【悲報】気がつけば目の前に知らない遺跡があるんですが…【なにこれ】   作:絆蛙

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紡絆くん視点の答え合わせ。多分これでほとんどの伏線は回収したはず…実は最後の方の展開は6話の時くらいから考えてたんですけど、だいぶ前に感想欄に近い答えのがあった時は普通にビビりました。
てか見直したら紡絆くん26話くらいから肉体回復せずにここまで戦ってきたんやなって。
化け物すぎる…そこも理由あるんですけど。
そしてディアボロ…貴様は、貴様だけは絶対に許さん!!(レグロス視聴後)
あと誕生日過ぎたけど誰か祝って♡(30日)
今年で二歳です(大嘘)




「-選択-デシション」

 

 

◆◆◆

 

 第 43 話 

 

 

-選択-デシション

 

 

心の痛みが判る人

鳴子百合

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

時は数時間前。

あれからこの場を去った小都音の手によって荒らされた場には顔を赤める友奈と対面する首を傾げる紡絆が存在していた。

残念ながら鈍感な紡絆は一切気づかない。

一方で友奈は身を守る服がTシャツ一枚のみ。

いくら洗った後のとはいえ同級生であり、異性である男の子の服と意識すれば、いくら友奈でも女心は出てしまうというもの。

しかも唯一ただの女の子としての自身の弱さを見せている相手なのだから。

 

「……落ち着いた、か?」

「う、うん……」

 

そうは言うが、調子はまだ戻っていない。

まだ不安なのだろうか、と見当違いのことしか浮かべない紡絆だが、彼に出来ることはない。

しかしながら友奈も中学生。

彼女は純粋な性格なのもあって割と知識方面は疎いが、流石にTシャツ一枚で抱きついていたとなると色々と問題はあるもので、落ち着いた今は羞恥心に駆られて恥ずかしかった。

 

(まぁ……大丈夫か)

 

紡絆の目から見て、今の友奈はさっきと違って顔色が良い。

あれほど弱った姿は流石の紡絆ですら初めて見たが、それに比べれば今の状態はだいぶマシなのだろう。

実際にはただ恥ずかしがってるだけで、本当に何かがあるってわけじゃないのだが。

 

「つ、紡絆くん……」

「…ん?」

 

か細い声で名前を呼ばれ、紡絆は視線を向ける。

ただ真っ直ぐに見る紡絆の視線に耐えられないのか友奈はすぐに目を逸らして、落ち着きなく脚を擦り合わせていた。

 

「あまり見られると…その、恥ずかしくて……」

「……あっ。ごめん」

 

今更気づいたと言わんばかりに視線を逸らした紡絆だが、そうなるとどうすればいいか分からない。

無言の空間が作られ、紡絆は視線をどこにやるか困った。

ひとまず虚無を見つめているが。

 

「紡絆くん……」

「どうした?」

「えっと……」

 

名前を呼んだまではいいが、話す内容までは考えてなかったのだろう。

悩むように視線を彷徨わせ、カレンダーに目が入った。

 

「文化祭、近くなってきたね」

「そうだな」

 

ちゃんと文化祭と星マークで印の付けられた個所があり、そのことを話題に出したが広がるわけこともなく一瞬で終えてしまう。

どうにも、普段通りの話が出来ない。

 

「東郷さんや風先輩…大丈夫かな」

「……東郷は分からないな。東郷は俺より考えて動いてるし」

 

思い出したように暗い顔をして、どこか不安そうにする友奈の姿を見ると紡絆は首を横に振った。

紡絆が考えてなさすぎなのもあるが、彼には彼女の行動は読めない。

 

「でも、風先輩のことは夏凜に一応頼んでおいた」

「え、いつの間に!?」

「友奈が風呂に入ってるとき…だけど。あっ」

「…ッ〜!?」

 

友奈と離れたタイミングはその時だけであり、紡絆がスマホを使えたのもその時のみ。

墓穴を掘ったと珍しく気づいた紡絆だが、時すでに遅し。

今度はまた別の意味で恥ずかしくなった友奈が顔を真っ赤に染め上げた。

なぜなら、紡絆が止まったお陰で一緒に入った訳では無いが、近くに居たことは確かなのだから。

 

「……ごめん」

「……だ、大丈夫…だ、よ」

 

配慮が足らなかったことに気がついた紡絆は謝罪するが、友奈は絞り出すようにそれだけ告げると、無言になって俯いてしまった。

ひとまず何か落ち着けるように飲み物でも持ってこようとした紡絆だが、体が引っ張られて動けなかった。

思わず視線を向ければ、友奈が紡絆の裾を掴んでいて、どこか潤んだ目で見つめられていた。

どうやら離れるのはまだ無理らしい、と紡絆は自身が原因なのもあって座り込むと、彼女の傍にいることにした。

それで落ち着けるなら、と。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「本当に大丈夫か?」

 

少しすると紡絆は友奈の家の玄関前に居た。

紡絆が近くに居なくても大丈夫にはなったが、万全の状態ではない。

いや紡絆の方が全く万全でもないのだが。

 

「大丈夫……とは言い切れないけど…うん大丈夫!」

「そっか。友奈が良いなら、別に泊まっていってもよかったんだが」

「それはまた…今度にしようかな」

「…今度?」

「うん、今度。だから()だよ」

 

それは暗に今回で最後ではない、と言っているようなものだ。

それほどヒントを出されると紡絆も分かってるようで、苦笑いする。

 

「そうだな」

「それに…風先輩や夏凜ちゃんも心配だから」

「ああ……俺も後で行くよ」

「うん、紡絆くんは小都音ちゃんとの時間を、大切にしてあげて」

 

紡絆の状態を知った友奈は、残った家族である小都音との時間を作るためにもこうして紡絆の家から出てきたのだろう。

本当はまだ、怖いという感情は残っている。

 

「分かった。じゃあ俺は戻るけど……またみんなのところで落ち合おう」

「……うん」

「じゃあ、またな」

 

軽く微笑みを浮かべた紡絆は友奈の家から離れるために、背を向けた。

一歩、また一歩と離れる姿を見ると友奈の胸中が騒ぎ立てる。

紡絆が自身の元から離れる、という現実が友奈の中で()()()()をイメージさせる。

さっきまでは必ず紡絆は居た。少しは離れても、そこに居た。

目の先に居て、視界の中に居て、彼の無事が分かっていた。

でも離れたら、分からなくなる。

 

(…こわい。はなれたく、ない。きっと…大丈夫。私がちゃんとしてなきゃ、これ以上迷惑をかけるわけには……でも、でも---)

 

恐怖というのは一度身に染みてしまえば早々と消せるものでは無い。

大切な親友の死のイメージ。

簡単に想像出来るようになってしまった今は、それが足枷となる。

結城友奈という少女は確かに強い勇気を持っているが、普通の子と変わらない。身近な人の死というものは、彼女の精神を蝕む。

震える体を抑え込んで、息を吸い込んで---

 

「あっ、そうだ」

「……ぁ」

 

離れたはずの温かな手が、友奈の左手を包み込んだ。

いつの間にか振り返っては、戻ってきていた紡絆。

右手しか動かないから、両手を包むのは出来ない。だから片手を包み込んだ。

そんな彼は、自身の状態がどれだけやばいか分かっているのに、自覚しているはずなのにニコニコとした笑顔を浮かべていて、何も変わらない眩しさを感じさせて。

 

「はい」

「…ふぇ?」

 

そんな彼は友奈の手のひらを表にして、懐から取りだしたちょっと派手なパッケージのパウチタイプゼリーを手のひらの上に置いた。

思わぬ出来事に固まる友奈に、紡絆は不思議そうな表情を浮かべた。

 

「いや、あれ…うん?お腹空いたのかと思ったんだけど、違ったか?」

 

どうやら空腹を感じてるのだと判断したらしく、今の行動はそれが理由なのだろう。

にしたってゼリーでどう空腹のお腹を膨らませろという話なのだが---

 

「…ん、ふふ……あはは、ううんありがとう。貰っておくね」

「そっか」

 

その影響なのか自然と笑うことが出来た友奈は素直にゼリーを貰うことにし、紡絆はゼリーを受け取って貰えたことにちょっと嬉しそうな声音だった。

 

「紡絆くんって…ゼリー好きだよね」

「楽だし美味いからな。記憶を失って目覚めた時から好んで食べてる。あっ、でもこのことは小都音には秘密にしててくれ。バレたら怒られる……!」

「あはは、分かったよ!じゃあ、今度こそまたね、紡絆くん!」

「ああ」

 

渡すものを渡したからか、今度こそ紡絆は自分の家に帰っていく。

友奈は服を着替えるために家に入ろうとして、ふと気づいた。

自分がもう、震えてもなければ怖いという感情が浮かんでないことに。

振り向けば、既に紡絆は居ない。

ただ貰ったゼリーに視線をやり、友奈は何処か嬉しそうに自身の家に入っていく。

---ああ、やっぱり彼は、いつだって勇気を与えてくれる、とそう思いながら。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

◆◆◆

 

405:名無しの転生者 ID:s/GXy00DG

いやさぁ…そこはもっとこう、なんかないの?

 

 

406:光■絆■し転生者 ID:N■X■_u■t■■

お腹空いてたわけじゃなかったの?それにゼリー美味いだろ!!!!!!!!

