【悲報】気がつけば目の前に知らない遺跡があるんですが…【なにこれ】   作:絆蛙

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感想は投稿したあと、起きたら見てるのですが(返信はサボらないためにわざと投稿前にしてる)前回誤解を招くような表現になってたようで、申し訳ございません。ついでにイッチの知識量は昭和全般にしました(ややこしかったため)
そしてやっと章決めたのでつけました。センスカッスやな(自虐)

それとネクサスってオリジナルタグ付けた方がいいんですかね……?(無くても)バレへんか……。

今回は書く前から決めてた内容なんで…長くなったのにびっくり。や、まじでヒロインっぽくなってるけど決めてないんだよ? そういうつもりはないです、ほんと。あ、もしかしたらサブタイトルの曲付けながら読むとより良くなるかもしれません(未検証)
まあ、今回の話で私から言えることは……なんかギャラファイの言葉が当てはまるなーと今作に至ってはガチやべぇ世界なのでガッバガバチャートになるRTA勢並に生易しく行かない、とだけ。
では、どうぞ




「-赤く熱い鼓動-ハートビート」

 

 

 

◆◆◆

 

 第 6 話 

 

-赤く熱い鼓動-ハートビート

 

 

 

ろうたける思い

 

 

◆◆◆

 

 

 

 

 

 

 

 

 

あぁ、これは夢だな、と紡絆は思った。

夢だと自覚出来た理由は簡単であり、誰もが理解出来るだろう。

そもそもの話、夢とは何か?

夢、それは『現代』の辞書に寄ると睡眠時に生じる一貫性を持ったある程度の幻覚体験。心の中で描いている願い。現実とは別で甘美な状態を実現させている。現実ではありえない妄想、空想の世界。迷い、悩み、迷夢と言われるもの。不確かな物事。

簡単に言うならば、『心に描いているもの』が一番適切だろう。

例えば、奥底で悩んでいる悩み。

そう言ったものを()として()()だと錯覚させようとする。

例えば、妄想。

自身が()()()()として人助けしているとしよう。

それは憧れだ。空想の存在に憧れ、自身もそうなりたいと願っている証。現実では出来ないからこそ、夢で理想の世界を創り上げてしまう。

ただし、それは『現代』である。

遥か昔、古代といえる時代には夢とは睡眠中に肉体から抜け出した魂が実際に経験したこと柄が夢としてあらわれるのだ、という考え方は広く存在していた。

他にも神や悪魔のお告げとも言われており、12世紀、1225年頃に誕生し、1274年に死没した中世の神学者、トマス・アクィナスという人物が居た。

彼は夢の原因には精神的原因、肉体的原因、外界の影響、神の啓示の4つがあるとしたのだ。

さらにネイティブアメリカンの一部の部族は夢を霊的なお告げと捉え、古代ギリシアにおいて夢は神託であり、夢の意味するものはそのままの形で夢に現れているためと考えられている。

一方で、夢占いでは見た者の将来に対する希望・願望、またはこれから起き得る危機を知らせる信号と考えられている---つまりは予知夢だ。

はたまた一方で現代の神経生理学的研究では、「夢というのは、主としてレム睡眠の時に出現するとされる。睡眠中は感覚遮断に近い状態でありながら、大脳皮質や記憶に関係ある辺縁系の活動水準が覚醒時にほぼ近い水準にあるために、外的あるいは内的な刺激と関連する興奮によって脳の記憶貯蔵庫から過去の記憶映像が再生されつつ、記憶映像に合致する夢のストーリーを作ってゆく」と考えられている。

簡単に言うならば、自分だけが見ることのできる『個人的なドキュメンタリー映画』というのがわかりやすいだろうか。

長々と語ったものの、結局のところ『夢』というものは解明することなど出来てなどいない。大勢の科学者や人々が調べてもなお、未だに未知の領域、同じものを見るのではなく、夢の数は千差万別あるとされているだけだ。

ならば、何故継受紡絆という一人の人間が夢だと判断できたのか?

それは---

 

 

 

 

 

 

『お兄ちゃん、料理出来たよー?』

 

『あ、あぁ……』

 

死んだ妹が、目の前に居たからだ。

それは、願望。

通常、夢を見ているときには自分で夢を見ていると自覚できないことがほとんどであり、覚醒するまでは夢であることが分からない。誰もがそうであり、彼だってそうだ。

しかしこれに対し、夢の中でも自覚している現象を明晰夢と呼ぶ。その場合には夢の内容をコントロールすることも可能であると言われており、紡絆自身は自分で理想の世界を創ったのだと察していた。

それでも、温もりは---確かだったのだ。

 

 

 

 

世界が切り替わる。

食卓に皿が並べられており、妹の小都音と紡絆の二人っきり。両親は仕事でいないのか、今は居ない。

紡絆と向かい合わせになって座る小都音は笑顔を浮かべており、反応を待つように見ていた。

 

『どうかな? 美味しい?』

 

『…………ッ』

 

出されている食品のメインは、ハンバーグ。

定番と呼ばれる定番ではあるが、中はしっかりと焼けており、外見も不格好な形をしておらずにふっくらとしている。

焼きすぎているわけでも焼けてないわけでもなく、バランスの取れた出来上がりだ。

そのことから、普段彼女が料理をしていて、才能があることも垣間見える。

夢だと、夢であると理解しているのに紡絆はハンバーグを食べた瞬間、溢れ出す肉汁や目立ちすぎることのない僅かに感じれる調味料の味を、家庭の味の感じ取って涙を零す。

もう味わえないと、二度と食べることも叶わないと思っていた味だったから。

 

『え、えぇ!? だ、大丈夫!? もしかして美味しくなかった!? う、上手く出来た自信あったんだけど……!』

 

「い、いや凄い美味しい……。そんな慌ててどうしたんだ?」

 

紡絆の目の前には、小都音が慌てる姿が見える。

自然と、無意識に涙を流している紡絆には彼女が何故慌ててそのようなことを言っているのか分からなかった。

 

『だって……ほら、泣いてるよ? 何かあったの?』

 

『涙? ……ぁ』

 

紡絆は言われて自覚する。

自身の目元に触れると、手が濡れたのを感じたからだ。

すると、自覚してから少しずつ溢れ出てきて止まらなくなっていく。

 

『な……んで……。止まらない………ッ!』

 

『………何かあったんだね。お兄ちゃん、よしよし』

 

何故涙を流しているのか自覚すらしてなくて、未だに理解出来ていない紡絆を小都音は何処か心配するような、慈愛の籠った瞳で見つめる。

そして紡絆に近寄ると、自身の胸元に紡絆の頭を埋めさせて頭を撫でた。

確かな熱。温もり。人の体温。()()()()()のようで、夢とは思えない世界。

 

『私は知ってるよ、お兄ちゃんは昔からずっと、誰かのために行動してるって。自分がどれだけ傷ついても……止まらないってこと』

 

家族であるから、誰よりも傍に居たからこそ小都音は本人よりも『継受紡絆』という人間の本質を理解していた。

 

『本当は怖いけど、何よりも失うことが怖いんでしょ? でも、お兄ちゃんなら大丈夫。いつも私を守ってくれてたもん』

 

『……違う。違うんだ。もう、遅いんだ』

 

一定のペースで紡絆の頭を撫でていた小都音から、紡絆は自らの意志で離れて首を振る。

一瞬だけ、小都音は悲しそうな表情を浮かべたが、すぐに首を傾げた。

 

『遅いって?』

 

紡絆に聞こえてきたのは当然の疑問。

それに答えようとして---唇を強く噛み締めた。

まるで自分が背負わなくちゃいけないものだと。

 

『……ごめん、なんでもない。大丈夫、もう落ち着いたからさ』

 

だからこそ、紡絆は笑顔でそう答える。

所詮夢は夢だと、現実ではなく、目の前にいる小都音は偽者だと。自身の過去の記憶が生み出したものだと。生きていて欲しかったと願ったからこそのものだと。願望が現れたとしても、甘えることなく自身が孤独に背負うべきものだと。

 

『もう、帰る(寝る)よ。おやすみ、小都音』

 

『そっか。おやすみなさい、お兄ちゃん』

 

そう言った紡絆に対し、一度顔を伏せて上げた小都音は笑顔でそう返す。

瞬間、世界は完全に壊れ、紡絆の意識は夢の世界から追い出された。

 

『………私はずっと傍にいるよ。だから、もう一人で背負わないで。みんなを、頼ってね。自分で自分を苦しめないで、囚われないでお兄ちゃん』

 

ただ、紡絆には悲しそうな表情で見ていた小都音の姿を捉えることも、その言葉が聞こえることもなかった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「…………」

 

目が覚めると、紡絆は目元に違和感を感じて拭くと、涙を流していたことに気づく。

そして懐かしい声を聞いたことで思い出した。

最期に聞いた言葉を。()()()()()()なのに止めれなかった自分を。

彼女の、小都音と最期に交わした言葉でもあった。

 

『どうして……どうしてなの? もう知らない! 勝手にしてよ! お兄ちゃんなんて、()()………ッ!』

 

継受紡絆にとって、今でも後悔している記憶。

涙を流しながら去っていく小都音の姿を見て、手を伸ばすことしか出来なかった記憶。

両親は何とかするから落ち着いたら話し合いなさい、明日でもいいからと優しく言ってくれたものの、その()()は来なかったという何よりも深く残ってしまった記憶でもあった。

この時に紡絆ではない、前世として生きていた自分だったら、思い出すのが早ければ救えたのだろうか---そう紡絆は何度も考えてしまう。

 

「はぁ、センチメンタルになってるのかな? 今は考えたいことは別にあるんだし、明るく行くか!」

 

そんな思考を消すようにため息を吐くと、いつまで寝転んでいても、後悔してても何も変わらないと紡絆は布団から出て着替え、リビングに向かうのだった。

---目が覚めた時の一瞬、エボルトラスターがうっすらと輝いていたことに気付くこともなく。

 

 

 

 

 

 

 

「今日は……あー、そういえばアレだっけ、説明されるんだったな」

 

家にある仏壇に花を添える。

白い菊、カサブランカ、紫のヒヤシンス。

どれも簡単に手に入るものではあるが、意味としては白い菊には諸説はあるものの、『ご冥福をお祈りします』。カサブランカには『純粋』。紫のヒヤシンスには西洋では、「I am sorry(ごめんなさい)」「sorrow(悲しみ、悲哀)」「please forgive me(許してください)」という花言葉がある。

それは彼自身知っているものかどうかは不明だが、恐らく知りはしないだろう。

 

「じゃ、行ってきます」

 

