【悲報】気がつけば目の前に知らない遺跡があるんですが…【なにこれ】 作:絆蛙
今回は無理だなと思ったので分けました。
前回合わせて三話構成予定なので、次回で夏凜ちゃんは終わりかと。
もうそろそろゆゆゆ一期前半のラストパートが迫っていて、このままラストまで突っ走りたいですね…脳裏では決まってるので一人感想見てニヤニヤしてたりしてます。
予想とか書いてくれるだけで、何気に刺激になってくれたりやる気に繋がるので助かるんですよね、毎回書いてくださってる方本当にありがとうございます。
あと感想は毎回投稿前に絶対返してますが、してなかったら寝てるので次回投稿する時に返します
夏凛の家に入った紡絆は早速慣れた様子でキッチンへと向かうと、材料を袋から取り出す。
あとは使うための器具を取り出し、一応洗ってから準備を終える。
「私お肉やるね」
「ん、じゃあ俺はスープやその他やっとく」
役割分担すると、紡絆はスープの出汁から。
小都音は鶏肉を程よいサイズにトントンと素早く切っていく。
明らかに手際は小都音の方が良く、紡絆の方はスープというのもあるが、手際も速度も普通だ。
ただ足付けして、調味料足して、材料入れて、終わり。
といってもほとんどの料理は基本そうなので、ぶっちゃけ好みと家庭の味に分かれるとしか言いようはない。
そんなこんなで粉をまぶして全体に行き渡らせ、洗った野菜を切って、肉を揚げて、スープを温め直して、皿やお椀に入れると完成したため、それらをテーブルに置く。
「ほい、終わったぞー」
「お待たせしました」
テーブルに置き終えると、夏凜に声をかける二人。
テーブルにはメインである山盛りのから揚げは中央に置かれ、レモンやキャベツ、副菜、厚焼き玉子、スープと言った献立。
そして白米といった感じだ。
極々普通のメニューで、禍々しいオーラを発したりはしていない。
「なんというか、普通に美味そうね」
「小都音の料理は実際美味いぞ。店で食べるより食べてしまうレベルでな」
「そ、そんなに褒めても何も出ないよ…?」
自慢げに語る紡絆に小都音は照れるが、夏凜はふーんとあんまり興味なさそうだ。
というか、誰が妹自慢を聞きたいというのか。
「ま、食えば分かることだ。それより食べようぜ、時間が時間だしお腹空いてきた」
「ん、そうだね。三好さんもたくさん食べてね。足りなかったら何か作る材料は残ってるから」
「…この量で足りないってのはないと思うけど」
山盛りのから揚げを見て、呆れたように見つめる。
もはやどうやって山盛りになっているのか分からないレベルで山盛りだ。
触れた瞬間崩れそうなレベルで。
「三人なら食べ切ることは出来るだろ。いただきまーす」
「いただきます」
「はい、いただきます」
礼儀良く手を合わせて食事の挨拶をすると、それぞれご飯を食べていく。
美味そうに食う紡絆はともかく、夏凜はから揚げを一口食べると、驚いたような表情をして一度固まる。
「俺が作るより美味いだろ?」
「ふ、ふん……」
普段なら否定するはずの夏凜が、否定することなく黙り込んで、食べる。
箸の手が止まったりしないことから美味しいのだろうと判断した紡絆は何故かドヤ顔であった。
小都音は特に気にした様子はなく、食事を楽しんでいる。
紡絆も料理を作る際は思いやりを持って作っているが、技術面的に小都音の方が上なのだ。
そこに紡絆と同じ思いやりが込められていれば、それは当然小都音の料理の方が美味い。
「うざい」
「なんでっ!?」
「兄さん兄さん、スープ美味しいよ」
「えっ、今言う? ありがとう、夏凜なんて全然美味しいなんて言ってくれなくってさ……しくしく」
一人二役でもやってるのか、というくらいに切り替えが早い紡絆。
そんな彼は、目元を手で擦り、チラッと夏凜に視線を送っていた。
「ちょ……お、美味しいわよ……」
「イェイ」
「なっ……!?」
頬を赤めながら小さい声で呟いた夏凜の声を聞き取った紡絆は嬉しそうにガッツポーズした。
物凄い分かりやすい嘘に、本当に嘘だったということを気がついた夏凜は睨むが、紡絆は目を逸らした。
「いやー美味しいなー」
「誤魔化すな!」
「……本当に仲良いんだ、二人とも」
話を変えるようにパクパク食べ、夏凜はそんな紡絆に言葉を投げかけるが、どうやら食べることに集中するようにしたらしく、紡絆は何も言わなかった。
その話をただ聞いていた小都音は得心がいっていたようである。
食事を終えると、紡絆の姿はなかった。
お皿を洗いに行ったり油の処理に向かったので、すぐには帰って来れないだろう。
同じ部屋にいる小都音と夏凜には特に会話がない。
各々自分のしたいことをしてるだけだ。
その中、小都音が夏凜に顔を向けて、口を開く。
「三好さん」
「何?」
メールを打っていた夏凜は送信するとスマホを置き、呼ばれたために返事をする。
「ひとつ聞いていいですか?」
「別にいいけど、答えられないことは答えられないわよ」
「はい、それならそれで良いです」
質問があるようで、許可が降りた小都音は答えられないなら良いと言いつつ、質問を投げかける。
「三好さんってお兄さん居ますよね」
「……どうしてそう思うのよ?」
