【悲報】気がつけば目の前に知らない遺跡があるんですが…【なにこれ】   作:絆蛙

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ということで、ようやく一章終わりです。
約二年間、長い時間をかけてここまで来れました。それもこれも感想をくださった方や高評価を入れてくださった方、お気に入り登録してくれた方々のお陰です。もしそれらがなければ作者は失踪してたかもしれません。
完結までは残る三章となりますが、多分この章よりかは長くならないと思います。無理矢理50話に収めましたけど一万文字で単純計算したら126話くらいは行ってますからね、この作品。アホか?
何はともあれ、最後の輝きの章をご覧下さいませ。ちなみにこの話においてのある場面に答えは存在しませんし出しません。どっちかは皆さんの解釈にお任せします、自分がいいな、こっちだったら素敵だなと思った方で考えて頂ければ…。
では、どうぞ!
あっ、それとオリジナル形態と技に関しては次の章が終わるまでには決定しときます。頑張れ、未来の俺。





「いつも心に太陽を」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

◆◆◆

 

 第 50 話 

 

 

いつも心に太陽を

 

 

あなたに微笑む

山桜

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

あれから数日。

戦いは終わった。

外の世界の惨状を考えれば終わったとは言えないが、今代の勇者たちの役目は終わったと言えるだろう。

あの戦いは現実世界に大きな影響を与えた。

事故だったり火事だったり、土砂崩れや山火事---厄災といえるものが複数発生するほどの影響。

幸い怪我人や重傷者はいても死者は居らず、()()()()後遺症も命に危険があるほどの者はいなかったという。

そして病院に運ばれた小都音は目覚めることがない。ただ命に別状もなければ体に何か起きたわけでもないようで、後は彼女自身に寄るだろう。

東郷も風も樹も夏凜も、満開で失ったはずの後遺症が治りつつあり---ただ一人。友奈だけが治らなかった。

人形のように動かなくなって、何の受け答えもしなくて、魂が抜け落ちてしまったみたいに無反応で、焦点が全く合わない目だけが開いている。

守ったはずで、帰ってくるはずの日常は帰ってこなかった。

それから、もう一人。

あの場で、確かに戦いを終わらせた張本人たちであるウルトラマンと一人の少年は、一度も姿を見せていない---

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

一室の病室に、一人の少女が眠っている。

換気のために開かれた窓から流れてくる(かぜ)が青い髪を小さく揺らす。

もう夏も終わり、秋に入りつつある。

彼女は未だに目覚めず、眠り姫のように眠りについたまま。

 

「こ…とねちゃん……」

 

ようやく。やっと、呼んであげられた。

完全に治ったわけじゃないからか、名前を呼ぶのすらたどたどしさを感じさせるも、眠る少女の名を呼んだ本人---樹は動かない小都音の手にそっと自身の手を乗せた。

 

「わ…わた、し……や、っと…喋れる、ように……なっ、たよ…?」

 

本当はもっと早くに、声が出てたら変わった結末があったのかもしれない。

樹自身、例えそれは無理でもあの戦いの時に、名前を呼んであげたかった。

それでも無理で、ようやく呼ぶことが出来て、報告ができた。

 

「な…おっ、たら……れんしゅう、しないと…だよ、ね」

 

夢を忘れたことは一度もない。

少しずつだが治ってることを知ったとき、嬉しかった。

夢を貰って、大切な先輩に後押しされたものを再び追えるようになったのだから。

でも、樹にとって本当の意味で喜べることは無かった。

兄であり、ウルトラマンである紡絆のお陰で小都音の命は救われた---でもそれっきり、目を覚まさない。

 

「い…っしょに……歌う、って…や、くそく……だ、よ」

 

反応のないと分かっていても声を掛けて、小都音の手を両手で包み込むと、悲しい表情でも不安な表情でもなく、曇りのない笑顔を向ける。

辛くても、見せる表情は笑顔の方が、いいと思ったから。

 

「ま、た……来る、ね」

 

毎日訪れて、帰って、また来て、それの繰り返し。

数日で目覚める保証はなく、それでも樹は通い続ける。

本来来るべき人物が来れない分も自分がと。

一人にはさせないように---

 

 

 

 

 

 

 

 

 

満開の代償で松杖をつかないと歩けない夏凜は風と共に居た。

海を眺めて、沈む太陽を見ている。

時間を戻されたお陰で失ったのはひとつで、全員そこまで影響がない箇所だった。

もしかしたら、それも『奇跡』の力を使ったのかもしれないが。

朗報と言えば、治りかけていることだけでは無い。

大赦からのメールで“当分の間、襲撃はない。精霊を失った貴女は勇者の力も失っている。学生として生活を続けなさい”と送られてきていた。

 

「大赦の言っている通り、変身も出来なくなってるし大赦から連絡は一方通行」

「欠損したものも戻ってきてるしアタシたちは神樹様に開放してもらえたってことかもね」

「もう必要ないってことか……東郷も足の治癒が始まって、記憶も少しずつ戻ってきてるらしいわ。そっちは、樹はどうなのよ?」

「少しずつだけど、喋れるようになって…今は小都音のところに毎日通ってる」

「そう……小都音も、目を覚まさないのね」

「………」

 

