【悲報】気がつけば目の前に知らない遺跡があるんですが…【なにこれ】   作:絆蛙

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お待たせしました。アンケートは気になっただけで本作品には全く死ぬほど影響しないので気にせずにしてください。
今回はやらなくちゃいけない話の重要回。二話か三話構成です。
ネーミングセンスに期待はするな、俺はゴミだ(自虐)
難易度? はっ、この程度まだハードとかベリーハードクラスで、ルナティックと思ってんじゃねぇよ。まだ足りねぇよなぁ!? そんな話です。




「-昇華-サブリメイション」

◆◆◆

 

 第 13 話 

 

-昇華-サブリメイション

 

×××

 

???編前編

????編

 

 

◆◆◆

 

 

 

 

 

 

 

 

 

荷物運びの依頼から次の日、5月10日火曜日から5月15日までの、週の終わり。そして5月16日の月曜日から始まる週の始めから一週間の終わりである5月22日の日曜日。

特に何もなし。

ただ部活の活動をして、暇を潰して、寝て、ご飯を食べて、騒いで、部活して、授業を寝て、提出を忘れて、遅刻して、帰って、本読んで、ゲームして、クラスメイトと笑い合って、中間テスト名前だけ書いて寝落ちして、終わり。

何も無く、何も変化はなく、ただ何も変わらぬ平凡な普通の日常を過ごした。

ここまで来ると、連日バーテックスとスペースビーストの襲撃があったのが嘘のようで、また来るのではと身構えていたのに拍子抜けも良いところだろう。

バーテックスはともかく、スペースビーストなら来るのでは?と思って一応警戒していた紡絆も、ここまで来ると警戒の『け』の文字もないほど無警戒となっていた。

少なくとも、勇者部のメンバーは皆、かなり前からお役目について置いておいて、日常を謳歌していた。

ただ紡絆だけは5月に入ってからもずっと、スペースビーストという予想出来ない存在に身構えていた。お役目が始まる前から戦っていたのだから、紡絆だけは警戒していたのは不思議ではないだろう。

しかし、全く来ない。来て欲しいとは微塵も思ってはなくとも、不完全燃焼も良いところだ。

 

(大打撃を与えたってことかもな……グランテラは強敵だった。ザギとやらがどんなやつかは知らないけど、かなり手を貸していたようだし、大事な駒のひとつだったのかな)

 

覚醒した、力を受け継いだジュネッスの攻撃すら与えてもダメージにはならなかった装甲。そして敵が持つ強力な高威力の遠距離に近距離攻撃。

紡絆からすると、戦いたくない相手である。オーバーレイ・シュトロームが当たったから良かったが、もし避けられていたなら敗北は確定だったのだから。

 

(ただな……ファウストが気になる。俺の影……なんて言ったわりには姿を現さない。

でも、ウルトラマンが光であるならファウストはその光が発する際に現れる影…つまり俺が変身しなければ出てこない、のか? それとも、それを狙っている?

転生者たちもビーストやファウストが襲ってこないことを不思議に思ってるし…)

 

月曜日である、5月23日。

紡絆は授業を受けながら、珍しく頭を使って考えていた。

いや、正確にはずっと考えていたのだ。掲示板の人たちとふざけ合ったりしたが、紡絆の世界からすると5月の中旬くらいにここまで現れないのは何か目的があるのでは?という意見が出てきてから、悩むことになった一つのこと。

まぁ、悩んだところで分かれば苦労しないので、当然予想は全然つかなかったりする。

 

「……難しいな」

 

ボソッと紡絆が小さな声で呟く。

元々紡絆は頭が良いとは決して言えない。

前世は平凡。今世では平凡---より下回っている。

周りから散々言われている通り、バカだ。

そもそも裏技みたいな感じで前世の記憶を持つが、前世の肉体がそのまま持ってこられたわけではなく、この世界で生まれてるため、記憶を思い出しただけで前世とは肉体は別なのだ。

だから知能が前世並にはならないわけで、決して良いとは言えない成績だ。

そのくせして星関連や宇宙なら中学生で収まる範囲ではなく、専門学校に通う生徒たちに匹敵するのではという知識量があるのだから、大半の知能がそっちへ入っているのだろう。そもそも西暦の時代の資料は少なくなっているため、前世の知識としてちょっとは持っていた点は利点のひとつでもある。

ちなみに計算は星や宇宙関連でも必要だからか、実は数学そのものの成績が良い。

 

「連立方程式……難しいよね」

 

「ん……? あぁ、うん」

 

隣の席のクラスメイトに話しかけられ、授業中なので普段の明るさを潜めながら曖昧に頷く紡絆。

考えてる事は思い切り別で、そもそも授業に関係ないのだが。

 

「じゃあ、この問題は---紡絆くん。解けるか?」

 

「え? あっ、はい」

 

ノートすら取ってない紡絆は呼ばれて返事するが、ノートすら取っていないということは、問題そのものを見ていないので分からない。

黒板を見ると、連立方程式の公式と問題が書かれていた。

3(2x+3y+1)-(2x-5)=11

2(4x-7y)+3(x+5y-8)=8

その答えを先生は聞いているのだろう。

言えば良いのかと思ったが、様子からして黒板に書けということだと察した紡絆はぼんやりとしつつ、解き方は平成と特に変わらない点からチョークでパパっと書いてから席に戻った。

そして頬杖を着きながら窓を眺め、ぼうっとする。

 

「……正解だが、まだ習ってないのによく出来たな」

 

カギカッコのある連立方程式はまだ範囲ではないのか、先生は驚いたような声音だった。どうやら、問題は授業とは関係ないらしい。

おぉー、といった声もクラス内で出てくるが、肝心の紡絆は黄昏れていて残念ながら聞いていない。

ちなみに答えは、x=3,y=-1。

特に整理する訳でも考える訳でもなく、その場であっさりと解いたのだから、普段の馬鹿さ加減は何処へ行ったのだろうか。

そんな紡絆は、目を閉じながら机に倒れた。

しばらくすると、寝息が小さく聞こえる---つまり、寝た。寝たくなったから早く解いたのだろう。前世の知識様々である。

先生も注意しようとしたが、範囲外の問題を解いた紡絆に聞かないと分からないなんてことも言えず、軽い注意だけはした。

なお、紡絆は鼻提灯を作りながら華麗なスルーを決め込んだが。

 

 

 

 

 

 

 

チャイムの音が鳴る。

紡絆は起きる---ことはなく、鼻提灯を保ったまま寝ていた。

 

「紡絆くん、起きて! 授業終わったよー? お昼食べなきゃ、お腹空いちゃう!」

 

既に昼休憩に入ったからか、友奈が紡絆の体を揺らして起こそうとする。

が、紡絆は寝たまま起きようとしない。

 

「東郷さん、どうしよう?

……東郷さん?」

 

「あっ、ごめんなさい友奈ちゃん。そうね……」

 

反応のない東郷に友奈が二度呼びかけると、一体何をしていたのかスマホを収納した東郷は悩むように顎に手を当て、思いついたように行動に移す。

取り出したのは、弁当箱。それを開けてから近くに置いた。

明らかなトラップ。しかし、そんなのに引っかかる人がいるのか?と言われると、滅多に居ないだろう。

大食いタイプの人ならともかく、紡絆はそこまで大食いでもなんでもない。むしろ少食に分類されるタイプなので、そのような策に引っかかれば、それはもう紡絆がただ単に単純で純粋で、バカみたいなもの---

 

 

 

 

 

「……飯の匂いがするッ!」

 

「わっ、起きた!?」

 

バカだった。

鼻提灯が割れ、ハッとした様子で紡絆が周りを見渡す。

周りを見渡せば、それぞれ集まってご飯を食べていたり、別クラスに移動したり別クラスの者が居たり、一人でご飯を食べる人もいる。

そして友奈と東郷は間近くに居た。

 

「おはよう、紡絆くん。授業、終わったわよ?」

 

「おはよー、大丈夫?」

 

「ん、おはよ。大丈夫大丈夫。……たぶん。いや、それよりいい匂いしたな、と思ったら東郷の弁当か。納得」

 

挨拶を返しながら、紡絆は一瞬目を逸らした。

恐らく、成績について大丈夫と言い切れなくなったのだろう。それを追及される前に、話を逸らした。

 

「紡絆くんのお弁当は?」

 

「よく聞いたな、友奈。俺の今日の飯は……これだ!」

 

カバンから取り出して、紡絆は何故かドヤ顔で友奈と東郷に見せる。

二人は見た瞬間、どう反応するべきか戸惑った。

なぜなら、紡絆が持つ物のパッケージにはこう書かれていた。

『エネルギー3秒チャージ! ウルトラインゼリー!』と。それはつまり、ただのゼリーだ。あくまで炭水化物やミネラルといった栄養を補給する物で、食事かどうかと言われると微妙だ。登山などに行くならば、分かるのだが。

栄養しか取れなく、空腹を抑えきれるかと言われると……まぁ、間違いなく無理としか言えない。

 

「えっと……それだけなのかしら?」

 

「そうだけど? 家にどん兵衛やカップラーメンしかなかったし」

 

「紡絆くんが普段何を食べてるのか、すぐに分かるね……」

 

いくらなんでも、自分に頓着してないにも程がある。

食べれたら何でもいいだろ、という思考なのは東郷だけではなく、友奈ですら分かったし、栄養バランスなんてないようなもの。

 

「インスタント系は楽だからなぁ。料理出来ないことはないけど、自分のために作るってなるとやらないかな」

 

「紡絆くんらしいけど……ちゃんと食べないと体、持たないわよ? 特に紡絆くんはたくさん動くんだから」

 

「うんうん、それに美味しいものを食べた方が元気出るし!」

 

「まぁ、確かになぁ」

 

