【悲報】気がつけば目の前に知らない遺跡があるんですが…【なにこれ】 作:絆蛙
絶対に一話で纏める話じゃねぇよ。強引に抑えたけど、一話足した方がよかったかもしれん。まあいいや。
さてウルトラマンを失った勇者たちはどうするのか、その続きをどうぞ。
てかようやく紡絆くんの由来が明かすことが出来ますね、今回の話こそが『輝きの章』の最終回とも言える、象徴的な回です。まだ終わりじゃないけど
暗雲に包まれた空。広がる闇。
唯一輝きを保っているのは四国を守護する神樹様から発せられる光。
希望であり続けたネクサスの
ウルトラマンの敗北---それはこの世界において初では無い。
何度もピンチに陥り、追い詰められ、時に相討ちになって、それでも必ず立ち上がり、より強い光を手にして勝利を手にしてきた。
だが今回は違う。
エナジーコアの停止、それは
今までは停止することのなかったものが、完全に停止してしまった。
つまり、変身者である継受紡絆という少年が死んだことへの証明。
さらに動かなくなったネクサスはフジツボのような山に磔にされ、宛ら公開処刑を思わせる。
四肢を拘束する
だからといって、何かが出来るわけでもなかった。
今のこの場に存在するのは究極融合型昇華獣のイシュムーア、クトゥーラ、メフィスト。
ウルトラマンは力尽き、戦っていた勇者の行方も今は分からない。
動けるものは、誰もいなかった---
ただ何もすることが出来ず、何かをやれたわけでもなく、気がつけば戦いは終わっていた。
遥か先に見える山。そこへ磔にされたネクサスの姿。
敵が居なくなったからか、神樹の方を見るメフィストの姿。
「……紡絆くん」
死んだと思ってたら、ウルトラマンに変身して戦って、そしてやられた親友の姿を友奈はただ見ていることしか出来なかった。
もし駆けつけることが出来たなら、勇者の力を纏えていたなら、力になれたかもしれない。
だが現実は何も出来なかった。
後悔と無力感に支配されながら、力が抜けたのか握っていたスマホが軽く地面に落ちる。
「……ッ!」
しかし樹だけは立ち上がっていた。
スマホを手にして、覚悟を決めた表情で。
このまま放置すれば終わりを迎えるのは確か。なら戦うしかない。
「樹ちゃん……?」
今にも敵は神樹へ侵攻しようとしている。
友奈は驚いたように見上げると、樹の真っ直ぐな目を見た。
しかし視線を落とせば、その手は僅かに震えている。
恐怖からか、それとも悲しみか自身の無力感にか。
喋ることの出来ない樹からは、何も聞くことは出来ない。
「……どうしてだろうね」
「っ……?」
そんな後輩を姿を見たからか、ゆっくりと立ち上がった友奈は確かにスマホを手にして、樹の傍に寄ると震えていた手を握った。
包み込むように、優しく。
「紡絆くんはいつも諦めてなかった。今も、今までもずっと。小都音ちゃんのこと、一番自分が辛くてショックなはずなのに…どうしたらいいのか、何をしたらいいのか、どうやったら小都音ちゃんを取り返せるかも分からないのに、戦ってた…」
結局紡絆は妹を殺すという選択だけは取らなかった。
世界のためにはやるべきだというのに、彼は妹も
その結果が、これ。
光を失い命を失った。
もし紡絆が妹を捨てていたなら、世界は救えたかもしれない。両方とも救えなかった可能性もあるが、勝率は上がってたはずだ。
けど諦めることが出来なかったから、メフィストを殺さなかった。イシュムーアを倒そうと優先し、負けた。
「どうしたらいいのか、何をしたらいいのか、私も分からない。勝てるかも、私に何を出来るかも分からない…私は紡絆くんを守れなかったのに」
『友奈さん……』
悔しさからかどこか苦しそうに、胸を握る友奈の姿を樹は思い出したように悲痛な眼差しを向ける。
誰だって同じだ。あの場では確かに可能性のあったのは友奈だった。
誰かが悪いというわけではない。それでも納得出来るかと言われれば違った。頭では分かっていても、感情か許さない。
だとしても。例え心を蝕んだとしても---
「でも。でもね、樹ちゃんを行かせることなんて出来ないよ。友達を殺させたりなんて、絶対……!」
結城友奈という少女は、誰かのために勇気を振り絞れる人間だ。
今が辛くとも、引きづっていたとしても、震える後輩を見逃せるはずもない。
「私も小都音ちゃんを救いたい。紡絆くんも諦めてなかったはずだから……きっと手段はあるって信じたい。勇者部は誰かが欠けたらダメなんだ。みんなが居て勇者部だから…樹ちゃんも、助けたいって思ってるんだよね?」
「……ッ!」
樹は力強く頷く。
世界を守るためには、一番手っ取り早いのは殲滅すること。
けど世界を救っても、そこに居るべき存在が居なければ意味が無い。
算段は残念ながらこの場の誰も持っていない。
「樹ちゃんも辛いはずなのに、戦おうとしてる……諦めずに助けようとしてる。紡絆くんだってそうだった。ううん、紡絆くんが居たらきっと、私と同じことを言うと思う…尚更、樹ちゃんを一人にさせられない。救う方法があったとしても、一人で行っても勝ち目なんてないから」
順位付け出来るものではないが、紡絆の次に辛いのは一番親しくなっていた樹のはずだ。
メフィストと戦うということは、小都音と戦うと同義。殺し合うと言える。
正体を知ったとき、戦闘に参加出来なかったことから察せられるだろう。
本当は戦いたくないと。
一人で戦っても、ウルトラマンですら負ける相手だ。殺す気で行っても勝てる確証は全くない。
相手が友達と分かってる分、余計に戦いたくない。でも戦わなければ世界が終わる。でも殺したくない。でも救う方法がない---
「………」
「大丈夫」
改めて思い知らされる現実に俯きがちになる樹に、友奈は痩せ我慢と分かる笑顔を向ける。
不安の混じる表情。彼とは違って到底安心させられるほどのものではない。
でも不思議と、その言葉は呑み込める。
「私も行くよ。だって紡絆くんは諦めてなかったから……こんなところでいつまでも立ち止まっていられない!それに樹ちゃんを一人には出来ないし私も一人だと何も出来ないってわかってる…だから一緒に来てくれる?」
友奈も樹も、精神面でも肉体面でも万全ではない。
だけど紡絆が最後まで抗い、戦った姿は彼女たちにほんのささやかな勇気を与えていた。
一人では戦えないだろう。あっさりやられるだけだし、足元がくすんでしまうかもしれない。
そういう時にこそ---
「……!『もちろんです…!』」
共に立ち向かう者が居れば、また変わるのだ。
互いに覚悟を決めたように頷き合うと、友奈と樹はスマホを手に、並んで見つめた。
遥か先にいる、光を失ったネクサスの姿。
『紡絆先輩……』
「紡絆くんは……悩まなかったのかな。ううん…悩んでたとしてもきっと、同じだったよね。だってそれが紡絆くんだもん。今も諦めてないはずなんだ、紡絆くんは生きてるって私は信じる。だから行こう、樹ちゃん!」
「…はい!」
脳裏に刻まれた最後まで諦めずに立ち向かった姿を思い返し、確かな勇気を胸に不安定だった心を抑え込みながら二人は勇者システムを起動する。
山桜と鳴子百合の花が咲き、その姿を勇者へと変化させる。
死んでもなお、彼の姿は誰かに勇気を与えたらしい。
そしてまたそれは---ひとつひとつ、小さな糸でしかないけれども。
繋がっていく。
「ったく……遅いわよ……」
「ッ!?」
「!夏凜ちゃん……!」
木々を手で伝いながらやってきたのは、勇者服に身を包む夏凜。
敵の攻撃にやられてたからか、服は汚れてはいるが満身創痍というわけではない。
軽く意識を失っていた程度なのだろう。
「これで三人。二人より、いいでしょ。私もあいつが簡単に終わるとは思ってない」
睨むように、夏凜もまたネクサスの姿を見ていた。
未だに光が宿ることなく、ただ闇の蔦が侵食しようとしている姿だけがある。
『紡絆先輩は…誰よりも諦めが悪いですもんね』
「そうだね…私たちに出来るのは信じるだけだもん。だから信じる。紡絆は生きてるってきっと戻ってくるって。だから紡絆くん…紡絆くんは私たちを信じて!私は諦めない!私はもう諦めたりしない!私たちは何度だって、絶対に諦めないから!」
それはひとつの宣言だった。
自分自身を鼓舞するだけの言葉だったのかもしれない。樹や夏凜を励ますための言葉だったのかもしれない。
折れそうな心を奮い立たせるための覚悟の証明だったのかもしれない。取り繕うための発言だったかもしれない。
言葉に表すことで、心を保つためだったのかもしれない。少しでも戦意を保つためだったのかもしれない。
いや、それら全てなのだろう。希望はなく絶望しかない。はっきりいって、無駄な抵抗だ。
ウルトラマンですら勝てない相手、満開しても勝てない相手。勝敗なんて分かりきっている。
けれど。
その言葉が。
意志が。
諦めないという想いが。
信じる心が。
誰かを思いやる心が。
人の思いが、
「えっ?きゃっ……!?」
「!?」
「な、なに!?」
戦意を胸に戦場へ向かおうとした三人の元に、突如として膨大な眩い光が発せられた。
目が開けていられないほどの、辺り一面に広がる光。
敵の攻撃かと一瞬警戒するが、痛くもないし何か異変があるわけでもない。ただ癒すような包まれるような温もりだけは感じられて、ただ安心出来るような温かさがあった。
そうして辺り一面に広がった光は次第に友奈の手の中に集まっていき、友奈の手の中で形を作っていく。
「それって…」
『紡絆先輩の…?』
形作られたそれは、一つの短剣。
エナジーコアを思わせるY字ものが柄にあり、その上にコアゲージのような青い半球体。
青いクリアパーツを保護するような鞘が取り付けられている、
それが何故かこの場に、友奈の手に存在していた。
ドクン、ドクン---と心臓の鼓動音を鳴らし、半球体は緑に。青いクリアパーツは赤く点滅している。
「……あ」
鼓動音を鳴らし続けるエボルトラスターを見て、友奈は何かに気づく。
この戦いが始まる前に、友奈は紡絆と一緒に居た。
数時間前のことだが、数日前のようにも感じられる。
「可能性……そういうことなんだ…!」
「どういうこと?なんでこれが……」
一人納得しても、夏凜と樹にはどういうことなのかさっぱり分からない。
だからか説明するために、友奈はエボルトラスターを二人に差し出す。
僅かに首を傾げるも、差し出したということは触れて欲しいということなのだろう。
夏凜も樹も、乗せるように触れた。
そして驚いたように目を見開く。
「紡絆くんは、まだ死んでない。まだ助けられる…!託してくれたんだ、紡絆くんは私たちに…最後の力を振り絞って、あの時のことを…」
思い出されるのは、数時間前に話したこと。
立ち直れず、不安定になった心で、ただ失う恐怖に打ち負けていた友奈に紡絆は勇気を与えて、それと同時に一つ、頼んでいた。
友奈はそれを思い出したのだろう。紡絆はあの時、こう言ったのだ---
『じゃあ友奈に頼むよ。うっすらと予感がある。また戦いは終わってないって。だから---俺に何かあった時、
と。そんなたったひとつの簡単な言葉。
自分一人で抱える紡絆が、誰かに助けを求める。予感はあったのだろう。
こういう事態になるとは思わなかっただろうが、自身の肉体の限界に気づいていたのだから。
故に似ているようで似ていない少女にだからこそ、頼めたひとつのこと。
無論、友奈を少しでも元気づけるための発言でもあっただろう。
『これが、俺が友奈に頼みたいこと。もしもの場合の話。
それでも必ず俺は友奈に
後に続く言葉は、間違いなく今の状況を説明出来る。
可能性---それはエボルトラスター。つまり紡絆はちゃんと
最後まで抗って、約束も果たしていたのだ。
「こういう時でも……あいつは誰かに力を与えるのね」
『私たちを信じて、くれたんですね…』
「うん…これは紡絆くん。ううん、紡絆くんの命なんだ。そしてウルトラマンの命…」
触れた手から、友奈たちは確かに感じていた。
鼓動音は一切止むことは無い。
生きていることを示すように、心臓のように脈を打ち続ける。
重い。軽いはずなのにエボルトラスターはとてつもなく重くて、持てなくなりそうなほどだった。
人の命を一人抱えて、ウルトラマンの命を抱えて、これだ。
でも紡絆はこの重みを一人背負って、何人何十人何百人何万人と---数え切れない数を抱えて戦い続けていた。
あの小さな体で、子供でしかないのに。
『やりましょう……!』
「えぇ、紡絆を生き返らせて、小都音を取り戻して、全て終わらせる…!」
けれども今は、その重さが良かった。
それほどに重大なもので、やるべきことも決まったから。
この場にいなくとも、紡絆は友奈や樹に、夏凜に勇気を授けた。自身の命と共に、光を与えた。
もはやこの場に、諦めている者も絶望している者もいない。
全身を力が巡って、強固な意思が形成され、希望を宿す。
「待ってて、紡絆くん。必ず返すから、この光を。私たちが絶対に!」
三人の勇者が再起する。
目的はただひとつ---
託された可能性を手に、闇に侵食されつつあるネクサスを救出するために動き出した---
暗く。昏く。無が広がる。
何処にも光はなく、無数に広がるのは黒。
音があるわけでも、特徴的な何かがあるわけでもない。
その世界に置いて、 何処にも光は無い。
(……光)
否。
どんな暗闇の中でも、瞬くものもある。
遥か彼方、現実世界であるならば空の上にでもあるのではと思えるほどに遠く、見上げなければ見えない星のように瞬く光。
その光を、暗黒の世界で唯一存在する人物---継受紡絆は気がついていた。
(……ウルトラマン)
動こうにも動けなかった。
自身の四肢はまるで囚人のように拘束され、引き剥がそうにも鉄の塊ではなく紫色の、何らかのエネルギーと思われる鎖。どちらというと有刺鉄線を思わせる。
(あの光を……掴まないと。みんなが、戦ってる……俺も行かないと……)
時折見えていた、光。
どうしてその光が見えていたのか、紡絆は知らない。でも不思議とあの光は掴まなければならない、と自分の中の何かが騒ぎ立てる。
自分が、自分だけが見えるのもそれが理由のはずと。
しかしどうにも出来ないのも事実だった。
肉体は既に光へと変換されたため、肉体は消滅している。今この場に残っているのは紡絆の精神体。
その精神体を拘束する闇は、一体何なのか。
少なくとも今の紡絆に分かることは三つ。
一つ目は自分は敗北し、動けない状態であること。
二つ目は自分という存在は助からないこと。
三つ目は、ウルトラマンとの接続が切られているということ。正確にはウルトラマンの存在を感じられないのだ。
つまりウルトラマンの意識と継受紡絆の存在が切り離されている。僅かな糸のような繋がりはあるが、それだけ。
無事なのかどうかも分からない。
(なんだ、あれは……?)
