【悲報】気がつけば目の前に知らない遺跡があるんですが…【なにこれ】   作:絆蛙

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再び刮目せよ。これが真のルナティックだ。
この話を読む前に難易度がルナティックということは念頭に置いて読んで欲しいです。
そしてちょっとした余談ですけどルナティックっていうのは英語で『狂気の』意味を持ち、形容としては狂った、またはとてもばかげた。キチガイな。常軌を逸した。という意味があります。
ゲームでは最高難易度として扱われていますが……この話こそがその意味をつけた理由となります。
絶望の始まりには希望の終焉が相応しいって絶望(ダンロン)が言ってた






「-世界-カタストロフィ」

 

 

 

 

 

◆◆◆

 

 第 44 話 

 

 

-世界-カタストロフィ

 

 

絶望

マリーゴールド

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『ハッ……!』

 

振るわれた大剣を、横から叩くように逸らし、同時に真横へ移動したネクサスは大剣を奪うべく手を伸ばす。

だがそれをさせまいと翻された大剣を反応したネクサスがアームドネクサスで防ぐ。

地面を削りつつ距離が離れ、大剣に振り回されて体勢を崩している風の姿が見える。

 

「どうして……」

『………?』

「どうして、あんたは、なんで平気なのよ…なんでっ!騙されて、利用されて、何度も怪我して死にかけて!死ぬかもしれないのに!なのになんでいつも通りで居られるのよ…!!」

『………』

 

ただ振るわれる。

いくら生身が瀕死であっても、その攻撃を読むのは超人的な視力を持つネクサスには容易い。

ネクサスは右腕のアームドネクサスで弾き、何度も何度も振るわれる攻撃をただ逸らし、弾く。

 

「今もこうやって変身して!なんで私の前に立ち塞がるのよ…どうして邪魔する…ッ!!」

『………』

 

何も語らない。

そんなネクサスに対して大きく引き離した風は小刀を投げつける。

誰も知らない、もうひとつの能力。

初見の攻撃に対し、アームドネクサスで全て叩き落としたネクサスはその隙にスイングするように振るわれた大剣を左腕で受け止め、下から平手で打ち上げるように大剣を叩く。

 

「っ……あたしが、あたしがあんたたちを勇者部に入れなかったら、こんなことにはならなかった……!あたしが紡絆を入れなければ、そこまで傷ついて、死にかけることもなかった…!代償があるって知らされてたなら! 私は皆を巻き込んだりしなかった!」

『……』

「勇者部なんて()()()()()()()()()()!!」

『………!!』

 

何を思ったのか、その発言を聞いた途端にネクサスは拳を握りしめる。

そして先程ネクサスの一撃によって振り上げられた大剣を、力任せに振り下ろすという隙の大きすぎる攻撃に対し、ネクサスは拳を---

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『グァッ!?』

 

解いた。

それにより、ネクサスは大剣を逸らすことも弾くこともせず、振り下ろされた大剣に斬られる。

火花を散らし、数歩下がる。

 

「紡絆くん…っ!」

「っ、何やって---」

『…!シェアッ!』

 

ダメージを受けたのを見たからか、こちらに来ようとした友奈と夏凜に向かって手のひらを向ける。

来るな、と言いたいのだろう。

 

「私がみんなを巻き込んだから…こうなった!」

『ぐっ……!』

「樹も友奈も東郷も、紡絆も!誰も傷つくことはなかった!体の機能だって、失わなかったんだ!」

『ウアッ……!』

 

ネクサスは何もしない。

ただ攻撃を受けて、立ち上がって、攻撃を受ける。

それを繰り返すだけで、防御のひとつもしない。

 

「樹は夢を失わなかった…!みんなが苦しむことだってなかったのに!だから大赦を壊す!そうするしか、ないのよ…アタシがみんなのために出来るのは…みんなの幸せを奪ったアタシに罪滅ぼしとして出来るのは!これ以上傷つけさせないためにはそれしかないのよぉおおお!!」

『グァ……!?』

 

より力の籠った一撃が、ネクサスを吹き飛ばす。

地面を転がり、何度もダメージを負ったネクサスはそれでも起き上がり、白光色の瞳は風を離さない。

 

「なのに…どうして分かってくれない!?どうしてまだ…そうやっているのよ…!!」

『………』

 

決して前へは進めない。どれだけ攻撃しようとも、どれだけ傷つけようとも、ネクサスは必ず風の前に立ち塞がる。

それこそ、ネクサスを殺さない限り進めないだろう。

 

「あんただって失ってるんでしょ!?だったらあたしの気持ちも、あたしたちの気持ちも知ってるはずなのに…なんでッ!!」

 

小刀と大剣。

ふたつの攻撃を持って風は仕掛けるが、ネクサスは冷静に小刀を避け、大剣をアームドネクサスで受け止めた。

 

「あんたはいつだってそうよ…!いつもいつも、人の気も知らず無茶するくせに…今も私の前にいる!どうしてそんな強く居られるのよ…変わらずに居られるのよ!なんで…笑顔で生きられるの…!あんたは…眩しすぎるのよ…ッ!!」

『……ッ!』

 

風は今にも泣きそうな声で叫び、顔は見えないから分からないがネクサスが何処か驚いたように、固まる。

力が増し、ネクサスは片膝を着く。

咄嗟に左腕で支えることで防御を保つが、受け止めているアームドネクサスと大剣が火花を散らし続けていた。

 

