【悲報】気がつけば目の前に知らない遺跡があるんですが…【なにこれ】   作:絆蛙

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(イッチに対する)難易度ルナティックです。過労死せずに行けるかなこれ……。
あ、大満開見ました。のわゆ見たら改めて絶望しかないなって…完結したらのわゆも救いましょうか。イッチ、お前がやらなければ誰がやると思う? ---万丈だ(なお、このネタは結局万丈は関係なく、イッチが引き受ける羽目になる)




「>>3」/「-樹海-ラージフォレスト」

 

 

 

620:光を継いだ転生者 ID: nX2S4UypW

いやあああああああぁぁぁあ!! 無理無理! まーじでえええええ無理ぃいいいいいいいい!!

 

 

622:名無しの転生者 ID:myS1+btRK

>>620

ちょ、いきなりどうした!?

 

 

624:名無しの転生者 ID:IcpI511ya

>>620

Gでも出たのか?

 

 

627:名無しの転生者 ID:N4oOf5nfU

ワンチャンイッチがスペースビーストに襲われてる説

 

 

629:光を継いだ転生者 ID: nX2S4UypW

だってこれええええ! キモイキモイ! 流石に絵面が気持ち悪いぃぃぃぃ!!

 

〔添付:大量の紫色のナメクジみたいな気持ち悪い触手を持つ生物から逃げる少年の動画〕

 

 

631:名無しの転生者 ID:xgnYaklNO

うわ、キモい

 

 

633:名無しの転生者 ID:wJcUojCq5

ガルベロスに続いてペドレオン!? しかも数えっぐ!? 本編でもこんな大量に出てきた回なんてあったか!?

 

 

636:名無しの転生者 ID:oDLJoN59m

47…48…49…うっわ。50体居るくない? つーかイッチどうやって逃げてんのw

 

 

638:名無しの転生者 ID:pJaEVh3nq

そもそもなんでイッチはまた遺跡に居るんですかねぇ……。ガルベロスは精神世界として納得出来るんだが、遺跡って夢で見るやつだろ?

 

 

639:名無しの転生者 ID:WLdMFeZWj

とりあえず前言ったやつ、ブラストショットでペドレオンを倒せ!

グリップを伸ばしたエア・バーストモードでトリガーを引けば真空波動弾を撃てる!

あとはバレルのポンプアクションで弾を装填出来るけど、二発撃ったら装填しなきゃダメだと思う。

玩具版ではガンモードでの通常銃撃も出来たはずだからそれも利用したりバリアも貼れるから何とかしろ!

 

 

642:名無しの転生者 ID:IY3RBEwnA

流石にこの量を変身して戦ったら先に体力なくなりそうだもんなぁ

 

 

644:光を継いだ転生者 ID:nX2S4UypW

ウェァ!? 本当だ! 助かる! んだけど! ちょっと! ごめん! 余裕ない!! この状況! 詳しくは後で! 説明するうううぅぅ!?

 

 

647:アークルを宿し超戦士 ID:KtUw0G1uA

とりあえずは俺たちで支援しようか。そっちの世界に行けたら小型くらいなら手伝えるんだけど…。でも今変身できないしアークルの損傷がなければなぁ

 

 

650:名無しの転生者 ID:9e77L3Jqf

どの世界でも思うよねぇ。それこそ次元を渡れる存在じゃあなきゃ手伝いに行くことは出来ないし。

あの通りすがりの転生者はここに来てないっぽいもんな

 

 

652:名無しの転生者 ID:mCX10QzND

あの人はなんかいまジオウ編やってるらしいからな。忙しいんだよ

 

 

655:名無しの転生者 ID:3u5iDBsMe

それにしてもイッチってスペースビーストに好かれてるんですかね

 

 

657:名無しの転生者 ID:fDXinLTai

そもそもイッチって武道でもやってるのか? 動きが一般人じゃないよ。アンファンスでガルベロス倒した時点で思ってたけど

 

 

659:名無しの転生者 ID:XwsHURKrM

動きからして仮にしてたとしても齧ってる程度だな。やってる人ならもっと隙なく動ける。

 

 

660:遊び心を知った転生者 ID:FSoovUe753

横に撃ちなさい! 木に移りなさい! 触手を避けなさい! そのままターンして回り込みなさい! さらに跳躍して後方に連射しなさい!

 

 

662:名無しの転生者 ID:FLZ9kAgQM

ある程度数減らしたら変身しちまえ! ジュネッスになったら余裕のはずだ!

 

 

665:名無しの転生者 ID:ozYEz5TxZ

名護さんの指示が上手くて草

 

 

667:蟹に食われたくない転生者 ID:ClBrwDB15

志村ー! 上ー!

 

 

668:永遠の切り札な転生者 ID:OnDy5bwuR

ウェッ!? ア゙ムナイ! ショクシュガキテルゾ!

 

 

670:名無しの転生者 ID:92q+mU8Lz

うわぁ、ある程度減ってるとはいえペドレオンってこうやって見るとまじでやばいな…。夢に出てきそう

 

 

673:名無しの転生者 ID:wmOnS3/4b

テレビで見るより気持ち悪い。SANチェック入りそうなくらいだよなぁ。これは確かにトラウマになりますよ

 

 

675 :ムッコロの転生者 ID:JHMZI1M7e

>>668

ケンジャッキ…

 

 

676:名無しの転生者 ID:bb/krjwEw

>>668

ブレイドの世界に転生した人はオンドゥル語になる呪いでもかかってるのか?

 

 

678:名無しの転生者 ID:1th+XcF0J

同じ特撮とはいえ仮面ライダー多すぎぃ! 何人かアニメの世界の住人はいるっぽいけどさぁ

 

 

680:名無しの転生者 ID:CJoxX1Hfo

お前らがそんなこと話してたらイッチが捕まったぞおい!

 

 

682:名無しの転生者 ID:Iko7NcNou

口の中も気持ち悪いですね……

 

 

684:名無しの転生者 ID:4gMjNK6BP

(アカン)

 

 

686:名無しの転生者 ID:NBpcUD1dV

イッチ変身しろ! 間に合わなくなっても知らんぞォー!