 

 

407:名無しの転生者 ID:ZdqsC5nig

期待する方が無駄だ

 

 

408:名無しの転生者 ID:+HfgF8U1s

熱量が凄くて草 どんだけ好きなんだよ

 

 

409:名無しの転生者 ID:+rPMWRRb4

イッチが怒られるのはゼリーばっか食ってまともに飯を食わないからなんだよな…

 

 

410:名無しの転生者 ID:IEw+G0mmf

そりゃ怒る

 

 

411:名無しの転生者 ID:qu3rPZ3QP

エネルギーや必要な栄養素は確かに補給出来るけどさあ

 

 

412:名無しの転生者 ID:jkbNmE2g2

んで、どうするんだ?正直やれることと言ったら部長のところか東郷さんのところに行くくらいだけど…でもイッチの負担を考えるなら動かないが一番いいな。外で吐血するのが一番まずいし

 

 

413:光■絆■し転生者 ID:N■X■_u■t■■

ひとまず、小都音が行きたいところあるらしいから出かけようかなと。それが終わったら皆の元へ行く

 

 

414:名無しの転生者 ID:WdoH8yXQz

まぁそうなるか。しかし妹ちゃんとこのタイミングでお出かけって……

 

 

415:名無しの転生者 ID:myWuHT4M2

まるで最後の思い出作りだな

 

 

416:名無しの転生者 ID:aqJtxs17F

あながち否定出来ないのがなんとも

 

 

417:名無しの転生者 ID:EOvu6iIW4

イッチの肉体をどうやって治すんだ、って話だからな。役目を終えたらノア様が治療してくれるかもしれないけど、ノア様も消耗してるっぽいし微妙

 

 

418:名無しの転生者 ID:rrGF51Cu3

イッチも基本諦めない!気合い!みたいな考えしか持ってないからねぇ…もし次の戦いにアレが出てくるなら打つ手があるかどうか

 

 

419:名無しの転生者 ID:Rrq+zTDk1

ぶっちゃけテレビ本編状態なら何とかなるけど、進化してるなら俺たちの知識も役に立たんからな。とりあえず最初から全力で叩くしかないとしか言えないし

 

 

420:名無しの転生者 ID:NG1YuaYWs

友奈ちゃんは今大丈夫そうだしな…もう少し居てもよかったんやで

 

 

421:名無しの転生者 ID:5QsuL2yfi

ぶっちゃけイッチはそろそろ刺されるかと思ってた。今回もだけどたらしこんでるし

 

 

422:名無しの転生者 ID:XCSI5IfSh

確かに、今思えばイッチって未だに刺されてないんだよな。最初は刺されるだろうな、と思ってたけど

 

 

423:名無しの転生者 ID:CX6Zmb74d

腹刺されたんだよなあ(毒針)

 

 

424:名無しの転生者 ID:6IZaNvyG1

そっちはイッチがマジで死にかけたやつ

 

 

 

 

◆◆◆

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

仲睦まじく手を繋いで、二人は歩く。

引っ張られる形で紡絆は歩きながら白いワンピースに身を包む小都音を後ろから見ていた。

小都音は紡絆の手を決して離そうとしない。

そして紡絆が自ら離さないのは申し訳なかったからだ。

自分の口で伝えられていないこと。再会したのにまた居なくなってしまうこと。

 

「…お兄ちゃん?」

「ん、ああ…いやなんでもない」

「そう……」

 

互いが互いを気遣ってるかのように、会話が弾まない。

いつものような穏やかな、柔らかい空気もなく。

ただどんよりとした重たい空気がある。

 

「えーと……そういえばどうして花屋に?」

 

そんな中、紡絆は小都音に尋ねる。

今もこうやって引っ張られているが、紡絆たちはちょうど買い物を終えたところだ。

 

「…そろそろ、入れ替えないとだから」

 

そう言われると紡絆も理解した。

仏壇に供えている花は生け花。いずれ枯れて散るものであり、買い換える必要がある。

だからさっき花屋で花を買ったのだろうと。

 

「………」

 

自然と紡絆の足取りは止まり、それに気づいた小都音が止まって振り向く。

何一つ変わってない、未来を見据え、希望を宿す真っ直ぐな、穢れのない黒い瞳。海のような透き通るような色は身を潜め、薄暗く濁ったような青い瞳。

互いに見つめ合う。

紡絆は一つだけ誰にも伝えてないことがあった。

かつて戦い、激戦の末に殺すことになった闇の巨人(ウルティノイド)の一人。魔人の別名を持つダークファウスト。

その正体を。

もう隠す必要は、ない。

話さなくちゃいけなかった。

それがきっと、自分に残された時間で出来ることなのだろうと。

 

「小都音、話があるんだ。ちょっと、休まないか?」

「……うん」

 

紡絆にしては珍しい真剣な様子に小都音は重大さに気づいたのか、素直に頷くと、二人は近くの公園へと足を運び、ベンチに座り込む。

一度目を伏せ、軽く息を吸い込んだ紡絆は、真実を話すべく小都音を見ながら口を開いた。

 

「実は---」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

皆が満開した時の、総力戦の戦いの出来事。

それらを包み隠すことなく話す。

バーテックス同士が合体して一つの個体になった強大な敵のこと。融合型昇華獣のこと。

何より、ファウストのこと。

ダークファウストの正体は母親で、紡絆は母親に何度も助けられた。

トドメを刺されそうな場面を何度も防いでくれて、最期には勝つためのチャンスをくれて。

そして、そんな母親のことを紡絆自身が殺したことを。

 

「……恨むなら恨んでくれていい。母さんを殺したのは俺であることに変わりは無いから」

 

本当はもっと、早く言うべきだったのだろう。

でも言えなかった。

言ったら、小都音が辛いだろうと。けど、もし紡絆が死んでしまえば真実が明らかに出来ないかもしれない。

だから彼は話したのだろう。その真実がどれだけ辛いものでも、例え恨まれることになろうとも。嫌われるようなことになったとしても、知っておくべきだと思ったから。

 

「そう……だったんだ」

 

話を聞いていた小都音は、理解するのが追いついたのか。

彼女は俯き、両拳を強く握る。

その姿を見た紡絆は、再び口を開く。

 

「俺は母さんを救えなかったどころか、逆に殺すことになった。ごめんな、ウルトラマンの力を持っていても俺は救えなかったんだ。許せないなら許せないでいい。けど母さんは最後まで、俺や小都音のことを想ってくれてた…それだけは分かっていて欲しい」

 

事実、紡絆は母の愛に助けられ、今もここに居る。

子を想う気持ちが闇を一時的にとはいえ封じてみせたのだから。

それに最後に伝えられた言葉は、想いは、今も変わらず紡絆の中にある。

光を、その手に掴んだのだから。

だから自分が何を言われても、母のことだけは悪く思って欲しくなかったのだろう。

 

「……違うよ」

「……?」

 

どんな厳しい言葉も、罵倒も、悪態も、恨み言も、全部受け止める覚悟をして話した紡絆だったが、小都音の言葉に首を傾げた。

 

「違うでしょ…お兄ちゃんは、悪くない……ずっとずっと、一人で抱えてきたんでしょ…?お母さんを自分の手で殺めたことを、お兄ちゃんの方がずっと辛くて、苦しいはずなのに」

「………」

 

救えなかった後悔。

紡絆の記憶にはまだそのことはある。無論、そのことで立ち止まることはないが、それとこれとは別だ。

何度も何度も、あったんじゃないかと思う時はある。

何も知らなくて、記憶のない紡絆に愛情を注いでくれた母親なのだから。

あの時はそうするしかなかったとはいえ、救えたのではと。

いくら背負う覚悟は持ったとしても、母を殺したという罪は紡絆の中に永遠と残り続けているのだろう。

 

「お兄ちゃんは悪くない…だからお兄ちゃんは恨まないよ…例え何があっても、私はお兄ちゃんは恨まないから……だから、ごめんなさい」

「…小都音?」

 

顔を見せることなく、小都音は紡絆の体を引き寄せるようにすると胸元で抱きしめた。

行動はともかく何故謝られたのか分からない紡絆はされるがまま名を呼ぶ。

 

「気づいてあげられなくて…私も抱えるべきことだったのに、一人で抱えさせて……ごめんなさい」

「………いや」

 

唯一動く右手で小都音の手を取ると、紡絆は自ら離れる。

小都音の目に映る紡絆の表情は、少しも翳りはなく---

 

「大丈夫だ。俺が抱えるべき罪なことに変わりは無い。俺は抱えて生きるって決めてるから、今更気にしてないよ。小都音はいつも通り、ただ笑顔でいてくれたらいいからさ」

「………」

 

ただ笑顔でそう告げ、紡絆は小都音の頭を撫でた。

そう、紡絆はかつてそう決意をした。

その決意は消して揺らぐことはなく。

今も過去の適能者(デュナミスト)の言葉も力も、想いも全て紡絆は受け継いでいる。

 

「そ、か……ねえ、お兄ちゃん」

「ん?」

 

特に反応することもなく、今度は小都音は紡絆の手を取ると、強く握った。

普通ならば少し痛い程度だが、スペースビーストの攻撃に耐えうる肉体を持つ紡絆には普通に握られてる程度の感覚しかない。

 

「お母さんは……なんて言ってたの? …どうして、ファウストに?」

「…たぶん、ファウストになってたのは心の闇を利用されたのかもしれない。人なら誰しも、闇は持ってる。そしてアンノウンハンド、俺たちが戦う時に介入してくる闇の力は、凄まじい力を感じるからな」

 

そうは言うが、紡絆は本当は正体も知っている。

ただ正体を知っているのは知識で、直接現場を目撃した訳では無い。

でも、見たことはあった。

一度夢で、黒い巨人を。ウルトラマンの神と言うべき存在を模造し、造られたウルトラマンだと。

あの肌で感じる強さは、今の自分でも勝てないと確信できるほどに強かった。

 

「それと、母さんは…最後に言ってた。小都音のことをお願いって。俺に託してくれた。だから俺は、約束したんだ。母さんのためにも俺のためにも小都音を守るって」

「私を……?」

「ああ、今の俺に出来ることなんて、少ないと思うけどな」

 

自身の状態を自覚してるからだろう。

苦笑しながら告げる紡絆だが、小都音はただ辛そうな表情を浮かべた。

紡絆の手を離して、服を握りしめて、唇を噛み締める。

 

「けど俺はやれることをやるよ。少なくとも、今の日常を壊させる訳にはいかない。みんな戦って、身体機能を失った。辛い目にあった。だから次は幸せになる番なんだ」

「………」

 

自分を棚に上げつつも誰かの幸せを変わらず願う紡絆に小都音は何も言わずに立ち上がると数歩歩く。

 

「お兄ちゃん」

 

小都音は紡絆に背を向けながら、振り向かずに夕陽を見るように僅かに首を上に向けていた。

釣られるように紡絆は立ち上がりながら見ると、ゆっくりと沈もうとしているが燦燦と煌めいている。

数時間後には、沈み切っているだろう。

 

「本当のことを言うね」

「…?本当のこと?」

 

一体なんのことなのか、紡絆には分からない。

流石の紡絆も他人の思考は読めないし心も読めない。

それでもきっと大事なことなのだと聞き逃さないように耳を傾けた。

 

「私、お兄ちゃんのそういうところ好きだよ。誰かのために行動して、誰かのために頑張って、必ず誰かを照らすその姿。

お兄ちゃんは、記憶を失っても……昔からそうだったから」

「………」

 

知らない、自身の過去。

記憶を失ったあとも、ただそうしたいから、と人助けに専念してきた紡絆ではある。

しかしそれは、過去を知る小都音の言葉から察するに、記憶を失う前もそうだったのだろう。

 

「今も昔も、一切変わらないお兄ちゃんは、本当に()()()()()()()()()だなって思う。でもね、私にとってお兄ちゃんは…眩しすぎるの。ずっと後ろに居た。ずっとお兄ちゃんの背中を見てきた。お兄ちゃんのようになれないしお兄ちゃんみたいに私は輝けない。だから同時に……私はお兄ちゃんが怖い」

