【悲報】気がつけば目の前に知らない遺跡があるんですが…【なにこれ】   作:絆蛙

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正直言っていいですか? 書くと決めた時からやりたかった回です(真顔)
モチベが(高すぎて)やばすぎるっピ! ただゆゆゆって戦闘少ないのでなかなかに難しいんですよねー…。
そしてトリガーは伝説の光……まさかティガか? 俺も負けてられないな!(アギト並感)






【悲報】 気がつけば別世界に飛ばされたんですが…【どうして】

 

1:光を継いだ転生者 ID:nX2S4UypW

気づいたら1000行ってたから新しくスレ建てたわ

 

 前回→【悲報】気がつけば目の前に知らない遺跡があるんですが…【なにこれ】

 

 

2:光を継いだ転生者 ID:nX2S4UypW

これまでの人物紹介

 

ウルトラマンの力を継いだ一般転生者(中学生)

正直昭和ウルトラマンしか知らない。

 

友奈

明るくて癒される。

たまに落とそうとしてくるんじゃないか、ってくらいの天然を発動してくるのは困る。

 

東郷

上品で優しいしIT系も出来る万能な子

だけど戦艦とかの話になると困る。

 

風先輩

勇者部の部長。

なんでこの人、俺よりうどん食べてるの……? 腹どうなってるの……?

 

 

樹ちゃん

もう可愛くて仕方がない。

つい優しくしちゃうのは仕方がないね、子供を相手してるような感じ。

 

 

 

3:名無しの転生者 ID:OZ2bKQcu8

乙^ゥ~

 

 

5:名無しの転生者 ID:s4CcE9HDr

未だにアンファンスで戦えてるイッチが一般人とかまじ? 世の中広いんやなって

 

 

7:名無しの転生者 ID:bG9yMNz90

どの世界にも大食いキャラとかはいるからなぁ

 

 

8:名無しの転生者 ID:kH8wK3xBX

戦艦の話はしてぇーなぁ

 

 

10:光を継いだ転生者 ID: nX2S4UypW

でさぁ、ちょっと言いたいことあるんだけど(唐突)

 

 

13:名無しの転生者 ID:ckwx1aQl4

ん?

 

 

16:名無しの転生者 ID:VDh78UpUj

なに?

 

 

19:名無しの転生者 ID:8AXImcFX5

どうした?

 

 

21:名無しの転生者 ID:T5XGRuhvu

ビーストでも出たんか?

 

 

24:名無しの転生者 ID:NHv5IJlBU

何かやらかしたんじゃないんだろうな?

 

 

25:光を継いだ転生者 ID: nX2S4UypW

あれ、俺ってそんな風に思われてたの?

 

いやまあ、そこはどうでも良くて……とりあえずさ。

 

 

 

た す け て 

 

〔添付:現実には有り得ない色彩の木々が複雑に絡み合う樹海で困惑した様子の少年と友奈と東郷の写真〕

 

 

28:名無しの転生者 ID:YmCB39fpY

ファッ!?

 

 

31:名無しの転生者 ID:ORMtsXMED

なんだここは!?

 

 

32:名無しの転生者 ID:56I9VLCqP

え? ネクサスにこんな場所あったっけ?

 

 

34:名無しの転生者 ID:eHAsfSviJ

お前いっつも助け求めてんなぁ!? ところで本当にそこどこだよ!?

 

 

36:名無しの転生者 ID:yOINAMWM/

何をやらかした! 言え!

 

 

38:名無しの転生者 ID:N4oOf5nfU

スペースビースト……ではないよなぁ

 

 

41:アークルを宿し超戦士 ID:KtUw0G1uA

とりあえず経緯を説明して欲しいかな

 

 

44:名無しの転生者 ID:6OscC1vI9

せやな、まずは整理しよう。いやマジで何処だそこ……

 

 

46:光を継いだ転生者 ID: nX2S4UypW

この反応は………もしかして誰も知らない?

 

>>41

経緯を説明してと言われてもなぁ……。俺、中学生じゃん?

ダメージ残ってるせいでペンで書くのが辛くてさ、授業中に欠伸したら教科書読むように言われたんだけど突然携帯の警報が鳴って、スタンド攻撃でも受けたと思うくらい周りの生物含めて自然すら動かなくなってびっくりしたのよ。

動けたのは俺と友奈ちゃん、東郷さんだけでふとドア透過して海の方を見たら虹色の光に呑まれて、気がつけば居たわけ。

 

 

48:名無しの転生者 ID:p9Lk4+M0U

なるほどDIO様が時間止めた……にしてはおかしいし、というかネクサスの世界にスタンドはないしな

 

 

50:名無しの転生者 ID:B+IlngodR

でもなんで三人だけ動けたんだ?

 

 

53:名無しの転生者 ID:7O18DsOOY

そもそもの問題として、ネクサスにこんな展開はないぞ? どういうことだ?

 

 

54:名無しの転生者 ID:MuCsD1hwP

さらっとイッチがドアを透過するとかいうとんでもないことしてて草

 

>>25

それにしても、まだ樹海っぽいところじゃなければ納得したんだが…

 

 

56:名無しの転生者 ID:/eCVoscBV

これは俺らでも分からないぞ……

 

 

57:名無しの転生者 ID:dyRfb7ovA

スペースビーストが成長したとか?

 

 

58:名無しの転生者 ID:VzVBb+spO

別の勢力の介入? でもウルトラシリーズにはこんな空間を作り出せる存在はいなかった気がするが……

 

 

59:名無しの転生者 ID:qHDO1Q4GK

まだM78星雲時空ならともかく、ネクサス時空だからなぁ

 

 

60:名無しの転生者 ID:g5Mpu/9B7

つーか、本当にネクサスの世界なのか?

 

 

63:名無しの転生者 ID:wJcUojCq5

つまり?

