケットから取り出してワクワクとしていた。

 

「あっ、お姉ちゃんここ開けて」

 

「あーもう、後でちゃんと説明してよね」

 

目的地と思われる部屋の前に着くと、樹が止まって風に開けるように言う。

なんのつもりかは分からないが、後で説明してもらうように言った風は警戒することもなく無防備に扉をゆっくりと開け---

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

扉を開けた瞬間、パパパーーーン!!…パーン! と言った豪快な音が鳴り響いた。

約一名だけ若干遅れたことは秘密にしておこう。

 

「うぉぁっ!? な、なに!?」

 

突然の破裂音とともに色とりどりのテープが飛翔物として飛んできたのだから驚くのは無理もない。

だがそれだけではなく、パーン!と風の隣から先程と同じ破裂音が鳴り響く。

 

「ひぁあ!? えっ、樹も!?」

 

さっきは距離があったが、今回は間近くでやられたせいで風は一際驚いてしまう。

そんな風を見て、部屋の中にいる三人は大成功と言わんばかりに笑顔を浮かべながら口を開く。

 

「「「風先輩! お誕生日おめでとうございます!」」」

 

「えっ、友奈に東郷? それに紡絆はいつの間に!? た、誕生日? あたしの誕生日は5月1日だけど……でも今日は……えっ? ど、どういうこと?」

 

「俺のせいで六日も遅れてすみませんでしたー!」

 

突然の三人のお祝いに日にちが過ぎているのあって混乱するが、紡絆はそれは本当に、物凄く申し訳なさそうな表情をしながら綺麗に土下座を決め込んだ。

 

「紡絆先輩の言う通り、六日も遅れちゃったけど……お誕生日おめでとう、お姉ちゃん!」

 

土下座しだした紡絆が余計に風を混乱させているが、樹も風に状況を説明するようにお祝いする。

そこでようやく、風も気づいた。

 

「もしかして、紡絆以外予定があるって言っていたのはこれのため!?」

 

「うん、皆と一緒にお姉ちゃんの誕生日をお祝いしたかったの!」

 

「あ、俺は風先輩に悟られることないように時間稼ぎ要員でしたので。ちなみに分かれた後回り込んから裏の方からぴょーんと侵入しました。

いやそれにしてもほんと意識不明になってスミマセン……」

 

「あれは仕方がないと思うけど……。

でも風先輩。その分紡絆くんは率先してたくさん頑張ってくれたので、許してあげてください」

 

「風せんぱーい! 主役はこっちですよー!」

 

未だに土下座をやめない紡絆に一応のフォローが東郷から入るが、場は誕生日会だというのに土下座している者がいて、テンションの差も激しいせいで中々にカオス。

 

「ほら、紡絆くん! 早く行かないと!」

 

「お、おぉう……じゃ、じゃあ、風先輩はごゆっくり!」

 

土下座したままの紡絆を友奈が引っ張って起き上がらせると、紡絆は引っ張られる形で動くが慌てて声を挙げると、二人は部屋から出ていった。

 

「えっとごめん、あたしまだ状況を整理しきれてないんだけど……」

 

「風先輩ったら…去年はお祝いさせてくれなかったではありませんか。なので皆で話し合って今回こそは、と遅れた分、盛大にお祝いする計画を立てていたんです」

 

「あはは……そうだっけ?」

 

「そうですよ。ただまあ、結局悩んだ結果が風先輩の欲しい物は分からなかったままだったので、皆で料理を作ったんです」

 

「お待たせしましたー!」

 

状況を理解しきれてない風に東郷が説明をすると、紡絆より先に友奈が帰ってきた。

友奈は大きなお鍋と大量の揚げ物や具材が入った容器を運んできたのだ。どうやら取りに行っていたらしい。

 

「それは?」

 

「風先輩の大好物であるうどんです!

私と東郷さんが作った特製うどんで、麺は東郷さんが素材を厳選して打った手打ちうどん!

トッピングもかき揚げや海老天、イカ天に油揚げといったようにたくさんあります!

