【悲報】気がつけば目の前に知らない遺跡があるんですが…【なにこれ】 作:絆蛙
ブレーザーが総集編だったのでこの作品も総集編---って、なんでそんな重なるんですかねぇ…。
何はともあれ、これで終わりです。といってもあくまで輝きの章とは分けたかっただけなので、一章というわけではありません。次回から二章ですが。ただちょっと、この辺りはややこしいかもなので次回辺りに解説入れるかも。
それでアンケートの件ですが、作者的にはルクスが気に入ってます。アンケート書く前に直前で思い出したやつでしたけど…。
で、最後にこの小説マジで二年目に到達しました。これからも頑張りたいと思いますので高評価だけをください()
穏やかな青空が光源としての役目を果たし、目の前の少年が手を差し出すと椅子が勝手に動き、座るように勧められる。
表情は変わらず、ただ笑顔を浮かべる陽灯に対して紡絆は何とも言えない表情で腰を掛けた。
目の前にいるのは間違いなく
なぜなら身長は150にも満たなくて、顔立ちは今よりも幼い。
だが自身と同じ声で、自身と同じ顔で。
仮に年の離れた兄弟と言われても信じてしまうだろう。
「それで、えっと……君は…」
「陽灯で構いません。ややこしいでしょう?それに僕にとってこの名前はかけがえのない大切な名前なんです」
「…そうか。ということは君は俺の知らない、記憶を…」
「はい、僕には貴方が失った二年前以前の記憶を全て持っています」
その言葉で紡絆は色々と察してしまった。
目の前の存在が本当に過去の自分だということも。
何より---
「君はずっと……俺の中には居たのか?」
「ええ、正確には貴方の魂に取り憑いていました」
「取り憑く?」
「ほら幽霊っているじゃないですか?そんな感じで、僕の場合は貴方の魂に取り憑いていたんですよ。そのお陰でリアルタイムで貴方の活躍を見れました」
そうやって何処か嬉しそうに語る陽灯に対して、紡絆の表情は苦々しいモノへと変わっていく。
「じゃあ、もしかして俺が意識が消えたとき---」
「僕が一時的に体を動かしました。貴方に死んで欲しくありませんでしたから。でも僕が戦ったのは二回だけです」
「…二回?いや、だが」
「一度目はファウストとの最終決戦であり、バーテックスの総力戦。二度目はメフィストとの初戦闘でネオ融合型昇華獣が生まれた時です」
その二回は普段の紡絆とは違う動きをして、構え方をして、戦い方も違っていた。
紡絆はその記憶が存在しないが、スレ民たちはそう言って言ったし本人たる陽灯がそう言うならばそうなのだろう。
だが不可解なのはまだある。
彼は二回と言ったが、紡絆の記憶が正しければ
ノスファルモスとの二度目の戦い。
幻影の能力に翻弄され、手も足も出ずに敗北したのに気がつけば敵がやられていた。
なのに陽灯でないのであらば---
「三度目は僕ではなく、
「……やっぱり、そうなのか」
残るは彼しかいない。
薄々気がついていたのか、腑に落ちたように呟く紡絆に陽灯は頷く。
ノスファルモス戦での戦いは紡絆とも陽灯とも異なる。素人の戦い方でも齧った程度でもなんでもない。
冷静に敵を見極め、攻撃を逸らしては防ぎ、隙を作り出すと反撃し、攻撃のチャンスがあれば連続で畳み掛ける。技の使い方も使うタイミングも素早く、避けなければならない攻撃に対しては動きも最小限で、翻弄されることなく本体を攻撃した。
長きにわたって培われてきた戦闘経験。
歴戦の戦士の戦い方だったのだから。
「なら、あの時の声は……」
「あの時?」
「俺がウルトラマンを探し出そうとして意識が薄れたとき、確かに声が聞こえた」
「そのことですか。あの時は力の発現には多くの絆と力が必要でした。歴代の
それを覚醒させるにあたって足りなかったものを補った---僕の力が必要だったので」
その結果。
紡絆は
目の前の彼には気が付かないところで助けられ、力を貸してもらっていた。
「それなら……どうして……?」
「はい?」
「どうして俺に渡したんだ…?託したんだ?そのままだったら、君に全てを返せたのに……!君が生きることは出来たはずなのに……」
目の前の人物が過去の継受紡絆という存在で、彼が遡月陽灯として生きてきたならば本来の存在は陽灯に他ならない。
それに彼は先程体を一時的に動かした、と言った。
そのまま奪うことも出来たはずなのに返した。
紡絆は知らなかった。
知らなかったからこそ、肉体はボロボロになって、身体機能を失って、取り返しのつかないところまで来てしまった。
もう自覚しているのだ。この空間に来て、目が覚めて、陽灯に出会って。
紡絆は自分が
「ああ、それは別に良いんです」
「は?」
「第一、誤解してるようですけど貴方も僕なんです」
「何を言って……だって俺は……」
別人格のように、今目の前に存在するのは過去の自分。
だが紡絆には
陽灯という存在ではなく、前世の存在が自分であるはずで、別人のはずなのだ。
「貴方は確かに■■■■さんの記憶も経験も持ってます。ですが同時にあなたには僕の記憶と経験もあります。だから貴方は僕であって、僕じゃない。そして貴方は■■■■さんであって■■■■さんでもない」
「……どういうことだ?」
「貴方という存在は僕と■■■■さんの存在がひとつになったからこそ生まれたんです。だから僕であって僕でもないし■■■■さんであって■■■■さんでもない。貴方こそが継受紡絆という存在です」
それが今を生きる紡絆のルーツ。
つまるところ、紡絆は思い込んでいるだけなのだ。
自分が目の前に存在する過去の陽灯ではなく、前世の者だと。
本当は、今の紡絆こそが陽灯であって前世で生きた者なのに。
だがそれでも---