なんて言ってる間に完食する紡絆。

流石3秒チャージ。ウルトラが付くだけあって、ウルトラ速いものだ。

そして紡絆は欠伸をすると、手持ち無沙汰になったのでゴミだけカバンに放り込んでおいた。

だから物凄く動く割にうどん二杯で限界を迎えるほど胃袋が小さくなるのではないのだろうか。間違いなく運動量と消費カロリーが採ったカロリーと釣り合っていない。

 

「紡絆くん、私の食べる? 流石に足りないと思うし……」

 

「あ、私のもいいよ? ほら!」

 

「いや、流石にそこまで迷惑掛ける訳には---あ、ちょまっ」

 

言い切る前に、まさかの友奈にお箸を突っ込まれて食べるしかない紡絆。

抵抗して喉に突き刺さったり変なところに刺さってダメージを負いたくない紡絆は抵抗することなく突っ込まれた食べ物だけ取って口の中で咀嚼する。

 

「あ、あのー美味いけど、俺の話聞い---んぐぁ!?」

 

そして今度は東郷のを(無理矢理)口の中に突っ込まれ、やはり咀嚼するしかない。

しっかりと飲み込んだ後、紡絆は口を開いた。

 

「ちょっと待て、美味い。美味いけど聞いてくれない?」

 

「足りないかなーって思っちゃって」

 

「友奈ちゃんがしたから私もやろうかなと……」

 

「なんだそのルール……」

 

善意でやった事だと分かるため、強く言うことも出来ない紡絆は諦めたように息を吐く。

ちなみに周りから見たらイチャついてんな、こいつらとしか思われないのは気づいてるのだろうか。

 

「それより俺のことはいいからさ、二人は食べてくれ。くれるのは嬉しいけど、二人が足らなかったら本末転倒ってやつだろ」

 

「朝食べてきたし、私は全然平気だよ〜」

 

「私も大丈夫よ?」

 

「………oh」

 

まさかの返答に紡絆は手段を失って顔を覆う。

紡絆の頭にはもう乗り越えられるような策を思いつけるほどの思考なく、思考回路は死んでいた。

いや、それは間違いだろう。元から死んでいた。

 

「あ〜……じゃ、ちょっとだけ……」

 

「うん! はい!」

 

「最初からそれでよかったのに」

 

「いや、申し訳なかったし……」

 

あっさりと折れた紡絆はせめてもの譲歩として少しだけ貰うようにし、昼休憩を終えると、また寝たのは余談だろうか。

どうやら、今日はずっと寝たい気分らしい---。

 

 

 

 

 

 

 

 

放課後。

睡眠を十分取ったからか、紡絆は普段と何ら変わらぬ明るさを見せていた。

 

「え? 中間テストの点数? ……なんの事ですかね? ワタシ、ソンナコト、シラナイ。ワーイ!」

 

「悪かったんですね……紡絆先輩」

 

「でも紡絆くんって、理科は満点だったような」

 

「やっぱり勉強会するべきだったのかも……。友奈ちゃんも自分のテストは平気だったの?」

 

「ギクッ……そ、それは……ナンノコトダロー」

 

「なんか現実逃避してるけど、まぁいいか。中間テストの点を聞いたのが間違いだったわ……」

 

相変わらず牛鬼に捕食されて使い物にならなくなった紡絆と現実逃避する友奈を無視し、風は聞いたことに後悔していた。

気になったから好奇心で聞けば、現実逃避者が二名現れてしまった。どうやら芳しくないらしい。

 

「まぁ、何とかなるでしょう! それより早く依頼いきません? また猫の時見たく増えまくったら大変でしょうし」

 

「それもそうね。じゃあ、始めましょうか!」

 

「ういーっす」

 

「おー!」

 

「はい」

 

「う、うん!」

 

中々に性格を現すような返答に風は反応に困るが、今日も勇者部としての活動を始める。

ただし、今日は依頼が時間掛かるものだったわけではないので、比較的早めに解散となったとだけは言っておこう。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

紡絆は依頼が終わり次第解散だったため、家ではなく外に居た。

砂場の近くへ歩いていき、太陽と海を見つめる。

海の水が太陽の光によって反射し、中々に良い光景だと思うし、真夏になっていたら紡絆も突っ込んでいたかもしれない。

周りには誰もおらず、気配もないことを知っている紡絆は懐からエボルトラスターを取り出し、握る。

エボルトラスターの鼓動は発することはない。

 

「ビースト振動波……だっけ。反応はやっぱりないか。ということは、スペースビーストはやはりアンノウンハンドの仕業なのか…生み出されたのか……それとも力そのもの?」

 

ここに来たのは依頼が終わった場所が近かったのと息抜きもあるが、ビーストのことを探しに来たのもある。

もしスペースビーストの発生源がないとは思うが、ここかもしれない。ないとは言いきれないからこそ、来たのだろう。

成果は関係がなかった、ということしか分からなかったが。

 

(昭和のウルトラマンとは勝手が違う……円盤生物と同じパターンでもないなら、どちらかというとヤプールみたいな感じだろうか。そもそも戦った回数からして、情報が少なすぎる。樹海化になっても現れるし、せめて現実に現れるのかどうかさえ分かればまだ……)

 

心の中で独りごちるが、それは紡絆自身の本音。

まだ四回ほどしか戦ったことはなく、現実世界には現れていない。一度目は遺跡、二度目は遺跡、三度目は樹海、四度目は樹海だ。果たして条件があるのかどうか、安心して居られるのかどうかすら分からない。

現実世界に現れないのであるなら、紡絆はこんなふうに空いた時間にスペースビーストが発する特殊な波形を求めて探し回る必要もない。

 

(スレ民の人たちに相談したところで、同じ。

こればかりはどうしようもないなぁ……なんかこう、ザギとやらが俺の存在を認知してるかもしれないのに、こっちだけが全く知らないのは歯痒い。いや、アンノウンハンドの正体やダークフィールドなどの存在を教えて貰える時点では情報量としては勝ってるのか? 俺の力じゃないけどな!)

 

そもそもとして紡絆が持つ知識量は、皆無。掲示板という『ウルトラマンネクサス』という作品を詳しく知っている人たちによる情報提供によるもので、彼自身の力ではない。

だが所詮、彼らが知る知識も原作知識と呼ばれるモノのみ。つまり、それ通りに動き続けるかも分からないため、ずっと使えるかどうかと言われると微妙だろう。

なぜならこの世界は物語ではないし、既に紡絆が姫矢准にしかなれないはずの『ジュネッス』の形態へと至っている。

ネクサスが持つ能力として、ジュネッスというのは適能者一人一人に一つ与えられる特殊な形態であり、スタイルや色や模様といった姿はそれぞれ異なる。

実はとある世界で姿の変わらぬ形態はあったが、それは別の理由(大人の事情)だ。

ただし、この場合は誰も判断は出来ない。本当に同じ姿だが、それこそが紡絆のジュネッスである場合もある---というよりは可能性として高いだろう。

とある世界と同じか、純粋に性質が近いという理由の可能性もあるため、そこは保留すべき案件だろうか。

まぁ、紡絆の場合は戦い方が結構予想のつかない変化球な戦い方をしているので同じ姿だが違う、というパターンである方が今は確率としては高いし、彼ら(転生者たち)もそう思っている。

ついでに紡絆も同じく、だ。

 

「んーっと! ま、考えても仕方が無いし、帰りますかね! あっ、ちょっとこの景色撮ってからにしよう。今なら綺麗に撮れそうな撮れなさそうな気がする! グループに送るぞー!」

 

考えても仕方がないと思考を切り替えると、エボルトラスターを懐に戻す。

そして家に帰宅する前に紡絆はスマホを取り出して、カメラアプリを起動した。

曖昧な心持ちしかないのだが、プロでもなんでもない紡絆は海の水による太陽の反射で見えないようにならないよう気をつけつつ太陽と海をスマホのカメラ内に収めて後は押すだけ---

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

押すだけ、()()()。それだけだったはずなのだ。

しかし、紡絆の指は止まり、紡絆の胸の内で胸騒ぎが起こる。周囲を見渡すと、何も無い。何も変化はいない。

静かで、何かが止まってる訳でもないので海の漣の音も聞こえる。自身の息遣いも聞こえる。鳥の鳴き声も遠くから車の音も聞こえる。

 

「………ッ!?」

 

---ドクン。

懐に慌てて手を突っ込み、懐から引き抜くとエボルトラスターが鼓動を鳴らしながら輝いていた。

一度ではなく、二度も、三度も。

それは、ビースト振動波をキャッチした際に起こる現象。

いや、それは原典のみだ。以前はスペースビーストが居なかったにも関わらず、鼓動が鳴ったこともある。

バーテックス---つまり、樹海化する前。どちらかというと、警告。

ならば警告通りにバーテックスが現れて樹海化するのか、それともスペースビーストが現れるのか。そのどちらかになるのだが、周囲を見渡しても何も無い。

樹海化する訳でもなく、紡絆が疑問を浮かべた瞬間---紡絆の肉体が、光り輝いた。

 

「なっ……まさか!?」

 

一度、似たようなことがあった。

気づいたように声を挙げる紡絆だが、エボルトラスターから発せられた鼓動音は留まることを知らず、紡絆の肉体は光り輝き、その場から姿を文字通りに消した---

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

世界が、変わる。

海も、太陽も、砂浜も、鳥も、先程あった景色や動物、その他そのものが消し飛び、紡絆の周囲には森林と、近くにある歴史的な建造物や石像みたいなものを思わせるようなもの、ストーンフリューゲルのような独特な形を持つ神殿跡くらいしかない。

同じなのは夕陽があるくらいで、場所も地面も何もかもが違った。しかし過去に経験したことのある出来事だからか、取り乱すことはないのだが、初めてウルトラマンになった(運命の邂逅を果たした)時と同じ場所へと転移されたというよく分からない現象に首を傾げる。

 

