【悲報】気がつけば目の前に知らない遺跡があるんですが…【なにこれ】 作:絆蛙
ネクサスが駆ける。
相手は一体のスペースビーストであり、蜘蛛のような外見をしていた。
ネクサスは突進し、ショルダータックルを試みるが、同じく蜘蛛のようなビーストもネクサスと同じ行動を取り、ネクサスが弾かれるように押し負ける。
すぐにネクサスは反転して手刀を打ち付け、反撃に振るってきた両腕の蜘蛛の脚のような腕を避けると、バク転で距離を離す。
301: 情報ニキ ID:JoUHou2in
沢山の節足を持つ蜘蛛のような姿をしていることから、EPISODE29。大怪獣バトル5話、ウルトラ銀河伝説にも登場するアースロポッドタイプビースト、バンピーラ!
見た目通りの蜘蛛を思わせるような能力を多く持ち、口や尾から白く発光する糸を吐くが、その糸はウルトラマンですら解けないほどで、ディレクターズカット版ではコアファイナルでようやく解くことが出来たほどの強度を持つ!
さらにそれらを戦闘で用いる他、体からはビースト振動波を遮断する霧を放出する事も可能であり、これを使って逃走も行えたり地響きを起こし、霧状の気体を拡散して身を隠す能力までもある!
302:名無しの転生者 ID:smX7Ye9+c
いやちょっと待て! 気をつけろ、こいつバンピーラじゃねぇぞ!? だってバンピーラの色は肌色に近い色だ! こいつは真っ黒に染まってやがる!
303:名無しの転生者 ID:LlsSPx24X
既にバンピーラじゃない! もう融合型へと進化してやがる! 今度は黄道十二星座を抜いた76星座のうちの一つか!?
バンピーラ・クロウと言ったところか……!
そのビーストは、バンピーラ---否、融合型昇華獣へと昇華しているバンピーラ・クロウ。
ネクサスは目で理解した。
継受紡絆という人間は他の知識は致命的に無さすぎる割に星に関連する知識だけは豊富にあり、見ただけで一瞬で特定する。
『………!?』
クロウが跳ぶ。
両足で跳躍し、ネクサスの頭上を飛び越えた。
ネクサスはクロウの姿を目で追い、驚愕した。
理解はしていた。
星座の名前を特性として身につけていると考えるならば、考えられることだった。
しかし、あれは予想外にも程があった。
クロウの背から生える、ふたつの翼。それを広げ、飛んでいた。
黒い翼はパンピーラというスペースビーストの体重を支えられるようにか、大きい。
(からす座……の規模じゃ、ない……!?)
そう、取り込んだ星座はからす座。
だが、あまりにもの大きすぎる。
まるで翼を広げるその姿は、
『っ…! シュワッ!』
呆気に取られてる場合ではない。
クロウが向かう先は、あのノアの結界が貼られていると推測される遺跡のオブジェクトを目指していた。
あれが破壊されてしまえば、ロクでもないことが起きるに違いない。
ネクサスは即座に地面を蹴り、クロウを追い始めた。
ネクサスの上昇したスペックはクロウの後を捉え、パーティクルフェザーを乱発するが、クロウはなんと見えていないにも関わらず全て避けて見せた。
それは、超音波。
本来ならばコウモリやイルカなどが備える超音波のはずでカラスには持っていないはずなのだが、スペースビーストと黄道十二星座じゃないとはいえ未完成バーテックスの特徴を持つのが融合型。
そのふたつの種族のことを考えれば、必要なものを学習し、成長過程として持っていたって不思議ではない。
そして凄まじい機動力を見せるクロウに驚く暇もなく、ネクサスに直線的に放たれた糸を回りながら進むことで避け、ネクサスは加速して掴みかかる。
『デアッ! デェア!』
手刀を何度も背中に打ち付け、クロウの体勢が大きく崩れると地上に落下していき、ネクサスは背を蹴ることで無事に着地する。
どうやらギリギリ間に合ったようで、ネクサスの背後にはオブジェクトが存在していた。
クロウが起き上がり、邪魔な翼を戻すと一直線にネクサスに突進し、ネクサスは両腕を突き出すことで受け止めるが、後退させられる。
すぐにクロウが腕を振るい、ネクサスは右手で捌き、左足で腹目掛けて蹴りを放つことで距離を引き離した。
『シュ……ぐぁ!?』
怯むクロウに対して、ネクサスがさらに距離を離すために左拳を突き出そうとすると、突如として動きが止まって左肩を抑えてしまう。
そこへクロウが迫り、腕を下から振るってネクサスに攻撃をすると、ネクサスの体が宙に浮き、空中で上下に半回転しうつ伏せに地面へ落ちた。
『う…ぐぅぅ…。シェアッ!』
向かってくるクロウにネクサスは横へ転ぶことで視界から逸れ、その勢いのまま起き上がると右手を勢いよく斜めに振るい、抜刀するような構えをとる。
エネルギーか行き来し、手に光が纏われた。
『-----!!』
『---フアッ!?』
光線を放とうとしたネクサスだが、クロウは蜘蛛のような口を動かし、何かを発する。
さっきネクサスの攻撃を避けるために超音波で認識していたものを一種の特殊な音波としてネクサスに発したのだ。
それはネクサスの行動を妨害し、思わず両耳を抑えていた。
そこへ放たれる、白く発光する糸。
動けないネクサスは防ごうとしたのか手を伸ばすが、まともに喰らってしまい、両腕が腰に固定された状態で体を糸が包み込む。
さらにクロウは収納した翼を広げ、高速でネクサスの周りを飛びながら白く発行する糸を口から吐いてネクサスの頭から足まで全身を覆う。
それこそ、繭のように。
全身を包まれたネクサスは立つことがままらず、再び地面に倒れる。
剥がそうともがいてるようだが、クロウの糸は凄まじくネクサスのスペックを活かしてもなおビクともしない。
『---!』
『うぁ…! ぐぁああああ!?』
そんなネクサスに対して、容赦なくクロウは鋭い脚のような腕を勢いよく振り下ろし、グサグサと次々に突いていく。
苦しむようなネクサスの声が周囲に響くが、助けてくれる者も聞いてる者も誰もいない。
ただそれでも大したダメージにならないことに気づいたのか、クロウはネクサスを持ち上げ、両翼を広げて一気に上昇。
遥か空まで辿り着くと、ネクサスを落としながら自分自身も高速で下降する。
両腕を合わせて、速度を加えることにより、ネクサスを貫くべく。
『---デェアアアアァァァ!』