「っ……だとしても、それで済ませていい話じゃないだろ……。君にはまだまだ人生があったんだ…長い時間が残されていたはずなんだ…中学校に入って、たくさんの思い出を作って、卒業したら進学したり就職して…友人や家族と…いつかはかけがえのない人を作って幸せを掴んでたはずなんだ…なのに俺という存在が生まれたから……!」
紡絆という存在が遡月陽灯という人間を殺した、という事実は消すことは叶わない。
彼の存在がなければ目の前の少年は生きていたはずだ。その立場を奪ってしまった。
本来の世界で本来の時間を生きるべき人間が、別の者によってなくなったのだ。
確かに紡絆は陽灯だが、目の前の存在もまた陽灯であり紡絆だ。
少しの自身に対する怒りと目の前の彼の立場を奪ってしまった不甲斐なさに紡絆の拳が握られる。
「---いつからだったか」
「……?」
そんな紡絆の様子を慮るように、陽灯が口を開く。
テーブルの手に置いた手をじっと見つめながら思い出すようにぽつりぽつりと語られる。
「ソイツは、誰かの役に立つことが好きでした。特別理由があったわけでも、何かがあったわけでもない。きっと小さい頃、誰かのために行動したことでその人が笑顔になったから。もしかしたら母さんかもしれないし父さんかもしれない。近所の人や別の誰かかもしれない。でもそうすれば誰かの幸せを守れるんだと思ったのかもしれません」
「………」
何かを言おうとして、邪魔をすると思った紡絆が口を閉じると、陽灯は一瞬だけ目配せしてまた語り続ける。
「それからソイツは一つの目標を持ちました。みんなを守れるようになって、誰かの笑顔が作れるような、かっこいいヒーローになる、と。小学生にもなってない、現実も世間も知らない非力なガキが大層な夢を持って人助けをすることに躍起になったんです」
理想でしかないのに、バカですよねと嘲笑したが、紡絆は笑うことは出来ない。
人の夢を笑う権利は紡絆にはない。なぜなら紡絆には夢そのものがないから。ないからこそ、持つ人は応援したいし何か手助けしてあげたいと思うのだ。
ただ彼と違うのは、理由もなく何かになりたいわけでもなく、ただ人助けをしたいというところか。
「けれどソイツは上手くいってました。いえ、
「----」
「そんなある日、ソイツには運命とも言うべき出会いが二つ訪れました。一度は特別な場所で特別な出会いがあって。ソイツは誰もおらず、何も無い世界を見て、
話としては成功談であり、新しい友達が出来て仲良くなった。
喜べるような話だ。
特に何かがあるようには思えない。
「もう一つはある日の夜、ソイツは光と出会いました」
「……ウルトラマンか」
「はい。戦場となった場所を駆け回って、怪我しても恐れられても、
それだけじゃないですけど、詳しくは後ほど分かるかと思います、とだけ告げて陽灯は一度話を切ったが、紡絆は何が言いたいのかまでは察せられない。
話から分かるのは、人助けをしていたこと。普通ではない出会いがあったことだ。
「力を得たソイツはこの力があればより多くの人を助けることが出来ると、喜びました。より身を粉にして、人助けを始めた。それから数年後、お役目に選ばれたソイツは家を出て、養子に出ました。でも…それが本当の始まりだったんです」
何を思っているのか、陽灯は拳を強く握りしめている。
どれだけの力が入ってるのか手は震え、その顔は今にも泣き出しそうな、
「ソイツは変わりませんでした。どれだけ経っても、その中に
それでも上手く行って、今まで間違えたことがなくて……だから
今までの、どの会話よりも深く感情の込められた言葉。
唇を噛み締めて、深く後悔しているかのような姿。
後悔に苛まれている姿に、紡絆は何も言えない。
知らないから。陽灯という存在がどういう生き方をし、どう生きてきたのか。記憶のない紡絆には知らないからこそ、何も言えない。言ってあげられない。
ただ無意識に、紡絆も手を強く握りしめる。血が出るんじゃないかって言うほど強く。力強く。
記憶がなくとも、心が覚えていたのかもしれない。魂が覚えていたのかもしれない。
そんな紡絆に気がついたのか、陽灯が気遣うような表情を浮かべながら、遡月陽灯は思い切ったように『誰かの』物語を語る。
「ソイツは分かり合えると信じていました。誰とだって、どんな存在であれ。それが
「---っ!?」
「光は…ウルトラマンは止めてくれました。彼は分かってたから、訪れる未来を予想出来てたから。でもソイツはその静止を振り切ってしまって、その真っ直ぐな想いが多くの人を殺してしまった…相手が悪かった。仕方がなかった、では済む話じゃないんです。ソイツは……重すぎる罪を背負うことになりました」
「---」
紡絆はかつて一人の命を奪った。
母親の命を奪い、世界を守った。
それだけでも辛いということは分かっている。なのにより多くの命を奪ったとなれば、それはどれほどの重さなのか。
話から推測するとソイツはお人好しで。純粋で、誰かを思いやれる優しさを持っていて、危険に飛び込める勇気を確かに持っているのだろう。他人を思いやり、自分ではなく誰かの幸せを願い続ける歪な子供。甘さを捨てきれないとも言い切れるが、ソイツは現実を知らなかった。
もし一度でも失敗をしたなら、挫折があったなら、運命は変わったのかも知れない。
だが上手くいってしまったからこそ、失敗談がなかったからこそ、その心が、
今まで悪意に触れなかったことで、おぞましいほど邪悪な心を持つ存在に騙され、裏切られ、あっさりと引っかかった。
「---僕が、全部悪いんです。世界がこうなったのも、スペースビーストが溢れたのも。あの時、
そう、「ソイツ」は目の前の少年だった。
遡月陽灯は、忘れそうになるくらいに何処か大人びているが、まだまだ幼かった。