利用され、運命に翻弄され、黒幕の手のひらで転がされるしかなかった。

そんな小都音をようやく救い出して---これか。

悲痛な面持ちを浮かべ、どうにもならない現状に二人はため息を吐く。

 

「こういうとき、アイツならなんて言うんでしょうね……」

 

あの戦い、最後の最後で自ら太陽の中へ飛び込んだネクサスは、樹海が解けてもどこにもいなかった。

生きているなら神樹様が現実世界へ戻すだろう。なのに、一向に姿を現さない。

 

「さぁ……ただ、こんな顔をしてると間違いなくバカなことをして、アタシらを励まして、笑顔を浮かべさせると思うけど」

「そうね、やりかねないわ…本当に」

 

不思議とその場面は、浮かんでくる。

相当に毒されてきたらしい、と互いに苦笑する。

認めない、認める訳にはいかないだろう。

必ず帰ってくる、そう信じるしかないのだから。

 

「後は---あの子ね」

 

満開の代償が治って来ていても未だに戻ってこない、結城友奈という少女----

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

毎日毎日、動けるようになって東郷は友奈の病室に通っていた。

何の反応も示さない彼女を見る度、東郷は締め付けられるような痛みが走る。

それでも泣く訳にはいかなくて、時間だけが過ぎていく。

更に数日が経ったその日の夕方、友奈のお見舞いに来た東郷は病室から友奈を車椅子に乗せて中庭に連れ出し、学校で起きた出来事等を語って聞かせる。

途中で風と夏凜がやってきて、樹は小都音の病室に行っていたのか遅れてやってくる。

遅れてやってきた樹がお手製の部員を模した押し花を手渡したり話し掛けたりするが……やはり、友奈は反応を返さない。

 

「私は……私が大切な友達を、大切な人を犠牲に……ッ」

「言うな!誰も、誰も悪くないのよ…二人なら、友奈と紡絆なら…絶対にそう言うに決まってる」

 

そこに笑顔はない。

誰もが悲痛な面持ちで、誰の心にも陰が生まれる。

数日経っても帰って来ない。数日経っても意識が回復しない。数日経っても反応が返ってこない。

失ったものはあまりに多くて、残酷にも時は進み続ける---。

 

 

 

結局友奈も回復しないまま、そろそろ文化祭が近づいてきた。

目を逸らすわけではないが、文化祭のことも真剣に話し合わなければならない

 

「さて、文化祭も近いわ。今後のことなんだけど、配役は……」

「…あの。友奈ちゃんと紡絆くんの役はそのままにしておきたいです」

 

挙手して意見を伝える東郷。

今回の文化祭、台本は今までとは大きく異なる。今までは勇者と魔王だったが、完成した台本には勇者が一人ではなく二人に変わっている。

その役が友奈と紡絆であり、現状主役の二人が抜けている状態。

小都音は裏方だが、それでも文化祭は全員揃うからこそ意味がある。なにより裏方だって重要な役割だ。

ただ現実的に考えるならさっさと変えてしまうのがいいのだが---

 

「東郷の言う通りよ。二人のこと割り切るの、私も嫌だ……」

「アタシだって、割り切ってなんか……」

「お…お芝居……練習を…続けましょう……。友奈さんと紡絆先輩なら……きっと…」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ただ時間が過ぎて、過ぎて、ひたすらに過ぎていく。

風の目も戻って、夏凜の脚も治って、樹の声も戻って、東郷の脚も戻った。

小都音は未だ目覚める予兆すらなく、友奈も同じく変化は無い。

そしてウルトラマンと紡絆は、やはり帰ってこない。

それでも、各々日常へと帰っている。

風は家事をして、樹は歌の練習をして、夏凛は鍛錬して、東郷は毎日毎日通っては文化祭の台本を読んで、みんなで文化祭の衣装や小道具を準備して。

今日も今日とて中庭のベンチに座りながら、東郷は隣で台本を読む。

 

「---勇者は傷ついても傷ついても決して諦めませんでした」

 

月日が経っても変わらない。

ただそれでも、東郷は風作の文化祭の台本を読む。

タイトルは、明日の勇者へ。

 

「全ての人が諦めてしまったら、それこそ世界が闇に閉ざされてしまうからです」

 

すっかり夏の暑さは過ぎ去って、秋の涼しさへと変わっていっている。

何度読み聞かせたのか東郷は分からない。

何度だって、何度も読み続ける。

 

「勇者は自分がくじけないことが皆を励ますのだと信じていました。そんな勇者をバカにする者も居ましたが、勇者は明るく笑っていました」

 

押し花の数はひとつから増えて、三つに増えた。

いつもいつも面会時間ギリギリまで傍に居て、友奈の傍に居続けた。

それが、約束だから。

 

「意味がないことだと言う者もいましたが、それでも、勇者はへこたれず、どんな時だって笑顔を浮かべ続けました」

 