「妹の勘です。なんだか同じ感じがしたので」
「勘って……まあ居るけど」
よく分からない勘に一瞬戸惑う夏凜だが、別に答えられることだったようで普通に答えていた。
「で、それがどうかした?」
「別に何かあるって訳じゃないんですけど、どんな感じなのかなーと。私の兄さんは言わないでも分かると思いますけど、私と似てませんし」
「あんなのが二人も居たら逆に困るんだけど……。そうね、一言で言うなら完璧超人」
「完璧超人、ですか…なるほど、私の兄さんとは真逆ですね」
油の処理か洗い物か、どちらかをしているであろう紡絆が居る場所を小都音は優しげに見つめていた。
夏凜はそれが一体何なのか理解出来ないといった表情である。
「簡単に言うと、私の兄さんは真っ直ぐなんです。特別なんでも出来るってわけでも才能があるわけでも欠点がないわけでもなくて、ひたすらに真っ直ぐで、純粋なんです」
「真っ直ぐで純粋ね……」
それは確かに、と夏凜は思う。
初対面でグイグイ来たが、それは邪な考えがあるわけじゃなくて好意だということは簡単に分かったのもあれば、紡絆は嘘が下手で、律儀で変なやつという印象が強い。
ただそれでも紡絆が口にする言葉は大半が純粋な思いが込められていて、ふざけてない時は真っ直ぐだ。
ふざける時は真っ直ぐ一直線にふざけているが。
「ここまで知ってるかは分かりませんけど、私の兄さんって記憶喪失なんですよ。
私もなぜそうなったのか、その理由は知りません。けど意識を取り戻して、記憶を亡くして、最初に行動したことがどんなことか分かります?」
「……さぁ?」
「泣いてる両親や私の心配をして、不安を消そうとしてくれたんですよ。おかしいですよね、本当なら
普通、記憶が無いということは自分の存在すら知らなければ、家族のことも知らない。
見知らぬ他人が自身の家族とか言ってるのだから、普通は怖いだろう。
しかし紡絆が取った行動は、心配。
自分のことは二の次で、他人を優先したのだろう。
誰かは知らないけど、泣いてるなら止めないと。
きっとそんなことを思っていたに違いない。
「兄さんはとても優しくてとてもかっこいいのですけど、趣味を人助けにしてるレベルでお人好しなんです。
でも三好さんと仲良くしたいと思ったのは純粋に貴女が悪い人ではなくて、良い人だから。誰かが良いというわけじゃなくて、
時々兄を褒める言葉を言っているが、流石は妹と言うべきだろうか。
その答えは、実際に合っていた。
確かに誰でも仲良く出来るのが、継受紡絆という人間。
しかし紡絆はあの日夏凜と出会い、心に触れてそうしたいと思ったのだ。
「身内贔屓を無くしても兄さんはお世辞にも勉強は出来ませんし欠点だらけですけど、そんな善悪や本質を見極めるのは得意なんです。
余計なお世話かもしれませんけど、兄さんは例え貴女がどれだけ厳しいことを言っても諦めずに向かってきますよ。だって、貴女と仲良くしたいと思って、貴女のことを良い人だって知ってるから」
「……ほんっとバカね」
聞いてるだけで呆れてるのが手に取るように分かるが、小都音は気にした様子はない。
そもそも普通に一般人視点から見れば、紡絆は変人なのだ。
命の危機に突っ込むやつを普通で表現することなどしない。
「ふふ、そうかもしれません。
けど、いつか三好さんも兄さんの人柄に触れて、惹かれますよ。だから兄さんの周りにはいつも誰かが居て、笑顔の花が咲いてるんですから」
人柄が良く、人望も厚く周囲に認められ、勉強もスポーツもなんでもこなせる完璧人間である夏凛の兄。
人柄が良く、スポーツはこなせるが度が過ぎるレベルでバカなお人好しで、自ら人望を獲得し、周りを笑顔にする他に、本気で人を恨むことすら出来ない小都音の兄。
生まれ持った才能というのはあるかもしれないが、紡絆自身はウルトラマンを宿しているだけの一応一般人なのだ。
だが、人望はある。
それどころか、紡絆の周りには必ずと言っていいほどに誰かが居て、頼られて、笑顔にしている。
この二人を比べたとしても完璧な人間と、はっきり言ってウルトラマンになれたとしても不完全な人間。
正直、前者が優秀だろう。後者など、正直世界から見ればウルトラマンになれないなら価値すらない。笑顔に出来て世界を救えるなら、誰も困らないのだから。
しかし仮に本人同士が会ったとしたら、仲良くなれたりする。
「さて、どうかしらね……」
それを聞いて、言葉を濁す夏凜。
否定は一切しなかったことに、小都音は分かっているのか笑みを浮かべると、ただ一つだけ再度告げる。
「別に三好さんが惹かれていようが、気にしませんけど兄さんはあげないとだけ伝えておきますね。私、異性として兄さんのことが好きなので」
「……は?」
とんでもないカミングアウトに、夏凜がポカーンと呆けた表情をするのを無視して、ニコニコとした笑顔を向けていた。
若干殺意に近いのも出している。
それでも夏凜が微塵たりとも惹かれていなければ、わざわざ紡絆たちを家に入れたりなどしないだろう。
偶然ならともかく、故意的に。
すぐに切れる縁なら、簡単に切れる。どうでもいい存在なら関わらない。
それなら、今の関係はどうだ?