自身の愚かな行いを直視出来ずに「ソイツ」の物語として語ったのだろう。
そしてその罪の意識も、責任も、重さも未だ彼の中に残留している。
何故たった一人にそれほど背負わせるのか。彼が何をしたのか。どうして今も苦しまなければならないのか。
彼はきっと誰かを守るために戦ったのだろう。誰かのために戦い続けたのだろう。
ウルトラマンという希望を宿したから。誰かの希望として
不思議と紡絆は理解出来る。似ている、ともあるが目の前の彼がもう一人の『自分』だからなのもあるかもしれない。
ここまで己を責め続ける彼に何も出来ない紡絆は、自身の無力さに歯軋りする。
しかし、陽灯は先程の様子から一転して笑う。
「だけど貴方は違った。多くの人を助けて守って、笑顔を作っていた。どんなときも諦めずに立ち上がろうとして、絶望に抗い続けていた。貴方の光はいつだって強く輝いていた。そしてついに、貴方は世界を救った。本来救えないはずの命を、僕の妹を救ってくれた!貴方は僕にとってヒーローなんです!」
自分のことのように嬉しそうに陽灯は告げる。
その表情は誰から見ても笑顔で、心からの言葉なのだろう。
逆に紡絆は表情を曇らせる。
紡絆は確かに色んな人を救ってきたが、彼の中にも失って残り続けるものがある。
それを思い出したのだろう。
「君が思ってるほど…俺は出来ていないよ。俺は母さんを救えなかった」
「それは違います。小都音には『メフィスト』の命がありましたが、母さんはとっくに死んでいました。例えあの時、あの力を覚醒させたとしても救う方法はありません。むしろ貴方の行動のお陰で母さんはこれ以上手を汚さずに済んで、子を殺さなくて済んだ。傷つけることも無く、貴方は母さんの心を救った」
「俺が……救った?」
紡絆の中には永遠と母親を殺した罪は残り続ける。
それは自分のせいだと言う紡絆の言葉を、陽灯は即座に否定した。
「はい、母さんは優しかった。でも言う時は言うんです。嘘が嫌いな人でしたから。そんな母さんが貴方に妹を託して、お礼を告げていた。本当は貴方は
「……!それは……ああ、そうだな」
思い返すのは最期。
オーバーレイ・シュトロームでファウストごと消滅させた後に、紡絆は確かに粒子を掴んだ。
目を逸らしていただけで、本当はそれが母親にとって正しいことで、救われたというのを知っていた。
改めて告げられたことで、それを直視しただけだ。
「けど、そうだとしても俺に出来ることはないだろ。俺はもう、死んだんだ」
「いえ貴方はまだ生きてます」
「…え?」
この空間に来て確信していたことが揺らぐ。
死んでここに来たなら、まだ分かっていた。
なのに生きてるとすれば、何故自分は居るのか。そもそもあの戦いでどうやって生き延びたのか。
全く見当がつかない。
「あの時、御魂とひとつになりましたよね?」
「ああ、メフィストの力が残ってたし友奈の勇者の力は無くなっていた。いくら精霊が守るとはいえ、メフィストの力で無効化されたら意味が無い。それにあの状況では俺が力を抑え込むことが最善だったからな」
あの時の戦いを思い返す。
太陽の中へ友奈と共に突っ込んだまではよかったが、あれほどの灼熱の中を進むのは難しい。それにメフィストの力が入ってると考えるのが普通であり、ならば精霊の防御は貫通するだろう。
だから紡絆は自らの存在を防具とすることで友奈を守り、最終的に御魂を抑え込むために御魂に宿った。
「それが原因で貴方は肉体と魂の境界線があやふやになりました」
「肉体と魂が?」
「はい、もっと簡単に言えば魂が半分現実に具現化した、と言えばいいでしょうか。その後に貴方は自ら練り上げていたメフィストのエネルギーを暴発させた。その時の爆発があやふやになっていた魂に影響を大きく与え、消滅したんです」
「だからその後を覚えてないのか……」
紡絆が覚えているのは、爆発が起きた部分までだった。
その理由が消滅したからというならば、納得も出来る。
ただ不可解なのは、魂が消滅したということは紡絆はここに居ることすらないはずなのだ。
明らかに現実では無いのは確かだが、魂が消滅すれば転生すら出来ない。
「じゃあ、なんで俺はここに居る?」
「神樹様の助けを借りて、ウルトラマンの力を借りて、皆さんの力を借りることで貴方の魂を復元しました」
「そんなこと可能なのか?いや、俺がここにいるってことは可能にしたってことだが……」
「普通は無理ですね。そもそも貴方の魂は僕と■■■■さんの魂がひとつになって生まれたものです。存在そのものが変則的ですしあまりに複雑……だからけいじばん?ってものを勝手に使わせてもらいました」
「転生者掲示板のことか……」
「あれは世界を繋げる鍵みたいですし。宇宙、ユニバースとでも言うべきでしょうか。この
それにしてはあまりにも規模が違いすぎる話だろう。
魂の復元もそうだが、やったことは多次元宇宙を巻き込んだ蘇生法だ。
もし失敗すればどうなってたのか想像が出来ない。
「だとしても、ウルトラマンや神樹様の力を使っても難しいはずだ。そもそも奇跡なんてのがそう簡単に起こせるはずが……」
「忘れてませんか?貴方は僕です。逆を言えば、僕も貴方。『あの力』の一部くらいなら僕にだって使えます」
「そう、か……あの力が、俺を救ったのか。それにみんなが……助けられてばかりだな」
歴代の適能者たちの力。人の諦めない意志。神樹とウルトラマン。そして今代の適能者である紡絆自身の力。
様々なものか収束した結果、生まれた力の結晶。
何より次元も時間も違う転生者たち。
色んな人たちに助けられて、紡絆は再び蘇ることが出来た。