何も変わらない世界の中で、紡絆の目は蠢く存在に気づいた。
徐々に侵入してきたかのように空間が広がり、中は見えないが曇天の空を描いたかのような竜巻を思わせる穴。
(まさかアンノウンハンド……!?)
何者かを理解したのと同時に、そこから波動が放たれる。
咄嗟に避けようとするが、当然ながら身動きの取れない紡絆は避けられるはずもなく、波動は紡絆の頭部へ直撃した。
「ぐっ……ぁ、アアアアアァアアアァァ!?」
波動はその場に留まり、紡絆の全身を覆っていく。
だが痛みとは全くの、別のものが紡絆を襲っていた。
もし両手が動いていたなら頭を抱えていただろう。動けない身でありながらも暴れ、頭を振っている。
(こ……これは…人の、感情……!?)
知らない誰かの記憶。
知らない誰かの感情。
知らない誰かの体験
例えば交通事故。例えば病死。例えば災害。例えば裏切り。例えば戦争。
ありとあらゆる人間が『悪意』と分類した感情が紡絆に襲いかかり、体験した『絶望』を
自分のことでもないのに胸が苦しくなり、抑えようにも抑えられない。
ただ強く我を保つことで耐えるしかなく、徐々に何かが這い上がってくる。黒くも粘り着くような、何らかの衝動。
簡単な話だ。継受紡絆という人間に闇の部分がないならば作ればいい。
だからこそアンノウンハンドはそれを実践しようとしている。
精神汚染。一人一人、全く別のマイナスの感情。全く別の絶望。
それらを受け止めるとなると、流石の彼も危ういのか余裕のない苦渋に満ちた表情を浮かべている。
だが、どれだけ苦しくともどれだけ辛くとも、心の光を保ち続ける。
目的は分からなくとも、いずれ訪れるであろうチャンスを逃さないために。
ただ仲間たちを信じて---
異変が起き始めたのは、少しした頃だった。
友奈、樹、夏凜の三人はあまりにも離れすぎていたため、木々を跳びながら移動していると、ようやく近づいてきた頃にネクサスを覆う闇が濃くなり、蔦はよりエナジーコアと全身を覆うように侵食が早まっていた。
「ッ!?」
それを知らせるように、エボルトラスターの鼓動音が少し弱まっており、握っていた友奈は気づいて立ち止まった。
「急がないと……」
ネクサスの侵食が始まれば、エボルトラスターも弱っていく。
全てが闇に染まったとき、彼もウルトラマンも死ぬ。
ただでさえ余裕がないのに、焦りが生まれる。
少しでも早く。一秒でも早く。
友奈は逸る気持ちを抑えきれず、飛び出そうとした。
「友奈!」
「ッ!?」
それを、夏凜が止める。
闇雲に突っ込んでも、辿り着けるはずがない。
まだメフィストやイシュムーア、クトゥーラには気づかれていない。
だが神樹の方に侵攻しているため、また時間もない。
「夏凜ちゃんでも!急がなきゃ……!」
「いいから落ち着きなさいっていってんの!焦る気持ちがあるのはあんただけじゃないわよ」
『……!』
夏凜の言葉に同意を示すように、樹も首を縦に振っていた。
それを見たからか、友奈も少し冷静さを取り戻す。
この場の誰もが、時間はないと理解している。
世界の滅びと紡絆とウルトラマンの死。どれも着実に、少しずつ近づいている。
「友奈、樹」
「夏凜ちゃん…?」
『……?』
そんな中、友奈の手を離した夏凜が前に出る。
二人は名前を呼ばれたことに反応を示すが、夏凜は背を向けたままだった。
「私、ここに来て、勇者部に出会えて、入ることが出来てよかったと思ってる」
突然、関係ないことを告げられたからか友奈も樹も困惑する。
「馬鹿みたいに騒がしくて、毎日が忙しくて。私には無縁なものなんだろうなって思ってたものがたくさんあった……」
「夏凜ちゃん…」
「私にとって今の勇者部はね、楽しくて、そこが居場所で幸せなのよ。でもアイツがいなくちゃ意味が無いわ。
だからあんたは何があってもそれを届けなさい。止まることなく、前に進んで。その代わり他のやつは私が何とかしてあげるから」
夏凜の本音。
そしてその決意は、理解させられる。
勇者が二人満開しても勝てず、ウルトラマンが居ても勝てなかった相手。
虚勢だ。いくら夏凜でも勝てる戦いでは無い。
しかし今の勇者にとっての勝利条件は、エボルトラスターを紡絆へ届けること。
『………!』
「…そうだったわね」
しかしまた、夏凜一人ではないのだ。
裾を掴んだ樹が、首を横に振る。
その意味を察した夏凜は苦笑しながら樹の頭を撫でていた。
「修正するわ。私と樹で止める---友奈は絶対に、届けなさい」
「二人とも……」
悪くは無いだろう。
全員で刃向かったところで、勝てる敵では無い。
そもそもウルトラマンが復活したとして勝てる見込みは一切ないのだから、意味は無いように見えるだろう。
あの戦いで、紡絆は全てを出し切った。持ちうる技を使い、最強の技は全部使用したが勝てなかった。
だからといって抗わない理由にはならない。反抗をやめる理由にはならない。
「……分かった。任せて、絶対に届ける!」
一瞬の逡巡。
友奈は二人の覚悟に応えることにしたらしく、力強くエボルトラスターを握りながら頷く。
そんな友奈に僅かに微笑した夏凜と樹は、表情を引き締めて前を見据える。
「行けるわね?樹」
『はい!』
改めて意思確認。
そんなの必要ないとばかりに返ってきたが、樹の強さを明確に感じつつ、夏凜は息を深く吸うと吐き出し、口を開く。
「さぁさぁさぁ!!遠からんものは音に聞け!!近くば寄って、目にも見よ!!これが讃州中学二年勇者部所属、三好夏凜の実力だ!!!」
勇ましい名乗りと共に空へと飛び出した夏凜に、気がついたイシュムーアとクトゥーラ。
次々と放たれた触手は夏凜を消し去るべく迫る。
それに対し、夏凜は悩むことは無かった。
「満開ッ!!」
左肩に備わるサツキの花。
その部分が光を放ち、樹海から集まる光の根が夏凜を包み込むと、巨大なサツキの花を開花させる。
満開発動によって変化する服装。
夏凜の場合は白色の神事に着るような服装だった。
4本の巨大な刀とそれを持つ巨大な4本の腕。そして夏凜の両手にはいつもの二刀が存在する。
計六本---それが夏凜の満開だった。
次々と伸びてくる触手に対し、夏凜は四本の刀を一気に振る。
それだけでまとめて斬り落とすことに成功している。
だが敵も手はやめず、夏凜は接近しながら次々と刀を振ると、キリがないと気づいたのか回転するように斬り飛ばし、クトゥーラに二刀の刀を叩きつける。
「友奈ッ!!」
「ッ……!」
合図をするように名前を叫ぶと、夏凜はクトゥーラの追撃に向かう。
友奈は少し躊躇するものの、即座に地面を蹴って跳ぶと、進む。
目的はネクサスのもと。
樹も併走するようについてきているが、敵は一体ではない。
クトゥーラの代わりにか、火球を生み出すイシュムーアが次々と放ってくる。
狙ったわけではない、ただ闇雲に放たれた火球。
今はそれが十分すぎる効果を発揮する。
上空から降り注ぐ逃げ場のない火球群に対し、友奈と樹が取れる手段はない。
一斉に降り注ぐため、タイミングがズレてないからだ。
それでも現実は容赦なく、友奈たちへ向かっていき---四本の刀を盾に夏凜が受け止めていた。
「ぐっ…ぅぅぅ…!!」
「夏凜ちゃん!」
ウルトラマンにさえダメージを与えるそれは、満開した勇者ですら削られる。
徐々に押されていく夏凜の姿は、はっきりいって長く持たないだろう。
「いいからッ!早く……いけぇえええええ!」
全力を振り絞ったかのように、四本の刀が勢いよく交差する。
二つのエックス字を描き、火球が爆発するが間近くで爆発を受けたのもあり、夏凜の体が吹き飛びながら花は散る。
散華---許容範囲を遥かに超えたダメージによって消耗した満開が解除されるが、夏凜はイシュムーアを睨みつけながら再び満開を発動させると、即座に空を駆ける。
邪魔をするように乱入してきたクトゥーラの無数の触手と六本の刀がぶつかり合う。
(何としても、食い止める……!!)
