【悲報】気がつけば目の前に知らない遺跡があるんですが…【なにこれ】   作:絆蛙

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投稿遅くて草
おい、もうすぐCS版来るのにわすゆ入ってないんだけど。
文字数減った分投稿早くなるかと思ったら全然そんなことありませんでした。モンハンワールド楽しい









「邂逅」

 

 

◆◆◆

 

 第 2 話 

 

邂逅

 

 

 

◆◆◆

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

歩いて、歩いて、歩く。

何度繰り返したか分からない。

何度同じ夢を見てるか分からない。

分かることは前に進まなくちゃ行けないということ。理由があるわけでもないが、そうすべきだと何かが駆り立てる。

だからその先に何が待ち受けているのか分からなくとも、少年は歩み続けた。

そうして---光が見えた。

 

(嗚呼。今日も、ダメなのかな……)

 

夢が醒める。

いつもと変わらない。同じ景色を歩いて歩き続けても、何処にも辿り着くことがない。

まるでゴールなどないように。

いつもそうだった。

いつも帰るだけだった。

いつも目が覚めて、いつもと変わらない日々を過ごすだけだった。

けれど。

 

(僕は……助けになりたい。僕がここいる意味はきっと誰かが()()としていると、思うから…!)

 

諦めずに、その手を伸ばす。

確信があったわけでも、何かが見えたわけでもない。

ただ単に、ほんのちょっぴり勇気を出して手を伸ばしただけ。

だとしても、そのちょっぴりの勇気が夢をついに変化させた。

光から伸びてきた()が腕に絡みつき、少年の体は()()の光に包まれる。

いつもと全く違う出来事に驚きはするが、不思議と嫌な感じをしなかった少年は抵抗することも無く、流れに身を任せるように目を閉じた。

腕に絡みついた枝は次々と少年を覆い隠し、次の瞬間には全てが消滅する---

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「……うぅん……?」

 

少年が目を覚ましたのか、ゆっくりと目を開く。

最初に感じたのは違和感だった。

少年はちゃんと布団で寝たはずで、誰かが布団の中に入ってきたような感覚はあったが至って普通に布団で寝たはず。

しかしやけにゴツゴツしている。

いくら寝返りが激しく布団の中から出ていくことがあっても、そんなゴツゴツとした場所など家の中にはないし、そもそも少年は寝相は良いのでそんなこと起きるはずもない。

だとすれば、このゴツゴツとした…それこそコンクリートのような、地面に寝転んでるような感覚は何なのだろうか。

 

「……あれ?」

 

そう思って体を起こし、目の前の光景に言葉を失う。

目前に広がるのは変わらず灰色の世界ではあるものの、その世界は木々が複雑に絡み合い、いつも何も無い灰色の世界とは大きく異なる。

それこそ、今見える世界に正しい表現をするならば、それはまるで---()()ではないだろうか。

 

「ここは……?」

 

目の前の光景に目を奪われたが、起き上がるために手を地面に着いたところで、全く布団もなくただ木の地面だったということに気づく。

ゴツゴツとしていた理由が解明出来たのは良い事だが、立ち上がって周りを見渡しても、その世界は木ばかりが存在する。

残念ながら、色んな場所を歩いたり走ってきた少年の記憶にもこのような場所は見たこともない。

 

「とりあえず……」

 

何処に行けばいいのか分からないが、いつまで止まっていても何も変わるはずもない。

すぐに行動を移すという思考に至った少年は複雑な木々の中へ入っていく。

小さな枝もあれば大きな枝もあり、気をつけなければ転んでしまうかもしれない。

掻き分けるように手を動かすと、子供の力でも簡単に動かせる。

それほど強度がないというわけでもないのに。

()()()()()()ようだ。

 

「あだっ…!?」

 

そんなふうに進んでいたら、足が縺れて顔面から転んでしまう。

先に手を着いていたお陰で多少軽減は出来ていたが、痛いものは痛い。

しかしそれはおかしいだろう。

 

「……あれ、痛い?」

 

そう、痛いのだ。

少年はさっきまで『夢』を見ていた。現実の体は眠っているはずで、痛みなど感じるはずもない。

でも、今は痛いと感じた。

いくら少年がバカでも幼くとも、いつも経験していることだからそれくらいは分かる。

この世界は痛みがあるということ---すなわち、ここは現実。それとも現実に近いどこか、というのが正しいだろう。

その結論に至った少年は首を傾げるが、結局考えても分からないので思考を投げ捨てた。

元々考えるより先に動くタイプの彼は、当たって砕けろの精神に切り替えて歩みを進めた。

そうして進み続けた先に見えたものは---

 