「そうですね……僕たちは助けられてばかりです。覚えていないかもしれませんが、貴方の中に存在する■■■■さんにも助けられました。彼は僕の肉体という器に入り、これからを生きるはずが自らの存在を殺して僕たちを生かしてくれましたから。自分はもう長く生きたから、僕たちが生きるべきだと」
今の紡絆ではなく彼が持つ記憶の、前世の誰かが紡絆として生きるはずだったのだろう。
だが蓋を開けて見れば、陽灯と■■■■が合わさった存在が今を生きている。
「……いや、ひとつ間違えてる」
「?」
しかし紡絆は不思議と、それは間違いだと思った。
どういうことか、と首を傾げる陽灯に対して、胸を握りしめながら確信を持った表情で紡絆は告げる。
「俺という存在がいる限り、両方とも生きているんだ。君も、前世の俺も。だから俺たちは死んでいない」
「---です、ね」
予想もしていなかったのか陽灯が目をパチパチと瞬きさせ、一度目を伏せると肯定を示しながら軽く微笑む。
「さて…ここに居る意味も生きてるという意味も分かった。俺にはまだ
「天の神の脅威は終わりません。そして…ザギも」
「ああ…分かってる。対抗するにはウルトラマンの力が必要だ。俺が生きているなら、俺は俺の役目を果たさなくちゃならない」
戦いは終わった。
でもそれは、全てが終わったわけじゃない。
あくまで一時的な終わりを迎えただけ。
元凶がいる限り、世界は何度も危機に瀕するだろう。それに抗うために、ウルトラマンは必要だった。
「僕たちは
「小都音が?」
「神樹様から教わりましたので小都音自身が気づいてるか分かりませんが……どちらにせよ、来るべき戦いのために貴方の…僕たちの中に眠る力を完全に覚醒させる必要があります。あの姿には、もうなれないでしょう?」
特異な体質とやらは気になったが、陽灯が言う姿とは黄金色の輝きを纏ったジュネッスのことだろう。
指摘されたことに、紡絆は自信なさげな表情だった。
「多分……あの力は奇跡が収束した結果生まれた力だ」
「そうですね……そもそもあの力を発現させる条件は大きく分けて三つ。一つ、
「力……?」
「貴方は何度か不完全に発動しているはずです」
そう言われて、思い返す。
時々世界がスローモーションになったこと。身体能力が大きく上がったこと。
少なくとも東郷を説得する時の紡絆には変化が訪れていた。
「あとは未来予知や
「……?そんなものは…」
「近い記憶であれば子供の探し物を見つけた時。す…東郷美森さんの攻撃を躱した時でしょうか」
顔に出てたのかそれとも自分自身だからか、心を読んだように指摘されたことには驚かなかったが、陽灯が挙げた部分には自覚はなかったために否定しようとして、明確に言われてしまうと否定できなくなる。
何故なら彼が言った部分は、紡絆も自覚しているからだ。
情報の多さに鼻血は出たものの、ぬいぐるみを探した際に発動していたし東郷の攻撃は間違いなくちょっと身体能力が高いだけの状態まで弱っていた紡絆には回避不可能だった。でもそれを回避して見せた。
恐らく後者は無意識に発動したのだろう。何より、初めて融合型に引き分けた時に紡絆は『夢』として敗北し世界が終わりを迎える『未来』を見ている。
「まぁ、力に関しては見た方が早いですよね」
てい、と陽灯が手を軽く振ると、空一面が『画面』に変わり、樹海で
「……カラコン?」
「すみません、したことないです」
「俺もない……あれがソレか?」
自分自身で見たのは何気に初だった。
樹海に鏡なんて持っていってるわけないし、あっても見る余裕はなかったはずだ。
ただ見て分かるのは、
実際その光が触手を弾いたり、加速したり、回避不可能と思われるような弾幕の中をスレスレで避けたり、と自覚はなかったがとんでもないことをしていたことに紡絆は驚く。
だがどれも、すぐに消えている。不完全というのは少ししか発動出来なかったり、自分の意志で発動出来ないことなのだろう。
「この姿は『僕たち』と『神樹様』の力が源です。これがなければ恐らく戻っても負けるだけかと。ザギの目的は僕でも神樹様でも知りません。それでも間違いなく僕たちの想定以上に強くなってます…過去にウルトラマンに倒された存在ですから」
以前、紡絆は聞いたことがあった。見たことがあった。
ザギというのは『ノア』と呼ばれるウルトラマンを模倣して来訪者の手によって生み出された存在であり、その力は同格だと。
さらにザギには戦いの中で無限に進化する自己進化プログラムがあると。
「敵の進化に対抗するために奇跡を意図的に起こせるようにするってわけだな……確かにあの力は時間遡行の他にも様々な力があった」
「分かりやすく言い換えれば『超能力』に特化した形態かと。ですが長く使用することは
「想定にない…そうか、本来のジュネッスは適能者によって違うと聞いたが、あの姿は他とは大きく異なる」
消えたように移動する高速移動はテレポーテーションが近いだろう。
その他にも光を操ることで色んな形にして技として使用する他に、テレパシーや位相に干渉するなど従来のジュネッスには存在しない力がある。
それらをまとめると超能力という表現は適切かもしれない。
「あの時は気にする暇もなかったし分からなかったが、改めて考えるとさっきも言っていた神樹様の力を得る…そんなこと勇者でもない俺に出来るものなのか?」
人の身で神の力を宿すということがどのようなことか、紡絆はその目で見てきた。
紡絆はよく理解出来なかったものの、勇者たちは霊的回路というものを形成して勇者という力を得られるらしいが、そもそも元々が神樹様由来の力だ。
満開というのは神樹様の力をさらに解放するという意味で、代わりに代償として身体機能を捧げる。
強大な力を得るにはリスクは付き物、ということだろう。何の苦労もなく手に入れられるはずもない。
ならば、紡絆はどうだ?