「樹海じゃない? これで二度目……でも、なんで---づぁ!?」

 

悩む紡絆の頭上を()()()()が覆い隠す。

まるで夜になったと錯覚させられるほどの影。本当に小さい、1〜1.5cmの2枚の羽を持つ昆虫が大量発生したイナゴのように大群を作っているからこそ、大きな影だと思わされた。

正確には、()()()()が正解だろう。

そして紡絆の頭上を通り過ぎたかと言うと、旋回して紡絆に次々と体当たり。

見た目からは考えられない痛みに腕で払いながら、紡絆は横に転がった。

 

「くそっ! この虫もビーストか!?」

 

転がった紡絆はすぐにエボルトラスターではないブラストショットを構えるが、嫌がるように離れていった。

それを見て、紡絆はブラストショットを降ろす。

 

「俺を狙ってる……のは分かるが、行動が読めない」

 

まるで警戒するように集まっており、しかし徐々に足のような、爪のような、体を思わせる姿を作っているようにも見える。

その大群が集まることで一つの大きな肉体を作るような姿は---進化。

人が大きくなるように、生物が成長するように、殻から抜け脱皮するように、獲物を捕食して大きくなるように、吸収することによって大きくなるように、細胞が大きくなるように、大群が一つの個体を作り出した。

群れるだけでは倒せないと察したのか、殺せないと察したのか、合体---いや、やはり進化と言った方が正しいだろう。

一つになることで、大きな肉体を持つ怪物へと進化したのだ。

進化した昆虫の姿は逆立ちさせたGを思わせる姿をしており、固そうな皮膚に、尻尾の部分にも顔がある。 さらには背中にはセミのような羽も生えており、頭部はカブトムシの幼虫、尾部はイナゴを題材してるかのような姿。

それを見た紡絆は---

 

 

 

 

 

「キモっ!?」

 

返って冷静になっていたとだけ言っておこう。

明らかにスペースビーストであるが、いくら紡絆でも露骨にゴキ---Gのような見た目をするビーストを見るとそう言わざる終えないのである。

紡絆ですらこのような反応なので、もし苦手な---いや、勇者である勇者部の女性陣が居なかったのが救いだろうか。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

◆◆◆

 

82:光を継いだ転生者 ID:nX2S4UypW

で、なんだこいつら。特に融合したやつ気持ち悪いんだが……速攻かけて倒してやろうか。俺だけでよかったよ、ほんと

 

〔LIVE:遺跡の近くで昆虫の大群が一体に進化する姿〕

 

 

83:名無しの転生者 ID:pJaEVh3nq

なんでお前はまた遺跡におんねん

 

 

84:情報ニキ ID:OX82Ln2AK

大群みたいなやつはEpisode.5で姫矢准の悪夢の中に出現した昆虫型スペースビーストだ! ぶっちゃけよく分からん! けど、不吉の象徴らしい。小型のビーストであり、大量発生したイナゴのように大群を作っているのが特徴だ!

そしてこの逆立ちさせたGを思わせる姿はインセクトタイプビースト、バグバズン!

Episode.5〜Episode.8まで登場したやつで、鋭い爪と尻尾の口から出す伸びる舌、尻尾の顔には鋏のような顎がある!

それに、これはまさか……初期プロットの設定か!? 初期プロットにはビーセクタの大群が進化してバグバズンになるという予定だった……恐らくその設定を使ったモノだと思われる!

 

 

85:名無しの転生者 ID:Rh9Pe93ry

流石だぜ! 情報ニキ!

 

 

86:名無しの転生者 ID:wmOnS3/4b

相も変わらずスペースビーストは気持ち悪いな!

 

 

87:名無しの転生者 ID:s9vgxPxd0

>>83

てか、本当にこれ。なんでイッチはまた遺跡にいんだよ。そこ、夢の中でみる世界らしいんだが?

 

 

88:名無しの転生者 ID:p/QEdmIxS

確かに。そんな場合じゃないけど、前も居たよな?

 

 

89:名無しの転生者 ID:myS1+btRK

前はアレだっけ、ペドレオンの時だったか

 

 

90:名無しの転生者 ID 9e77L3Jqf

なんか条件あるのかな?

 

 

91:名無しの転生者 ID:V46JDqeJp

どんな感じだったんだ?

 

 

92:光を継いだ転生者 ID:nX2S4UypW

>>83

それは俺が知りたい。

エボルトラスターが鼓動したかと思ったら肉体が光り輝いていつの間にか転移してたもん。なんでやねん……。

しかもまた近くにビーストいる始末だったからな。意味が分からねぇ!

 

 

93:名無しの転生者 ID:wJcUojCq5

もしかして……

 

 

94:名無しの転生者 ID:/WA3IaooN

あーでもそうか。イッチが遺跡に来る度に絶対スペースビーストがいるもんな……え、なんで?

 

 

95:名無しの転生者 ID:x7/RX0mXj

本編にそんなのあったか?

 

 

96:名無しの転生者 ID:CI26mkOHU

うーん、わからんな

 

 

97:名無しの転生者 ID:iiDumDJhW

>>95

や、なかったはず。そもそもあまり出番なかったし

 

 

98:名無しの転生者 ID:9S4E9HRUZ

そうか! 分かった!

 

 

99:名無しの転生者 ID:OXLQGkv+B

マ?

 

 

100:名無しの転生者 ID:/VKctZrZ5

どんな理由なんだ?

 

 

101:光を継いだ転生者 ID:nX2S4UypW

え? なにか分かったの? 原因分かるなら教えて欲しいんだけど、マジで。あと、出来るだけなるはやで

 

〔添付:バグバズンから走って逃げてる動画〕

 

 

102:名無しの転生者 ID:oDLJoN59m

ここのイッチいっつも追われて逃げてんな

 

 

103:名無しの転生者 ID:IY3RBEwnA

>>98

で、どうなんだ?

 

 

104:名無しの転生者 ID:mCX10QzND

俺も分からん。教えてくれ

 

 

105:名無しの転生者 ID:9S4E9HRUZ

絶対とは言いきれないからあくまで予想な?

確か樹海化ってのはバーテックスが現れたら神樹様が貼ってくれる防御結界なんだろ?

 

 

106:光を継いだ転生者 ID:nX2S4UypW

うん、らしい。四国の内部は勇者以外の時間が止まるらしいからな。

俺は何故か問題ないけど。

 

 

107:名無しの転生者 ID:YZ6aqyUOd

あー、そういうことか!

 

 

108:名無しの転生者 ID:wJcUojCq5

>>105

これで確信出来たわ。つまり今イッチがいるこの空間は神樹様の樹海化ではなく、ウルトラマン版樹海化ってことでしょ?

 

 

109:名無しの転生者 ID:FZJC0FGcS

ワッツ? つまりどういうことだってばよ

 

 

110:名無しの転生者 ID:8ojcgHBDb

すまん、簡潔に分かりやすく言ってくれ

 

 

111:名無しの転生者 ID:9S4E9HRUZ

つまりだな、>>108の言う通りなんだけど、神樹様がバーテックスが現れたら樹海化という防御結界を貼るなら、スペースビーストが現れる度にイッチが遺跡に飛ばされるって考えたら辻褄が合うんだよ。

神樹様のを参考にして言うならば、イッチが遺跡に飛ばされる=樹海化。スペースビースト=バーテックス。

スペースビーストが四国に現れるというよりは現れそうになる、または攻めてきたらイッチは遺跡に飛ばされる---もっと分かりやすくいうと、今いる遺跡の場所は四国という内側の世界を守るためにノア様が作った防御結界なんじゃないか?ってことだな。四国にスペースビーストが現れない理由。勇者が召喚されない理由。イッチだけが遺跡に飛ばされる理由。イッチがこれで三度も遺跡に飛ばされた理由。

それを全て顧みて考えると、これの説が一番濃厚かもしれん。初回を除いて毎回スペースビーストが居る時に飛ばされてるし。もちろん、あくまで予想だから合ってるかどうかは分からないけど自信はある

 

 

112:名無しの転生者 ID:4t8qIiacA

はーなるほど。バーテックスに攻められたら勇者が樹海の中で戦うように、ビーストが現れたらイッチは遺跡で戦わなくちゃ行けないということか……。だから四国民はスペースビーストの存在を知らない、と

 

 

113:名無しの転生者 ID:es1KUjxsE

>>111

そう言われると、有り得そう

 

 

114:名無しの転生者 ID:S1XsP1zSs

メタフィールド貼れるんだから結界くらい貼れても違和感はないな。つーか普通のウルトラマンやニュージェネ組ですら自身のエネルギーと引き換えに封印したりしてるし、ゼロだってシャイニングフィールド貼れるんだ。ノア様なら出来ても不思議じゃない

 

 

115:名無しの転生者 ID:BVhfs1klu

>>111

ノア様なら出来るな。劇中にないだけで、使えても全然違和感ないわ

 

 

116:名無しの転生者 ID:kTGd5xMZ1

>>111

それであれか、樹海化と遺跡なら樹海化が優先されるんだな。イッチが毎回遺跡に来る理由も納得

 

 

117:名無しの転生者 ID:VAFfl37VI

ウルトラ界隈あるある。

ノア様→ノア様なら何をしても不思議じゃない。

レジェンド→未だによく分からんけど勝ち確。

キング→ジジーがいればドーにでもなる。ジジーがいればドーにかなる

 

 

118:名無しの転生者 ID:a3nTwpLrN

あの爺さんは宇宙の再生とかいうとんでもないことしたからな……

 

 

119:名無しの転生者 ID:XHu5r3Udm

ジャンボ☆チート

 

 

120:名無しの転生者 ID:z6WM4BMEl

その爺さんをテレビと映画だけで四度も動かしたベリアルとかいう悪トラマンがいたらしい

 

 

121:名無しの転生者 ID:w9iVtKpev

ベリアルはニュージェネでも使われまくるほど因子とか便利だし人気あるし強いからな……

 