「まずいッ!」

「っ…!」

「友奈!?」

 

このままでは間違いなく、ネクサスは受け止めきれなくなるだろう。反撃をしないから、身を削るだけ。

それを察知した夏凜は飛び出そうとするが、友奈は夏凜の手を掴んだ。

 

「違うよ…夏凜ちゃん。紡絆くんは受け止めてるんだ、風先輩の気持ちを。話せないから、全部全部、吐き出させて…だから、邪魔しちゃダメだよ」

「でも……」

 

結局それは、紡絆の身が危ないことは変わらない。

しかし、掴まれているからこそ気づけた。

友奈の手も震えていて、本当は飛び出して助けたいのだと。

だからこそ、夏凜は諦めたように息を吐くと、傍観することにした。

そして現に---

 

 

 

 

 

 

「どれだけ自分が傷ついても止まらない!自分が悪くなくても、他人のせず自分のせいにして!他人を恨まなくて、憎しみを抱かなくて…!他人ばかりを思いやって、明るくて!私を見るその真っ直ぐな瞳は、私には眩しかったのよ…ッ!!」

『う……ぐぅ……!?』

 

憎しみや絶望、そういった感情よりも、風の心そのものが口から出ていた。

ずっと言わなかった、紡絆の在り方。紡絆に対する本音。

復讐心を抱き、復讐を誓った上に復讐のために戦ってきた風とは真逆で、自分よりも他人を。誰かを助けるために。誰かの幸せのために戦い、悪意のひとつも抱くことがなかった紡絆は、いつだって風の目には眩しく映る。

 

「あんたと居ると復讐心を抱いていた私が情けなくてっ…!けれど、居心地が良くて…っ!あんたがいてくれたから、私はずっと勇者部の部長でいられた…!みんなを笑顔にしてくれたから、幸せなまま居られた…!」

『ぁ…ぐ……!』

 

両腕でも抑えきれなくなってきたのか、ネクサスの顔面に少しずつ大剣が迫る。

感情を剥き出しに次々と口から言葉が流れて、涙が溢れて。

 

「困ったときいつだってあんたが居てくれたから…バカみたいに考えもなく動く紡絆が居てくれたからどんな時だって諦めなかったのに…!なのにそんなあんたが居なくなりそうになって、皆の身体機能が治らないなんて……どうしたら、どうすればいいのよ!どうすれば良かったの!?いつもみたいに…助けてよ!ずっと傍にいなさいよ……!何とかしてよっ…!助けて見せてよ…!出来ないでしょ!?なら大赦潰す以外に、私にどうしろってのよ…何したらいいのよ!!」

『……ッ!?』

 

いつだって、紡絆は中心へ居た。

どうしてもダメで、困った時。

紡絆の明るさや能天気さ、誰も予想の付かない行動が助けになった。

お役目のとき、どれだけボロボロになって、どれだけやられても、立ち上がり諦めずに戦う紡絆の姿は、勇者部の皆にも勇気を与えていた。

本人は知らない。気づかない。絶対に、決して理解しない。

自分がそれほど重要で重大な、必要不可欠な存在になっていることに。勇者部の皆の心に、深く居ることに。

だからこそ、変わってしまう。

紡絆が居なくなれば、いつも通りに過ごすことは出来ないのだ。

紡絆が死ぬと分かってしまった今、樹の夢が叶わないと分かった今、東郷の左耳や友奈の味覚が治らないと分かってしまった風にはもう、選択がない。

 

「だから、そこをどけぇええええええ!!」

『---デェアッ!!』

 

大赦を潰すために立ち塞がる敵を打ち倒そうと振り上げられ、再び振り下ろされた渾身の一撃。

その一撃に合わせ、防御しかして来てなかったネクサスがアームドネクサスを輝かせ、掬い上げるように上げられたエルボーカッターが風の大剣を吹き飛ばす。

 

「ッ!?」

『デアッ……!』

 

手元から武器を失ってしまい、ネクサスの一撃は風の目を見開かせ、大きく仰け反らせる。

驚く暇もなく、ネクサスの腕が伸ばされ、風は次に来るであろう衝撃と痛みに思わず目を閉じた。

だが---

 

 

 

 

 

 

 

「え……」

 

痛みは一切来ることなく。

闇を取っ払うほどの温もりを風は感じられて、目を開ける。

ネクサスが行ったのは攻撃ではなく、風を抱き寄せることだった。

言葉は通じない。

正確には喋れないが正しいのだが、風の思いを聞いたらこその行動。

 

「離し……離しなさい…ッ!」

『………』

 

当然ながら、落ち着いたわけでも冷静になったわけでもない風は暴れるが、勇者の力を持ってしてもウルトラマンの腕力に勝てるはずもない。

変わらず、どんなことがあっても変わらない光が、温かな光が風を取り囲む。

 

「離して……離してよ……!私は、みんなのためにも……苦しまないためにも…大赦を……ッ。これ以上、あんたに背負わせないためにも……死んで、欲しくない…死なせたくない、のに……!」

 

徐々に力が失われていき、それでも止まられない風の意思も固く。

そんな彼女を、もうひとつの温もりが包み込む。

 

「い……つき……?」

『もういいの。誰も悪くないから』

 