何も分からないが、ただ浮遊感を感じるネクサスは空中にいるのだろうと察し、点滅を繰り返す胸のコアゲージが光輝く。
全身が光り輝き、糸を破壊しながら現れたネクサスはクロウの存在に気づいた。
するとネクサスはアームドネクサスを十字に交差し、左手で右腕を上から下に撫でるように添えると、エネルギーを纏った右腕を引き絞る。
そして距離とタイミングを測り、勢いよく右手に
瞬間、クロウの両腕と炎がぶつかり、薄い炎の柱がクロウを遥か先までぶっ飛ばしていく。
それは本来
その炎の温度は、1億度を有する。
『ハァッ……ハァ……ッ』
しかしネクサスの消耗も大きく、肩で息をしながら赤きジュネッスへとタイプチェンジしていたネクサスのコアゲージがかなりの速度で点滅し、ネクサスは敵を見据えて一気に加速する。
『シュアァァ!』
ネクサスが辿り着いた時、クロウの両腕は溶けており、再生をしながらもダンゴムシのように体がひっくり返っていて、起き上がれていなかった。
そこに容赦なくネクサスは掴みあげ、くるりと回りながら投げる。
受身を取る事も出来なかったクロウは苦悶しているが、ネクサスはアームドネクサスを十字に交差する。
すると手首に青い輝きの粒子が纏われ、弧を描くように大きく右腕を回しながら左腕を体ごと右側へと捻り、右腕を少し後ろの方から胸のエナジーコアの傍で拳を上にして左手を腰に固定した。
『デヤ---ッ!?』
後は拳に纏われる青いエネルギーを空に放つだけ。
しかし、上空へ腕を伸ばしそうとしたとき、
『う……ウワァァァアアア!?』
未知の攻撃に警戒しなければならないが、それどころではない。
ただでさえ動かすと痛い左肩に直撃した光弾は凄まじい痛みを与え、左肩を抑えながらネクサスは周囲を睨むように見て、探る。
『……!? シュ……』
すると、その敵は現れた。その姿を見た瞬間、ネクサスは驚く。
クロウを力づくで起き上がらせ、ネクサスとほぼ同身長を誇る巨人。
否---
442:名無しの転生者 ID:dWpfBxkeN
わ、忘れてたぁぁああああああ!
色んなことがありすぎて存在を忘れてた! やべぇ、イッチがまずい! つーかメタフィールド貼ってないのにコアゲージの点滅が速スギィ!
443:情報ニキ ID:9k+infor1
ファウストと同じ、ウルティノイドのひとり!
Episode.14からEpisode.18、Episode.24、Episode.32に登場する闇の巨人だ!
名前はダークメフィスト!
こいつはメタフィールドもなしにダークフィールドを展開できるうえ、右腕のアームドメフィストには鉤爪状のメフィストクローを所有している!
能力はファウストとそう変わらないが、実力は間違いなく高いぞ!
通称、黒い悪魔だ!
444:名無しの転生者 ID:tqG4WugFF
この感じ、クマさんじゃねぇ…! それにティガニキたちの言葉から察するに過去のデュナミストたちや暗黒適能者は既に生きてないからありえないし……。
一体何者だ!?
黒い瞳に、赤と黒の体。
所々に銀のラインが入っているだけでなく、背骨や肋骨状のモールドに意匠を入れている他、胸にはネクサスのエナジーコアに似た模様も刻まれている闇の巨人---ダークメフィスト。
新たな脅威の登場だった。
『シェア……』
『……フッ』
コアゲージが鳴る中、最大限の警戒をして、ファイティングポーズを取るネクサスに対してメフィストはただ笑う。
『……?』
まるで戦う様子が見られない。
敵意も殺意もなく、融合型すら何も仕掛けて来ないことに疑心を抱くと、メフィストは手を前に突き出す。
何が来るのかとネクサスは両腰に両腕を持っていき、バリヤーを貼れるようにした。
しかし---
『そう警戒するな。今日は戦うつもりはない』
『ヘッ……!?』
メフィストの口から語られたのは、そんな言葉だった。
明らかに有利。今のネクサスはどれだけ変身を保てるのかも分からないほどだというのに、メフィストは未だに構えることしていなかった。
『あくまで顔見せに来ただけだ。
次から始まる、デスゲームのための、な。お前が抗い、生きるか……それともオレたちに敗北し、世界が滅びるか---せいぜいオレを楽しませてくれよ、ウルトラマン』
『……ッ!?』
言葉が話せたなら、待て、と言っていただろう。
ネクサスが手を伸ばすが、メフィストは振り向き、指示したのかクロウが霧状の気体を拡散する。
ネクサスはアームドネクサスで勢いよく振るい、突風で一気に消し去るが、既にそこには誰もいなかった。
『…………』
その証拠に、遺跡のオブジェクトが光を発するとネクサスの体が光に包まれる。
現実世界へ転移される前兆だろう。
新たに現れた、ダークメフィストという敵。目的の見えない敵。
今ここで戦えば、デスゲームとやらは決着がついただろう。しかしそんなことはしなかった。
まるで、娯楽を求めてるかのように。最大限楽しんだ後に、全てを終わらせるつもりなのかもしれない。
だからこそ、戦いをゲームに例えることに、ネクサスは拳を握りしめていた。
みんな必死に戦って、自分も戦って---勇者たちは身体機能を失ったというのに。
逆にゲームだったら---それはどれだけよかったか。
さらに、逃した融合型昇華獣。
正直、強さとしては呆気なさすぎる。いくら黄道十二星座ではないとはいえ、様子見なのかもしれない。
何はともあれ、問題はメフィストと---戦おうにも、やはりエネルギーと肉体の問題が大きすぎる自分自身だった。
『……フッ、シュアッ!』
考えることが苦手だと言うのに、考えることが多い。
しかし今はこのままでは現実世界が大騒ぎになってしまうので、ネクサスは両腕を下方でクロスし、両腕を胸元で引き離すと、ネクサスの体は縮み、転移とともに紡絆は海岸に転移させられていた。
ドクン、と小さく鼓動音が聞こえる。
『----』
「ごめん……また、無理させた……」
一瞬だけエボルトラスターを見つめ、紡絆は自分のことよりウルトラマンを心配して謝ると、紡絆は意識を失ったのか前方に倒れる。
クロウにやられた傷と大ダメージを受けた左肩からは血が出ており、このままでは病院から抜け出したという意味でも怪我の意味でも不味い状況。