 

 

 

 

 

大きな樹木だった。

混雑していた木々が嘘のように広がった空間に聳え立つ巨大な木。

世間一般で見るような色でもなく、何処か神々しさを感じさせるような黄金色のモノ。全ての色が消え去った世界で唯一、それだけが色を保っていた。

 

「これは…?」

 

規模の大きさに驚きはしたが、すぐに我を取り戻した少年は見上げる。

自身の身長を優に超えるほどの巨大な樹木。

明らかに他とは違うもの。

 

「君は…そっか。君が神樹様なんだ。ありがとう」

 

()()() 目の前の木の存在が神樹様だと確信を持てた少年は今までの事に感謝の言葉を伝えながら根元まで近づく。

当然ながら返事は返ってくることはないが、少年は僅かに考える素振りを見せるとその手で、木に優しく触れる。

 

「ずっと僕たちを見守ってくれて。守ってくれて。助けてくれて。色んなことをしてくれたんだよね。何を伝えるか悩んだけど、やっぱり一番最初に伝えたいことはこれしかないんだ。『ありがとう』っていうありふれた言葉。でもね---」

 

想いを伝えるように浮かぶ言葉を次々と口にすると、少年は不安げな表情となりながら、再び伝える。

 

「寂しくないの?ずっとここに居て、一人でいて…僕たちをずっと助けてくれて、辛くないの?疲れないの?大丈夫なの……?ねえ、神様だって寂しい時くらいあるでしょ?」

 

触れた手をゆっくりと労わるように動かす。

それこそ、いつもやっているように。神だからと崇めるわけでも、神だから讃えるわけでもない。神だからと敬うわけでもない。

人と接するように、ただ少年は『心配』しただけ。

 

「残念だけど僕に出来ることはないかもしれない……僕はそんな力ないから。だけどね、でもね。

一緒にいることは出来るから。その寂しさを埋めることは出来るから。お話することはできるから。君を労ることはできるから。だって、僕がここに来た理由は…き……っ、と……そ、の…ため……」

 

最後まで言葉を伝えることは出来ずに、限界を迎えたのか少年の体が倒れていく。

どれだけ歩いたのか、小さな身では疲労は凄まじいだろう。

しかし果たして、目の前に『神』が居て、少年のように『思いやれる』ようなものが居るのだろうか。

形作っていたならば、居るかもしれない。その体が人の形だったなら、人間と思って優しい言葉をかける人も居るかもしれない。

だが神樹とはこの世界の、少年の世界における神だ。

恵みをもたらし、護ってくださる神。

感謝することはあれど、それが『普通』となっている世界でもある。

なぜならそれは少年でも知っているような一般常識なのだから。

そもそもの問題。神とは 人の範疇を超え、人間を超越した存在。多くは尊崇するか畏怖するかのどちらかに分かれ、絶対的存在として伝わっている。

だというのに、神に出会った少年は特別何かを願ったわけでもない。ただただ、一人で存在する神に少年は邪な考えなど一切持つことなく思いやった。

気遣った。労った。感謝した。そして『助け』になろうとした。

そう、彼は神であろうと人間であろうとも同じく、『対等』に感情を向けた。

明らかに表情もどういったことを考えているのかも分からないのに。自分の方が疲れてるだろうに、初めに彼は他者を心配した。

神からすれば、そんな少年はどう映ったのだろう?

少なくとも---

 

 

 

 

 

神樹が倒れそうになった少年を守るように。

どこならともなく伸びてきた小さな枝が人が寝るようなベッドのような形を作って受け止めるように支えたことから、()()()()感情を抱いているのは確かだろう。

無論、神に人間のような価値観や感情があるかは定かでは無いが。

 

「………まも、る……から……」

 

まだ子供でしかない少年は、自身を支えてくれた枝に()()ように。()()()()()ということを、『独り』ではないことを伝えるように無意識に優しく握って、何かを呟いていた。

現実のようで、夢のような世界。夢のようで、現実のような世界。

元の場所で戻すように。少年の居場所はここではないというように。いや、本来の居場所に戻すために。

少年の意識が醒めていく---

 