紡絆は『勇者』ではない。故に勇者システムは渡されていない。
代わりにウルトラマンの力を持つが、いくらウルトラマンでも神樹様の力をその身に纏うのは不可能だろう。それも弱体化しているのだから。
もし出来たら既にやっているはずで、なのに紡絆はウルトラマンの姿で神樹様の力を纏った。
それに自分の力や本来のウルトラマンの力も含まれているとはいえ、紡絆は正真正銘の男だ。
残念ながら端っから適正は無いはずだった。
なのに、紡絆は勇者でいう『満開』に相当するようなことをやって見せた。
それは大して頭がよくない紡絆ですら分かっていた。
ならその答えは---
「
「ッ……!」
「貴方が『呪い』と呼ぶものです」
告げられた言葉に紡絆が驚く。
それは紡絆の身を侵し、身体機能を奪っていった、まさしく呪いだ。
しかも勇者たちが満開したら力を得られるとは別で、紡絆の場合は一方的に時間経過で消滅していた。
「今の貴方は理解しているでしょうが、あれは僕たちにとって弱点とも言えます。だから貴方の身体機能は天の神によって
「そうだな……もし心臓や脳なら、俺は即死だ」
初めてノスファルモスという存在が生まれた時に干渉して来たのが天の神だった。
バリヤーは壊され、咄嗟に回避行動を取ったお陰で狙いから反らせたが、あの一撃はバリヤーがなければ心臓部であるエナジーコアを。身を捻らなければ頭部を狙われていた。
目だからこそ生きていたが、あれが心臓や脳が存在する場所であったなら紡絆はあの場面で死んでいたのだ。
良くは無いが、生きているだけでも僥倖といえた。
「ですけど、当然ながら神の力です。解呪方法なんてものはないですし実際問題貴方の体は最終的に半身不随に陥りました」
「ああ、確かに左半身が動かなかったからな。自分の肉体ごと光に変換しなければ……って待ってくれ。俺の肉体はあの時に消滅したはずだ。例え無事でも魂と一緒に消滅しててもおかしくは無い。その辺はどうするんだ?」
衝撃的な展開や色んなことをありすぎて忘れていたが、前提として魂が無事でも肉体がなければ紡絆は戻ることは出来ないだろう。
「そこで、あの姿にも貴方の肉体にも『タタリ』が関係してきます」
「……タタリ?」
「天の神は言葉通り『神』です。天照大神…?なんですかね、僕は星ならともかくその辺は詳しくないですし理解出来ませんでしたが、どうやら『僕』の時から天の神にとって存在がタブーだったらしく…まぁ今思えば当然なんですけど。
でもスペースビーストはウルトラマンを宿す貴方を。バーテックスは主神にとって許せない存在である貴方を狙っていました」
「確かに、バーテックスもやけに俺を狙っていたな。あれはウルトラマンが厄介だからと思っていたのだが……今の俺にも分かる。天の神にとっては確かに俺たちは許せないはずだ」
どの戦いにおいても、バーテックスはウルトラマンというよりはウルトラマンを『宿す』紡絆を狙っていた。
その理由が、紡絆の存在が禁忌に該当するということか。
「だから天の神は
「天の神にとっては干渉が長く出来ずともあそこで殺せれば良く、殺せなくても時間が経てば殺せるからよかった---
「……もしかして」
そう言われて、思い当たる節があったのか紡絆は気がついたようにハッと視線を送る。
陽灯は頷き、その答えを告げるために口を開いた。
「さっきも言いましたが、あの力は『神樹様』の力と僕たちの力を主に持ちます。そして力を殆ど覚醒させた貴方の足りない力を僕が補い、その状態で僕を含む様々な時代の
「……ああ、そこで天の神のタタリが、呪いが関連するんだな?」
「はい、ウルトラマンが持つ力。本当の力に触れた際に、貴方の肉体が変換されました」
ある程度は察したようだが、そこまでは分かってなかったらしく。
紡絆は首を傾げる。
変換、というのはどういうことか。紡絆は自分で変わった、という感覚はなかった。
「呪いって、厄災を招いたり不幸をもたらす、と言われています」
「そうだな、怨霊とかがいい例だ。天の神が俺に行った災いこそ、機能の破壊。正確には俺の呪殺か」
「そうです。ですがあのとき、ウルトラマンに触れた際に完全な『器』が出来上がったんです。その影響で、本来成し得ない---僕たちだけではなく、神樹様とウルトラマンの力がひとつになった、三つの力が連鎖した形態が生まれました」
「確かに、本当は別の力…少なくとも時間操作や分身のような力はなかったはずだ。だけど器?」
そもそも時間操作というのは神樹様が持つ力であり、それだけは間違いなく持っていないはずだった。
紡絆の存在を考えれば、持っている本来の力は光の力である『超能力』のみのはず。
あのように増えたりすることも出来るはずがない。
「呪いと祝福は表裏一体---つまり、貴方の肉体の半分は触れたウルトラマンの力によって天の神の『呪い』なんかではなく、それを反転させた『神の祝福』を受けた体になったんです」
「……!そうか…だから『器』か」
「加護とも呼べるものに変わった肉体には『神を宿す』権利が与えられ、そこに『人の可能性』を見た神樹様が入り込んだ結果、色んなものが混ざりあった『奇跡』の力が誕生しました。精霊がそうだったように、既に僕の肉体が
複雑に絡まった事象は、ひとつずつ繋がり、全ては未来を生み出すための『奇跡』へと辿り着く。
前世の存在と過去の自分である陽灯から生まれた継受紡絆という存在。やけに精霊に好かれやすかった紡絆。ウルトラマンを唯一宿せる存在。
バーテックスによく狙われていたこと。天の神が狙っていた理由。
タタリという名の呪詛。
そして、本来は存在しないはずの黄金色のジュネッス。
歴代の
それらは全て、継受紡絆という存在が居たからこそ引き起こせた、文字通りの『奇跡』。
闇を光へ。呪いを祝福へ。
『光』である少年は、全てをもひっくり返したのだ。
辿り着けるはずのない明日を、終わるはずの世界を。
不幸な結末すらも。
そう言われても、紡絆には実感というものが湧かない。
必死に目の前のことを解決しようとして、その結果が今になっただけなのだから。
「さて…そろそろ時間ですね。もうすぐ体が戻ってきます」
「だったら君が戻れば……」
「それは出来ません。僕は貴方じゃない。僕は遡月陽灯であって継受紡絆ではないですから」
「本当に、それでいいのか?」
「それが一番いいんです。それに僕にはもう……時間がありません」
「……そうか」
よくよく見て見れば、陽灯を形成している体が光となって崩れていっている。
理解した。してしまった。
目の前にいる彼は、そもそも戻ることは出来ないのだろう。
なぜなら■■■■という魂がやってきた時には『肉体』は既に空いていた。
その時にはもう、陽灯は居なかったのだから。
だが■■■■の魂が陽灯とひとつになったお陰で陽灯は魂のみが現世に留まることが出来たため、今ここにいる。
目の前にいる陽灯は---魂にこびりついた残滓に過ぎず今、その残りカスも今燃え尽きようとしている。
「神樹様が
「…分かった」
覚悟が伝わってくる。
もうじき消える陽灯は、紡絆に全てを託そうとしている。
残った自身が持っている全てを渡そうとしている。
それを止めることは彼を無駄死にさせてしまうことであり、紡絆は受け取るしかない。
選択なんて、ない。
「あと少し。もう少しでウルトラマンは
「ああ、それでも俺はやる。スペースビーストもバーテックスもまだまだ生まれ続ける。だとしても足掻き続けてやる。必ず、今度こそは全て掴んでみせるから。俺はもう、諦めることはない」