 

 

687:名無しの転生者 ID:bF/bXdijJ

うっわ口の中グロいっすね…。

 

 

689:名無しの転生者 ID:gQ1We+cbQ

イッチ食われそうになってるじゃねぇか

 

 

691:光を継いだ転生者 ID:nX2S4UypW

コンチキショー! ショタの触手プレイとか誰得だよ!! ごめんだけど変身するから無理! 生放送モードには切り替える! 

( ノシ ・ω・)ノシ

 

 

692:名無しの転生者 ID:0EZUViDAS

流石に囲まれちゃうとね……

 

 

693:名無しの転生者 ID:4t8qIiacA

一つ思ったんだけど、ちょっといいかな?

 

 

696:名無しの転生者 ID:t8B4G+Ax7

>>675

ここで仮面ライダー剣を始めるな。

 

 

698:名無しの転生者 ID:Xjpsxaj0/

>>691

意外と余裕そうで草

 

 

701:名無しの転生者 ID: DU+Jxkyk3

>>693

どうした?

 

 

703:名無しの転生者 ID: 4t8qIiacA

いやさ、イッチってウルトラマンネクサス知らないし戦い方とかも分からないんだよな?

 

 

705:名無しの転生者 ID:Tatr5/N4X

まあ、クウガニキとは違って記憶流れてきてなかったとは言ってたな。

 

 

708:名無しの転生者 ID: OX82Ln2AK

それがどうした?

 

 

711:名無しの転生者 ID:op8WTBCZW

特になにかある訳でもなくね? 戦い方分からなくてもジュネッスになったら余裕でしょ

 

 

716:名無しの転生者 ID: 4t8qIiacA

それなんだけど…

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

イッチってジュネッスのなり方分かんの?

 

 

718:名無しの転生者 ID:TZuo9XZdl

あっ……

 

 

719:名無しの転生者 ID: wJcUojCq5

イッチィィィィ!! そういや、技も分からないならなり方分からないし俺らもジュネッスのなり方については実際の原理は知らないから分からないじゃねぇかあああああぁぁぁ!!

 

 

721:名無しの転生者 ID:cRrjM+Gnv

ここのイッチいっつも肝心なこと忘れてるぞ!!? さてはコミュ障だな!

 

 

723:名無しの転生者 ID:705CIduOI

ま、まあガルベロス倒せたし闇の巨人でも出ない限り一対一ならアンファンスでいけるだろ

 

 

726:名無しの転生者 ID:ue3ehZvuT

つーかこれもう既に聞こえてねぇなあ!?

ちょうどウルトラマン出たじゃん…

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

◆◆◆

 

『キイイィィィィ!』

 

「うわあああぁぁぁぁ!!」

 

少年は地を駆ける。

またこんな展開かよ、と思いながらも走る。

 

突然景色が変わったかと思えば、ペドレオンというスペースビーストに囲まれていた。しかも50体居るらしい。

自分の背丈を優に超え、気持ち悪い触手とナメクジみたいな見た目をしているスペースビースト。

ペドレオンの触手攻撃を身を屈めることで避け、なんとか包囲を抜け出したのだ。

しかし後ろからは自分よりかは遅いが、追ってくるペドレオン。

数の多さからしてお化け屋敷やホラーゲームが笑えるくらいにホラーである。

 

「これか! これを---こう!」

 

強みである掲示板を頼り、白と赤の拳銃の形をしたモノ---ブラストショットを取り出してトリガーを引く。

すると、青い光の真空波動弾が放たれる。

波動弾は一体のペドレオンに突き刺さり、粒子となって消滅する。

 

「うわっ、すっごぉい……」

 

あまりにもの威力に腕で顔を守るが、紡絆は頬を軽く引き攣らせた。

しかしペドレオンは止まることなく、迫ってくる。

紡絆は慌てて空中から飛んできたペドレオンに放ち、消滅させるとすぐにバレルのポンプアクションを行って弾を装填すると次々と狙い撃っていく。

 

「よし……ってウェェ!?」

 

14体ほどやったか、と感覚で思っていると、いつの間にか回り込んできたぺドレオンの触手に捕まりかけ、何とか身を逸らしたが叩かれるように吹き飛ばされる。

 

「ぐへぇ…あっぶなぁ!?」

 

木に頭がぶつかりかける寸前で止まることが出来たが、ふと顔を上げた時に向かってきた触手に驚いてウサギもびっくりな跳躍力で木の上に登り、空中にいる二体に波動弾を当てる。

倒したか確認する暇がないため、消滅したと信じて飛んできた触手を避けるために木から降りると、掲示板から横に撃てという指示に反応してリロードからの発射。

横から接近していたぺドレオンを消滅させると、別の木に移る。

再び飛んでくる複数の触手を避けるために降りると、目の前にはやはりぺドレオン。

後方を見ればそこにも居て、再び囲まれるが---バックターンすると跳躍して乗り越えることで回り込み、再び跳躍しながら背後に二発放つ。

地面に着地すると、そのまま走ろうとして、上という言葉に見上げる。

そこには、空中から踏み潰そうと言わんばかりに高速落下してくるぺドレオン。

リロードが間に合わないと理解すると、慌ててグリップを曲げてトリガーモードに変え、銃弾を乱発する。

何発か外したが、連続ヒットによって消滅し、今度こそ---

 

 

 

 

 

 

 

「あぁああああああああ!? キモイぃぃぃぃイイ!?」

 

逃げようとしたが、両足に巻きついた触手によって持ち上げられる。

手こずらせやがって、と言わんばかりに口らしき箇所を開きながらジリジリと寄ってくるぺドレオンに紡絆は顔を思い切り引き攣らせた。

 

「こんなの誰得だよ!? 残り30体ほどなら良いだろ! こんにゃろー!!」

 

両脚が吊り下げられ、頭と足が逆さまのぶら下がり状態で生放送モードに切り替え、もう一つの白を基調として赤いラインがY字状に刻まれている短剣型のアイテム---エボルトラスターを左手に持ち、鞘から抜くと同時に本体を前方に掲げる。

すると刀身が赤色に光り、紡絆が光のエネルギーに包み込まれる---

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『シュアッ!』

 

握り拳を両腕で作った状態で右腕だけを前に突き上げなから徐々に大きくなり、少しの揺れと共に腕に鋭く尖ったカッター状の刃の装甲を持ち、胸の中心にYの字型のコア---エナジーコアを持つ銀色の光の巨人、ウルトラマンネクサスが片膝を着いた状態で姿を現す。

 