(……だいじょうぶだよ…ぜったい、ひとりにはしないから……また、会いにくるから……だから、待ってて……)

 

うっすらと開かれた目が、光のような眩しさに閉じられていく。

最後に見えた姿は、何処か嬉しそうで、寂しそうで、悲しそうで---少年はそれが、酷く嫌だった。

だからこそ、少年は遠く意識の中で無理矢理手を伸ばし---世界は、容赦なく塗り替えられた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

◆◆◆

 

白色の袋に鋭く鋭利な歯と大きな口を付けたような姿をしたバーテックス。

いわゆる星屑と呼ばれるモノ。

それらが一気に雪崩のように流れ込んでいく。

しかし発射された光の刃が止まることなく切り裂き、光の刃は消えることがなく一直線に貫いていく。

星屑はこのままでは全滅することに気づいたのか左右に分かれると、そのまま左右に分散して襲いかかる。

 

『フッ---』

 

星屑が襲いかかる相手は、49mほどの銀色の巨人。胸にY字型の器官が存在し、銀色の両腕に黒と赤のラインが走り、中心に青色の半球体が存在するアームドネクサスを備えている存在---ウルトラマンネクサスだった。

彼は両腕を動かすことで、アームドネクサスの側面から伸びている金色の刃であるエルボーカッターで迎撃していく。

数こそ多いが、ネクサスにとってはさほどの脅威にもならない。あっという間に数を減らしていき、何かに気づいたネクサスが遠くを見上げると右手のアームドネクサスを振り下ろしながらその場でバク宙する。

その瞬間、物凄い速度で先程まで居た位置にナニカが駆け抜け、回避したネクサスの全身を光が包み込むと、青い鎧をその身に纏う。

俊敏に優れた強化形態---ジュネッスブルー。

 

『シェッ!』

 

変化した右手のアローアームドネクサスがソードモードを形成し、シュトロームソードを生み出したネクサスが加速。

星屑を一気に消し去り、牛を思わせるバーテックスのようなスペースビーストのような融合型になりかけた『進化体』を目にも止まらぬ速度で滅多斬りした。

シュトロームソードが役目を終えたように戻り、背後では天に還るように虹色の光となって消滅していた。

それを見届けたネクサスが両腕を交差すると、みるみる縮んで一人の少年の姿へと戻る。

 

「ふぅ……なんか見たことないやつが生まれてくるな」

 

ウルトラマンに変身していた黒髪の少年は、さっき戦った敵に関して記憶がなかった。

彼が知る基本となるバーテックスは黄道十二星座と拷問器具が元になった存在と、スペースビーストと融合する88星座に存在する星座のみである。

 

「まぁ倒せたからいいか……さて、いつ帰れるかなぁ」

 

考えても分からないからか考えることをやめた彼は熱された世界を歩いていく。

明らかに危険地帯であるのに、その心は荒れることも焦ることも無く平常心だった。

それどころか帰れる算段が一応あるのか、あまりに落ち着いていて---

 

『---紡絆。その方向はさっきと同じだ』

「あっ……こっちか!助かったよ、ウルトラマン」

 

ただの迷子だった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

558:名無しの転生者

マジでイッチ強すぎね?あれ、未完成とはいえネオ融合型になりつつあった個体だよな?

 

 

559:名無しの転生者

お前……だってこいつ、今までの戦いは全部瀕死レベルの傷で戦ってたんやぞ?

 

 

560:名無しの転生者

なんならガチで瀕死だったからな。その状態で勇者の協力ありきとはいえメフィスト+ネオ融合型を相手に勝つバケモノやぞ

 

 

561:名無しの転生者

バケモノ呼ばわりは草

 

 

562:名無しの転生者

万全の状態(頭打ってた)初戦に関してはガルベロスをアンファンスで討ったからな……多分ギャラファイのようなノア様本人クラスに近づく強さはあんじゃねーの?

 

 

563:名無しの転生者

万全のイッチの安心感半端ねー!