ずっと、そうしていた。例え反応が無くても、いつか、きっといつかはと、そう思って繰り返した。

あの時救われた言葉を、大切な人が残してくれた言葉を覚えているから。みんな、最後の言葉も。最後の戦いを、覚えているから。

信じたからこそ起きた、あの奇跡。

だから信じ続けると、皆で決めた。

そうすれば今度もまた、必ず。必ず奇跡が起きるはず、だと。

 

「皆が次々と魔王に屈し、気がつけば勇者は一人ぼっちでした。勇者が一人ぼっちであることを誰も知りませんでした。一人ぼっちになっても、それでも勇者は……」

 

気付けば、木々が紅く色づき始めていた。

押し花の数も、5枚になった。勇者を司っていたそれぞれの花。

微笑みの山桜。愛情の絆である朝顔、輝く心のオキザリス、心の痛みを判る鳴子百合、情熱の躑躅。

その上に、東郷は()()()()()()と海のペンダントをひとつ乗せた。

かつて、継受紡絆という人間ではなく遡月陽灯であった彼が先代勇者へ渡し、東郷の元へ差し出されたように。

今度は、東郷から友奈へ。

勇者ではない二人の分は、別のもので代用したのだろう。星が好きな彼の、彼が作ったもの。美しさと可憐さを備えた海を思わせる彼の妹のもの。

そうしてまた、何時ものように読み聞かせる。

 

「それでも勇者は、戦うことを決して諦めませんでした。諦めない限り、希望が終わることは……ない、から……です……っ」

 

何度繰り返したか。

数え切れないほど待ち続けた。数え切れないほど繰り返した。

その物語は、まるで自分たちのようで。諦めなかった、彼と彼女を表しているようで。

それでも奇跡は起こらず。

一人は眠ったまま。一人は反応しない。一人---二人は、消えたまま姿を現さなかった。

 

『---約束だッ!』

『私はずっと東郷さんと一緒にいる。そうしたら忘れないでしょ?』

 

そう言ってくれた光という希望を失って、勇者という希望を失って。

平和の代価以上に、大切なものが消えてしまって。

待ち続けて、待ち続けて、そうして---

 

「何を失っても……それでも…それでも私は……っ! 大切な人も、大切な友達も、失いたく……ないっ……!」

 

我慢して、堪えて、耐えて。

限界を迎えたものが、抑えていた想いも、感情も、全部が溢れ出す。

 

「いやだ……いやだよ…!! 寂しくても…! 辛くても…! ずっと……! 近くにいるって……ずっと一緒にいてくれるって…言ったじゃない………っ!!」

 

弱音が溢れて、涙が零れて、悲痛な声を挙げても慰めてくれる者はいない。

普段であれば彼女を慰める人物は必ず二人居た。

その一人が隣にいても、友奈が隣に居ても、泣き叫ぶ東郷に何かをすることは叶わず。

友奈には決して届かない---

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

上下が灰色の雲に覆われた不思議な空間の中に、桜色の、明らかに肉体ではない体の友奈は居た。どこか夢心地でふわふわとした意識でいる友奈には、どれだけの間その場所に居るのか分からなかった。

分かるのはあの時、最後の戦いで御魂に触れて、気がつけばこの空間にいた。

何も無く、誰もいない。

今の自分が何なのかも分からなくて、彷徨っていると烏が居て、神世紀元年の勇者---すなわち、初代勇者から言葉を送られた。

ただ『生きろ』と。『生きてくれ』と。

大切な人たちのことを思い出して、みんなに会いたいと願って動いた。

戻りたいと、悲しませたくないと動き続けて。

どれだけ時間が経ったのか、どれだけ動いたのか。

 

(私、どうすればいいんだろう…)

 

行き場も分からず。ただ動いていた友奈は無限にでも続いてるような空間にどうすればいいのか分からなくなっていた。

時折聞こえてきたみんなの声は一筋の希望で、それでも何処にいるか分からなくて、手を伸ばしても、声を挙げても届かなかった。

そうこうしているうちに、友奈の心が軋む音を鳴らす。

 

(東郷さん、泣いてる……)

 

ここに居るんだと言っても届かない。

泣いてる彼女に手を伸ばしても、慰めたいと思っても何も出来ない。

ただ何も出来ないという事実に、戻れないという現実に打ちしがれて、ただそこで体育座りの状態で膝に顔を埋めてじっとしていることしか出来ない。

大切な友達が泣いているのに、何も言ってあげられなくて、心が折れたように、諦めたように俯いて---

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『いやだ……いやだよ…!! 寂しくても…! 辛くても…! ずっと……! 近くにいるって……ずっと一緒にいてくれるって…言ったじゃない………っ!!』

 

鮮明に聞こえたその言葉に、友奈は奮起するように顔を上げる。

大事なことを、忘れていた。

それを、今思い出した。

確かに言ったのだ。

 

(---そうだ……。約束した。大切な友達に『約束』したんだ。『誓い』を立てたんだ。もう諦めないって……!勇者は泣いてる友達を放っておいたりしない。彼なら…紡絆くんなら絶対にそんなことしない…!)