あとは東郷さんイチオシのさっぱり味わいながら、うどん本来の美味しさをしっかりと味わうことができるおろし醤油うどんと私がじっくり時間をかけて煮込んだお肉たっぷりの肉うどんや諸々用意していますよー!」

 

「す、凄い量ね。嬉しいけど!」

 

「去年祝うことが出来なかった分まではりきっちゃいました!」

 

うどんばかりの場は勇者部らしいが、そのボリュームに風だけではなく、見ていた樹も圧倒される。

実は既に帰ってきていた紡絆に至ってはうどん愛に引いていた。四国民とはいえど、紡絆はうどん愛が比較的普通な人間なのと、二杯で殺られる彼からすると引いてしまうのは仕方がないのである。

 

「樹ちゃん、持っていこう。頑張ったんだからさ」

 

「紡絆先輩……はい!」

 

引くのは程々に、紡絆は気持ちを入れ替えて樹に近づくと、風に気づかれないように声をかけた。

それを聞いて樹は頷き、共に風の近くまで向かった。

 

「樹、紡絆? なにこれ」

 

「私たち二人で作った手作りケーキだよ」

 

「ほとんど樹ちゃん作ですよ。俺はちょっとしたフォローをしたくらいです」

 

「て、手作り!? そもそも紡絆って料理出来たの!?」

 

「うっわ、失礼にも程がある発言! 俺だってやらないだけで一般人並みには出来ますよ!」

 

「あ、あはは……そ、それよりほら! ジャーン!」

 

収束がつかないようになりそうになったので、樹が場を変えるようにケーキが入ってるであろう箱を開けた。

すると思い出すように遠い目をする紡絆はともかく、努力の成果を紡絆を除いたみんなが注目する。

何故なら、ふんわりとしたスポンジを包み込んだ真っ白な生クリーム、それを鮮やかに彩るフルーツ、チョコレートのプレートにはお祝いと日頃の感謝を込めたメッセージを添えられた立派な誕生日ケーキと呼べるものがあったのだから。

 

「わー! すっごく美味しそう! ほんとに二人で作ったの!?」

 

「ああ、苦戦したけどほぼ樹ちゃんの頑張りだよ。無事(何度か死にかけたけど)出来て良かったと思う……」

 

「さすが風先輩の妹ね。樹ちゃんすごいわ」

 

「そ、そんな……私一人じゃ絶対に出来ませんでした!」

 

果たして死にかけたことが無事なのかどうかは分からないが、それを知る由もない少女たちは無邪気に話し合う。

紡絆はひとり知っているため、思い出したくないというように遠い目をしたままだった。

 

「ふ……」

 

「……ふ?」

 

そのように遠い目をしていた紡絆が、風が零した単語を聞き取った。

それに思わず一同が疑問を抱く。

 

「ふぇ……ふぉぉ〜ん! 樹が、樹がア゙ダジの゙だめ゙に゙ぃ゙ぃ゙ぃ゙ぃ゙!」

 

「泣くんかい!?」

 

「嬉し泣きだー!」

 

「それほど嬉しかったってことなのね……」

 

「も、もうお姉ちゃん。泣かないで」

 

「な、泣いでな゙ん゙がぁ゙ぁ゙ぁ゙!」

 

「いやそれは無理があるでしょう」

 

まさかの状況に驚きはあったが、場が笑いに包まれる。

そうしてある程度落ち着くと遅くなったがまともな誕生会は開かれ、風は再び皆に祝われていた---

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

◆◆◆

 

420:名無しの転生者 ID:ppdRJbTdy

無事に成功したみたいやな……!

 

 

421:名無しの転生者 ID:Zb9TKmQ5G

あぁ^〜百合空間〜^

 

 

422:名無しの転生者 ID:1NZD8ikmv

やれば出来るじゃねーか!

 

 

423:名無しの転生者 ID:U9+v8LCSP

そうだよ(便乗)

 

 

424:名無しの転生者 ID:cPNmJ+ke+

イッチはいつもそうすりゃいいんだよ

 

 

425:光を継いだ転生者 ID:nX2S4UypW

なんで相変わらず辛辣なんですかね

 

 

426:名無しの転生者 ID:SqHW0qP54

百合の間に挟まるイッチが悪い

 

 

427:名無しの転生者 ID:iHV+SlLYT

全部イッチが悪いし

 

 

428:名無しの転生者 ID:JP8zuy0m/

百合の間に挟まることがなければ基本的に辛辣じゃないけど挟まるやつは有罪なので辛辣になるんだゾ

 

 

429:名無しの転生者 ID:fnSkoAHKs

そりゃ尊い空間に男が入ったらみんな批判するに決まってんだろ、女の子になってから出直せ

 

 

430:名無しの転生者 ID:fzElpEMVs

つまり結局はイッチが悪い

 

 

431:名無しの転生者 ID:hkJ23YpFX

異議なし

 

 

432:名無しの転生者 ID:lrbLjvAVn

判決は?