例えその身が使いものにならなくなってしまったとしても。代償を何度支払ったとしても。
夏凜は己の術を引き出して役目を果たす。
その先に繋がる未来が、ウルトラマンではなく継受紡絆という存在が、いつも照らしてくれた希望への道を信じて。
イシュムーアとクトゥーラを突破し、友奈と共に駆けていた樹は立ち止まる。
振り返った先には、メフィストが跳んできていた。
それを見て覚悟を決めたように表情を引き締める。
『ハアッ!』
「満開……!」
声は出ないが覚悟を表明するように口を開くと、背中にある鳴子百合を模った刻印が光り輝いた。
巨大な鳴子百合が花開き、神官や巫女を思わせる服装となり、背後に巨大なアーチと花が現出する。
そこから射出されたワイヤーは拳を突き出してきたメフィストに巻き付き、動きを停止させる。
「小都音ちゃん…… 」
友と戦うことへの辛さ。
例え意識が違っても、利用されている肉体は彼女の友で、大切な先輩の家族。
友という関係で辛いのに、家族というより強い縁で結ばれていた紡絆は一体どれほど辛かったのか、樹には想像も出来なかった。
けれども、今この場で戦えるのは自分しかいないと分かっている樹はただ止めるために戦う。
他の勇者たちは皆攻撃型だが、樹のは動きを止めることの出来るワイヤーだ。
きっと自分の武器がこれなのは、この時のためだったのだろう、とそう思いながら動きを封じるために自身のワイヤーを操作する。
すると拳に巻きついていたワイヤーが強引に外され、操っていたワイヤーが避けられ、クローで斬られる。
(強度が足りない……!)
満開をしても、風や友奈と違って樹には圧倒的に物理的な力が足りない。
だからこそ、樹は他で補う。
思い出すのは、光の剣。
シュトローム・ソード---ネクサスの持つ剣をイメージし、ワイヤーを複雑に絡ませて形成すると、一本ではなく数十本生成する。
『……!』
当然ながら威力は圧倒的に劣る。
しかし樹の頭上に浮かぶ剣は今まで扱っていたワイヤーとは全く異なる使い方だ。
樹が手を突き出し、それに従うように剣が射出される。
長さでは劣るが、範囲のみでならば樹は攻撃範囲と攻撃速度においては勇者の中でも随一。
そんな彼女だからこそ行うことの出来る芸当。
放たれた剣がクローとぶつかるが、ワイヤーのように斬ることは出来ずに逸れ、メフィストは防ぐのではなく次々と避けていく。
あくまで目的は時間稼ぎ。
それで十分なのだ---
走って、跳んで、ようやく。
ようやく近づいてきた、という実感が湧いてくる。
友奈の耳に届く戦闘音は間違いなく背後で二人が戦っている証。
(樹ちゃん…夏凜ちゃん……!)
心配ではあるが、立ち止まることはしない。
ここまで来れたのは、二人のお陰だろう。
一人では絶対に辿りつくことはできなかったはず。
「あと少し---ッ?」
あと数分。いや勇者の力ならば数秒で十分だ。
焦る気持ちを抑えながら脚に力を入れ、全力で地面を蹴ろうとしたところで、エボルトラスターが大きく鼓動した。
まるで何かの合図をするように鼓動したエボルトラスターに目が行き、その瞬間。
鋭利な爪のようなものが、友奈の眼前に突きつけられる。
「うっ……!?」
衝撃で僅かに吹き飛ぶが、片手を地面に着きながら両足で摩擦を起こしながら勢いを殺す。
すぐに顔を上げれば、そこには抉られるようにできたクレーターとイシュムーアの姿。
もしエボルトラスターがなければ、間違いなく戦闘不能になっていただろうと思うと、友奈はゾッとした。
だが、イシュムーアは夏凜が抑えていたはずで、ここに来るというのはおかしい。
もしかして、と最悪な考えが浮かび上がったところで---
「こっ---のぉおおおおおお!」
二振りの剣が、イシュムーアの頭部へぶつかり、硬いものでも叩いたかのように弾かれる。
「くっ、やられた…!幻影を利用するなんて……!」
夏凜が遅れてやってきたが、弾かれた際に距離を離していた。
どうやら幻影を利用して妨害に来たようで、何かするつもりなのだと判断したのだろう。
残念ながら、このイシュムーアには勇者も脅威になる時があると学習されてしまっている。
「ッ!後ろ!」
けれど。
相手は一体ではない。
友奈の声にハッと振り向いた夏凜だが、遅すぎた。
「しまっ……!?」
追うようにやってきたクトゥーラの触手がアームを掴んでいた。
刀を持つ部分を機動させるために必要な部分を防がれば、刀を使うことは出来ない。
実質夏凜を無効化したからか、イシュムーアが口から溶解液を友奈に向かって吐き出す。
咄嗟に避けるように上空へ跳ぶと、先程まで居た位置は空間が削られたかと錯覚するほどに削れており、溶解する力は今までの比ではないのだろう。
例え精霊のバリアだとしても、溶かされるかもしれない。
だが敵の狙いはそんなものではなく---
「くっ……あああぁ!?」
空中へ逃げてしまえば、勇者は自由に動くことが出来ない。
容赦なく振るわれた爪が、友奈に直撃する。
精霊バリアによる守護は発揮するが、衝撃は襲いかかってくる。
弾かれるように吹っ飛ぶ友奈の手元から、エボルトラスターが上空へ吹き飛んでいく。
「友奈!こんの……!!」
『なるほど、まだ抗っていたか……だが』
「ッ!!」
必死に引き剥がそうと剣を振るおうとするが、クトゥーラにはウルトラマンですら拘束出来るほどの力が備わっている。
容易に外れるわけもなく、目的に気がついたメフィストがエボルトラスターを奪うように跳躍する。
速度で負けているため、遅れてやってきた樹が剣や刀といった武器をワイヤーで形成して飛ばすも、メフィストの機動力には追いつけない。
残された、最後の希望。
それを打ち砕くべく、メフィストはエボルトラスターを掴まんと手を伸ばす---
「さ……せるかぁあああああ!勇者部五箇条---ひとおおおおぉぉつ!!」
軋む音が響く中、四つのアームが砕ける。
同時にまた、花弁が散る。
満開が解けた証、散華。
しかし拘束から逃れることが出来た夏凜はまたしても満開を発動させて見せた。
考えも作戦も、どうすればいいか分からない。
ただ我武者羅に前へ。
「挨拶はああああっ!きちんとぉーーーーっ!!」
形成された四つのアームと共に、振るわれた六つの刀が咄嗟に両腕を交差したメフィストを吹き飛ばす。
その際に両手の刀が砕けたが、夏凜はエボルトラスターを手にした。
その手に存在するエボルトラスターからひとつ、鼓動がする。
ただの根性でしかない。けれど、夏凜はどんなときも立ち上がって見せた彼を見てきた。
「これを……ッ!?まずっ……」
無事に回収することは出来たが、脅威が去ったわけではない。
いいや、むしろ増えてしまったのだろう。
『ソレ』が鍵と理解させてしまったのか、クトゥーラとイシュムーアが一斉に夏凜を狙う。
クトゥーラは自在に操れる武器である触手を。イシュムーアは巨大な竜巻を解き放った。
逃げ場を殺すように、挟み撃ちをしていた。
周囲に視線を巡らせるが、竜巻の影響で移動するのも簡単ではない。
そして理解する。
やられる---
「どっせぇえええええい!」
「ッ!?」
その瞬間、巨大な大剣が竜巻とぶつかり合い、触手が焼き払われる。
第三者による攻撃。
驚愕を顕にする夏凜の目の前には、満開した風の姿が。
遠くには、満開した東郷の姿も。
「風!?それに今の……東郷!?」
「まったく、相変わらず世話を焼かせるんだから……!」
余裕はないだろうに不敵な笑みを浮かべる風の姿を見て、夏凜もまた笑みで返すと、触手が次々と撃ち落とされるのを見て頷き合う。
「合わせなさいよ、夏凜!」
「分かってる---ってぇのぉぉ!!」
そしてウルトラマンの技と同等の威力を持つ竜巻に対して、大きく振りかぶった四つの刀と大剣が真っ二つに割って見せた。
飛散する風圧。
しかし、それすら読まれていたのか。
雷撃が夏凜と風を襲いかかり、得物で防御しながら後退させられるが、凄まじい威力に夏凜の手からエボルトラスターが零れ落ちる。
そのタイミングを狙ったかのように、空間に穴が開き、『別の位相』から伸びてきた触手がエボルトラスターを掴もうとしていた。
それを捉えた夏凜に焦りが浮かび上がる。
「!?あれを取られたら、ヤバいっ!」
「だったらぁ……!こんな時こそ、勇者部五箇条!ひとぉーつ!」
雷撃を防ぐだけで精一杯なために動けなかったが、なんと風が大剣を蹴り飛ばした。
蹴りによって飛んでいく大剣はわずかに壁としての役割を果たし、その場から離脱する。
「よく寝てぇ…よく食べえぇぇぇぇるっ!!」
そして別の位相から伸びてきた触手に凄まじい速度でタックルを食らわせると、空間の中へ戻す。
即座に方向を転換した風がエボルトラスターを掴んだ。
また、鼓動が鳴る。
一歩間違えれば命の危機に瀕していたであろうかなりの無茶な行動。
けれど、風は誰かのためにもっと危険で無茶な行動をする後輩の背中を何度も見てきた。
「よし---樹ぃっ!」
「………!」
爪撃が飛んできたのを見た風が、空中で返りながら即座にエボルトラスターをぶん投げた。
明らかに外れた軌道---それを、樹は理解したように先回りし、掴み取ってみせた。
姉妹だからこそ、視線だけで気がつけた。言葉がなくとも、どうするのか分かった。
「ッ!?」
またひとつ、鼓動が鳴る。
掴んだからこそ、手で取ったからこそ理解が出来る。
手から感じる重さも、思いも。
夏凜も風も、間違いなく感じ取ったはずだろう。
そしてまた、樹にも感じることが出来たことがある。
『チィッ』
『小都音ちゃん……勇者部五箇条ひとつ!悩んだら相談!』
向かってきたメフィストに対し、ワイヤーを飛ばすのではなくスマホを取り出した樹が画面を見せる。
彼女の、メフィストの変身者である友の名を打った画面を。勇者部という部で作られた、約束ごとを。
迎撃するような行動ではないことに僅かにメフィストが困惑したが、関係なしと言わんばかりにエネルギーが腕に纏われていた。
『何をするかと思えば、やつの意識はもう---』
『それから!!夢と、約束!』
『ッ!?』
それから続く文を見たメフィストの拳は、樹の眼前で停止していた。
あと少しでも遅れていたら、叩きつけられていただろう。
けれど止まっていて、メフィストは動かそうとしているようにも見える。
『いつか一緒に、歌を歌おうって……!!』
それはきっと、樹と小都音が交わした、ひとつの約束なのだろう。
夢を見出して、夢を後押しされた際に。
今でも鮮明に思い出せる、樹の決意が出来た日のこと。
やりたい夢を見つけられたのは、樹にとっては彼女のお陰だったのだから。
『樹ちゃん、兄さんが言ってた通り本当に歌が上手だね。それなら歌手とかならないの?目指すなら私、応援するし協力するよ?』
『へっ?で、でも……』
『だってこんなに綺麗な歌声で、優しくて、とっても可愛らしいのに。勿体ないよ。樹ちゃんの意思は尊重するけど、歌は嫌い?』
『う、ううん…歌うのは、好き、だけど……出来るのかな…』
『出来るよ、絶対に。誰がなんと言っても、否定しても、私がそう言ってあげる。なんだって兄さんばかり見てる私が樹ちゃんの歌に聞き惚れるくらいなんだよ?』
『じゃあ…目指して、みようかな…だけど……』
『だけど?』
『その、いつか…一緒に歌ってくれる?あのとき小都音ちゃんの歌を聞いて……とってもドキドキしたの。すごい、素敵だなって。だからいつか、いつか一緒に、やりたいなって…だ、ダメかな……?』
『なんだ、そんなこと?いいよ、いくらでも一緒に歌ってあげる!樹ちゃんがそれで、目指せるなら!心配なら、約束!』
『……!うん、約束…!』
道を示してくれて、きっかけをくれて。
あの日のことがあったから、今がある。
それを---覚えていたのか。
メフィストの動きが、完全に停止していた。
『なっ…こ、これは……!?』
誰かと分かり合おうと、止めようとする勇気---それが樹がエボルトラスターから感じられた、ひとつのこと。
彼はどんなときも、手を伸ばそうとしていた。
その意志もまた、誰かへ託されるもの。
(やっぱり小都音ちゃんの意識は、残ってる……!)