 

 

64:名無しの転生者 ID:es1KUjxsE

ネクサスの世界ではない? でもスペースビーストやウルトラマンはいるんだぞ?

 

 

66:名無しの転生者 ID: OX82Ln2AK

いや、だがネクサスの世界という条件は整っているんだよな。スペースビーストとウルトラマンがいるだけで、少なくともULTRAMANの内容はしたことになる。それにウルトラマンがいたら間違いなくザギが放っておかないだろ

 

 

68:名無しの転生者 ID:wJXKEkJo/

>>63 >>64

お前ら仲良いな

 

 

70:名無しの転生者 ID:9S4E9HRUZ

一つ言っていいか?

 

 

72:名無しの転生者 ID:iiDumDJhW

なんだ?

 

 

73:名無しの転生者 ID:s521IU1hY

どうした?

 

 

75:名無しの転生者 ID:yp2gibJ1D

ここがどこか分かるのか?

 

 

78:名無しの転生者 ID:9S4E9HRUZ

いや、知らんけど。

でもさ、ネクサスの世界かどうか分かる方法はあるぞ

 

 

80:名無しの転生者 ID:QvAjnMBtH

なん……だと!?

 

 

82:名無しの転生者 ID:g5Mpu/9B7

どうやって分かるん?

 

 

85:名無しの転生者 ID:9S4E9HRUZ

イッチに西暦とか歴史を聞けば良くね? 例え特撮の世界だったりアニメの世界だったりラノベの世界だったりゲームの世界だったりしたら必ずどこかにズレは生じる。だからネクサスと同じ歴史を辿っていないなら、別世界の可能性がある

 

 

88:名無しの転生者 ID:IdAlqnFXh

確かに、ネクサスの舞台設定は現代日本、2009年だしな

 

 

91:名無しの転生者 ID:XSyrMM/PK

>>85

さては天才だな?

 

 

94:名無しの転生者 ID:aM3YouWSG

>>85

その発想はなかった

 

 

95:名無しの転生者 ID:e4cBATA9c

よし! イッチはよ言え! ネクサスの舞台設定は2009〜2010年だ!

 

 

98:光を継いだ転生者 ID:nX2S4UypW

え? ネクサスって平成21〜22年なの?

 

 

99:名無しの転生者 ID:Y2JlZhlGZ

まあネクストが五年前、つまりは2004年だしね

 

 

101:名無しの転生者 ID:3GGhI8r+D

どうした、イッチ?

 

 

104:名無しの転生者 ID:TvS+0mhI5

むしろイッチは何年だと思ってたんですかね…

 

 

 

105:名無しの転生者 ID:ra1yr9l5E

年代が違うのか? いやまあ、多少本編開始時のズレはあっても不思議ではないんだけど…

 

 

107:光を継いだ転生者 ID:nX2S4UypW

いや、あの…

 

 

109:名無しの転生者 ID:9S4E9HRUZ

どうした? 言えない理由があるとか?

 

 

112:名無しの転生者 ID:7UG5URkVJ

煮え切らないな、自白しちゃえよ

 

 

115:名無しの転生者 ID:XknnE1lcg

例えイッチがやらかしたと思っても気にしないぞ

 

 

117:名無しの転生者 ID:G5AlnxVq5

ほら、早くしろ みんな待ってんだぞ

 

 

119:アークルを宿し超戦士 ID:KtUw0G1uA

それで、何年なの?

 

 

122:名無しの転生者 ID:OX82Ln2AK

それさえ分かれば、俺たちがどうにか答えを導き出せる…と思う

 

 

123:光を継いだ転生者 ID:nX2S4UypW

じゃあ、言いますけど---

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

今、神世紀300年です……

 

 

 

 

125:名無しの転生者 ID:tfrdAhuXu

え?

 

 

128:名無しの転生者 ID:OnvDPNz8i

え?

 

 

131:名無しの転生者 ID:ElZdjrwxR

はあ…え?

 

 

132:名無しの転生者 ID:xbrYi9Jxl

はぁ!?

 

 

135:名無しの転生者 ID:ORMtsXMED

はい!?

 

 

138:名無しの転生者 ID:0VIClx3An

ん?

 

 

140:名無しの転生者 ID:gg7kbwVYO

へ?

 

 

141:名無しの転生者 ID:I22aLKdz0

はああああぁぁ!?

 

 

144:名無しの転生者 ID:wJcUojCq5

ちょちょちょ、ちょっと待て! 神世紀300年だと? 令和じゃなくて!? なんだそれ!?

もう一度頼む!

 

 

146:光を継いだ転生者 ID:nX2S4UypW

だから神世紀300年(西暦2318年)ですけど。ネクサスの世界ってそうじゃないの…? 平成なのか……?

 

 

149:名無しの転生者 ID:gBuzaPQxR

2318!? しかも神世紀!? は? いやいや、まだウルトラマンの中でも古代はあっても神世紀っていう西暦はねぇぞ! ギンガが不明だったはずだからもしかしたらそこにあるかもしれんが、ネクサスは間違いなく違うだろ!

 

 

152:名無しの転生者 ID:YG96ctXUG

というかイッチはどこをみてネクサスだと思ったんだよ! 明らかおかしいだろ!

 

 

153:名無しの転生者 ID:hZynHHfTf

そもそももっと早く言えやああああああああぁぁぁ!

 

 

154:名無しの転生者 ID:cRrjM+Gnv

お前いつも肝心なこと話さねぇなぁ!?

 

 

157:名無しの転生者 ID:ue3ehZvuT

まままま、まずは落ち着け、整理だ、整理しよう

 

 

160:名無しの転生者 ID:qHDO1Q4GK

>>157

おまおつ、と言いたいところだが…気持ちは分かる。

つまりは、M78星雲でもネクサス時空でもガイア時空でもない?