 

 

564:名無しの転生者

こりゃザギも警戒してて可笑しくはないな

 

 

565:名無しの転生者

ジュネッスブルーでアレだもんなぁ…明らか上位互換の黄金色の形態になったらどうなることやら

 

 

566:光の継承者

悪い、切ったな。また記憶再生するわ。というか再生しとくから見といて、また星屑襲ってきたからしばらく相手する。どちらにせよ四国に行かれたら困るし相手しないといけないしな

 

 

567:名無しの転生者

出来るなら最初からやれ定期

 

 

568:名無しの転生者

今アップデートされたんやろ(てきとー)

 

 

569:名無しの転生者

生身で突っ込むイッチはバカなのだろうか

 

 

570:名無しの転生者

バカだから突っ込んでいくんでしょ

 

 

571:名無しの転生者

まぁ変身するやろ。それよりも…おっ、再生され……ん?

 

 

572:名無しの転生者

え?…あんれぇー!?

 

 

573:名無しの転生者

ちょっ、はっ?マジ?え、かわいい

 

 

574:名無しの転生者

いやいやいや!それよりもイッチって記憶思い出したくせに気づいてないのか!?

 

 

575:名無しの転生者

この時、何気に出会ってたんかーい!

 

 

576:名無しの転生者

でも相手も気づいてる様子なかったしなぁ

 

 

577:名無しの転生者

小さい頃だから仕方がないとはいえ、意外な縁があったな…

 

 

578:名無しの転生者

まあイッチは鈍いから気づくはずないか

 

 

579:名無しの転生者

小学生くらいだし、流石に覚えてないんだろうなぁ…この時のイッチって僕っ子みたいだからより印象違うだろうしね

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

少年の方が背が高いからか、少年はしゃがみ込んで少女の背に合わせると、怖がらせないように優しげに口を開く。

 

「どうかした?」

「え……?」

 

ハンカチを取り出した少年は差し出しながら声を掛けると、少女は泣き止む。

というよりは驚きが勝った影響で混乱してる、というべきか。

 

「泣いてたから気になったんだ。僕で良ければ力になるから、話してみて?」

「え、と……あっ、ああああの…そ、その……」

「ゆっくりで大丈夫。自分のペースで話してくれたらいいから」

 

中々言葉が出てこない少女を見かねてか、そう言った少年は持っていたハンカチでそっと涙を拭うと、ただ待っていた。

 

「そ、その……お、おねえちゃんと…はぐれちゃって……」

「そっか。じゃあ僕と一緒に探そう!大丈夫!こう見えて何かを見つけるのって得意だから、絶対見つけ出すよ!おーぶねに乗ったつもりでいいから!」

 

すぐに理解出来た少年は胸を張って得意げに笑いかける。

それで警戒が解けたのか、ただ緊張してたのかは分からないが、少女はゆっくりと頷いた。

 

「よーし!れっつごー!」

「わっ……!?」

 

即断即決。

少年は少女の手を優しく取ると、ゆっくりと歩いていく。

突然の行動に驚いたものの、行動力の塊とも言うべき少年は気にした様子もなく少女に話を振りながら人探しに精を出す。

---が、ほとんど少年しか喋ることはなく、少女は聞いてるだけだった。

どうやらコミュニケーションを取るのは苦手らしい。

 

 

 

 

 

 

 

 

特徴だけを聞いた少年は名前を呼びながら探して、不安そうにする少女にも気をかけながら少しでも安心させるように強く手を握って笑顔を向ける。

まるで太陽のような少年に釣られてか、時期に少女も不安な表情はなくなっていったが、簡単には見つけられないのだろう。

そもそも子供の身なのもあって視野は狭い。

それでも少年は諦めるつもりなど毛頭なく、内心で考え込みながらも、声が枯れようとも見つけ出すつもりだった。

 

『--きー!』

「…んー?」

 

その時、思考が遮られる。

遠くから聞こえてきた声ではあったが、誰かを呼ぶような声だ。

状況的に少年は隣の少女なのではと思い顔を向けると、少女は気がついたように周囲を見渡していた。

となれば、正解なのだろう。

動きすぎて遠くなってしまえばせっかくのチャンスを失ってしまう。

故に少年は足を止めると、目を閉じた。

 

「……?」

 

傍では目を閉じて止まった少年のことが気になったのか少女は首を傾げてるが、手が繋がれてるのもあって動けない。

が、少年は集中してるため目を開けない。

聞こえてきた場所を探るように少しでもいらない音を遮断し---

 

『--つき!』

「うん、こっち!」

 

気づいた少年が方向を転換して走っていく。

無論、少女に気を遣って全力ではなく早歩きよりちょい速い程度で。

少女は引っ張られる形で後ろから着いていき、そうこうしてる間にだんだんと声が大きくなっていく。

さらに周りを探しながら声を出している別の少女の姿が見え、こっちの存在に気づいたのか駆けてくる。

 