確信した樹は、メフィストに手を伸ばそうとして、霧が逃がすようにメフィストを覆い隠した。
咄嗟に飛びつくが、霧が即座に晴れると既に消えている。
(っ、届かなかった。でも、今は……!!)
もう少し早ければ届いていたかもしれなかったと思うと、心残りがあるが、大事なことを知れただけでも今は十分だった。
それを伝えるために、樹はネクサスの方を見て、飛んできた振動に弾かれる。
空気振動---能力を組み合わせられるイシュムーアが放ったのだろう。
「東郷先輩!」
直撃した樹は、弾かれながらもエボルトラスターをワイヤーで掴むと後方に向かって投げる。
遠心力を活かして投げられた先。
移動台座に搭乗する東郷へ、行き渡る。
「勇者部五箇条ひとつ……なるべく諦めない!そうよね……!」
エボルトラスターがまた、大きく鼓動を鳴らした。
そして東郷の移動台座が砲撃を貯める。
次々と伸びてくる触手を迎撃し、イシュムーアが火球や光弾と言った弾幕を貼る。
だとしても、東郷はもう俯かない。前を見続ける。
「今度は私が……だからッ!」
どれだけボロボロになろうとも、笑顔で諦めることなく誰かを救おうとする姿を、東郷は知っているのだから。
東郷にとっての
故に---
「お願い、紡絆くんに届けて---友奈ちゃんッ!!」
また同じく、東郷にとっての
巨大な砲撃が全てを消し去り、東郷は彼女の元へ投げる。
一筋の光となって---空中で掴み取られた。
想いは繋がり、絆は広がり、希望が紡がれていく。
「ありがとう、東郷さん!みんなが繋いでくれた、みんなの想いが込められたこれは、絶対に届けるッ!!」
鼓動を鳴らし続けるエボルトラスターを手に、友奈が向かう。
もう少しで辿り着く---その前へ塞がるようにイシュムーアが口から火を貯める。
そんな相手に、右拳に備わる満開ゲージが輝く。
虹色の光が友奈を包み込み、巨大な山桜の花が満開する。
勇者共通の背部のリングに加え、左右に巨大なアームが発現し、両手のナックルガードが巨大化する友奈の満開。
「うぉおおおおおおおおおッ!!」
最後の切り札を発現させ、アームを動かして右手のナックルガードを握りしめた友奈に向かって、膨大な熱量を持つ青い熱線がイシュムーアから解き放たれた。
今までの比ではない威力。
それこそ、ウルトラマンのオーバーレイにすら匹敵---いや遥かに超える力を有している。
そんな熱線に、友奈は真っ向から拳を叩きつけた。
熱線と巨大なナックルガードがぶつかり合う。
「う、うあぅぅっ!」
友奈の満開は攻撃特化だ。
勇者の中では誰よりも攻撃力がある。
だというのに---そんな友奈の拳でも、イシュムーアの技には、熱線には打ち勝てない。
均衡しているのではなく、徐々に押されていく。
最初で最後のチャンス。
これを逃せば、二度目はない。
メフィストも復活して、距離を離されて、時間が切れて終わり。
満開を使える数も多くない。
なおさら、今全ての力を込めるしかない。
押し負けそうになっても、力が足りなくても。
心は負けない。
「ゆ、勇者部五箇条……ッ!ひとぉおおおおつ!!」
鼓舞するように、挫けないように、友奈は叫ぶ。
ようやくたどり着いて、みんなから託されて。
負ける訳にはいかないのだから。
「なせば大抵ぃいいいい---」
今は傍に居なくても。
皆に勇気を与え、希望を与えた
(私の全部を、私たちの全部を紡絆くんに!だから紡絆くん---私たちに力を貸して!!)
神の力だけでは足りない。勇者の力だけでは足りない。だとしても、ここで諦める理由にはならないだろう。
足りないなら振り絞れ。今は力も知恵も運も必要ない。
ただ決して
「なんとかなるっ!!」
そんな彼女の姿に応えるように。彼女たちの想いに報いるように。
光は受け継がれるものである。
そしてまた---光とは誰の心にも、宿っているのだから。
「勇者ァ---パアァァァァァンチ!!」
気合いの籠った一撃。
光が宿った拳は熱線を上回り、装甲を穿ち、ウルトラマンを相手にビクともしなかったイシュムーアの肉体を大きく吹き飛ばす。
それはウルトラマンと勇者の力が宿った
(っ、今の、紡絆くん……!)
人の力が、想いが、ウルトラマンを。究極を上回った。
それでも倒すには至らない。
体勢を整えたイシュムーアと友奈が復帰するのは同タイミングだった。
振るわれる爪を、ナックルカードを押し付けることで動きを留め、パージしたアームの上を友奈が走る。
「帰ってきて!!紡絆くん-----ッ!!」
『やらせるわけには……!』
駆け抜けた友奈がイシュムーアを飛び越えると、友奈は全力でエボルトラスターを投球する。
投擲されたエボルトラスターは回転しながら突き進み復帰したメフィストが、エボルトラスターの道を防ぐように手を伸ばした。
されど。
『いっけぇええええええ!!』
そんな障害は打ち砕かれる。
想いの叫びが力となったのか僅かに早く、エボルトラスターはメフィストを突き抜けた。
全員の視線がネクサスの元へ集まり、光り輝くエボルトラスターは---真っ直ぐ、一寸の狂いもなく、ネクサスのエナジーコアへ吸収される。
「やっ……やった……ぁっ!?」
届いたことに、喜びの声を挙げる---それよりも早く、アームを破壊したイシュムーアの爪が友奈を叩き落とす。
「友奈ちゃんっ!」
「友奈!?」
友奈が勢いよく地面に叩きつけられ、同時に満開も勇者の姿も解除されていた。
気を失ったのか動くことなく。
そしてようやく届いたというのに闇の蔦に拘束されたネクサスは、身動きひとつ取らない---
紡絆の全身を黒いモヤが覆っていた。
全身の力が抜けているかのように一切抵抗が見られず。
ただ闇ともいえるものに包まれても、その瞳は色褪せる事はない。
真っ直ぐな光を、常に宿している。
『---何故抗う』
暗黒の世界に広がる、何処かゲートのような紫色の穴から
「ハァ、はぁ……はは…き、まって……る。信、てる……から、だ……!」
数分か数時間か。
この世界において時間という概念は存在しない。
どれだけ経ったのか外の世界がどうだったのか。
もはや紡絆には全てが分からない。色んなものを体験させられ、
紡絆は今も尚抗っていた。
悪夢を見たかのように汗ばんで、片目は閉じられていて、酷く辛そうでも。苦しそうでも。疲弊していても。
「どんな、絶望の中、にも……光は、ある……!俺一人じゃ、むり…でもっ!」
力など残っていないはずなのに、紡絆の瞳が変異を繰り返す。
暗黒の世界で、光が宿り始める。
「みんなが……守りたい、人達が…い、いる…から!お…俺は、諦めない……ッ!離れ、ていても……繋がって、る……!!」
黒いモヤが、光へ変換されていく。
闇しかない世界に。光が徐々に拡がっていく。
それはエボルトラスターから放たれたものでも、影から放たれるものでもない。
たった一人。ちっぽけな人間から放たれた輝き。
「世界を…次元を……時空を、突き抜けて……ッ!俺は---独りじゃないッ!!」
564:名無しの転生者 ID:HM2KW6c5B
そうだ、独りじゃない!
565:名無しの転生者 ID:wiaKCrVk2
俺たちだって!
566:名無しの転生者 ID:j6lcFdpx0
勇者たちもな!
567:名無しの転生者 ID:Q69RErk7S
このバカはなぁ……絶望しかなくたって、抗うしか脳がないんだよ!バカだからな!その分どんな時だって眩しいくらいに輝き続けるんだよッ!!諦めの悪さ舐めんじゃねえぞ!世界一諦めが悪ぃんだから!!
568 :名無しの転生者 ID:QZockz0kD
俺たちに出来ることはなくたって、声援を。応援することは出来るんだ!!
569:名無しの転生者 ID:ZKM4Ml0Pd
いつもテレビの向こう側にいるヒーローを応援するようにな!!
そう、この世界だけでは無い。
別次元。別時空。
異なる宇宙の者たちだって---繋がっている。
遥か遠く、認識すら出来ないほどに離れているのに。
ならば認識が出来るほどに身近な存在との繋がりを---全てを断ち切る世界であろうと感じられないはずがない。
「ッ!?」
突如として眩い光が発せられ、紡絆は目を閉じる。
反射的に閉じた目を開けば、紡絆の目の前にはエボルトラスターが佇むように存在していた。
「これは……そ、うか……届けて、くれたんだな……」
『無意味だ』
全てを否定するような声が響く。
しかし紡絆は触れなくたって、察することが出来ていた。
伝わってくる、諦めない姿を。気持ちを。
そして自分を呼ぶ声が。
ならば、いつまでこうしているのか。
いつまで囚われているのか。
いつまで---閉じ込められているのか。
信頼に応えなければ、なんの意味がある。
「俺はそうは思わない。皆が苦労して、繋いでくれた」
瞳に光が宿る。
黒い目は、琥珀色とも金色とも言える目へと。
拘束された四肢に力が入る。
「皆が紡いでくれた光は……俺に力をくれる!限界を超える力を。理屈じゃ測りきれない力を与えてくれる!どれほど闇が濃くたって、お前が何をして、世界を絶望に包みこもうが照らしてみせる!それが俺の!俺たちの役目だッ!!」
『………!』
瞳だけではなく、
覚悟を後押しするように、暗黒の世界に光が満ちた。
その光は四肢を拘束した闇も。黒いモヤも。
紫色の闇も。
全部全部吹き飛ばして見せる。
体の自由を取り戻し、自身の右手の手のひらを見つめる。
「約束したんだ。戻るって。守るって……!お前こそ、なんで壊すことしか、奪うことしかしない……!力を使い方を、変えるだけで変わるってのに……!お前にだって、光はあるはずなのに…!お前だって守るべきものがあったはずなのに!そのための力だったはずなのに!」
握りしめられた右拳に、力が強く籠る。
目の前の存在を睨み、紡絆はその存在を。
その存在の
「お前もッ!ウルトラマンだろ---
Y字型の器官である、ネクサスの持つエナジーコアに類似したものを持ち、50mはあるであろう黒いボディに赤いラインが走っている巨人の姿---ウルティノイド・ザギ。
『---見事だ』
「ッ……?」
まるで自身の正体を知っているのは想定内と言わんばかりに、称賛したザギと呼ばれる巨人は納得したように、
ただ見られている。それだけで、紡絆の中で警報が鳴る。
生物からしての差。
本能が警告している。
『にしてもその力……やはりそういうことだったか。ようやく
「俺の、正体……?力?」
自身の変化に何も分かってないようで困惑したような様子を見せる紡絆だが、その瞳は元の黒目に戻っている。
『何れにしても俺の計画を止めることは出来ない』
「待てッ!まだ話は---!」
興味を無くしたように振り向いたザギの姿が、闇に包まれていく。
気になることも多いが、紡絆は何も考えることなく、ただ手を伸ばす。
『抗え。全ては俺のために---勇者も貴様も、そのための道具に過ぎない』
「っぐ……!?」
首だけを動かし、ザギがそれだけを言い残すと、紡絆の体が弾かれたかのように吹き飛ぶ。
転がる紡絆が顔を上げた時には、既に闇も姿も、全てが消えていた。
「いったい、どういうことだ……?」
ザギの言葉が何一つ分からなかった紡絆は思わずそう呟いてしまうが、考える時間はなかった。
現在いる空間が、地震でも起きたかのように揺らぎ始め、前後左右からはモノクロの波が迫っていた。
さらに下からは闇の触手とも呼ぶべきものが紡絆を狙うように向かってきている。
「まさか……空間ごと俺とウルトラマンを取り込む気か!?」
それがどう言ったものか、不思議と確信出来た紡絆は脱出口を探す。
けれども黒しかない世界に、当然ながら逃れる場所もない。
ゆっくりとだが確実に迫ってくる死に対し、紡絆は探し続けて---
「そこか……!」
次々と脳裏に流れてくる情報に従うように上を見た。
遥か上。
暗く昏く。真っ暗な暗闇しかない世界に灯された光。
時折しか見えなかった光が、今はそこに在ることを証明するかのように輝きを解き放っている。
即座に空間に浮かんでいるエボルトラスターを掴みに行き、紡絆は空間を蹴るように飛ぶ。
地面はなく、風力もない。
ただ泳ぐようなイメージで、飛行するようなイメージで光の源へ向かう。
迫るモノクロの波。
向かってくる闇の触手。
(間に合うか…?いや、間に合わせるしかない!!)