『ヘァッ!?』

 

ネクサスは立ち上がるとすぐにぺドレオンに攻撃しようとするが、突如として30体も居たはずのぺドレオンが姿を消していることに気づく。

何処かに消えたのかと見回すが、どこにも存在しない。

一体どういうことなのか、そんな疑問を抱くと---

 

 

 

 

 

 

 

『ウワッ!?』

 

突如として背中に凄まじい衝撃が走り、数歩前進しながら振り向いて左腕を前に、右腕を後ろに手刀打ちのような構えを取る。

そこには、先程とは別でぺドレオンが巨大化していた。

グロースと呼ばれる姿だ。

 

『フッ…ヘアッ---ァァァ!?』

 

敵ならば戦うしかない。

そのため、ネクサスは現れたぺドレオン相手に向かおうとするが、体が突然痺れたかのように動かない---否、()()()()()()()()()

 

『キィィィィ!』

 

虫のような鳴き声が背後から聞こえ、腹にナニカが巻き付く。

痺れる肉体で肘打ちを全力で放つと、拘束が解けて即座に横に転がるようにして距離を離す。

ネクサスが距離をあけて顔を上げた先には---

 

 

 

 

 

 

 

 

『キィィィィ!』

 

『グオォォォォ!』

 

二体の、ぺドレオンが居た。

 

『へエッ!?』

 

予想だにしなかった二体の出現。

最初の個体をぺドレオンAとするならBが増えていたのだ。

ぺドレオンAを相手にするだけならともかく、ぺドレオンBまで相手しなくてはならない。

それではキツいと理解したネクサス---紡絆はスレの住民がジュネッスというものがあるというのを言っていたのを思い出す。

 

『シュ…』

 

早速やるしかないと理解したネクサスは構える---

 

 

 

 

 

 

 

 

『シュアッ! シェアッ! フエェッ!?』

 

が、何をすればいいのか分からない。

まるで迷子のように、何をすればいいか分からない子供のように手をあちこちにバタバタと動かすだけで、何も変化が起きなかった。

 

『フー…デェヤァ?』

 

ネクサスは自身の両手を見ると、右腕を突き上げる。

が、やはり何も起きない。

ならば、と今度は頭に触れて何かを投げるような動作をしたり、腕輪に触れるような動きをしたり、手を握ってから胸の前でバツを作り、一気に腕を上下に開いたり、両手を頭上で合わせて両腕を引き絞って腕をTの字に組んだりしてみる。

然しながら何も起きず、何故か分からないネクサスはきょとんと首を傾げると---

 

 

 

 

 

 

 

『ウァァアア!?』

 

ぺドレオンAとBによる頭部の触角から放たれ、融合することによって超巨大となった火球によって吹き飛ばされた。

 

『ピイヤアアアア!』

 

『ウァ…デヤッ!』

 

ぺドレオンAが追撃するように倒れているネクサスに接近すると、起き上がったネクサスは構える。

すると相手が右腕の触手で叩きつけるように攻撃してくるが、それを半身逸らして避ける。

さらに相手の左腕から攻撃を受ける前に右腕を踏んで怯ませ、勢いを乗せた空中回し蹴りを叩き込んで地面に倒した。

倒れたぺドレオンAに手刀を一発入れ、ネクサスは空を飛ぶ。

火球がネクサスが先程までいた位置を通過し、ネクサスは上空から回転しながらドリルのようにぺドレオンBに向かって突っ込んだ。

ぺドレオンBは避けようとするが、落下する速度の方が速い。

ネクサスの足によるスクリュードライバーが直撃し、ぺドレオンBは勢いよく吹き飛ぶ。

 

『シュアッ! ヘヤッ!』

 

『キェェエエエエ!』

 

起き上がったぺドレオンAが突っ込んでくる。

ネクサスは左右を見てぺドレオンBがまだ倒れているのを見ると、振りかぶってきた触手ではなくぺドレオンAの腕を自身の両腕で抑え、足のつま先で蹴ると、ジャンプしながら手刀を叩きつける。

さらに横蹴りを食らわせ、拳を強く握りしめて右ストレートを放とうとしたところで、ぺドレオンAの口らしき部分が赤く発光した。

 

『ヘェア…!?』

 

一瞬の戸惑い。

しかしここはやるべきだと右腕を突き出そうとすると、突然肉体が凄まじい威力によって後方に飛ばされる。

まるで衝撃波のようなものでネクサスが吹き飛ばされた先にいるのは、先程まで倒れていたぺドレオンB。

ネクサスをキャッチすると、触手で両腕を絡めとって雷撃を流す。

 

『デェアアアアアァァァ!? ウウゥゥゥ……アアッ…!』

 

さらにぺドレオンAが雷撃を受けているネクサスに対して触手を何度も叩きつける。

前後による攻撃にダメージを負うが、ネクサスはぺドレオンAが両腕を振り上げ、それを振り下ろしたタイミングで強引に体を逸らす。

そうすることにより、背後に居たぺドレオンBが強烈な攻撃を受けることになり、雷撃が止まったほんの一瞬をついてぺドレオンAに向かって両足で挟み込み、ぺドレオンBの触手を利用してぶら下がって捻じるように倒れ込ませた。

 

『デェアヤッ!』

 

さらにぺドレオンBの触手を引き離すために勢いを保ったまま背後に回り込み、頭突きを食らわせて自身の両腕を引っ張る。

 

『キィィィィ!』

 

『グアアアァァ!?』

 

負けじとぺドレオンBがネクサスに雷撃で痺れさせるが、ネクサスは悲鳴を上げながらも負けじと引き寄せてから背中に向かって前蹴り、再び引き寄せて連続で蹴りを放つ。

互いに防御なしの攻撃を行い、少ししてぺドレオンBが先に限界を迎えたのかネクサスの腕の拘束を解くと、ネクサスが痛みに堪えながらぺドレオンを掴もうとし---偶然、掴んだ際に両腕に備わった鋭く尖ったカッター状の刃---アームドネクサスの側面のエルボーカッターがぺドレオンBを切り裂いた。

そこでネクサスは気づいたように連続で切り裂くとぺドレオンBをぺドレオンAに向かって蹴り飛ばす。

二体がぶつかって重なったのを見ると、瞬時にバク転。

 

『シュアッ! ハァァァァ…』

 