親愛する妹の姿を見て、風はようやく止まる。

そんな風に樹は携帯のメールの画面で文字を見せていた。

彼女も喋れないからこそ、そうするしかない。

 

「でも…っ!でも…私が、勇者部を作らなければ……」

 

どれだけ憎しみを抱こうが、行き場のない悪意を大赦という原因の一つに向けただけで、風は自身が原因だということも気づいている。

勇者部の設立の発端となったのは風で、紡絆や友奈、東郷は参加しただけ。

それも誘われでもしなければ勇者部という名を聞かない限り出会うことはなかっただろう。

作らなければ、皆が苦しまなくとも。皆が失わなくても済んだのかもしれない。

紡絆だって、もうウルトラマンと出会うことはなかったのかもしれない。

残念ながら紡絆に関してはその可能性はもとより無かったりするのだが。

 

違うよ、お姉ちゃん

 

樹は大切に折り畳まれている紙を取り出すと、風に見せる。

風がその紙を見ると、そこに書かれていたのは以前、歌のテストの皆で書いた樹への寄せ書き。

勇者部の五人が樹の為に書いてくれた、樹の大事な宝物。

誰かを想う皆の心が詰まったその宝物の、欠けた最後のピースを埋めるように、樹が自分の素直な気持ちを書き記す。

 

“勇者部の皆に出会わなかったら、きっと歌いたいって夢も持てなかった。勇者部に入って本当に良かったよ。樹”

 

今まで文には書かれてなかった、勇者部の最後のピース。

必要不可欠な最後の一人。

それは樹本人。

今の勇者部は七人。七人の勇者部。

誰かが欠けてしまえば、それはもう勇者部ではなくなってしまうのだ。

全員が居て、みんなが居て、本当の勇者部。

 

『……デア、デェア…!シュ!』

「……???」

 

また別の涙を流す風に対して、何かを伝えたそうな様子のネクサス。

樹のスマホを指差し、手を一度合わせると、次に自分に指差す。

---残念ながら樹に伝わらない。

むしろ変な行動にしか見えず、割と空気感が台無しになりつつあった。

 

「紡絆!」

『!』

 

そんなネクサスに、割と凄まじい勢いで投げられるもの。

ウルトラマンの視力からすればそこまで早くないので片手で止めると、そこにはスマホが。

投げられた方向には夏凜が居て、ネクサスは頷くとスマホの画面を見つめる。

 

『風先輩。

俺はみんなのように何かを考えて動くのは出来ない。俺に出来るのは、風先輩の感情を受け止めることだけです。約束を守るだけでした』

「やく……そく……?」

 

継受紡絆という人間は不完全だ。

自己が存在せず、頭は良くない。要領も悪い。人の気持ちに聡くない。他人のためにしか生きられない。世界のためにしか戦えない。人の未来を作るためなら自分すらも殺そうとする。一度決めれば、走り抜けるだけ。

たとえその身が血に汚れ、親すら殺すことになろうとも全てを背負って。罪を背負い、希望を宿し、絶望を打ち払う。理不尽な現実にも反抗する。

人として、酷く歪だろう。

結構のところ彼のその身にあるのは、太陽のような、ウルトラマンのように眩しすぎる光のみ。

故に純粋で無垢。心には闇はなく光しかない。

 

『もし困ったら、何かあったら力になりますし俺が守るって。風先輩の明日も笑顔も。もし風先輩が道を外すことをするなら、止めるって。危険なことをするなら、止めるために手伝うって。約束したから』

「………ッ!?」

 

思い出したのだろう。

紡絆がかつて風に対して告げた言葉。

頭は良くないくせに、紡絆はそういったことだけは覚えていた。

今も変わらない。戦いという危険なものに参加し、道を踏み外す風をこうやって止めるために傷つきながらも立ち塞がった。

 

『俺、勇者部に入って、一度も後悔したことは無いです。誰かを助けられた。笑顔に出来た。たくさんの人に感謝されるような喜ばれることが出来た。困ってる人が、元気がない人が前へ向けるようになった。

ウルトラマンに出会って、俺はみんなを守れた。誰も悪くないし、このまま終わらせません。

俺も死なない、みんなの身体機能も取り戻す。さっきの言葉、約束します。絶対に助ける。

だからもう自分を責めないでください。勇者部を否定しないでください』

 

スマホを打つことなく、ただ見るだけで紡絆の思いが綴られた文が生成された。

偽りなき言葉。

紡絆が思ったことをそのままスマホに投影した。

喋れない状況で樹がスマホを使うというところを見て、そうすれば良かったのかと今更気づいた遅すぎる発想。

 

「風先輩…私も紡絆くんと同じ気持ちです。もし後遺症のことを知らされても、私たちは戦ってたと思います。それが…人のためになることだから。勇者部に入ってよかった。風先輩や樹ちゃん。夏凜ちゃんに出会えてよかった。勇者部がなければ、会えなかったんです。風先輩は、私たちみんなを出会わせてくれたんですよ」

「私が……みんな、を……?」

『ジュア……ァ!』

『夏凜も、そうだろ?』

 

そう微笑む友奈の言葉が、さっきの紡絆の文が、樹の温もりが、風の中の闇を取り除いていく。

そして気づいた割にスマホを使うことすら忘れてネクサスが声を発したが、意味無いことにすぐ気づいてスマホの画面を夏凜に見せた。

 