「ほら、安心させてあげて」

「っ……はい!」

 

それを見た少年は手を離すと、少女の背を優しく押す。

一瞬だけ振り向いたが、すぐに少女は前を向いて走り出し、再会を喜ぶように抱きついた。

 

「もう、心配したんだからね。大丈夫?ケガはない?」

「う、うん…ごめんなさい」

「ううん、私が悪い部分もあるし…それよりも無事でよかった」

 

姉と思わしき少女は申し訳なさそうにする少女を大切そうに抱きしめながら頭を撫でて、安心したように息を吐いていた。

そんな姿を見て、少年はただ嬉しそうに微笑む。

目の前の少女たちが悲しんでないからだ。

大したことはしてないが、役に立つことが出来た。笑顔が見られた。

それだけでもう、十分だった。

邪魔者はこっそり立ち去ろうと音を立てないように後退りしていく。

が、事情を聞いたのか姉と思わしき少女が気づいて近づいてくる。

 

「あっ、待ってください!樹を…妹をありがとうございました!」

「あー…いえ、僕にも妹が居ますから慣れてるんです。ただ今度は目を離さないであげてください。見た感じこの辺りに慣れてる感じはありませんでしたし、そんな場所で一人になると不安でしょうから」

 

別にお礼が欲しくてやったわけじゃないため、ちょっと困ったように笑いながら、姉と思わしき少女に目を合わせて答える。

そしてゆっくりと背を降ろし、すっかり姉にくっつく少女に似た光景が思い浮かんだ少年は既視感を覚えつつ目線を合わせる。

 

「今度はお姉ちゃんとはぐれないようにね」

 

そしてそれだけ告げて軽く頭を撫でると、少女は姉に隠れてしまった。

それを見て苦笑すると、姉の方も苦笑していた。

 

「何はともあれ、見つかって良かったです。それじゃあ僕はやることがまだまだあるので、これで!」

 

あまり長居するわけにもいかず、少年は振り向く前に頭を下げてきた二人に会釈だけして走り去っていく---と、即座に何かを見つけたのか方向転換して男の子に声を掛けていた。

 

「なんというか……忙しない人ね…って名前聞くの忘れてた!」

「ま、また会えると……いいね」

「---そうね。にしても、珍しいね。樹が他人に、それも男の子相手にそんなこと思うなんて」

「へっ!?そ、そうかな……?」

 

そのような会話があったことは知らず、お互い名前も知らぬまま二人の少女と少年の道は分かれる---

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

気がつけば灰色の世界に居て、気がつけば眼前には樹海が広がっていた。

以前までは歩く必要があったのに、いつの間にか居た。

なぜここにいるのか、どうやって来れたのか、一瞬そんなことを考えた少年は分からないので投げ出し、即座に行動に移す。

駆け出し、木々を潜り抜けていく。

その先にあるもの。その先に存在するものに会わなければならないから。

そうやって駆け抜けた後に、やはり巨大な樹木が存在していた。

そこにあったことへの安堵の息を少年は吐き、ゆっくりと歩み寄ると見上げる。

 

「えっと…こんにちは…ううん、こんばんは、かな?」

 

何を言うべきか僅かに考え、ひとまず挨拶することにした少年は大樹に声をかける。

だが、何も返ってくることはない。

 

「ん…こほん。まずは自己紹介だよね。僕は継受紡絆って言うんだ、得意なことは特にないけど、好きなものは誰かの笑顔を見ること!幸せな姿を見ること!あとは---あっ、星とか!星って色んな種類やたくさんの名前があってね、本で知ったことしか分からないけどいつか宇宙に出ることが出来たら、たくさんの星が見れたらいいなーって思ってる!」

 

ニコニコと笑顔で自分のことを語る少年---紡絆は幼い子供らしさが全開だった。

嘘のひとつも着くことはなく、あまりに純真。

 

「君は?」

 

素朴な質問をする紡絆だが、少し待っても何も返ってこない。

何の反応もなく、流石にどうすればいいか分からなくなって沈黙するが、すぐに何かを思いついたような反応をする。

 

「そうだ!僕のことをよく知ってもらいたいし、僕のことをたくさん話すね!そうしたら寂しくないし、一緒に居られるから!それがきっと、僕がここに居る理由だと思うんだ!」