右腕を腰に、左腕を勢いよく左に振るう。

そして右腕を左腕の方向に持っていくと抜刀するような構えを取り、右手と左手を行き来するように青い稲妻が迸る。

エネルギーが光に変わり、その光がネクサスの手のひらに纏われる。

 

『ヘアッ!』

 

ネクサスはその光を保ったまま両腕を今度は右胸付近に持ってきて、腕を十字に構えた。

すると十字の一の部分から上の箇所だけ光の光線---『クロスレイ・シュトローム』が放たれる。

 

『キエエエエエェェ!?』

 

放たれた光線は上に乗っていたぺドレオンBに直撃し、ぺドレオンAを巻き飲んで大爆発を起こした---。

 

 

『ハァ…ハァ……。ジュワァ…』

 

それを見届けたネクサスは片膝を着き、エナジーコア---胸を抑えた。

何度も受けたダメージが効いているからか、胸を抑えながらも何とか立ち上がる。

そして上空に顔を向けると、飛行態勢に入り---

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『ピャアアアア!』

 

『ッ!? ウアアアァァァッ!』

 

片脚を引っ張られて地面に転けさせられ、ぺドレオンAに踏まれる。

 

『シェアッ!』

 

すぐに空いている片脚でぺドレオンの背中を蹴ると、エルボーカッターで片脚に巻きついた触手を斬り落とし、ぺドレオンの背中に組み付く。

そしてぺドレオンの背中に対して肘打ちを行う。

 

『ウオァッ!?』

 

だが突如としてぺドレオンの背中から煙のようなものが発生してネクサスが怯んでしまう。

その隙にぺドレオンが飛行形態に変わり、逃走を図ろうとしていた。

 

『ハアッ!』

 

ネクサスは逃がさないというように走るとドロップキックで吹き飛ばし、ぺドレオンを地面に落とす。

 

『ジュ…フアアアア…デヤァッ!』

 

『キィィィィ!?』

 

すぐさまクロスレイ・シュトロームの体勢を取ると光線を放つ。

その光線はぺドレオンに直撃し---

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『デェアアアァァァァァ!?』

 

ネクサスは最期の土産と言うように放たれたぺドレオンの火球に吹き飛ばされ、同時に煙が連鎖的に爆発を起こしてぺドレオンとネクサスは爆発に巻き込まれる---。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『シュワァァ……』

 

その場に無事に残っていたのは、ぺドレオンが噴き出した可燃性ガスと火球攻撃によって大爆発を受けたネクサスだけだった。

ネクサスは倒れたまま頭だけを起こしてぺドレオンが消えたのを見ると、地面に頭を着いて光となって消えた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

◆◆◆

 

800:名無しの転生者 ID:9P1EDPgbm

流石に一対二はぺドレオンとはいえ、苦戦したか…。というかなんでジュネッスになれないんだよ()

 

 

801:名無しの転生者 ID:wJcUojCq5

なんかジュネッスになろうとしてたのかは分からないけど、あんな可愛いネクサス初めて見た。

地味にウルトラ兄弟の動きしてましたね……。

 

 

804:名無しの転生者 ID:5LtJtgyO7

イッチ生きてるー? ぺドレオンのラスト、相打ち狙ったかのような攻撃をまともに受けたっぽいが…。確かあの煙って可燃性ガスだったかな?

 

 

807:名無しの転生者 ID:Xzt6ZjNUR

誰かアンファンスでぺドレオングロース二体倒したことに突っ込まないの……?

 

 

810:アークルを宿し超戦士 ID:KtUw0G1uA

おつかれー。見事だったよ

 

 

812:名無しの転生者 ID:BUPH73VPk

>>807

アンファンスでガルベロス倒した奴やぞ?

出来ても不思議じゃないから突っ込まないんだよ。

 

 

814:光と絆を継ぐもの ID:nX2S4UypW

あぁ、ごめんごめん。生きてるけどちょっと無理。疲れたから寝させて……もう夜なの、夜中なの…。変身解けてから家に帰って来られたのはいいけど、明日朝から部活の準備とかあるからこれ以上はマジ無理。疲労が凄いし胸熱いし痛いし全身ちょっと痺れてるから寝る……俺のベッド(ストーンフリューゲル)が俺を待っている…!

 

 

817:名無しの転生者 ID:JQcb49wEM

ベッド扱いは草

おつかれーゆっくり休めよー

 

 

820:名無しの転生者 ID:kNQ1yp7IZ

色々と説明欲しかったけど仕方がないかぁ。おやすみー

 

 

821:名無しの転生者 ID:6mdqw2HEb

ストーンフリューゲルは見られないようにね。おやすみー

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

◆◆◆

 

朝。

目覚ましが煩く鳴り響く中、紡絆は思い切り爆睡していた。

目覚ましが鳴っていることにも気づかず、彼はすやすやと眠り続けている。

そんなことをしていると、時刻が一時間ほど経っていた。未だに紡絆は起きることなく、むしろ布団を深く被って音を和らげようとしている始末。

そんな彼に対し、忍び寄る一つの影があった。

 

「紡絆くん。朝だよーッ!」

 

「あと…二週間……」

 

布団を引っ張ろうとしているのは、赤髪の少女---結城友奈だ。

然しながら意地でも離されない布団。冬でもないのにもはや友達である。

 

「どれだけ寝る気なの!? んー、えいっ!」

 

「ヴェアアアアアッ!?」

 

どうしようもないと分かると、友奈は強硬手段に出る。

なんと窓を開け、日光を部屋に入れた。そして友奈との戦いによって顔が出てしまっている紡絆は思わず目を開けてしまい、寝起きの目に太陽の光が襲いかかる。

紡絆は凄まじい声を上げながら転がって机に頭をぶつけた。

 

「いだああああ!?」

 

「うわあ!? だ、大丈夫?」

 

「問題……ない………。がくり」

 

「問題ない人がするような反応じゃないよぉ!」

 

なんて一悶着が起こったが、別に重傷でもない紡絆は普通に起き上がった。

そしてぶつけた頭を軽く撫でながら本題に入った。

 

「んで、なんで友奈がいるの?」

 

「東郷さんもいるよ。えっと……紡絆くんのインターホン何度か押したんだけど、反応がなかったら入ってきたんだ。朝食一緒に食べたいなーって思ってたし」

 

「なるほど、それに劇のことも多少は話せるもんな。じゃあ朝食作るか…」

 