「小都音………」

「他人ばかりで、自分のことは考えない。自分が死ぬことになることがあっても、手を伸ばそうとする。他人が悪い状況でも、恨むことなく自分だけを責める。私にとってお兄ちゃんが一番なのに。大切なのに。傷ついて欲しくないのに、お兄ちゃんは絶対に聞いてくれない。()()()だって、それでお兄ちゃんは……。けど、それがお兄ちゃんの良さでもあるんだよね」

 

今の紡絆が昔と変わらないのは、どんなことがあろうと、ウルトラマンを宿そうとも自我が強いからだ。それこそ、全てを忘れてしまったとしても、その根本的な部分にあるのは()()()()()()()()

例え辛い思いをしようとも、紡絆という人間は誰かのために全てを背負い、誰かのために何かをしようとする。

動物、人間、世界、神、ウルトラマン、闇の巨人(ウルティノイド)

どのような存在が相手だろうと、彼は決して何もしないという選択を取ったことはなかった。

継受紡絆という人間は、ただのお人好しに見えて、この世界で誰よりも狂っているのかもしれない。

まるで、常に何かに突き動かされているかのように。

 

「気がつけば消えてしまいそうで、居なくなってしまいそうで、怖い。けど、それ以上に好き。止めたいと思っても、やっぱり止められないって……改めて思うんだ。だってお兄ちゃんは、いつだって私を助けてくれたから。誰かを助けるお兄ちゃんが一番かっこよくて、輝いていて、本当に()()()()だから。

お兄ちゃんは…今も私にとっては身近なヒーロー(勇者)だもん」

 

好きでもあり、怖くもある。

自分を大切にしない生き方は、確かに求められるヒーロー像としては正しいのかもしれない。

けれど家族にとって、身近な人にとっては間違っている。

小都音にとって、自分のことを考えない紡絆がいつか目の前から失われるかもしれない、というのが怖いのだろう。

それでも、そんな兄の背中を見続けた小都音にとっては決して否定出来るものではなくて、他人を思いやれる姿が誇らしくて、眩しくて、好きなのだろうと。

 

「……俺が勇者、か」

 

紡絆はいつも考えては分からないという結論が脳裏に浮かぶ。

何故ウルトラマンという光を、自分が得たのだろうと。

戦う理由とは別の、未だに見つかってない答え。

 

他人を思いやれる優しさ。非情になりきれない甘さ。

諦めない強さ。諦めの悪い煩わしさ。

眩い光を持ち、暗い影を持たない。

紡絆という人間はそういった真反対の性質を持っている。

彼の性質はそれこそ光。皆が光と例えるほどに紡絆という人間は闇とは真反対である存在。闇の者からしたら脅威と言われるほどに。

そんな彼だからこそ、光の象徴であるウルトラマンが、人類という種の中でも最も性質が近しい紡絆に宿ったのか。

それともまた、別の理由なのか。

今も尚、答えは分からないし考えてもやはり見つけられない。

ただ紡絆はきっと、見つかるまで自分が得た光の意味を探し続けるだろう。

 

「もしかしたらそれが運命…ってやつなのかもね。私の前から、お兄ちゃんが消えるのも」

 

そう言って振り向いた小都音はただ悲しそうで、寂しそうで、やっぱり全てを察してるかのような、そんな表情だった。

 

「…小都音、もしかして---」

「…分かるよ、下手だもん。お兄ちゃんは嘘をつくのも隠すのも」

「そうか…やっぱり、気づいてたんだな」

 

紡絆も特に驚いた様子はなかった。

それはそうだ。小都音は鋭い。

紡絆なんかよりも賢い。雲泥の差、それほどに。

東郷が答えに辿り着けたなら、妹である彼女が辿り着けないはずがない。

 

「でも俺は…諦めたわけじゃない」

「それも知ってる」

「…まだ救えてないからな」

「…前から、変わってないよね。止まってくれないんだよね」

「ああ」

「傷つくのはお兄ちゃんだよ。戦っても、感謝されるわけでもないし痛いだけ。苦しいだけなのに…この世界があったとしても息苦しいだけ。なのにお兄ちゃんは…諦めないの?」

「それがきっと……俺なんだろ?」

「……そうだね」

 

決して折れない意思。

こんな状況であろうと何も変わることもない。この先も、昔も今も絶対に揺らがないのだろう。

 

「…私にできることはきっと、ないんだと思う。私は勇者でもないしウルトラマンでもないから」

「それは……」

「何も言わずに聞いて」

 

小都音の言葉を否定しようとしたのだろう。

しかしそれを遮る言葉に、紡絆は押し黙る。

 

「ウルトラマンは嫌い。神樹様も嫌い。この世界も嫌い。お兄ちゃんを傷つけるもの全部、私は嫌い。でもお兄ちゃんのためなら私は、なんだってするよ。だから今私に出来るのは---これを渡すことだけ」

 

小都音は紡絆に何かを差し出す。

ただ黙って聞いていただけの紡絆はそれを見て、首を傾げた。

見た目は小さな箱。

包装はされておらず、外見だけでは中身までは分からない。

透視能力を使えば分かるのだが、それは野暮だろう。

 

「これは?」

「…誕生日プレゼントだよ。去年渡せなかった、プレゼント」

「……ああ」

 

そう言われて、紡絆は思い出したかのように納得する。

紡絆の誕生日はまだだ。

ただそれでも、去年の誕生日には既に家族は居なかった。

正確には父親は分からないが、母親はファウストにされ、妹の小都音は天海家に居たわけだが。

 

「…開けても?」

「うん」

 

普通に片手でも開けられるタイプのようで、開けていい許可を貰った紡絆は落とさないように慎重に開けると、箱をベンチに置いてから中身を取り出した。

指で持てるくらいの軽さと大きさ。

黄金色に輝く金属に、ぶらりと揺らぐもの。

 

「ネックレス…これ、太陽か」

 

太陽---言わずもがな地上から見える最も明るい恒星。

地球も含まれる太陽系の物理的中心であり、太陽系の全質量の99.8 %を占め、太陽系の全天体に重力の影響を与えるもの。

そのネックレス。

しかしそれだけではなく、月のペンダントが重なるように存在していた。

 

「それと…もうひとつ」

 

もうひとつのは花が描かれた栞。

夏から秋にかけて咲く花。

ちょうど今の季節くらいだろう。

優しいピンクの花柄で誰でも見た事があるような花。

 

「結城さんに作ってもらった押し花」

 

紡絆でも見た事がある花で、その栞を小都音は紡絆の胸ポケットに挿し込む。

 

「何も出来ないけれどお兄ちゃんを見送ることはしたかったから。何かを、贈りたかったから…」

「…そうか。ありがとう、最後まで大切にするよ」

 

不思議とすんなりと納得が行く。

これが最後になるかもしれないから、だと。

紡絆はネックレスを箱に戻し、ポケットの中に突っ込むと笑顔を浮かべる。

そんな紡絆とは対称に、小都音はさっきも今も、暗い表情のままだ。

 

「そういえば、さっきの花は何の花なんだ?」

「…あれは---」

 

ふと気になって、紡絆は聞く。

確かに見たことはある花だったが、名前までは知らない。

当たり前だろう。

花に興味がなければ、花の名前なんて覚えてる方が少ない。

薔薇だったり紫陽花だったり向日葵だったり桜だったり、本当に誰でも名前を知ってるような花なら別だろうが、紡絆は星に特化している。

当然知り得ないので、小都音は答えるために口を開き---

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

()()がした。

 

「小都音ッ!」

 

妙な違和感。

感じられた鼓動。

ウルトラマンを宿す紡絆だからこそ、気づけたのだろう。

上空に現れた()()()

ブラックホールのような、ワームホールのようなナニカ。

 

「え---」

 

小都音の背後に見えるそれから守るために、紡絆は迷うことなく自分と小都音の位置を変えながら抱きしめた。

 

「がっ!?」

 

そして妙に固く()()()()()()()()が紡絆の首に巻き付き、締め付ける。

咄嗟に小都音を強く押すことで距離を離したのが幸いとなったのか、狙われていたのかは定かでは無い。

しかし物凄い力で首を締めつけられ、唯一動く右手で引きはがそうとするが外れない。

 

「お、おに---」

 

それどころか、尻もちを着いて目を見開く小都音の声を遮るように至る所から悲鳴が聞こえた。

男性だけではなく女性も含め、周囲の人間が悲鳴を挙げる。

呼吸が困難になるほどに圧迫され、酸素を取り込めない中、引き寄せられるように紡絆の体が徐々に異空間の方へ持っていかれそうになる。

ウルトラマンによる身体能力の強化を()()で使うことで留まるが、触手は外れることがない。

それに紡絆の身体能力を持ってしても、その力は紡絆をも上回っていた。

 

(こ、この気配……そうか!今まで感じられなかったスペースビースト振動波の正体はコイツか!?別の異空間に連れて行き、人間を捕食してたのか……!!)

 

そう、その正体はまさしく()()()()()()()()

ただ姿は見えず、敵の正体は分からない。

それでもこの場にいる殆どの人間を連れて行こうとすることから、複数の触腕を持っていると判断するのは容易く、なおかつゲートのように様々な空間から触手が伸びているのが厄介なところだった。

 

(ま、まず……ッ!)

 

忘れてはならない。

紡絆は確かに首に巻きついた触手を剥がすことは叶わず、抵抗するように全力で踏ん張っている。

だが、触手の力は()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()があるのだ。

だとすれば、何の力もない、ただの一般人はどうなるか?

当然---浮く。

異空間に連れていかんとする触手に気づき、紡絆は懐から取り出したブラストショットを迷うことなく()()に放つ。

ブラストショットによって放たれた、小型のスペースビーストならば一撃で倒せる真空波動弾は一直線に飛んでいき、今にも連れていかれそうになっていた人の触手が貫かれ、力を失ったことで解放される。

 

「お兄ちゃん…ッ!」

「に…逃げろ……ッ!!」

 

苦しい中、全員に届くように全力で叫ぶと、解放された人は逃げ出すが、小都音は逃げ出すことはせずに紡絆の首に纏わりつく触手を剥がそうとしていた。

そんな小都音が邪魔になったのか触手が伸びてきたのが見えた紡絆はもう一発。

迫ってきていた触手に放ち、なおかつ射線状にいた別の人を一気に解放する。

しかしブラストショットは元々装填されている弾数は二発しかなく、装填するには()()が必要となる。

つまり紡絆にはもう弾数を補充することが出来ず、これ以上の人を救えない。

そのためブラストショットと入れ替えるようにエボルトラスターを取り出す。

すると脅威だと識別されたのか自身に迫る触手に気づき、小都音を再び引き離すように押すと、そのタイミングで右腕に触手が纏わりついた。

思わぬ痛みにエボルトラスターを落とし、次に左腕と両足まで拘束する。

 

「……!じま---ッ!?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

666:名無しの転生者 ID:3H6fErxoP

ショタ相手に触手プレイやんけ!!興奮するだろッ!!