正座をして特に宗教に入っていない彼は拝むとエボルトラスターを手に立ち上がる。

亡くなってしまった家族。そのために彼が出来ることなんてハッキリ言って人間なのだからないのだろう。

せいぜいこの世界を守るか他の人々を自分と同じように遭わせないようにするくらい、だろうか。

しかしスペースビーストと同じく、バーテックスも一度っきりではないと彼の勘が告げている。だからこそ戦わなくてはならない。

だが紡絆にとって別のウルトラマンとはいえ知っているウルトラマンとは違い、勇者システムというのは不安要素しかない。本当に安全なのか? 大赦は信頼していいのか? 暴走を引き起こしたりしないのか? そんな様々な考えが紡絆の中で巡るが、彼は頭を横に振った。

 

「それにしてもジュネッス、かぁ……ティガ先輩曰く、想いや光……だが、どうすりゃいいんだろうな。なあ、ウルトラマン」

 

苦笑いしながら独りごちると、エボルトラスターは一度ドクンと鼓動するだけだった。

真相も分からず、もはや仕事しているのか分からないストーンフリューゲルでも全く治っていない肉体の痛みに耐えながら、学生の本分である学校へ向かうために彼は東郷の家と向かうのであった。

多分友奈も来てる……はず。居なければ友奈の家に行って起こさないと、など考えながら。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

学校。

その放課後のことだった。

日直である友奈が仕事をしているのを紡絆は見ながら、腕を抑える。

あくまで自然体で片腕を抑えたまま椅子に背中を預けていると、窓側にいる女子生徒の会話がふと聞こえてきた。

 

「隣町で交通事故があったよね? 私近くに居たからびっくりしたんだよ」

 

「あの2、3人怪我したってやつ?」

 

「そっちにメッセージ送ろうとしてたら充電がなくて……」

 

「あるある」

 

「………」

 

聞こえてきた情報に昨日の戦いによる影響が出たのではないか、という思いが生まれ、紡絆はポケットに手を突っ込んでエボルトラスターを握る。

 

(俺がもっと上手く戦えてたら……いや、ジュネッスにさえなれてたら問題なかったのか? 力がいる……ウルトラマンになった俺は守らなくちゃいけないんだ。俺が、俺一人で十分なんだ。俺一人でなんだって出来る。だから戦うのは……俺一人で)

 

過去、それも昔。

前世で昭和ではあるが、ウルトラマンが空想の存在として存在していた。当然世代であった彼も憧れを持ち、同時に虚構の存在とはいえどヒーローとして見ていた。

そんなヒーローの力が自分にあるからこそ、守らなければいけないと、やらなければいけない、と。

それは、ウルトラマンの重圧。

彼から見ても、ウルトラマンはヒーローだった。

人類の醜いところや裏切り、弱さ、差別、恐怖心ですら全て受け入れ、失望してもなお、最後まで人類と地球を守ってきた。

なぜなら、ウルトラマンは人間を愛してくれているから。ウルトラマンは地球を第二の故郷として扱ってくれたのだから。

だからこそ、過剰なほどまで気負ってしまう。精神的にも追い詰められてしまう。

何故なら、継受紡絆はウルトラマンだから。光を、受け継いだのだから。

しかしながら、ウルトラマンは一人で戦ってきた訳では無い。紡絆には大事な部分であるそこが抜け落ちてしまっていた。

 

「……っと、今は仕方がない。それよりも……あっち、だよなぁ」

 

力を渇望したところで何も変わらない。

そのため、紡絆は思考を切り替えたのだが、紡絆は『欠席なし』のところに『だといいね』と書いた友奈に少し呆れた。そのまま視線を動かしていき、東郷の様子を見て苦笑する。

一日経っても---経ったからこそ思うところがあるのだろう。

何処か考えるように俯いてる東郷を見て、紡絆はどうすればいいか分からなかった。

彼からすると、東郷だけでも勇者にならなかったのは戦いに巻き込まないという意味ならば、よかったのであるが---大事な人が落ち込んでいる姿を見るのも嫌であり、また本人の意思も尊重したい。

難儀なものだった。

 

「はぁ……我ながら悩み事が尽きないなー」

 

ため息を付く紡絆。

とりあえず掲示板に書く自分のことを考えておこう、などと考えながら、彼は友奈と東郷と共に勇者部の部室へ向かうのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

勇者部の部室は、家庭科準備室にある。

全員が揃ったからか部長である風は黒板にチョークでなにやら書いているが、それよりも友奈は、見慣れぬ小動物を頭に乗せている。

デフォルメされた花びらのような羽を生やした牛みたいなその小動物の名前は『牛鬼』と名付けたらしく、友奈に力を貸してくれている精霊だ。

かなり自由な性格の様で、この部室に入った瞬間勝手に姿を現した。

 

「この牛が……ッ! ビーフジャーキーでも食え!」

 

しかも勝手に姿を現したかと思うと、紡絆の頭に早速噛み合いたのである。すぐに友奈が助け出したので特に問題はなかったのだが、理不尽に噛まれた紡絆は怒りのあまり、どこからともなく取り出したビーフジャーキーを友奈の頭の上に乗っている牛鬼に近づけていく。

正直絵面はなかなかにやばい。一人の男子中学生が女子中学生の頭にビーフジャーキーを近づけているのだから。

 

「牛がモチーフとなっているなら共食いは出来まい!」

 

「あっ、紡絆くん。それは---」

 

何故かドヤ顔で勝ち誇ったような顔をする紡絆。

そんな紡絆に友奈が警告しようとした瞬間、自身のテリトリー(縄張り)に入ってきた獲物を狩る猛獣の如きキラリ、と瞳を輝かせ、虎視した姿勢から一気に飛びつく。

 

「へ?」

 

勝ち誇っていた顔から驚愕へと移り変わる紡絆。

そんな紡絆を無視して牛鬼はパクリ、と一口で食べて見せた。

---手と一緒に。

 

「ぎゃあああああああぁぁッ!?」

 

「好物だから危ないよーって……」

 

「お、遅かったですね……」

 

部室内に広がる悲鳴。

手をブンブンと振って牛鬼を離そうとする紡絆と、好物であるビーフジャーキーを食べたい牛鬼。

 

「可愛いですけど、牛なのにビーフジャーキーなんですか?」

 

「んー、そうみたい」

 

「おい! 俺の手は美味くないぞ! ってか共食い良いの!? 君、本当に牛なの!?」

 

騒がしい一人を他所に、牛鬼に関する話題で盛り上がっている友奈と樹。

紡絆はぶんぶんと強く振りまくっているが、牛鬼は遊んで貰っている子供のように笑顔を浮かべて手首までしっかりと咥えていた。

 

「さてと、みんな元気で良かった」

 

「ちょ、一人噛まれてますけどー! 普通に話に入ります!? いやいや、助けることくらいしてくれてもいいんじゃあないですか!?」

 

「うんうん、元気が有り余っていてよし」

 

「解せぬ……」

 

あ、これ取り付くってくれないな、と完全に諦めた紡絆は手首を牛鬼に噛ませたまま座って話を聞く姿勢になる。

しかし暇になったからか、牛鬼が手首から口を離して紡絆の腹に頭突きを食らわして来るため、紡絆は再びビーフジャーキーを手に持って手首ごと食わせた。

この短時間で紡絆は手懐ける方法を身につけるほど成長したのだった。

 

「それじゃあ、改めて昨日のことを説明していくわね。戦い方についてはアプリのテキストがあるから、私からは何故戦うのかってところを中心に話していくわ。

---まずはこれが、バーテックス。

外の世界から壁を越えてこの世界に侵攻してくる人類の敵。神樹様から十二体の敵が襲ってくるとのお告げがあったわ。

そして昨日も言った通り、目的は、この世界の恵みである神樹様の破壊。つまりは人類を滅ぼすことね」

 

そういうと風は黒板右上に大きく描いてあるなんだかよくわからないものに大きく丸を付ける。

人の顔のようにも見えなくないそれが、風の中では昨日のバーテックスだという事らしい。

 

「それ、昨日のやつだったんだ……」

 

「き、奇抜なデザインを現した絵だよね!」

 

「ほら、牛鬼言ってやれ」

 

樹の言葉に友奈がフォローするように声を挙げる。

そんな中、いつの間にか仲良くなったのか手首を食べさせたまま牛鬼を太ももに座らせた紡絆が言うが、残念ながら首を傾げるだけだ。

 

「それに対抗するために大赦が開発したのが『勇者システム』。

神樹様に選ばれた少女が、あのアプリを介して神樹様と霊的回路を開き、神樹様から力をお借りすることでバーテックスと戦える力を得るの。

人智を超える力には同じ力をぶつける、みたいなものね。

今は倒すことが出来るけど、以前までは何とか追い返すのが精一杯だったみたい」

 

「それ、私たちだったんだ……」

 

「ほ、ほら現代アートってやつだよ!」

 

そうやって、黒板に書かれた奇妙な絵に次々と印をつけながら説明を続ける風だったが、家族である妹からの突っ込みに内心ダメージを受けていた。

そこになんとか再びフォローを入れようと涙ぐましい努力をする友奈の肩に手を置き、諭すような表情で紡絆が口を開いた。

 

「友奈、フォローしなくていい。純粋に風先輩が下手なんだ。牛鬼もそう言ってる、多分」

 

「そこっ! 人の絵に文句言わない! というか絶対適当でしょ、あんたっ!」

 

「いやいや、牛鬼だって言ってますよ、ほら!」

 

「何も言ってないけど!?」

 

「耳を澄ませてください! きっと聞こえます! 聞こえなかったら聞いてください! なせば大抵なんとかなる!」

 

「そんなことに勇者部の五箇条のひとつを使うなー!」

 

「ちょ、やめ、痛い痛い! 痛ああああい!!」

 

牛鬼を風に向かって突き出すが、何も言わない牛鬼。

そこで無茶振りを振る紡絆だったが、風は紡絆に大抵の人は効くであろう両拳でこめかみを挟んでグリグリとする攻撃を行った。

未だに牛鬼に手を噛まれたままの紡絆は片手しか使えず、抵抗もままならないまま凄まじいダメージを負った紡絆はその攻撃を受けてダウンした。

KOである。

風は鼻を鳴らして勝ち誇るが、周りの視線に気づいたからかひとつ咳払いを入れて話を戻す。

 

「コホンッ。注意事項として、樹海が何かしらのダメージを受けたり、倒すのに時間がかかるとその分、日常に戻ると何らかの災いが起こると言われているわ。

つまり、影響があるということね。しかも封印の儀は一度っきりよ」

 

それを聞いて、紡絆と友奈は偶然にも思い出す。

ここに来る前、同級生の会話で隣町で事故が発生したということを。

 

「大赦もサポートに動き始めてるけど、派手に破壊されて大惨事なんてことにならないよう、あたしたち勇者部が頑張らないと!」

 

「あのー、ちょっといいですかね?」

 

「なにかしら? またされたい?」

 