間違いなく、一度でも捕まれば終わりだ。
モノクロの波は闇すらも変換してることから、掠っただけでも良くないことが起きるのは確実。
だからこそ、紡絆は右手を光に向かって伸ばす。
エボルトラスターを決して離さないように強く握りしめて、光を求めるように。
もう少し。
あと少し。
そうして、紡絆の手が---
「うっ……!?」
届くよりも早く。
闇の触手が紡絆の足を捕まえた。
物凄い力に引っ張られかけ、全身に力を入れて抗いながら手を伸ばし続けるが、その体は光から遠がっていく。
さらに一度捕まえたからか、闇の触手が這い上がり、足から腹へ。腹から胸へ。胸から肩へ。
素早く拘束するように侵食されていく。
思わず下を見れば、広がるのは無数の闇。
(クソっ!あと少しで!もう少しで!これか!?)
引き摺り込まれるように、だんだんと離されていく。
無数の闇の中に入ってしまえば、二度と抜け出すことは叶わないだろう。
それどころか、ここまで繋げてくれた皆の想いも無駄になってしまう。
「そうだ…皆んなが、待っている……呼んでいる……!!」
何をすればいいかなんて分からない。
ただ、届けてくれている。
呼んでいる。
待ってくれている。
自分の帰りを。
「まだ……まだだッ!」
皆の想いが、紡絆に限界を超えさせる。
自身の全てを出し切るように、再び瞳が変化した。
全身から溢れた光が触手を弾き飛ばし、一気に加速する。
その速度は、最早人間の速度を超越する。
それこそ、一筋の光のように。
引き離された距離がたったの一秒で縮まり、それどころかより近づく。
眼前に広がる、眩い輝き。
それに対し、今度こそと必死に手を伸ばして---
「ぁ……!?」
されど。
モノクロの波が壁を形成し、光に触れる直前で阻止されてしまった。
振り絞った力は失われ、まるで全力で運動をした後のように力が抜ける。
紡絆の力は、体力を消費するものだったのだろう。
底が尽きた影響か落下の始まる紡絆の体を触手が再び捕まえては這い上がる。
(ち、くしょう……)
くの字となるように体が落下していく。
脱力感に抗おうとも力が入らない。
迫ってきていた闇の中へ落ちていき、水中にいるかのように呼吸が出来ない。
それでも、動く右手を伸ばす。
体が浸かっても、徐々に呑み込まれようとも。
諦めずに伸ばして、伸ばして---届かなかった。
(………ここまで、か)
落ちて、墜ちて、堕ちていく。
光が強ければ、闇はそれを覆い隠す。
最後まで抗っても、結果は変わることは無かった。
このまま取り込まれて、何も守れない。
これが、現実。全てが上手くいくことなどない。
皆の想いに答えることも出来なかったことに後悔はあったが、紡絆は全身の力が入らなくなった感覚に、終わりだということを悟る。
そうして目を閉じた紡絆は諦めて---
『諦めるな!!』
そんな声とともに。
紡絆の右手を
「---ッ!?」
驚愕と共に目を見開いた紡絆。
同時に。
次々と伸びてきた
眩い光の世界へと入っていき、直視出来ないほどの輝きに紡絆は目を逸らしながら、闇から抜け出す。
「ゲホッ、ゲホッ!?」
肺に水でも入った時のように、咳き込む紡絆は落ちていた体が今足を着いて、座り込んでいるのを認識する。
周囲は黒しか無かった暗黒の世界から一転し、ただ真っ白。
一面に広がるのも白。何処を見ても何も無く、ただただ純白さを感じさせる世界。
「こ、ここは……今の、声は……?」
自身の記憶にある、ひとつの出来事。
記憶を失った直後の時。
あの時と同じ言葉を掛けられたかと思えば、気がつけば助かっていた。
ただ
「!?」
まだ何かあるのかと僅かに警戒を顕にするが、その姿を見て警戒が解かれた。
現れたのはスペースビーストでもウルティノイドでも、ザギでもない。
人だった。
「間に合って良かった」
「---?あなた、は……?」
座り込んでいるのもあるが、声を掛けてきたのは紡絆が見上げる必要があるほどに高く、身長は180cmほどある優しげな青年だった。
その身に纏う服装は、ブルーとブラックを基調としたものに、右腕には小型ユニットが装着されている。
彼の言葉から察するに、助けてくれたのは彼なのだと理解出来るが、当然ながら紡絆は誰か知らない。
「僕?僕は
「孤門、一輝……って、
「僕だけじゃない」
同じく紡絆を視線を移せば、そこには様々な人がいた。
男だろうと女だろうと、また紡絆と似た身長の子もいれば明らかに人間ではない異形の存在すら。
そしてそこには、かつて光を託してくれた姫矢准や千樹憐の姿もある。
「姫矢さんに、憐まで……どうして……」
「あーそれなんだけど……」
「悪いが、話してる時間はないらしい」
それがどういうことか、と疑問に思うよりも早く。
真っ白な世界が揺らぎ始める。
「な、これは……!?」
何かに侵食されかけているかのように、空間にヒビが少しずつ入っていく。
時間がないというのは、つまりこの空間が保てる時間があまりないということなのだろう。
だが紡絆はこの空間のことを知らなければ、何故この場にいないはずの適能者がいるかも分からない。
「ここはかつてウルトラマンとなり、役目を終えた者たちが集う場所。彼の記憶が作り出した世界。この空間が崩れるということは、ウルトラマンに時間が無いということよ」
多くの人々や人外の中から、一人の女性がやってくる。
その人物も孤門と同じ服を着ている。
いやどちらかと言えば隊員服、というべきか。
「貴女は…いや、貴女も
「
「……ああ、そうか。じゃあ俺も……」
「いや、君だけは違うよ。君は選ばなくちゃならないんだ」
同じく役目を終えたのかと思ったようだが、孤門がそれを否定すると頭上を見上げる。
孤門だけではなく、全員が見上げて、釣られるように紡絆も見た。
そこには、あの空間の中でもずっと見えていた1つの、星のような光。
「ここで諦めて楽になるか。それともあの光を手にするか。そのどちらかを」
「……光を」
地面に手を着いて、立ち上がった紡絆はただ見上げる。
遠く、遠く。途方もなく遠くて、だと言うのに眩しく感じるほどに見える強い輝き。星のように太陽のように。
それを見て、気づく。
何故あの光は、ずっと輝いているのか、ということを。
手から感じる温もり、エボルトラスターは鼓動を鳴らし続けている。
あの光に、共鳴するように。
「そうか……あそこに、ウルトラマンが……」
繋がりが薄くなっていたのは、既に気づいていた。
つまるところそれは、ウルトラマンと紡絆。二人の死が近づいていたからだ。
だがそれでも、ウルトラマンは紡絆を優先し続けていた。
何故肉体を光に変換した紡絆が生きているのか、何故勇者の手にエボルトラスターだけが形成されたのか。
それは、ウルトラマンが残る力で紡絆を助けるために全ての力を行使したからだ。
だからこそ、あのとき。ネクサスがやられた際にエナジーコアからエボルトラスターの光だけが上空へ放たれていた。
紡絆の命を宿す、エボルトラスターが。
「あそこにいけば……ウルトラマンがいるんですか。彼を、助けられるんですか?」
「ああ。でもそれを選ぶと君は傷つく。戦いから逃れることが出来ず、また戦うことになる。運命から逃れることは出来ない。仮に戻っても、君は家族を討たなくちゃならなくなる。そもそも勝てる見込みはない。それでも君は……選べるかい?」
そう、仮にウルトラマンの力を取り戻したとして、結果は変わることがない。
メフィストが妹に宿った時点で、殺し合う運命になっている。
戻れば今度こそ、殺さなければならないだろう。戻れる確証もないから戻れるということが奇跡に等しいのに、仮に戻れても同じく何も出来なければ、今度こそ全てが終わる。
然しながら、紡絆に迷いはなく、試すように問いかける孤門に真っ直ぐ答える。
「簡単です。さっき言いましたよね、諦めるな、と。だったら答えはそれで十分だ。あの光を手にするには、それだけで」
「そうして掴んだ光で、どうする?どちらかは救えるかもしれない。だけどふたつは選べない。世界か、君の大切なものか……それとも何も守れないかもしれない」
「そうかもしれない。あの敵は……どう足掻いても勝てるって思う事は出来なかった。
俺が扱える技全てを用いても、届かない。最初から全力で来られたら、俺は何も出来ずにやられていた……例え戻れても、俺は勝てない」
基本的に、紡絆は前向きだ。
後ろ向きな考えを持つ方が少なく、諦めることなんてそうそうない。
そんな彼ですら、勝てないと確信して言っている。
戦ったからこそ、理解したのだろう。
この場の者たちは、紡絆の独白に何も言葉を送らない。
でもまた、何かを確信しているかのように彼を見ている。
「だとしても抗わない理由にはならない。その先にザギが思い描く未来があったとしても、 思ったんだ。どうしようもなく、心から思い続けているのがある。俺が俺でいる限り、消えることがないもの。
それは…みんなを守りたいという思い。誰かの幸せ、誰かの笑顔、誰かの希望。そういったものを守っていきたい。だから俺は……戻らなくちゃならない。果たせてない約束のためにも。帰りを待ってくれる仲間たちのためにも。そして、闇に囚われる妹を救うためにも。俺を助けてくれたウルトラマンや神様も。全部全部救う!俺が
紡絆が戦っていた全ての答えは、そこなのだろう。
その中にすら自分が入ってないのが彼らしいが、結局のところ彼は『守りたい』という一心で戦い続けた。
どれだけ苦しくとも。辛くとも。誰かの笑顔や幸せが、そこにあるから。
その覚悟は---誰であろうと打ち砕けない。例え底無しの絶望がそこへあろうとも、彼の輝きは色褪せることなどないのだから
「……うん、そう言うと思った。いや信じていたの方が正しいか」
「…え?」
「だから私たちがここにいる。貴方をウルトラマンの元へ届けるために」
それが、この場にいる理由なのだろう。
ここに集まるのは歴代、何千何万年にも渡って受け継がれてきた光の継承者たち。
「言っただろう。光は絆と」
「そっ、そして希望でもある」
「絆と、希望……」
思い出されるのは、初めてジュネッスとジュネッスブルーの力を解放出来たとき。
あの時も、紡絆は二人から同じことを言われた。
「貴方の覚悟は伝わってきたわ。けれど生きるために戦うことを忘れないようにしなさい。誰かの未来を守る。言葉では簡単でもその行動には責任が伴うものよ。貴方が自分自身の未来も守らなければ意味ないのだから」
「凪さん…」
なんだかんだ命を捨てることが多いからだろう。自分を入れるという選択はこれからも取れないだろうが、それでも凪は紡絆に伝えていた。
彼はまだまだ未熟な
所詮はウルトラマンを宿した子供に過ぎない。
そんな彼を導くように、彼らは言葉を贈り、託していく。
「僕が言えることを全部言われちゃったけど……この場にいる全員、思っていることは同じなんだ。ウルトラマンと君の大切なもの達を今度こそ守って欲しい、と。僕たちも大切なものを失ってきたからね……だから僕はこの言葉を贈る」
孤門が紡絆に背を合わせるようにしゃがむと、両肩を掴んで真剣な眼差しを向ける。
それこそ、子供に言い聞かせるように。
「例え昨日までの現実を失い、恐ろしい現実に直面しても。大切な物を失くし心引き裂かれても。思いも寄らぬ悪意に立ちすくんだとしても。僕たちは生きる。何度も傷つき、何度も立ち上がり、僕達は生きる。僕達は一人じゃないから。君は一人じゃないから---だから絶対に。最後まで諦めるな」
「っ……!」
その言葉の重さを、無意識に理解する。
当たり前だ、孤門一輝---様々な困難を乗り越え、諦めない強さを身につけ、かつて伝説の力を人々ともに取り戻す奇跡を起こした一人の英雄。
その言葉こそ、彼が経験した、まさに彼の人生を体現するような言葉だ。
「皆さん……」
伝えられた言葉を大事に締まっていく。
同時に世界の揺らぎが激しくなり、ヒビが強まっていった。
だから、余計に分かってしまう。
これが
「どうやらここまでのようね…」
「僕たちの力を、君へ。必ず成し遂げるんだ。そして僕…いや
紡絆が持つエボルトラスターから光が放たれ、全ての適能者の手に再びエボルトラスターが生まれると続々と光になっていく。
黄金色の輝きが、何も染まってない世界へ生まれ、メタフィールドを形成する時同様、黄金色の色彩に彩られる。
「……ありがとうございました、約束します。必ず妹を。みんなを。世界を救う。神樹様も、ウルトラマンも。そしてザギを止める……だから!」
小さな背中には、一体どれほどのものが背負っているのか。
俯いた紡絆が覚悟を決めたように、金色へ変化する。
色濃く。なんピタリとも消すことの叶わない強い輝きを瞳に宿しながら、紡絆は上空に存在する光を見た。
前も後ろも見ない。
進むのは今でも過去でもない。見るのは現代でも昔でもない。
未来だ。
「俺は絶対に諦めないッ!!」
その宣言を全員が覚悟と見たのだろう。
無数の光が紡絆へと集まり、様々な想いを背負い、全身に光を纏った紡絆が勢いよく跳ぶ。
遥か先、光を超えて。
その中へと突っ込んでいく。
そうして見えた景色---
多次元宇宙---
無数とある宇宙。その中でも人際強く、目立つように輝く光がある。
その中へ迷うことなく向かった紡絆は、いつもの場所にいた。
神秘性を感じさせる青黒い世界。
うっすらと輝く銀の輝きが、神秘性をより強める。
「ウルトラマン……」
『………』
視線の先に存在するのは、エナジーコアが
繋がりが薄らいでいるせいか、紡絆は彼の声が聞こえなかった。
それでも、エボルトラスターが点滅していることに気づいた紡絆は、彼を見ながら呟く。
「助けを、求めているのか……?」
『………』
無数の宇宙の中では、間違えれば二度と戻ってくることは叶わない。
そんな中でも迷わなかったのは、ウルトラマンの導きだろう。
だからこそ、紡絆はこう考えた。
SOS信号なのでは、と。
「俺に出来ること、それは君を見つけること……だから見つけるよ、必ず助け出す。俺も君も、生きて帰るんだ。明日にまた会うために……だから、ウルトラマン。俺を信じてくれ!」
『……---』
「ッ!」
その気持ちに、答えてくれたのか。
ネクサスがゆっくりと頷く。
紡絆は嬉しそうに笑うと、強く手を握りしめて加速する。
目指すはウルトラマンのもと---ではなかった。
(皆さん、力を貸してください……!!)