 

 

667:名無しの転生者 ID:3sqwXP3Wc

そんな場合じゃねーよ!アホ!今のイッチにビーストの攻撃はマズイですよ!しぬぅ!!

 

 

668:名無しの転生者 ID:oWQRluP7A

こいつの存在忘れてたなぁ!!そういや別の位相にいるんだったか!!

 

 

669:情報ニキ ID:JoUHou2in

EPISODE.22、EPISODE.24に登場したフィンディッシュタイプビースト、クトゥーラ!

『異形の海』という空間(ダークフィールドの応用と思われる)を根城にするスペースビーストで恐らくビースト振動波が感知出来なかったのはそれのせいだ!

こいつはスペースビーストの中でも特に醜悪な姿をしていて、サンゴやタコなどの海洋生物を合成させた体に「ムンクの叫び」や某ホラー映画の殺人鬼の様な顔がついているのが特徴な見た目を持っている!

 

主な武器は全身の穴から出す細い触手で、ウルトラマンを捕縛したり投げ飛ばす程の力を持つ上に、フィールド内から触手のみを伸ばしてイッチの世界をほぼ一方的に攻撃することができる厄介さを兼ね備えているぞ!

さらに口のような大きな穴からは敵に触れると爆発する黒い煙を吐く能力もある!

なによりこいつは姫矢准が限界を迎えていた為、禄に戦えない状態であったとはいえ、ウルトラマンネクサスを正面対決で倒してみせたスペースビーストだ…!

 

 

670:名無しの転生者 ID:LAbi2rRjr

あっ、マジでやべぇ!

 

 

671:名無しの転生者 ID:hOg8shlvp

まずいまずい!イッチが異形の海に連れて行かれたら詰む!

 

 

672:名無しの転生者 ID:oetBlFGI1

あー!変身!はダメだもんな!というか落としてるし!どうするんだよこれ!たすけて!誰か助けてー!転生者ー!イッチの世界に転生した方いませんかー!!

このタイミングでスペースビーストが現れるなんて聞いてねーよ!

 

 

673:名無しの転生者 ID:jU7SM5jWm

というかこの状況で他人優先するイッチホントなんなのブレなさすぎだろ!

 

 

674:名無しの転生者 ID:oAjb3Y5jP

まぁそこはイッチらしいよなあ…そんな場合じゃないんですけどね!!

 

 

675:名無しの転生者 ID:6ACofzEaF

おっ?今のはまさか……!!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ゲホッ、ゲホッ!?な、なんだ!?」

 

いくら身体能力が強化されていても四肢を拘束された上に首まで締められてしまうと意識が消えかけていた紡絆だったが、突如として自由になった体に驚きながら地面に着地すると、さっきまであった触手のゲート---異形の海を繋げる空間が閉じられ、次々と周囲の触手が切り刻まれていく。

 

「スペースビーストの触手を……!」

 

自身の身体能力でも片手とはいえ引き剥がせないほどに強い拘束力を秘める上に、真空波動弾でも全て破壊しきれないくらいには頑丈なはずが、全て解放されていた。

一体誰なのか気になったが、小都音を守るためにもエボルトラスターを取り返すためにも紡絆は引き離された距離を一気に駆け抜ける。

すると周囲の人々を狙うのをやめたのか、複数の触手が紡絆を囲むようにして出現した。

 

「!?」

 

まさか対象を絞って自由自在に干渉できる空間を作れるとは思わず、囲まれた紡絆に迫る触手。

すんでのところで回避するが、今度は触手が捕まえるのではなく、紡絆に攻撃するように振り下ろされる。

咄嗟に右腕でガードするが、その威力は凄まじく。

衝撃で紡絆の体が反転し、触手が腹に巻き付くと一気に引っ張っていく。

 

(こいつ…俺を狙ってる…!くそ、両手が使えたら……それになんだ、さっきからなんなんだ、これは……!)

 

意識が遠のき視界が、眩い光を映していた。そして意識が戻り、また光が見える。

それを繰り返すだけで、ただ見るたび、胸が僅かに熱くなる。

それでも今はそんなことに構っていられる暇はなく、頭を振るって意識を取り戻すと足に力を入れるよりも早く動いた触手は紡絆を連れていかんとしていた。

咄嗟に右手で剥がそうとするがやはり取れない。

異形の海の空間が近づき、あと数秒もすれば紡絆は現実世界から居なくなるだろう。

諦めることなく片手で何とかしようと足掻いていたが、間に合わないかと思われたとき()()()()()が触手を弾き飛ばす。

さらに別のところから飛んできたであろう緑の光が次々と触手を弾き、諦めたのかゲートと共に触手は姿を消した。

 

「今のは……まさか」

 

驚いたように、紡絆は緑の光が飛んできた場所を見ると、やはりというべきか。

 

『大丈夫ですか?』

「…樹ちゃん」

 

勇者の力を纏う、犬吠埼樹が心配した様子で---喋れないのでスマホのメモで書いた文字を紡絆に見せていた。

さっき驚いたのは紡絆は樹が来ていたことが予想外だったのだろう。

 

「ありがとう、スペースビーストが急に現れて…来てくれなかったらやばかったよ。お陰で助かった…他のみんなが連れていかれることもなかったし、最後もやばかったからさ」

「………?」

『どういたしまして』

 

その言葉に僅かに違和感を覚えたものの、樹は特に追及することなくお礼を受け取ると小都音の方へ早歩きして近づいていき、紡絆は割と痛かった腹を軽く抑えながら歩いて向かっていく。

 

(樹ちゃんに助けられてなかったら危うく連れて行かれるところだったな……)

 

四肢を含め首も拘束されていた時はともかく、最後のことに関しては紡絆は()()()()()()()らしく、樹に助けられたと思い込んでいる。

そして樹が違和感を覚えたのは間違いなくそこなのだが、樹が喋れたならその答えは解けただろう。

 

『小都音ちゃんも大丈夫?』

「あ……樹ちゃん……。来て、たんだ」

『うん、帰るところだったけど騒ぎが起きてたのが気になって……』

「…そ、か」

 

座り込んでいた小都音の手を取った樹は彼女を起こすと、ここに来た経緯を話していた。

当然といえば当然だが、あれだけ周囲の人々が異様な状況に巻き込まれていたら騒ぎになるだろう。

最初に紡絆が叫んだ影響か、周囲にはもう人が居ないが。

 

「その姿が…勇者の服なんだ……似合ってるね」

『あ…ありがとう』

「……あと兄さんを助けてくれて、ありがとう」

だ、大丈夫……!?

 

姿を褒められ、照れる樹だが小都音は覇気のない様子でそれだけ告げると、力が抜けたように樹の胸にもたれかかる。

樹は受け止めると、どこか怪我でもしたのかと慌てた様子だった。

 

「小都音……怪我はないか?」

「……うん。兄さんの、おかげで……兄さんは…?」

「俺も樹ちゃんのお陰でな」

そ、そんな…私は偶然来ただけですし…

 

紡絆の顔を見ないためか、それとも表情を見せないためか抱きつくように樹にくっつく小都音の影響でスマホが打てずに首だけを振る樹だが、紡絆は樹の頭を軽く撫でる。

 

「あれは別の位相にいるスペースビーストなんだ。だからきっと、あのままなら俺も……樹ちゃんが助けた人々や小都音も危なかったかもしれない。特に俺は変身する暇がなかったしな、だからありがとう」

「………ッ」

 

別に言葉は通じてる訳では無いが、反応から見て遠慮してるのだろうと気づいた紡絆は撫でながら告げると、樹は恥ずかしそうに頬を赤めながら頷いた。

満足したのかよし、と頷き、紡絆はエボルトラスターを探すように見渡すと、遠くに落ちてるのが見えた。

 

『そういえば紡絆先輩。今も……この前から左手使ってませんでしたけど……何かあったんですか?』

「……あーそれは」

 

あの状況でも気づいていたのか。

いや、そもそも紡絆は誰かを助けるためなら絶対に自身の力を全て使ってただろうし、何より最後に連れていかれそうになったとき樹は既に近くにいた。

そこでも右手のみしか使ってなかったし日常でも使うような場面を見なかったからだろう。

疑問を抱いても何の違和感もないしさすがに誤魔化しきれない。

それにもう全部隠す理由もない。

どうせいずれは知らなければならない真実で、紡絆はそれを話すために場所を変える提案をした。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

話された真実。

紡絆の自身の身体機能が失われていること。失われた部分。自身の命がもう尽きようとしていること。

そして勇者システムの真実。満開の後遺症。先代勇者のこと。

まだ話すなとは言われていたが、紡絆の性格上隠すのが苦手だったのか普通に話した。

全部を話し終えると、樹は喉元に右手をやり、ショックを受けたのか顔を伏せていた。

治らないと言われて、思うところがあるのだろう。

樹の隣にいる小都音が、樹の左手に触れる。

 

「ごめん。本当は話さない方がよかったかもしれない。それかもっと早く話すべきだったかもしれない。でもきっと、近いうちに知ることだと思うから」

 

俯く樹に紡絆は残酷な真実を話すしたことに申し訳なく思うことしか出来ない。

果たしてこの選択が正しいのか紡絆は知らないからだ。

話さない方が精神的には良いかもしれないが、何も知らないというのはそれはそれで辛い。

結局どう転ぼうとも紡絆は話しただろうが。

ただこの真実を話したのは紡絆であることから彼は樹が耐えられないなら支えるだろうしもう勇者にならないことを選ぶならそれはそれで尊重するだろう。

しかし---

 

『紡絆先輩は悪くありません。でも尚更…お姉ちゃんのところに行かなきゃ』

 

紡絆の予想を超え、顔を上げた樹には暗い表情が見られなかった。

自身の身体機能が治らないと言われたようなものなのに、彼女は足踏みすることなく前を見据えている。

 

「……驚いたな。辛くないのか?」

『辛いです。もう治らないって伝えられて、紡絆先輩が長くないって知らされて…でも』

「でも?」

 

スマホで打たなければならない分時間がかかるが、樹も辛くはあるのだろう。

ならば、彼女を動かす根源はなんなのか。

 

『紡絆先輩、諦めてませんよね?』

「ああ」

『なら私も諦めません。だって、紡絆先輩と約束しましたから』

「………」

 

こんな状況でも、樹は笑顔を作る。

確かにこの真実を伝えられて、平気で居られる人間はほぼ居ないだろう。

紡絆が異常なだけで、他の皆は心に深い傷を負ったはず。

だけど樹は、紡絆との約束がある、というだけで前を向けていた。諦めてなかった。

 

『それにお姉ちゃんの方がもっと辛いと思うんです。たくさん一人で抱えて…だから心配です』

「そうか、樹ちゃんは強いな」

『それはお姉ちゃんや小都音ちゃん、友奈さんや東郷先輩、夏凜さん。そして紡絆先輩のお陰ですよ』

「そっか」

 

そう告げる樹に、紡絆は微笑む。

最初に会った時とは比べずとも分かるくらい、勇者部というものが彼女を強くしたことに。

紡絆はそんな樹に対して褒めるように頭をポンポンと優しく撫でると、さっき移動した際に拾ったエボルトラスターを手にして---

 

「ッ!?」

「…お兄ちゃん!?」

紡絆先輩!?