「そちらのけはないので遠慮しておきます。いや、そうじゃなくてですね」

 

復活した紡絆は噛んだまま寝出した牛鬼を見て邪魔だな、と思いながら立ち上がると質問するように手を挙げる。

まだ何か言い足りないのかと風が拳を構えると、両手を振って拒否し言葉を続ける。

 

「勇者システムって友奈や樹ちゃんたち---つまりは女の子にしか扱えないんですよね。そして風先輩の今までの言葉から察するに……樹海化でしたっけ? 勇者しか入れないのでは? なんで男である俺が入れるんです?」

 

「知らない」

 

「マジ?」

 

「マジマジ、大マジよ」

 

まさかの発言に敬語を忘れる紡絆だったが、嘘ではないと分かると風との間に微妙な空気が流れる。

紡絆からしてみれば答えがあるのかと思ったのに、返ってきた答えが『知らない』なので仕方ないのだが。

 

「なんで知らないんだっ!?」

 

「私だって想定外だったのよっ! そもそも大赦からは『入れるかもしれない』と曖昧な言葉で言われたんだから! 逆になんであんたは入れてるのよ!?」

 

「俺が知るわけないでしょう!? 俺は大赦の人間じゃないですし! 第一俺が()()()()()のに分かるわけないじゃないですか! つーかどうなってんだ、大赦は!? なんでそんな俺の事だけ曖昧なんだよ!」

 

「あーそこなんだけど、紡絆に関しては本当に分からないから大赦に問い合わせてはいるわ。一応勇者部に誘うようにとは言われてたんだけどね……」

 

一泊遅れてのツッコミ。

再びヒートアップしかけていたが、今度は対象が風ではなく大赦だったのですぐに落ち着き、聞いていた東郷が確信したような表情をしていた。

そして部室に来て今日初めて口を開く。

 

「……ということは、勇者部は先輩が意図的に集めたメンツだったんですね」

 

真剣な様子で聞こえた言葉に風は来たか、と紡絆を相手していた時とは考えられないくらい表情を引きしめる。

 

「……うん、そうだよ。私は大赦から指令を受けて皆に声をかけたの。この地域で高い適正値を持つ人物は事前にわかってたから……」

 

「知らなかった……」

 

「黙っててごめんね」

 

「次は敵、いつ来るんですか?」

 

樹ですら知らなかった、ということは指令を受けたのは風だけなのだろう。

謝る風に友奈は思い浮かんだ疑問を聞く。

敵がいつ来るのか、それが知っているのと知らないのでは全然違う。だからこそ聞いたのだが---

 

「分からないけど明日かもしれないし、一週間後かもしれない。そう遠くはないはずよ」

 

残念ながら風も知らないらしく、近いうちに来るということだけらしい。

 

「……なんで、なんでもっと早くに勇者部の本当の意味を教えてくれなかったんですか。友奈ちゃんも樹ちゃんも、紡絆くんも死ぬかもしれなかったんですよ」

 

「……ごめん。でも勇者の適性がどれだけ高くても、敵が来るまで分からなかったのよ。選ばれる確率よりも、選ばれない確率の方が高かったから」

 

東郷の言葉に、風は申し訳なく謝るしかない。

しかし結果論とはいえど、選ばれない確率が高い、というのは一つの言い訳のようにも聞こえなくはない。

 

「人類滅亡の可能性もあるから各地でいる……ってことですかね?」

 

「うん」

 

選ばれない確率が高い、ということから紡絆は考えると、思ったことを聞いた。

どうやら正解らしく、風は頷く。

だが、例えそれがそうだったとしても、人間の感情というのは『はいそうですか』と簡単に受け入れられるほど簡単ではないのだ。

 

「こんな大事なこと……ずっと黙っていたんですか……」

 

「東郷……」

 

どう答えたらいいか分からない風は、車椅子を動かして部室を去る東郷に名前を呼ぶことしか出来なかった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

◆◆◆

 

 

68:428:光を継いだ転生者 ID:nX2S4UypW

ということで、説明貰ったんで説明しますねー。

じゃ、俺の情報から全部開示しますわ

 

 

69:名無しの転生者 ID:JuPpe5r/H

ん? 今なんでもするって

 

 

70:名無しの転生者 ID:6D7qsJ+75

性癖も公開するってマジ?

 

 

71:名無しの転生者 ID:evPPYE1Pm

その前になんでイッチはさっきから手食われてんの?

 

 

72:名無しの転生者 ID:NFTKeBdKb

>>69

言ってないんだよなぁ……

 

 

73:名無しの転生者 ID:wJcUojCq5

ここのイッチはすぐ情報隠すからなぁ……

 

 

74:名無しの転生者 ID:Qbl4EKHQD

それな。お陰でこっちが悩む羽目になってんだ

 

 

75:光を継いだ転生者 ID:nX2S4UypW

いやだって、聞かれなかったし

 

 

76:名無しの転生者 ID:OX82Ln2AK

聞くヤツがいるかクソッタレェ!!

 

 

77:名無しの転生者 ID:lejINBa+6

そもそもなんで聞かれるかと思ったんですかね……

 

 

78:名無しの転生者 ID:W7Q2Gv8n3

普通は重要らしき部分は言うんだよなぁ

 

 

79:名無しの転生者 ID:hZynHHfTf

いい加減にしろ、そしてちゃんと言え

 

 

80:名無しの転生者 ID:WLdMFeZWj

ほんとさぁ……そもそもTLT滅んでるとかどーすんのよ

 

 

81:名無しの転生者 ID:NDPgiLo2N

ザ・ワンが既にどっかで倒されてるのが確定してるからなぁ……

 

 

82:名無しの転生者 ID:6mBF2N7JJ

イッチだけじゃ殲滅出来んだろうし、詰んでね?

 

 

83:名無しの転生者 ID:XknnE1lcg

まあまあ、次隠したら殴ることは出来なくとも罵倒するくらいなら出来るし罵倒しまくればいいだろ

 

 

84:名無しの転生者 ID:cPNmJ+ke+

百合の間に挟まってる時点で有罪は確定してるから……

 

 

85:光を継いだ転生者 ID:nX2S4UypW

なんでみんなそんな過激なの? ちょっとくらい優しくしてくれてもいいじゃん……泣くよ?

いや、今はいいけどさ、とりあえずまとめ終わったから下記に載せるわ。その次はこの世界における勇者というやつや敵についてまとめるゾ

 

↓↓↓

 

川で頭を打って前世の記憶を取り戻した一般転生者。

友奈と東郷さんの隣に住んでます。

ウルトラマンネクサスの力を受け継いだが、未だにアンファンスである。

この世界では継受紡絆という名前で生きているらしい。

『らしい』というのは実は俺って記憶喪失らしくって、小学六年生くらいかな、それ以前の記憶が『全部』ない。だから本当の名前か分からない。少なくとも『継受』というのは苗字確定っぽい。ただ目が覚めた時は病院に居て、しばらく眠ったままだったらしい。

後々に話を聞いたらどうやら海で溺れて低体温症によって死にかけてたらしいけど、なんか生きてた。ぶっちゃけ通報聞いて向かっただけだからそこは病院の人も分からんって言ってた。普通に考えて流されたんじゃないかな。

あとウルトラマンの力を受け継ぐ前の三ヶ月前くらいに家族を無くしてる。

家族である妹に至っては喧嘩別れした次の日に亡くなったので謝ることすら出来ない。どうすればいいんだ。

力を引き出すことについて、ティガ先輩に言われたことを未だに答え出せていない。

ついでに肉体がガチでやばいので仮に今日戦うことになったりして連戦になれば死にそう。本音を言うと戦うのは誰かを失うかもしれないのが怖いからなければいいなぁ…。

昭和ウルトラマンは全部知っていると自称しているが、平成は友人に聞いただけ。メビウスってウルトラマンだけは(名前は)知ってる。

手を噛まれてる理由はよく分からんが、懐かれてるとかなんとか。少なくとも俺は殺しに来てるんじゃないかとしか思えない。

 

こんなもんですかね……

 

 

 

86:名無しの転生者 ID:Z7r5KZGuf

は? あのさぁ……

 

 

87:名無しの転生者 ID:DeJafYU33

ネクサスの力を受け継ぐにはそんな過去がないとダメなんですかね……?

 

 

88:名無しの転生者 ID:hFotekrnu

意外と重たかった件について。

イッチはその世界で生きていて、二年間の記憶しかないってマ?

 

 

89:名無しの転生者 ID:OX82Ln2AK

なんか……アレですね、ジュネッスになれなかった点では真木。他の部分では溝呂木や姫矢さんと後半憐と凪と孤門くんなどの全てのデュナミストを詰め込んだような過去してますね……。肉体がガチでやばいとか完全に姫矢さんと憐だし。どんな人生送ってんねん…

 

 

90:名無しの転生者 ID:10Nor8jiz

ちょっとノア様。いくらなんでもスパルタ過ぎないですかー?

 

 

91:名無しの転生者 ID:+AykUlVK0

なんかこう、イッチの性格が明るかったせいで全然思わなかったんだが、重すぎない?

 

 

92:名無しの転生者 ID:4dlrVXjpW

秘密はなしとは言ったが、まさかの過去にびっくりしたわ。というか記憶もない状態で目を覚ましたら記憶なしの死にかけた後の病院って怖すぎる……

 

 

93:名無しの転生者 ID:wlhYQzu2a

イッチもイッチでよく普通の人格が残ってましたねぇ。全ての記憶失くしたらどう拗れるか分かったもんじゃないし

 

 

94:名無しの転生者 ID:4YC3Zv8qm

地味にフラグ建っててるやんけ。やめとけ

 

 

95:名無しの転生者 ID:jKHWo+OM+

>>85

未だに一般転生者とかいう嘘をつくな。一般人がアンファンスであそこまで戦えるはずがないんだよなぁ

 

 

96:名無しの転生者 ID:lpeY61t2d

>>85

正直そこまで重たい過去があるとは思いませんでした……。ウルトラマンかよ

 

 

97:名無しの転生者 ID:p2/KSvN3w

イッチはウルトラマンだよ

 

 

98:名無しの転生者 ID:5wnunIRMR

流石に草生やすこと出来ねぇよ。つーかイッチが明るく居れるのが凄いな、ほんと。俺だったら絶望してるね、間違いなく

 

 

99:名無しの転生者 ID:3u5iDBsMe

>>71 >>85

イッチはスペースビーストにも狙われやすいしやはり謎の生物に狙われる特性でもあるのでは?