 

元気いっぱいにそう告げた紡絆だが、当然の如く神樹からは何も聞こえないし反応は返ってこない。

そのせいもあり、ここには現在目視できる範囲には紡絆と神樹のみしかないため問題ないが、傍から見れば木に話しかける変人だった。

 

「それじゃあ、今日のことから話そうかな〜今日は朝の6時には起きて、最初はお母さんの手伝いをしてね---」

 

少しでも警戒を解くためか、純粋に何も考えてないのか、無警戒にも木に背を預けて、今日一日の始まりから紡絆は話していく。

その間にも、紡絆の表情は笑顔だったりちょっと落ち込んだり驚いたりと様々に変化をさせながら、意識が消えるまで話し続けた---

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

意識が消えたら、気がつけば現実に戻っている。

そして眠ったら、また気がつけば紡絆は樹海に居た。

距離は前回よりも離れておらず、すぐに木々を潜り抜けた紡絆は挨拶しながら定位置と言わんばかりに同じ場所に座って、見上げながら口を開く。

 

「神樹様、今日も会えたみたい!

それじゃあ今日は何を話そうかな?あっ、僕の妹のことを教えてあげるね。僕の妹は小都音って言うんだけど、いつも僕の後ろに着いて来てくれるんだ。他人と喋るのが苦手で僕や家族以外だと隠れがちだけど、本当は凄く優しくて---」

 

自分のことのように何処か誇らしげに語っていく彼の言葉を聞いても神樹は相変わらず何も反応はしないが、紡絆は気にすることなく語る。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「今度は僕の母さんのことを話してあげるね!母さんはいつも僕たちのことを大切にしてくれて、優しくしてくれるんだ。それにね、家庭的でとっても優しい!僕と同じで嘘が苦手みたいだけど、僕も母さんもそこまで気にしてないんだ。だって本音で話し合えるってことでしょ?だったら誰とでも分かり合えると思うから!だから僕はそんな自分が好きだよって…これ、僕の話になっちゃったよね、反省反省…!

こほん、改めて。他にも母さんは---」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「前回は母さんのことを話したから、次は父さんのことだよ!といっても、僕が普段外に居るのもあってあんまり会う機会は少ないんだけどね。普段は僕たちの生活費のために働いてくれて、一緒に過ごせる休日の日にはよく出かけたりしてるんだよ。父さんは釣りをするのが好きでね、僕もちょっとはできるんだ!でもでも、何故か分からないんだけど父さんはお魚さん釣れるのに僕は釣れないんだよね…いつも逃げられちゃうの。あっ、でも一匹だけはぐれてる子が居てね、その子は釣れたんだ!その後は群れの方に返してあげたけど、不思議とね、その子が困ってるように見えたんだ。お魚の言葉が分かるわけじゃないのにな〜」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「今日は何を話すかちゃんと考えてきたんだ〜。今日は星について話そうと思ってる!そのためにね、本を---えーっと……あっ!ああーっ!ない?ここには持ってこれないの忘れてた…!ご、ごめんね、どうしよう…!えと、覚えてる範囲でいい…?まだ全然勉強してなくって……つ、次!次からはちゃんと覚えてくるよ!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

---何日も何日も少ない時間の中で少年が喋り続けている。いつの間にか日課のようなものになったそれは、もう数ヶ月たっても同じだった。

返事がある訳でもないのに、少年は喋り続けるのだ。

楽しそうだったり、嬉しそうだったり、喜ぼしそうに。悲しそうだったり驚いたり色んな表情を見せて。

それでも、いつだって最後には神の目には『笑顔』の少年が映っていた。

あまりにも眩しくて、あまりにも綺麗だった。

少年の『魂』は子供だからというのもあるが、真っ白なのだ。純真で真っ直ぐで、穢れが一切なく眩いまま。どれだけ日数が変わろうとも影響されることがない。

普通、子供とはいえど『嘘』や『見栄』というものは見せようとするものである。しかし目の前の少年はそういったものは一切ない。

無論魂ごと神の目すらも欺けるほどならばどうしようもないが。

だが今も安心しきったように背を預けて眠る少年がそんなことをするとは到底思えないし、するはずもない。

少年の人生を『視た』上の判断だが、本当にそのまんまを話している---といっても語彙力的な問題で曖昧な部分はあるが。

いずれにせよ、悪意を隠しきって近づいたとしても、こうやっているのはリスクが高すぎるだろう。

あまりに無防備過ぎる。

仮に悪意ある神ならば少年を食らっていたかもしれない。

それを自覚しているのかしてないのか、恐らく後者だと神々の意見は一致した。

 