「わ、私は……あぁ、もうっ!そう、そうよ!本当のことを言うと、感謝してる!あんたたちと会えて、私は変わることが出来たのよ。勇者部が、かけがえのない場所になったのよ!だからもう勇者部を作らなければなんて言うな!これで満足!?」

『…シュッ』

 

相変わらず素直にはなれないのだろう。

何処か投げやり気味に叫ぶ夏凜に満足したような様子のネクサスは近づいてスマホを返却した。

 

「つ、むぎ……友奈…夏凜…皆…あぁ…ああああ…うあああああああああ」

 

暖かい皆の想いが、傷ついた風の心に沁み込んでくる。

光が差し込み、闇の中にいる風を救い出す。

この場にいる全員が手を差し伸べ、闇の沼から風を引きずり出していた。

自分自身がやったことの大きさ。罪悪感。傷つけてしまったことへの後悔。大切な後輩で仲間である者たちに武器を向けてしまったことへの自己嫌悪。

様々のものが降りかかり、決壊する。

ただ唯一違うのは、もう復讐心からでも絶望からでもなく、取り返しのつかないことをしてしまうことだったことへの涙。

こんなに手を差し伸べてくれて、温もりを与えてくれて、救い出してくれたことへの感謝。

子供のように泣きじゃくる姿を樹は抱きしめて、ネクサスは再び寄り、片膝を着く。

 

「こ、めん……ごめん……ごめんなさい……!私は、みんなをきずつけ……夏凜を、友奈を……紡絆を……ッ」

『……シュワ』

 

ただ首を振り、ネクサスは風の肩に手を置いた。

謝る風に対しての許し。

声は聞こえないはずだが、風は不思議と理解出来た。

気にしてない、と。

事実紡絆は傷つけられたとは思っていない。

痛くはあったが、それで止められるなら安いものとしか考えてないだろう。

それに仮に傷つけられたと思っても、自分が傷つくだけで誰かを助けられたなら彼は満足する。

 

「うぁ……うっ…ああ…ぁぁぁぁ!」

『!?』

 

そんなネクサスに風は強く抱きついた。

思わず尻餅を着くが、ネクサス---紡絆は仮面の下でただ優しげな表情で風の頭を撫でた。

 

「……ったく、それにしたって無茶しすぎでしょ。あんたはそれしか出来ないの?話からしてあんた、体がもうすこぶる悪いんでしょ」

 

問題が解決出来たが、正直紡絆のやり方は褒められたものではない。

結局のところ、彼らしいと言えば彼らしいが自分を犠牲にする行動だ。

もし風が止まらず、それこそ満開でも使えばウルトラマンの身でも危なかった。

それに死ぬと言われるくらいの段階まで来ているのにその体で勇者の攻撃を受けるなどどういう了見なのか。

やり方はもっとあったはずなのに、そんなことするバカはこの世界で紡絆くらいだ。

 

『……シュア、デェアァ』

「いやわかんないわよ!」

 

夏凜の言葉に思うところはあったのか、夏凜に対して発声するが、翻訳機能がないので分かるはずもない。

 

『ヘェエエッ!?』

「うーん、ごめんなさい、でも反省はしてないって言ってるのかな…?」

「え、分かるの……?」

「うん、何となく!」

『東郷先輩みたいです。というか紡絆先輩は反省してください』

『フッ!?デェアァ』

「…なんて言ってるの?」

「…お腹空いた、とか?」

『!デ、デェア!シュアアァ!』

 

さっきの空気は何処へやら。

泣いてる風を差し置いて話は進んでおり、ネクサスは慌てたようにバタバタとし、やっぱり言葉は通じなかったが、不思議と穏やかな雰囲気が漂う。

 

「……あっ!ゼリーが食べたい!」

『……デ、デアッ! 』

「うどんが食べたい!」

『シュア……』

「じ、じゃあ眠たいとか!」

『デェ…………』

「…えっと、星がみたい?」

『………』

 

ちょっと悩んだものの、否定するような反応。

途中から大喜利になりつつあったが、ネクサスは諦めたように無言になると、樹からスマホを借りた。

 

『どうしたらいい?』

「最初からそうしなさいよ……」

 

風の対応をしつつも困った様子のネクサスを見て最もな夏凜の呆れ声が響き渡り、誰も助けてくれなかったネクサスは黙って慰めるように風の背中を撫でて向き合うことにした。

結局紡絆の存在は、空気を変えていつだって明るくするのだろう。

この場の全員が紡絆の状態も、満開の代償を知っているのに。

周囲には、自然と笑みが溢れていた。

紡絆が中心となって明るく笑顔にして、友奈がより輝かせて、皆が繋げていく。そうやって絆はまた、強固になっていく。

繋がれ、結ばれ、継がれ。そして受け取る。

もう闇は、この場に無い。

---光は、いつだって暗闇を照らして強く輝くのだから。

 

 

「…そうだ、東郷さんは大丈夫かな」

『分からない。でも何があっても何とかする。力を貸してくれ』

「…もちろん!ぜったい、ぜーったい紡絆くんを死なせたりしないから!」

「ふん、仕方がないから協力してやるわ」

『助かる。それにやっぱり優しいな、夏凜は』

「は、はぁ!?」

『ウルトラマンの姿で普段の紡絆先輩の状態を出されると……なんと言うか、その、変な感じがしますね……』

『……!?』

 