言い合える仲。家に入れる中。ご飯を食べる中。
無理矢理というのもあるが、本人が強く拒否すれば紡絆はすぐにやめたはず。
それはただの知り合いではなく、定義もないことから友達と呼んでもいいだろう。
あとは本人たちが認めるかどうかであり、周りから見れば友達どころか友達以上にしか見えないのである。
「終わったぞーってどうかした?」
「なんでもないよ、三好さんと友達になっただけ」
「えっ、ちょ……っ」
「はへー凄いなー夏凜と友達になるなんて」
何かを言いたげな夏凜に気づかずに関心したように頷く紡絆は、話はそこそこに時間を確認していた。
既に20時を回っている。
「っと、こんな時間か。とりあえず今日はもう帰るか」
「あ、そうだね。三好さん、ありがとうございました」
「はぁ……あんたら兄妹って感じするわ。帰るなら帰りなさい」
紡絆は強引さはあるが、小都音も少しはあるということは遺伝かなにかなのかもしれない。
面倒になった夏凜は、目を閉じながら追い払うように片手を動かした。
「おう、また来るぞ」
「はいはい」
「それでは、失礼しました」
拒否したところで無駄だと悟ったようで、友人のように軽い調子で話す紡絆と礼儀正しく頭を下げる小都音を夏凜は鍵を閉めるために見送り、紡絆たちは自身の家へと戻っていくのだった。
次の日の放課後。
「仕方ないから情報共有と交換よ! わかってる? あんたたちがあんまりにも情けないから今日も来てあげたのよ?」
そういって部室の黒板の前に立つのは、昨日入部した勇者部の新入部員、三好夏凜である。
突然そんなことを言い出して意味が分からないが、学年が違う風と樹、小都音はともかく紡絆もそんな様子はクラスで微塵たりとも感じられなかったため、体育の授業で何かあったのだろうか、と考えていた。
「なあ、俺もくれない?」
「やだ」
紡絆がじーっと視線を送ると、ポリポリと夏凜がにぼしと書かれた袋を手に、煮干しを食べていた。
「どうしてニボシなんですか?」
「それ思ったわ」
「ビタミン、ミネラル、カルシウム、タウリン、EPA、DHA…ニボシは完全食よ!
さっきも言ったけどあげないわよ」
何故か煮干しを食べる姿に普通に適応しかけた紡絆はともかく、疑問の声を挙げる小都音と怪訝な顔をする風。
煮干しを常備している女子中学生というのは流石に珍しいと思わざるを得ないが、バカにされたように思ったのかムッとしてなにやら語っていた。
「いや、いらないわよ」
ただ正直いるかいらないか言われると、風もだが、大半の人間はいらないと答える。
紡絆ですら興味本位で聞いただけのようで、今も欲しいとかは言ってないし、そもそも今はビーフジャーキーを牛鬼に与えることに夢中だった。
なんだかんだで、可愛らしい見た目をしているのもあって牛鬼にも優しい紡絆だった。
「じゃあ私のぼたもちと交換しましょ?」
そういって横合いからぼたもちの入った箱を差し出したのは、東郷。
彼女の料理の腕はかなりのもので、中学生とは思えないほどの料理の腕をしていて、プロレベル。
そしてぼた餅は友奈もだが、紡絆ですら好物に入るレベルで好きなため、より高みへと登ってある。
ただし、あくまで東郷のぼた餅が好きなだけで、彼と彼女はお店のでも良いってわけではない。
なお、当人である夏凜はいきなり差し出されたため、胡乱げな目線を向けていた。
「…何それ」
「さっき家庭科の授業で作ったの。いかがですか?」
「東郷さんはお菓子作りの天才なんだよ!」
「い……いらないわよ」
美味しそうな見た目をしていることから、興味は湧く。さらに夏凜も甘いものは嫌いではないのか一瞬悩んだように言葉のキレが弱くなった。
が、どうやらプライドが勝ったらしく、拒否していた。
それを聞いて東郷は残念そうに下げ、いつの間にか全員分のお皿を持ってきていた友奈と、それに気づいて手伝っていた紡絆に感謝の言葉を述べて、それぞれ分けていた。
「ありがとうございます、東郷さん。なんだかんだで久しぶりなので、楽しみです」
「ふふ、前より美味しくなってると思うわ」
「本当ですか? えへへ、ますます楽しみになっちゃいました」
「実際に美味いからな、仕方がない」
「うんうん、いくらでも食べれるよ」
可愛らしい笑みを浮かべながら、楽しみといった様子を隠さない小都音と、残念そうな表情から微笑ましそうな表情へ変わった東郷。
それから誰よりも食べているであろう紡絆と友奈は共感するようにこくこくと頷いていた。
相変わらずの呑気な、気楽なムードで本題に中々入れないでいるのは勇者部らしいといえば勇者部らしいのだろう。
200:名無しの転生者 ID:EkQ/g5aXG
ふと気になったんだけどさ、東郷さんのぼた餅ってどんな感じなん?
201:名無しの転生者 ID:NLAV7yTWO
お、それは気になるな。
割とイッチ、イコールぼた餅好きってイメージ定着してるし
202:名無しの転生者 ID:mG6yhH/lU
結構イッチは日常風景出してくれるお陰で映像で出てくるからな、よく見るしそんな美味いんか?
203:光を継いだ転生者 ID:nX2S4UypW
もっちもっちうまうまやで
204:名無しの転生者 ID:hBtOX7eV5
少しでも期待した俺らが馬鹿だった
205:名無しの転生者 ID:9fWOcnM7y
>>203
語彙力皆無なイッチに聞いても無駄なんだよなぁ……
206:名無しの転生者 ID:GSE8sO12C
むしろイッチはそれで伝わると思ったのか……?
207:名無しの転生者 ID:WHH7TbxAY
>>206
イッチだから思ってるに決まってるだろ!
208:名無しの転生者 ID:OR2I2WfYR
話変わるけどさ、融合型昇華獣について話してないよな?
大丈夫なのか?