 

瞳に力が宿る。

確かな意思が宿る。

戻り方なんて分からない。帰り方なんて分からない。どうやったらこの世界から出られるかなんて分からない。

分からない、分からないけれど。

 

(東郷さんの元に。みんなのところに!)

 

きっと誰かが()()()()()()()()

声がする。

だったらもう、それでいい。友奈にとって、それだけで十分なのだ。

分からない。分からないなら分からないなりに。勇者なら勇者なりに。根勇気と根性だけで---進む。

進む。

進め。

進め。

進め。

進め。

進め。

進め。

進め---!

 

(絶対に、帰るんだッ!!)

 

烏が飛び立つ。

灰色の空に烏が飛んで。

その世界で。

何も無かったはずの世界で。

何も無いはずの世界で。

眩い輝きが、発せられる。

友奈の目の前に、Y字の赤い発光体が生まれ、そこから徐々に大きな人型を形成していく。

人間がちっぽけに見えるほどの大きさ。ウルトラマンがちっぽけに見えるほどの大きさ。バーテックスや闇の巨人すら。

今まで見てきた全てを凌ぐほどに巨大な光。

銀の体。銀の輝き。白銀の光。

それはまるで---

 

「……神、様?」

 

背中に()()()()()()()()()()()()光の巨人。

あまりに神秘的で。あまりに美しく。神々しく。

思わず、そう思い込んだ友奈が瞬きすると、その姿は彼女の知る()()()()()()だった。

銀色の肉体を持つ、ウルトラマンネクサス・アンファンス。

Y字型の器官であるエナジーコアは、輝きを完全に取り戻して点滅などしていない。

 

「違う…。気のせい…?ううん、そんなことより、来てくれたんだ---」

 

刹那の出来事で、目を擦って見てみれば姿は何も変わらない。

彼女がよく知るウルトラマンそのもので、ただ幻視したのだと、幻覚だと判断した。

何故幻として見えたウルトラマンを神だと思ったのかまでは友奈自身にも分からなかったが、今はそんなことよりも、帰れないという事実よりも。

友奈はやっと会えて。何日も会ってないような感覚があったからこそ。

変わらない在り方に。困ったとき、一番に来てくれる彼に。どうにもならない時に、必ず助けに来てくれる彼に。

笑顔でその名前を呼んだ。

 

「紡絆くん!」

 

彼女が大切に思う、密かに憧れる男の子を名前を。

このような世界にも、来てくれたんだと。

ただその事実が何よりも嬉しくて。

そんな時では無いというのに、友奈は自然な笑顔を浮かべていた。

しかし---

 

『………』

 

目の前の男の子は、巨人は、()()()()()()()()()()()

ただ友奈を見つめるだけで、何の反応も示さない。

そのことに違和感を覚えた友奈は、困惑する。

 

「紡絆くん……?」

『………』

 

もう一度名前を呼んでも、反応はなくて。

どうして何も言わないのか、何も言ってくれないかと聞くよりも早くに。

()()な事実が脳裏を過ぎって、胸に手をやりながら巨人に問いかけた。

 

「紡絆くんは……無事、なんですか…?」

『………』

 

それは、目の前の巨人が『ウルトラマン』なのか『継受紡絆』であるかの確認でもあるのだろう。

それでも、巨人は何も返さない。反応せず、ただゆっくりとその手を、場所を差すように左に動かして、友奈が視線を辿る---。

 

「あれは……出口?」

 

巨人からしたら左だが、対面である友奈からしたら右側。

巨人が指した方向。

そこには、光があった。

地平線に浮かぶ朝日のような、白光色の光。

 

「あっちに行けば、帰れるの?」

『---』

 

その質問に、初めて巨人が反応を示す。

ただゆっくりと、頷くという行動。

すなわち、肯定。

 

「っ、あ---」

 

行けば帰れる。

行かなければ帰れない。

光は少しずつ小さくなっていて、時間が経てば帰れなくなるのだろう。

ただそれでも、友奈は巨人に、ウルトラマンにどうしても聞きたいことがあって、確認したいことがあって、例え帰っても()()()()()()()としても。

言いたいことがあって---開こうとしていた口を、友奈は閉じた。

体を右側に動かして、出口方向を見る。

 

「出口を教えてくれてありがとう!私はみんなの所に戻らないと。戻らなくちゃダメなんだ……!」

 

お礼を述べても、何かを言っても、やはり巨人からは声も聞こえないし反応は見られない。

ただそれでも、友奈の顔は下を向いてなんかなく。

ただ前を、真っ直ぐに見ていた。

---迷いは、無い。

 

「だから……だから!」

 

進んでいく。

灰色の世界から、大切な人たちがいる世界に戻るために。

光という出口を掴むために、右手を伸ばして。

あと少しで届くというところで、振り返った友奈の目には()()()()()()()()けれど。

 

「私は……私たちは……待ってるから!ずっと!貴方が帰ってくるって信じて!絶対絶対、帰ってくるって!それまで待ち続けるから!紡絆くんッ!」

 