だからか、紡絆は何もしていないというのにブラストショットからストーンフリューゲルが召喚されると紡絆を中へ収納し、ステルス化すると中で紡絆の傷を癒そうとしながら病院へと急行した。
あの日の出来事の朝。
ストーンフリューゲルのお陰で脱走したことを誤魔化せた紡絆は何もなかったかのように小都音と話したり世話をされる他に暇をしていたが、ようやく退院出来た。
容態が悪くなることもなく、経過としては順調。
退院を認められたため、退院出来たということだ。
まあ大赦が関わってるのが一番の理由なのだろうが、せいぜい言うならば、毎日と言えるくらいに血を多少抜かれたくらいだ。
それはさておき、新たな融合型昇華獣のことも、メフィストのことも、誰にも話さなかった紡絆は例のアレで対策会議を開き、やけに真剣にしてくれるという珍しい事態が起きたが、流石に状況を知ってふざける余裕がなくなったらしい。
(それに夏凜がここにいることを承諾してくれたらしいし、合宿先を用意してくれたし、良いことばかりだな)
自分に関しては傷が増えたりダメージが増えたといった悪いことしか起きてないのだが、無駄にポジティブな紡絆の心は明るい。
そしてさらっと必要な情報を心の中で呟いた紡絆だが、今彼らは海へ来ている。
夏といえば海。
夏休みへと入り、バーテックスと多くのスペースビーストを倒したご褒美として、大赦が用意してくれたのだ。
で、ぶっちゃけ特に準備することがない紡絆はパラソルを建て終えて暇しているだけである。
一応水着は着ているが、泳ぐことを禁止されてる紡絆はパーカーを着ているのであんまり意味もない。
とにかく暇すぎて眠い、寝たいという怠惰な欲すら出てくる。
割とどうでもいいことを述べるならば、中学生にしては元々筋肉がついていた紡絆だがウルトラマンになって戦ってきた影響か、中学生とは思えない筋肉があった。
ついでにその筋肉を見てホモが現れたので紡絆は脳内の情報をカットした。
(……それにしても
ため息をひとつ零し、少し前よりも見えるようになった視力を調整して普段通りに戻すと、暇な紡絆は空を見た。
もう目覚めたばかりの頃に比べて数日経っていて制御出来るようになってきている。
しかし軽く透視能力を使ってみるが、何も見えない。
そう、
以前言われた、地球を覆っているものが何なのか、うっすらとした闇と、赤く染まった地球。
その意味を知るためにも透視能力を使っても見えないのである。
それどころか太陽や星々が見えて宇宙が見えないのはどういうことか。
考えても紡絆の知能では分かるはずもなく。
結局やることがなくなった紡絆は透視能力を解除して欠伸をする。
「---兄さん」
「ん?」
欠伸をする紡絆に対して、背後から優しい声で呼ばれる。
紡絆のことをそう呼ぶのは一人しか居なく、来たということを理解した紡絆は振り向いた。
振り向いた先にあったのは、色とりどりの水着に身を包んだ勇者部のメンバーたちが並んでいた。
「ふふん、どうよ、待った甲斐があったもんでしょ? 何か言えるなら言ってみなさい」
得意げな顔をした風が紡絆に向かってそんなことを言っていた。
だが、あながち間違ってはいないだろう。
勇者部は全員が美少女とも言えるほどの美貌を持つ。
そんな彼女たちが水着に身を包んでいる。
普段とは違う装いで、露出も高くなっていて、となれば、その破壊力は一体どれだけのものなのか。
いくら鈍くバカでアホな紡絆にも精神的に成熟していようが、肉体は思春期の男子。
流石に---
「あ、みんな似合ってるな。凄く可愛いと思う。それぞれに合っていて色も良いしみんなの魅力が引き出されてるって感じ。こんな透き通っている海にも負けないほどに、みんな綺麗で可愛いらしく、星のように輝いていて華がある姿だと思いますよ」
すっっごく普通だった。
気恥ずかしくなることも顔を赤くすることもなく、狼狽えることも無く目を逸らすこともなくただ純粋に感想を述べる。
一切の恥ずかしげもなく。
むしろ聞いたはずの風が頬を赤め---というかこの場の勇者部の女性メンバーが顔を赤くしていた。
そもそも今の言葉は普通に考えて他人でもなく唯一の異性であり、信頼している一人の男の子から言われたのだ。
恋愛的な意味かは定かはではないが、少なくとも友達として家族としてこの場の全員が紡絆に好感を抱いており、そんな異性に恥ずかしげもなく、嘘偽りない言葉で言われれば照れてしまうものだろう。
思わず口を開けようとした全員が黙ってしまうが、自分から聞いた風は無言はマズいと思ったのか誤魔化すために口を開いた。
「あ……あはは…そ、そうよね! 女子力の塊みたいなもののあたしに水着と海が合わさったらざっとこんなもんよ。
色んな男からナンパされちゃったらどうしよう、困っちゃうわ〜…」
「あぁ、なら俺が守りますよ。確かに風先輩だけじゃなくて、みんな魅力的ですしね。されても不思議じゃないですから、みんなは俺が守ります」
「な、なななな………」
口を何とか開いたが、まさかの追撃。
真っ赤になるほど顔を赤める女子部員たちがいるのだが、何かを呟く風と妙に静かなみんなの姿に紡絆は不思議そうに首を傾げる。
「なな…? 同じ言葉ばかり言われても分からないです。あ、風先輩、顔赤いですしもしかして夏バテですか? ちょっと熱計っても----」
「な、なんでもないからぁああああ!」
「え、えぇ……?」
まさかと思って近づいたところで、ついに限界を迎えたのか物凄い速さでは叫びながら海へ走っていき、その速さはより強化された動体視力を持つ紡絆でも目を剥くほどだった。
「なんだったんだ……? てか、みんなも赤いけど、大丈夫か? 全員楽しみすぎて熱でも?」
無自覚とはなんと恐ろしいのか。
困惑しながらも、振り向いた紡絆は他のみんなにも声をかける。
「だ、大丈夫だよ!」
「え、えぇ。少し落ち着いたし平気」
「そ、そうね。驚いただけだから」
『紡絆先輩、ずるいです…』
「??? 大丈夫ならいいけど」
みんなの様子にただ疑問符を浮かばせるが、別に無理してる訳でもなさそうなので紡絆は気にしないようにした。
すると、紡絆の目の前に小都音が来た。
「お兄ちゃん……」
「どうした?」
珍しく人前では中々呼ばない呼び方をする小都音に紡絆は優しく問いかける。