 

 

433:名無しの転生者 ID:Ua+B+OfiA

ギルティ!

 

 

434:名無しの転生者 ID:F3t95vdzc

や っ た ぜ

 

 

435:名無しの転生者 ID:4KCT4gd56

以上! 閉廷!

 

 

436:光を継いだ転生者 ID:nX2S4UypW

弁護すらさせてくれねぇ!

 

 

437:名無しの転生者 ID:HoR+xLbY4

で、んなことよりプレゼントはよ渡せや

 

 

438:名無しの転生者 ID:TH/P6D+2v

女ァ!には優しい掲示板

 

 

439:名無しの転生者 ID:2YM9d/UQ7

それはそうとして、渡すタイミングとか大丈夫か?

 

 

440:名無しの転生者 ID:HBzhrAZXx

イッチには厳しくても女の子たちが笑顔になれるなら何でもいいからな……結局

 

 

441:名無しの転生者 ID:taJ+cdoDa

そりゃ、優先度は美少女>>>>>>>イッチくらいの差があるに決まってる

 

 

442:名無しの転生者 ID:WW1i6wPM3

当たり前だよなぁ?

 

 

443:名無しの転生者 ID:3NX+grZCG

特に戦闘でも何でもないんだからイッチはどう言われても仕方がないよな!

 

 

444:光を継いだ転生者 ID:nX2S4UypW

慣れてるからいいけど理不尽だなおい!

絶対お前らの中でも同じようなやついんだろ! 一体何人の転生者がいると思っている……!

 

>>439

他の人に誤解されても困るから二人っきりになったら渡すつもり

 

 

445:名無しの転生者 ID:ektSyahi1

(これくらいの方が気は楽だろうし)多少はね?

 

 

446:名無しの転生者 ID:E7YLheEWz

な、ナンノコトカナー

 

 

447:名無しの転生者 ID:iRTWeA1Y0

ワーキャッキャウフフシテルー

 

 

448:名無しの転生者 ID:AfboBnj0k

>>444

余計に誤解されると思うんですけど

 

 

449:名無しの転生者 ID:WQ1e1hMmJ

>>446 >>447

裏切り者だ! 殺せ!

 

 

450:名無しの転生者 ID:T+tttC5B8

ピロピロピピロピロピロピロピロピロピロピロピロピロピロピロピロピロピロピロゴーウィwwwwwwwwゴーウィwwwwwwwヒカリッヘーwwwwwww

 

 

451:名無しの転生者 ID:KoT0OU2AX

>>444

その代わりほら、見つけ次第罵倒されるし……

 

 

452:名無しの転生者 ID:fqSBlZZVA

>>450

TE勢だ! 保護しろ!

 

 

453:名無しの転生者 ID:zlVkxw9pk

いや電話切っとけよw

 

 

454:名無しの転生者 ID:aRzt4ZHI8

ほーらまた話変わるー! イッチのせいだ!

 

 

455:名無しの転生者 ID:KwljelkDx

困ったらイッチのせいにしとけみたいな風潮出てきた……?

 

 

456:名無しの転生者 ID:vkJlgeEdy

ママエアロ。メンタルクソ弱な人には優しくなるけどイッチは全然平気やし。嫌なら使わなければいい話ゾ。

ふざけれる時にふざけるのがここのスレ民。そして百合の間に挟まる男には容赦ないのがホモとここのスレ民だし……

 

 

457:名無しの転生者 ID:nmdyxUiZL

セヤナー

 

 

458:光を継いだ転生者 ID:nX2S4UypW

まぁ、実際気にしてないしなー。てか、こうじゃないと割とマジで反応に困るというか……キモ…息抜きになるわ。

でも肝心な時とかガチ悩みの時は頼りにはしてるぞ!

 

じゃ、そろそろいってくらぁ

 

 

459:名無しの転生者 ID:RuMZ6UB1K

いってらー

 

 

460:名無しの転生者 ID:nKOF6foty

べ、別にイッチのためじゃないんだからね!?

 

 

461:名無しの転生者 ID:Mv3bB3fsD

>>458

おいゴラ待て、絶対キモイって言おうとしたろ!