一筋の光が、ネクサスに向かって、エナジーコアに向かって加速する。
そうして紡絆の体は---
「う、ぐぅ…あ…ガァアアアアアア!?」
凄まじい奔流の嵐。
多くの者から託され、その力を持ってしてもウルトラマンのエネルギーには耐えるのだけで精一杯だった。
人間とウルトラマン。
格が圧倒的に違う。
体内に秘めるエネルギー量など、紡絆に宿ったウルトラマンは並のウルトラマンすらも優に超える。
そんな中で、光の濁流に耐えながら次々と流れてくる、ウィンドウのようなものに目が吸い寄せられる。
(こ、れは……ウルトラマンの、記憶……歴史……!?)
それは、ルーツ。
様々な人物が巨人へ変身し、戦ってきた戦いの歴史。
宇宙のどこか。
どこかの星。
紡絆たちがいる地球とは別の、別次元の地球。
怪獣や宇宙人、スペースビーストとの激闘の日々。
そしてもちろん。紡絆が知っている人物もいた。
『俺は今度こそ守ってみせる……この光で…。それが…俺に与えられた使命だ!』
ひとつ。
赤き力を身に宿した、英雄の姿。
『俺は戦う……!俺は生きる! 生きて、この光を繋ぐ!!』
ふたつ。
青き力をその身に宿し、次へ繋げた青い果実の姿。
『大丈夫、ウルトラマンは負けません』
みっつ。
かつて復讐に囚われ、復讐を乗り越えた者の姿。
『絆---■■■■!』
よっつ。
様々な苦難を乗り越え、青い果実から英雄へと至った姿。
そして。
『駄目だ……ここで墜ちるなんて、駄目だ。俺には守らなきゃならない約束がある。こいつを倒すこと……それが俺の、ラストミッションなんだ!』
約束と家族のために戦った
(これが、歴史。ウルトラマンの……記憶……。どこだ……何処にいる?ダメだ、流れが……頭が痛い……!!)
鼻や耳から血が零れ落ち、目からは血涙が流れ、意識が遠のいていく。
それも当然。
ウルトラマンの記憶。人間は長く生きれても百年だ。
だがウルトラマンはその人間の数百を遥かに凌ぐ。
今紡絆の脳には
(だ、めだ……意識が、薄れる……託されて、ここまで来た、のに……!!)
気がつけば、光の奔流に逆らうことすら難しく、体が戻されていく。
それでも、紡絆は諦めていない。
どこかに存在するはずの、
数分前に決心した決意を、信じてくれたウルトラマンに応えるためにも。
そうして探るように両手を伸ばして、掻き分けるように動かして、胸元のポケットが眩い輝きを放つ。
ポケットから落ちたのは、花の栞。
戦いになる前に、小都音から貰った栞。友奈が作った押し花。
(しおり……?)
『---!』
それを認識した途端、
導かれるように体が動き、中心---エナジーコアの中に眠る、もうひとつの輝き。
(今のはまさか……っ。そこにいるのか、ウルトラマンッ!!)
迷いなく両手を伸ばした紡絆は、その光を握りしめる。
同時に、紡絆の左胸から発せられた
意識が消える寸前---紡絆は確かに
その場に倒れるようにうつ伏せに倒れていた紡絆は、うっすらと目を開ける。
最初に見えたのは、自分の両手だった。
右手にはエボルトラスター。左手には
視認した時には、銀色の光は手に吸い込まれるように消えた。
(届いたのか……ウルトラマンに。でもあの声は、もしかして……)
色々なことがありすぎて、頭の整理がつかないが考えるのは後だと紡絆は頭を振るうと、現状を知るために起き上がると周囲を見渡す。
「ここは……樹海!?まさか、もう終わって……ッ!」
絡み合う木々。
色とりどりな極彩色を放つ異空間。
神樹様が作り出す結界の世界。
唯一違うのは世界の色が
戦闘音も仲間の姿も、敵の姿すら見えないことに世界が終わったのかと焦る紡絆は周囲を忙しなく見渡す。
「大丈夫。終わってないよ」
「……!?」
誰もおらず、自分だけしかいない世界で一人の女の子の声が背後から聞こえる。
その声が
その姿。その顔。その見た目。
それはまるで---
「……ゆ、うな……?」
そう、彼の知る、結城友奈そのもの。瓜二つな容姿だ。
ただ唯一違うのは髪の結び方が彼の知る友奈が左なのに対して目の前の友奈は右側だということ。そして髪から飛びてている短い毛と、身に包む讃州中学では無い別の制服だろう。
「いや……違う。俺の知る友奈じゃない…君は?」
「わぁ、すごい!よく分かったね、私は
「高嶋……?」
高嶋友奈と名乗った女性は紡絆に接近したかと思えば、覗き込むようにして見つめてくる。
聞いた事のない苗字に首を傾げながら、紡絆は距離感の近い彼女から逃れるように背中を反っていた。
「あ〜えっと…貴方たちから見れば、初代勇者…って言えば分かるかな?貴方は継受紡絆くん、だよね?」
「初代勇者…!?って、どうして俺の名前を?」
高嶋が言葉を選ぶように口元に手を当て、可愛らしく首を傾げながら確認するように聞くと、紡絆は流石に驚いた。
しかし彼の知る結城友奈とは違うこと。何より自分の名前を知っていることに疑問が浮かぶ。
ただ彼らしいというべきか、警戒心はなかった。
「ずっとここで見てきたからね。それに覚えてない?私、貴方に会ったことあるんだよ」
「会ったこと……もしかして、以前来た時か?」
「正解!あの時はびっくりしちゃった。私と同じようになるところだったから」
「同じ……?」
「そう、同じ」
ただでさえ混乱していた頭がより負荷がかかり、もはや何がなにか分からなくなっていたが、高嶋は神樹様が聳え立つ、紡絆の背後を見ていた。
同じく見れば、変わらずこの世界に存在し続ける神がある。
「私、今は神樹様の一部をやってるんだ。何だか特別だったらしくてね、こうして魂だけになってる。あ、正確には私がそう呼んでるだけだからね!?」
「……そっか」
「はぇ?」
自分自身の知る結城友奈を思い出すような言動に、思わず紡絆が笑うと高嶋は首を傾げる。
「いや、知り合いに本当に似てると思って」
「ああ、結城ちゃんのことだね」
「うん、あまりに似てるから……けど先祖ってわけじゃなさそうだな」
「神様からしたらそう変わらないらしいよ?」
「ウルトラマンのことは分かるけど、流石に神様のことまでは分からないなぁ……」
どちらもどっこいどっこいなはずだが、初めて話すはずの紡絆と高嶋はそうとは思えないほどにあまりに自然だった。
二人揃って、神樹様が見える方を見て高い位置にある太い枝に座って見ている。
「ね、紡絆くん。良かったら聞かせてくれる?貴方たちのことは見てきたけど、やっぱり本人の口から聞きたくて」
「まあ戻り方も分からんないからそれはいいけど……現実の方が心配になる」
「そこは大丈夫。ここと現実は時間の流れが違うんだって。ここだと止まってるみたい」
「じゃあいいか。そうだな、まず勇者部のことなんだけど」
あっさりと信じては、紡絆は次々と思い出を引き出して高嶋に話していく。
多種多様で、個性豊かな勇者部のメンバーのこと。勇者部のこと。やってきた依頼のこと。お役目やスペースビーストとの戦いのこと。過ごしてきた日常の日々---覚えているものを全部、紡絆は話した。
一体どれだけ長い話だったのか、ただ相槌を打って、驚いたり笑ったり、悲しんだりと受け手が様々な反応を見せたのもあっただろう。
もしここが現実であったなら、数時間は話していたはず。
「本当に、いっぱいだ」
「ああ、いっぱいだよ」
多くのことをしてきた。
そしてまた、多くの笑顔を作っては守ってきた。
それはたったの二年だ。
たったの二年でしかない。だとしても濃密で、豊潤で、これからも続く歴史の一部。
「いいなぁ、勇者部。とても楽しそう」
「毎日忙しいけどな」
「ふふ、知ってるよ。紡絆くん、子供に特に大人気だったよね」
「俺は普通にしてるだけだけどなぁ」
「それがいいんじゃないかな。だって、紡絆くんって本能に従って動いてるでしょ?」
「考えるのは苦手だ。それに考える時間があるなら、動いた方がいいだろ?」
「そうかも」
互いに顔を見合せて、ただ笑い合う。
それこそ、一つの日常の風景のように。
「ただ割と怒られるんだよな」
「それは……うん、ごめんね、私も気持ちは分かるから何も言えないかなぁ」
「え?」
「ああ、やっぱり自覚ないんだね……」
「???」
危険性を理解してない紡絆の姿をこうして目の当たりにしたからか、高嶋は苦笑していた。
しかも紡絆本人はやはり疑問符を浮かべまくるだけだ。
「でも、それが紡絆くんのいいところでもあるよ。その変わらない部分は、私も素敵だなって思う」
「そうか?」
「うん!」
「それは素直に嬉しいな。だけど君も同じだ。話して間もないけど、君が優しい心を持ってるのは伝わってくる。その笑顔や在り方にきっと救われた人もいるだろうなって。俺も君のそういった部分はとても良いと思うよ」
「えへへ、そう言われると照れるかも」
可愛らしく笑顔を浮かべた高嶋に、紡絆もまた笑顔を浮かべる。
第三者が居たら逆に恥ずかしくなりそうではあったが、ここには彼女と彼しかいない。
せいぜい神がいるくらいだ。
「さて…本当はこのまま話しててもいいんだけど…悪い。まだ終わってないんだ」
「うん……」
表情を引き締め、改めて現実へ戻る。
そう、世界も戦いも、全て終わった訳では無い。
この戦いを終えたとしても、まだ天の神がいる。ザギがいる。
苦難は続くだろう。
「行くんだよね」
「時間が無いんだ、この世界の時間が動かないとしても、行かなくちゃならないからな」
「そっか……」
分かっていたように言えば、返ってくる言葉は肯定だ。
迷いがまるでない。
「ここに居たら、傷つかなくていいんだよ?苦しいこともないし悩むこともない。それでも行くの?現実は、辛くて厳しくて、痛いよ」
「約束したから、帰るって。託してくれた人たちにも必ず救うって。だから俺は、行かなくちゃならないんだ」
立ち上がった紡絆は、エボルトラスターを見ながら真剣な眼差しを高嶋に向けている。
一方で高嶋は表情を和らげていた。
「だよね、紡絆くんならそう言うと思った。ここで私が行かないでって言っても……行くでしょ?」
「……ああ、俺にしか出来ないことをやるために」
「うん……じゃあ、案内してあげる」
それが今彼女がここにいる理由なのだろう。
手を差し伸べる高嶋を見て、紡絆は僅かに彼女の手と顔に視線を彷徨わせると、そっと握る。
「本当はここに居て欲しかった。たくさん傷ついて、苦しんで……頑張ったね、休んでいいよって慰めてあげたいんだけど…」
「俺が望んだことだよ。君が何か思う必要はない。俺はきっと、この選択をしたんだと思う」
高嶋が手を引いて、紡絆はただそれについて行く。
彼女は紡絆を見てきた、と言っていた。