209:名無しの転生者 ID:CgQel0a7t
昨日軽く経緯を知らせただけだもんな。まぁ、ファウスト出てこなかったってことは様子見で現れたって考えるのがベストだが。
210:名無しの転生者 ID:OpJW9ZHSi
ラフレイアはなぁ……厄介なんよ
211:名無しの転生者 ID:ncs9tXaDi
あの花粉ね。
触れたら炭化とかシンフォギアかよ
212:名無しの転生者 ID:L5RDZ2fT6
>>211
多分勇者は精霊バリア常時発動しなければダメだろうな
213:名無しの転生者 ID:AttFrr4uG
>>211
あと、ただでさえ四国しか残ってないから樹海で倒して大爆発でも起こしてしまったら下手すると半分は持っていかれても不思議じゃないぞ
214:名無しの転生者 ID:gpFFD+NuW
姫矢さんってラフレイアどうやって攻略してたっけなぁ……
215:名無しの転生者 ID:wJcUojCq5
>>214
あっちは弧門との協力だからなぁ…
216:名無しの転生者 ID:jKGWfWDa3
>>214
孤門撃て! お前の信じるウルトラマンを援護してみせろ! のシーンだゾ
あそこすき
217:名無しの転生者 ID:ERmyguz0y
俺も好き
218:名無しの転生者 ID:AuVWEWp+j
我も好きぞよ
219:情報ニキ ID:OX82Ln2AK
>>210 >>211
それだけじゃないんだよ。気づいてる人も居るかもしれんけど、知らない人用に説明するなら、ラフレイアは確かに厄介だけど弱点はあるんだ。
けど、その弱点が問題で……
220:名無しの転生者 ID:vyTqoHhGb
弱点?
221:名無しの転生者 ID:es1KUjxsE
あー、そういやあったね
222:光を継いだ転生者 ID:nX2S4UypW
>>219
じゃあ、俺が変身してそこをぶっ叩くか光線ぶつけたらいいのでは?
223:名無しの転生者 ID:6OscC1vI9
ラフレイアの弱点……花弁だっけ
224:名無しの転生者 ID:pehPRGeTa
ん? 確か、ラフレイアの花弁って……
225:名無しの転生者 ID:O5m8IQKj6
あっ……
226:名無しの転生者 ID:9S4E9HRUZ
>>222
そんな甘く行かないのが現実やぞ
227:名無しの転生者 ID:ZqgFqEAdA
あっ、そっかぁ!
228:光を継いだ転生者 ID:nX2S4UypW
ちょっとー分かるように説明してくれません?
229:名無しの転生者 ID:YfKnda7b6
まぁ、なんというか……
230:情報ニキ ID:OX82Ln2AK
ラフレイアの弱点は花弁。より正確に言うと、背部の花粉貯蔵庫。
その花弁には大量の花粉が貯蔵されてるから粉塵爆発で死滅させることが出来る。
けど、融合型昇華獣になったラフレイア……ドラゴレイアだったか。
イッチもやられていたが、翼みたいな脚みたいな触手が生えていて隠されてる。
動いてる時でも守られていて、弱点が防がれてるんだよな。
つまり、今のドラゴレイアに弱点なんて存在しないと見ていい。
しかもいくら勇者が増えたとはいえ、ファウストが次には現れると思うからイッチはドラゴレイアに集中することが出来ないというね…
231:名無しの転生者 ID:dzaE6IOz+
うーんクソ
232:名無しの転生者 ID:gpFFD+NuW
あとさ、だんだんジュネッスの力が通用しなくなってるのやばくない?
233:名無しの転生者 ID:jAhaED7nS
ビースト振動波は防ぐ方法ないからねぇ…なにより、こんな的確に弱点を消すってことは十中八九ザキさん絡んでるだろ
234:名無しの転生者 ID:zmvwxhYtG
絶対隠し玉残してるだろうしなー
235:光を継いだ転生者 ID:nX2S4UypW
うぉーい…くそ、とにかく先にバーテックスについての追加情報くれるかもしれない夏凜の話を聞いてくる。
考えるのは後だ
236:名無しの転生者 ID:LPaNUan65
あ、そうか、スペースビーストだけじゃなくてバーテックスの脅威もあったな…
237:名無しの転生者 ID:6J3ZVzl9E
えー、どうすんのこれ。カウベアードの時だってジュネッスでもキツかったのにこれ以上強くなられたら勝ち目ねーぞ。
勇者の攻撃は通るけど、大打撃にはならんし。トドメにはネクサスのオーバーレイ系じゃないと大半のビーストはしぶといせいで復活するし。
融合型に至っては高威力なコアインパルス、またはオーバーレイを御魂に直撃させないと倒せんし……
238:名無しの転生者 ID:eOk/d1Dc7
しかもまだダークフィールド、またはダークフィールドG。
グランテラを強化したアンノウンハンドの援護だって可能性すらある……実際アレは防御力が高すぎてジュネッスの攻撃が通用しなかったし
239:名無しの転生者 ID:t5NSrvtrj
(敵じゃない)ウルトラマンが(もう一人)欲しい……(いつもの)
それはさておき、平素の勇者部独特のゆるーい雰囲気のままいつまでも本題に入らないい訳にも行かないため、パパッと黒板に文字を書いた夏凜は、ぼた餅を食べる勇者部の面子とぼた餅を食べながら頭を牛鬼に齧られる紡絆を見つつ黒板に指を差して口を開く。
「---いい? バーテックスの出現は周期的なものと考えられていたけど、相当に乱れてる。これは異常事態よ。
帳尻を合わせるため、今後は相当な混戦が予想されるわ」
「確かに、一か月前も複数体出現したりしましたしね」