 

頭を抑える。

さらに突然と膝を着く紡絆に黙って聞いていた小都音が駆け寄り、樹も携帯で文を打つことすらせずに駆け寄っていた。

そんな二人を安心させるためか、大丈夫というように頭を抑えていた手を向けると、紡絆の頭の中に何かの、映像のようなものが浮かぶ。

まるでBlu-rayやDVD、ビデオといったものを再生したかのように。

 

「……東郷?」

「…お兄ちゃん?」

『紡絆先輩…?』

 

この場にいない人間の名前を呼ぶ紡絆に二人は訝しげにしていた。

しかし紡絆は気にした様子はなく、ただ強い光を目に宿しながら立ち上がった。

 

「病院…先代勇者の二人……?行かないと」

 

紡絆の中で駆け巡ったのは記憶。

東郷がどこかの病院に入り、受付の人に案内されて先代勇者と会っているところ。

そこで映像が切れたが、自身の中で警報のような、使命のようなものが宿る。

いわゆる嫌な予感というもの。

 

「ごめん、樹ちゃん!小都音を頼む!風先輩のところには夏凜が行ってるし俺も後で行くから!」

えっ!?紡絆先輩?ど、どういう…っ!?

「…!ま、まって、お兄ちゃん!」

 

何の説明もなく小都音を託す旨だけでなく姉の元にいつの間にか夏凜を派遣していた紡絆に樹は色々と聞きたかったが、聞く暇もなく紡絆は走り、小都音の呼び掛けに足を止めた。

 

「どうした?」

「えっ…と……」

 

咄嗟に振り向いた紡絆だったが、呼び止めた小都音は何かを言いたそうで、言いたくなさそうで、何処か迷うような素振りを見せると取り繕うような上辺だけの笑みを浮かべた。

 

「いってらっしゃい……気をつけてね」

「ああ、ごめんだけど樹ちゃんも頼んだ!」

 

それに気づくことはなく、紡絆は走り去っていく。

去る背中を見つめながら、伸ばしていた手を握りしめると小都音は樹にも笑いかける。

無理をしてるかのような、弱々しい笑み。

 

小都音ちゃん……?

「…樹ちゃんは、大丈夫?」

う、うん…私は大丈夫だけど…

「そっか…樹ちゃんは私と違って、強いね…」

 

そういう小都音の声には感情は乗って居らず、今も紡絆が走り去った先に視線を向けていた。

 

『紡絆先輩なら…きっと大丈夫だと、思う』

「……」

 

樹は何と言うべき解らず、当たり障のない事を言うしか出来ない。

それを一瞥した小都音からは、暗い表情は消えず。

瞳に宿す暗闇は一層濃くなる。

けれども、それは誰にも気づけない。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ザワつくような、漠然としない嫌な予感を胸に紡絆は駆ける。

果たしてそれは、一体なんなのか。

ただ何かが告げて、導かれるように紡絆は行動していた。

きっと自分は行かねばならない、と。

 

「……ここか」

 

急ぎたい気持ちを抑え、目的地である病院へ入って受付の人に声を掛ける。

 

「あの」

「ご案内致します」

「…!」

 

まるで自分のことを知ってるかのような対応で、何も言っていないのに動く受付の人の姿に流石の紡絆も驚いたが不思議と理解できた。

大赦の仮面を着けていることから、大赦の人間だということを。

 

そして病院内であることから走れないため、歩いて案内された先には明らかに異質な部屋。

隔離されてるようで、他の病室とは大きく離れてる上に祀っているかのような光景。

それらを軽く見渡すと、先程視た映像と同じであることを理解する。

 

「……ひとつだけ、どうしても言いたいことがあります。ずっと言えなかった、後悔が」

「……?」

 

部屋の前に着くと、案内してくれた女性は仮面を取ると、振り向く。

顔立ちは良く、黒い髪に空色の目。

前世の地球で何処にもいた日本人そのものの黒い髪で、瞳は色の通り青空のような綺麗な色をした女性が、複雑そうな表情を浮かべている。

その姿を紡絆は、不思議と()()()()と思った。

 

「ありがとう…そしてごめんなさい」

「…え?」

「………」

 

見覚えのない謝辞に事情が呑み込めず、目を見開いてぼんやりする紡絆に目の前の女性は酷く辛そうな、悲しそうな表情を一瞬浮かべると、それを隠すように仮面を被る。

 

「---」

 

小さな声で何かを呟いたようだが紡絆には聞き取ることは出来ず首を傾げる。

だけど---

 

「…あの。なんで感謝されたのか謝られたのか、分からないんですけど。

何か俺のせいで抱えてるなら、気にしないでください。以前の俺も、今の俺も、それは望まない。感謝するってことは俺が何かしたんだと思うけど、感謝されるようなことをしたなら良いことを出来たと思うんです。ならそれで()()()()ですから」

「……ッ!」

「あ、勘違いだったらすみません」

 

多くを語ることをしなかった女性に何かまでは分からない。

だが言葉から察するに、記憶を失う前の紡絆は関わっていたというのは分かる。

だからこそ紡絆は自分が原因だと看破して笑顔でそう告げたのだが、女性は一瞬固まり、手を強く握りしめて、何も言わなかった。

そして要件は済んだというように、女性は()()()()()()()()紡絆の背後に控えた。

話も案内も終わり、ということだろう。

行動で察することが出来た紡絆は病室をノックした。

 

「は〜い」

 

伸び伸びとした、つい数日前に聞いた少女の声が聞こえた。

紡絆は悩むことも無く、ドアを開けると中に入る。

少し歩き、相変わらず部屋の中も異様ではあるが気にすることなくベッドへと近づくと、二人の少女が驚いたように紡絆を見ていた。

 

「あれ…はるるん?」

「どうしてここが…」

「東郷がここに来たことが…視えたんだ」

 

神官の女性は相変わらず後ろに控えているが、ここに来た理由を説明すると金髪の女性---園子は理解したような表情を浮かべた。

 

「ごめん。本当は話すこともあると思うし、俺も話したいとは思う。けれど」

「…時間が無い、んだよね」

「……!知ってたのか」

「わっしーから聞いたんだぁ。散華のないはずのはるるんが、()()()()()()()()()って」

 

たったのそれだけで紡絆の状態に行き着くのは凄いとしか言いようがないが、紡絆は肯定を示すと、やはり園子と銀髪の少女---銀も悲しそうな表情をする。

 

「東郷がここに居ないってことは……何かあったってことだろ?教えて欲しい、俺は行かなくちゃならない。東郷を一人にするわけには行かないんだ」

「それはいいけど……お前、その状態で動く気か?」

「足は動くし、口も動く。頭も…まあ働きはしないけど動くから問題ないよ」

 

間違いなくそういう意味で言われたことではないが、紡絆の返しに呆れたように銀はため息を吐いた。

 

「やっぱ変わないな、陽灯」

「そうなのか?」

「そうだよ。誰かのために真っ直ぐ突き進む姿はいつだって変わらない」

 

今も紡絆がここにいる理由は、東郷のためだ。

彼の脳裏に流れてきた映像には確信を持ったような様子で入っていく姿が映っていた。

そして小都音だけではなく、二年前。

陽灯として生きた期間を知る彼女がそういうなら昔も、紡絆という人間は誰かのために行動していたのだろう。

 

「…いいよ。はるるんの知りたいことはきっと、()()()()()()()。でも一つだけ聞かせて?」

「世界の、真実…?それを聞けるなら、答えられるものなら何でも答えるけど…」

 

やはり情報を持っていたようで、東郷はそれを聞いたのだろうと察したが、園子が何を自分に聞きたいのか分からない紡絆は予想がつかない。

 

「今のはるるんを突き動かすのはどっち?()()()()()()なのか、継受紡絆という()()()()()としてなのか聞かせて欲しいんだ」

 

おっとりした様子は身を潜め、彼女は鋭く真っ直ぐな瞳で紡絆を射抜く。

嘘は許さないと言わんばかりに、ウルトラマンを宿す紡絆ですら気圧されるほどの気配。

それはシステムを纏わずとも()()の園子だった。

けれども---

 

「決まってる、()()だ」

 

紡絆は空白もなく即座に返した。

威圧感に支配されることも無く、嘘をつくこともなく、真っ直ぐに返した。

 

「私は『どっち』かって聞いたんだけどなぁ〜…?」

「俺はウルトラマンを宿す人間だ。だからウルトラマンも継受紡絆という人間も()()だろ?」

「それは屁理屈って言うんだよ、はるるん」

「そうかもしれない。けど俺という人間もウルトラマンも誰かを助けたいと願う心に偽りはひとつもないんだ」

「その回答は…ずるいね」

「ごめん、けど」

 

求めていた回答ではなかったのだろう。

無理筋を通してでも紡絆は説得するためか口を開こうとするが、園子が遮るようにゆっくりと動かされた人差し指が紡絆の口を塞ぐ。

 

「しーっ」

 

口を塞がれた紡絆は目をぱちくりと瞬きさせ、その言葉を呑み込むと試されたということを理解した。

 

「はるるんはきっとこれを知ったら、自分を責めると思う。わっしーの元に行くと思う。それで…彼女を止めようとするはず」

「分かるのか?」

「だってそれが、貴方だから。私の知る、はるるんだったら絶対ぜーったいそうするよ」

「…そうか、そうだな。少なくとも東郷の選択が()()()()()なら止めるよ。東郷が闇に呑まれたなら、助け出す。きっとみんなの状態を知って、俺の状態を知って、二人から話を聞いて、頭のいい東郷なら何かの結論を導き出しただろうから」

「そっか」

 

確信を持った表情で告げられ、紡絆はそれを否定せず眼光に強い輝きを宿し続ける。

その瞳を見て、園子は一度目を伏せると銀に視線を送った。

 

「ミノさんもいい?」

「ああ、どうせ止められないしな」

「今の俺も過去の俺もそう言われてる気がするな……一体どう思われてるのやら」

「聞きたいか?」

「いっぱい言えるよ〜?」

「い、いや…遠慮しとく」

 

ちょっとした好奇心が言葉になったが、園子と銀の笑顔に嫌な予感を感じた紡絆は自身の勘に従って聞かないことにした。

それはともかく話は逸れたが、紡絆は園子と銀が話し出した真実に聞き逃さないように集中した---

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「これが世界の真実だよ」

 