 

 

462:名無しの転生者 ID:c5QMU7Vde

イッチもイッチで時々毒吐くことから楽しんでるようでなによりです

 

 

463:名無しの転生者 ID:GyFs/ZYTi

実際転生者ほど頼りになる存在はそうそういないしね。世界によっては有能はいても、結局少数だしこっちは大人数ですしおすし

 

 

464:名無しの転生者 ID:q5rM/hf39

>>458

イッチって結構寛容だしノリはいいよな。それに周りが美少女ばかりなのに性的な意味の暴走もせんし。

……つまりイッチはホモQ.E.D.

 

 

465:名無しの転生者 ID:pfSS1tUaG

 

 

466:名無しの転生者 ID:L+6exjoPY

大草原

 

 

467:光を継いだ転生者 ID:nX2S4UypW

なんでやねん…

 

 

 

◆◆◆

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

楽しい時間というのはあっさりと過ぎるもので、片付けに入りながら紡絆は脳裏で聞き捨てにならない発言に否定しながら片付けていた。

 

(後はプレゼント渡すだけか……でも良かった)

 

終わってしまったが、はっきり言って大成功と言えるだろう。

なんのトラブルもなく、樹にとって大切な姉の誕生日会を無事に開けて、迎えられたということはきっと喜ばしいことだと、紡絆は自分のように嬉しくなる。

そんな彼はゴミ袋にクラッカーのゴミやいらなくなったものを詰め込み、括ってから持ち上げる。

 

「じゃあ、東郷。俺は捨てに行ってくる」

 

「ええ、お願いね」

 

「任せろ! これくらいはやらなきゃな!」

 

両手にゴミ袋を持ちながら、紡絆は早速駆け出す。

そこまで重たいのはないため、軽々と持てる。

それを玄関から出てゴミ捨て場に丁寧に置くと、満足気に頷いた。

ついでに周りのゴミも回収してゴミ袋に突っ込んだのは勇者部として活動してきたクセが染み付いているのかもしれない。

 

「無事解決……ってな。いや、ほんとに……マジで……」

 

紡絆が思い返すのは、樹のことばかりだ。

正確には樹の手料理である。あれほど毒々しく、禍々しい独特なケーキを作って人の意識を奪う料理だったケーキが美味しいというほどに変わったのだ。まさしくbefore、afterである。

風の誕生日という記念をBADではなくHappyに出来たことに達成感を、誰よりも紡絆が感じていた。

そもそも紡絆と彼ら(転生者たち)から見て、樹の腕は悪くは無いのだ。姉である風が一人で家事をしている結果、出来ないだけで。練習し続けて初心者にやりがちな足りないものを足すというのを無くせばちゃんとした味の美味しい料理が作れるはずだと思っている。

 

「紡絆」

 

「ん?」

 

そんなふうに思っていると、背後から呼ばれて振り向く。

そこにはパーティの主役だった風が立っていた。

 

「どうかしました?」

 

「お礼を言っておこうと思ってね。ありがと」

 

「いやいや、謝罪は求められど感謝される筋合いはありませんよ? 俺が原因で風先輩の誕生日に祝えなかったものですし」

 

感謝される理由がないと言う紡絆に対して、風は首を横に振った。

違うと言いたいのだろう。しかしそれなら何か、と紡絆は首を傾げる。

 

「色々あるけど、樹のこと。大変だったでしょ? 普段あたしが家事してるから、料理なんて初めてだったでしょうし……」

 

「あぁ……まぁ、俺にとって(死にかけたくらいで)可愛い後輩のためですから」

 

決して貴女の妹に殺されかけました、死にかけましたなどとは口に出さず、思うだけに止めながら紡絆はみんなのもとに戻るために風と一緒に歩いていく。

 

「ならいいんだけど。

でも本当に驚いたわ。樹が二日前くらいから帰りが遅かったから何かしてるかと思ってたけど、まさか内緒でこんなこと考えていたなんて」

 

「だったらサプライズ大成功ですね。それ言えば樹ちゃん喜ぶと思いますよ」

 

紡絆がフッ、と笑いながらただ歩く。

他愛もない、普通の話。ついさっきまで秘密にしていた、計画の内容。

 

「あと紡絆がケーキ作れることに関してもね」

 

「東郷や風先輩には敵いませんけどねぇ。俺、基本的に料理しませんししてませんし」

 

「十分だと思うわよ。少なくとも男で家事が出来るってことは魅力的なポイントの一つでしょうし」

 