夏凜が黒板に書いた情報によれば襲撃の間隔はおよそ二十日前後と想定されていたらしいが、最初の戦いから一か月と少しで既に五体も出現している。その情報はもはや全くと言っていいほどあてにならないとみていいだろう。
再び数体が同時に現れるかもしれない。
間を置かずに畳み掛けてくるかもしれない。
或いは、一体倒した後に直ぐにまた一体、と時間差で攻めてくるかもしれない。
そもそもの問題として、スペースビーストという未知の敵が現れてしまっているんだが。
「あー、あれは痛かったなぁ……」
「あ、あれは痛いで済むものなのでしょうか……」
「それは紡絆以外無理ね」
思い出すように顔を顰める紡絆だが、彼からすると死ぬ一歩手前くらいまでは来ていたので、記憶に深く残っているのだろう。
ただそれを過去とはいえ、痛いだけで済ませるのはどうかと思うが。
「……私ならどんな事態にでも対処できるけど、あなた達は気をつけなさい。命を落とすわよ」
「私は戦えませんけど、油断は禁物って言いますもんね」
「えぇ、それに他に戦闘経験値を貯めることで勇者はレベルが上がり、より強くなる。それを
黒板には、五つの花が入ったマークのようなものがある。
それが貯まれば、満開が使えるということなのだろう。
294:名無しの転生者 ID:cPzhyJjQy
ほへーそんな力があったんすねぇ
295:名無しの転生者 ID:0ZF9Fut+f
RPGかよ
296:名無しの転生者 ID:EJZaSqGtS
やーそれってなんかなぁ……
(満開……勇者は神樹様の力を行使して、戦う。
それをより強化するってことは、ウルトラマンがメタフィールドで自身の力を高めるのと同様だ。
それって本当に何かありそうだな……満開ってのは初めて聞いたけど)
ウルトラマンの力については、紡絆が誰よりも知っている。
メタフィールドは命を削ることで、三分間だけ展開が可能。あらゆる現実に対する影響を隔離する力があるというとんでもない力だ。
さらにウルトラマンの力と、勇者ですら強化されるフィールド空間。
他のウルトラ戦士には備わっておらず、ネクサスだけは例え街中でバーテックスやスペースビーストが現れても三分間だけ人間を守ることができるということ。
ただ紡絆の場合は、メタフィールドを貼る貼らないではなく、
樹海へのダメージ軽減に必要であり、神樹様を守るための防御結界としてウルトラマンのメタフィールドは有効なのだ。
遺跡で戦うにしても、防御結界と思われるストーンフリューゲルのようなオブジェクトを守るために必要。
だからこそ、タイミングが大事で誤れば倒せずにエネルギー切れを起こすだろう。
「そうだったんだ」
「初めて知ったな」
「アプリの説明にも書いてるよ」
「そうなんだ!?」
「マ!?」
まさかの知らない人物が二人居たことに夏凜は呆れる。
紡絆の場合は男で関係ないから仕方がないといえば仕方がないが、友奈は自身のことでもあるのだから知っておくべきだっただろう。
「満開を繰り返すことでより強力になる。これが大赦の勇者システム。繰り返し続けたら、それこそウルトラマンに匹敵する力を得られると思われるわ」
(ウルトラマンに匹敵かぁ……ますますなんかありそうだよな、それ)
「へーすごい!」
若干怪しむが、結局考えても分からないために紡絆は考えるのをやめる。
そして頭に手を伸ばすと齧るのをやめて上に乗りながら眠っている牛鬼を撫でていた。
ちなみにその精霊の主である友奈は忘れない為にか、メモしていた。
301:名無しの転生者 ID:kTGd5xMZ1
俺知ってるゾ。
そういうのって大半が暴走か防御力の低下かバリアの消失か変身解除されるかのデメリットがあるんだゾ。
だってネクサスが絡んでるもん! 特撮系が過去に何かあったり選ばれたり才能がない限り、そんなデメリットなく初見で凄まじい力を発揮出来るわけないだろ! いい加減にしろ!
あのムテキや最終点であるオーマジオウですら過去や未来がやばいし、ウルトラマンなら初期サンダーブレスターやジード暴走、未完成ルーブ、ウルトラタイガアクセサリーのリング、初期グリッターエタニティ、アーマードダークネスみたいなもんだろ…!
以前も言ったけど、勇者システムってのが既に怪しいからな!
302:名無しの転生者 ID:h+CmFE1KZ
特にウルトラマンに匹敵ってのが胡散臭い。
絶対デメリットやばいやつやん
303:名無しの転生者 ID:K64erH+o1
最近だとD4レイがいい見本だよね。強すぎる力は己をも滅ぼすんだよなぁ…強さと優しさと正しさを兼ね備えてるウルトラマンだからこそ、宇宙の秩序を守れてるんだよ。
人類がそんなの持てばお察しよ
304:名無しの転生者 ID:YR9ksLc58
人造ウルトラマンを作ったら制御出来ないみたいなもんだよな
305:名無しの転生者 ID:ZzsYQZ+T8
それになぁ…ウルトラマンに匹敵とかウルティメイトバニッシャーの例があるからなぁ…後々消されそう
奇しくも、珍しく似たような考えをしていた紡絆だったが、知らない言葉ばかりに内心で首を傾げていた。
「三好さんは満開経験済みなんですか?」
「あっ、確かに三好さんやけに詳しそうですもんね、もしかして?」
それはともかく、当然といえば当然の東郷の何気ない質問と小都音の言葉に夏凜が言葉を詰まらせる。
大赦で正式な訓練と教育を受けてきた身として色々と語りはしたものの、訓練はともかく実戦は先日が初めてである。
まだ『満開』に至るほどの実戦経験値は積んでいない。
「い、いや……まだ」
「なーんだ。あんたもレベル1ならあたしたちと変わりないじゃない」
「き、基礎戦闘力が段違いに違うのよ!」