「紡絆くんは先に着替えてていいよ? 今から私が手伝いに行くし!」

 

「ん、りょーかい。任せるわ」

 

朝から元気な友奈に紡絆は眠たい目を擦りながら欠伸をし、苦笑いを浮かべる。

すると友奈は紡絆の言葉を聞いてうん、と頷いて階段を降りていった。

その姿を紡絆は少し口角を上げながら見届け---

 

 

 

「……あー…いたっ」

 

苦々しい表情をしながら胸元を抑えて布団に座り込む。

着替えるためにも服を捲ってみると、胸元から鳩尾辺りに円球型に赤くなっている。

()()()()()()()()()()

 

「ふぅ……行きますか」

 

いてて、と独り言を言いながら服を着替えると、階段を降りていく。

そのまま顔を洗ってからリビングに入ると、ちょうど友奈が料理を運び終えていた。

テーブルには三人分の朝食がある。

 

「あ、起きたのね? 紡絆くん、おはよう」

 

「ん、おはよう。いやぁ、朝から過激な起こし方をされたよ。まさか朝から机に頭をぶつけるとはな。お陰で目覚めたけど」

 

「事故だよ〜。それに紡絆くんが全然起きてくれないから…」

 

「否定する材料がない……!

あっ、あと朝食悪いな、ありがとう」

 

車椅子に乗っている少女、東郷美森と友奈に対して礼を言いながら紡絆が着席すると三人は手を合わせてご飯を食べていく。

朝食はどうやら定番の鮭と白米、味噌汁。

そして今回は野菜の春菊のおひたしで和食だ。

 

「流石東郷さん! 凄く美味しい!」

 

「友奈ちゃんにそう言って貰えて嬉しいわ」

 

「……」

 

見てるだけでも美味しいと言いたいことが分かるように食べる友奈だが、一人だけ手が動いていない。

 

「紡絆くん? 何か苦手なものとかあったかしら…確か問題なかったと思うけど……」

 

「あ、あぁ、いや。なんでもない。うん、美味い。流石だなぁ」

 

東郷に言われてハッとした紡絆はお箸で食べていき、味噌汁を飲もうと茶碗を持ち、口元に---

 

 

 

「ッ…あっつぅ!?」

 

持っていくはずが、手から滑り落ちたかのように茶碗が太もも辺りに落下し、紡絆のズボンごと熱い汁が襲いかかった。

 

「わ、紡絆くん!?」

 

「大丈夫!? ちょっと待ってて、今拭くから!」

 

流石に味噌汁となると作り立てなのもあって慌てて友奈と東郷が動く。

紡絆は気づかれないように一瞬だけ手に視線をやり、握る動作をするが何も問題ないと分かると小さく頷いた。

 

「悪い……味噌汁無駄にして」

 

「そんなことは今はどうでもいいわ。それよりも火傷してない? 平気?」

 

「びっくりしたぁ…」

 

「ごめんごめん。あ、流石にもう自分でやります」

 

はは、と笑いながら太ももを拭いてくれた東郷にお礼を言いながら流石に位置が不味いことになりそうだったので紡絆は自分でやるように言うと、自分で拭く。

友奈は一番動く必要のある零れたテーブルや地面などを拭いてくれたらしく、紡絆はお礼を言うことしか出来なかった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

讃州中学勇者部。それは五人で構成された、人々のためになることを勇んで実施する事を目的とした部活である。

まあ、言ってしまえばボランティア部であり、名前以外は他校に存在するボランティア部の活動と然程の違いはない。

今回の活動は幼稚園での人形劇。

 

『昔々、あるところに勇者がいました。勇者は村の人々に嫌がらせを続ける魔王を説得するために、一人旅に出ていました。長く苦しい旅の末、とうとう勇者は魔王のもとにたどり着いたのです!』

 

ナレーションは二年、東郷美森。

音楽・音響担当は一年、犬吠埼樹。

 

「やっとここまでたどり着いたぞ魔王! もう悪いことはやめるんだ!」

 

勇者役は二年、結城友奈。

 

「うるさい! 私を怖がって悪者扱いしたのは、村人の方ではないか!」

 

脚本兼ね魔王役は勇者部部長の三年、犬吠埼風。

 

「だからって、嫌がらせはよくない! 話し合えばわかるよ!」

 

「話し合えば、また悪者にされる!」

 

「君を悪者になんかしない!!」

 

舞台の向かって左側、勇者の人形を操り役になりきっていた友奈が右手を衝動的に払ってしまう。

友奈が平手を叩き込んだのは、この日のためにみんなで作り上げた人形劇の舞台。

それがバターン!と大きな音を立てて倒れてしまった。幸いにも園児達から距離が離れていたので当たることはなかったが、人形劇なのに役者が姿を現してしまうという珍事が起きてしまう。

突然のアクシデントにあわあわと慌てる友奈と当たらなかったことについて安堵する風。

しかしこのままでは微妙な空気になってしまう---

 

 

 

 

 

そこで一人だけ冷静に動く者がいた。

 

「勇者さま! これで魔王が隔てていた壁を打ち払いました! 今の魔王ならば、貴女の力があれば説得出来るはず!」

 

(つ、紡絆くん!?)

 

何処からか持ってきた羽のようなものが生えた神々しい人形を手にし、アクシデントにアドリブで対抗するのが、アシスタント担当の二年、継受紡絆。

彼は友奈が起こしてしまったことに対応するため、一瞬でその辺にあったものを取って場を紡ぐ。

突然の乱入に友奈が小声で驚き、ナイス!という視線を風から受ける。

だが、当の本人である紡絆は焦っていた。

何を隠そう---この男、何も考えていなかった。場を凌ぐためにとりあえず対応しただけなのだ。

 

「い、一体何者だ!?」

 

(え、ちょ。考えてないんですけどぉ!?)

 

(アドリブなんだからもう何とかするしかないでしょ! というかなんで乱入した割に考えてないのよ!?)

 

無茶ぶりされたかと思えば正論で返された紡絆は風のセリフに対応するために人形に視線を一瞬送り、何とか組み上げ、ヤケクソになって叫ぶ。

 

「ッ…私は勇者さまに迫る困難を裏から手助けしていた者。名は光の戦士!」

 

物語の筋書きを変えないようにオリジナルを突っ込むと、紡絆は友奈に視線を送る。

修正出来たと思うからどうにかして説得しろ、という想いが籠った瞳で。

 

「よ、よぉし……勇者キック!」

 

(なんでやねんッ!?)