「……はい。貴方でよかった。貴方だからこそ、僕は安心して任せられる。託すことが出来ます。僕はヒーローにはなれなかったけど、貴方は僕のヒーローです」
もう既に紡絆は多くの者から託されている。
その想いも力も消えることはなく、迷いのない姿に陽灯は嬉しそうな、眩しいものを見るかのように笑いかけた。
そんな陽灯の頭に紡絆は手を置いた。
体の分解が始まってるからか触れることは出来ない。
それでも光が伝っていく。
肉体的ではなく、精神的に。心から伝える。
「そうだな…君はヒーローになれなかったかもしれない。君自身がそう言うなら、自分自身が認められないんだろうな。だけどこれだけは否定させて貰う。君は万人を救うヒーローにはなれなくても、ある者たちにとってはちゃんとヒーローになれたよ」
「……え?」
言葉の意味が理解出来なかった。
かつて陽灯はウルトラマンの力を得た。幼い少年が得るには大きすぎるもので、責任が伴う。
きっと陽灯は
前世の人格を持つ紡絆ですら大きな力を得て悩むのは、 同じだったのに。
「見てきたんだ。乃木園子と三ノ輪銀、そして東郷---いや鷲尾須美、だっけ。彼女たちは生きてる。君が居たから、笑顔で生きられるんだ。彼女たちは後悔をしていなかった。むしろ思い出を大切に思ってた……それを、あの子たちの笑顔も明日を守ったのは、君なんだ。だから少なくとも彼女たちにとって君はヒーローだ。それだけじゃない。君は…今から俺のヒーローでもあるんだから」
「……ッ!」
そのような捉え方をするなど露にも思わなかったのだろう。
目を見開いて固まり、しばらくするとようやく追いついたのか陽灯の瞳から涙が零れる。
「あれ……おかしいな……。泣いちゃ、ダメなのに……僕にはそんな資格は無いのに……」
とどめなく溢れていく涙はいくら拭っても消えることは無い。
他の誰かがなんと言っても、自分が肯定する訳には行かなかったのだろう。
今までの僅かな記憶から察するに遡月陽灯は今も後悔するほどの罪を背負い続け、泣くことなく
ヒーローになりたいと夢見た少年はその道を自ら閉ざして、自らを否定した。
だけど世界を守るために。人を守るために戦い、走り抜いた。
紡絆はそれを、眩しく思える。
前世の自分には、そのようなこと出来ただろうか---と。
紡絆の記憶にある前世は、子供じゃない。だから今までの戦いだって苦しいことも痛いことも辛いことも我慢できた。
でも目の前にいる陽灯は、まだ小学生なのだ。
本当はまだまだ周りに甘えて、夢を見て、子供であるべきだったのに。大人にならなければなかった。
周りにもし、彼を『子供』にさせてくれるものが居たなら、彼も変わったはず。
でも居なかったからこそ泣くことも許されず、逃げることも許されず、大切な人たちを守るために痛みも苦しさも辛くとも全部全部我慢して、誰かを助けていた。
その時点で、彼もまた立派な小さなヒーローだったはずなのに。
だからこそ---
「泣きたい時は泣けばいいんだ。君も子供なんだから」
「ッ……は、い……ぃ……!」
紡絆はそれらを、否定する。
大人であろうとすることを。ヒーローではないと拒む彼を。
彼自身が認められないなら、
否定していたのは
だって、彼らは同じなのだから。
それを理解していない彼ではない。
涙を流し続ける小さな
目元が若干腫れて赤くなっているが、泣き止んだ陽灯は真剣な様子で、それでいて少し申し訳なさそうにおずおず、と紡絆に声をかける。
「あの、最後に色々と押し付けて、背負わせてしまって申し訳ないんですけど、あと一つ…僕の最初で最後の我儘を聞いてくれませんか?」
「ああ、できることなら叶えるよ」
これがきっと、最期の会話。
それは不思議と紡絆は分かっていた。
別にそう伝えられたわけでもないのに、分かったのだ。
相手が自分だから、というのもあるかもしれない。彼の体が光に変換されてると言うのもあるかもしれない。
でも残念ながら紡絆は何でも出来るわけではない。出来ないことは無理というしかない。
「
それが彼の願い。
幼い頃から今に至るまでずっとずっと抱き続けた理想。周りが現実を見るようになっても、彼だけは追い続けた夢。
それに対して---
「---ああ。任せろ!」
即答。
それを聞いて初めて、今までで一番の、とびっきりの
大人になるしかなくなってしまった少年は、初めて心の底から子供になれたのだ。
本当の自分を、取り戻せた。
そうして、陽灯の体が光に変わっていく。
紡絆と同じ、黄金色の光。違うのはそこに銀色が混じっている。
「気をつけてください。天の神はこれからの貴方をより消そうとします。ザギの目的も分かりません……ただそれでも、貴方ならきっと---」
続く言葉は、不要だった。
光が、紡絆の中へ入り込む。
それは最後の継承。
唯一完了していなかった『自分』という存在を継承した紡絆は、空間が光に包まれて視界が白く染まる。
戻る、そういう確信を持ちながら紡絆は己の中に存在する光を確かに感じ取った。
---魂は、受け継がれる。もう二度と会うことが出来なくなろうとも、例え形を失おうとも、形を変えて『絆』というものが永遠に残り続ける。
そうして夢を持ちながらも叶えることの出来なかった少年の夢を、夢を持たなかった者が受け取る。
これも、一つのバトン。
こうして夢のバトンも、絆のバトンも同じく受け継がれた---
心地良くなるような温もりが体中を支配する。
このまま居られたらどれだけ良いのか。
どれだけ楽で、どれだけ穏やかに過ごせるのか。
でもやることがあった。やらなきゃいけないことがあった。やり残したことがあった。
それを果たすために無理矢理意識を浮上させていく。
『---』
声が聞こえた。
聞き覚えのある声。
何度も助けてくれて、何度も救ってくれて、いつ何時だって味方であり続けてくれた大切な友の声。
『---絆』
起きなければならない。
このまま眠り続ければきっと、起きることはもう無いだろう。
でも、さっきまで持っていた休もうという考えはもうない。
託された。託されて、見つけた。
叶えなければならない願いを。追わなくちゃいけない夢を。
『---紡絆』
意識がはっきりとする。
声が鮮明に聞こえ、目がゆっくりと開かれる。
視界上に広がるのは赤。どこもかしこも赤で、現実離れした灼熱の世界。
熱に覆われた炎の世界---つまり結界の外。
「……俺は、確か……」
混乱する頭の中を整理する。
どうしてここに居るのか、何があったのか。何が起きたのか。
モヤがかかったかのように頭の中は曖昧で、体が痺れたように動かなかった。
『紡絆』
「……そうだ。そうだった」
名前を呼ぶ声が
自分が誰なのかを。何があったのか。何をしようとしていたのかを。文字通り、記憶という
そして動かなかった体は、
「ありがとう、ウルトラマン」
体をゆっくりと起こして、胸を握りしめる。
自分の中に存在する、大切な友に伝えるように。
誰かが呼んでくれなければ『自分』を見失っていたかもしれなかったから。
「……ウルトラマン」
『?』
それだけじゃなかった。
言わなければならないことは、たくさんあるけれど。
伝えたい言葉も向けたい感情もたくさんあるけど。
少なくとも、今彼に言わなくてはならないのは---
「---ただいま」
きっと、これだと紡絆は思って。
心から、闇を照らすほどの眩しい笑顔を浮かべた。
そんな紡絆を帰還を、彼は快く迎え入れる。
1:光の継承者
ということで、たっだいまー!