「まあ、俺ので言うアンファンスからジュネッスに変身する、みたいなもんですよね。アンファンスとジュネッスじゃ、能力が大きく異なりますし。俺も最初はジュネッスになれなかったから……どんまい!」
「そんなフォローいらないわよ!」
フォローするように自分で分かりやすい解釈をしたことを呟く紡絆だが、ウルトラマンで例えるなら似たようなものだ。
ただ間違いなく必要のないフォローだが。
「紡絆視点からすると、そういうことになるわ。ただあたしらの場合はあたしたちの努力次第ってことね」
「じゃあじゃあ、体を鍛えるために朝練しましょうか! 運動部みたいに」
「あっ、いいですね!」
「うーん朝練するなら俺の場合は学校に辿り着く頃には昼になってるかなぁ……」
「それ、兄さんの場合は朝練中に困ってる人が視界に入った時にすぐ人助けに向かうからでしょ?」
「いやいや、樹。あんたは朝起きられないでしょ」
「友奈ちゃんも起きられないでしょ?」
「「うっ……」」
「体が動くもんだから仕方がない」
友奈の提案にも盛り上がるが、二人は朝が弱いために起きれず、一人はそもそも平常時ですら学校の遅刻が多いので間違いなく不可能な案だった。
そんな姿を見てか、夏凜はため息を漏らす。
「はぁ……なんでこんな連中が神樹様の勇者やウルトラマンになれたのよ……」
自分自身は勇者になるための資格を勝ち取った際に、大量の時間や努力を費やした。
中には本気で目指して努力し続け、二刀流の腕を高めて自身を打ち負かした者も居た。
はっきり言って、勇者システムもなしだと夏凜が見てきた成績上位者の訓練生たちの方が素の実力は上だろうとすら思う。
「なせば大抵なんとかなるよ!」
「なにそれ……?」
「勇者部五箇条。これな、割とバカにならないんだぞ。一人で戦ったとしても、勝てる戦いも勝てない。けど---」
「みんなが力を合わせれば、大抵なんとかなる!」
同じ思考だったのか、区切られた紡絆の言葉の続きを友奈が言い、見えるように上の方に貼られた紙を指差す。
「なるべくとかなんとか、とか……見通しの甘いふわっとしたスローガンね。まったくもう、私の中で諦めがついたわ……」
「あたしらは……そう、あれだ! 現場主義なのよ」
「それ、今思いついたでしょ」
「はいはい、考えすぎるとハゲるハゲる」
「ハゲるわけないでしょ!」
「そうですよ、それはハゲの人に失礼ですよ!! ハゲたくてハゲたわけじゃない人もいるだろうに……!」
「紡絆先輩……。それはもし言ったら逆効果になるのでは……?」
呆れたように息を吐いた夏凜だったが、風がアドリブで言ったであろう言葉に正論が突き刺さり、何故か紡絆がハゲの人を庇っていた。
樹の言う通り、仮に目の前で言ったら怒るかもしれないが。
「とりあえずほら、次は俺から簡単に説明しますね。敵について共有しておきたいので……早くしないと部活としての本題にも入れないですし」
牛鬼を頭に乗せたまま、夏凛と入れ替わるように黒板の前に立つ紡絆は、パパッと黒板に書いていく。
流石に絵を描く時間はないのか、ただの文字だ。
「まぁ、あんまり言うことは無いんですけど、俺命名の融合型昇華獣であるドラゴレイアの対策について意見がある人は---居ないか」
軽く見渡し、何とも言えない表情をしている顔を見て息を吐く。
紡絆自身も特別な対策があるわけでもないので、仕方がない。
「はーい」
「はい、小都音」
「兄さん、そもそも融合型昇華獣って何?」
手を挙げた小都音は、疑問を投げかける。
前提として、バーテックスの存在は知っていたとしても融合型昇華獣などまだ情報もそこまでないはずだろう。
なぜなら、今回を除くと紡絆たちですらまだ一体しか出会ってなかったのだから。
「そういえば初めて現れた時は小都音ちゃん居なかったから知らなくても不思議ではないわね」
「そもそもあたしらですら最初は紡絆から聞かされただけだからねぇ」
「結構……いえ、かなりボロボロになってましたよね、紡絆先輩」
「夏凜ちゃんは知ってるの?」
「スペースビーストが居るってことくらいはね」
やはり派遣されてきた夏凜ですら知り得ていないということは、大赦も情報を掴んでいないのだろう。
紡絆は再び説明するために黒板に書く。
「最初から話そうか。バーテックスのことは分かるだろうから今回は飛ばすが、まずスペースビーストから簡単に話そう」
曰く、宇宙から飛来してきたと思われる青い粒子群、ビースト因子。
それが他の生物に取り憑くことで誕生する「異生獣」とも呼ばれるのがスペースビーストであること。
全ての個体が、ウルトラマンのものとは真逆の波長を持つ特殊な波動『ビースト振動波』を発しており、種全体がこの振動波のネットワークで絶えず情報交換を行っているため、学習能力の発達や能力の進化が恐ろしく速い。
成長の糧は当然捕食であり、特に人間などの高度な知性体を好む。
しかし、肉体的な成長はおまけ程度に過ぎず、真の目的は知性体の恐怖の感情そのものを食らい、種としての進化を加速させる事であること。
「---とまぁ、これでもだいぶ要約したんですけど、そんな感じ。
そしてスペースビーストにも特有の能力があって、そのスペースビーストにバーテックスの力が注がれると、生まれるのが融合型昇華獣というやつだ。
能力は全体的に強化されて、多分何らかの特殊固有能力も付与される。
ちなみにバーテックスを先に倒しても意味はないことが夏凛が戦ったやつのお陰で分かったし、最初のやつはスペースビーストを先に倒しても意味がなかった」
そう、これでもまだスペースビーストについては二、三割くらい説明した程度。
ただその先を、紡絆は知らない。