なおショックを受けたかのように固まるネクサスの姿は、紡絆そのもので、緊張と重たい空気は死んでいた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

◆◆◆

 

123:名無しの転生者 ID:sKsNZqtex

相変わらず無茶してんなぁ……こいつ

 

 

124:名無しの転生者 ID:5b2y+vitR

けど、よかった。ぶちょーに関しては解決したみたいだな、にしても無茶しすぎだが

 

 

125:名無しの転生者 ID:mp4Wt/xWa

行き場のない怒りを、ぶつけるしかなかった…ってところか。で、それを抑えるためにイッチは自分の身を犠牲に立ち塞がって思いを吐き出させた…と。

はぁ、ほんと学ばないな……ま、イッチらしくて逆に安心出来るな…

 

 

126:名無しの転生者 ID:OXA3yDabm

何があったかまでは分からないけど、多分言葉から察するに樹ちゃんの夢を知ったのが原因だろうな。

知ってるの妹ちゃんとイッチだけみたいだったし。あとはイッチの状態も何処からか知ったみたいだな

 

 

127:名無しの転生者 ID:PY3cbuBRJ

そりゃ満開の代償を隠して戦わせて、失ってからも隠し続ける。その上イッチまで死ぬって分かったらそうなるわ。

そんなの対象が大赦になるのも仕方がないわな…みんながそうなったのは大赦だし。イッチは違うけど

 

 

128:名無しの転生者 ID:ShNxl59y4

割とイッチに対して重たい感情抱いてない?気のせい?

 

 

129:名無しの転生者 ID:kbhhT3pAf

結局風先輩も誰かを思っての行動なんだよな、なんだこの聖人しかいないとんでも部。

これが中学生ってマジ?

 

 

130:名無しの転生者 ID:+D/KxPUjf

やり方を間違えただけだな……

 

 

131:名無しの転生者 ID:SNRTPs3Xy

というか、抱える物の重さがおかしい。大人でもキツいわ

 

 

132:名無しの転生者 ID:lYrL/mhBM

大赦も大赦で割と問題だと思うけどなぁ……ちょっと隠しすぎじゃない?

 

 

133:名無しの転生者 ID:KgoMlKTQo

何はともあれ…イッチの体は大丈夫だろうか。エナジーコア鳴ってないのが救いだが、今の状態を考えるとダメージ受けるのはな…

 

 

134:名無しの転生者 ID:x3uBSRvfW

イッチは反省してくれ

 

 

135:光■絆■し転生者 ID:N■X■_u■t■■

解せぬ

 

 

136:名無しの転生者 ID:7KOnwMsJK

いや理解しろよ

 

 

137:名無しの転生者 ID:krz75Huim

するはずがないだろ!

 

 

138:名無しの転生者 ID:L1ett1it+

それはそう

 

 

139:名無しの転生者 ID:+SeKAqspJ

してたらこんなことにはなってない

 

 

140:名無しの転生者 ID:2aKX/u0EN

なんで今の体で思いを受け止めるためとはいえ、攻撃受けるんだよって話ではあるんだけどな

 

 

141:名無しの転生者 ID:uUfco+zAS

イッチなら怒りに支配されていた風先輩の攻撃を捌くことは出来ただろうにね

 

 

142:名無しの転生者 ID:0mN0GFly7

多分行動で示すためだろうねぇ…

 

 

143:光■絆■し転生者 ID:N■X■_u■t■■

まだ終わってない

 

 

144:名無しの転生者 ID:7KenJWO0P

ああ、部長に関してはもう暴走することはなさそうだが

 

 

145:名無しの転生者 ID:pAOD+Q8hZ

東郷さんの元へ行かなくちゃあな。話からして、壁の外に行けば真実が分かる

 

 

146:名無しの転生者 ID:5Krh0C7no

その真実が一体なんなのやら……天の神とやらの正体が分かるのか?

 

 

147:名無しの転生者 ID:u/8Muaah4

そこは行ってみないとな

 

 

148:名無しの転生者 ID:Zk7K0pOTC

ザ・ワンのことも気になるな……話からしてマジで存在してやがったし

 

 

149:名無しの転生者 ID:GcCmgI/y4

ワンチャン、マルチバースの影響で他のビーストが来た説が良かったんだけどな…

 

 

150:名無しの転生者 ID:S71+tI72J

完全に復活する気やんけ、やめろよ。やっぱり例のアイツ生まれかけてるでしょこれ

 

 

151:名無しの転生者 ID:Rt4Uxu4m8

最強のスペースビースト……か

 

 

152:名無しの転生者 ID:A+BXglUqH

とにかく、早く行ってやれよイッチ。先代勇者が本当の世界は見たら分かるって言ってたんだしそこに東郷さんもいるんだろう

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

同時刻---乃木園子と三ノ輪銀から聞いた話を確かめるべく、東郷は四国を取り囲む壁へ来ていた。

今更疑っている訳では無い。

外の世界に蔓延するウイルスから人類を守っているという結界---この世界が無事な理由のひとつであり、人が生きていける理由。それはこの世界に生きる者の共通認識。

 

「綺麗な景色だけど……これは…」

 