 

122:名無しの転生者 ID:AKB+DJG0X

>>120

ウル銀(封印と後半)、銀河帝国、ジードだな

 

 

123:名無しの転生者 ID:M1Io9HZvO

>>118

まぁ、正史じゃないとはいえキングが殺されたら後々ウルトラの星が滅ぶレベルだし……

 

 

124:名無しの転生者 ID:TZVt4sAZb

チートラマンより誰もイッチを心配しないのは草

音沙汰ないけど、今もバグバズンに追われてると思うんですけど

 

 

125:名無しの転生者 ID:tCaOsx6pM

>>124

いうてファウストおらんし、バグバズンはアンファンスで十分な強さしかないしなぁ。ナイトレイダーのナパームにやられるし、そもそも姫矢さんがナイトレイダーに攻撃されてなかったらアンファンスに負けそうだったし

 

 

126:名無しの転生者 ID:YCsY6MYFt

>>124-125

本編でウルトラマンに倒されることもメカにやられることもなかったからな……技術やべーとはいえ、ナパームに負けてる時点でお察し

 

 

127:光を継いだ転生者 ID:nX2S4UypW

>>111

なるほど、結界か。じゃあ気をつけて戦うしかないな……あ、そろそろ殺されそうなので行ってくる

 

 

128:名無しの転生者 ID:PHEtD4Fsk

さらっと言ってるけど危機的状況じゃねぇか

 

 

129:名無しの転生者 ID:zcQBKhBJ7

いってらー

 

 

130:名無しの転生者 ID:tzxSL4O9z

ってらー。

今回のはバグバズンを使うことでイッチのエネルギーを減らす作戦かもしれんな

 

 

131:名無しの転生者 ID:XgbXWIgKp

特にファウストには気をつけろよ。いつ来るか予想がつかん。ただ見送りがめっちゃ緩いの草

 

 

 

 

◆◆◆

 

 

 

 

 

 

 

 

 

配信モードへと切り替えた紡絆は、迫ってくるバグバズンから走って逃げていた。

考えたいことはたくさんあったが、今はただ変身するためにエボルトラスターを落とさないように握りしめ、開けた場所へと出る。

もちろん、エボルトラスターの鼓動音は収まらない。

 

「なんでこうも、ビーストに毎回追われるんだが……。それより、ここならお互いやりやすいだろ!」

 

はぁ、とため息を一つ零すと、切り替えるように睨みつけながらエボルトラスターの鞘を左手で持って左腰に構える。さらに右腕で本体を前方に引き抜くと、本体を左肩に当ててから右腕を伸ばし、空に掲げた。

その瞬間、紡絆の肉体は光に包まれ---ひとつの星が広がるように、水玉が弾けたように、水色の光の奔流が爆発するように赤色の光に変わり、その中をネクサスが右腕を突き上げたポーズで上昇して光を纏いながら右腕を突き上げたままバグバズンの目の前で49mに巨大化して登場した。

 

『ギェエエエ!?』

 

『デヤッ!』

 

突然現れたからか、バグバズンが驚いたような様子を見せる。

そんな姿を気にすることなく、ネクサスは掴みかかると、バグバズンの口を抑え、力勝負に出る。

ネクサスはバグバズンを押すように。バグバズンは踏み留まるように。

 

『シュアァ……ヘアッ!』

 

『キィェアァァ!?』

 

しかしバグバズンの脚の力が強いのか、それともアンファンスだからこそ力が足りないのか、ほんの少し動かせただけで押し切れないと判断したネクサスは人間だと間違いなく腹に分類される口よりかなり下の部分を蹴り飛ばした。

 

『ギィェアアァ!』

 

『フアッ! テアッ!』

 

右腕を前に拳を作り、胸元に左で手刀を作った構えをするネクサスに対し、一直線に突っ込んでくるバグバズン。

ネクサスは冷静に頭を横から抑えることで突進を防ぎ、掴んだまま大きく振りかぶった右拳を叩きつける。

強烈な一撃を受けた反動でバグバズンが怯み、ネクサスはすぐさま膝蹴りをぶつけた。

 

『ギャィィ!』

 

『フンッ! シュアッ!』

 

さらにネクサスがジャンプしながら掴みかかり、向きを変えるように投げるとバグバズンの意思は関係なく前方に進むことになる。

バグバズンが振り向いた瞬間を狙い、ネクサスは強烈なアッパーカットを一撃お見舞いする。

 

『ギャォオォーン!』

 

『ッ!? テヤッ!』

 

再び怯んだ隙に攻撃、といったところで流石のバグバズンも抵抗するように頭を横へ振るうと、ネクサスは腕を挟むことで防御。

しかし相手はただの人間でもなんでもなく、スペースビースト。その攻撃力は高く、防御したにも関わらず、体が反転してしまい、すぐにネクサスが体勢を取り戻すとバグバズンによる追撃の爪攻撃をバク転で回避。

 

『シュアッ!』

 

『ァォオォーン!?』

 

バグ転で回避とともに距離を離し、体勢を完全に整えたネクサスは右から振るわれる爪を、爪ではなくバグバズンの右腕部分を左腕で受け止め、その隙に正拳突きで腹を殴る。

ダメージを受け、すぐに行動が敵わないバグバズンの頭掛けてネクサスは跳びながら横蹴りで蹴り飛ばし、流れるように回し蹴りでダメージを加算した。

 

『イィギィギアァッ!』

 

『フッ! デェヤァアアアッ!』

 

『ギェエアアッ!?』

 

負けじとバグバズンが爪を振るうが、ネクサスは再び腕の部分を抑えることで爪による攻撃を阻止し、さらには胸辺りの部分に手を添えながら一気に力を入れ、背負い投げのように地面へと叩きつける。

 

『ギェェ……グルァァ……』

 

うつ伏せに倒れたまま動かないバグバズンにネクサスは歩み寄る。

歩み寄りながら起き上がらない姿に違和感を抱きつつ、近づいたところで---

 

 

 

 

 

『……! シュッ!』

 

思い出したようにネクサスが跳躍した。

瞬間、先程までいたネクサスの位置に脚を狙ったであろう尾の鋏のような顎が開いて閉じていた。

もしあのまま跳躍しなければネクサスの脚が挟まれていたことは確実。

だが回避したネクサスは、起き上がったバグバズンが気づいたように上空を見た瞬間に、くるりと一回転しながらその勢いを生かして踵落としをバグバズンの頭部に叩きつける。

 

『ギェェ…ギァオオン!?』

 

『デヤッ! シュワッ!』

 

怯むバグバズンに着地したネクサスが回し蹴りを与え、腕を前方で交差。

マッハムーブによる高速移動でバグバズンの背後を取り、尻尾の部分を掴む。

 

『ジュアァァ……デアァッ!』

 

『キィェアァァ!?』

 

尻尾をつかみながら持ち上げたネクサスはそのまま後ろの地面に叩きつける。

そしてバク転を三度行うと、距離を離して抜刀するような構えを取り、右手と左手を行き来するように青い稲妻が迸る。

エネルギーが光に変わり、その光がネクサスの手のひらに纏われた。

 

『ヘアッ!』

 

ネクサスはその光を保ったまま両腕を今度は右胸付近に持ってきて、腕を十字に構えた。

すると十字の一の部分から上の箇所だけ光の光線---『クロスレイ・シュトローム』が放たれる。

 

『ギィヤアアアオォォン!?』

 

倒れているバグバズンには避ける術などなく、断末魔のような鳴き声を挙げながら光線を受け、呆気ない最期を迎えたバグバズン。

大爆発の中、ただネクサス---紡絆の中には拭い切れない違和感を覚えていた。

あまりにもの呆気なくて、あまりにものあっさりで、あまりにもの()()()()

 

(なんだ……この違和感? ファウストが介入してこなかったこともそうだが、あまりにものバグバズンが()()()()

まるで()()()()()()()()()()()()()みたいに……。

俺が強いわけでも強くなった訳でもない。本当に()()()()んだ。

嫌な予感がする……まだ、まだ何かあるはず……待てよ? 情報ニキ曰く、ビーセクタは不吉の象徴! なら---!)

 

ただ違和感を抱いただけで、杞憂なら良い。

しかし胸騒ぎのように、不吉な予感を感じ取った紡絆はウルトラマンとしての姿を保ったまま、周囲の気配を探る。

そしてそれは、叶えられようとしていた---

 

 

 

 

周囲の気配を探ってたからか、後ろから感じた気配。

すぐさまその気配の先を感じ取ったネクサスは振り向き、吹き飛ばされた。

 

『フンッ!』

 

『ウォァァアア!?』

 

地面に何とか着地し、顔を上げた瞬間には胸倉を掴まれて回し蹴りを受ける。

ネクサスは火花を散らしながら地面に伏し、横へと転がる。

瞬間、先程までいたネクサスの地面に穴が空いていた。

その正体は---

 

『ほぉ……避けたか』

 

(ファウスト……! やっぱり来たか! でも違う! こいつじゃない! まだ胸騒ぎがする……なんだ!?)

 

そう、ダークファウスト。

影のように現れたファウストがネクサスを蹴り飛ばして吹き飛ばしたのだ。

だが、紡絆はそれでも警戒しながら気配を探る。違和感を、不安要素を消し去るために。集中して戦うために。

しかし---何も無い。

 

『テェヤァ!』

 

『フッ!?』

 

左手を開いた状態で縦に構え、右手を隠すように横に構えたファウストが、右腕を突き出すと同時に左手を腰に構えて紫色の破壊光弾をネクサスではなく、建造物の中でも唯一独特なストーンフリューゲルのようなオブジェクトがある()殿()()に発射した。

それを見たネクサスは、即座に割り込み、自らの肉体で受ける。

 

『グアァ!?』

 

『やはりそうするか。なら、どれだけ耐えられるか見物だ』

 

『シェアッ!』

 

(俺の動きを読んでいた? いいや、何故か分からないが、俺は無意識に守るように動いた! 