きっと自分にも聞こえていたように。

どこかにいるはずの、居ると信じる友奈はそう叫んで---光の中に、友奈は消えていく---

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「……とう…ごう…さん……」

 

顔を埋めて泣いていた東郷の耳に、聞き間違えるはずがない声が聞こえて。

思わず顔を挙げた東郷は、ただ隣を、友奈がいる場所を見て。そこには---泣きながらも微笑む、友奈の姿があった。

 

「……一緒にいるよ……ずっと…」

「ゆ…友奈ちゃん……友奈ちゃん……!」

 

今まで何の反応もなかった確かに声を発していて。それは気のせいでも、幻聴でも、何でもなくて。

いつだって笑顔を振り蒔いていた友奈が……目を覚ましていた。

 

「聞こえてたよ、みんなの声……東郷さんの声…」

 

言いたいことも、伝えたいことも、たくさんあった。

ただそれでも、今は。

一番言いたいことを、お互い伝えるように。

たった一言、今言うべき言葉を互いに言い合う。

 

「おかえり、友奈ちゃん…!」

「ただいま…東郷さん」

 

そう言ってふらつく友奈の体を東郷が支えて、手を繋ぎ指を絡ませる東郷と友奈は、夢でないことを示すようにお互いの体温を感じながらも、泣きながら笑いあった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

しばらくして、意識を取り戻した友奈は退院することになった。

最後の満開の代償で両脚をしたらしく、散華が治るまでの間、友奈が車椅子で過ごすことになった。

久しぶりに学校に行って、久しぶりの勇者部では帰ってきたことを祝われて。

ただその準備をしていたみんなとばったり会うというまさかのハプニングがあったが、それでも笑い合うことが出来た。

そうして下校していく中で、以前とは真逆で東郷に車椅子を押されるた友奈と共に風や樹、夏凜は帰り道を歩く。

 

「全くもう……このまま目覚めないかと思って、本当に心配したんだから」

「私ももう無理だと思ったんだけど、えっと……あれ?」

「なんでそこを覚えてないのよ……」

「神樹様が助けてくれたんでしょうか?」

 

何かがあったはずで、それを思い出せない友奈は考え込むが、何も分からなくて首を傾げる。

一番大事な部分を覚えてなかった友奈に夏凜が呆れ、樹がそれらしいことを述べるが、友奈は首を横に振った。

 

「分からないけど、目が覚める前に…光を見た、そんな気がする」

「………!」

「……た、たぶん」

 

否定した割に断言することなく、曖昧な言葉を付け足す友奈に周囲がずっこけそうになるが、すぐに苦笑して、車椅子を押す東郷はそんな友奈に微笑む。

 

「友奈ちゃんは、友奈ちゃん自身の強い意志で帰ってきたのよ。そしてきっと、そんな友奈ちゃんを助けてくれたのは……」

 

そこから先の言葉を、東郷は紡ごうとはしなかった。

ただこの場の全員が、理解してそう()()()()()

確信はなくても、何故かそう考えられて、思えて、表情が和らいでいた。

全てが戻った訳では無い。

戻ったのは、あくまで友奈一人。

それでも、彼女たちは生きる。

ここからすぐに文化祭が始まって、それまでに演劇を仕上げるために練習を繰り返したりセリフを覚えたり、と大変な日々が待っているけれど。

信じ続けて、居場所を守っていく。帰ってきたとき、たくさんの話が出来るように。少しでも、誇れるように。

一人の少年と、一人の光の巨人が守ってみせた、この地球を。日常を---

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

風が靡き、包帯が外れていく。

ブロンドカラーの少女と灰色の髪を持つ少女は互いに足で立って、燦々と輝く太陽と海を眺めていた。

その手には()()()()()()がそれぞれあって、涙を浮かべながら景色を見ていた。

 

「また、こうしていられるなんて思わなかった。本当に、治るなんてなぁ……」

「……うん、でも」

 

二年間。

二年間もの間、一切治る予兆すらなかった。

けれども今は嘘のようにほとんどの部分が治っている。

二人の少女は互いにわかってたように顔を見合わせて、口を開く。

 

「信じてた、でしょ?」

「信じてた、か?」

 

考えていたことは一緒で、そのことにただ笑い合う。

失って、失って、失って、辛い目ばかりあってきた。

ようやく、こうして本当の意味で笑えるようになった。

それは諦めないように言ってくれて、ほんの僅かに希望を与えてくれて、記憶を失ってもなお、誰かの支えとなる()のような少年のお陰だろう。

だからこそ。

 

「陽灯のやつ、戻ってくるよな?」

「戻ってくるよ、絶対に。そう約束したから」

 

彼女たちもまた、信じ続ける。

約束を結んで、困ってる人が居たら、誰よりも早くに駆けつける度が過ぎるほどのお人好しを。

いつまでも変わらない、光を。

 