ちなみに小都音はチャームポイントであるアホ毛を隠さないためか、白い模様が入っている青色のリボンを横に身につけている。服装の方はと言うと白いビキニの水着に黄色のフリルがついており、ボトムには紐ではなく、オレンジ色のリボンに中心には星が入ってあるのが特徴的な格好だ。
ちなみにさっき逃げるように走っていった風はオレンジ色のビキニとボトムにハートマークがある水着で夏凜は同じく白と赤のビキニに、ボトムは白の水着。
樹だけは若草色のがメインに、胸の部分は黒く真ん中には白いリボンがあって、黄色い斜線が入っているワンピース型らしい。
友奈と東郷はフリルがついてあるビキニの水着だ。
「私の水着……」
「ああ、似合ってるぞ?」
小さく呟かれた言葉に感想を聞きたいのかと思ったようで、さっき言ったため、今度は短く感想を述べる。
「そ、そうじゃなくて……それも嬉しいけど…! と、とにかく兄さんは私の水着以外見ちゃダメ!」
「いや無理だろ」
しかし次に告げられたのはまさかの見てはいけないという発言。
それに対して、紡絆は冷静に返した。
海に居る限り、絶対視界に誰かの水着が映るのだ。
珍しく正論だった。
「まったく、急にどうしたんだ? 今日、みんな様子がおかしいぞ」
「に、兄さんが原因だから! もうっ、口説いちゃダメ!」
「いや、俺はそんなつもりないが……てか、冗談抜きで小都音も含めてみんな容姿良いし水着がまたみんなの魅力を引き立て---」
「だからこれ以上はダメーッ!!」
「むごっ!?」
ようやく落ち着いてきたというのに、またしても無意識に褒めようとする紡絆の口を小都音が両手で抑えた。
しかし間に合わなかったのか、この場にいない風と問題ない小都音以外、ようやく引いてきた熱がまた集まっていた。
「皆さんは先に行っててください!」
「う、うんそうだね。風先輩も一人にしちゃってるし!」
「ええ、そうしましょう。紡絆くん、先行ってるから」
「まったく……そうさせてもらうわ」
『し、失礼します』
「
熱を冷ますためか、海へと向かっていく姿を紡絆は何を言ってるのか分からない状態で手を振っていた。
口を抑えられてる割には余裕そうである。
「
「ダメ。お兄ちゃんは私以外見ちゃダメなの。口説いちゃダメなの!」
「
「むーえいっ!」
「むごー!?」
もはや『むご』としか喋っていないのに何故か会話が成立しているが、小都音は頬を膨らませ、手を離すと自身の胸もとに紡絆を抱き寄せた。
流石に押し付けられるようなことになれば呼吸出来なくなるため、紡絆は離れた。
「ちょ……流石に窒息する!」
「だって……っ」
「何に怒ってるんだ?」
「……怒ってない」
ふん、と顔を背けながら頬を膨らませる姿を見て、紡絆はそれは無理があるんじゃないかと思った。
しかし原因は分からない。
紡絆からすれば、本当に思ったことをみんなに言っただけだ。
「分かった。いや何が悪いかは分からないけどさ、ほら、一緒に行こう」
紡絆は手を差し伸べる。
何処か怒ってるというより、拗ねている小都音に対して。
そんな彼女は横目で一度見ると、再び背ける。
「…せっかくこんな楽しいところに来たんだ。樹ちゃんと遊ばなくていいのか?」
びぐっと僅かに反応し、アホ毛が揺れる。
どうやら本当に拗ねてるだけで楽しみではあるらしく、紡絆は苦笑すると最終手段を使った。
「俺に出来ることならなんでもするからさ、機嫌直してくれ」
「……本当に?」
そう言うと、小都音はじーっと真剣な表情で紡絆を見つめ、アホ毛はピンッと立っている。
それに紡絆は頷く。
「出来ることならな」
「……じゃあ、褒めて」
「……んん?」
予想外の言葉に、紡絆は困惑を隠せなかった。
何か別の要求をされるのではと思っていたのに、褒めるように言われたのだ。
「えー……と。普段とは違う印象を受けて、俺は今の小都音も魅力的だと思う。その水着も似合ってるし、まだまだ成長を感じさせるというか、下手に着飾ってなくて年相応って感じで可愛いと思うぞ」
「んー……うん、許してあげる。もうちょっと語彙力欲しかったけど、お兄ちゃんだし」
「え、実の妹にすら俺ってバカにされてる?」
小都音は僅かに頬を赤めてるが、お気に召したらしい。
おそらく紡絆にちゃんと個人的に褒めて欲しかったのだろう。
なお、紡絆は分かっていなかった。
「ほら、行くよ、お兄ちゃん。樹ちゃんを待たせちゃダメだよ。私の友達なんだから、優しくしてね、何かしたから怒るからね! あっ、 私になら何してもいいよ。お兄ちゃんが望むなら私は---」
「えぇー……」
自分は一切悪くない気がしたが、やはりよく分からないと紡絆は諦め、最後の部分を冗談だと聞き流しながら手を引っ張られて連れて行かれる。
が、海で遊べない紡絆は砂浜で座り込み、ただみんなのはしゃぐ姿を見ているだけだったが---これも日常かとポジティブに考え、微笑ましそうに観戦しつつ何かあったら助けれるように目を離さないようにしていた。
完全に親目線だった。
500:名無しの転生者 ID:BCLLsAF60
おいおい見てたか? さっきカウンター
501:名無しの転生者 ID:kXleZn6uP
なんやねんこいつ……ヤバすぎる。イッチ強い(確信)
502:名無しの転生者 ID:fmc42J23y
水着姿最高すぎん? そしてイッチ強すぎん?
503:名無しの転生者 ID:V9dtB7Ngz
あれ無自覚ってマジかよ……
504:名無しの転生者 ID:zhbgk4QI2
ガチで天然たらしにも程がある…イッチの言葉って嘘でもないしお世辞でもないのがなぁ
505:名無しの転生者 ID:3p2GJOT/w
もうそのまま幸せになってくれ。頼むから戦わなくていいよ…もういいじゃん。頑張ったじゃん
506:名無しの転生者 ID:gArWXw1If
最初はイッチふざけんな!しね!だったのにな…普通に幸せになって欲しいんだが
507:名無しの転生者 ID:AeDnrPQcI
掲示板のやつらすら改心させるとかイッチ聖人では?
いやウルトラマン宿してるからあながち間違いじゃねーや
508:名無しの転生者 ID:OD+xT4phz
イッチというよかこの世界がヤバすぎる影響だけどね。あの戦い見てただろ?