東郷の視界に映るのは、夕陽で輝いて見える海や山々だ。

とてもウイルスが蔓延しているとは思えないほど美しい見事な風景。高い場所なのもあって、より絶景に見える。

 

『壁を越えれば神樹様が見せていた幻が消えて、真実が姿を表すよ』

 

しかし乃木園子はそう語っていた。

それを思い返しながら東郷は疑問を抱いたままその一歩を何気なく動かした。

動かして、しまった。

 

「…………え…?」

 

瞬間、()()()()()()()

比喩表現でも誇張表現でもなく、ただただ文字通り変わった。

メタフィールドやダークフィールド、遺跡や樹海とは違う。

終わりの光景を彷彿させるダークフィールドに近いが、正しく表現するならば、そこは()()

 

「こんな……ことって……」

 

宇宙のような空間を廻る灼熱。火の海としか言い表せられない世界で、かつて人が思い描き、畏怖した地獄と呼ばれるものを再現したかのような宇宙規模の空間。

東郷が立っている場所は黄金色の大樹の上。

これこそ、神樹の造り上げた結界の本来の姿。真実の世界。

 

「これが、世界の…本来の姿……!?」

 

いたるところに泳ぐように飛び回っている、人よりもふた周りは大きい口らしき部分だけがある白い生命体。否、小さなバーテックス。

その数は百体、千体、その程度では数え切れないほど夥しい数の化け物が跋扈している。

まさしく()()()いる。

 

『西暦の時代、人類を滅亡寸前にまで追い込んだのはウイルスじゃないんだ』

 

思い返されるのは三ノ輪銀と乃木園子が東郷にだけ語った真実。

そんな中、灼熱の世界をただ漂っていたバーテックスが、東郷の存在に気づいたのだろう。

明らかな敵意と殺意を持ちながら、口を開いて襲いかかってくるバーテックスを咄嗟に取り出した拳銃で撃ち抜きながらその場から離れるように後退する。

 

()()()()が粛清のために遣わせた生物の頂点---バーテックス』

 

圧倒的な物量というのはいつの時代も脅威である。

四方八方あらゆる箇所から襲いかかってくるバーテックスは、一体一体はスペースビーストや大型のバーテックスにも満たない強さしかないが、減らすよりも攻められる量の方が上回り、噛みつきを避けるも体制が崩れて倒れてしまう。

あまりにも敵の数に絶望しかけるが、上手く動けなくて柔らかいクッションのような物の上に倒れ込んだのだろうと判断するが、妙な違和感に気づいて見てしまう。

その結果。

決してこの場に相応しくないクッションなんかではなく、下から自身を喰らおうと迫ってきていたバーテックスだと、一瞬で理解してしまった。

 

「いやああああああああっ!!」

 

拳銃から散弾銃に変え、跳躍しながら真下のバーテックスを撃ち抜くと、次々と目に見えるバーテックスを片っ端から撃っていく。

狙いを定めることすらせず、ただ目に映る存在に対して乱射する。

現実を、目の前のことを否定するように。逃避するように。

 

『人類に味方してくれた地の神様たちは力をあわせ一本の大樹となり四国に防護結界を貼った。その時、神様の声を聞いたのが今の大赦……神樹様を管理してる人たち』

 

何とか追っ手を打ち払うと、元いた場所にたどり着き、大きな葉のようなものに隠れる。

神樹様の力が込められた結界の一部だからか、見失ったからか、バーテックスは寄ってこない。乱れた呼吸を整えつつ、また上に視線を向ける。

 

「そんな……アレは紡絆くんと友奈ちゃんが倒したはずの……」

 

かつて正体不明だったウルトラマンと友奈が協力し、初めて倒した敵。

乙女型、ヴァルゴ・バーテックス。

無数の白いバーテックスが集まっていって、最初に戦った乙女座の形を成していっている光景があった。

 

「バーテックスが生まれてる……!?」

 

乙女型だけではない。

その他にも倒したはずのバーテックスが形作られていっている。

違ったのだ。前提が、違う。

バーテックスは十二体ではなく、十二種類。未完成も含めれば、現行八十八種類のバーテックスが存在していることになる。

そしてそれらは、いずれまた攻めてくるのだろう。

その度に勇者たちは迎え撃たなければならない。満開して、身体の機能を何度も何回も失いながら動けなくなるまで。

だけど---

 

「ッ!?」

 

()()()()はそれすらも凌駕してきた。

衝撃に吹き飛ばされるように、東郷の体は転がる。

神樹様の一部からは落ちなかったお陰で身が火の海に投げ出されることはなく、バーテックスからは見つからないで済んだからか狙われてない。

けれど攻撃された。

正体を見るべく周囲を見渡し、視線を上げた先。

 

『けどな、結界はもうひとつ存在するんだ。存在していた、が正しいけどな。今は壊されたウルトラマンの結界。あれは()()()に突如作られた神樹様と同質の防護結界。護る、という形ではそれ以上の効果を発揮していたもの……』

 

その先に存在したものこそ、全ての希望を打ち砕く存在。

ウルトラマン、という人類史にとって訪れた救いだった光をも覆い尽くすだけではなく、勇者という切り札すら無にも帰す暗黒。

何度も満開をした先代勇者を前にして絶望と言わせしめた存在。

光も希望もなく、救いようのない絶望の権化---

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「あ……あぁ……っ。なんでっ!」

 