そう締めくくった園子は口を閉じた。

全部を理解することは出来なかったが、重要と思われる部分を反芻するように紡絆は一部の単語を口にした。

 

「天の神…バーテックス……神樹様…結界…ザ・ワン……」

 

話されたのは紡絆も知らなかったこの世界の真実のこと。

バーテックスと神樹の存在とその結界。かつてこの世界を襲った始まりのスペースビーストの存在。

逆を言えばそれ以外の話はしておらず、当然ながら園子と銀は二年前、つまり紡絆が陽灯という人間だった頃の話はしていない。

 

「…話の途中、申し訳ありません」

 

そんな中、紡絆の病室の扉前に佇んでいた神官が紡絆たちに声をかける。

園子と銀は視線を送り、紡絆は何かを考えているようだった。

 

「何かあった?」

「今代の勇者である犬吠埼風様が暴走した…との報告が」

「ッ!?風先輩が?」

 

報告を聞いた紡絆は知っている名前を聞いて反応する。

それと同時にスマホが鳴り、一瞬だけ画面を見ると風を止めろというメールが大赦から送られてきていた。

どうやら本当のことらしい。

 

「確かに来てる…でもなんで二人にも?」

 

その疑問は当然であり、彼女は紡絆だけに言ったのではなく、この場の全員に告げた。

といっても声は淡々としていて、本当にただ仕事をしただけって感じではあったが。

 

「あ〜本当はね、私たちは勇者が何らかの形で暴走したら抑える役目なんだよ〜」

「抑える…ってその体でか?」

「いや陽灯だけには言われたくないんだけど。まあ精霊の数が段違いだからな」

「たくさんの武器でどかーんだからね〜。今の私たちはスペースビーストにも勝てるよ」

 

満開を繰り返したことで強くなり、スペースビーストにも勝てるということは実力自体はウルトラマンに匹敵するということ。

 

「陽灯は真実を知った。 一つだけ話してないけど…それは自分の目で見た方がいいと思う。ただ須美は間違いなく、確かめるために壁の外に向かったはずだ。ああ、ちなみにあたしらは何もするつもりないから。今の勇者たちの選択に従うし須美や陽灯の選択も否定しない」

「はるるんはどうするの?犬吠埼風さんの取った選択。壁の外を見てわっしーが選んだ選択を止めようとする?」

 

銀と園子が問いかけるように再び紡絆を見る。

しかしその目は穏やかで、友を想うような、慮るような様子だった。

そんなふたりに対して---

 

「止める」

 

どんな真実を知ったとしても、紡絆はやはり迷わなかった。

紡絆はただポケットに手を突っ込み、エボルトラスターを取り出す。

 

「話を聞いてさ、ひとつ、分かったことがあった」

「分かったことって?」

 

紡絆はエボルトラスターを強く握りしめ、嬉しそうな、誇らしいような、そんな喜びの感情を浮かべながら見ると、顔を挙げて二人に視線を変えて語る。

 

「俺の力は多くの人に受け継がれてきた物なんだ。そして勇者も同じだったってことだろ?なんというか、運命的なものを感じてさ。西暦の頃から、勇者のバトンは繋がれてきたんだと思う。だったら()の名を持つ俺が、そのバトンを()()な形で終わらせる訳にはいかない。思いを無駄にはさせられない」

 

ウルトラマン---紡絆に宿るウルトラマンは『絆』の名を持つ光の巨人。

はるか昔、それこそ数万年前から受け継がれ、多くの者に託されてきた光。

勇者は西暦の頃から神世紀に渡り、多くの者に託されてきたバトン。

双方ともに受け継がれてきたもの。

そして継受紡絆という人間の名にも『絆』の字が入っている。

複数の偶然が重なり、それは今、運命のように収束していた。

 

「だから……俺は行くよ。それがきっと、俺の成すべきことだと思うから」

 

紡絆の残る変身回数は一度のみ。

それ以上の変身は紡絆の命を奪い、彼はこの世から消えるだろう。

だが、その程度で止まる紡絆ではない。

暴走した風を止めるため。

真実を知った東郷を止める、否。

救うために。世界を救うために。この世界に生きる人々を救うために。みんなを救うために。誰かの心に、光を灯すために。絶望を打ち払うために。

 

「本当にそれでいいのか?陽灯は死ぬかもしれない。須美たちや今の勇者たちと戦うことになるかもしれない」

「…それに陽灯が選ぶその選択は、間違いなく大赦の人が望む選択だよ。はるるんは散々騙されて、利用され続けて、それでも大赦を含め世界を救う選択をするの?大赦のいいようになるの?」

「いや、違う」

 

まるで最後の警告をするように告げる銀と園子は真剣な顔で、遠回しに告げられた大赦の駒になり続けるのかという言葉を紡絆は否定する。

 

「俺は死なないし戦うわけじゃない。俺が選ぶ選択は誰のものでもないんだ。俺がやりたいからやる。その末に()()()()利用されることになってもそれは俺の意思であることに変わりは無いからな。 世界を救うために、俺は残った最後の力を使う」

「…相変わらずむちゃくちゃなこと言ってるなお前。言い訳にしか聞こえないんだけど」

「それは否定しないな。結果的には、そうなるだろうし…けど俺は()()()()()()()()()この世界を救わなくちゃいけない」

 

行動としては、結局大赦の言いなりになっているようなもの。

違う点といえば、そこに紡絆の意思があるかないかの違いでしかない。

ただそれでも、彼はウルトラマンを宿した。

例え利用されたとして、例え敵として扱われたとして、例え怖がられたとしても、どんなことがあったって、この地球に罪は無い。

だからこそ、ウルトラマンとしては救わなくちゃならない。それが宿命だ。

 

「じゃあ……はるるんとしては?」

「分かってるだろ?友達が()()()()んだから助け出す!そして必ず東郷も風先輩も勇者部のみんなも、君たち二人も。みんながまた元通りに幸せになれる未来を必ず掴む---それだけだ。そのために誰も欠けさせない。誰も傷つけさせない。スペースビーストにもバーテックスにも、闇の巨人(ウルティノイド)にも、誰にもこの世界を終わらさせない。壊させない。絶対に滅ぼさせない」

 

歩む。

その手に持つエボルトラスターが、紡絆の覚悟に呼応するかのように光を取り戻し、鼓動を鳴らす。

赤く。熱く。灯火のような燃える命の鼓動を。

 

「…やっぱりはるるんは、いつまで経ってもはるるんだね。少しくらい迷ってくれてもよかったんだよ〜?」

「迷ってる暇があるなら、誰かの笑顔を作るよ」

「実際に出来そうなのが何とも言えないなあ……けど、それが陽灯の選択なんだな」

「ああ、今度こそ()()()()()。それが間違ってると言われても正しいって言う」

「はっきり言うと、その道は険しいよ。凄く難しくて、凄く苦しくて、痛くて、茨の道」

「大丈夫だ。全部受け止めて、全部背負ってでも貫き通す。何度転んだって、歯を食いしばって、また立ち上がればいいからな」

「…何を言っても、止まらないんだよね」

「ごめん。それが俺なんだ」

「しょうがないなぁ……じゃあ約束してくれる?」

「…約束?」

 

何をしても、何を言っても止まらない。仮に銀と園子が武力を持ってして挑めば、今の紡絆ならば止められるかもしれない。

けれどそれを彼女たちはしない。

なぜなら紡絆の選択もまた、彼女たちにとっては止めるものでもないからだ。

勇者の選択も紡絆の選択も、全部正しい。人が人である限り、それぞれ選ぶ結論は違うのだから。

だからこそ仮に紡絆が世界を放置したとしても二人は認めるし、滅ぼす選択をしても止めはしない。無論、絶対にないし止めたとしても紡絆は這いつくばってでも行くだろう。

彼は絶対に我武者羅に走り続けて、幸福(希望)の未来を掴む選択をする。

継受紡絆という人間を知るものなら、必ず誰かのために行動するというのは分かりきったことなのだから。

 

()()()()()()()()()()

「………それは」

「はるるんが居ないと、私は()()()()()()()よ?」

「アタシも元通りに戻れないな」

「いや……あの、ちょっと待って。それってズルくないか?」

「えー?だって〜約束してもらわないと、困るんよ〜。そうじゃないと私は一生幸せになれないんだよね。だから約束して欲しいなぁ。私たちが()()()()()()()()()ように」

 

にこやかにそう告げてくる園子に、紡絆は短い間で察した。

あ、これ敵に回してはならないタイプだと。

しかも紡絆の外掘りをしっかりと埋めた上の発言で、遠回しに脅しまでかけている。

もしここで約束しなければ紡絆の言葉は()()矛盾してしまう。

困ってる友達を助け出すという言葉も、元通りにするという発言も、幸せになれる未来を掴むという言葉も。

 

「…敵わないな。分かった、()()だ。俺は必ず帰ってくるよ、たとえ死んだとしても、どれだけ掛かったとしても」

「うん、()()ね。もし破ったら、何処までも追いかけるから。宇宙から地の果てまででも逃がさないんよ」

「その発言は俺でも怖いんだが!?」

「それはあたしも思った」

「ええ〜?はるるんにはそれくらいがちょうどいいかなーって」

「…それもそうだな?」

「え」

 

唐突の銀の裏切りに固まる紡絆だが、諦めたように息を吐くと、窓の方を向く。

そして改めてエボルトラスターを強く握りしめて表情を引き締める。

約束してしまった。

上手いこと乗せられることになったが、約束をしたならそれはもう、果たさなければならない。

約束を破れば誰かが悲しむ。誰かが悲しむことが、どんな事があっても前を向ける紡絆が一番辛いことなのだ。

他人のことしか、彼は見てないのだから。

 

「……行くんだな?」

「…ああ、行ってくる」

 

もう準備も、覚悟も、とっくに終えているのだろう。

背を向けた紡絆の様子に気づいた銀は呼びかけると、すぐに返事が返ってきた。

 

「はるるん」

「ん?」

 

二人は止めるつもりはない。

それが紡絆の選ぶ未来で、選択だから。

神官の女性に関しては表情も見えないのもあって見えないが、成り行きを見守っているだけで何も言わない。

 

「ううん…はるるんだけじゃないね。はるるんとウルトラマン。

最後に今の貴方たち()()の姿を、見せて欲しいな。今のふたりが、どんな姿になるのか」

 