「そうだな、あいつがみんなを、誰かを悲しませたまま放っておくはずもないか」

「うん。けど戻ってきたら、やっぱり説教しないとだね〜帰ってこなくても絶対ぜーったい、見つけ出すけど---ふふふ」

「そ、園子さんや、こえーっす……」

「え〜?じゃあミノさんは許せる?」

「いんや、無理かなあ。人の気も知らないで人を置いていってさ、 一度くらいは怒っても許されるだろ」

「だよね。だから絶対、約束を守ってね---はるるん」

 

二人の少女---乃木園子と三ノ輪銀は、かつての友人に思い馳せる。

いつかまた、四人が揃える日が来ることを願って。

 

「あっ、そういえば、はるるんとミノさんの小説なんだけど」

「今それ!?」

 

ちょっと話はズレたが、彼女たちもまた、日常へと戻れる日が近いはずだ。

それがいつになるかは、今は分からなくても。

今の彼女たちの中にはもう、絶望なんてないのだから---

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

笑い声が絶えず、楽しそうに。笑顔なものもいれば、必死そうにしているものもいる。ちょっと怒ってたり、喧嘩に発展しかけている者もいるが、それもまた人間が持つ一面。

人間が人間である証拠で、何よりも平和である証拠だった。

小さな子供たちがワイワイと騒いで、ボールで遊んで、追いかけっこして、砂遊びして、色んなそれぞれの楽しみ方で遊んでいる。

それを一人の老人が、微笑ましそうに見ていた。

そんな老人に、一人の男の子が近づいてくる。

 

「あっ、ごめんなさい!」

 

老人が視線を下げれば、足元にはボールが転がってきていた。

謝れるだけ親の教育が行き届いているのか、それとも迷惑をかけたことを自覚しているのか、何はともあれ老人は転がってきたボールを拾う。

 

「ほれ」

「ありがとう、おじちゃん!」

 

そっとボールを渡せば、見た目から判断したであろう純粋な子供の言葉に老人は苦笑した。

しかし『地球人』から見れば何も間違ってはおらず、また見た目は老人なので仕方がないだろう。

彼の正体が分かるのは、『地球人』じゃない者だけだ。

 

「気をつけてな、怪我しないように遊ぶんじゃぞ」

 

故に老人は否定することなく、目の前の男の子の頭を撫でながら優しく告げる。

これがもし、面倒臭い人間相手なら子供相手にも容赦なく暴言をぶつけたりする者も居るかもしれない。

その点で考えれば、男の子は運が良かったと言えるだろう。

 

「うん!いっぱい一緒に遊んでくれた兄ちゃんが何度も言ってたから大丈夫!」

「む…知り合いか?」

「うん、兄ちゃん!えっと、紡絆兄ちゃん!いつもね、泣いてたり困ったりしたら一緒に考えて悩んでくれるんだ!それでいつも解決してくれてた!すごいんだよ!」

「ふ…そうかそうか。ならば儂から言う必要はないみたいじゃな」

 

まるで家族を自慢するように、純粋な眼差しで語る男の子に微笑ましく思うのと同時に、とても()()()姿が浮かんで、老人は頬が綻ぶ。

 

「今度また一緒に遊んでくれるって約束してくれたからね、楽しみなんだ!」

「うむ、その日が来れば存分に遊べば良い。だが今は---」

「おーい!」

「友人が呼んどるぞ」

 

いつまでも帰ってこないからか、遠くから別の声が聞こえて、手を振っている。

男女共に居て、どうやら性別関係なく遊んでいるらしい。

それに気づいた男の子はハッとしてボールを落とさないように両手で持ちながら走っていく。

 

「あっ!おじちゃんもまた話そうね〜!それからボールありがとー!」

「うむ」

 

何も言ってなかったことに気づいたのか改めてお礼を述べながら去っていき、集団の輪に入って行く姿を見た老人はその場を後にしていく。

歩きながら行き先を決めては、そこへ向かいながら街を眺めていく。

誰も何かが起きたとは知らず、ただ普段通り、変わらない毎日を過ごしている。

それを守ったのは、一体誰なのか。

老人は知っていた。

 

(どこへ行っても、良い評判しか聞こえない。それどころか、多くの者に影響を与え、笑顔が耐えぬ、か……。やはりお主はそうなのだな、ウルトラマン---)

 

一瞬、姿が変わる。

ずんぐりとした体型に、悪魔のようなフェイスを持つ宇宙人。

その老人はメフィラス星人だった。

何かを理解したように、何かに気がついたように、老人は()()を目指して歩く。

 

(ならば、覚えておこう。その名を。存在したという記憶を。ウルトラマン、いや---光を宿す人間の名は、継受紡絆、だったか。小都音も、お主の仲間も、人々も。待っているぞ)

 

晴れ渡る空。

それを、一人の少年と巨人が守ったことを知る老人は、真偽---メフィラス星人のイレイズは確かに記憶に思いとどめ、未だ目覚めぬ、娘のような人物に会いに歩を進めた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