 

 

100:名無しの転生者 ID:wO/jlLxI1

ワンチャンあるな、それ

 

 

101:光を継いだ転生者 ID:nX2S4UypW

色々返したいところだが、正直ネクサスの知識がない俺にとってはよく分からないことばかりなんや。なのでスルーで。

そんで次はこの世界のことだけど、また下記に載せまーす。

 

神樹様

この世界における神みたいな存在というか神様で核。四国以外の外の世界で死のウイルスで蔓延しているのに無事なのは神樹様のお陰で、生活出来るのも神樹様のお陰。

バーテックスが現れたら世界を守るために樹海化、簡単に言えば結界を貼ってくれるらしい。

 

樹海化

四国の内部は勇者以外の時間が止まっているとか。ちなみに勇者の攻撃や多分ウルトラマンの攻撃とビーストの攻撃、バーテックスの攻撃、封印の儀の継続で樹海が傷つけられると四国に影響が与えられるらしい。

事故とかの災いで。

そして風先輩曰く、勇者でもない男である俺が入れる理由は不明らしい。

 

大赦

神樹様を祀っているとこ。

風先輩も所属しているらしいが、詳しくは知らん。

 

バーテックス

外の世界から壁を越えてこの世界に侵攻してくる我々人類の敵。十二体のバーテックスがいるらしく、前戦ったやつは乙女型ってやつ。

目的は核である神樹様を壊して世界と人類滅亡させることらしい。

どいつもこいつも再生能力を持ってると思われるらしく、封印の儀を行って御魂を破壊しないと倒せないとか。しかも封印の儀は一度のみらしい。

バーテックスはどうやら俺、ウルトラマンも敵と判断してるのか狙ってくる。とりあえずぶっ飛ばしていい存在。

 

勇者

神樹様の力を借りて変身する。

大赦が開発したシステムらしく、神樹様に選ばれた少女のみが変身出来る。

俺はなれないらしい。

 

精霊

勇者のサポート的な存在。武器のサポートや致命傷になり得る攻撃を精霊バリアで勇者を守ってくれる。

ただし衝撃などは殺せないらしく、精霊バリアにも限度があるので最強の盾!という訳ではないみたい。

俺の手首を食べてきてるデフォルメされた花びらのような羽を生やした牛みたいなのが、友奈の精霊である『牛鬼』。風先輩は青い犬のようなやつで『犬神』。樹ちゃんは緑の毛玉に葉のような触覚を生やしている『木霊』。

 

 

とりあえず説明されたのはこれだけですねぇ!

 

 

102:名無しの転生者 ID:B+JcKuGGW

おっつー

 

 

103:名無しの転生者 ID:i+iPd4iGK

おつかれー

 

 

104:名無しの転生者 ID:4dlrVXjpW

分かりやすくて助かる

 

 

105:名無しの転生者 ID:NbMqkyqkl

つまりは神樹様のお陰で守られていて、バーテックスは敵。勇者システムは何処ぞの魔法少女作品みたいに女の子しかなれないと。

精霊はサポートね。

 

 

106:名無しの転生者 ID:rahdfhvjC

なるほどなぁ……思いっきり戦闘系の作品じゃねぇか!

 

 

107:名無しの転生者 ID:nWY5VpSux

まぁ、普通は日常系の世界にウルトラマンの力なんて持たんだろうからなー。世界が繋がってたり敵のみが乱入してるパターンならおかしくは無いが

 

 

108:名無しの転生者 ID: LMLRbI+MB

結局はあれだよな、イッチの過去が実は重たかったのと記憶喪失というまさかの情報があったくらいか? あとは家族を亡くしているとか。

 

 

109:光を継いだ転生者 ID:nX2S4UypW

正直まとめるの疲れた……今回はマジで隠してないぞ。俺の全て話したからな。あーでも現実の方でもまだ問題があるんだよなー

 

 

110:名無しの転生者 ID:mubPdsKrb

あとは色々と疑問がある増えたのもあるが、これ以上知らんならどうにも出来ないしねー

 

 

111:名無しの転生者 ID:ZESagnKst

今回はマジで、って言ってるし素直に信じよう。今回ばかりは本当に全部言ってそうだし

 

 

112:名無しの転生者 ID:kGVhcmp4t

こんだけ詳細に書いてくれてるとな。過去まで書いてくれた。

 

 

113:名無しの転生者 ID:HKYkGUB1a

そういや、結局スペースビーストについては知ることがなかったか……やっぱり未知の生物として扱われてるのか?

 

 

114:名無しの転生者 ID:Y1fNJ9LSv

それか知るものが限られているのか、消されたか、どっちかかもな

 

 

115:光を継いだ転生者 ID:nX2S4UypW

あ、待って。ひとつ忘れてた。これは俺もよく分からないんだけどさ、俺を除いてみんな知らないはずなのに東郷だけは『ウルトラマン』のことを知ってたわ。

ぶっちゃけ正体バレたかと思って焦った……正体バレ=最終回、地球を去るイメージがあったから

 

 

116:名無しの転生者 ID:sMlkFGCoo

東郷さんだけ知っている? どういうことだ? 過去にウルトラマンが現れていた?

 

 

117:名無しの転生者 ID:gpFFD+NuW

とすると、間違いなく東郷さんはウルトラマンに出会ってるな。

それもイッチがネクサスということは、必ずその前の適能者として『ザ・ネクスト』が居たはずだ

 

 

118:名無しの転生者 ID:OX82Ln2AK

ちなみにザ・ネクストというのは分かりやすく言うと、ウルトラマンネクサスがより弱体化した時の姿ゾ。

劇中では真木舜一という地球での初代適能者と融合して戦い、ザ・ワンを撃破した。スペック上はジュネッスでネクサスのアンファンスだったらしいが、真木さんが強すぎたのでそれ以上出ていたと言われているんやで

 

 

119:名無しの転生者 ID:YBKYAMwSG

相変わらずの博識ニキ助かる

 

 

120:名無しの転生者 ID:t9C+t9m6b

ちなみに実を言うと、ニュージェネーションに入っても正体バレは避けてるんだが、ネクサスは隠すことなんて全くしてなかったよ。メビウスという例外もあったが、基本的にはバラしてなかったから今の時代だったらもっとネットで大騒ぎされてただろうね

 

 

121:名無しの転生者 ID:36jiomkMK

ネクサスに至っては隠してる暇すらなかったから仕方ないっちゃあ仕方ない

 

 

122:名無しの転生者 ID:BVhfs1klu

それにしてもスペースビースト+バーテックスはやばそうな組み合わせだな……未だに仕掛けてこないザギさんも怖い

 

 

123:名無しの転生者 ID:kTGd5xMZ1

それに勇者システムってのも分からないよな。簡単に言えば神の力を身に纏ってるみたいなもんなんやろ?

 

 

124:名無しの転生者 ID:RTYV95r/W

そう言われるとなんかありそうだよなー

 

 

125:名無しの転生者 ID:EvSaDyIp4

選ばれる必要があるって点もな……

 

 

126:名無しの転生者 ID:5W8p1Mmm5

普通は量産化してても不思議じゃないし、男性が纏えないのも不思議だな。まるで人身御供だ

 

 

127:名無しの転生者 ID:i6Ryt2a/W

ちょっと勇者システムってやつも何処ぞの魔法少女ばりに怪しいから気をつけた方がいいかも。とりあえずイッチは一番気をつけろ

 

 

128:名無しの転生者 ID:s8g5/p1E9

イッチの肉体マジで限界っぽいしな……多分明日にでも襲ってくると見ていいかもしれん。

 

 

129:名無しの転生者 ID:uR+gIvzAB

まだザギさんの姿が確認出来んから分からないが、仮にいるなら間違いなく襲ってくるだろうな。イッチがノアになったら既に絆バフ掛かってるせいでザギさんでも勝てないだろうし、そもそも恨んでるし。

 

 

130:光を継いだ転生者 ID:nX2S4UypW

あーそれでだけど今さ、風先輩がずっと黙っていたからか東郷が怒ってどっか行っちゃったんだよ。

ということで安価しまーす。ただし、今回は割とちゃんとしたので頼む。

安価の内容は風先輩か東郷さんのどっちかに行ってフォローするかね。

じゃ、>>154で

 

 

131:名無しの転生者 ID:zk4uS3IxR

ちょ、いきなり!? お前、初心者かよぉ!

 

 

132:名無しの転生者 ID:S+IgwAXxY

まじか! 情報量多いけどこればかりは東郷さんのところに向かってフォローするで!

 

 

133:名無しの転生者 ID:donLU67ax

>>109

ここで言ってたのはそういうことか

 

 

134:名無しの転生者 ID:RotthRcS7

というか過去にウルトラマンが居たということはさ、前の適能者は誰だったんだろうなぁ

 

 

135:名無しの転生者 ID:vy3u7Hkk7

風先輩のフォロー、と言いたいところだが……

 

 

136:名無しの転生者 ID:gkWUSkq5e

普通に考えて東郷さんでしょ

 

 

137:名無しの転生者 ID:htELK5T2F

とりあえずイッチは悔い改めて、どうぞ

 

 

138:名無しの転生者 ID:kIEISGWdh

東郷さんのところで一発ギャグしろ

 

 

139:名無しの転生者 ID:lnIZb5SuJ

風先輩に煽るで

 

 

140:名無しの転生者 ID:VxuZ9vvPS

何もしない

 

 

141:名無しの転生者 ID:V6X3W7AXT

>>139

煽る理由ないでしょw

 

 

142:名無しの転生者 ID:wisyLF9kK

イッチは休んどけ

 

 

143:名無しの転生者 ID:cvrZC8N00

そのままじっとして木にでもなっとけ

 

 

144:名無しの転生者 ID:5SIJDC5QN

なんかみんな当たり強くて草

 

 

 

 

帰れ

 

 

145:名無しの転生者 ID:BRR/a/to+

敢えて樹ちゃんの元へ向かう選択肢はなしですか?

 

 

146:名無しの転生者 ID:oOrzyhNOl

友奈ちゃんのところに行くんだよ、あくしろよ

 

 

147:名無しの転生者 ID:G+E4Vsfub

てか、イッチはいつまで牛鬼に噛まれてんだよw

 

 

148:名無しの転生者 ID:YysNKc6D0

牛鬼と遊んどけ

 

 

149:名無しの転生者 ID:5XlQ4SIMm

なんでビーフジャーキー常備してんだこのイッチ……。いやまあ、家の残りを持ってきたんだろうが、お前今は年齢的に酒飲めねぇだろ

 

 

150:名無しの転生者 ID:EesV+Wo0T

やめろぉ! 安価中だからこのままじゃ変なのになっちゃうだろ! 落ち着け!

 

 

151:名無しの転生者 ID:48nBkGehv

うるせぇ! とっとと東郷のところに行くんだよ!

 

 

152:名無しの転生者 ID:z9lrpZwQf

風先輩が少ないのは……今回ばかりはしゃあないか

 

 

153:名無しの転生者 ID:sX78FGS60

東郷のところで親父ギャグで

 

 

154:名無しの転生者 ID:e2dGgTQQ2

フォローと東郷に告白

 

 

155:名無しの転生者 ID:erD8bgCul

だるまさんがころんだ

 

 

156:名無しの転生者 ID:PoaWpcKjE

>>154

は?