「じゃ、風先輩は超魅力的ってわけですか。流石です女子力先輩」

 

「いやぁーそれほどでも〜って、名前が消えた!?」

 

「女子力部長!」

 

「誰よ!?」

 

「あはは、冗談ですよ風先輩。実際んとこ、風先輩が魅力的な女性ってことは知ってますから」

 

「え、あ、そ、そう?」

 

揶揄うことをしたかと思えば、紡絆は突然真面目になって言い出した。

互いに落差に着いてこれるのは凄いが、流石の不意打ちに風は照れてしまう。

 

「はい、いつも頑張ってくれていることも知ってます。ということで俺からのプレゼントですよ。いらなかったら捨ててください」

 

普通からば雰囲気を大事にするだろうが、紡絆はムードなんて関係ないと言わんばかりにあっさりと包装された少し大きめのものを渡した。

 

「い、いや捨てたりはしないけど……これは?」

 

「誕生日プレゼントですけど、大したもんじゃないんです。詳しくは開けてください。

渡すなら二人っきりのタイミングがいいかと思いまして。

じゃ、あまり時間かけて怪しまれても困るでしょうから俺は先に行ってますね!」

 

「え、あ、ちょっとぉ!?」

 

唐突な連続の出来事で目を点とする風に畳み掛けるように言った後に紡絆は走って戻って言った。

きっと紡絆のことだから早く戻って手伝おうなどと思っているのだろう。

 

「まったく……」

 

それを理解してるからか、風は一つため息を吐くと苦笑いする。

そして手にあるものが気になり、少し悩んだ---が、開けることにした。

勇者部には紡絆しか男がいないことから初めて男の後輩の部員から貰う誕生日プレゼントなのだ。戻ってから開けることも出来るが、気になったので外なのもあり、丁寧に開けた。

 

「悪くはない……けど、これをいらなかったら捨ててくださいって普通は言うかしら…?」

 

あったのはタオル二枚とボールペン。

両方とも実用性があるものだが、渡す前に言われた発言を思い出すと呆れるしか他ない。

 

(そもそも貰ったプレゼントを捨てるわけないでしょーが。大切な後輩から貰ったものなんだから……大切にするに決まってんでしょ)

 

普段は前向きな割に、こういうところは後ろ向きなのが何処か可笑しく思えて、風は笑ってしまう。

風にとっては、同年代の男はスマホでいやらしい画像見てたりで子供っぽい、という印象だが、紡絆は当てはまらない。

正確には子供っぽいというよりは純粋な子供のような感じ、でもあるだろう。

色目を使うこともなければ、純粋に心配して気遣うだけ。本当に誰かのために行動する姿を見てると、ウルトラマンになれることに風は違和感を覚えなかった。

紡絆みたいな人間にこそ、相応しいのだろう、と。ただ無茶だけはしないで欲しいとは願うが、間違いなく不可能なので風は諦めた。

 

「風先輩ー? 片付けは終わりましたけど、早くしてくれないと送れないんですけどー? 女の子二人で帰る道は危険でしょう? 樹ちゃんも待たせてますし、早くしてくださーい!」

 

にょきっと生えてきたように玄関から頭を出してきた紡絆だが、こういった点ではしっかりとした男らしい姿に、大きな声で返事しながら戻っていく。

その時、そのように不思議な魅力があるからこそ、あの後輩の周りには人が集まっていくのだろうと、風はそう思ったのだった---

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 





○継受紡絆/ウルトラマンネクサス
実は作中未だにウルトラマンの重圧で大事なことを忘れて押し潰されかけてた時以外には曇ったことがないやつ。
問題ないと思うけど、過去の話は前世の記憶を取り戻す前です。

○犬吠埼風
復讐心を抱く者と、抱かない者。
本来ならば抱く方が自然だが、抱くことをしない紡絆の姿を強いと感じた。
ちなみに前述通りなので、過去の紡絆くんはバーテックスのこともウルトラマンのこともまだ全て知らないので、知ってて言った訳では無い。

○うどん
参考はゆゆゆいで、大成功すると友奈は肉うどん。東郷さんはおろし醤油うどんになるぞ!


▼Q.紡絆くんから見てそれぞれの勇者の武器は?

A.友奈→友奈らしいなー
東郷さん→なんか違和感ないし似合ってるなー
風先輩→さては女子力が具現化でもしたのか……?
樹ちゃん→大型相手には使いにくそう
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