 

まさかのアイコンタクトが通じず、友奈が魔王人形に勇者キックという名の頭突きを食らわせた。

小声とはいえ、これには紡絆も何故か関西弁が出ていた。

 

(ちょ、ちょっと話し合おうって言ってたわよね!? どうするのよ!?)

 

(だ、だって!)

 

(あぁもう! 二人とも落ち着いて争わないでくれ! とりあえずあれだ、冷静になるためにも---)

 

「樹ちゃん、ミュージックだ! なんか流して! つーか痛い! ほらそこ、いい加減に落ち着きなさい!」

 

何とか脚本通りに戻そうとした紡絆の苦労は報われることなく、何故か勇者と魔王が殴り合っているので人形を突っ込んで自分がダメージを受ける紡絆。

もはや誰が年長者で部長なのか分からないが、紡絆の指示に慌てて樹はパソコンを操作する。

 

「え゛!? え~と、え~と……じゃあコレで!」

 

一泊のあと、音楽がパソコンから流れ始める。

それは勇者がピンチになった時に流すようの魔王テーマだった。

 

「ええ!? 此処で魔王テーマ!?」

 

「ふはははは! ここが貴様の墓場だ!」

 

ノリノリになってしまった魔王。

しかしここで紡絆は閃いた。

これならば行ける、と。

 

「くっ、魔王の力が増大した…!? 勇者さま、私の力でも抑えきれません! 再び魔王を隔てる壁は作られるでしょう。もはや撤退するしか……!」

 

東郷に視線を送り、紡絆は舞台をそれはもう気合いで起き上がらせようとする。

徐々に壁を作るように起き上がらせる---つまりはセレフ壁を演出しているのだ。

本人はしんどそうである。ぶっちゃけ早くして欲しいと東郷に助けを求めていた。

東郷も表面は取り繕っているが、キツそうな様子には気づいたのか勇者と劇に関係ないのにピンチになっている紡絆を助けるために園児たちを先導し始める。

 

「皆! このままだと勇者と光の戦士が危ないわ! みんなの応援で二人を助けよう! 私が言う言葉をみんなも続けて!」

 

『せーのっ! がーんばれ! がーんばれ!』

 

「「「がーんばれ! がーんばれ! がーんばれ!」」」

 

ヒーローショーにあるような声援を東郷(ナレーション)に従うように純粋な園児たちの応援が勇者と光の戦士に力を、魔王を苦しませる。

 

「みんなの光が力を…! 今がチャンスです! さあ、勇者さま。今こそ想いを拳に乗せて!」

 

「うん! 勇者パーンチ!」

 

正直限界と言った感じにそっと魔王を隔てる結界やらバリアかよく分からなくなってきた壁を降ろした紡絆は、友奈もとい、勇者に物語を締める一撃を魔王に打たせた。

 

『こうしてみんなの力と想いが込められたパンチを受けた魔王は、勇者たちの本当の想いを知り、無事に改心することで祖国は守られました。めでたしめでたし』

 

最後にナレーションが締め、途中でトラブルが有ったものの、人形劇は無事成功に終わった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

◆◆◆

 

翌日、全ての授業を終えてこの世界特有の作法である“起立、礼、神樹様に拝”を終えると、終業の合図とともに、教室内の空気が一気に弛緩する。

ここは讃州中学二年の教室、あの人形劇が行われた日の翌日の放課後である。

あるものは友達とのおしゃべりに興じ、あるものは部活の準備をする等と、誰もが思い思いの放課後を過ごしていた。

 

「友奈ーちょっといい? 今度の校外試合、また助っ人お願いしたいんだけど……。」

 

そんな中、部活に向かうために荷物をまとめていた友奈は後ろから声がかけられた。

声のした方へ友奈が振り向くと、眼鏡をかけた女子生徒が一人、少し申し訳なさそうな顔でこちらを見つめている。

女子の中でも運動神経がいい友奈は、所属している部活の影響もあってよくこういったことをお願いされるのだ。

ほんの少し頭の中で予定を整理し、その日が空いていることを確認した友奈は快くそれを引き受けた。

 

「オッケー。いくよー」

 

「ありがとう! 悪いけどお願いね。それにしても忙しそうね、今日も部活?」

 

荷物をまとめ終わった友奈は、カバンの紐に肩を通すと、親友である東郷のもとへ行く。

そのまま手慣れた手つきで彼女の車いすのハンドルを握った。

 

「うん、勇者部だよ」

 

「そう、勇者部」

 

そして何処か誇らしげに二人は答えた。

 

「なんか何度聞いても変な名前ねー。勇者部」

 

「えー? そう? カッコいいじゃん」

 

讃州中学勇者部。

人の役に立つことを勇んで行うことを活動目的として一年前に犬吠埼風が立ち上げた部活である。

その活動は多岐にわたり、町の清掃や部活の助っ人、はたまた野良猫の保護とその里親探しなど、兎に角誰かの役に立つことならば見境なく行っていた。

友奈と東郷とあと一人、二年生三人に加え、部長である三年生の風と一年生の樹の計五人、それが勇者部の全容だ。

 

出発の準備が整うと、友奈達は珍しく筋肉痛で死にかけている男子に声を掛けた。

 

「紡絆くん! いこー!」

 

「りょーかいー…」

 

いててと腕を擦りながら紡絆が友奈たちに近づくと、三人揃って部室に向かう。

 

「それにしても珍しいねー」

 

「そうね。紡絆くんが筋肉痛になるなんてあまりなさそうだもの」

 

「はは……流石にずっと持ち続けるのはな。園児たちに当たったら大変だったし」

 

何処かそう笑い飛ばすように誤魔化す紡絆。

そんな姿に友奈も東郷も納得しているのか紡絆の様子に違和感を持つことは無かった。

そして紡絆は教室で死んでいたからか、友奈も含めて道中で別のクラスの生徒に助っ人のお願いや勇者部に対する応援の声等を貰いながら部室に入る。

 

「こんにちはー! 友奈、東郷、紡絆くん入りまーす!」

 

「こんにちは」

 

「ういーっす」

 

「あ、お疲れ様です」

 