 

 

157:名無しの転生者 ID:3KXKM2rTO

ちょ、おまっ!? 何してくれてんだああああああああぁぁぁ!?

 

 

158:名無しの転生者 ID:IHDIzwRsC

お前ーっ!

 

 

159:名無しの転生者 ID:CZ6JiGGLi

やって良い事と悪い事があるのが分からんのかーっ! バッキャロー!

 

 

160:名無しの転生者 ID:ltYqJhKCC

バカヤロォー! なんて下手クソな安価だ! もっと周りを良く見やがれ! 誰も得しないじゃねぇかよ!

 

 

161:光を継いだ転生者 ID:nX2S4UypW

>>154

え、マジで……? 大丈夫だとは思うが、なんか言われたら死ぬぞ俺。 いや、安価だからやってくるけどさぁ。親父ギャグよりマシだけどさぁ。俺のメンタルが削れるだけだし。

あ、ちなみに東郷さんになるだろうなーって思ってたから今は友奈と自販機に飲み物買いにいってたりします。

最初は友奈が行ってくる!とか言ってたから俺もついてきた感じ

 

 

162:名無しの転生者 ID:K+HhHnck2

なんでこのイッチは自然と間に挟まるんですかね……

 

 

163:名無しの転生者 ID:AWzp3q+nw

は? てめぇ! 玉砕してこい!

 

 

164:名無しの転生者 ID:U27Agj0Fo

待て、これ以上はやめろ! 玉砕確定で考えてるけどもし付き合うことになったらどうするんだよ!

 

 

165:名無しの転生者 ID:YSwI9I1dE

考え直せバカ!

 

 

166:名無しの転生者 ID:8LuC/IaHZ

戻ってこい!

 

 

 

 

181:光を継いだ転生者 ID:nX2S4UypW

すまんもう無理

 

〔添付:友奈が飲み物を東郷に差し出す姿と牛鬼に手首噛まれたままの少年の写真〕

 

 

182:名無しの転生者 ID:/saT+LZHD

未だに噛まれてて草

 

 

183:名無しの転生者 ID:85IQnDp+A

とりあえず玉砕しろ

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

◆◆◆

 

紡絆と友奈が東郷の元へ向かった部室の中では、風が水色の犬の様な精霊、犬神を東郷に見立て、謝罪の練習をしていた。

 

「えっと、説明足らなくてごめんねぇ♪

……軽すぎてもっと怒っちゃうかな……」

 

先程からずっとこの調子なのだが、本当に申し訳ないと思っているのは同じく部室にいる樹には分かってはいた。

 

「本っ当にごめんなさい!

……低姿勢過ぎるよね。困った。

どうやって仲直りすれば……樹ぃ、占いの方はどう?」

 

「後、もう少し……」

 

「はぁ、どうしたものか……」

 

と樹の占いを頼りにしつつ風がぼやくのと同時に、風のスマホからメールの着信を知らせる音が鳴った。

今は喧嘩中なのもあって、気怠るそうにメールを確認する風。その件名にはこう書かれていた。

 

【継受紡絆と光の巨人、怪獣について】

 

風は直ぐに真剣な表情になり、メールを開く。

 

【昨晩送られた、継受紡絆と光の巨人、怪獣について。

まず、継受紡絆については現在調査中であり、分かり次第順次報告するつもりである。

光の巨人については我々大赦も知っているのは人類の味方であり、名をウルトラマンと呼ぶことのみ。しかし協力的であるならば現れ次第勇者システムを纏える貴女方勇者と協力してバーテックスや怪獣、スペースビーストを倒すように。

怪獣、スペースビーストについては共存不可であると推測される。奴らは人間の知的生命体の恐怖心を食らう悪魔的な存在であり、バーテックスと同じく人類の敵である。しかしいつ現れるかは我々も調査中であり、現状不明】

 

昨日大赦ならば何か知ってるんじゃないかと送ったメールの返信。

返ってきた文字を見て風が感じたのは落胆と驚きの文字。

 

(大赦ですら全てを把握していないってこと? 少なくともウルトラマンは味方みたいね……。あの怪獣はスペースビーストで敵、と。でも紡絆については不明? どういうこと? 大赦から紡絆を誘うようにって来たのに?)

 

これから味方が増えたと思いもあるが、敵が増えたという情報でもある。

しかし何より不可解なのは紡絆について調査中ということだけということ。

 

(はぁ、これじゃあ、また紡絆については説明出来ないわね……まあ、別に悪いことではないんだけど。でも勇者システムを使えない紡絆には悪いということになるのか……せめて私たちが守らないと)

 

なんの力も持たず樹海の世界に連れていかれる紡絆のことを考え、風は勇者システムを使える自分たちが守らないといけないと決心した---その時だった。

 

「あれ?」

 

「樹? どうし---ッ!?」

 

疑問の声を挙げた妹に視線を向けると、手に持つ携帯から流れるのは警報。画面には樹海化警報と書かれており、それはすなわち---

 

「まさか、二日連続!?」

 

敵が来るということ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

警報がなる少し前---。

東郷に追いついた紡絆と友奈だが、友奈は手に持つお茶を東郷に差し出した。

 

「はい。東郷さん」

 

「俺の奢りだ」

 

「……友奈ちゃん。紡絆くん」

 

「本当は私が買うって言ったんだけどねー」

 

「いやいや、女の子に奢らせたら紳士の名が折れるじゃん? 紳士じゃないけど」

 

「え、えっと、でも……」

 

自然と盛り上がる二人に対して、手に持たされた東郷は何もしてない自分が受け取る理由なんてないと言わんばかりに視線を二人に向けていた。

 

「あぁ、いいよいいよ。東郷は俺たちのために怒ってくれたんだろ? 確かに俺は死にそうになってたのは事実だしさ」

 

「うんうん、だから私たちのために怒ってくれてありがとう、東郷さん」

 

そう笑顔で言う二人に東郷はパチパチと何度か瞬きをした後、両手で頬を抑えて言った。

 

「ああ……なんだか二人が眩しい」

 

「え? 友奈は---大丈夫だが、もしかして俺ハゲてる!? まさか牛鬼……お前が食ったのか!?」

 

「お、落ち着いて紡絆くん! うん、しっかりあるから!」

 

「なんだ、よかった……後頭部が寂しくなったのかと」

 

「今の言葉的にそれだったら私も同じになるよ!?」

 

「それは俺が困る!」

 

「どうして紡絆くんが!?」

 

相変わらず明るい雰囲気で漫才のようなものをやる紡絆と友奈だが、東郷が言いたいのは髪ではなく、まさに今のようなことだろう。

東郷は一瞬きょとんとするが、クスッと笑ってしまう。

そういう風に自然と周りを笑わせたり明るくするからこそ、眩しいのだ。

 

「っと。それで、何かあるんだろ?」

 

そんな時、東郷が笑ったのを見ると紡絆はよく分からないけど良かったと小さく呟いて笑みを浮かべながら、話を戻した。

なお、傍に居た友奈はその言葉が聞こえて笑顔を浮かべたが、紡絆本人はからかわれたくないからか見ないようにした。

 

「あ、うん……えっとね。私、昨日ずっとモヤモヤしてたんだ。このまま変身出来なかったら私は勇者部の足手まといになるんじゃないかって」

 

そんな紡絆はさておき、東郷は胸の内に秘めた本音をポツポツと語っていく。

それを聞いた友奈が口を開く。

 

「そんな事ないよ、東郷さん」

 

優しく否定してくれる友奈だが、思うところがあるのか、東郷は小さく首を横に振る。

 

「ううん、違うの友奈ちゃん。さっき怒ったのだって私の抱えたモヤモヤを先輩に八つ当たりする様にぶつけてたところもあって……。私、悪い事言っちゃった……」

 

「東郷さん……」

 

「東郷……」

 

「友奈ちゃんはみんなの危機に変身したのに……国が大変な時なのに……」

 

東郷の声が徐々に低くなっていき、雲行きが怪しくなってくる。

流石におかしいと気づいたようで、二人は少し困惑する。

 

「と、東郷さん?」

 

「わ、私は、勇者どころか、敵・前・逃・亡……」

 

「と、東郷? えー、えっと一旦落ち着いて」

 

「風先輩が勇者部を作ったのだって、国や大赦の命令でやっていたことだろうに……。はぁ、私はなんて事を……」

 

「わー! ダメだよ! そうやって暗くなってたら!」

 

戸惑いながら落ち着くように紡絆が言うが、東郷はますますと自虐も込めながら暗くなっていく。

友奈が慌て、紡絆はどうするべきか二重の意味で考えていると、友奈が何かを思いつく。

 

「そ、そうだ! 私のお気に入りを見せてあげるね!」

 

そう叫んだ友奈はポケットから手帳を取り出し、パラパラとページを捲りと何かを取り出す。

紡絆はとりあえず見るために東郷の後ろに回ると、友奈は二人に見せる。

 

「ジャジャーン! きのこの押し花! 凄いでしょ? 他にもトウモロコシの奴も有るよ!」

 

「「………………」」

 

趣味の押し花なのだろうが、残念ながら二人にそんな趣味はない。

暫しの沈黙の後、二人は口を開いた。

 

「……うん。綺麗だね」

 

「うん、良いとは思うぞ……うん」

 

「気を遣わせてしまった!? それに紡絆くんには可哀想な子を見るような目で見られた!? じゃ、じゃあ一発ギャグやりまーす! 紡絆くん、ちょっと貸して!」

 

「や、お前のだからな? 別に良いけど」

 

未だに手首を食べている牛鬼を貸してと言われたため、ツッコミを入れながら紡絆は手を差し出す。

すると牛鬼はあっさりと離れ、友奈は慌てながら一度背中を向けて牛鬼を胸の中に押し込んでいた。

紡絆はようやく外れた牛鬼だったが、ベトベトな手を見て頬を引き攣らせながら除菌シートでしっかりと手を拭くのだった。

病気になるかもしれないので、正解である。

 

「ほ、ほら見てみて! 私のバスト、まるでホルスタイン!」

 

「「………………」」

 

再びの沈黙。

牛鬼が胸の中で暴れるが、紡絆は目を逸らし、美森は顔を伏せて言った。

 

「……別にそれほどなくたって魅力的な部分はたくさんあると思うぞ?」

 

「友奈ちゃん……私の為にこんなネタを……。ごめんなさい、友奈ちゃん……」

 

「あああ逆効果!? ど、どうしよう。それに紡絆くんには何故かフォローされてる!?」

 