ならばそれは今までの戦いも、紡絆の知らない過去も、全部見たのだろう。
それこそテレビで番組を見るように。ただフィクションではなく、リアルなものを見てきた。
「今からでも引き返すことは出来るよ。私が貴方を守ってあげられるし、一人には絶対にさせない。だからその選択をしても誰も責めない」
「気持ちは変わらない。今なら分かるんだ。俺はずっと、導かれてきたんだろ?」
「…うん、覚えてないと思うけどね。紡絆くんは特別だし」
徐々に迫っていく。
この世界で、明らかに人以外に、背景に色がある神樹様へ。
どんな言葉を掛けても、揺らぐことはなく。
それが悲しくて、それでも嬉しくて、妙な感情に支配されながら高嶋が立ち止まると、手を離して紡絆へ振り返る。
遠くから見ても大きな神樹様は、今は見上げなければならないほどに近く全体は見えない。
「案内はここまで。その選択に後悔はない?この先に進めば、もう引き返すことも。それにきっと紡絆くんは---」
その先の言葉を、察していたのだろう。
言わせないというように紡絆は首を横に振って言葉を重ねることで止める。
「俺がここまで来れたのはみんなの力だけど、君の、君たちの力でもある。君たちが繋いでくれたバトンが未来に。
「紡絆くん……」
そう、高嶋友奈は自身を初代勇者と言った。
もし彼女たちが居なければ、紡絆たちの今いる未来は存在していない。
それに紡絆は『継承者』なのだ。それがウルトラマンの光の継承者だとしても、継ぐものである。
「…でも、君はどうなるんだ?」
「変わらないよ、私はここで見守るだけ。本当は紡絆くんと話すのは、私が止めたらダメだから…あんまり良くないことなんだけどね、神様ってほら気まぐれだから」
「……そっか。もう話せないのか?」
「どうだろ…そこは私も分からないや…。また話せたら嬉しいけど、多分会えない。寂しくはなるけど、それは仕方がないことなんだ」
この空間のことを全く知らない紡絆には、また目の前の高嶋友奈という少女と会えるかなんて分からない。
彼女が分からなければ分からない。
彼女がそう言うなら、そうなのだろうと思うしかない。
唯一紡絆でも分かるのは、この世界において彼女以外誰もいないということだ。
それは少し、寂しいだろう。
「友奈」
「どうかした?」
ここに来て紡絆が初めて名前を呼ぶと、まとまってないのか俯いて考える素振りをする。
数秒かもしれないし数分かもしれない。
それほど経った時、決心したかのように顔を上げると口を開く。
「決めたことがある」
「決めたこと?」
「ああ、未来がどうなるかなんて分からない。でも俺はやっぱり自分の気持ちに嘘が付けないらしい」
「……?」
「約束するよ」
言葉の意味がよく分からず、首を傾げる高嶋に紡絆は彼女の手を包むようにして取る。
突然のことに僅かに驚いたように目を見開くと、彼女は紡絆を見た。
その瞳はこの世界にきても、未だに金色で吸い込まれるほどに綺麗だった。
「いつか君を、君たちを必ず迎えに来る。遠い未来になるかもしれないけど、絶対に。だからその時は、たくさん話そう。次はたくさん一緒に過ごそう。色んなことして、色んなところに行って、たくさんの思い出を作ろう」
「---それは……難しいよ?私は神樹様の一部になってるから生きてるだけ。ここから出ることは出来ないし、それに私たちは……」
「過去は変えることは出来ない。それは分かってる…けど例え不可能でも可能にする!それがウルトラマンだから!」
いつまでも変わらない笑顔で、そう宣言して見せた。
確証も、出来る保証もないのに。可能なのでは、と思えるような不思議な力を感じさせる。
継受紡絆という人間の強さたる部分。
頭の良さでも実力でも何でもなく、その心。
前向きに諦めないという強さ。受け継ぐ度に強くなるそれは、測り切ることが出来ない。
その眩しさが、彼が持つ一番の強さなのだ。
「…ふふ。本当に、見てきた通り。ヒーローみたいにかっこいいなぁ。じゃあ、信じて待ってようかな。いつかその時が訪れること。紡絆くんなら不思議と出来ちゃいそうだもん」
「ヒーローか…そうだな、頑張る。だからひとまずは---家族と人間を、世界を救ってくるよ」
この約束がいつか、巡り合わせるものと信じて。絆を結んでくれると信じて。
紡絆は手を離し、高嶋の横を通り過ぎると神樹様の方へ歩いていく。
一瞬、高嶋は離れた手に目をやっていたが、直ぐに振り向くと叫ぶ。
「うん、頑張って!紡絆くんならきっと、大丈夫!だって紡絆くんは
応援するような励ますような声援を背に、紡絆は手を挙げると、振り向くことなく神樹様の中へ入っていく。
残された高嶋は最後に握られた手を見て、何処か嬉しそうに、恥ずかしそうに息を吐くと、ふと視線を逸らした。
そこには
花吹雪が消えたとき、そこにはもう彼女はいなかった。
そうして神樹様の中へ入った紡絆は肩に乗った烏の存在には気づかないまま、次々と体に何かが巻きついていく。
それに一切抵抗はせず。
ただ気づいたように左胸を服越しに握りしめる。
(そうか……分かった気がする……。俺がここに来た理由。俺が生きている理由。俺が特別って言われた理由も。それはきっと---)
エボルトラスターから光が発せられる中、意識が途切れる直前に紡絆は何かを確信しながら、その光に身を委ねた---
エナジーコアの中へエボルトラスターが放り込まれても、変化は起きなかった。
ネクサスは変わらず闇の蔦に包まれたまま、手遅れになりつつある。
だが知っている。
メフィストも、スペースビーストも。バーテックスも。究極へ至ったのは知能もだ。
必ず何かが起きる、と。
『神樹を破壊しろ…!』
故に。
その後の行動はあまりにも迅速だった。
メフィストの指示に従うように、イシュムーアが口から再び高熱集める。赤い火から、青い火へ。
さっき、何とか打ち砕けた力を再び放とうとしている。
そしてメフィストはトドメを刺すようためか、ネクサスの元へ向かっていた。
「くっ…友奈ちゃん……!」
全力で力を使い果たして攻撃を受けたのだ。
友奈は立ち上がるどころか意識はまだなく、復帰は難しいだろう。
しかし敵は待ってはくれない。
収束の済んだイシュムーアがその熱線を神樹に向かって解き放つ。
「やばい!神樹様を守るわよ!壊させるわけにはいかない!」
「当然!防ぎ切る!」
メフィストの動きも気になるが、それよりもやばいのは世界を保つ神樹の破壊だ。
超高熱と言えるほどに熱量を持つ光線を防ぐべく、風も夏凜も樹も、友奈が心配な東郷も咄嗟に神樹様とイシュムーアの間に入り込み、熱線を受け止める。
「っ……!」
「なにっ…んの、威力…ッ!?」
しかしその力は、四人の満開を上回る威力。
防ぐつもりのはずが、ぶつかりあった途端に押されていく。
必死に堪える勇者たちと、有り得ないと知りながらもしかしたら、という
ウルトラマンを歯にかけないほどの強さを持ちながらも『究極』の敵は恐れている。何度も経験してきた『未知』への焦り。
だからこその、本気。
「耐えきれ---ッ!?」
そして容赦なく。
熱線が四人の勇者を蹴散らし、爆発と共に満開が解除される。
空中に浮くことが出来ない勇者たちは地面へ墜落するが、あくまで満開のダメージ許容範囲を超えただけなのだろう。
「神樹様は!?」
即座に顔を上げると、そこには熱線はなかった。
満開の力が切れた時に起きた爆発が、何とか防ぎ切ることに成功したのだろう。
だが逆に---
次々とイシュムーアの頭上に浮かぶのは炎球。それこそ、太陽のような炎。
「な……に、あれ……」
誰の声だったか、圧倒的すぎる強さ。圧倒的な絶望。
これが本気なのだろう。
ウルトラマン相手にすら、さっきの勇者たちにすら、イシュムーアは力を残していた。余力を残し、切り札は温存していた。
そう、この戦いは勝つか負けるなんかじゃない。
初めから
そしてまた、メフィストも同様だった。
『これで終幕だ……!!』
完全に、確実にトドメを刺す方を選んだのだろう。
メフィストクローを展開したメフィストがネクサスのエナジーコアを狙うために腰部に跨るように両足を開いて立つと、大きく腕を引き絞る。
さらにイシュムーアからは見た目とは裏腹に炎球が高速で放たれる。
「や……やめろぉおおおおおおお!」
それは、この場の誰もが思ったことだろう。
終焉の地。
終焉とは命の終わりを意味する。
地とは大地。
文字通り、終わりの地を意味する場所。
その場所にてメフィストはクローを全力で突き出し、その威力を象徴するかのようにネクサスを拘束する藤壺のような山が崩れ、その際に発生した土煙が姿を覆い隠し、世界を守護する神樹様が炎に呑まれ---
そう、一人、いやウルトラマンを含め二人の命と最後の砦である神の命が、あっさりと終わりを告げた---
「そ、んな……つむ、ぎくん……!いや、そんなの……いやっ……!」
「嘘、でしょ……こんなにやって……頑張っても、 ここまでなの……?終わりなの……!?」
「くそ、クソッ!私たちは、守れなかったってこと……?」
「っ…!ッ………!!」
それを証明するかのように、樹海となった世界にヒビが入り、炎に焼かれながら神樹様が折れ、崩れていく。
空間を保つ力も長くないだろう。神は殺され、希望は消し去られた。
どれだけ人間が諦めが悪かったとしても、抗ったとしても、定められた運命はひっくり返すことなど出来るはずもない。既に確定した未来は、戻すことなど出来ないのだ。
所詮人間はちっぽけな存在でしかなく、世界は終わりを告げる。
人間の足掻きなど、取るに足らないものだった。
それだけだ。
希望が打ち砕かれたとき、誰もが浮かべるもの。
それは絶望なのだから。
「世界が、終わる……」
言葉通り、世界が揺れる。
数秒もない。世界全体にヒビが入り込み、狭間には虚無だけが広がる。
すなわち。
勇者の、敗北。
ウルトラマンは負け、地の神は天の神に焼き払われ滅ぼされた。
どんな思いを抱こうとも、現実は変わることがない。
守りきれなかった後悔。不甲斐なさ。怒り。無力感。色んな感情が流れ込むようにやってきながら、戦意は折れる。
いや、正確には世界の終わりを理解してしまった。本当の意味で、終わり。
抗う意思すら折られ、ただ負けたという事実だけが残る。
そう、物語は希望に満ちるわけでもない。勇者だから勝てるなんてこともない。
時に悪が打ち勝つことだってある。この世界はそうだっただけだろう。
最後まで健闘した。頑張った。ただ闇が強く、絶望があまりにも深かっただけ。