果たして同じように生まれたのか、はたまた別の誰かが作り上げたのか。
黒幕について、一切の確信がなかった。
「そして闇の巨人---魔人と呼ばれるファウストはスペースビーストや融合型昇華獣を従えることが出来る。
能力はウルトラマンとほぼ同じだけど、間違いなく次は邪魔してくるだろうな」
「じゃあ、止めることが出来ないってこと? その融合型昇華獣って」
「やろうとしたら大ダメージ受けた」
「紡絆先輩でも大ダメージ受けるなら、私たちなら……」
「間違いなく消し飛ぶわね。木端微塵に」
物凄く怖いことを風が言っていたが、ウルトラマンが凄まじい威力に吹っ飛ばされるレベルなら精霊バリアがあったとしても衝撃は殺せないため、気絶はしかねない。
もしかしたら貫通もするかもしれない。
「それで融合型昇華獣を倒すには私たち勇者が執り行える封印の儀が必要で、星座を元にしてるんだったわね」
「今回はなんというか、花みたいなやつだったよね!」
「あれは……まぁ、黒板読んで。受けてみてどんな感じかだいたいは分かったから」
流石に全て知っている訳では無い紡絆は正体をラフレイアと言う訳には行かず、能力だけを書いていた。
炭化させ、可燃性のある花粉とバーテックスの毒霧、液体の凝固化。手足のように動く四つの触手。
下手に倒せない! 危険! 火炎、爆発系禁止! とも書かれている。
「そうか、粉塵爆発か……だからあんた、あの光線を上空に向けて撃ったのね」
「夏凜正解。ウルトラポイント贈呈しよう」
「いらない!」
「え? ふうじんばくはつ?」
「結城さん、それは
よく分からないことを言い出した紡絆と、きょとんと首を傾げる友奈に優しい声音で教える小都音。
「ある一定の濃度の可燃性の粉塵が大気などの気体中に浮遊した状態で、火花などにより引火して爆発を起こす現象のことね。身近だと大量の小麦粉を巻いて煙だらけにすれば起こりうることだわ。
それも巨大なスペースビーストが持つであろう粉塵の量から考えると……」
「もし樹海で爆発すれば、大爆発が……」
「そう、それだ。東郷と樹ちゃん。よく分からんが爆発するから攻撃出来ないわけだ。
だから、俺が開幕メタフィールド貼ります」
「確かに樹海で爆発すれば、現実世界に影響が出るけど……それはあんたが危険じゃない」
紡絆の言葉は、自分が命を削って世界を守ると言っているようなもの。
それは部長として止めるべきであり、世界や人類のことを考えると止めるべきではないことだった。
それでも、風は前者を選ぶ。
「逆に言えば、ウルトラマンや勇者の力を強化出来ます。三分間の命ですけど、まあ頑張りましょう」
その選択をしたところで、自己犠牲の塊のような存在が止まるはずがないのだが。
「私からするとそれはして欲しくないんだけど……。
兄さんは何かこう、拘束する技とかないの? それならファウスト…だっけ、止めれるよね」
「小都音ちゃん、それは名案ね。樹ちゃんのワイヤーじゃ、流石にファウストの動きは止められないわ。紡絆くんは何かあるの?
あるとしたら紡絆くんくらいだけど」
複雑そうな表情はしているが、小都音は止められないことを理解しているのか止めるような発言ではなく、する必要がない可能性を提示させるように誘導する。
それに東郷も思ったのか、紡絆に問いかけていた。
「うーん俺もウルトラマンの能力知ってるわけじゃないからなぁ…戦い方の記憶がある訳でもないし、スペースビーストだってそんな知らないし」
「じゃあじゃあ、いつも紡絆くんが光線撃ってる感じですれば? オーバーレイ・しゅとろーむ?だっけ」
「いやほら、あれはこう、シュンとしてババっとやってビリビリ、ギュンギュイーン、スドドド、ドカーン! フュー、サーッ…って感じだから……」
「は? 何言ってんの?」
「いや夏凜の言う通りじゃない。分かんないわよ……」
「なるほど!」
「えっ、分かったんですか!?」
「兄さん、本当に分かってないんだ」
「それだと確かに難しそうね……」
「えっ? えっ?」
なんと、六人中半分が紡絆のゴミ語彙力を理解した様子を見て、樹は自分が間違ってるのかと混乱するが、風と夏凜は流石に間違ってないというように首を横に振った。
友奈はまあ、紡絆と似た感じだから理解出来ても可笑しくないが、東郷と小都音が理解出来たのはよく分からないって感じだろうか。
「まぁ、とにかく! これ以上は無理そうね。
ひとまず今は先の分からない話や対策の仕様がない話より、近しい話をしましょうか。
勇者部は忙しいんだから、分からないことをいつまでも悩んでいられないわ!」
「じゃあ解散! 本題に入りましょうか!」
部長の言葉を聞いて、紡絆が会議擬きを終わらせるように黒板を消して明るい声を発する。
それだけで、周りは釣られるようにいつも通り、勇者部らしい心地良さを感じさせる緩い空気を作っていた。
「じゃあ次の議題行くわよー」
「はーい!」
「「はい」」
「うんっ」
「次?」
「ふぉふぁふぉあああむぐぐぐぅ!? まぐろッ!」
「に、兄さーん!?」
風の言葉に紡絆以外が返事すると、お皿を片付けていく。
それに気づいて、いつまでもあったら邪魔だと黒板を消し終えた紡絆はぼた餅を一気に含み、喉に詰まらせかけていた。
そこに牛鬼の突進が加わり、喉を詰まらせずに済んだのはいいが、紡絆は勇者部の部室から落下して行った。
「……何? 最後の言葉」
「まぐろって言ってたね……」
「紡絆くーん! 大丈夫ー!?」
「もう、紡絆くんたら。そんな急いで食べなくともいつでも作るのに」
「むぅ……」
「今普通に落ちたけど、あいつ普段からこんな感じなの……?」