 

 

162:アークルを宿し超戦士 ID:KtUw0G1uA

そして俺たちはイッチの言葉からして原作ネクサスの世界だと思い込んでたけど、仮にネクサスの世界としても本当は何百年単位で経っていた世界……

 

 

164:名無しの転生者 ID:gpFFD+NuW

え? でもさ、ネクサスの世界なら流石に300年くらい経ってたらビーストは殲滅されてるんじゃないのか?

それとも、新たなザ・ワンが生まれて再びネクストに戻されてたのか? それかザギが何かをした? つーかザギさんいるのか?

 

 

167:名無しの転生者 ID:+vyTsqiAT

でもビーストは普通に生存してるよね? 本編終了後、小説の内容である2013年ならまだ分かるけどさ

 

 

170:名無しの転生者 ID:xssh05BUK

待てよ、まだネクサスの世界説はある! イッチがなんか一番おかしいんじゃないか?って思う歴史を教えてくれれば!

 

 

171:名無しの転生者 ID:XxPbztfK+

>>25

なんかこれ、条件あるのかな、樹海に入るための。

 

 

172:名無しの転生者 ID:WLdMFeZWj

だけどさ、おかしくない?

仮に300年経っていたとして、なんでイッチがスペースビーストの存在を知らない? ウルトラマンの存在を知らない? 他の子たちも普通はスペースビーストに恐怖を覚えてるはずだろ? 例えネクサスの世界だとしても、300年は来訪者が持たないだろうから記憶を消すことは不可能じゃないか?

あとさっきもあったが、それだけ経ってたらザギが何も行動を移さないのもおかしい。

 

 

175:名無しの転生者 ID:dTSANWGdE

>>170 >>172

その通りなんだよなぁ…

 

 

177:名無しの転生者 ID:XyLshse0z

もうなんか、これ以上は驚かんぞ……

 

 

180:名無しの転生者 ID:6vSHEw7jA

本当にネクサスの世界なのかなぁ……情報が足りねぇ! 

 

 

183:光を継いだ転生者 ID:nX2S4UypW

>>170

あ、そうそう。おかしいなって思う歴史で思い出したんだが、これは間違いなくおかしいんじゃないかな。

実は四国を守護する存在として神樹様が祀られててさ、この世界って四国以外が死のウイルス蔓延してるんだよね。だから多分滅んでるわ。あはは。

あ、風先輩と樹ちゃん来たし話してくるわ

 

 

184:名無しの転生者 ID:PANP0ceWI

>>177

これもイッチのせいだ

 

 

186:名無しの転生者 ID:AttFrr4uG

へえ…四国以外が? 四国以外が!? えええええぇぇぇ!?

 

 

188:名無しの転生者 ID:K/u4/ewYe

はああああああ!? おま、おま、それめっちゃ重要な話じゃねぇかあああああああぁぁぁぁ!!

 

 

191:名無しの転生者 ID:wJcUojCq5

神世紀だけでも意味わからないのに死のウイルスとかもう絶対ネクサスの世界じゃねぇだろおおおぉぉぉ!?

 

 

193:名無しの転生者 ID:XyLshse0z

はあ!? 驚かんとか言ったけど、はぁ!? はいいぃぃ!?

 

 

194:名無しの転生者 ID:cRrjM+Gnv

だからそれが肝心なところでしょぉおおおおぉぉぉ!?

 

 

197:名無しの転生者 ID:hZynHHfTf

いい加減にしろよお前ェッ!!!

 

 

198:名無しの転生者 ID:WLdMFeZWj

んなバカな!? ということは東京滅んでる!? あれ!? ってことは…TLTとか……

 

 

201:アークルを宿し超戦士 ID:KtUw0G1uA

ごめん、こればかりは……ちゃんと情報は報告してくれるかなぁ!?

報連相はしっかり守ろう!

 

 

203:名無しの転生者 ID:Lm2ofHiJk

あっ…(察し)

おいおい、終わったぞこれ! どーすんだよ! ナイトレイダー居ないこと確定しちゃってんじゃねぇかああああああああ!

 

 

205:名無しの転生者 ID:XknnE1lcg

やらかしたや笑い事で済む問題じゃねぇ! みんなを代弁させて言わせてもらう!

てめぇ、マジでいい加減にしやがれえええぇぇぇ! 帰ってこい! そして殴らせろ! 最後に爆弾発言するんじゃねぇよぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉ!!!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

◆◆◆

 

第 4 話 

 

-巨人- ウルトラマン

 

 

 

◆◆◆

 

 

◆◆◆

 

掲示板がよく分からないまま阿鼻叫喚となったり絶望したようなものが流れている間、紡絆は自身が最後に発言してから見ていなかった。

そんな彼は今、よく分からなくなった樹海の世界を見回していた。

 

「いたっ。夢、じゃないよね…」

 

そんな時、友奈が自身の頬を引っ張る。

しかし痛覚があるようで、それは現実であることを安易に証明する材料となっていた。

 

「紡絆くんは……平気そうだね」

 

「驚いてる。でも、俺が不安そうにしちゃダメだろ? 俺は男なんだから、女の子がそんな不安そうにしてたら守らなくちゃならないんだ」

 

一人だけ冷静な様子の紡絆に友奈が言うが、男だからと返す紡絆。

もっと正確に言えば、前世合わせると誰よりも年長者であり、三日前にもビーストと戦った経験が冷静な思考へと移行させていたのだ。

そして紡絆は不安そうな表情をする東郷の目の前で座り込んで目線を合わせると、笑いかけた。友奈も気づいたようで、東郷に視線を送っていた。

 

「東郷、大丈夫だ。一人じゃない」

 

「そ、そうだよ! 私たちがついてる!」

 

「紡絆くん、友奈ちゃん……。うん………」

 