「んう……うう……」

 

そのような判断をしてる間に、少年の体が僅かに震える。

それに気づいた神は根を動かし、少年を包み込むようにして囲いを作る。

それを終えた頃には震えは止まっており、神は見続ける。

目の前にいる少年は()()()入り込んできた異物のようなものであり、残念ながら少年には『勇者』の資質も『巫女』の資質もない。

故に言葉は届かないし、本来ならばここへ来ることはないはずだった。

ならば何故ここへ入れたのか?

神は考え、気づく。

目の前の少年の中に存在する『ナニカ』。何処か眩しく、何処か穏やかで、何処か優しく、何処か力強く、どこか美しく。あまりに表現しようがない形も姿も何もかもが曖昧な『ソレ』はなんなのかは不明だった。

それでもそれが導いたのだろう、と確信が持てる。

何より似た気配を知っている神が共有し、知っている神々が納得を示す。

だが同時に、神は悲しんだ。

少年が辿る道は、もう『普通』ではいられないのだと。いつしか笑顔を失い、大切なものを失い、いずれは自分を壊してしまうかもしれない。

それは神にも分からない。

『過去』ではなく『未来』だからだ。

変化しない過去と変化する未来には大きな違いがある。

それでも分かるのは、少年の『日常』は消え去ってしまうということ。いずれ自分たちは少年に頼ることになってしまうこと。

彼の中に存在する『ナニカ』は、そういう宿命を背負うことになる。背負わせてしまう。

彼には『勇者』の資質もなければ『巫女』の資質もないが、『英雄』の素質が存在してしまったから。

この世界においてそれは、過酷な運命を辿る決定的なものへとなる。

だが、神は何もしない。何も言わない。

ただ最後の瞬間まで寄り添い、人類の選択に従う。

神樹とは個人の自由を尊重しどこまでも人類の我が儘につきあってくれる存在なのだから。

それでも神は、不思議と確信があった。

きっと目の前の少年は突き進むのだろうと。

なぜなら少年は、継受紡絆という子供は『守られるべき立場』なのにも関わらず、神にすら手を伸ばすほどにお人好しで、この世界に生まれ落ちた正真正銘のイレギュラー(英雄)なのだから---

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「あれ……男の子?」

 

そんな姿を、一人の少女(勇者)が目撃してたのを神は気づいた。

 

 

 





○継受紡絆(過去)
僕っ子。
なんか知らんけど最近見てた変な夢の中で歩き続けてたら()()()神樹様の世界に入り込んだやつ。
この頃から人助けはしているが、比較的そこまでやべーことはしていないらしい。

○継受紡絆(現代)/ウルトラマンネクサス
迷ってるバカ。
が、傷が癒えてるのでバケモノみたいな強さになってる。
実は過去の出会いに関しては全く気づいてなかったりする…というよりは、助けた人の数が多すぎて関わりが薄かった人物に関してはいちいち覚えてない。
もしかしたら他にも会ってるかもしれないし会ってないかもしれない。

○犬吠埼姉妹
過去に紡絆くんとちょっぴり出会っていたが、覚えてないと思われる。
そもそも過去の僕っ子紡絆くんと現代の俺っ子紡絆くんが違う部分あるので仕方ないといえば仕方ないしここから先に二人に訪れることを考えれば、ちょっぴりのことを覚えていないのも仕方がないだろう。

○神樹様
運命の出会いのひとつ。
実は神樹様は何もしてなかったりするが、自身に対する接し方や紡絆くんの魂と人生を視て勝手に好感度爆上がりしてる。
が、結局選択は人類に任せる方針らしい。

黄金色のジュネッスの名称

  • ジュネッス・オーア(紋章学で金色)
  • ジュネッス・トリニティ
  • ジュネッス・ブリエ(輝き)
  • ジュネッス・ルフレ(光沢、反射)
  • ジュネッス・ルクス(光)
  • ジュネッス・ルミナス(光り輝く)
  • ジュネッス・ゴールド(金色)
  • ジュネッス・オール(金、全部)
  • ジュネッス・グロウ(発光)
  1. 目次
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