もはや悲しそうな、同情するような目で紡絆はアタフタとしながら慌てる友奈を見ていた。しかも傍に寄って肩に手を置く始末である。

そんな友奈と紡絆に東郷はふと尋ねた。

 

「二人は、二人は大事な事を隠されていて怒ってないの?」

 

友奈と紡絆に尋ねる東郷。

その間に牛鬼は友奈の背中から抜け、自身の定位置はここだと言わんばかりに紡絆の手首に甘噛みを始めた。

うわ、と言うだけで完全に諦めた紡絆である。

 

「え? そりゃ、驚きはしたけど、私は嬉しいよ。だって、適性のお陰で風先輩や樹ちゃんに出会えたんだから」

 

友奈は悩むことなく即答し、紡絆は外れないかな、っと手をブンブンと振って外れないことに悟りを開くと素直に降ろして口を開く。

 

「俺も同じだよ。話は戻るけどさ、東郷は変身出来なかった自分が嫌なんだろ? 特に、みんなは勇敢に立ち向かったのに自分だけが無理だったこと」

 

「……うん」

 

「別にみんな同じなんだよ。勇者になる資格すらない俺はともかく、みんな恐怖心を抱いてる。バーテックスが怖い。怪獣も怖い。巨人だって東郷を守ってなければ俺も含めてみんな、未知の存在として畏れていたかもしれない」

 

そう語っていく紡絆には、何処か重みがあった。

果たして勇者になれない自分には思うことがあるからか、それとも別の思いがあるからか。

 

「東郷に足りなかったのは飛ぶための、一歩踏み出すための勇気なんだと思う」

 

「……勇気?」

 

「そう、勇気。だけどさ、東郷は足手まといになってるわけでもなかった。

だって、友奈がそうなんだから。友奈がその一歩を踏み出したのは、東郷を守るために勇気を出したからなんだ」

 

真剣そうな表情で語る紡絆はそう言うとしゃがみこみ、東郷の手を握る。

突然のことで少し驚くが、紡絆は気にしていなかった。

 

「でも東郷だって間違ってない。俺みたいに武器もないのに突撃するバカはともかく、怖いと思うのは人間ならば正しい。

東郷は物事を冷静に考えれるからこそ、俺たちも助けられるんだ。後先考えない俺たちよりさ。

まだ勇者になれなくとも、東郷は必ず勇気さえ出せばなれる。東郷は必ず頼りになってくれるってこと、俺はよく知ってるし、俺は東郷(のそういうところ)が好きだからな」

 

「へっ……!?」

 

「えっ!?」

 

「……ん?」

 

突然のカミングアウト。

紡絆の言葉をしっかりと聞いていた東郷だったが、予想もしない言葉に顔を赤くして思考が止まる。

一方で友奈も友奈で驚きの声は挙げたが、顔を赤くしながらここに自分が居てよかったのかと思っていた。

当の本人は何故赤くしたのか理解出来ずに首を傾げている始末。

どうやら言葉が足りていないことに気づいていないらしい。

 

「つ、つつつ紡絆くん。そ、その好きって……?」

 

「え、えっと、もう一回言ってくれてもいいかしら……?」

 

「え? だから東郷だって間違って---」

 

「そ、そこじゃなくて最後よ」

 

「最後?」

 

居てもいいのかとは思ったが、親友二人についてとなると気になるのか、意味を問いかける友奈と今度は飲み込もうともう一度聞く東郷。

紡絆は一から言おうとしたが、再び東郷に言われて首を傾げると、もう一度口を開く。

 

「えーっとまだ勇者になれなくとも、東郷は必ず勇気さえ出せばなれる。東郷は必ず頼りになってくれるってこと、俺はよく知ってるし、俺は東郷(のそういうところ)が好きだからな。

で、いい?」

 

「き、聞き間違いじゃない……?」

 

「つ、紡絆くん。東郷さんのこと好きだったの?」

 

やはり間違ってなかったことに顔を真っ赤にする東郷と、問いただしたい友奈。

しかし何故か紡絆は理解できないという表情をする。

 

「はぁ? 当たり前だろ? つーか俺は友奈の(性格や雰囲気で助かる時があるからその)ことも(含めて)好きだが?」

 

「へっ? えええぇぇえええ!?」

 

友奈が顔を真っ赤にして驚愕の声を挙げるが、残念ながら無自覚である。

 

「だ、ダメだよ紡絆くん! そ、その気持ちは嬉しいけど恋人は一人だけだよ!?」

 

「え? 恋人って? そりゃ友達なんだから好きだろ」

 

友奈の言葉に紡絆はようやく違和感に気づいたのか、訝しむように見つめると、再び三つ目の爆弾を投下した。

 

「え?」

 

「えっ?」

 

「……え?」

 

誤解していた二名が固まり、友達として好きと言っていた一名も固まる。

三人の中に沈黙が生まれるが、誰も動かない。

情報量でよく分からなくなっていたが、最初に動いたのは紡絆だった。

 

「……なんかごめんなさい」

 

申し訳なさそうに土下座して謝る紡絆に、二人は恥ずかしさのあまり俯くことしか出来なかった。

そしてはたまた微妙な沈黙が流れるが、ふと空気が変わる。

---ドクンッ。

 

「……ッ!? とりあえずさっきのことは俺が悪いから忘れてくれ! それよりも来る!」

 

「そ、そんな事言われても〜! で、でも来るって……?」

 

「まさか……バーテックス!?」

 

エボルトラスターの鼓動から気づいた紡絆が立ち上がってそう言うと、何が来るのかと首を傾げる友奈と気がついたように声を挙げる東郷。

その瞬間、樹海化警報が鳴り響き、極彩色の光に呑み込まれ、世界が変わった。

 

 

 

 

 

 

 

 

210:光を継いだ転生者 ID:nX2S4UypW

安価達成したけどそんな場合じゃねぇ! なんか敵が三体いるんですけどぉ!? これ俺も変身しなきゃまずいな……!

 

 

211:名無しの転生者 ID:UK20IUA16

逃げたな? 精神守るために逃げたなイッチィ!

 

 

212:名無しの転生者 ID:uuhSfwEAL

このチキンめ!

 

 

213:名無しの転生者 ID:OY6f2EvV0

というかあの反応まさか……こいつ天然のたらしでは? どうやったらそんな言い方になるんだよ! アホか!

 

 

 

 

 

 

 

 

樹海の世界へと再び入った紡絆の目には、三体のバーテックスが見えた。

白と赤の、どこか甲殻類を思わせるような姿をしているもの。携帯の位置から察するに、蟹型。彼らは知らぬが、キャンサー・バーテックスだろう。

さらに黄色と灰色の、球体がつながった長い尾のようなパーツを持つ黄色いパイプ椅子のような姿をしている蠍型。スコーピオン・バーテックス。

少なくとも外見から分かるのは、スコーピオン・バーテックスの尾の先端に針のような部分があり、そこがあからさまに危険な雰囲気を醸し出しているということ。

さらに後方にいるネイルガンに顔がついたような青と白の姿をしているのが射手型。サジタリウス・バーテックス。

 

「友奈、気をつけろ。バーテックスは三体いるぞ」

 

「うん、分かった! それじゃあ、紡絆くん。東郷さんをお願い!

東郷さんも待っててね、倒してくるから!」

 

「ま……待って。私も……」

 

紡絆の警告に頷いた友奈は東郷を任せたことを伝えて行こうとし、東郷は友奈に続く言葉を言おうとした瞬間、前回の恐怖がフラッシュバックして体を震わす。そんな東郷の声を聞いて友奈は近くに寄って手を握った。

 

「大丈夫だよ、東郷さん。私は一人じゃない!」

 

「ゆ、友奈ちゃん……」

 

「行ってくるね!」

 

友奈は笑顔で東郷にそう言うと、すぐに後方を向いて紡絆と視線を交わし、頷いたのを見て勇者の力を身にまとってその身体能力で戦場へと向かう。

紡絆はそれを見届けると、懐のエボルトラスターを握るが、顔を顰める。

 

「(クソっ……まさか連戦になるなんて初めてだ。まずい、多分変身したらエナジーコア鳴る……スペースビーストが現れてからにするか。なら今は……)東郷、大丈夫だ。恐怖は乗り越えられる。

それまで何があっても守るからな」

 

「……ありがとう」

 

自身の気持ちを察してか、『守る』ではなく、『それまで』と言ってくれた紡絆に東郷はお礼を言う。

それはつまり、一歩踏み出す勇気を与えてくれてるのだから。

 

お礼を言う東郷に紡絆は笑いかけると、傍に居ながらバーテックスを見つめる。

正確には遠くに居るサジタリウスを見つめていた。三体同時に動かないからか、強化された紡絆の耳には後方の一体は放っておいて先に二体封印するとの声が聞こえた。

しかし嫌な予感が拭い切れず、ただ見つめていると偶然友奈も気づいたようで、不審な動きをするサジタリウスを見る。

 

縦に並んで二つある口のような部分のうち、上の口の方がゆっくりと開かれていく。

しばらくして完全に開かれたその口の中に細長い杭のような矢のようなものが現れた。

それが何なのかは紡絆や友奈も遠くてはっきりとはわからない。しかし、その先端は風の方を向いているように見える。

感じる嫌な予感に、友奈は風に聞こえるように声を張り上げた。

 

「風先輩! 気を付けてください!!」

 

「え?」

 

「お姉ちゃん!」

 

友奈の声に気づいた風が、疑問の声を上げたその瞬間。

ついにその矢は発射され、ギリギリ反応できた風が、咄嗟に手にした大剣を引き寄せる。

しかし、予想を超える凄まじい速度で射出されたその矢は、まっすぐ風の元へ飛び、大剣ごと吹き飛ばした。

心配するような樹の声が風の耳に届くが、ガードに成功したからか無事に着地でき、ダメージはなかった。

 

「大丈夫よ樹! それより……」

 

「い、いっぱい来たぁ〜!?」

 

次に備えるように声を発しようとすると、サジタリウスが自ら体を少し傾かせて斜めに口を開いたかと思うと、大量の光の矢が風と樹に襲いかかる。

二人はすぐに別の木の根に移ることで回避し、友奈は近くにいたスコーピオンを無視して後方のサジタリウスを狙うために跳躍する。

 

「撃ってくるやつを止めないと!」

 

「まずい!」

 

「友奈さん、危ない! 後ろです!」

 

サジタリウスに向かっていく友奈だったが、風と樹はバーテックスの行動を見ていたのもあって気がついてない様子の友奈に警告する。

なぜならサジタリウスが放った矢をキャンサーが反射板を友奈の方に向け、大量の矢を反射させたのだから。

 

「へっ? うわわわわわ!?」

 

樹の声に反応して背後を見た友奈は手の甲で矢を弾き、無事に地上に降り立つとほっと息を吐く。

それは、油断。

その一瞬の隙をついて地面が揺れたかと思うと、小さな友奈の体を打ち上げるものがあった。

スコーピオンの尻尾、毒針である。

致命傷になるからか精霊によるバリアが発動しているため貫かれていないが、脱力した状態の友奈の体が落ちたかと思うと、毒針と繋がっているタンクのようなものに次々とバウンドして落下していき、スコーピオンの長い尾が友奈を薙ぎ払うことで一気に吹き飛ばした。

 

「きゃああぁあああぁぁ!?」

 

悲鳴を挙げながら凄まじい速度で友奈が飛んでいくが、助けに行こうにも風と樹はキャンサーとサジタリウスの反射板と矢で妨害されていた。

 

「こ、こっちに……」

 

「友奈ッ!?」

 

さらに友奈がスコーピオンに打ち上げられると、友奈が紡絆と東郷がいる場所まで落ちてきた。

紡絆は駆け寄ろうとするが、友奈を突き刺すように向かってきたスコーピオンの毒針に止まらざるをえず、歯を食いしばる。

そして動かない友奈に対して、スコーピオンの毒針が突き刺さる。

その一撃は精霊である牛鬼によって守られているが、必死に抑えてる所から察するに長くは持たないだろう。

 

 

 

 

 

◆◆◆

 

 

 

280:名無しの転生者 ID:IOtXMhI8e

おい、あれはマズくないか!? バリアあっても長くは耐えられないぞ!