一人は冷静に、一人は取り繕うように安心させようと声をかける。

すると、東郷はそんな二人に少しの笑顔を見せると頷き、再び別世界と化した樹海を見る。

紡絆は立ち上がると一瞬だけ友奈と東郷に視線を移す。

胸元で鳴り続けるエボルトラスターの音を聞きながら唇を力強く噛み締めた。

 

(二人だけでもどうにか助けたい……だけど、俺はウルトラマンの使い方を知らない。他の人に聞こうにも、掲示板は凄まじい速度で動いてるせいで流されかねないし)

 

「あっ、そうだ! 携帯!」

 

そんな思考をしていると、友奈が気づいたように携帯を取り出し、東郷も同じく取り出していた。

 

「画面が変わってるね……」

 

電源を付けたら充電が切れて落ちたため、紡絆は友奈の携帯を覗き込もうとすると友奈が見せてくれる。

その携帯には本来あるはずのアプリが消えており、画面に表示されているのが三つしかなかった。

紡絆はそれについて思考するが、その思考は一瞬で遮られることになった。

 

「ッ!? 誰か来る……!」

 

「えっ!?」

 

葉っぱで見えないが、人影が見えた紡絆が友奈と東郷を背にして警戒する。

紡絆の言葉に二人が驚いていると、言った通りに葉っぱを動かした時に鳴る音が聞こえ、そこから別の人物たちが出てきた。

同じ髪色をした少女。犬吠埼風と犬吠埼樹の犬吠埼姉妹である。

 

「友奈! 東郷! それに……やっぱり紡絆!?」

 

「え、やっぱりってなんですか!?」

 

「風先輩…樹ちゃん……!」

 

「声がかなり響いてたので、何かあったんじゃないかと思っていました…」

 

「紡絆くんの叫びが目印にもなった…ってこと?」

 

「なるほど……」

 

合点いったと言うようにポンっと左手に右拳を叩く紡絆。

しかし叫び声が離れた位置まで届いたのだと気づいた瞬間、割と恥ずかしいことをしたという真実に気づいたように落ち込むが、スルーされる。

その間にも友奈が涙ぐみながら風に抱きついていた。

 

「なんで、どうして二人もここにっ?」

 

「それなんだけど、不幸中の幸いかな。スマホのお陰で分かったのよ。紡絆だけは居ることが分からなかったけど……」

 

「あぁ、充電切れてるからじゃないですかね。というかスマホのお陰ということはGPSとかで知りました?」

 

「その話は後。今は場所を移しましょう」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ひときわ大きな樹木の陰へと場所を映した勇者部一行は、唯一この状況を把握しているらしい風の話に耳を傾けていた。

風が見せた画面には、この場所を表しているらしい図と、その中にある紡絆以外のそれぞれの名前が書かれた色の違う点が表示されていた。

いわゆるマップ機能であるのだろうが、こんな場所で通常のマップが機能するなど考えにくい。

それに加えて不思議なのは、それを表示させるために風が起動させたアプリである。

そのアプリは勇者部発足時にダウンロードするように言われ、入れたアプリだ。

そのアプリはごくごく普通のメッセージアプリの機能しかなかったはずなのだ。しかし明らかに別の項目が増えている。

風曰く、この隠し機能は今の状況に陥った場合に自動で作動するという。

当然のように語る風に、東郷は疑問を覚えた。

 

「そんな隠し機能があったなんて…すごい」

 

「ということは……風先輩。何か知っているんですか? それに、ここはどこなんですか?」

 

「話す前に……落ち着いて聞いてね、三人共。あたしは、大赦から派遣された人間なんだ」

 

大赦。

その名前を知らない者は、この四国にはいない。

だがしかし、それが具体的に何をしている組織なのか明確に知っているものはそう多くはない。

それは勿論、この場にいる風以外の面々も同じだった。

 

「……………」

 

「大赦って……」

 

「神樹様を奉っているところですよね」

 

「なにか特別なお役目なんですか?」

 

なんと言えばいいか分からず、無言で聞いていた紡絆と疑問をぶつける東郷。

その疑問に風が頷いた。

 

「でも、ずっと一緒にいたのに、そんなこと初めて聞いたよ…?」

 

家族である樹は誰よりも風の近くにいた。しかし、そんな樹ですら知らなかったことを、風は語る。

まず、自分達(讃州中学勇者部)のグループが当たりでなければずっと黙っているつもりであったこと。今いるこの世界は神樹様の結界であること。悪い場所ではないが、神樹様に選ばれた自分達はこの中で敵と戦わなければならないこと。そしてこの世界には今、自分達以外に誰も存在していないこと。

 

「あの、そういえばこの点ってなんです…?」

 

「………乙女型? 乙女座ということか?」

 

再び友奈の携帯を覗き込んだ紡絆は、勇者部の名前が書かれている点より大きい点を示す名前らしき部分を読むと、星座を元にしているのかという考えが浮かんだ。

 

「……ッ!? あれは一体…?」

 

「……来たわね。ノロマな奴で助かったわ」

 

誰よりも早く背後を見た紡絆は、驚く。

少し遅れて風が睨みつけたその先。樹木の隙間のその奥に、『ナニカ』が姿を現していた。

ぼろきれのようなものを羽織った、曲線的なフォルムの巨大な『何か』。白と桃、二色で構成されたそれを表現する言葉を、誰も持ち合わせてはいなかった。

だがそれでも、明らかな異物であったことはこの場の誰もが理解出来た存在であった。

 

「あれは『バーテックス』。私たち人類の敵で世界を殺す存在よ」

 

「世界を……殺す………?」

 

「……スペースビーストじゃないのか」

 

世界を殺すというスケールが大きい話だが、紡絆だけは自身が知っている存在ではないことに小さな声で呟いていた。

あまりものスケールの大きさに理解がみんな追いついていないからか、その声は届かなかったが。

 

「奴らの目的は、この世界の核である神樹様にたどり着くこと。奴らが神樹様にたどり着いたとき、世界は終わる。それを止められるのは私たちしかいない」

 