カタカタ、とひたすらキーボードを打つ音だけが響く。

慌ただしく忙しく、動いたり声が響いたり、誰もがピリピリとした緊迫した空気の中で、その人物もまた仕事に精を出していた。

勇者と光の巨人が終わらせた戦い。バーテックスとの戦い。

スペースビーストを含め、イレギュラーな者たちとの戦いは終わりを告げた。

しかし全部が終わった訳ではなく、その戦いで起きた影響は凄まじい。

現実では厄災となって様々なことが起きて、その自己処理はどれだけ大変か。情報操作することは容易ではなく、多くの人物が時間を割いて、ようやくとなる。

戦いが終わってしばらくしても、中々休めそうにない。

だが逆に言えば、()()()()なのだ。

世界が終わってないからこそ、今がある。

そう考えれば、仕事がいくら積み重なってるなどなんのその。

 

「ふぅ……」

 

一人の男性、先程ひたすらキーボードを打っていた成人した青年が傍に置いていた缶珈琲を飲みながら一息つく。

どうやらひとまずの仕事は終えたらしく、疲労した肉体を解すように肩を回していた。

それから周囲を見てみれば、まだまだ忙しそうな様子。

ただ似たような神官のような服装で、大勢の人間が作業してる様は中々にインパクトのある絵面だ。

そう、ここは大赦が管理する場所---だが、別に男は偉い立場というわけでもなく、下も下。

その男は新人だった。

 

「さて、と…」

 

カバンから取り出した自作のノートパソコンを弄る。

自前なのもあって慣れているのか素早く、それでいて迷いもなく手を動かす男は大赦支給のパソコンと自作のノートパソコンをケーブルで繋ぎ、支給パソコンにUSBメモリを突き刺すと、強固なプロテクトを意図も簡単に突破しながらデータを()()()していく。

それを待っている間に自作のノートパソコンであるファイルを開き、それを見た男の口角は自然と上がっている。

画面上に広がるものは色んな情報。

()()()()()()に関するものだった。

『ウルトラマン・ザ・ネクスト』から始まり、『ジュネッス』。『ウルトラマンネクサス』。『アンファンス』。『ジュネッス』。『ジュネッスブルー』。そして、『黄金色のジュネッス』。

次々と姿を変えて行った巨人であり、その変身者たる人間の情報がずらり、と並んでいる。

大赦の上層部しか知り得ない、機密情報である変身者の情報が何故男が持っているかは定かでない。

しかし何より特筆すべきなのは発現したばかりの力である『黄金色のジュネッス』の情報がある部分だ。

まだ不明な点ばかりで、分かっていない部分の方が多いだろう。

それは男も大赦も同様で、『新たな力を発現させた』としか知らない大赦。

その『姿を知っている』男の違いでしかない。

所持できないはずの画像を表示し、軽く姿を眺めた男は手を画面に翳す。

その瞬間、存在しないはずの『映像』が画面に映された。音は出ていないが、間違いなく勇者とウルトラマンが、『究極』となった融合型昇華獣や闇の巨人たるメフィストと戦い、勝利を収めたものだ。

それは作りものでも何でもなく、 映像には現実と一寸の違いもない。

ネクサスが飛び立ち、爆発が起きて、樹海が解けた。

映像はそこで途切れている。

ただ男は戦いの結果には興味はないのか映像を一気に戻す。

そこには『神樹』から発せられた()()()()がウルトラマンに集まり、内包する光を解放した(黄金色に輝く)ネクサスの姿があった。

新たな姿。それから『時間を巻き戻す』だけでなく『四人』に増えるところ。

どれも『個別』に動いており、それぞれに『意識』が存在している。

つまり、文字通り『増えている』のだ。それもウルトラマンと変身者の両者が。

異なる時空から呼んだ、というわけでもない。

ただその力は、今までのウルトラマンを大きく上回る力を秘めている。

 

「………」

 

それを見ても何を思っているのか、ニヤニヤと笑い顔を浮かべる男ははっきりいって怪しいどころか不審者なのだが、それに気づけるものはおらず。仮に気づいたものがいてもドン引きするだけだろう。

男は()()()()()()()()()()()()()をコピーし終えたUSBを抜くと()()()()()()ようにアクセスした記録を全て()()()()()()削除する。

そして何らかの情報をまとめた資料のようなものをノートパソコンで表示すると、そこには写真と共に経歴があった。

 

「おーい」

「ん?」

 

自身を呼ぶ声が聞こえ、すぐにノートパソコンを閉じつつカバンに収納し、振り向いた先には同じ同僚らしき人物が近づいてきたかと思えば、男の肩に手を回して組んでいた。

 

「仕事一段落着いただろ?休憩がてら飯行こうぜ」

「ああ。もうこんな時間か。そうするか」

 

時刻を見てみれば、既に昼飯時を過ぎている。

ひとまず男は同僚を引き剥がし、先に行くように伝えてから立ち上がるとデータの保存を念の為にもう一度行い、パソコンを消すとカバンを手にする。

そのまま同僚を追おうとして、男は思い出したかのように立ち止まって振り向く。

その視線の先には、何も無い。

支給のパソコンがあるだけだが、男の表情は怖いぐらいに感情が失せている。

 