 

 

281:名無しの転生者 ID:WLdMFeZWj

だが、イッチも肉体的にマズイだろ!

 

 

282:名無しの転生者 ID:wJcUojCq5

賭けるなら東郷さんの覚醒か……?

 

 

283:名無しの転生者 ID:M6QEdnCpT

クソッ! ウルトラ戦士がもう一人居たら解決なのに!

 

 

284:名無しの転生者 ID:s8g5/p1E9

でも待ってる暇ないぞ! どうするんだ!? まさか今日来るなんて……! タイミングが悪すぎるだろ!

 

 

285:光を継いだ転生者 ID:nX2S4UypW

なあ、ネクサスって正体バレてもいいんだよな?

 

 

286:名無しの転生者 ID:t9C+t9m6b

え? まあ、あまり隠してなかったが

 

 

287:名無しの転生者 ID:36jiomkMK

まさかイッチ……

 

 

288:名無しの転生者 ID:eHvxi4kOC

お前、やる気か?

 

 

289:光を継いだ転生者 ID:nX2S4UypW

ここで行かなきゃウルトラマンじゃないでしょ?

 

 

 

290:名無しの転生者 ID:OX82Ln2AK

イッチ……男なら誰かのために強くなれ、歯を食いしばって 思い切り守り抜け 転んでもいいよ また立ち上がれればいい ただそれだけ 出来れば 英雄さ。

ウルトラマンネクサスの姫矢編OP、英雄のサビだ

 

 

291:名無しの転生者 ID:aEMY5nMeK

いいか、絶対に死ぬなよ!

 

 

292:名無しの転生者 ID:YT3K/IISB

友奈ちゃんや東郷さんを悲しませたら殺すからな貴様ァ! だから絶対生きろよ!

 

 

293:超古代の光の転生者 ID:T8iHSnGQA

>>289

その行動は止めはしない。けどウルトラマンの、自身の力を引き出す方法は分かったのか? 君がこの戦いを切り抜けるには、ジュネッスになるしかない

 

 

294:名無しの転生者 ID:aGhkqrhQ5

ティガニキも来てた……!?

 

 

295:光を継いだ転生者 ID:nX2S4UypW

>>293

ティガ先輩、正直まだ分かってません。でも記憶もない俺を受け入れて仲良くしてくれた人たちだから。ウルトラマンとしても世界を守らなくっちゃダメなんです。もう妹のように誰かを亡くしたくない。特に喧嘩させたままで居させたくないんだ!

 

 

296:名無しの転生者 ID:kfyKDnWQ+

イッチ……ウルトラマンの素質を持っているな

 

 

297:名無しの転生者 ID:3fJocw0sS

だが、ウルトラマンでも自分の身は大切にしなきゃだぞ

 

 

298:超古代の光の転生者 ID:T8iHSnGQA

>>295

そうか……。だったら光を手にして守るんだ。君が守りたいものを、居場所を!

 

 

299:光を継いだ転生者 ID:nX2S4UypW

はい!

 

 

 

 

 

 

◆◆◆

 

 

 

 

一秒。

経ったの一秒しか経っていないが、激励を受けた紡絆は覚悟を決める。

凄まじい爆風が起き、友奈の身は守られていたが、地面は少しのクレーターが作られている。

そんな中で紡絆は東郷に近づくと、一言告げる。

 

「東郷、友奈は俺が助ける! 離れるけど帰ってくるから!」

 

「え……? ま、待ってっ! 助けるってどうやって!?」

 

力も持たないのに友奈の元に走ろうとする紡絆を、流石に東郷は止めるしかなかった。同時に、東郷の胸の内には心がザワつくような、嫌な予感が漂っていた。

だからこそ、紡絆の手を掴み、東郷は何処か懇願するように見つめる。

まるで死に行くようだ、と。だからここに居て、というように。

 

(ダメ……行かせちゃいけない。なんでか分からないけど、嫌な予感がする……!)

 

しかし紡絆は東郷の心の中を読めるわけではない。

彼女がそんな予感を感じ取ったことに気づかないまま手を取って降ろさせると、いつもの明るい笑みを浮かべた。

 

「大丈夫だ。絶対帰ってくる。もし不安だったなら、約束しよう」

 

「や、約束?」

 

「あぁ。この戦いが終わったら、東郷のぼた餅食わせてくれ。東郷が作るぼた餅美味しくて好きだからさ、だから絶対に帰ってくる。

約束だ」

 

自分を信じろというように小指を突き出してくる紡絆に、東郷の中で迷いが生まれる。

しかし背後でスコーピオンの毒針を必死に防いでいる精霊と、徐々に友奈の肉体に近づいているのをみて小指を絡めた。

そう、何故かは分からない。焦っているのもあったが、力を持たぬ紡絆が行ったって何も出来ない。それでも東郷は『紡絆くんならきっと何とかしてくれる』という不思議な信頼があったのだ。

だからこそ、気がつけば絡めていた。もちろん、嫌な予感は拭い切れた訳では無い。それなのに行動した東郷は何故か分からずに驚くが、紡絆の目を見て口を開く。

 

「……分かったわ。約束よ……? 絶対帰ってきて」

 

「もちろんだ。俺は---」

 

約束した小指を離し、紡絆が東郷に背中を向ける。

懐に手を入れ、取り出したのはエボルトラスター。それを引き抜いた紡絆は、まだまだ突き刺そうとするスコーピオンの長い尾に向かって走っていく。

 

「俺は---ウルトラマンだ!」

 

そう叫んだの同時に、紡絆は抜刀した後の本体を右手に持ちながら走り続け、エボルトラスターを持つ右腕を大きく後ろから前に回して本体を突き出す。

エボルトラスターの本体が光り輝き、突き出した本体から紡絆の肉体を覆い尽くし、紡絆を覆った光が大きくなっていく---

 

 

 

 

 

2m---

 

 

 

 

 

 

10m---

 

 

 

 

 

 

 

20m---

 

 

 

 

 

 

 

30m---

 

 

 

 

 

 

 

40m---

 

 

 

 

 

 

 

 

45m----

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

46m----

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

47m---

 

 

 

 

 

 

 

 

 

48m---

 

 

 

 

 

 

 

 

 

そして、49m---人間を優に超える、バーテックスと同じ大きさへと変化させた光が晴れ、一気に空中から突き刺そうとしたスコーピオンの毒針が、何度目かなる友奈に貼られているバリアに突き刺さる寸前で微秒だにしなくなった。

 

『ハアァァアァ……シュアッ!』

 

全身から赤い光を発した鋭く尖ったカッター状の刃の装甲を持ち、胸の中心にYの字型のコア---エナジーコアを持つ銀色の光の巨人、ウルトラマンネクサスがスコーピオンの動きを止め、一気に吹き飛ばしたからだ。

それは、オーラミラージュと呼ばれる技。

 

「紡絆くんが……ウルトラマン!?」

 

「お姉ちゃん、あれって……!」

 

「ウルトラマン……!」

 

東郷と樹、風がネクサスの姿を見て反応する。

一人は驚き、二人は来てくれた、と喜ぶように。

 

「ッ!? やばい、ウルトラマン!」

 

しかし、それはバーテックスにとっても敵が現れたということ。

サジタリウスの矢とキャンサーの反射板が、仲間のスコーピオンを吹き飛ばしたネクサスへ向けられる。

数えるのが嫌になる、それこそ万以上もあるのではないか?と思われる矢をネクサスは後ろの足元を見て、矢を見据える。

ネクサスだけなら避けるのは簡単だが、意識を失ってるのか起きない友奈を見捨てることなど出来ない。

そのため、ネクサスは向かってくる矢に対して両拳を腰に持っていき、一気に斜め上へと突き出す。

 

『ヘェアッ!』

 

瞬間、水面に生まれる波紋のような、青色に輝く円形状のバリヤーが貼られる---サークルシールド。

ウルトラシリーズの中でも『最強』と名高い防御技。ただの矢では破れるはずもなく、全ての矢を防ぎ切ったネクサスはバリヤーを解除すると反撃しようとし---

 

『フッ……!? ウワァアアアア!?』

 

飛んできた超高熱火炎弾が、ネクサスの肉体を大きく吹き飛ばした。

 

「今度は何!?」

 

「新手……?」

 

先程までとは違う攻撃に風と樹が周囲を探ると、見つけた。

サジタリウスとキャンサーの傍にいつの間にか()()()()()()()()()()()()出現していた。

 

『グルルゥ……』

 

まるで犬のような唸り声を挙げる怪獣---否、スペースビースト。ギリシャ神話の地獄の番犬ケルベロスを思わせる3つの頭部を持ち、胸に目のないイルカに似た頭部が、両肩の部分に分裂したような犬に酷似した隻眼の頭部があるスペースビースト---紡絆が初めて戦った相手である、ガルベロスだった。

 

「あれはスペースビースト……! 大赦曰く、敵よ!」

 

「あれも敵!? じゃ、じゃあ……」

 

「四対四ってこと!」

 

『ハァ……ハァ……シェアッ!』

 

起き上がったネクサスが先程まで居た位置に高速で戻る。

瞬間、振ってくるおびただしい量の矢。

それをサークルシールドを貼ることで防ぎ、今度はさらにガルベロスの火炎弾までが飛んでくる。

まるで()()()()()()()()()()()ために集中攻撃するバーテックスとスペースビーストの姿に、風と樹は一瞬止まっていた。

 