「ん………? いや、待ってください。なんで勇者部が……!」

 

“私たち”という部分に紡絆が疑問を呈し、その答えについて風は持っていた。

 

「この日に備えて、大赦は極秘裏に適性を調査していたの。そして最も適性があると判断されたのが私たちということよ」

 

「そんなこと言われても、あんなのと戦えるわけ……」

 

声を震わせながら俯く東郷。

そんな東郷を横目に手段を提示するように言葉を続ける。

 

「戦う方法はあるわ。そのために用意されたのが『勇者システム』。戦う意思を示せば、このアプリの機能がアンロックされて私たちは神樹様の『勇者』となるの」

 

「勇者……」

 

皆が一斉に自分のスマホを見る。

紡絆を除く三人の画面には、いつの間にかそれらしきものが表示されていた。

だが、戦う方法があると言われてもすぐに動き出せる者がいるだろうか? いや、居ない。

今まで特別な力を持つわけでも、説明をされて覚悟を決めていたわけでもない中学生が動くことなど出来ない。仮に今の説明を受けて迷いなく即座に戦えるものがいるならば、はっきり言って()()だ。

その時、()()された紡絆の瞳が()()()を捉える。

本体であるバーテックスの下腹部、尻尾と思わしき部分から、光が溜まっていた。

 

「まずい! 伏せろ!!」

 

いつもは風がいる時は先輩であるため、敬語を使う紡絆だったが、緊急事態だからか敬語を忘れて全員に叫ぶ。

瞬間、バーテックスから光の塊が発射される。

放物線を描きながら飛んでくるその光は、紡絆たちがいる場所へ真っ直ぐに飛んできて---

 

 

 

 

 

 

 

 

着弾、爆発する。

風が樹を、紡絆が友奈と東郷を咄嗟に庇う。

その直後、凄まじい砂塵と衝撃が五人の体を呑み込んだ。

間近で発生した衝撃に体全体が大きく揺さぶられ、視界はチカチカと明滅する。

煙を吸い込んだからか紡絆以外が咳き込んでいた。

煙がすぐに晴れると、視線の先には()()()()()()()()()()()()()()ように再びチャージしているように見えるバーテックス。

 

「何!?」

 

「こっちに気がついてる……!」

 

樹が驚いた声をあげ、明らかに狙ってきたバーテックスに風が呟く。

怪我もなく、まだチャージに時間はかかるだろう。逃げる時間はあるかもしれない。

しかし体は無事でも心はそうとは限らない。

先ほどよりもより鮮明に感じられた『死』の予感に、東郷の心は完全に折れてしまっていた。

 

「ダメ……無理よ……。あんなの、殺されちゃう………」

 

「東郷……」

 

「東郷さん………」

 

震える体に涙を僅かに浮かべせながら両腕で身体を抑える東郷の姿に、紡絆と友奈は何と声を掛けるべきか分からない。

その姿を見てか、風が自分のスマホを力強く握りしめ、覚悟を決めたような表情で前に出る。

 

「紡絆。みんなを安全な場所に連れて行って」

 

「は……ッ!?」

 

紡絆は、その意味を理解した。

戦ったから、戦っているからこそ即座に理解することが出来た。風が紡絆に言った理由は、()()()誰よりも冷静だったから。

それだけだが、風の指示で彼女が何をやるのか気づいたのだ。

 

「戦う気か!? そんなのしなくていい! 代わりに俺が「あんたには無理よっ!」---ッ!?」

 

今まで聞いたことの無い強い口調。

風自身は気づいてないだろうが、その言葉はあながち間違ってはいない。

紡絆は言われたことに、胸を抑えながら苦悶の表情を浮かべる。

そう、紡絆はバーテックスとは別の敵、スペースビーストと戦っている。まだ傷も癒えてなく、腕の力が完全に入るかどうか言われると微妙で本調子ではないのは確かだった。

 

「いい? 勇者システムは()()()扱えない。どうしてあんたが樹海に居るかは知らないけど、神樹様に選ばれた少女にしか勇者の力は纏えないのよ」

 

「だが……」

 

「気持ちだけでも有難いわ。だけど、あんたはみんなの傍に居てあげなさい。男なんだから、守れるでしょ?」

 

勇者システムが纏えない。

それを分かった上で食い下がろうとするが、風に言われて視線を逸らした先には、友奈と東郷。

特に東郷の方は完全に恐怖に囚われていた。

 

「……わかった。友奈、東郷を頼む。ここは風先輩に任せるぞ」

 

「う、うん!」

 

何を言っても無駄なのだろうと目を伏せると、紡絆は東郷を優先することにした。

友奈が東郷の後ろに付くと、車椅子を押していく。紡絆は先導するように走り出した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

逃げている間、紡絆は時々背後を見ていた。

樹も残るようにしたようで、黄色い花と緑色の花が弾け、二人が『変身』したところも。

さらに強化された聴覚は僅かにだが言葉も拾っていた。

勇者に与えられる『精霊』が力を貸してくれる、ということを。

そして時々見える視線の先には花びらが集まり、武器のようなものを取り出した風と樹の姿が。

 

「ま、待って!」

 

そんな時、友奈の携帯が鳴り、言われた通りに紡絆は止まると友奈の方へ振り返る。

振り返った先では友奈がスマホに耳を当てていた。

 

「風先輩!? 大丈夫なんですか!? 戦っているんですか!?」

 

『こっちの心配より、そっちは大丈夫!?』

 

「はい」

 

スマホでの通話。

それのお陰で耳を当てていないにも関わらず、紡絆にも鮮明に声が聞こえていた。

 

『友奈、紡絆、東郷………黙っててごめん』

 