2:名無しの転生者
ファッ!?
3:名無しの転生者
生きとったんかワレェ!?
4:名無しの転生者
マ!?
5:名無しの転生者
王 の 帰 還
6:名無しの転生者
す し ざ ん ま い
7:名無しの転生者
【悲報】気がつけば目の前に知らない遺跡があるんですが…【なにこれ】→【速報】気がつけば目の前に知らない神殿があったんですが……【なにあれ】
何気に初スレのタイトルと似たような感じ出してくるの…なんというか、こう。分かってるわ
8:名無しの転生者
分かる。イッチの場合は新章が始まった感あるよね
9:名無しの転生者
ていうか、マジで生きてたのかよ。今まで何してたんだ
10:名無しの転生者
あのさあ。こっちが散々心配してたのに、普通に家に帰ってきたみたいな感覚でスレ立てするのはどうなのよ
11:名無しの転生者
よく無事でしたねぇ……
12:名無しの転生者
ハッピーエンドだな、ヨシ!
13:名無しの転生者
おら、早く勇者部のみんなを映すんだよ!お前の仕事だろ!
14:名無しの転生者
カメラマン見たいな扱いで草
15:名無しの転生者
そりゃ美少女の方が見たいからな
16:光の継承者
>>13
いやーそれはちょっと無理。というか、そもそも俺生きてた訳じゃないからね?スレ出来なかったのは許してくれ。それに復活したてでスレ立てるのはキツかったからちょっと休んでたんだ
17:名無しの転生者
確かに前スレはイッチじゃないみたいだし
18:名無しの転生者
結局誰だったんだろうな
19:名無しの転生者
あとあの神殿みたいなやつもなんなん?すぐに映像途切れからよく分からなかったが
20:名無しの転生者
少なくともネクサスにはなかった
21:名無しの転生者
生きてた訳じゃないってどういうことよ
22:名無しの転生者
とりあえず説明求む
23:光の継承者
神殿は俺も分からん。多分心象風景的なやつじゃない?
説明したいのは山々なんだが……悪いけどもう少し待ってもらっても?見てくれたら分かるけど、今この状況
【目の前にバーテックスとスペースビーストがいる画像】
24:名無しの転生者
ん?
25:名無しの転生者
…マジ?
26:名無しの転生者
なんでそんな今にも殺される可能性があるタイミングでスレ立てしたんですか?頭おかしいよ
27:名無しの転生者
イッチの頭は元からおかしいでしょ
28:名無しの転生者
確かに
29:名無しの転生者
スペースビーストもう復活してんのかよ。融合型じゃないのが救いだが、バーテックスもいるな。今まで見てきたやつとは違うけど
30:名無しの転生者
てか、大丈夫なん?イッチって生きてたわけじゃないって言ってたし蘇ったばっかりってことなんでしょ
31:名無しの転生者
病み上がりみたいなものか それに体動くんか?確か身体機能失ってたはずだが
32:名無しの転生者
前スレのやつが奇跡起こすっつってたからな どういう手段を使ったかまでは分からんけど……
33:名無しの転生者
いくら融合型がいないとはいえ、スペースビースト二体はキツくないか?バーテックスもいるし…いくらジュネッスやジュネッスブルーになれる上にイッチ自体が強くとも……
34:名無しの転生者
あの金色の姿になればいいのでは?分身能力あるみたいだし
35:名無しの転生者
あー四人に増えたやつか
36:名無しの転生者
中々にチートよな
37:名無しの転生者
能力的には遠距離寄りの形態に見えたけど、近接が出来ないってわけでもないしね
38:名無しの転生者
そう簡単になれるもんなんかな、あれって。どちらかというとグリッターに近い感じがしたが
39:名無しの転生者
シャイニングっぽくもあったな。無自覚にやったパターンでは?
40:名無しの転生者
有り得そうなのがまたなぁ……
41:名無しの転生者
最初の頃、戦い方とか光線とか能力とかそういった情報一切なかったからね……
42: 光の継承者
んー、大丈夫っぽい。今の俺なら使えるよ。前のままなら無理だったけど、必要な『力』は全部解放された…いや取り戻したって方が正しいか
43:名無しの転生者
取り戻した?元々あった力ってこと?
44:名無しの転生者
どういうことだ?
45:名無しの転生者
分からん……が、生き返った時に何かあったらしいな
46:名無しの転生者
気にはなる……
47:名無しの転生者
でもそんな暇はないよなぁ
48:名無しの転生者
ひとまず目の前のことを片付けないとな
49:名無しの転生者
あの形態になれるならなっちまえ。正直ジュネッスやジュネッスブルーで戦うとなると勝てたとしても間違いなくイッチはダメージを受けるだろう
50:名無しの転生者
相手の学習能力高いからな…
51:名無しの転生者
前回の戦いから考えるに肉体を光に変換してたから緊急回避にも使えそうだしね
52:名無しの転生者
見たことない形態だから正直推測しか出来ないけど
53:名無しの転生者
イレギュラーな敵にイレギュラーな形態……ただ、そう易々と使っていいものなのだろうか?
54:名無しの転生者
確かに、普通とは大きく異なる……
55:名無しの転生者
なーんかさ。特撮ってそーゆーの怪しいよね?