アレより酷い状況で今度は一人で戦わなくちゃいけなくって、ティガニキ、ダイナニキ、メビウス、タロウですら勝てない隠れた敵…。
それに融合型に…まぁなんか俺らですら知らん謎のファイヤーパンチしてたけど、大打撃与えたのそこだけ。
さらにメフィストが出てきたんだぜ? しかもティガニキとダイナニキのお陰でネクサスは終わってること確定したから溝呂木ではない別の誰か。
イッチの肉体はボロボロでエネルギーも体力も全くない
509:名無しの転生者 ID:n5HRK6JKq
登場時からエナジーコア鳴るほど消耗しているのにそこにメフィスト追加はいやーきついっす。
しかもあの感じ、イッチをいつでも殺せる余裕があるというか…まあスペックとイッチの状態考えたら当然だけど。イッチはダークフィールド展開されたら回避できんしな
510:名無しの転生者 ID:Ik+zpRAiJ
なんで他のウルトラマンが入れないんですか(半ギレ)
511:名無しの転生者 ID:xJ1zeJONY
神様仕事しろ。
いや仕事してたわ…そういえばイッチの世界の神様めっちゃ仕事してくれてたわ…。
なんの神かは知らんが、神である神樹様が居ても無理ってなんなんだよほんと
512:名無しの転生者 ID:lPACpYlGj
そういえばイッチは海入らんの?
513:名無しの転生者 ID:kdK2/1UYP
ま、怪我治ってないし。
その状態で海はただの拷問やで。今のイッチだと余裕で死ねる
514:名無しの転生者 ID:ZLpBUQnXS
水着姿みんないいっすね〜普段とは違う印象受けるというか、露出が増えてえちち!
515:光と絆継ぎし転生者 ID:NEX3_ultra
>>512
怪我残ってるというか増えたから余計にむり
医師にもみんなにも絶対禁止って言われてるし、流石に海水は無理かな…眺めてるだけでいいよ。風呂程度なら痛いくらいで問題ないが。
あと俺は口説いてないぞ。ずっと思ったこと口にしてるだけだし
516:名無しの転生者 ID:AAOZo8VzK
うーんやばい(確信)
517:名無しの転生者 ID:Ob0O9xioK
お前の場合それが口説いてることになるんだよなぁ…
518:名無しの転生者 ID:Uv3pqKjsk
あんなスラスラとあのような言葉を言えるの本当に凄いよ……
519:名無しの転生者 ID:pMFl0iNWE
まぁ、今は戦いに関しては忘れて楽しんでおくのがいいかもな
520:名無しの転生者 ID:BxnEp9D0r
この世界鬼畜すぎて次いつ来るか分からんし……
521:名無しの転生者 ID:4Qa9kVusl
それにメフィストの言葉からして次は襲ってくるからな。デスゲーム…って言ってたしさては溝呂木の闇の部分を受け継いでいるな?
522:名無しの転生者 ID:hnciipTQv
闇の部分じゃなくて光の部分を受け継げよ、なにしてんだよメフィスト
523:名無しの転生者 ID:v1wAKfj7O
絶対ザギさんの仕業なんだよなぁ…
524:名無しの転生者 ID:E+9/OExGK
ちょっとほんと、ティガニキや他のウルトラ戦士こっちの世界来てくれませんかね、来れない?
525:名無しの転生者 ID:JLirnhZTt
ウルトラマンの転生者居ても自分たちの次元守るので精一杯な場合あるしなぁ……
526:名無しの転生者 ID:WnuNjH9mf
うーんせめてイッチの世界にニュージェネ組が居たらな……
527:名無しの転生者 ID:JYC+yuPmK
ジードとかは居たら来てくれそうだけど、多分タロウ教官がクライシスインパクトのことを何一つ言ってなくてタロウ教官自身も無事ってことはニュージェネ前くらいだろうしダメそうですね……。
エックスまで終わってるならゼロのウルティメイトやシャイニングの力でも入れなかったっていうのが正しいし
528:名無しの転生者 ID:BhWfUyRYc
そう考えるとゼロ師匠も多分怪獣墓場で悩んでるのかサーガ中のどちらかだろうな。
仮に違ってもニュージェネ組が誕生してない時点でこの後ダークスパークウォーズ始まって大半のウルトラマン消えるしな…
529:名無しの転生者 ID:+DMvrFj9h
え、何この世界というか次元…? イッチに厳しすぎる……結局協力無理じゃん。もしギンガ誕生してなければ何故かネクストになってたノア様は今イッチと共にいるからともかく、一切姿が見えなかったジョー二アスにグレート、パワード、ネオス、セブン21、ゼアス、アグル、ナイス、マックス、ゼノン、ヒカリ、ゼロ師匠以外スパークドールズ化確定やん…
530:名無しの転生者 ID:8EkGnjyhA
なんかそのせいかイッチが勇者部の子と仲良くしてるの見てるとこう、胸になにか感じるようになってきた。今までは羨ましい!なのになんかこう…なんだろう
531:名無しの転生者 ID:zwoJCQdfo
イッチは勇者部のみんなと平和な時間を過ごして欲しいって願うようになってきた…
532:名無しの転生者 ID:E3RGMFWCY
そうか……俺たちが感じるこの気持ち、この感情はさては……尊さだな?(名推理)
533:名無しの転生者 ID:nJGoHklRT
なんだかんだ、イッチってここでも向こうでも中心になってるしねぇ。始まりはアレだったけど、俺達もイッチのこと知ってきたし、今じゃ嫉妬するより応援しか出来ねぇよ…だってもうエグすぎるもん。生きて(切実)
もうとにかくザ・ワンやザギさんが復活した原因も気になるけど今を楽しんで欲しいもん
534:名無しの転生者 ID:47scP8HZG
そういや本当にザ・ワンはどうなったんだろーな
535:名無しの転生者 ID:dNczSFVQc
なんかニュースとかないのかな。ほら、新宿大災害みたいな
536:超古代の光の転生者 ID:TIGA+1996
>>524
ごめん反応遅れた。
せめてイッチくんの情報とか地球や戦力が割けないのか、対策とかないのかどうにかならないのかそっちの世界の光の国に確認しに行きたいんだけど、今は無理だ。
少なくともタロウ以外にも時間があれば確認してバリアのようなものを突破しようとしてるらしいという情報だけは最後に伝えておくよ。
本当にごめん、こっちの次元で事件が起きてるみたいで探りたくても無理なんだ
僕の居る火星にもロボットとゼロに似た巨人が攻めてきた
537:名無しの転生者 ID:pkO5Pg6GG
それ、ベリアル銀河帝国じゃね?
538:名無しの転生者 ID:dwFpZUkaj
イッチの次元とだんだん歴史近づいてんな…それはともかく、確かに新宿大災害のような事件があれば…いや待てよ、かなり前に話し合ったと思うが改めて確定した情報をまとめると、そもそも仮にザ・ワンが居たとして、どうやって人々の記憶から存在を消せたんだ?