「---風先輩が黙っていたのは、みんなの、私たちのことを思って黙っていたんですよね。誰にも打ち明けることもできずに。でもそれって、勇者部の活動でも目的じゃないですか! だから風先輩は悪くない!」

 

キッパリと言い切った友奈の姿を見て、紡絆は笑みを浮かべる。

みんなが戦うことに納得はしていない。しかし、風が悪くないことは彼も言いたいところだったからだ。

 

『お姉ちゃん!』

 

『ハッ!? やっちゃった…!』

 

「風先輩!? 樹ちゃん!?」

 

「待て、アイツ……こっちを狙ってきてやがる……!」

 

スマホから聞こえてきた声。切迫した友奈の声と同じくして、紡絆たちからも爆風が起きていたのが見えた。

通話が切れたのか、もう声は聞こえない。

そして今度は、バーテックスが友奈や紡絆、東郷が居る方向を見て再び下腹部に光を集めていた。

さっきの小型爆弾を放とうとしているのだろう。

 

「二人とも、私を置いて今すぐ逃げて!」

 

「何言ってるの!? 友達を---あっ」

 

少なくとも、足が不自由で動けない自分を置いていけば、紡絆と友奈は逃げられる。運動神経が高い二人なら、置いて逃げれば間違いなく助かるのだ。

だからこそ東郷は死ぬ事の恐怖よりも、友達を失う方が嫌で二人に向かって叫んだ。

そのことに紡絆が何かを言おうとする前に、友奈が東郷に向かって言っていた。

最後まで言うことはなく、途中で何かに気づいたように言葉を区切った友奈は瞳に溜まっていた涙を拭き、スマホを強く握る。

 

「……友奈、まさか」

 

その姿を見ていた紡絆は何をする気か理解してしまう。

しかし友奈は既に覚悟を決めたようにバーテックスの方向を見る。

 

「……嫌だ。友達を置いてなんて、そんなこと絶対しない」

 

「お願い逃げて! このままじゃ死んじゃう!」

 

「出来ない! ここで友達を見捨てるようなやつは---」

 

紡絆は悩む。止めるべきかどうかを。

だが、悩んでいる間にも友奈は走り出した。紡絆の手は自然と伸びていたが、届くことは無い。

いや、正確には()()()()()()()。腕に痛みが走り、抑えてしまう。

仮に伸ばせたら、もっと早ければ、悩まなければ、友奈を止めることは出来ただろう。

そしてバーテックスは向かってくる友奈に向かって、小型爆弾を発射し---

 

「勇者じゃないッ!」

 

「友奈…ッ!」

 

爆発が、起きた。

紡絆は友奈の名を呼びながら爆風から東郷を庇い、即座に爆煙を見つめる。

暫しして爆煙が消えると---

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

友奈が左拳を突き出し、その左腕には桜色の手甲のものが付けられている姿があった。

傍には牛をモチーフにしたのか羽の生えた牛の精霊らしき存在がいて、すぐに消える。

友奈の周りに山桜が吹雪のように舞う中、バーテックスは小型爆弾を何発も発射する。

 

「---嫌なんだ。誰かが傷つくこと、辛い思いをすることッ!」

 

一つ目。

右足による上段回し蹴りで爆弾を蹴る。蹴る直前には今度は右靴が桜色の靴に変わっていた。

それは友奈が父親に教えて貰っていた武術による効果。

 

「みんなが、そんな思いをするぐらい……ならッ!」

 

二つ目。

回し蹴りの勢いをそのままにくるりと一回転し、次は左足での上段後ろ回し蹴り。同じように爆弾を破壊すると同時に、また靴が変わる。

迫る爆弾は、後二つ。

 

「私が---」

 

爆弾の1つを跳んで避けると、最後の爆弾へと向かう。

その途中、手足だけじゃなくて全身が一瞬、光に包まれると友奈の服装が変わる。風や樹とは違い、服装だけではなく髪も赤から桜色に変化している。

握っていた携帯に至っては、いつの間にか消えていた。

 

「私が……頑張る!!」

 

最後の爆弾に右拳を叩き込むと、その勢いのまま突き破る。すると友奈の後ろで爆発が起こり、その爆風に押されてバーテックスに突っ込んでいった。

 

「勇者---パァァァァンチッ!!」

 

友奈がそう叫び、右拳を突き出す。

拳はバーテックスの体の一部に直撃すると、爆弾よりも硬い、それでいて柔らかい不思議な感触の後に突き破って着地する。

そして振り返ってから敵を見上げた。

 

「勇者部の活動は、皆の為になることを勇んでやる。私は、讃州中学勇者部……結城友奈! 私は---勇者になる!!」

 

そうして、友奈は『勇者』として名乗った---

 

 

 

 

 

 

406:名無しの転生者 ID:y4AfZgWXd

クウガ式変身やんけ! はい、クウガニキ採点どうぞ!

 

 

407:名無しの転生者 ID:xCs1axZyi

うわぁ、未だによく分からんけど威力凄っ

 

 

408:アークルを宿し超戦士 ID:KtUw0G1uA

>>406

これは文句なしの100点中2000点!

 

 

409:名無しの転生者 ID:VeFWeN1M+

というかもうネクサスの世界説は完全に消えましたね…

 

 

411:名無しの転生者 ID:EmgvGnHWL

つーかイッチは何してんの? さっさと変身して、どうぞ

 

 

413:名無しの転生者 ID:n7i983AJS

ダメージを与えても再生するのか…。しかも封印の義?が必要って面倒臭いじゃねぇか! スペースビーストが居ないだけマシだけど!

 

 

415:名無しの転生者 ID:Y8omPrtNN

>>411

イッチが今変身したら東郷さんを助けられる人がいなくなるダルォ!? 半身不随で動けないし、変身してもバーテックスとやらにエネルギー使ったらビーストと戦うことになった瞬間にはエネルギーが持つかどうか分からねぇ! イッチに至っては多分傷が癒えてないし! それに、あれだけTLTが居ないことが確定したせいでスレがえっぐいほどの速度で動くらいの地獄絵図になったんだからよぉ! 仮にイッチのエネルギーが切れたら詰みだぞ!