目前に広がったのは新たに生み出されるバーテックス。

それは先程と変わらない。

十分ショッキングな光景ではあるが、それすら()()として片付けてしまいそうになるほどのもの。

 

「どうして、なんでっ!どうして……どうして!?なんで、死んでないの……ッ!?あんなに、あれほどボロボロになって、苦戦して……命を、消費してまで……紡絆くんが倒したはずなのに…ッ!!」

 

彼女の目が捉えた衝撃の真実。

一体一体がウルトラマンに匹敵する力を持ち、ウルトラマンを追い詰めるほどの力を持つ存在。

そこに居たのは()()()()()()()()()()()

かつて紡絆が苦労して倒し、時に勇者と協力し、完全に分解して倒したはずの敵。

ぺドレオン、ガルベロス、グランデラ、バグバズン、ラフレイア、ゴルゴレム、パンピーラ、ノスフェル---かつて倒した()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()

そして東郷を攻撃したのは、小型のスペースビースト。

アラクネアとフログロス。

ただバーテックスと違い、スペースビーストは時間がかかるのか二体の上級ビーストと分類されるガルベロスとノスフェル---特にノスフェルは倒されたばかりだからかまだまだ完成しそうな様子はない。肉体と思われる肉体は生成されておらず、ガルベロスすら腰あたりから下まで。

他は図形のような形だけが象られている。

ただし他のスペースビーストの肉体は()()()()が既に組み立てられていた。

そんな中でもぺドレオンとアラクネア、フログロスの他に()()()()()らしきスペースビーストも無数に存在する。

それに肉体を作り上げつつも完成された設計図のようなものがあるということは、いずれスペースビーストは()()()()()()()()()()()()ということ。

 

『あれはきっと、ウルトラマンが()()()()を振り絞って作り上げたものだと思うんだ。あの結界がある限り、スペースビーストの存在は切り離されていた。恐らく闇の巨人(ウルティノイド)も。だから本当は、壊されちゃダメだったんだよね……今は神樹様が負担して何とかスペースビーストの侵入だけは防げてる程度みたい』

 

「はぁっ……はぁっ……!うぇ…ッ!」

 

絶望で動かなかった体を強引に動かして結界の中に戻り、真っ青な顔で荒い息を吐くと、突如やってきた強い吐き気を抑えるべく胃の中から込み上げてきたものを飲み込もうと口元に手をやるが、抑えきれずに嘔吐物を吐き出す。

荒い呼吸を繰り返しながら少し気持ちを落ち着かせて後ろを見るとあの地獄は無く、また綺麗な景色が広がるだけ。

侵入を防いでるというのは本当なのか、迫ってきていたスペースビーストはこちらには来ていない。

だがもし、再び顔を出そうものなら眼前に広がるのは---

 

「うっ…ぁう……ひっ……ぐぅ……ううううっ!! うああああああああっ!!」

 

涙が自然と零れる。

理解した。理解してしまった。

彼女たちの言葉、誰も耐えられないという言葉。

あの光景は、地獄はまさしく『死』の具現化。『厄災』の果て。『絶望』の権化。世界の終わり。

初めから、この世界に希望はなかった。

光もなかった。

比喩や過大表現では無かった。

本当に、絶望しかない。どれだけ倒しても、どれだけ苦戦して撃破しても、どれだけ完全に倒そうとも、バーテックスは生み出され、スペースビーストは蘇り、何度も何度も繰り返される。同じ時を繰り返し、同じ苦しみを味わい、同じ敵と戦う。

どれだけ頑張っても、スペースビーストは無限に強くなる。

それでもあの光景を見たとしても、誰よりも明るくて、光のように眩しくて、ウルトラマンを宿した親愛する彼なら、立ち向かうだろう。

皆が挫け、立てなくても。彼だけは必ず立ち上がるだろう。身体機能を失ってもなお、継受紡絆という人間は戦い続けていたのだから。

だがしかし、東郷美森はそれほど強くなれない。彼のように常に『希望』では居られない。『光』で在ることはできない。

『希望』がひとつも見えなかった。

知ってしまった以上、見て見ぬふりをして偽りに塗れた『平和』に溺れることなども、出来ない。

 

「どうしよう…どうしよう……どうにかしないと、どうにかしなきゃ……いやっ、嫌っ、だって、だって彼はもう……これ以上傷ついたら、これ以上失ったら、これ以上戦ったら、死んじゃう…失う…そんなの、嫌…!絶対に嫌…ッ!!」

 

知ったら、間違いなく戦う。

けれど東郷は知っている。

東郷は見てしまっている。

紡絆は身体機能を失い、戦いや日常にも支障が出ており、まるで生命活動の停止が近いかのように血を吐くようになっている。

もはや戦ったら、変身したら死んでしまう体のはずなのだ。

 

「生きてる限りみんなが戦わされる……!紡絆くんは、戦う……!紡絆くんが死ぬ姿を見て……私たちは戦って……それでも失って……!無意味な戦いを何度も…何度も…いずれ、彼のことも、忘れて……戦うことに、なって」

 