ネクサスの本編は数百年単位で前に終わっていて、来坊者は間違いなく居ない。
たとえ樹海化があったとしても、ネクストと共に戦ったであろう勇者の記憶には残るだろ。
それに前の適能者がネクストと融合する際に誰かがウルトラマンか球体になってたノア様の姿を見てたって不思議じゃない
539:名無しの転生者 ID:TaDXn6yzG
前も談義したけど、相変わらず謎なんだよそこ。
ザ・ワンとネクスト辺りが未だに不明で、過去の勇者も不明。
とりあえずイッチは考えることに向いてないしむしろ情報提供以外邪魔だから今を楽しんでて欲しいが
540:名無しの転生者 ID:FvtOztDBx
俺たちが出来るのは考えてイッチに教えることだけだしな。
もうイッチはみんなと遊んでくれ。笑顔見てると胸の中でてぇてぇを感じれるわ
541:名無しの転生者 ID:hRTcp9mpe
ただたまにちょっと羨ましい
542:名無しの転生者 ID:rBXori+k3
そこは仕方がないゾ。
でもイッチが強すぎてなぁ…() こんなん男でも惚れるわ。本当のことしか言わないからなおタチが悪い。たまにマジで刺されないか不安になってくる
543:名無しの転生者 ID:emijvzKpw
そもそもこいつ、母親殺したくせに精神崩壊することもなく普段通りでいられるメンタル化け物だしなんか俺らすら知らん未知の技を放つやつだからな…そりゃノア様も選びますわ。
戦闘センスもメンタルも一人だけずば抜けすぎだろ。こいつウルトラマンの重圧に潰されかけた時以外曇ってすらねーぞ
544:名無しの転生者 ID:+wwleIJNw
いうてイッチ、なんか前世であったぽいしなぁ…多分その経験が生かされてるんだゾ
545:名無しの転生者 ID:OfCkKdKzx
それはそれで前世の世界で何があったんですかね。なに、ゴジラの世界にでも居たの、イッチ?
546:名無しの転生者 ID:5faTT5w8e
人類からしたらガチの迷惑なやべー大災害やめろ
547:名無しの転生者 ID:UQdh5Ju2P
大怪獣のあとしまつ
548:名無しの転生者 ID:i22x2AJYv
結局分からないことばかりで草枯れた
549:名無しの転生者 ID:QGXBhmjUC
とりまイッチはもうイチャイチャしろ。頼むから…ほんと、せめて今だけでも幸せになってくれ…肉体的に限界なのにまだ戦わなくちゃいけないんだから
ただ眺める。
激戦を終え、やっと迎えられた平和な時間を楽しそうに過ごす勇者部のみんなを、紡絆はエボルトラスターを手に見ていた。
のんびりする東郷と友奈。
自称で瀬戸の人魚と名乗った風と泳ぎで対決する夏凜。
パタパタと熱そうに足を動かし、水面に足をつけるとほっとしたように息を吐く樹と、そんな樹に対して押し倒すように抱きついて水面に体を預ける小都音。
それを紡絆はただ見てるだけだ。
泳げないからこそ、海へ入れない。
体がボロボロだということを自分自身が理解してるからこそ、激しい運動すらしない。
それでも、紡絆は笑顔を浮かべていた。
周りを見渡せば、多くの人々が楽しそうに笑顔を見せている。
それは、紡絆が守りたいと願った光景だった。
(……ダークメフィスト。例えお前がどんな奴で、どれだけ強くても、俺は負ける訳にはいかない。どれだけ絶望的でも、希望がなくたって---俺は灯して見せる。かつて憧れた、ウルトラマンのように)
だからこそ紡絆は改めて思う。
ボロボロでも、変身する力があまりなくても、希望を灯して守ると。
紡絆が負ければ、ウルトラマンは死ぬ。
ウルトラマンが死ねば、世界は終わる。
ウルトラマンが死ねば、紡絆もまた死ぬのだから、この世界を守るには死ぬことは許されない。
それでも、今の紡絆にはもう、迷いなどないのだ。導かれて、支えられて、背負う彼はどんな壁すらも貫いて見せるだろう。
「紡絆くんー!」
「……ん?」
紡絆が覚悟を決めていると、名前を呼びながら誰かが向かってくる。
思わずエボルトラスターをポケットに収納した紡絆は視線を送った。
そこには、ピンクと白の桜のような色のフリルのある水着を着ている友奈が駆け寄ってきて、他のみんなも陸へと上がっていた。
そのことに紡絆は首を傾げる。
「もう泳がないのか?」
「私たちだけ楽しんで、紡絆くんだけ仲間外れなんて寂しいよ。だから、行こう!」
「いや、俺は見てるだけで満足というか海には入れ---って待て。引っ張ってでも行く気か!? それは流石に死ぬ! 海は本当にやばいから!