(()()()のことはあったが、計画は概ね順調……。多少の修正をすれば問題ない。

大事な駒を失いはしたが、お陰で()()の正体は掴めた。この世界に生み出されたイレギュラー…それにあの形態は間違いなく、『神樹』の力。()()()()()()()()、か……。……警戒をしておくに越したことはないな)

 

立ち止まったまま来ない男を訝しんだのか、未だに立ち止まったのを見て同僚が近づいてくる。

それに気づいた男はハッとしたように首を振り、苦笑を浮かべる。

 

「おい、早くしないと飯食えないまま休憩終わるぞ?」

「悪い、ちょっと考え事をしていたみたいだ」

「悩みごとか?」

「いや、大したことじゃないんだが…最近()()()が死んでな」

 

改めて歩きながら男は()()()な表情を浮かべながら告げると、同僚はバツが悪そうな表情をした。

踏み込むべきではない話題だった、と思ったのだろう。

申し訳なさそうに口を開く。

 

「そうだったのか……それはなんか、ごめん。大丈夫なのか?」

「悲しくはあったが、得られたものもある。それに気にしすぎて仕事を辞める訳にもいかないしな」

「そうか……まぁ、なんだ。その、何かあったら力になってやるから無理すんなよ---()()

「助かるよ。じゃあ昼食は奢ってくれ」

「おう、任せ……なんでだよ!?」

 

そうして男---『石掘』と呼ばれた男は同僚と共に仕事場から抜けていく。

ポケットに、()()()()()()のデータをコピーしたUSBをポケットの中で弄りながら、楽しそう(愉しそう)に笑って。

そのことに気づいた者は、大赦の中には誰もいなかった。それは上層部ですら、誰も気づけない。

 

(計画を次のステップに移行する。……さあ、貴様はどうする?何が出来る?何をしようとも、無意味だ。全ては俺の手の中なのだからな、()()---)

 

ニヤリと意味ありげな笑みを浮かべたその男の、石堀の影には一瞬だけ()()()()に変化していた。

しかしそれらは誰も気づかない。気づけるはずもない。そんなやわな失敗をするようなものなら、ずっと前にバレている。

そう、本当は既に、中枢組織の中にずっと前から悪意が入り込んでいたことを。

近くにいるはずの彼の同僚ですら、それには気づかなかった---

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ウルトラマンネクサス

×

結城友奈は勇者である

-輝きの章-

 

〜完〜

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

()()は蠢いていた。

白色の袋のような身体に、触手と巨大な口のような器官が備わった、星屑と呼ばれるバーテックス。

それは次々と集まり、灼熱の大地に、星座型になる途中の状態の存在を、『成りかけ』。『バーテックス・モドキ』。『プロトスター』と呼ばれる存在を生み出した。

戦いは終わりを迎えたわけではなく、次に備えていく。敵は、無数に存在する。そんな平和など、長く続くはずもない。

そしてそこには、ペドレオン・グロースとバグバズンが復活を果たしていた。

そんな終わりしか見えない、すぐにでも敵が攻めて来るような敵しか存在しない生命を感じられない世界で---

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

()()()のバーテックスが四体、スペースビーストが二体……どうやらそれほど、()()()を天の神は許せない存在になってるらしい。いや、それ以前からだったか…より酷くはなってるみたいだけど」

 

一人の男が、その手に()()を持ちながら対峙していた。

スペースビーストもバーテックスも、その男を敵と認識しているのか。

威嚇をするように、スペースビーストが鳴き声を挙げる。

 

「託されたんだ、力も願いも想いも。多くの人から、光を受け継いだ。

---必ず叶えてみせるよ、君の夢を。()()()()()も俺が必ず果たす。それが約束、だもんな」

 

その手に持つ短剣は、本体が()()に染まっており、青いクリアパーツは()()に発光している。

赤いY字型の上に備わる半球体は()()に。

枝のような絵柄が追加され、()を思わせるように左右にブレードのように広がっていた。

 

「だから安心して見ててくれ。この世界は、絶対に終わらせたりはしない!行こう、ウルトラマン!」

『---もちろんだ、()()。共に戦おう』

 

いつも傍に、どんな時だって居てくれる。相棒(友達)の声に頼もしさを感じ、男は、()()()()が誰もが()と例えたように、こんな状況下でも笑顔を浮かべると、表情を引き締めて白銀の鞘を左手で持ち、左腰に構える。

そして。

 

『見せてやる!俺たちの光の絆!』

 

右腕で金色の本体を、()()()()()()()()を前方に引き抜き、左肩に当てるのと同時に右腕を伸ばし、エボルトラスターを空に掲げる。

その瞬間、灼熱の炎に包まれた世界を、黄金色の輝きが世界を照らした。

どこまでも眩い、優しさと強さを感じさせる光の輝き。

紡絆の姿は消え、その姿は少しずつ巨大な人型を形成していく。

 

『シュアッ!』

 

そうして死が広がる灼熱の世界に、()()()にて()()を宿す()()()()()()()()()に変身したウルトラマンネクサスが、スペースビーストとバーテックスを相手に独り---否。

二人で立ち向かっていった---

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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