死ぬことの無い勇者。

死ぬときは死ぬウルトラマン。

紡絆が仮に戦いの果てに死んだとしても、勇者の心が折れようと、神樹様が、大赦が、勇者の力がお役目を強要する。

仮に戦わなければ、世界は破滅する。

だが満開を使用すれば身体機能を失う。記憶すら失う。戦いの果てに自分たちは生きていても、死に絶える紡絆の存在も忘れてしまう。

思い付かない。それでも、考えるをやめるわけにはいかない。

やめてしまえばみんなが傷つく。失う。

東郷にとって、生きて欲しい人が、傍に居て欲しい人が消えてしまう。

けれど、残る未来は戦いしかない。先の未来は暗闇で、光は一欠片もない。

こんな苦しいだけの世界から、こんな救いのない現実からみんなを救う方法を、これ以上彼が戦わずして済む方法を---

 

「……あった」

 

それを、東郷は導き出して見せた。

たったひとつ、全てを救う方法。

誰も苦しまず、誰も傷つかず、これ以上大切な人が傷つく必要のない、そんな手段を。

 

「どうして…思いつかなかったんだろう……。でも、こうするしかないじゃない…きっと紡絆くん(貴方)は認めない、紡絆くん(貴方)は諦めない。きっと友奈ちゃん(彼女)も同じ想いを抱く…。

……私のことを嫌いになってもいい。でも私には、私にはこんな世界、そんな結末は、耐えられない……!」

 

瞳に闇にも等しい暗闇を宿し、光を一切宿さぬ瞳を向ける。

人の犠牲で成り立つ世界も、真実を隠し最後まで騙そうとした大赦も、自死すら選べず死ぬまで身を捧げ続け、いずれ大樹のように動けなくなるまで大切な友人たちを使い潰し、ずっと前から一人の少年に色んな重荷を背負わせ、利用してきたこの世界を破壊すべく、東郷は引き金に手をかけた。

例えそれが、この行為が---自分が大切だと思う人物と敵対するような行動であっても、東郷は突き通す。

 

「こんな世界は……必要ない…!」

 

やることはただ一つ。

この世界を保っているのは、戦いを強要するのは、全部全部---神樹という神様なのだから。

それを、破壊すればいい。

東郷はそれに気づいた時には---狙撃銃で四国を守るその外壁に向け、トリガーを引いてみせた---

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 





〇継受紡絆/ウルトラマンネクサス
割と罪深い男。
風の勇者部を作らなければよかったという発言は今までの自分たちの全てを否定する言葉だったので、実は内心怒ってた。
喋れない(変身解除したら詰む)ので、風先輩の思いも感情も物理的にも精神的にも全部体で受け止めた……が、肉体が死ぬ寸前なのに何してんの(ドン引き)的な反応を脳内でされてた。
ちなみに紡絆くんはザ・ワンの存在やバーテックスの正体、天の神、結界の存在は聞いたけど壁の外の現状は知らない。

〇犬吠埼風
復讐よりも紡絆に対する想いに変わってたが、今までの本音を全部紡絆にぶつけた。
彼女の紛れもない本音であり、闇からの支配から逃れたものの後悔が一気に降り掛かってきた。
下手をすれば紡絆を殺し、なおかつ世界を破滅へ追いやる行為だったので仕方がないだろう。
なお、なんだかんだでかなり紡絆に依存はしてた模様。

〇犬吠埼樹
少し遅れて合流。
風の本音を聞いて、止めるために動いた。
けれども事実、彼女を強くしたのは勇者部の存在である。
彼女の曲にあるように彼女にとっては勇者部に『出逢えて良かった』のだ。

〇東郷美森
原作より酷い真実を見て、深い絶望を味わった人。乃木園子や三ノ輪銀が死なない自分たちでも無理といった理由でもある。
だが仮にスペースビーストの存在がなくとも彼女は必ずこうしていただろう。
それでも、このまま戦えば彼女は、彼女たち勇者はいずれ『彼』を『忘れてしまう』。
故に苦しみから解放するために、絶望を終わらせるために世界に引き金を引いた。

〇スペースビースト
あくまでザ・ワンの細胞から生まれた存在(逆に言えばこの世界で『も』完全に倒せなかった証)
ただ本当に無限にいるわけではないので、希望がないわけではない。
実際には無数の星屑が融合して大型のバーテックスを形成するところを『学習』したので、自分たちも同じことをしている。
つまり最悪な組み合わせが、最悪な能力を作り出したので、例え分子分解しても()()
でもオーバーレイやコアインパルスといった分解能力がなければ倒せないし再生が速くなる。
ただ上級ビーストは時間がかかる模様。他のビーストは割と早く、小型は再生がクソ速い。
そもそもバーテックスが人間以外を襲わずに植物や動物はそのままなため、スペースビーストが増える原因の一つでもある。
あとは本作においてTLTも来訪者もいないせいで数が減らせないから増える一方(実際に本編で描写されてる部分だけでもあれほどの量なんだからもっと酷いのは当然の話)

〇遡月陽灯
二年前の紡絆くん。
かつて世界を救った英雄は、皮肉にも世界を絶望へと追いやってしまった……故に彼は---

〇ルナティックである主な理由
①:ウルトラマンネクサスという作品
②:結城友奈は勇者であるという作品
③:無数に存在するバーテックス
④:それらを学習したため、実質無限に存在する異生獣
⑤:ダークザギの存在
⑥:天の神の存在
⑦:他のウルトラマンが助けに来れない
⑧:傷が治らない。
⑨:ノア様ですらエネルギー消費してる
⑩:間違いなくクソゲー
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