そしてファウストが神殿跡を狙ったということ、俺の体が無意識に動いたということ---それら全てを整理して考えるなら結界の話が本当で、この遺跡という場所が神樹様と同じということッ! だからこいつは神殿を破壊するために狙うんだ!)

 

相手の言動と予想から推測した紡絆はオブジェクトを守る選択を取る。

そんな紡絆に次々と放たれるダークフェザー。それらを肉体で受けるのではなく、ネクサスが両拳を腰に構え、前方に突き出すことで水面に生まれる波紋のような、青色に輝く円形状のバリヤー、サークルシールドが貼られる。

バリヤーによってダークフェザーの攻撃を防ぐことに成功するが、ファウストは手を緩めない。

対するネクサスもバリヤーを貼り続け、神殿跡を守っていた。

 

『こんなものか……』

 

『ジュ……!?』

 

無意味だというようにダークフェザーを撃つのをやめたファウストを見て、ネクサスもバリヤーを解く。

 

(やめた? 何故?)

 

しかしバリヤーを解いたあとも動かないファウストの姿を見て、紡絆は困惑した。

 

 

212:名無しの転生者 ID:Bzb4NxRYJ

イッチ! バグバズンを撃破したところを見ろ! まだ死んじゃいない!

 

 

213:名無しの転生者 ID:P0HTOoOUx

そうか! これは時間稼ぎ! もしかしてバグバズンを強化する気か!? 確かにアンファンスとはいえ、倒された後! スペースビーストの成長と学習速度を考えたら、それをされると通用しなくなる!

 

 

214:名無しの転生者 ID:WJn2BISOl

おのれアンノウンハンド! 今度は何をする気だ!?

 

 

 

 

言われた通りに、ネクサスが視線を爆発したはずのバグバズンの位置に移す。

そこには死体は残っており、暗雲が垂れ込める()()()()のようなものからバグバズンに対して、()()()が降り注いでいた。

 

『ヘアッ!?』

 

(やばい……なんだ? 何かがやばい! アレが終わると俺は()()()! 何故か分からないけど、そんな予感がする! 止めないと!)

 

『ハハハ……残念だが---もう遅い!』

 

即座にマッハムーブを使用してまで全力疾走で近づくネクサス。

しかし、その姿を見てもなお、ファウストがただ嘲笑う。止めることをせず、ただの傍観。

だがそれは---正しい判断だ。

 

『イィギィギアァッ---グゥゥルラアアアアァァ!』

 

『ウッ……グアァァアアアア!?』

 

神の雷撃の如き、天から堕ちてきた凄まじいエネルギーが降り注ぎ、バグバズンが()()する。

あまりにもの凄まじい威力にネクサスの肉体ですら踏ん張っても耐えることが出来ず、一気に吹き飛ばされた。

地面を削り、大量の木にぶつかることでようやくネクサスの肉体が止まる。

 

『ァ……ガハ……。シュア……!?』

 

無事に止まることに成功したネクサスは頭を振ることで意識を鮮明にし、起き上がりながら咄嗟に爆風からダメージを軽減するために庇った右腕を抑える。

その状態のネクサスは視界に捉えたのを見ると、驚愕した。

真っ白なバグバズンの肉体に、宇宙人のような縦長い頭。牛のような角が頭部の両サイドに生え、クマのような毛皮を纏い、背骨が曲がってるのではなく、人のように真っ直ぐと立っている。そして片手には棍棒を持っていた。

それだけではなく、所々に()を現すような丸い印があり、紐のようなものが右腕と左腕に巻き付けられている。

しかし所々に元がバグバズンと分かるような尻尾やセミのような羽もあり、もはや別の進化を遂げたバグバズン、というよりは新種のナニカというべき姿だ。

 

『ヘェア……』

 

(んな……超獣か大怪獣か!?  いや、これもスペースビースト!?)

 

はっきり言うと、先程より幾分かマシになった姿、とも言える。背中が曲がってないからか、カブトムシの幼虫みたいな頭じゃなくなったからか、気持ち悪さは軽減されていた。

だが、紡絆はこんな怪獣を見たことがない。いや、それは---

 

 

231:名無しの転生者 ID:fUZ8IVJ+9

なんだコイツは!? 情報ニキ!(ドンドンドコドコバシバシ)

 

 

232:名無しの転生者 ID:QBFCSNYmd

おい! 流石に盛りすぎだろ! スターマークでもつけた気になってんのか!? それはスターマークじゃなくて星じゃい! いや、でも待てよ? これ……丸いのを線で繋げるともしかして……!

 

 

233:情報ニキ ID:OX82Ln2AK

こんな属性モリモリ怪獣、どのウルトラシリーズにも居ない! まるでフュージョン合体やフュージョンライズした怪獣だ! 少なくともスペースビーストにはこんなやつはいなかった! つまり、全員が知り得ない未知のスペースビーストだ! 能力も分からんし、気をつけろ!

それと、そいつはバグバズンだと思うな! 恐らく生贄召喚されたようなもんだ!

 

 

 

 

彼ら(転生者たち)ですら知ることのない、未知の敵。

どんな特性があるのか、能力があるのか、実力がどれほどか、どんな動きをするのか、どれだけ強いのか、どれだけ速いのか、その全てを知らない。

名前すらも知らない、未知の敵。どう呼ぶことも出来ず、怪獣としか呼ぶことが出来ないだろう。

 

『ギェェ……ガァァアアアァァアアアアッ!』

 

怪獣が動く。

獣のような、バグバズンの声が合わさったような雄叫び。

速度は脚がバグバズンと同じだからか、大して早くない。

だからこそ、冷静に振られた棍棒を見極め、ネクサスはそれを避け---

 

 

『シュ---ガァハッ!?』

 

凄まじい速度で向かってきた()()()()()()両肩を、噛みちぎられた。出血を現すかのように光が漏れるが、動けないネクサスにバットのように振られた棍棒が腹部に直撃し、あまりにもの強烈な威力に吹き飛ばされる。

 

『ァ……グゥ……! デヤッ!』

 

すぐさま起き上がり、今度は二頭の存在に対して、ぐるりと回りながらラリアットをかまし、一気に吹き飛ばした。

 

『フアッ!?』

 

(犬!? 違う、ガルベロスについていたりょうけんみたいな……りょうけん? まさか……考えるのは後だ!)

 

『私を忘れてもらうのは困るな……!』

 

『シュワッ!』

 

犬、それも猟犬の姿を見て思考の渦に潜り込みそうになるが、ここは既に戦場。正体など後々考えればいいと紡絆は思考を切り替える。

そして、思考を切り替えた紡絆は走りながら飛び膝蹴りを放ってくるファウストを見て、ネクサスは拳を繰り出すことで相殺する。

そこで背後から迫ってきた怪獣がネクサスに棍棒を振り下ろし、二頭の猟犬が空中から噛みつかんとする。

巻き込まれないように距離を離したファウストだが、ネクサスは間に合わない。

 

『フッ---デェヤアァァ!』

 

しかし、間に合わないのはあくまで、回避だ。

迎撃するためにアームドネクサスを輝かせ、エルボーカッターで回転しながら防ぐのと同時に二頭の猟犬を切り裂き、怪獣に対して連続で切り付けると、パーティクルフェザーを一撃お見舞しながら角を掴み取り、地面に投げつける。

 

『グルァ!?』

 

『シュワァ---デアッ!』

 

ファウストに対してもパーティクルフェザーを飛ばし、少しの妨害を行うと、攻撃が来る前に抜刀のような構えをとり、腕を十字に構えることでクロスレイ・シュトロームを怪獣に与えた。

怪獣はたったのそれだけで爆発するが---

 

『無駄だ---ハアッ!』

 

『グッ……!?』

 

即座にファウストがネクサスを殴り飛ばし、踏ん張って威力を殺すとすぐにネクサスが爆発した方を見る。

そこには、怪獣が()()()()()()()()()()()()()していた。

 

『へエッ!?』

 

(再生!? 光線技すら効かないのか!? だったら、完全消滅させるために、アレを使うしかない!)

 

この状態で足らないのであれば、もう一段階強さを引き上げるしかない。

そう判断したネクサスは、左腕をエナジーコアに近づけ、アームドネクサスが輝くとすぐに振り下ろす。

すると水音のような音と共に波紋のようなものが広がると、青い光のウェーブがネクサスを覆い、ネクサスはその姿を変化させた。

肩に鎧の肩当てのような板状のパーツがあり、胸のエナジーコアの中心に新たに生まれた半球状の発光体、青色のコアゲージ。

(まさ)しく情熱を体現した、赤き輝きの光---ジュネッス。

 

『ハアァ……シェアァァッ!』

 

ネクサスが脚に力を入れ、一気に駆ける。

ジュネッスに変化したネクサスのスペックは、大きく変わる。

怪獣の目の前まで辿り着いたネクサスは棍棒を横に振るう怪獣の攻撃を跳躍し、回転しながら通り過ぎて回避すると後ろ回し蹴りで一撃を与える。

さらに反応したファウストの攻撃を自ら背中から倒れることで避け、バク転するように脚による打ち上げ攻撃を試みるが、避けられた。

そこに迫ってくるのが、二頭の猟犬。

力強く、堅実な戦い方をするジュネッスに同じことの繰り返しなど通じるはずもなく、片方の顎を抑え込み、もう片方の猟犬を足で踏みつけることで行動を阻止してみせた。

しかし顎を抑え込んだとはいえ、意地でも暴れる。そこで上空にぶん投げたネクサスが、踏みつけた猟犬の腹を蹴り上げることで上空に投げた猟犬とぶつけ合わせた。

 

『チィ……これはどうだ!』

 

『ッ!? グオォ……! デェヤッ!』

 

神殿跡を狙うように、ダークフェザーを発射するファウスト。

ネクサスはすぐさま怪獣を無視して自らの肉体で受け止めることで防ぎ、パーティクルフェザーで反撃。

ファウストは空を飛ぶことで避け、ネクサスはそれを追うために地面を強く蹴ることで、跳躍---

 

 

 

 

 

『グルガァアアアア!』

 

『シュア---アグッゥ……!?』

 

するはずが、突如として発生した凄まじい重力に地面に叩き落とされる。それだけではなく、地面が沈み込みほどの重力ということは、ネクサスを押し潰すほどの重力を発生させているということ。

 

『ぐ、グググ……アァ……!?』

 

(こ、こいつ……神話に近い力を持ってる……!? 確かギリシア神話の巨人の神、ティターン神族のアトラスは両腕と頭で天の蒼穹を支えていたと言われていたッ! どういう理論かは分からないが、空も地球の一部! つまりこいつの能力は……重力だ!)