大丈夫だと確信しているからか、はたまた信頼からか、そこまで大袈裟な心配はしてないようで、多少の心配をしながら紡絆が帰ってくるのを待つ勇者部の面々に、夏凜は唖然と見ていた。
「失礼な、俺だって好んで落ちてるわけじゃないぞ。困ってる人が居たら突撃するだけだ」
「うわ!? どっから来たのよ!?」
よっ、と等と言いながら、窓を超える紡絆。
学校の窓を登ってくるとは、はっきり言って人間技じゃなかった。
「まぁ、牛鬼から助ける!みたいな雰囲気を感じたからな。信じて吹っ飛ばされて、落ちる前に登ってきた。牛鬼って俺のこと噛む割には殺そうとはしないし」
「はぁ、頭痛くなってきた……」
「で、準備は出来てます?」
「えぇ、バッチリ。あんた待ちよ」
夏凜を除く一同はやはり帰ってきたと何処か安心したような、信じてたといった表情をしていた。
小都音だけはほっとした感じだったが、夏凜は頭に手を添えて首を振っていた。
昨日今日でどれだけ勇者部と継受紡絆という存在に振り回されているのか、彼女の気持ちも考えてやって欲しい。
「---というわけで、今週末は子供会のレクリエーションをお手伝いします」
「具体的には?」
相変わらず牛鬼が紡絆の頭を噛んでるが、それはさておき。
それぞれ同じ印刷が成されている紙を持ちながら、集まって次の議題へと移っていた。
その紙には、タイトルとして『子ども会のお手伝いのしおり』と太文字に書かれている。
目的の項目には、出し物やレクリエーションを通して健全な仲間づくりをすすめ、心身の成長、発達に大切な心を育むこと。
楽しく明るい雰囲気を生み出すこと。などとある。
内容はその①、勇者部のおりがみ教室。
その②みんなでお昼ごはん
その③勇者と魔王の人形劇・光(改)
日時:6月12日---などと色々と詳しく書かれていた。
ちなみに人形劇だが、どうやら前回の人形劇でビビっときたらしく、改変ストーリーとして改めてという意味も込められ、改となっているようだ。
「折り紙の折り方を教えてあげたり、一緒に絵を描いたり、やることは沢山あります」
「わー、それは大変そうだね〜私も大きな依頼は初めてだし頑張らなきゃ」
「でも楽しそうだよね!」
具体的にと聞かれ、紙に書いてること以外も伝える樹と意気込む小都音に対して、友奈が心からの言葉を述べる。
「夏凜にはそうねぇ……暴れ足りない子のドッジボールの的に紡絆となってもらおうかしら」
「は!? ちょっと待って、私もなの!?」
「え、俺って的確定なの!?」
夏凜は何故関係ないと思ったのか驚いたように声を出していた。
一方で紡絆も的役ということを初めて聞いたのか視線を送ったが、どうやら確定らしく、無視された。
「だって、夏凛昨日入部したでしょ? ここにいる以上、部の方針に従って貰いますからね」
「それは形式上でしょ! それに私のスケジュールを勝手に決めないで!」
そんな夏凜に風が入部届けと書かれた紙を見せる。
しかし形式上とはいえ、書いてしまったのならそれはもう部の一人だろう。
「日曜日用事あるの?」
「いや……」
「じゃあ、親睦会も兼ねてやろうよ夏凜ちゃん! 楽しいよ?」
「楽しいけど疲れるかもなー。特に的だし!
でも、俺たちが普段、何をしてるのか知るのも大事だろ?
それに勇者の役目って敵と戦うことじゃなくて、色んな人に勇気を与えたりするのも勇者の役目だと俺は思うんだよな。
勇ましい者って書いて勇者なんだから」
無邪気な顔で言う友奈と珍しく間違えることも無く良いことを言う紡絆に夏凜は強く出ることが出来ない。
特に善意で告げているということを分かってしまう点が、何よりも強く出ることの出来ない理由の一つなのかもしれない。
だが、夏凜は一つ年下とかならともかく、子供の相手というものをしたことがない。
「う……だ、だいたいなんで私が子供の相手なんかを……」
「……嫌?」
「来ないってのは寂しいなぁ……」
一瞬にして不安げに曇った友奈と純粋に一人欠けるということに寂しそうにする紡絆を見て、強気な夏凜も流石に怯み、バツが悪そうな表情となった。
口では厳しいことばかり言っていたりするが、何度も怒らせるようなことを言っても自分に好意的に接してくれる相手のそんな表情を見てバッサリ断れるような性格はしていない。
何よりも紡絆に至っては、何をしても言っても純粋に好意全開で関わってくれる人物で、夏凜も一緒に過ごすのを嫌だと思っていない。
というか、思っていたら来た時に即座に家から追い出している。それをしていない時点で、夏凜が紡絆のことを嫌だと思ってないことの証明であり、彼女も悪くないと思ってる証になるだろう。
夏凜はとにかくそんな二人から逃れようと、助けを求めるように数度視線を彷徨わせるが、どこを見ても目に入ってくるのは夏凜がOKと言ってくれることに期待するような表情ばかりだった。
援軍は期待できない。むしろ小都音に関しては若干の圧すら感じる。
「わ、わかったわよ……。今週の日曜日なら丁度、たまたま空いてるわ」
「やったぁ!」
「イエーイ!」
夏凜から出たOKの言葉に、部室の中が色めき立つ。
そのまま楽しそうに今週末のイベントについて話し始めた今の部員達の頭の中に、もうお役目のことなど残ってはいないのだろう。
「……フン。緊張感のないやつら」
先程よりも頭が痛くなってくるのを感じながら、何となく流されている自分自身に気づいて、不思議と誰かとこんなふうに話すのを嫌だと思ってない自分のことを夏凜はただ分からない、という言葉しか出てこなかった。
訓練時代は、多少話すことはあっても今みたいに友人のように、親しそうに話してくる人が居なかったのだから。