 

 

418:名無しの転生者 ID:saZMDUDMI

イッチ? おい、イッチ!? 大丈夫か!?

 

 

419:名無しの転生者 ID:JMPp26WaR

嘘だろ…!? おい、急げ! もう変身しろ!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

小型爆弾が次々と爆発する。

その様子を紡絆と東郷は見ていた。紡絆はただただ悔しそうに右拳を握り締め、唇に至っては血が出るのではないかと言うくらいに強く噛み締められていた。

 

「みんな……友奈ちゃん…。ダメ、私……戦うなんて、出来ない……!」

 

戦う意思さえあれば纏える勇者の力。

その画面のまま、東郷はスマホを握りしめることしか出来なかった。

覚悟が、決まらないのだ。

 

「……東郷、とりあえず避難を---」

 

とにかく、先程と同じように爆弾を発射されてしまえばたまったものではない。

だからこそ離れることを伝えようとしたのだが、突如として紡絆だけは聞いたことのある鳴き声が響いた。

 

『ピィヤアアアア!』

 

「こ、今度は何!?」

 

「ッ…!?」

 

何か分からない東郷は周りを見渡すが、何も居ない。

紡絆はいつでも東郷を庇えるようにしながら、即座に周囲を警戒した。

そして突如横から東郷を狙って触手らしきものが伸びてくる。

 

「危ないッ!」

 

「紡絆くんッ!?」

 

長時間東郷を抱えて逃げることは出来ない。

かといって短時間で逃げ切ることができるかどうかと言われると、不可能ということを()()経験していた紡絆は東郷を守るために右腕で庇うと、引っ掻くように触手に叩かれる。

痛みを堪え、左拳で思い切り触手を殴ると、ほんの少しだけ動きが止まった。

 

「ぐ……荒っぽくなるが我慢してくれ!」

 

叩かれた腕から血が手にまで伝っていくが、車椅子が前のめりにならないギリギリの全速力で離れていく紡絆。

 

「紡絆くん、大丈夫なの!?」

 

「いいから! 前だけ見ろ! 後ろは見るなッ!」

 

「どういう…… ひっ!?」

 

『ピャアアアア!』

 

紡絆が腕の痛みを我慢しながら警告するが、遅かった。

触手を持つ、ナメクジのような巨大な怪物。バーテックスと同じくらいの大きさを持つ怪獣と呼べる存在が東郷の視界に映る。

その正体は、スペースビースト。ペドレオングロースだ。

見た目からわかる通り、まさに恐怖の対象。東郷は顔を青ざめ、即座に前を向くが、先程とは比べ物にならないくらい体を震わす。

さっき見たバーテックスが神樹と人類を滅ぼすために()()という邪魔な存在を排除しようとしているならば、スペースビーストは世界を滅ぼすのではなく()()()()()()()()に行動している。そう、()()()()()()()()()()の命を狙っているという明確な殺意があった。

 

「---しろッ!」

 

後ろから押してくれる誰かの声が聞こえる。

恐怖心に支配されている東郷にはよく聞こえておらず---

 

「しっかりしろッ! 東郷美森ッ!」

 

木々が複雑に絡まっているのもあって、人間しか入れないような大きさの所を何度も走った。

そのお陰でペドレオンは追いつけていないが、全く聞こえてる様子のない東郷に紡絆は立ち止まると正面に座り込み、頬を両手で挟み込んで顔を近づける。

それによって、東郷の視界からは紡絆しか映らないように。

 

「つむ、ぎ…くん?」

 

「恐怖に支配されちゃダメだ。周りが見えなくなれば、物事をまともに判断出来なくなる。いいか、俺がやつを引きつける。

だからバーテックスにだけは気をつけろ。

もしもの時は友奈か誰かに電話しろ、分かったな?」

 

正常に戻ったのを見ると、紡絆は顔を離して立ち上がる。

胸元に手を突っ込み、今かと今かと言うように点滅を繰り返すエボルトラスターを確認すると少しずつ近づいてくる鳴き声の先を睨みつけた。

 

「ど、どうする気!?」

 

「心配しなくていい。絶対に無事に帰ってくる!」

 

「待って、紡絆くん! 紡絆くん…!!」

 

東郷が首を動かして背後を見ると、既に紡絆は走り出していた。

後ろから聞こえる声を無視し、紡絆はスペースビーストがいるところまで全速力で走る---

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「がっ!?」

 

しかしそんな紡絆に対して、()()()()()()()()()ように放たれた火球が彼の肉体を勢いよく吹き飛ばした。

地面を転がり、紡絆を無視して東郷がいる場所へ一直線に向かうぺドレオン。

 

「こいつ……まさか前の個体か!?」

 

そこで紡絆は気づいた。

以前戦ったぺドレオンは、残りは30体は残っていた。最後には融合したようだが、生き残った個体がいても不思議ではなく、さらに再生し切れていない不安定な触手の一部分がそれを証明していた。

となれば、紡絆が()()出来ることを知っている。だからこそ、無視したのだろう。

なぜなら彼は拘束しても再び同じように変身出来るからだ。

 

「くそ…! うっ……」

 

急いで起き上がって走ろうとするが、胸のダメージが紡絆を襲う。

生身では走るのは無理だと判断した紡絆は、今まで速すぎて読むことすら出来なかった掲示板から変身しろという指示に従うように迷いなく取り出したエボルトラスターを引き抜き、同時に斜め上に掲げた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