「やっと来たわね、三人とも」

 

部室の中には既に風と樹が居り、樹はタロットカードを広げて、風は死角となっている場所から体を出して手を振っていた。

東郷がパソコンの元に自分で向かう中、紡絆はドアを閉めていた。

 

「昨日の人形劇、大成功でしたね!」

 

「えぇ? あれはギリギリとしか言いようないと思うけど…」

 

「俺は意外と痛かったんですけど」

 

「あはは、結果オーライで!」

 

「友奈さんはいつもボジティブですね」

 

「友奈ちゃんと紡絆くんのアドリブよかったわよ」

 

それぞれが前日の人形劇の感想を述べると、感想をそこそこに風のミーティングを始めるという言葉にこの場の全員が返事する。

部室の奥側には黒板が置いてあり、その周辺が専ら勇者部の会議スペースとなっている。

みんながそこに集まると、既に黒板には様々な子猫の写真が貼られていた。

可愛らしい写真に沸き立つ女子メンバーたち。しかしこれらはただ鑑賞するためだけに張られているわけではない。

『子猫の飼い主探し』と写真の上にも書いてある通り、これは立派な勇者部に入ってきた依頼の資料なのである。

 

「はーい皆注目。この通り、まだ未解決の依頼がこんなにも残ってんのよねー」

 

「い、いっぱいだね…」

 

「早いところ飼い主を見つけてあげなければいけませんね」

 

「そうなのよ東郷。だから、今月は強化月間!今月中に全部解決するつもりで行くわよ!」

 

部長である風がそういうのだから、今月のメイン活動は飼い主探しということになるだろう。

割と大雑把な性格をしている風ではあるが、部長なだけあってこういう時のリーダーシップは流石と言ったところで、部員からの反対等も特にない。

 

「だけど強化月間言ったって何するんですか? いつも通りじゃあ強化したことにならないでしょうし」

 

「いい質問ね、紡絆。学校を巻き込んだ大々的なキャンペーンにして探すのよ」

 

「おー」

 

「ほほー…」

 

「学校を巻き込むという政治的な発想……流石一年先輩です」

 

素直に感心する友奈と、理解してるのかしてないのか分かりづらい鳥のような返事する紡絆と、少しずれた感心の仕方をする東郷。

然しながら前者の二人はともかく、後者の東郷から送られる妙な方向の尊敬の念には、さすがの風も少し戸惑っていた。

 

「学校側への対応は私がやるとして、とりあえずはホームページを強化していきましょう。東郷、任せた!」

 

「はい。携帯からもアクセス出来るようにモバイル版も作ります」

 

早速作業に取り掛かるようにパソコンに向き合う東郷。

ホームページ更新等といったIT系の作業は、他にそれを得意とするメンバーがいないということもあってもっぱら彼女の仕事なのだ。

 

「私たちはどうするんですか?」

 

「ん~。いつも頑張ってもらってるけど、今月はさらに頑張るって感じで!」

 

「アバウトだよお姉ちゃん…」

 

最後の最後で大雑把な風に、各自自分でできることを探すしかないと三人は理解してしまった。

 

「じゃあ、今日海岸の掃除、行くでしょ? その時人にあたってみるのはどう?」

 

「そうだな、俺たち人間には足と言語という強力な武器があるしな」

 

「そうそう、良いこと言う! 紡絆くんさすが!」

 

「よせやい、樹ちゃんも一緒に頑張ろうか」

 

「は、はい…。お二人についていける自信はありませんけど……」

 

樹は友奈の提案に乗った紡絆の言葉に少々控えめに追従した。

見た目の通りインドア派の樹は肉体派の二人についていけるかと言われると、不安になるのは仕方がないとはいえる。

 

「ま、各自やるにしても怪我しない程度にしないとな」

 

紡絆のフォローするような言葉が入ると、既に任務を完了させた東郷に一同が驚くような出来事があったが、それぞれ活動に入るのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

あっという間に時間が過ぎ、各々の活動に区切りをつけた勇者部のメンバーは市内の老舗うどん屋『かめや』に集まっていた。

 

「さ、三杯目………」

 

「うどんは女子力を上げるのよ〜」

 

運ばれてきた新しいどんぶりに嬉しそうな風とそれを見て顔を引きつらせている友奈。

というか、勇者部の唯一の男である紡絆ですら頬を引き攣らせている。

 

「いやいや、それだけ食べてると女子力より……」

 

「なに?」

 

「イエ、ナンデモナイデス…」

 

女性にとっての禁句を言いそうになった紡絆は心無しか若干冷たい視線を周囲から浴びて地面に伏せた。メンタルは弱かったようだ。

如何なる時もこういったところは男は弱いのである。

 

「そ、そういえば先輩。話って?」

 

「あー、そうだ。文化祭の出し物の相談。今年は何しようかなって」

 

友奈が空気を変えるように風に言うと、まだ四月なのに?と全員が首を傾げる。

しかし紡絆は伏せたまま話だけは聞いてるだけで機能していない。

 

「夏休みに入る前には決めておきたいのよ」

 

「確かに、常に先手で有事に備えることは大切ですね」

 

「今年こそは、ですね!」

 

「去年は間に合わなかったからなぁ」

 

「そうそう。だから今年はちゃんとしたいじゃない? せっかく猫の手も入ったことだし」

 

「わ、私!?」

 

友奈や紡絆たちが一年の頃は色々と忙しくて準備が出来ずに出来なかったが、今年は五人になった。

風は隣の樹に視線をやり、頭を撫でる。

猫の手が自分だと言われて驚く樹を他所に、今年は三年である風は最後なのもあってしっかりやるべきだろう、という考えは二年生の三人の中にもあった。

もちろん、去年できなかった心残りもあるのだが。

 

「文化祭かぁ…確かに、せっかくだから一生の思い出に残るものがやりたいですね!」

 

「なおかつ娯楽性が高い大衆が靡くものじゃないと」

 

「いやぁ、難しいなぁ」

 

「ど、どうしたらいいんだろ…」

 

「それをみんなで考えるのよ。とにかく、これはそれぞれ考えておくようにね。はい、宿題」

 

はーい。という後輩たちの返事に満足そうに頷きながら、風は4杯目のうどんを注文し、皆の度肝を抜く。

なお、男である紡絆は2杯で殺られた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

◆◆◆

 

 

 

翌日の授業。

未だに傷が癒えない紡絆は胸はともかく、あまり力が入らないのもあって授業について行くので必死だった。

初日に比べれば腕も動かせるし力も入る。もう痺れの効果は切れているが、それでもダメージというのは残るのだ。

 

「ふぁああ……」

 

「継受さん?」

 

「ほへ?」

 

もう書くのは諦めようかな、なんて思った瞬間、紡絆は欠伸をしてしまう。

そこで先生に名を呼ばれてきょとんとしながら立ち上がった。

 

「ほへ、じゃありません。教科書を読んでもらってもいいですか?」

 

「はーい」

 

何処かのんびりな様子の紡絆は教室が少しの笑い声に包まれたことに何故かわからず首を傾げるが、気にせずに教科書を手に取っていざ読もう---としたところでそれは突然、始まった。

 

――――!!――――!!――――!