園子はわざわざ訂正し、ウルトラマンも頭数に入れた。

紡絆はその意味を理解すると、園子と銀の方へ振り返る。

真っ直ぐでありながら穏やかな優しい光を宿し、勇気と希望を瞳に宿す。暗闇は何処にもなく、迷いもない。

覚悟が決まっていて、曲がりのない芯の強さを感じさせる。

光がないというのに輝いてるように見えて---いや、実際に紡絆の体は光になっていた。

エボルトラスター握る手から軸に、紡絆の体を光が覆っていく。

そして片腕の動かない手ではもう引き抜くことの出来ないエボルトラスターが勝手に引き抜かれ、紡絆は本体を胸元に添えた。

するとエボルトラスターが宙に浮き、紡絆の胸に赤いY字状の器官---エナジーコアが現れると同時に紡絆の肉体は銀色の肉体に変質する。

人際強く輝くと、その場にはもう紡絆の姿はなく、黒と銀色の体色なメインとなっている光の巨人---ウルトラマンネクサスが人間サイズ(等身大)で姿を現していた。

甲冑を纏ったような、和を連想させる見た目。

 

「…あたしらが知ってる姿と全然違うな」

「それが今の貴方の姿なんだ」

 

懐かしむような、少し驚いたような様子。

そんなふたりに対してネクサスは何も言わない。

喋ることの出来ない彼は、何も言えない。

 

「ああ、話せないのか。仕方ないな…行ってこい、陽灯。須美はちょっと生真面目で頭が固いけどさ、お前なら連れ戻せるよ」

「私たちはどっちかを選べないから、はるるんとわっしー、二人の味方。だからはるるんを、わっしーを、みんなをお願い、()()()()()()

『---シュアッ!』

 

果たしてそれは、ウルトラマンの意思なのか。それとも紡絆の意思なのか。

銀と園子の二人に頷いたネクサスは体を反転させると振り返ることなく、窓に向かって飛ぶ。

閉じられた窓を光球となったネクサスがすり抜け、その姿は瞬く間に消えていく。

 

「貴女は…何も言わなくてよかったの?貴女にとってはるるんは…」

「伝えたいことは伝えました。それに私は()()()()()を守れず、貴女たちも含めて彼のことも守れなかった…それどころか、救われてしまった。だから……何も言えないわ」

「…そっか。息子さんは元気?」

「…あの時、救ってくれた彼のお陰で」

 

大赦の人間としてではなく、一人の母親として彼女は話した。

どうやら彼女は、紡絆ではなく陽灯という人間と少し深い関わりのある女性らしい---

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

◆◆◆

 

766:名無しの転生者 ID:jBsRFoEJo

……なあ、イッチ。俺らで話し合ってさ、ひとつの結論に至ったんだ。少し聞いてもいいか? 本当は否定して欲しいんだけど…

 

 

767:光■絆■し転生者 ID:N■X■_u■t■■

いいけど。

手短にしてくれ。これから俺は風先輩を止めて、東郷を連れて帰って来なくちゃならないんだ。ここから先、余裕はないからさ

 

 

768:名無しの転生者 ID:MBE/UCcUV

じゃあ代表して俺からまず言うけど、お前勇者部のみんなのことどう思ってる?

 

 

769:名無しの転生者 ID:Fx4UD0Uj5

あ、先代勇者のことも含めろよ〜

 

 

770:名無しの転生者 ID:vtXOmJs9r

ちなみに印象のことじゃないからな。好きか嫌いかだ

 

 

771:光■絆■し転生者 ID:N■X■_u■t■■

?『みんな』好きだけど

 

 

772:名無しの転生者 ID:+szqFetS1

>>768

あ、これお前意味伝わってないぞ

 

 

773:名無しの転生者 ID:r8fj2ZMTn

むしろイッチがそれで察せられるはずないだろ…何を見てきたんだ。代表して聞くやつ間違えてんぞ

 

 

774:名無しの転生者 ID:HTzqBMH0f

答えを言うと、異性として好きかどうかな

 

 

775:名無しの転生者 ID:nAtV48s2x

いや、そっちの意味だとそりゃそこ抜けてたらイッチには通じねぇよ…

 

 

776:光■絆■し転生者 ID:N■X■_u■t■■

>>768

>>774

ああ、そういう…ごめん、分からないんだ。確かに彼女たちのことは好きだけど、好きじゃない。でも嫌いでは無いけど、これが好きという感情かと言われると微妙だと思う。なんて言えばいいのか…分かるのは、『等しく』好きってだけだ

 

 

777:名無しの転生者 ID:fkIfKPZqG

…ああ、やっぱり

 

 

778:名無しの転生者 ID:xPSCaLiGD

そういう、ことか…

 

 

779:名無しの転生者 ID:Oo7byQRe9

…繋がって行ったな、完全に

 

 

780:名無しの転生者 ID:jmrVoT6N/

もうそこまで来てたんだな、イッチ

 

 

781:名無しの転生者 ID:HFAKvEL2f

ずっと疑問だったんだよな。なんていうか、最近になってイッチはよく自分はウルトラマンとかよく言うようになってたし、自分とウルトラマンを分けてるような発言してたし

 

 

782:名無しの転生者 ID:dePheLofs

それにさ、なんでイッチが姫矢ジュネッス、憐ジュネッスにタイプチェンジ出来るようになって継承していったのか

 

 

783:名無しの転生者 ID:Dsu9h9x8L

後はノア様の力の一部と思われる能力が使えていたのか、とか。時たま、何故か何もいないのに振り返るし独り言言ってたのかとか

 

 

784:名無しの転生者 ID:O8MR6bJjl

さっきもそうだけど、体内から光溢れてたしなぁ…より正確に言うと心臓辺りから

 

 

785:名無しの転生者 ID:xrSvpxazx

身体能力もいくらウルトラマンを宿してるとはいえあまりに高すぎるし、たまに意味わからん能力使うし

 

 

786:名無しの転生者 ID:Pje/6fjl+

もっと前から気づけたら…いや気づいても変わらなかったか

 

 

787:名無しの転生者 ID:eifN3vuv3

>>776

>>781

この回答で確信した。なんというか最近、イッチって異性に対しての感情が薄くなってるというか、先代勇者含め勇者部のみんなに向ける感情がおかしいというか…人間自体に向ける感情が違うって言えばいいのかな

 

 

788:名無しの転生者 ID:G6why4SLz

イッチの好きってのは異性という意味でも友人に向けるものでもなくて『人間』が好き。

つまり、イッチのその感情は『人類』に向けられる感情だ。

……お前はもうウルトラマンになりつつあるんだろ?

 

 

789:光■絆■し転生者 ID:N■X■_u■t■■

…いや、ごめん。普通に驚いた。

いつ気づいた?

 

 

790:名無しの転生者 ID:j43debnq+

否定してくれないか……

 

 

791:名無しの転生者 ID:Uc9GRoC7/

お前こそ、いつ気づいたんだよ。

俺らが気づいたのはさっきの返答とお前が『サイコメトリー』と言われる超能力に分類される力を使ってたからな。あと呪い。

バーテックス…天の神だったか。そいつの呪いを受けても耐え得る肉体なんていくら負担を消されててもウルトラマンくらいしかいねーだろ

 

 

792:名無しの転生者 ID:WsaoSv4r/

というかイッチの場合はおかしな部分が多すぎてな……思い返せば姫矢さんから継承してからイッチに少しずつ変化が訪れた気がする

 

 

793:名無しの転生者 ID:XoTU2aPLZ

大きく変化したのは間違いなく憐から継承した後だろうな。記憶を完全に取り戻しかけつつあったってのもあるだろうが

 

 

794:光■絆■し転生者 ID:N■X■_u■t■■

うーん隠すつもりだったんだけどなー。

正直、俺も確信はなかったよ。

うっすらと思ってただけで確信したのは俺もさっき。

でもずっとさ、違和感はあったんだ

 

 

795:名無しの転生者 ID:9C+kbzcdY

違和感…?

 

 

796:名無しの転生者 ID:dRj8ebWVg

いや何隠す気でいとんねん…いつもだけど

 

 

797:光■絆■し転生者 ID:N■X■_u■t■■

総戦力後、目が覚めてから変身する度に強くなっていった身体能力。

知らないはずの技が使えたこと。

エボルトラスターよりも早くにスペースビーストの気配を感じられるようになったこと。

たまに感じられる誰か…いやウルトラマンの気配。

今までは何となくそうだろう、としかエボルトラスターを通して思えなかったのに、ウルトラマンの声が聞こえてた。

そして今もだけど、俺の存在が消えつつある…というよりは人格が薄れてきてるんだと思う。

この感じからして、ウルトラマンと人格が統合しつつあるっての正解だと思うな。同化って言えばいいのか?

だからたまにウルトラマンの気配も声も聞こえるようになってたんだと思う

 

 

798:名無しの転生者 ID:vZO0BPgUP

つまりULTRAMANでザ・ワンがしたように、ウルトラマンとの完全なる同化が進んだってことか。ノア様は望まないだろうから…イッチの意思か?

 

 

799:名無しの転生者 ID:b+/ySZewg

どちらにせよ、そうなるとイッチは死ぬのか。

そりゃそうだよな、同化するってことは間違いなくイッチの人格は消える。

ウルトラマンと人間なんて比べるまでもないし、上位的な存在であるノア様。なおかつイッチは極限まで弱りきってる。

何も出来ない瀕死の虫が恐竜と戦うようなもんだ

 

 

800:光■絆■し転生者 ID:N■X■_u■t■■

まだ人格は残ってるよ。

たぶん、この感じからすると俺が死ななければ大丈夫。

同化の理由はなんでか分からないけど、多分俺が望んだからじゃないかな。自分のことはいいからウルトラマンを救いたいって

 

 

801:名無しの転生者 ID:eJ00vSEez

いや、おま…お前さぁ…

 

 

802:名無しの転生者 ID:byvbD2wok

確かに状態的には常時瀕死でいつ死ぬか分からん状況だけど……

 

 

803:名無しの転生者 ID:ElGvmZz/b

でも回復の手段がないし限界が近いから否定は出来んしな……それでもねぇ…

 

 

804:名無しの転生者 ID:uEHGQ3n72

あーでも…そう聞くと納得出来るよなぁ

 

 

805:名無しの転生者 ID:PcPf2l6bo

あの炎パンチとか明らかにノア・インフェルノだしな。他の技も元々ノア様が持つ力の応用だ

 

 

806:名無しの転生者 ID:xcmxodePQ

だからこいつ、友奈ちゃんとあんなくっついて平常でいられたんか

 

 

807:名無しの転生者 ID:vxbiXPO0w

いやそれは多分、変わらんと思う。だってイッチだぜ?

 

 

808:名無しの転生者 ID:2q2Yfvld2

イッチのことだから絶対にそういった方面は気づかないし平常心のままなんだよなぁ

 

 

809:光■絆■し転生者 ID:N■X■_u■t■■

でも約束しちゃったし、死ぬつもりもないぞ。

スペースビースト…クトゥーラがまだ生き残ってるって分かったし、これ呪いの影響と俺のせいだから。

それにウルトラマンはどちらかというと拒否してるって感じ。じゃなきゃ俺の人格はとっくに消えて天の神の呪いも一緒に消えてると思う。ここまで俺が無事なのもウルトラマンが天の神の呪いを抑えてくれてたからだと思うし、呪いはあくまで俺にしかないからな

 

 

810:名無しの転生者 ID:9skjQUyy1

ややこしいな、誰か分かりやすく1から説明してくれ

 

 

811:名無しの転生者 ID:DqBuhlzpa

こういう時の情報ニキ!