 

能力を看破してみせたが、それだけだ。

起き上がろうとするネクサスに対して、降り掛かる重力は凄まじい。空間ごとしているのか、対象の重力を操れるのか、それは分からないが、動けないことに変わりはなかった。

さらに、これは1対1の戦いではない。

 

 

『ハアッ!』

 

『ガ、ハッ……! デュアッ!!』

 

上空から凄まじい速度で落下してくるファウストが、速度を緩めないままネクサスを踏み潰す。

動けないネクサスは空気を吐き出すような声が漏れるが、強引に体を仰向けにするとファウストの脚を掴んだ。

 

『グヌゥ……!?』

 

ファウストの脚を掴むと、ネクサスに掛かっていた重力がファウストにも掛かる。突然の重力の差にファウストは地面に膝を着き、手を着いた。

どうやら、対象が掴んだもの、持っているもの全てに掛かる重力操作のようだ。

 

『シュアッ!』

 

『グァァアアア!?』

 

同じくして動けなくなったファウストに向かって、ネクサスは頭を仰け反らせると一気に振ることで頭突きをファウストの背中に喰らわした。

重力の加わった頭突きは大ダメージとなるようで、ファウストは地面に伏してしまい、怪獣は重力を操っている間は動けないのか、止まっている怪獣にパーティクルフェザーを飛ばした。

 

『ギャァオオ!?』

 

『ヘェアッ!』

 

パーティクルフェザーを受けて重力を解除したその一瞬を突き、重力下から抜け出したネクサスが走りながら跳び、アームドネクサスのエルボーカッターを上から下に振り下ろした。

ネクサスは怪獣の横をすり抜ける。

 

『ギィェアアァ!?』

 

少しの時間差の後。

怪獣の一本の角がポト、と落ちた。悲鳴を挙げる怪獣を無視して、ネクサスが後ろから組み付くと肘で一度、二度と殴る---しかし、大事なことを忘れてはいないだろうか。

怪獣の後ろに組み付くということは、当然---

 

 

 

 

『イィギィギァ!!』

 

『ウワアアアアァァ!?』

 

怪獣のバグバズンの部分である尾が挟みのようにネクサスの右脚を閉じていた。

ネクサスが悲鳴を挙げ、怪獣がネクサスの脚を巻き上げるように吐き出すと、ネクサスは背中から地面に倒される。

 

『ガルルゥ!』

 

『グルァ!』

 

『アアッ……アアァァァ!?』

 

そこに怪獣の両腕に巻き付けられた紐が光ると、二頭の猟犬がネクサスの右肩に噛みつき、抉るように、まるで餌を食べる犬のように激しく削りながら食べる。

光が漏れ、肩当てのような装甲が潰される。装甲がなくなったネクサスの肩を噛み、容赦なく削っていく。抉っていく。

 

『あ……あがぁ……。アアアアアアァァ!』

 

『ギャッ!』

 

『ギャン!?』

 

凄まじい痛みにネクサスは力づくで二頭の猟犬を殴り飛ばすが、二頭の猟犬は再び怪獣の元へ消えていくだけ。

その姿を見ながら右肩を抑えて膝を着くネクサスに、怪獣は近づくとネクサスの頭を掴んだ。

 

『グゥゥルラアアアアァァ!』

 

『ウグッ!? ウワァァァアアア!!』

 

容赦なく棍棒でネクサスの腹部を殴り、殴って殴って殴って殴って殴って殴って殴って殴って---殴る。

肩の痛みによって片腕の使用がほぼ不可になっているネクサスは痛みに耐えながら左腕のエルボーカッターで怪獣の腹を切り裂き、腹部を蹴るようにして回転しながら距離を離す。

 

『フンッ……そこで見ているがいい。世界が壊れるザマをな』

 

『ハァッ……ハァッ……。ウグッ……』

 

ネクサスが地面に両膝を着き、顔を上げると切り裂いたはずの怪獣の腹は再生し、ファウストは神殿跡の目の前にいた。

ネクサスが戦っている合間に重力から解放され、回復してから移動していたのだろう。

だからこそ、紡絆は焦っていた。

 

(あの神殿跡は……ダメだ。俺がウルトラマンになったのがあそこだから、恐らく樹海化した神樹様と同じ……。

なら……!)

 

ファウストが手を伸ばす。

同時にネクサスが両腕のアームドネクサスを十字を作るように交差する。手首に青い輝きの粒子が纏われ、弧を描くように右腕だけを動かして胸のエナジーコアの傍で拳を直線に向け、左手を腰部に固定した。

 

『やはり無理か……!』

 

手を伸ばしたファウストが神殿跡に触れた瞬間、バチッと防ぐように弾かれる。

破壊するようにファウストが右腕に闇のエネルギーを纏った。

 

『シュワァァ……デェアッ!』

 

『チィッ……!まったく楽しませてくれる……!』

 

しかし、突如としてファウストの真横を青く輝く光線が通り抜けた。

すぐにファウストが振り向くと、そこには右腕を真っ直ぐにファウストに向けて拳を伸ばしたネクサスの姿がある。

さらに神殿跡の方を見ると、神殿跡に直撃する直前で光が消え、花火のようにファウストの目の前を覆うように拡散した。

そこから黄金の球状を作るように光が降り注ぎ、地表からは水泡のような光が立ち昇る。

近くにいるファウストは無論、怪獣とネクサスがいる距離まで伸びたそれは、この場の全員を覆っていく。

つまり---フェーズシフトウェーブ。

メタフィールドの展開。

 

『だが、貴様の有利な空間で戦いはさせん。闇に染まれ……ッ!!』

 

両拳を前に交差して突き出し、両腕を高く上げたファウストから闇のエネルギーが発せられ、メタフィールドをダークフィールドへ塗り替えた。

そうして、空が赤黒く、不気味な光が不規則に明滅しているだけではない不浄な空気と汚染された大地の世界へと変わる。

 

『ハァ……ハァ……』

 

さらに、メタフィールドの展開によって始まる命の消費(制限時間)

展開されてから一分も十秒すら経っていないというのに、コアゲージが点滅を始めた。

理由はダメージと、体力とエネルギーの消費。

 

『どうした? 貴様の光はその程度か?』

 

『ウァァァ……ウ、ウウッ……!』

 

立ち上がれないネクサスに対して、首を絞めて地面に押し付けるファウスト。

両腕でファウストの腕を抑えることで和らげようとしているが、焼き石に水。

 

『グァアアアア!』

 

『くうッ……!? ガッ…!』

 

そこに怪獣が迫ってくると、ファウストはネクサスの肉体を持ち上げ、怪獣が突進する。

寸前のところでファウストは避けるが、ネクサスは突進を受けて吹き飛ばされた。

地面に何度も転がり、仰向けの状態で止まる。

 

『ウ……アァ……! シュア……ッ!』

 

だが、ここで負けてはならないのだ。

ネクサスはダメージの残る肉体に鞭を打ち、コアゲージの警告を意識しながらも立ち上がって構える。

 

『それでこそやり甲斐がある。行け』

 

『ギァオオオオォォン!』

 

『ウッ……デェヤッ!』

 

一瞬。ほんの一瞬だけ右肩の痛みを感じて動きが止まるが、ネクサスは向かってくる怪獣の攻撃を左手で捌き、膝を上げて腹部を蹴る。

さらに右腕を振り下ろして殴り、すぐにアッパーカットで追撃した。

 

『デェアァァァ!』

 

『ハッ!? シュアアァァァッ!』

 

怯んだ怪獣をすぐさま前蹴りで吹き飛ばし、浮きながらマッハに達する速さで向かってきたファウストと組み合う。

速度が加わっているため、脚で踏ん張りながら地面を削りつつ抑え込み、止まると互いの力が均衡する。

そこで、ネクサスは手のひらをくるりと反転させて上に向けることでファウストの両腕を掴み、持ち上げるのと同時に背後から倒れて脚で蹴り飛ばす。

 

『グォオオオ!?』

 

『シュワッ! デェヤアアアアァァッ!』

 

『ギィェェ---ギャオオオオオン!?』

 

即座に地面を蹴り、真っ直ぐ跳躍してファウストに頭突きを食らわせると着地。

迫ってくる怪獣の左からの攻撃を左腕で防ぎ、右からの攻撃をしゃかむことで回避する。

懐に入ったネクサスに対して、向かってくるのは尻尾。両手で掴み、エルボーカッターを力強く振り下ろすことで切断して見せた。

断末魔を挙げる怪獣を殴り飛ばすと、切断した尻尾をハンマー投げのように回して、空中から向かってきたファウストに投げつけた。

 

『グハッ!?』

 

『グガァアアアア!』

 

『ハァ、ハァ……! グアァ!? アアァァァ!?』

 