一回…二回海水が傷口に入ったことあるから! 三度目は勘弁してくれ!」
紡絆の疑問に友奈は一緒に遊ぶために誘いに来たのだろう。
遠慮しようとする紡絆の手を握り、引っ張ろうとする。
紡絆は海水は死にそうなので足に力を入れて対抗した。
ちなみに初めて継受紡絆として意識が芽生えた時に一回目、初めて融合型と戦った際に二回目である。
「泳ぐわけじゃないよ! だから…んー! 抵抗しないでーっ!」
しかし友奈の説明不足のも間違ってなく、何をする気なのか分からない紡絆は足に力を入れたままだった。
流石に男であり、ウルトラマンによって強化され素のスペックが増幅した紡絆を引っ張ることは出来ないようで、両手で引っ張る友奈だが紡絆は動かない。
「結城さん、ちゃんと説明しないと」
「友奈ちゃんの提案で、紡絆くんは今泳げないでしょう? だから砂浜で出来る遊びなら出来るんじゃないかってことで誘いに来たの」
「あぁ、なるほど」
それを見兼ねてか、小都音に連れてきて貰った東郷は小都音ともに紡絆に対して説明する。
すると紡絆は納得が言ったように頷くと力を抜いた。
「うん、だから紡絆くんもどうかなーってわぁ!?」
「いや流石に説明してくれないと分からないから…ってやべ、力抜いた」
抵抗されていた力が急に無くなり、全力で引っ張っていた友奈は倒れそうになる。
それに反応した紡絆は流石に砂浜とは言えど、頭を打ったら大変なので慌てて手を伸ばして友奈の手を掴んで自身の方へ抱き寄せた。
「っと、急に力抜いて悪かった。大丈夫か?」
「……あ。う、うんありがとう!」
そうなると身長的にも当然紡絆の胸に顔を埋めることになるわけで、気づいた友奈はお礼を述べてからバッと素早く離れる。
……が、いつもと違って頬が赤くなる以外にも紡絆の顔が見れなくなったようで、目を逸らして両手の指を合わせている。
「……兄さん」
「え、何? いや流石に今のは俺が悪かったし申し訳ないと思ってるけど…」
そのことに察した小都音は思わずジト目で紡絆を見つめるが、紡絆は分かっていなかった。
唯一分かっているのは自分が原因で痛い思いさせてしまうかもしれなかったということだけであり、彼からするとさっきのは自然な行動だったのである。
「…なんかよく分からないんだが、友奈。怪我はないか?」
「だ、大丈夫だよ。それより! どうかな、紡絆くんも一緒に!」
「紡絆くんが居てくれて方が私達も楽しいわ」
「ん、そうだな。じゃあ混ぜてもらうかなー」
「例え兄さんが断っても私が無理矢理連れて行ってたけどね」
結局分からないが、友奈に怪我は特になかったのに安心すると紡絆は誘われたことを少し悩み、そう言われたら断れないと参加することにした。
まぁ、もしここで断っても今度は全員に連れて行かれただろうが。
棒倒し。
力加減が出来ずに崩壊し、最下位。
ビーチバレー。
くじ引きで分けられ、友奈と夏凜相手に紡絆と樹で勝負することになったが、肉体がボロボロなこと以外にも力の制御ミスでボールが破裂して引き分けに。
ビーチフラッグス。
紡絆があまりにもの速すぎて試合にならないどころか、本人がフラッグを吹き飛ばして止まることが出来ず砂浜に顔面から行ったため、試合にならず。
スイカ割り。
紡絆が担当すれば気配が読めて、なおかつ透視能力を扱えるため紡絆は何もせず、樹ちゃんがみんなの指示で見事割って見せた。
砂城作り。
東郷が見事な高松城を作り、紡絆は城は作れないため、星とゆるトラマンネクサスのアンファンス、ジュネッス、ジュネッスブルーを見事作ってみんなを驚かせていた。
なお紡絆の場合は子供たちが集まり、一瞬で占拠されたが。
どうやらゆるトラマンとはいえど、ウルトラマンは次元や世界が違くても、知られていなくても子供の憧れの的なのだろう。
紡絆はそれを嬉しそうに眺め、しばらく作って作ってと色んなことを強請ってくる子供たちの相手をした。
そんなこともあって時間は過ぎ、そのように海に入れない紡絆が出来る色んな遊びをみんなで楽しんで、紡絆も友奈も東郷も、風や樹に小都音、夏凜みんなが楽しんだ。
時にトラブルも起きて、結局あれだけ入らないようにしていたのに溺れている子供を見つけては痛みを無視して海に突っ込むとかいう紡絆の無茶を見て小都音が笑顔のまま怒る姿はあったが、特に大きな騒ぎになることもなく終わった。
そんなこんなで日も暮れだした頃、パラソルの近くに集まった七人。
東郷は右の人差し指を立てながら話し始める。
「さて、ビーチでの締めに……実はさっき、介助さんに手伝ってもらってこの付近に日の丸印の宝を隠したの。探し当てた人には景品をあげるわ」
「流石東郷、さらっとネタを仕掛けておくとは」
「面白い、受けてたったぁ!」
「夏凜ちゃん燃えてるねー。よーし、私も負けない!」
「あ、三好さんに結城さんもう行っちゃった…。ノーヒントだけど…体力多いし足で稼ぐのかな? 兄さんは行かないの?」
知らぬ間に東郷が宝探しの用意をしていたようで、感心する風と早速駆け出した夏凜と友奈。
その二人を見て小都音は苦笑すると、こういうことにはいつも参加して場を盛り上げる自身の兄が動かないのに疑問を抱いたらしく、聞いていた。
「いや、だって始まる前に見つけてるし。流石に俺は反則みたいなもんだから参加しないよ」
「…流石兄さん。じゃあ私は兄さんにくっついておくね」
「えぇ…参加しないのか…」
ウルトラマンの加護があるゆえに、ゲームにならないから参加しない紡絆だが、まさかのゲームに参加せずに体を密着させてくる小都音に紡絆は困惑した。
『負けません!』
「樹ちゃんには期待しているわ。磨けば磨くだけ立派な大和撫子になれる素養を持っているし……磨かなくちゃね。いずれは私の思想や技術の全てを伝えようかと思っているもの」
「いや、流石に思想はちょっと……」
スケッチブックにやる気を示すように力強くそう書く樹に少し怪しさや重さすら感じる期待を寄せる東郷だが、思わず風はそうツッコむ。
流石に可愛い妹に護国思想を植え付けられるのは勘弁してほしいのだろう。
それはともかく、結局樹と協力するように言われた小都音は樹と探し、紡絆は答えを知ってるため、東郷の隣で待機していた。
ちなみに東郷の水着は水色と白の交互に横線があるフリル有りの水着だ。
「おーやるなぁ…まぁそっちじゃないけど」
一方で、紡絆は観戦者気分で探し回るみんなの姿を見る。
答えを知る彼からすれば、全然見当違いのところを探してるのを見てそこにないことを伝えたいのを我慢していた。
「……ねえ、紡絆くん」
「んっ?」
すると隣に居た東郷は夕陽を見て、紡絆を見た。
紡絆はその意図が分からなかったのか何かと首を傾げる。
「紡絆くんは……異常とかないの? 今までも樹海に入れて、ウルトラマンとして戦ってきて、何か起きてたりとかは……大赦の人も紡絆くんのことはよく分かってなかったみたいだったし、もしかして紡絆くんもなにか…」
二人っきりになったからこそ、東郷は改めて考え、思ったことを聞いた。
紡絆が樹海に入れること、勇者を集めるための部活だと言うのに入ることになったことへの謎。
バーテックスやスペースビースト、融合型やあの禍々しい剣の攻撃を受けて何ともないのかという心配と不安。
普通に考えて、後者はともかく前者はおかしいだろう。
紡絆が樹海に入れる理由は分からなくても---
男には扱えない勇者システム---風に対するメールの返信では紡絆やウルトラマンに関して調査中とは書かれていたらしいが、
なぜなら---勇者システムを扱えない紡絆を勇者部に入れるなんて、紡絆がウルトラマンに選ばれなければただ犠牲になるだけなのだから。
じゃあ、何故大赦は紡絆というイレギュラーがいたお陰で確率の最も高かったであろう、讃州中学勇者部へ誘うように言ったのか。
それはまるで
あくまで推測。東郷の予想に過ぎない。
ただそれでも東郷の中で、満開の後遺症の件もあって少しずつ募る大赦への不審感。
その不安が、ただ漏れてしまっていた。
「あー大丈夫大丈夫! 心配しなくたって、なんともないよ。それよりほら、そんな心配するより今を楽しもうぜ。みんな、あんな楽しそうに探してるのに東郷がそんな表情浮かべてちゃダメだろ?