 

災害警報の様な特徴的な音に、紡絆は戦いを経験した戦士としての勘が働き、いつでも動けるように身構える。

しかし何も起こらないことから誤報だろうとは考えてしまうが、それにしても先ほどからずっと鳴りっぱなしだ。

少し離れたところで立ち上がった友奈が慌てていて、ふと見れば充電が切れそうで消したはずの自身の携帯が勝手に起動されていた。

 

「あーすみません。なんか勝手に……んん?」

 

携帯を切っておくようにと飛んできた言葉にとりあえず強引にダウンさせた紡絆は謝ろうとしたが、違和感を覚える。

落ちかけの消しゴムが無重力---いや、停止したように空中に浮いたままだったり、同級生が後ろを向いたまま固まっていたり先生からの言葉が何も来なかったり、窓の外には鳥が止まったり飛んできた葉っぱが固まっていたりなど、まるで時間そのものが止まったかのように動かなくなった。

 

---ドクンッ

 

そこで心臓のような音が胸元から響き、紡絆は思わず胸を抑える。

痛みに顔を顰めるが、そこにあるのはエボルトラスター。

警告するように一定のリズムで脈打っていると気づいた紡絆は嫌な予感を感じて顔を引き攣らせるが---

 

「…あれ?」

 

「友奈ちゃん……」

 

自分以外にも動く存在に気づき、すぐに振り向いた。

 

「二人は動けるのか……? 平気か!?」

 

「う、うん私は大丈夫」

 

「私も大丈夫だけど……これは一体? 画面には『樹海化警報』って………」

 

エボルトラスターをいつでも引き抜けるように手を突っ込みながら二人に近づくと、何も無いことに安堵の息を吐く。

 

「俺の所にも同じのがあった。だけど流石にわからない。とりあえずは逃げれるようにしておこう」

 

「そ、そうだね」

 

冷静に考えながらいつでも守れるように二人の傍で待機する紡絆。

しかし彼の持つエボルトラスターからの警告音が止まらない。

 

「つぁ……!?」

 

その時、ドアの奥の窓の外。

本来人類最高記録である11.0を視力を持ってしても人間である限り壁越しなのもあって見えないはずの距離。

紡絆は何らかの気配を感じ取ったかのように扉の窓に視線を送ると、その先を容易に超え、壁すらも透過して海面を見た。

そこに突如として線が入り、黒い隙間のような、星空のような空間が空を侵食し、そこから極彩色の光があふれ出す光景が映る。

さらに()()()()()()()()が一瞬だけ空間の先に見え、光が濁流のように広がって、みるみるうちに町の全てを覆いつくしていく様子に本能的に紡絆は友奈と東郷を守るように自身の背を盾がわりにする。

 

「うわっ、紡絆くん?」

 

「何? この揺れ……地震?」

 

「っ…友奈! 東郷! 絶対に動くなよ!」

 

驚く友奈と揺れに反応する東郷に何も返さず、光が向かってきたのが見えた紡絆は普段は出さないような声で叫びながら二人を守るように抱きしめる。

しかしそんな努力も虚しく、紡絆だけではなく友奈や東郷を光は巻き込んで呑み込んでいった---

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

二人を庇うようにしていた紡絆は目を開けると、息を飲み込んだ。

さっきまでの日常の風景は見る影もなく、そこにあるのは視界を埋め尽くすほどの樹木たち。

自然界ではありえないような色彩の木々が複雑に絡み合い、ある種幻想的な風景を生み出していた。

それこそ、まさしく携帯に出ていたものと同じく---樹海。

別世界とも言える光景に友奈と東郷が困惑する中、紡絆は二人から離れすぎない程度に歩くと周囲を見渡し、冷静に息を大きく吸い込んだ。

そして---

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「……はぁ。よーし…何処だここはああぁぁぁぁぁぁああああああ!?」

 

全力の叫び声が、樹海に木霊した。

---そう、ひとつ言えるのであれば、彼らの『普通』の日常に終わりが訪れたということ。

そしてエボルトラスターの点滅は今も尚、収まることはない---

 

 

 

 

 





〇継受紡絆
アンファンス縛りさせられているイッチ。ようやくエルボーカッターの使い方を知った。ちなみに武道とかやってない(らしい)
そして本人の肉体はまだダメージが残っている(主に最後の爆発攻撃の影響)のでペトレオン戦以降ずっと痩せ我慢中。
実は人形劇の時が一番痛みを感じてた。

〇結城友奈
人形劇の時は紡絆に対する信頼度が東郷さん並みに高いから実はアイコンタクトは通じてました。
かわいい。

〇東郷美森
さらっと料理を作っているが、プロレベル。アイコンタクトが唯一完全に通じた。
日常生活面でも有能すぎる。

〇犬吠埼風
大雑把な点は部員全員が理解している。
うどんの食べる量は紡絆より全然上だぞ! 
一人イレギュラー付きで選ばれちゃったねぇ…。

〇犬吠埼樹
紡絆からは色々と(年下ということもあって)フォローされたりなど優しくされている。
※犬吠埼姉妹は原作通り合流しています。

〇エボルトラスター
警告した。めっちゃ警告した。今もしてる。

▼来てないけど質問みたいなやつ

Q.誰か転生者でゆゆゆの世界知ってるやつおらんの?

A.知ってる人は多分神の力によって見れないようになってるんじゃない?(適当)

続き

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  • 欲しい
  • 是非!
  • 困った人用
  • 書いて♡ 書け(豹変)
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