一方で、一人となった東郷は何もすることが出来なかった。

動けない東郷が出来るのは、ただ悔しがること、焦燥を浮かべるだけだ。

自分もみんなのために、囮になりにいった紡絆を助けたい、と思っても最初に浮かび上がるのは恐怖。

戦う意志を持とうとしても、無理なのだ。

そんな時、バーテックスのような連鎖的ではなく、近い距離で凄まじい爆音が響いた。

 

「まさか…そんな、紡絆くん……!?」

 

唯一勇者システムを扱えない人間。

男だからという簡単な理由であり、なんの力も持たない運動神経が高いだけの中学生が()()()()()()相手に勝てるはずもない。

 

「そうだ、お願い…! 動いて、動いて……!」

 

だが、東郷は違う。

東郷は紡絆とは違い、勇者システムを纏える条件は整っているのだ。

だからこそスマホの画面をひたすら押すが、反応してくれない。

それはすなわち---

 

「どうして、どうしてなのッ!? 早くしないと紡絆くんが…みんなが……ッ!」

 

戦う意思が足りないということ。

どれだけ心で願おうが、思おうとしようが、怖じ恐れ、不安がっていることを見極められているのだろう。その奥底の感情が意思より勝っているのだ。

そして、地面から震動が伝わってくる。地震のような揺れが発生し、足音のようなのが聞こえてきた。

東郷がその方向を見た瞬間、現れたのはぺドレオン。

口を開き、東郷を捕食せんと触手を伸ばす。

 

「ぁ……。紡絆くん……ごめんなさい………ッ」

 

それを見て、これから訪れるであろう痛みと死を受け入れるように東郷が目を閉じた。

その時の東郷は不思議と恐怖ではなく、むしろ申し訳なさと無念という感情が浮かんでいた。

そして目を閉じた影響で視界が真っ暗に染まり、暗闇の中で最後に思ったこと。

それは動けない自分を守るために囮になった紡絆について、そして自分のために戦う決断をした友奈と勇者部のことだった---

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『デェヤァァァァァッ!!』

 

何かが聞こえる。

人の声のような、叫び声のような声。

そして何かを吹き飛ばしたような轟音。

 

『ギェエエエエエ!?』

 

「……え?」

 

同時に先程の怪物が悲鳴のようなものを挙げ、どれだけ経っても痛みが来ることも、体に何がある訳でもない。

むしろ何処か暖かい光を感じられる。

ふと不思議に思った東郷が目を開けると、目前に広がった光景に呆気に取られてしまう。

なぜなら---

 

 

 

 

 

『フッ! ハアア……フアアァァ!』

 

銀色の巨人が、ぺドレオンを投げ飛ばしていたのだから。

それこそ、()()()()()()()()

 

 

「え、うわぁ!? な、なにこれぇー!?」

 

「え、ちょ!? 誰よこいつ!?」

 

「ナメクジ? あれ!? 凄く大きいですよ!?」

 

ぺドレオンを投げた先、ちょうど勇者たちに攻撃しようとしていた乙女型のバーテックス---ヴァルゴを巻き込んで吹き飛ばしていた。

どうやら友奈たちとも近かったようで、突然飛んできたぺドレオンに驚いていた。

さらに投げられた先を友奈が見ると、再び驚愕する。

 

「って風先輩! 樹ちゃん! あの人は!?」

 

「巨人……!? おおおおお姉ちゃん! 何か知ってる!?」

 

「い、いえ知らないわ。大赦からは何も聞かされてない!」

 

明らかに勇者ではない存在。

バーテックスやぺドレオンと同じくらいの大きさを持つ銀色の巨人が居たのだから、驚くのは当然といえよう。

 

「あ……東郷さん」

 

そこで、友奈が気づく。

銀色の巨人の近く、東郷が驚いたように巨人を見つめていることを。

東郷本人からしてみれば、襲われそうになったところを突如助けられたのだから仕方がないのだが。

 

『…………』

 

東郷が助けてくれた、と思える銀色の巨人を目を見開きながらぼんやりと見つめていると、巨人は無言で首を動かして東郷を見て頷いた。

敵ではない、ということだろうか。

その意思は伝わったのか、それとも助けられた時に理解したのか、東郷は一切警戒することなく息を吐くと---

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「---()()()()()()?」

 

そう、呟いた。

何故ウルトラマンだと分かったのか、それは東郷にも分からない。

唯一分かったのは、銀色の巨人を見て、銀色の巨人に助けられて、()()()()()()()()()()()()()()()()

ただそれだけである。そして、その言葉は間違っていない。

彼こそが宇宙からやって来た正体不明の光。

スペースビーストから人類を密かに守ってきた光の巨人、ウルトラマンネクサスなのだから---

 

 

 

 

 

 

 

 





〇継受紡絆
樹海に存在出来るが、男なので勇者システムは扱えない。樹海でもウルトラマンに変身は可能。

〇犬吠埼風
大赦の人間だが、巨人の存在もビーストも知らない。

〇犬吠埼樹
混乱してやっと落ち着いたのに巨人とビーストのせいでまた混乱した。

〇結城友奈
本当は怖い、けど誰かが傷つくくらいなら自分がやる。
傍にいた紡絆が勇者システムを纏えないからこそ、自分がやるしかないと判断した。

〇東郷美森
恐怖が染み付いていて勇者システムを纏えなかった。
紡絆や友奈のお陰で正常を保ている。なんか本編より追い込んでごめんね。
唯一、()()()()()()を知っているようだが……?

〇転生者達
本作の被害者。
言葉足らずなイッチのせいで頭を抱えた。
ようやくネクサス世界じゃないと分かったが、四国以外滅んでる、しかも笑いながら発言したイッチの爆弾のせいでスレがえぐい速さで阿鼻叫喚と化していた。

〇クウガニキ
これがやりたかった

〇ぺドレオン
本作は10体10体10体融合なので、二体倒されたが一体はネクサスを監視していた。
つまり生き残り。

続き

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  • 是非!
  • 困った人用
  • 書いて♡ 書け(豹変)
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