ネクサスに再び掛かる、重力。

片膝を着いたネクサスに、()()()()()()()()()()()()()()尻尾が()()に噛み付いた。

グシャリ、といった嫌な音が鳴り響き、同時にコアゲージの点滅が急速な加速を始める。

 

『ギィヤァオン……♪』

 

既に装甲のない右肩を文字通りに削られ、グチャグチャといった咀嚼するような音が聞こえる。

抉れた右肩から血飛沫のように溢れるネクサスの光と、完全に地面にうつ伏せに伏したその光景が、どういった状況なのかを物語っていた。

そこに歩み寄っていくファウストが、トドメを刺すべく両拳を前に突き出し、左右に拡げていくと闇の稲津のようなエネルギーが行き来していた。

 

『闇ではなく、光の存在であったことを後悔するがいい---』

 

拡げた両腕を紫色のエネルギーを纏いながら戻し、左拳を腰に構えながら右拳を上に掲げ、同時に両拳を突き出した。

そこから放たれる、ネクサスと相反するファウストの光線技---ダークレイ・ジャビローム。

倒れているネクサスに避ける術など当然あるはずもなく、その光線技はネクサスに直撃して大爆発を起こす。

 

『フン、つまらん』

 

二対一で有利な空間とはいえ、避けることも出来ないほどのダメージを負い、抵抗もしなかったことにか心底期待外れと言ったように振り向きながら吐き捨てたファウストは怪獣を前に、連れて離れていく。

 

『………』

 

『ギィェ……ギィェアア! ギィェアア!』

 

『なんだ、煩いやつだ---』

 

ナニカに気づいたように目の前で騒ぐ怪獣の姿に喧しそうに喋るが、少しして何らかの気配を感じたファウストは振り向く。

 

『フンッ! シュワッ! ハァァァ---』

 

『なに!? 貴様は---ッ』

 

声が聞こえ、ファウストは視界に捉えると驚愕する。

何故なら、光線技を受けて爆発したはずのネクサスが無事だったからだ。

さらにネクサスが蒸発するように赤く輝き、両腕のアームドネクサスを前方で交差させると、稲妻の如き青白いエネルギーを纏いながらそれをガッツポーズし、そしてV字型に伸ばしていた。

 

『デェヤアァァ!』

 

そして両腕のアームドネクサスをL字型に組んだ状態で凄まじい光エネルギーの奔流を発射---ネクサスのジュネッスが持つ、最強光線。オーバーレイ・シュトローム。

 

『ええい!』

 

『ハアアァァァ……デュアァアアアアアァァァ!!』

 

『グゥ……ウワァアアアア!』

 

すぐさま、ファウストが左手からダークシールドと呼ばれる円形状のバリヤーを発生させて防ぐが、オーバーレイ・シュトロームの威力が強まるとそのバリヤーを砕き、光線が少し逸れたお陰で直撃を免れたファウストの肉体を掠っただけで吹き飛ばす。

オーバーレイ・シュトロームは消えることなく、ファウストも吹き飛ばしても真っ直ぐに飛んでいく。

何故なら---

 

『ギィヤアアアオォォン!?』

 

『ヘェアアアァァァ!!』

 

先程まで前に居たのは、怪獣。そして振り向いたファウストが吹き飛ばされたということは、その後ろに居たのは怪獣なのだ。

ネクサスからすると、振り向く前のファウストの前に居たのが怪獣。だからこそ、ファウストを狙った一撃ではなく、あくまで怪獣を狙った一撃。

だから、ファウストに直撃することはなかった。

そして直撃した怪獣の肉体があまりにもの威力に後退しながら青い光へと変換されていくが、さらに気合いを入れるようにオーバーレイ・シュトロームの出力が上がり、怪獣の全身が青い光に発光する。

同時にネクサスのオーバーレイ・シュトロームが消えると、怪獣が分子分解されながら大爆発を引き起こした。

 

『ハァ…ハァッ……!』

 

しかし、それはネクサスのエネルギーも同じ。

一度の変身に一度しか使えないオーバーレイ・シュトロームを放ったということは、エネルギーの消費が激しいのだ。

だが、ファウストは掠ったとはいえダメージを負い、怪獣は分子分解された。

つまり、ネクサスの勝利であることに変わりは---

 

 

393:名無しの転生者 ID:8IfQG5u3G

ダメだ、イッチ! よく見ろ!

 

 

394:名無しの転生者 ID:AtJuO2230

バカな! オーバーレイ・シュトロームを直撃して耐えれた奴なんて居ないぞ!? 分子分解されたのまでは見えたが、効かないっていうのか!?

 

 

395:名無しの転生者 ID:MaXgvaOT3

おいバカ! 何してる!? またかよ!? 無茶すんな!!

 

 

 

 

 

『グガァ……ギィヤアァァ……』

 

絶望が広がる。

紡絆の脳内(転生者掲示板)で今彼が持つ、最大最強の必殺技ですら通用しなかったことへの絶望。

それは事実、紡絆も同じだ。オーバーレイによる一撃で逆転を狙ったはずが、それが通じなかった。

しかもコアゲージの点滅も既に速く、メタフィールド(ダークフィールド)の影響でウルトラマンとしての活動時間は持って10秒といったところか。

それ以上のメタフィールド(ダークフィールド)の展開は死を意味し、ここで人生の終わりを迎えることになる。

でも、ここで怪獣にトドメを刺さずに、このまま変身を解除すれば? 予想とはいえ、ここは結界内だと思われる。つまりここが堕ちれば四国に、紡絆が守りたいと願う世界に被害が被ることは間違いがないのだ。

幸いにも、怪獣もオーバーレイ・シュトロームの出力は高かったのか、それとも一度は分子分解されたからか、分子分解から再生した原因は不明とはいえ、再生は不完全。

体のあちこちは崩壊しており、動ける様子はない。一方で、ファウストもオーバーレイ・シュトロームのダメージでまだ動けそうにない。

そしてネクサスは、気合いで動けると理解していた。

だから、最後の鞭を打つ。己の肉体に今出し切れる、この後のことを考えとしない全てのエネルギーを。今日一日分のエネルギーを。今日一日分のエネルギーがなければ、明日の一日分のエネルギーを。

その全てを使って、ネクサスは行動に移す。

右拳を上に向けながら右腕を右腰に、左腕を手刀の形にしながら勢いよく左に振るい、右腕を左腕の方向に持っていくとの同時に拳を開いて同じく手刀の形にすれば、抜刀するような構えを取る。

その構えを取ると、右手と左手を行き来するように青い稲妻が迸って、エネルギーが光に変わり、その光がネクサスの手のひらに纏われた。

 

『デェアッ!』

 

『ギャオオォーン!?』

 

残り9秒。

腕を十字に組んだネクサスは、クロスレイ・シュトロームを放つ。

残り8秒。

放たれたクロスレイ・シュトロームは怪獣に直撃し、徐々に再生していた怪獣の回復が止まる。

残り7秒。

ネクサスがクロスレイ・シュトロームを放ちながら地面を駆けていく。

残り6秒。

怪獣とネクサスの距離が縮まり、ネクサスのコアゲージの点滅がさらに超高速と言えるほどの速度に変わる。

だが、距離が近づくということは、光線技の火力は上がる。

 

『ぐぅぅ……シュワ!』

 

『ギィガァァ!?』

 

残り5秒。

クロスレイ・シュトロームの出力を保ちながらネクサスが地面を蹴り、軽く跳躍した。

残り4秒。

跳躍したネクサスは膝を前に突きだし、怪獣に飛びかかる。

 

『ハァァアアアアアァァァッ!!』

 

『ギィヤァォォォォ!?』

 

残り3秒。

怪獣を押し倒すように組み伏せ、零距離でのクロスレイ・シュトローム。

残り2秒。

全てのエネルギーを使い切るように出力がより上がり、均衡していた怪獣の再生とネクサスの破壊は、ネクサスの破壊が再生を上回る。

貫くことは無かったネクサスの光線が完全に怪獣の再生を潰し、ダメージが入っているのが目に見えて分かる。

そして、残り1秒。

今までのクロスレイ・シュトロームが比にならないほどの、凄まじい速度で次々と発射されるエネルギー。暴発寸前の出力。

少しでも間違えば暴発し、不発になる。自身の肉体をより傷つける。決して超えてはならない瀬戸際を紡絆は躊躇することなく行動に移し、一気にエネルギーが放出された。

そして---

 

 

 

 

 

 

「ガハッ!?」

 

大爆発。

メタフィールド(ダークフィールド)を保つことが出来ず、汚染された世界から遺跡へと変わる。

さらにコアゲージが停止する直前で変身が()()()に解除された紡絆は解除されたことを示すように体から光の粒子が空気中に消えていき、()()()爆風によって、吹き飛んでいく。

 

『グゥゥ……今回はここまでだ……!』

 

ファウストが影のように姿を消して、いなくなる。

だが、紡絆は見た。

吹き飛ばされながら、生身で爆発による余波を受けながらもなお、しっかりと強化された瞳が怪獣の最後を捉えていた。

 

(そう……か……。やつに、怪獣、が……回収ッ……されたッ……! 倒せなかった、理由は---ッ!)