56:名無しの転生者
人間やめそう
57:名無しの転生者
肉体消滅しそう
58:名無しの転生者
神樹の力だし身体機能失いそう
59:名無しの転生者
暴走の可能性もありそう
60:名無しの転生者
トリガーみたいに強すぎる光に身を滅ぼしそう
61:名無しの転生者
なんなら寿命削ってそう
62:名無しの転生者
とにかく負担がでかそう
63:名無しの転生者
味覚から失っていって、そのうち人として生きれなく……
64:名無しの転生者
ろくなもんなくて草枯れる
65:名無しの転生者
まぁ強い分デメリットが大きすぎるやつって意外とあるから……
66:名無しの転生者
可能性としてありそうなのは、ウルトラマンになる……かな?
67:名無しの転生者
見た目も能力も『光』だもんな
68:名無しの転生者
ウルトラマンと言えば光みたいなところあるもんね
69:名無しの転生者
それはそれでシャレにならねぇ……
70:名無しの転生者
そこんとこは正直実際に予兆が起きないと分からないだろうけど
71:名無しの転生者
まぁ今は目の前のことをだな…
72:名無しの転生者
一体何が起きたのか、何があったのかは後で話してもらおう
73:光の継承者
詳しいことは全部後で話すよ。記憶も戻ったから分かったんだけど、俺の力に関して話すにはどうやら二年前のことも話す必要がありそうだし、今は行ってくる
74:名無しの転生者
ちょっと待て。記憶戻ったのか…!
75:名無しの転生者
いつの間に!?しかも二年前か……イッチが記憶を失った時だよな、それ
76:名無しの転生者
この話ぶりからして何かありそうだなぁ……
77:名無しの転生者
考えたら考えただけ不穏な気配がしてくるぜ……
78:名無しの転生者
まぁ例の形態に関してはポンポン使わない方がいいのかもね
79:名無しの転生者
どういう力を元にしてるのか分かればまた別だろうけど、神樹の力は絶対使ってるだろうし
80:名無しの転生者
とにかく今は目の前のことを解決しろ。その後は詳しく聞かせてもらうからな!
エボルトラスターを握ったまま前を向く。
もはや今更、覚悟など決める必要すらなかった。
目の前に存在するのは人類を滅ぼそうとする敵に過ぎず、共存など不可能な敵。
身を持ってそれを知った紡絆に、悩む時間すらいらない。
目を閉じて、ただ深く。深く潜っていく。
自分の中に眠る、輝きの光。
宿るウルトラマンとは異なる力。
『過去の自分』と『現在の自分』。そして『前世の自分』。
三つの存在を持つ紡絆だからこそ、発現出来た力。この世界の神たる神樹様の力を宿し、奇跡の力を宿す。ウルトラマンの力を宿し、絆を宿す。光の力を宿し、可能性の力を秘める。
それらを引き出すように、己の中の光を紡絆は確かに掴み取った。
「---」
その瞬間、紡絆の中から溢れ出る光が全身を覆い尽くし、両目が金色に染まる。
そして手に持つエボルトラスターに全身の光が収束していき、その形を大きく変えた。
エボルトラスターの本体が彼の本質を思わせるような
赤いY字型の上に備わる半球体は自然を思わせる
枝のような絵柄が追加され、
「
敵は油断の許せない脅威。
だが目の前で咆哮を挙げるスペースビーストにすら怖気付くことはない。
なぜなら彼は、ひとりじゃないから。
色んな人の繋がりが、共に有る友人が、傍に居てくれている。
何よりも---
「託されたんだ、力も願いも想いも。多くの人から、光を受け継いだ。
---必ず叶えてみせるよ、君の夢を。
多くの
ここにはいない友人たち。
何よりも、過去の自分自身から。
その光を受け継ぎ、魂に刻まれた夢というものを継いだ。
その末に、ようやく辿り着くことの出来た力。
本来であれば二度と変身することは叶わなかった。
本来であれば継受紡絆という人物の物語は終わりを告げ、ここに居ることは無かった。
本来であれば、継受紡絆は最初から存在するはずがなかった。
本来であれば、生まれてくるはずの存在ではなかった。
本来であれば、もう何も出来なかったはずだった。
でも今、ここにいる。助けられ、導かれ、託されて、生きることができる。
それは『奇跡』を収束させ、人々が可能性を見せ、神々や光の化身が答えてくれたから。
さらにその身は神の『呪い』を受け、『祝福』へ変換されたもの。
ならばもう一度、可能にしてみせよう。
『奇跡』を二度も三度も何度だって自発的に引き起こす。『奇跡』と『偶然』ではなく『必然』に。
『必然』と『運命』に。
絶望へ反旗を翻すための輝き。
それが『運命』であるならば『奇跡』ですらも。
自分自身の手で起こそう。
無論、そのようなもの一人では起こせない。可能に出来ない。
けれども---
「だから安心して見ててくれ。この世界は、絶対に終わらせたりはしない!行こう、ウルトラマン!」
『---もちろんだ、
ずっと傍に居てくれた彼となら、ウルトラマンとならば。
継受紡絆という存在は、何度だって。どこへだって。まだまだ。高く遠く飛ぶことが出来るのだから。
故に---
『見せてやる!俺たちの光の絆!』
その力を、『奇跡』を宿す光の絆の力が、ここに本当の意味で具現化する。
右腕で金色の本体を、エボルトラスターを前方に引き抜き、左肩に当てるのと同時に右腕を伸ばし、エボルトラスターを空に掲げる。
その瞬間、灼熱の炎に包まれた世界を、黄金色の輝きが世界を照らした。
どこまでも眩い、優しさと強さを感じさせる光の輝き。
紡絆の姿は消え、その姿は少しずつ巨大な人型を形成していく。
『シュアッ!』
死が広がる灼熱の世界に、
そうして『奇跡』を
黄金色のジュネッスの名称
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ジュネッス・オーア(紋章学で金色)
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ジュネッス・トリニティ
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ジュネッス・ブリエ(輝き)
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ジュネッス・ルフレ(光沢、反射)
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ジュネッス・ルクス(光)
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ジュネッス・ルミナス(光り輝く)
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ジュネッス・ゴールド(金色)
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ジュネッス・オール(金、全部)
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ジュネッス・グロウ(発光)