褒められることはあれど責められることは無い。
そうして、勇者の心は折られ、世界は救済されることなく崩壊する。
そこにはもう、何も残らない。人も、神も、世界も。全部が終わり。
こうして、五人の勇者と光の巨人が紡ぐはずだった物語は
『諦めるな!!』
その声は、誰の声だったか。
決して大きな声では無い。
けれど崩壊する世界に響き渡るその声は、何処までも木霊したかのように誰の耳にも届き、その心に
さあ、顔を上げよ。希望を宿し、勇気を出せ。
物語はまだ終わっていない。
なぜなら、相手が絶対であるならば、絶望の中に残されるものがあるように。
この世界にはまだ---絶対的な
『ッ!?な、なに……ッ!?貴様っ、離せッ!!』
遥か先。
崩壊せんとする世界が
瞳は変わらず色はなく。
されどその力は、メフィストがどれだけ引っ張ろうとも蹴ろうともビクともしない。
その姿を、その光を。
誰もが知っている。
どれだけ絶望が深く、どれだけ希望が打ち砕かれ、可能性が消されようとも。
最後まで諦めず、どんなときも立ち上がり、誰かを守るために立ち向かうその姿が、その存在こそが---誰かの希望となる。
だからこそ、人々は
---
『ぐううっ……!?』
ネクサスを拘束していた蔦が崩れ、光の如く黒煙に包まれた空へとネクサスが飛び出した。
力は無いはずなのに、エナジーコアは止まっているのに。
エネルギーもないはずなのに。
何故かネクサスが動き、メフィストすら抵抗できない強さを引き出している。
そんな力は一体、何処から生まれているのか。
ただそんな中、紡絆は感じる。
己の近くにいる存在を。
(ウルトラマン……俺、ずっと悩んでたんだ。どうして俺に光が宿ったのか。なんで俺だったのか。俺が得た光の意味を、ただ考えていた)
『………』
紡絆は分からなかった。
力の意味は知った。戦う理由も見つけた。光の力の意味を教わった。責任感を持った。心構えを身につけた。諦めない強さを得た。
(でもさ結局、見つからなかったんだ。情けないよな…散々考えて、今になっても見つけられないなんて。答えは見つけられなかった。でも…ひとつだけ分かったことがある)
『………?』
そう、光を得た意味だけは見つけられなかった。だけど、別のことは分かった。
それが何なのか、ネクサスは分からない。
だからこそ、紡絆は伝える。
言葉で伝えることが大切だから。
(君はずっと、俺を守ってくれてたんだろ?俺から離れても、君はずっと俺を見守って、俺をいつも護ってくれてた。君と再び一体化する時まで、した時もずっと)
何故紡絆が何度も変身が解除されたのに無事だったのか。
何故今まで適能者として死ぬ攻撃を受けても生きていられたのか。
それは全部、ウルトラマンのお陰だった。
変身の強制解除はウルトラマンが紡絆に出来る、精一杯のアシストだったのだろう。
『---』
(守れなかった?違う…君が居なきゃ俺は立ち上がれなかった。君が居てくれたから俺は戦えた。君がいてくれたから、多くのものを守れた。たくさんの笑顔を、君と一緒だったから守れた。君がずっと俺を見守ってくれたから。君がずっと俺の傍に居てくれたから。だから俺は---)
高く。高く。もっと高く。
黒煙を超え、闇を超え、暗闇が照らされる。
音を、雲を、星ですらも。
一人じゃきっと堕ちてしまうけれど。たどり着けないけれども。
(飛べる!この空を!どんな闇の中でも、どんな場所でも!どこまでだって!君と一緒なら、俺はまだ飛べる---ッ!!)
---そう、まだ飛べる遥かなるこの空へと。
何処までも高く。その輝きの果てまで。
どこまでも続く、希望の光。
限りなく続いていくはるかな
『例え世界が終わりを告げても、決して諦めない!』
メフィストを掴む手が離れ、凄まじい速度で上昇するネクサスの風圧に弾かれる。
彼の視線の先には太陽と星があって、力強く振り向く。
『果たすべき約束がある!守りたい人たちがいる!守りたい世界がある!俺は……
そうして星と太陽を背に。晴れ渡る空に。
崩れていく神樹様から放たれた
『
『ッ!?』
瞬間。
ネクサスの瞳に光が灯され、エナジーコアが
ネクサスの全身を覆うほどの輝き。いや世界全体を覆う光の波。
その光が、黒煙に包まれた樹海の世界に光を復活させる。
アンファンスだからこそ持つ、奇跡の力---『コアファイナル』。
黄金色の輝きに混じるように、虹色の光が混ざり合う。
それはとても、誰もが見ても分かるほどに美しく綺麗で、全てを魅了する輝き。
眩い光が、少しずつネクサスの姿を作り出していく。
銀色の肉体を持つネクサス。
その体は銀から金へ。
右脚は金に対し、左脚は金色に草木を連想させる
右腕には金色のアームドネクサス。両腕の菱形のクリスタルは空色に染まっている。
そしてネクサスをたらしめるエナジーコア、その半球体のコアゲージは青ではなく黄緑色に変化し、赤と青のクリスタルが左右に生まれ、コアゲージと三角を描くように存在する。
さらにエナジーコアを囲むように一種ずつ赤、青、銀、紫色の順に細いラインが走っていた。
両肩の鎧の肩当てのような板状アーマーは金と銀の半々に分かれ、瞳は変わらず白光色。
その姿こそ、本来の
誰もが『光』と例える継受紡絆に相応しい『最強』のネクサスの形態。
新たな姿、未知の形態。
その形態の真の力---
『ハアァァ……ハアッ!』
黄緑色のパーツが装着されている左腕のアームドネクサスから、光が解き放たれる。
その光は太陽のように浮かび上がり、星のような輝きを放ち、
誰も回転したわけでも、体が動いてる訳でもない。
ただ世界だけが回っている。
「これは……?」
「散華した部分が……治っていく?」
否。
散華した勇者の体が戻り、消費した満開のゲージすら回復する。
世界を守る空間のヒビがなくなっていき、何より折れたはずの神樹が戻っていく。
それはつまり---
「まさか…紡絆くんが……時間を、巻き戻しているというの……?」
それは奇跡の力。
破壊されたはずの神樹が嘘のように戻り、
そう、有り得ないことを成す---ウルトラの奇跡。
今ここに、
『なんだ……なんなんだその力は!?その姿は!?』
理解の追いつかない能力。
破壊したはずの神樹も。エネルギーを失ったウルトラマンも。失ったはずの勇者の身体機能も。
何もかもが、戻っている。
理屈では説明出来ない力。
あまりにも不可解な力に、
『守りたいものを守り抜き、未来を切り拓く---
そんなメフィストにネクサスは---いや紡絆はそう返した。
そう、この力は、この姿は紡絆だけの力ではない。
諦めないみんなの心が引き起こした、奇跡なのだから。
だからこそ、光は応えた。
絶望に抗い、諦めない意志と絆によって彼が得た姿---その輝きは、誰にも消すことは叶わない。
こうして、
○継受紡絆/ウルトラマンネクサス
光の継承者。
ウルトラマンネクサスという作品のキャッチコピーは『受け継がれる魂の絆』。
継受紡絆という名前は『受け継ぐ』。『紡がれる』。『絆』の三つの意味がある。
それを本編の内容を入れ込んでまとめてしまえば、『(遥か昔から)紡がれてきた(全ての)絆を受け継ぐもの』。
故に彼は『(この世界において)最初で(彼で終わりという意味で)最後の継承者』なのである。
ある意味、生まれながらに『光の継承者』と言えるだろう。
○ウルトラマンネクサス
実は本作のヒロイン
実は作中での強制解除は紡絆くんを助けるために彼がやっていた。
繋がりが絶たれ、相変わらずエナジーコアが点滅するレベルでエネルギーがなかったので元凶の手で多次元宇宙に強制的に飛ばされたところを紡絆くんが見つけ出し、彼の中に眠り続ける『本来の姿』である『神秘の巨人』の力の一部が譲渡された。
○黄金色のジュネッス(名称不明。決めてないから誰か助けて)
継受紡絆の適能者としての力が完全に解放された真の(オリジナル)形態。
当然ながら彼に一番適した力を持ち、紡絆くんが望んだウルトラマンと『共にある』為の形態でもある。
いわゆる最強形態に位置する姿。
全体的に金、銀、赤、青、黄緑をメインに。黒、空色、紫、桜色の計九色が入っている。
その身に内包する力は、『奇跡』『絆』『光』の三つの力であり、名前の由来と同じ数だったり。
が、これらは勇者たちの諦めない意志、紡いだ想いと絆。
さらに『歴代の適能者』たちと『神秘の巨人』の力の一部。『神樹様』の力。
と言った感じでバグにバグを重ねて起きた未知の形態。力の比率は紡絆くん十割、神秘の巨人二割、神樹様八割。
が、実はこの形態は継受紡絆という人間に■■■を直接■■■形態であり、一種の■■■。■■■の応用の力。
時間操作は所詮は力の一端の過ぎず、この形態のみ喋ることも可能。
ただし、その力は『人』が持つにはあまりにも絶大すぎるため、強大な力には当然ながら……。
ちなみに歴代の適能者による絆バフがあるので今は無限のエネルギーがあるが、それがなければ『今の』紡絆くんが万全だろうと瀕死だろうとこの形態を維持するには30秒が限界(参考程度にコスモスのエクリプスが約1分なのでその半分)
色が九色構成な理由もある。
○高嶋友奈
初代勇者の一人であり、神樹様の一部となっている者。
何気に『この時代』の彼女はウルトラマンを除いて彼の家族や友人たちよりも一番紡絆くんを知ってたりする。
本人曰く別に結城友奈の先祖ってわけではないとか。
何気に告白紛いというか(紡絆くんはそんなつもりないけど)完全に
○天海小都音
実は最初に樹に夢を与えた人物。
その約束が闇に囚われた彼女の中にも強く残っていたのだろう。
彼女の意識は『まだ』存在する。
○歴代の継承者
ウルトラマンの記憶に残留する思念のような存在。
彼らの光は全て紡絆くんへと受け継がれたので、もう姿を現すことはないだろう。
セリフにはないだけで、他の適能者も実は紡絆くんに色んなことを伝えたりした。
○ダークザギ
本作においての黒幕。
何かを企んでいるようだが、紡絆くんたちが抗うことが彼の利になるらしい。
力は取り戻してるのか、姿自体は既に暗黒破壊神。
なお紡絆くんの正体とやらに気づいた模様。
○勇者部五箇条
順番は原典と同じ。今回変えたのはそれぞれに合わせたため。
○掲示板
紡絆くんが闇に囚われなかったのは一人ではなく、彼らがいたから。彼らの声が届いていたから。
新たな力もこの世界にいない彼らがいなければ実現しなかっただろう。
○花の栞
小都音が友奈にお願いし、小都音から紡絆へ渡されたもの。
その花の名とは『
花言葉は『望みの達成(成就)』『希望』『あなたとの約束』等など。