 

まだ怪獣を完全消滅させることも、倒すことを出来なかったところを。倒し損ねてしまったところを。

アンノウンハンドに回収されたところを。

そして何より、倒せなかった理由を、知った。理解した。理解して、理解したのが、遅すぎた。既に敵の手に渡り、紡絆はエネルギーを使い切ってしまった。

追うことも出来ず、再変身することも叶わず---

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

世界が変わる。

爆発によって吹き飛ばされた影響で、遺跡から弾かれるように現れた紡絆の肉体が水面に叩きつけられた。

叩きつけられるギリギリのところで変身解除されたあとに紡絆の懐に入っていたエボルトラスターが輝き、残りの力を振り絞るように薄い青い光の膜を貼ることで紡絆の全身のダメージを軽減する。

しかし水面とはいえ、爆風によって吹き飛んだ勢いは完全に殺しきれないのか、水飛沫を巻き上げながら水を突っ切り、紡絆は砂浜に投げ出された。

 

「ァガッ!? っでぇええむぐ………!」

 

砂を削りながら何とか紡絆は止まることに成功するが、力が入らず、水に入ったのが運の尽き、とも言えるだろう。

()()()()()()()()()と普通に血だらけな()()が血液によって真っ赤に染まっている。左肩も削られているが、右肩よりはマシだ。

そして水と言っても、ここはどこだ? そう、砂浜がある通り---ここは海。

海ということは、海水。

海水の塩分濃度は約3.5%で、人間の体液の塩分濃度は約0.9%と言われている。

しかも突っ切って砂を削った紡絆は、当然肩も腕も砂に当たっている。傷口に海水と砂が入ったことを考えれば、痛みは推し量れないほどに凄まじいのだ。

意識を失いそうになるのを、大声を挙げそうになるのを口に手を当てることで紡絆は耐える。

騒ぎを起こして、大声を挙げて今の状況を通報されたら何も説明が出来ないからだ。

ちなみに海水は感染症を起こす可能性はあるが、そこは覆われている膜が守られていたので問題ない。それでも抉られた肩はどうすることも出来ない。

 

「んぐぅ……あぁっ……!?」

 

右肩から腕まで、真っ赤に染まっている。

別の場所にあったはずのカバンが何故か近くにあることから、一緒に転移されたのだろう。

ズボンに手を突っ込んでハンカチを取れば口に挟み、カバンを左手で強引に開けると、ペットボトルを取り出して左肘で抑える。そして手を動かし、水を地面に零しながら傷口にぶっかけた。

より痛みが伴うが、声を出さないようにハンカチを噛み締める。

だが、いつ消えるか分からない意識が余計に消えそうになる。

応急処置だけはしなければならないという意思からタオルを地面に敷くと脇に入れ、肩を隠すように巻き付けるだけ巻き付けると仰向けに空を見上げる。

既に夕方だからか、オレンジ色の雲。

このまま太陽は地平線に沈んでいき、夜となるのだろう。人の気配を感じれないことから、このまま朝まで居ることになるかもしれない。

それでも、紡絆は考えることだけはやめなかった。

 

(見た……負けた。勝てなかった……あれは()()()()()()()()()()()()()()()……。でも、どうしたらいい? 次来るのは、何時だ? 夜か? 夜中か? 明日の朝か? 明日の昼か? 明日の夜か?)

 

少なくとも、紡絆は二つだけ確信があった。

()()()()()()()()()()()()()()()()()。そして、右腕が今機能しないことから夜に来たりすれば、あっさり負けることを。

確かに撃退した。粉々にした。分子分解させた。爆発させた。それでも、()()()()

能力だけ見るならば。

まるで、不死身。

まるで、無敵。

まるで、最強。

それでも、たった一つ。たった一つの情報が、紡絆の絶望を打ち消し、希望の光を灯していた。

いや、初めから絶望などしてはいない。

絶望をしていれば、考えることなどやめる。抵抗を諦める。身を犠牲にしてまで、相打ちを狙わない。例えその情報がなかったとしても、紡絆は抗い続けたはずだ。それが引き伸ばすことになるだけでも、時間稼ぎにしかならなくとも、対抗策を見つけるために。

それでも、その情報は紡絆が唯一、勝てると確信出来るような、いや---()()()()()()()()()情報だった。

 

(あい……つの……不死身…性は、再生……能力、は…………)

 

意識が消える。

傷を負い、体力を失い、出血し、疲労が一気に降り注ぐ。意識を失うと自覚した紡絆は、たった二つの情報だけは忘れないよう、反復する。

 

(あいつの……正体は---)

 

目が閉じられ、聴覚も、嗅覚も、痛感も、触覚も、視覚も、五感全てがシャットダウンを始め、紡絆の肉体を治すためにも休息を求めた脳が眠らせる。

完全に眠る前に、紡絆は決して忘れないように、普段全く使わない頭を使い、思い出して看破する---

 

 

 

 

 

 

 

 

(---()()()()()()、だっ……た……。そし、て……再生…能力、は……み、た……ま………)

 

思考すらすることの出来ない、電池が切れた物のように微秒だにしなくなった紡絆。

意識が途切れる前に彼を覆っていた薄らとした青い光の膜も消え、完全に真っ暗になった。

そうして、闃寂だけが場を占める。

何も無く、時間が時間なのもあって誰も居ない。

ただ紡絆のポケットの中で、スマホが光を発するだけ。通知が来たことを示すように、少しの間光るだけ。

エボルトラスターも輝くことはなく、沈黙を貫いていた---

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ただ一人。

もう太陽が沈んだばかりだと言うのに、走っている少女が居た。歳は紡絆と同じくらいで、中学二年生くらいだろうか。

ここは有明浜。紡絆が倒れている場所であり、彼女がこの地域に来てから特訓場所として使っている場所でもあった。

動きやすい格好を着ているが、この時間帯となると女の子一人で走り込みをするのは、はっきり言って危険だ。

 

「ふぅ……今日はこんなものかしらね」

 

少女が一息つく。

今日は、ということはずっと何かをしていたのだろう。少女は携帯の時間を見て、帰宅することを選んだ。

その前に、少女は置いていた木刀を二本回収し、忘れ物がないか確認すると---ふと。何となくだが、海面を見た。

理由などなく、見たいから見た。それだけ。

当然、何も無い。

ただ、少女は思い出す。人一倍努力家で、選考で自身を負かした実力を持つ一人の少女を。

 

「馴れ合いなんて不要……私は選ばれた完成形……。他の子たちの分もやらないといけないんだから」

 

固まっている決意を再確認するように小さく呟いた少女は、踵を返して、自身のマンションへと移動する---

 

「……あれって、人?」

 

はずだった。

踵を返した時、見えたナニカ。

地面に伏しているからか、よく見ないと分からないが、人だ。寝ているのか、それとも自殺志願者か。

どちらかと思った少女は悩む。

普通ならば、無視するだろう。しかし、ここで少女のお人好しな部分が出てしまった。

悩んで、見てしまった少女は倒れている人間に対して、近づく。もし悪いヤツなら、撃退すればいいだろうと。

少女は腕に自信があるからこその、発想。

だが、近づいてみると、少女は驚愕の表情をした。

 

「血!? これ……自分ではやれるような傷じゃない……。それに、まだ生きてる。

……あぁ、もう!」

 

苦しそうな表情で眠っていて、砂に血が染み込んでいる。

砂は放っておけば勝手に血の色は無くなるが、このまま放置すれば少女の目の前で倒れている男性は間違いなく死ぬだろう。

流石の少女も、死んでいるなら警察に連絡するぐらいしか出来ないが、生きていて、助かる可能性がある男性を見捨てることなど出来なかった。

しかも、相手は同年代と思われる若い男で、右肩から右腕まで真っ赤に染まっていることから何らかの事件にでも巻き込まれたのだろうと考えられる。

もちろん、犯罪に手を染めたという考えも浮かぶが、不思議と絶対にないという確信があったのだ。

 

「……ったく。どうしてこんなことしなくちゃいけないのよ……でも、見捨てたら夢見が悪いわ」

 

ここで放置するということは、自分が殺したのと同義だと少女は考える。

そもそも少女は、()()としてここに居るのだ。ならば、勇者として救えるはずの民間人の命を見捨てるのは勇者失格だろう、と。

だからこそ、怪しまれないように隠せるものでタオルをしていてもなお、真っ赤に染まるほどの血だらけの肩と腕を隠すと背負いながらマンションへと向かう。

同年代で体重も見た目から軽いと分かるとはいえ、相手は男だ。

その男性を抱えれるほどの力を持つということは、少女が鍛えていることは容易く想像出来るだろう。

そんな少女は同年代と思わしき男の子を抱えながら、補導されたりしないように祈りながら自身のマンションへと運ぶのだった---

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 





〇継受紡絆/ウルトラマンネクサス
右肩の肉がえっぐぅい削られ方して生身で爆風受けたやつ。
本人が負けると予感していた通り、最初から勝ち目なんてないクソイベ。
最後のクロスレイはウルトラシリーズ知ってる方だと皆さんご存知、ジード先輩の零距離レッキングバーストが元ネタ。

〇少女
誰でしょう、この完成型勇者

〇バグバズン
今回の進化……ゆゆゆ風に言うならば、昇華素材。
どうでもいいけど、こいつ以外の鳴き声も文字にすると難しい。多分もうやめる

〇融合型昇華獣 カウベアード・バーテックス・インセクトタイプ
とでも名づけるべきか。
素材のバグバズンの特性を持ちつつ、重力操作をメインに特殊能力を覚えているバーテックスとスペースビーストの融合体。
オーバーレイを受けて肉体消滅→分子分解される前に核である御魂は別の箇所へ移動→超再生→クロスレイで肉体が吹き飛ばされる→アンノウンハンドに回収されながら御魂から高速再生とかいう撃破不可能なチュートリアルクソイベ。
こいつの正体のヒントは、『熊の番人』と『アトラス』と『二頭の猟犬』。超ヒントは前回のラスト。

〇アンノウンハンド
雷みたいなのはイメージとしてはダークサンダーエナジー。
こいつの力そのもの受けてんだからそりゃあ、吹っ飛んで大ダメージ受ける。

〇遺跡/ノアの結界(?)
今までの転移。ファウストが破壊しようとしていること。セリフからして神樹様がバーテックスに対応した結界ならば、こちらはビーストに対応した結界だと予想されている。
もしそうであるなら、四国に侵攻するには結界を壊すしかない。
分かりやすい神樹様とは違い、ファウストの手が弾かれたことからストーンフリューゲルのようなオブジェクトがある神殿跡が結界を貼るものだと思われる。

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