 

 

812:情報ニキ ID:JoUHou2in

いやあんまり分からないんだけど…推測も含めて今までのをまとめるとこんな感じ

①イッチが過去にザ・ネクストとして戦い、役目を終えたのか分離。

②前世の記憶を取り戻した際に、スペースビーストが現実世界へ現れようとしたので、精神世界でウルトラマンと再び一体化(ただし何故またイッチなのかは不明)。身体能力が上昇。

③アンファンスしかなれなかったのは不明だけど姫矢さんからジュネッスを継承、その影響でジュネッスにタイプチェンジ可能になり、さらに身体能力が上昇。

でも一回だけ未来予知してたことを考えると、この時からちょっと影響は受けてたのかも。

④イッチが憐の光を継承することで、ジュネッスブルーへとタイプチェンジ可能に。この際にイッチの身体能力は大きく上昇し、『次元』を移動する力を持つノア様の影響か、思い出しきれなかった前世の記憶(何かまでは知らない)が蘇りつつあり、継承が完了した際にウルトラマンに近づく土台が出来上がったと思われる(恐らくこの時からイッチが『人』に向ける感情に変化があった?)

⑤ジュネッスとジュネッスブルーの使い分けが可能となり、イッチが無意識にノア様に『近づく』ことで能力を一部引き出した(恐らくザギと対面し、記憶を覗いたのもこの影響)

⑥天の神の呪いを受けた際にノア様は呪いを抑えようと力を注いだが、神の呪いなので不完全なノア様では消しきれずに逆に自身がエネルギー消費して弱まる。

⑦天の神の呪いの影響でイッチは身体機能を失っていったが、そもそも呪い自体はウルトラマンに影響がないからイッチの魂に結びついている(?)

さっき本人も言ってたが、エネルギーを消費したウルトラマンを救いたい。

⑧ノア様は死にそうなイッチを救いたい。

⑨同化することで人格(魂)が消えるから(肉体という器のみが残るため)ウルトラマンを救うことが可能なので、イッチは無意識に完全なる同化をしようとしてる。

逆にノア様はそうするとイッチが死ぬので、 拒否してる。

⑩互いを思ってイッチとノア様がイチャイチャしてるだけ

 

 

813:名無しの転生者 ID:b/O4QkNYr

最後が台無しで草

 

 

814:名無しの転生者 ID:IJo6Qya4W

なんでラスト入れたんだよw

てか割とイッチには過保護だよな、ノア様。まあ二回も巻き込んでるんだからそう考えたら分かるけど

 

 

815:名無しの転生者 ID:8AQHLUiCB

もうお前らが付き合えよ(錯乱)

 

 

816:名無しの転生者 ID:aD8sm1l6+

>>812

結局どうすればええんやこれ。イッチ死亡ルートじゃねーか

 

 

817:名無しの転生者 ID:FlZCaA5Tf

>>812

いやこれ、天の神の呪いのせいだ。

それさえ消せば同化する必要がないから止まるし、イッチも戻ると思う。今はどちらかというと自分が死んでもノア様が戦えるように『ウルトラマンになりつつある』って感じだから、イッチの思考がウルトラマン寄りになってるんじゃないか?

 

 

 

818:名無しの転生者 ID:68j/G8Lvq

ああ、だからあんな感じで自己犠牲も酷いのか

 

 

819:名無しの転生者 ID:hMuKy97dW

それは元からだぞ

 

 

820:名無しの転生者 ID:0QXEBkn3D

イッチー。

ウルトラマン宿してない前提というか…力がないとして。

以前と同じ感じで答えて欲しいんだけど、目の前に救える命があって、行動すれば救えるけど自分が死ぬってなったらどうする?

 

 

821:光■絆■し転生者 ID:N■X■_u■t■■

救うが?

 

 

822:名無しの転生者 ID:oEQQTVygR

あっ、元からじゃん

 

 

823:名無しの転生者 ID:/rMFxCRwE

即答で草。悩めよ

 

 

824:名無しの転生者 ID:Rq4kPBFmy

そもそもイッチはウルトラマンを宿す前から人助けしてた言ってたし……そう考えるとこいつ、本人が知らないだけでまーだなんかありそうなんだよなぁ。

ただノア様の思考も入ってるからただでさえ自己が存在しないイッチがさらに酷くなったのかもしれん…

 

 

825:光■絆■し転生者 ID:N■X■_u■t■■

それより風先輩が見えた。

あれは止めないとまずいな。東郷が気になるが……先に風先輩を止めよう。

あと一応もう一回言っておくと、本当に死ぬつもりはないからな。同化に関しては俺も分からないからどうしようもないが、生きて帰らないとヤバそうだし救いたい人達がいる。

死ぬとしたらその人たちを救ってからだ……あっ、でもそれしかないなら選ぶかも。諦めはしないけど

 

 

826:名無しの転生者 ID:hFx6TVVHr

なんで最後に不安を煽るような言葉を残して行ったんだよ、バカアァアアアアア!!

 

 

827:名無しの転生者 ID:H+a4oGhVL

てか、みんな忘れてるけどイッチって、もうラストの変身…

 

 

828:名無しの転生者 ID:mb5Sd0n4j

あっ

 

 

829:名無しの転生者 ID:gsTI3/bcK

やべ、わすれてた。どうすんのこれ。スケールを縮めることでエネルギー消費を減らす発想はいいと思ったが……

 

 

830:名無しの転生者 ID:GjUnC71AE

やっちゃったもんは仕方ない。イッチが諦めないって言ってるなら大丈夫だろ。

 

 

831:名無しの転生者 ID:87re8b53b

まぁ、当の本人がずっと前から死ぬかもって感じなのにこれだからねぇ、今も全く変わらねぇもん

 

 

832:名無しの転生者 ID:6ck9jCo7j

(メンタルが)あらゆる鉱石より強そう

 

 

833:名無しの転生者 ID:xnRIacroS

とりあえず変身したなら何とかしろ。後のことは後で考えるぞ!

 

 

834:名無しの転生者 ID:YywSeejnb

せやな、ひとまず目の前のことだ。

どうする?むしろどう止めたらいいんだ、明らかにあれ普通じゃ止まらんぞ。目の前のことが見えてないっつーか怒りと憎悪に支配されてるな

 

 

835:光■絆■し転生者 ID:N■X■_u■t■■

大丈夫だ、止める

 

 

836:名無しの転生者 ID:gkV2J+bsp

なんというか、不思議と安心感あるよな

 

 

837:名無しの転生者 ID:EhIZn1leY

さすがノア様の意思に反して同化しようとしてるやつだぜ!

 

 

838:名無しの転生者 ID:p2kPPvdtN

そう言われると頭おかしいな?

 

 

839:名無しの転生者 ID:cClbmwo+d

元からおかしいんだよなぁ

 

 

840:名無しの転生者 ID:mEUZNydlq

ひとまず見守るか……

 

 

 

 

 

◆◆◆

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

加速する。

友奈に対して振るわれた巨大な大剣が見えたネクサスは、飛行しながら左腕のアームドネクサスに右手を翳し、右手を前に突き出すと光粒子エネルギーの刃を飛ばす。

その一撃は風の大剣を大きく逸らし、二人の間へ割り込むように光が降り注ぐ。

 

「…んで……なんで、なんで変身して…なんで、邪魔するんのよぉ!!紡絆ィィィィ!」

 

姿を形作り、現れたネクサスに対して怒りを隠せないのか、風は明確な殺意を持ちながら斬りかかってくる。

闇に支配され、怒りを身を任せ、衝動的に動く風は例えネクサスだろうと敵と判断し、道を妨げる邪魔な存在としか認識しない。

 

『シュアッ!』

 

そんな風に対して、ネクサスは平手でファイティングポーズを取り、迎え撃つようにぶつかり合う---

 

 

 

 

 

 

 

 





○継受紡絆/ウルトラマンネクサス
今はウルトラマンと完全なる同化(自身は消滅)しかけてるため、元々自己が存在しない紡絆くんがより酷くなってる。
そしてウルトラマン寄りの思考になりつつある。超能力等や身体能力の強化もそれの影響だったり。
なので光を継承→ウルトラマンになりつつあったということ(前回友奈の言葉はあながち間違えてないので驚いた)
そして既に半分がウルトラマンになりかけてる(消滅しかけてる)ので、紡絆くんが誰も意識してない理由が『個人』ではなく『人類』として見てるから。
だからウルトラマンとしてみんなを見てるのもあるし残る紡絆くんの部分では『大切な友人』として捉えてる部分もある。
簡単に言えば、紡絆くんの中で『ウルトラマンの人格』と『継受紡絆という人間の人格』がせめぎ合って、『誰かを救う』ことに関して想いが強くなっている。まぁ紡絆の人格が汚染されてるようなものなので実は本人は気づいてないけどちょっと不安定だったりする。

そういえば紡絆くんの容姿を出したのって髪色(黒髪)以外初では?身長は低めです、ショタだし。実際には156cmくらいだと思う。あんま身長変わらないというか風先輩より小さいという。なんなら東郷さんよりも低い

○ウルトラマンネクサス
紡絆くんを二度も巻き込んだからか、作中通して割と過保護だったりする。
彼としては紡絆くんを救いたいが、紡絆くんもウルトラマンを救いたいという相思相愛(?)

○犬吠埼樹
何気にクソつよつよな子。
武器の扱いが上手くなってた。
でも彼女が居なければやばかっただろう

○天海小都音
察し能力が高いのと地頭がいいが故に、色々と気づいた。
そのお陰で兄がもう死ぬと理解しているが、どうしても止められない。
なぜから彼女にとって、いつだって紡絆はヒーローなのだから。
それは今も変わらない。
ちなみにネックレスを贈る意味は『あなたとずっと一緒に居たい』『あなたは私だけのもの』つまるところ『誰にも渡さない』という束縛の意味もあったりするが、彼女の場合だとその意味が正しかったりする。

○乃木園子
多分紡絆くんが身内以外だと一番勝てない。
紡絆くんの扱いが上手く、彼に約束をさせた。
破ったら多分地獄だろうと天国だろうと、どこであろうとマジで追ってくるかも…もう逃げられないゾ♡

○三ノ輪銀
便乗した上にあっさりと裏切った。
どんな選択をしようとも、彼女も園子も見守るだけなので紡絆を止めたりしなかった(武力でなら瀕死の紡絆くんは二人に、なんなら銀単体でも負ける)

○神官
何やら深い関わりがある模様。
別に彼の母親とかじゃないよ、詳しくはいずれ。

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