東郷はそんな顔より、笑顔の方が似合うよ」
それに対して紡絆はいつも通り明るく振る舞って、その不安を消すように東郷の前に立てば、屈んで手を包むと笑顔を浮かべる。
紡絆は頭は良くないが、東郷の頭が良いことは知ってるのだ。
自分なんかより考えて、不安になったのだろうと紡絆は励ますように自身が笑顔を浮かべていた。
「紡絆くん……そう、よね…」
「おう、俺は特に何も変わってないし。
東郷にそんな顔させてちゃ、綺麗な顔が勿体ないからな。せっかくそんな可愛い水着にも身を包んでるんだし」
「……もう」
お世辞でもなんでもなく、純粋に褒めてきた紡絆に東郷は頬を赤めるが、不思議と、何故かは分からないが包まれた手の温もりや紡絆が傍に居るというだけで東郷は不安も心配も、不審感すらも不思議と消えていた。
ただ感じるのは、安心と幸福感。
だからか東郷は少し、ほんの少しだけ勇気と自分の欲望に従い、包まれた手にそっと触れては浮かす。
すると包まれていた手の甲を下にして、手を繋いでいた。
紡絆は思わずキョトンとするが、小都音で慣れてるのか特に気にせずに東郷の左にまた立ち、みんなを眺めながら右手から感じる温もりに
---彼の場合は、東郷というよりかは
片付けを終え、宝探しで全員疲労した様子を見せる姿に苦笑をひとつすると、紡絆は夕焼けを眺めていた。
目を少し細め、何か思い耽るような表情で。
(……今日は来なかった。みんながこんなふうに、平和に生きて幸せになってくれたらどれだけいいんだろう)
叶わない願い。
不可能な願い。
今も紡絆が知らないところで喧嘩してたり、死人が出たり、色んなことが起きてる。
それは紡絆が人間であろうと、ウルトラマンであろうと、神樹様であろうと、神であろうと防ぐことは出来ない。
別の生命体として同化、死と同等の状態になれば可能だろうが、それは生きてるとは言えない。
心だけが生きてたって、意味はないのだ。
「紡絆くーん! 暗くなる前に、早く帰るよー! 樹ちゃんや小都音ちゃんの手伝いもしてあげてー!」
「あぁ、分かった」
だから、だからこそ、紡絆は自分自身の手が、今届く範囲だけは守ると誓ったのだ。
エボルトラスターを握りながら、今届く範囲---
「じゃ、東郷のことは任せた!」
「うん!」
駆け寄って手伝うように言ってきた友奈に、体力の余裕があるのもあるが、男手の方が良いだろうといつもよりはしゃぎすぎて座り込んで疲れてる樹と小都音に紡絆は手を貸していた。
それを友奈は遠くから見つめ、東郷の元へ寄る。
「………?」
しかし友奈は珍しく先に東郷に声を掛けず、紡絆のことを、何処か違和感を感じたように首を傾げて見つめていた。
「友奈ちゃん?」
「あっ、ううん! やっぱり…気のせい……かな?」
「?」
珍しい姿に流石の東郷も分からなくて首を傾げるが、うーんと悩む友奈の視線を辿って紡絆を見れば、
(………あれ?)
しかし、東郷もまた---そんな紡絆に
そう、変わらない。何も変わらないはず。
気のせいだと錯覚するくらいに、何も変わっていない。いつも通りで、いつもの笑顔で、怪我をしてないように見えるほど明るくて、調子も同じ。
だが---誰よりも長く、
しかし確信もなければ、結局なんなのかは---紡絆に声を掛けられるまで考えていたが、二人が気づくことは一切なかった。
そのため、気のせいだと納得し、今度は逆に帰ることを大声で伝えてくれた紡絆に返事をして、二人はみんなの元へ戻るのだった---
〇継受紡絆/ウルトラマンネクサス
ついに未知の力すら使い出したやつ。
明らかにみんなを口説いてるけど、本人は本当に本音で答えてるだけである。
こいつが女性関係で慌てるとしたら水着や軽いスキンシップ程度では無理じゃないかな。
てか全く曇ってない件について(なお他のメンバー)
〇ウルトラマンネクサス
致命的に変身者のダメージや体力、ウルトラマン自身もエネルギーやダメージの回復が足りない。
〇ダークメフィスト
新たに現れた
その実力はファウストをも超える。
変身者はいるのか不明だが、ネクサス本編より何万年も先の世界確定(ギャラクシーインパクト後)なので溝呂木眞也ではないことは確定している。
今回は何もせず撤退したが、闇のゲームと例えたのは溝呂木に似ているようで……?
〇融合型昇華獣バンピーラ・クロウ
からす座を元にした未完成バーテックスを取り込んだバンピーラ。
紡絆曰く、翼がからす座の規模ではなく
バンピーラの力に超音波、飛行能力を持ち、力を
〇掲示板
流石にやばすぎてついにガチの真剣だし嫉妬心よりも同情を持ったヤツら。
たまに嫉妬しているが、ついにイッチと勇者部の少女たちの絡みに百合だけではなく新たな道を開拓した。
紡絆が知らぬうちにイッチ×???てぇてぇ、と勝手に妄想しては盛り上がってる。
〇ティガニキ
ここに来て紡絆の世界の光の国へ行けなくなった。
流石に脅威があれば助けたくとも守りたい者のために自分の世界優先せざるを得ない。
〇東郷美森
さらっとヒロインのように紡絆と手を繋いでたりしたが、大赦に不審感を抱いたのと、紡絆に何かを感じ取ったらしい。
が、それは分からなかった。
〇結城友奈
何もしない紡絆に流石に寂しいだろうと遊びに巻き込んだが、水着を褒められたりトラブルとはいえ抱きしめられたことには流石に顔を赤くした。
しかしあの東郷よりも早く紡絆に何かを感じたようで……?
(あの二人が出るの遅くなるけど)日常編第二弾いる?
-
いる
-
いらない
-
全員分の回書くんだよ
-
妹ちゃんとイチャつけ