「なんであそこから動かないの……って友奈が居るから!?」

 

「そ、そうだった……お姉ちゃん、援護しないと!」

 

「もちろん行くわよ!」

 

すぐにネクサスが動けない理由を理解すると、風と樹はサジタリウスとキャンサーに向かっていく。

今回は()()()狙われない。しかし、誰も気づいていない中、ガルベロスの両肩にある隻眼の二つの頭部。二つ合わせて両眼あるガルベロスの眼が両方とも赤く光る。

それは、風と樹を対象にされていた。

風と樹は気づくことなくサジタリウスへと接近する。

 

「樹!」

 

「うん!」

 

飛んでくる矢を避け、樹はワイヤーを網状にして矢を一気に落とす。

そこで風が一気に駆け出し、両手に持つ大剣を振り下ろし---サジタリウスが、消えた。

 

「なっ!?」

 

「消えた……?」

 

それは、幻覚。

ガルベロスが持つ幻覚であり、まんまと風と樹は引っかかったのだ。

 

『ヘェヤァ!』

 

その間にネクサスはパーテェクルフィザーを放ち、サジタリウスの妨害とキャンサーに対する攻撃を行うが、キャンサーが防ぎ、飛んできたパーティクルフェザーを上、横、斜め、直線へと反射板で反射させると、ネクサスに飛んできた。

ネクサスは返ってきたパーティクルフェザーをアームドネクサスで防いで消し去るが、その戦い方は極力樹海にダメージを与えないような戦い方をしており、だからこそ容易に光線を撃つことが出来なかった。

 

『ウッ……!?』

 

『ギャオォォオオオオオ!』

 

防いだ後の隙を狙い、向かってきたガルベロスと組み合うネクサス。

無数の矢が効かないと見ると、サジタリウスが細長い杭のような大きな矢を作り、先程風を吹き飛ばしたように凄まじい速度でネクサスに向かって発射した。

ガルベロスを蹴り飛ばしたネクサスは即座に見極めて両手で大きな矢を跳躍して掴み取ると、空中では踏ん張りが効かないため、衝撃で距離が離される。

 

『ウグゥゥ……デェヤアアアアアアァァァ!』

 

跳躍した理由は友奈を踏まないためであり、地面に着地後は地面を大きく削りながら威力をある程度殺し、両手で掴んだ矢を受け流がせるほど威力が削減出来ると上空へ投げ飛ばす。反射されないようにパーティクルフェザーで完全に破壊するが、まさに防戦一方だった。

そして---

 

「どうなってるのよ!?」

 

「さっきから、なんだかおかしい……!」

 

勇者の協力が、得られなかった。

まやかしによって惑わされてしまった二人は抜け出すことが出来ず、見当違いの場所を攻撃するだけ。

タネを理解しなければ、彼女たちには何も出来ない。

 

『フッ!? シュア!』

 

『グガァ!』

 

そこで、ネクサスがガルベロスの眼が赤くなっていることに気づく。

即座にアームドネクサスをクロスさせてマッハムーブで近づくと、頭部を掴むが、効果なし。

ならばと反撃してきた手を連続で叩き落として胸を殴り飛ばすことで距離を離す。

そして両手から光の鞭---セービングビュートを放ち、ガルベロスの二つの頭部にある眼を無理矢理防いだ。

瞬間、風と樹は自身が何も無いところに攻撃していたことに気づいた。

 

「あれ……?」

 

「って向こう!? ど、どうなってるの〜!?」

 

元には戻ったが、状況は変わっていない。

ネクサスは再び飛んできた大量の矢を守るためにサークルシールドを貼ることで防ぐが、ガルベロスが視界から外れる。

しかし移動することも出来ず、ただただ体力を消耗するだけであり、そして---

 

『ウワッ!? フッ---』

 

『ガルルゥ……ガアアアアアアァァァ!』

 

大量の矢が消えた瞬間、いつの間にか接近されていたネクサスがガルベロスに両腕を抑えられて拘束される。

抵抗しようとするが、突如としてネクサスの動きが止まった。

いや---止まるしかなかった。

 

『グオッ!?』

 

ガルベロスがネクサスを押すように蹴り飛ばした瞬間、ネクサス---紡絆は思い出した。

バーテックスは()()()()()()()()()()()()に。

そう、それはスコーピオン・バーテックス。

ようやく辿り着いた風と樹が援護しようとしたが、間に合わない。

さらに吹き飛ばされたネクサスに避ける術はなく、凄まじい速度でネクサスの腹に向けて突き出されたスコーピオンの毒針を持つ長い尾が、ネクサスを貫いた---

 

 

 

 

 

 

 

 

『グアアアアアアアァァァ!? ア……ガァ……ッ!』

 

絶叫。

凄まじい痛みがネクサスを襲い、絶叫する。

自身を貫いた毒針を両手で掴むが、力が入りにくいのか簡単に引き抜くことは出来ない。

 

「そんな……!?」

 

「ウルトラマンが……!」

 

貫通したスコーピオンの毒針を持つ長い尾からは、紫色のエネルギーが流れ始め、ネクサスの肉体を侵食していく。

スコーピオンの透明なタンク内の毒液が無くなってきていることから分かる通り、それは、毒。それもただの毒ではなく、猛毒。

それがネクサスの体内に注入されている。それこそ、注射のように。

ネクサスの腹からまるで血を表すように光のエネルギーが溢れ、エナジーコアが、鳴り始めた。

いや、()()()しまった。

それは、心臓の鼓動。ピコン、ピコン、と聞こえはするが、よくよく聞けばそれは心臓の鼓動に似た音だ。

当たり前だ。ネクサスのエナジーコア、それもアンファンスで点滅するということは、()()()()()()()()()()()()()()()

 

『シュア…ッ! グァァ……ガ……ハ……ァッ!?』

 

必死に毒が回る前にスコーピオンの毒針を抜こうと全身の力を使って抵抗するが、少しずつ抵抗の激しさは消え、終わったというようにスコーピオンが一気に引き抜く。

 

『ウワッ……ウアアアアアアァァア!?』

 

その瞬間、例えるならば人間が刺されたナイフを引き抜いた際に血が溢れるのと同じく、ネクサスの腹から凄まじい量の光が出てきて、エナジーコアが高速で点滅を始めた。

膝を着き、両手を着く。

そこに、トドメを刺そうとガルベロスが近距離で火炎弾を貯める。

 

「紡絆くん……ッ!」

 

「紡絆くん……! 今助けるよッ!」

 

膝を着いた先、ネクサスの視線の先には涙を浮かべながら、心配そうに見てる東郷と、いつの間にか意識が回復して東郷に聞いたのか、友奈が心配するような目で見ながら、こっちに向かってきているのが見えた。

風と樹もサジタリウスとキャンサーを必死に抑えており、目前にはガルベロス。

 

『シュアァ……フアッ!』

 

だからこそ、ネクサスは右腕にエネルギーを貯める。

消える寸前の光ではあるが、ガルベロスが火炎弾を放とうとし、同時に貯めた最後のエネルギーをガルベロスの口に突っ込んだ---ジェネレードナックル。

ガルベロスは自身の火炎弾が口の中で暴発し、さらにネクサスの攻撃を受けるという凄まじい威力に一気に吹き飛び、動かなくなった。

 

『ハァ……ハァ……。アァァ……ッ!』

 

しかしネクサスもネクサスで限界だったのか、倒れそうになり---スコーピオンの尾がネクサスの肉体を大きく吹き飛ばした。

ネクサスは吹き飛ばされながら()()()()()()()()()()()に光に包まれて姿を消し、紡絆は高速回転しながら地面に落ちると何度かバウンドする。

ようやく止まったかと思うと、奇しくも友奈を守るために変身した場所へ転ばされていた。

 

「紡絆くん!?」

 

「ぐはっ!? ぐ、ぐ……っ…ぞぉ……!」

 

東郷が車椅子を動かしながら紡絆に近づき---口元を抑えた。

理由は簡単であり、紡絆が口から血を吐き、()()()()()()()()()()()()()()()()()()腹を真っ赤に染めながら、手で抑えていたのだから。

吹き飛ばされた時の影響か、それともダメージを受けたからか、あらゆる箇所から少々の血が流れてたりもするが、それでも一番酷いのは腹だ。

東郷は知らぬが、腹以外は無理をした結果であり、傷が開いただけなのだが。

 

「そんな……っ! し、止血しなきゃ……」

 

その姿を見て、顔を青ざめながら瞬時に車椅子から降りると東郷はハンカチなどで血が出てる部分を抑えるが、一瞬で赤に染まる。

 

「止まらない……!? ど、どうしたら……」

 

「に、げ……ろ……!」

 

「大丈夫だから! すぐに病院に連れていけばまだ助けるから! だから嫌……死なないで! きっとみんなが---」

 

「あぶ……ねぇっ……!」

 

目の前の出来事にどうしたらいいか分からず、必死に抑えながら呼びかける東郷。

そんな東郷を紡絆が押す。

弱っていても強化された肉体は東郷をある程度押すことに成功し、同時に紡絆にスコーピオンの尾が振り下ろされる。

東郷は衝撃で軽く吹き飛んでしまうが、砂埃が散ると紡絆の傍にあるエボルトラスターが水面に生まれる波紋のような、青色に輝く円形状のバリヤーを貼っていた。

まるで紡絆を守るように貼られるバリヤーだが、ヒビが入る。

本来ならば、その程度でヒビが入ることなどない。弱っている今だからこそ、小弱のバリヤーしか貼られることがないのだ。

 

「うおぉぉおおぉぉおおお! わっ!?」

 

友奈がスコーピオンに向かおうとすると、妨害するようにガルベロスからの火炎弾が飛んできた。

あれほどの威力を受けてもなお生きているのか、友奈は避けるしかなかった。

しかしガルベロスが起き上がれないのだけが救いだろう。それでも---二回。三回。四回。

次々とスコーピオンは紡絆の命を奪おうとバリヤーのヒビを広げていく。

 

「と、ごう……。に…げ………ろ……!!」

 

自身が死にかけていてもなお、他者を優先する紡絆。

紡絆がウルトラマンだと知らされた友奈はともかく、風や樹は助けに来ることなど出来ないだろう。

唯一知った友奈ですら、ガルベロスが邪魔をする。

 

「……て」

 

あと少し。

あと何度か突き刺せば壊れるバリヤー。

東郷は顔を伏せながら何かを呟く。もはや弱っている紡絆には聞き取ることなど出来ないが、せめて逃がすために震える手でブラストショットを手にしていた。

 

「……めて」

 

足が動けなくとも、自身が死ぬ前には逃がせるだろうと紡絆はターゲットに構えるが、猛毒が回りかけているのか、それとも腹の傷が原因か、血を吐いて落とす。

そしてバリヤーの光が薄れる。

攻撃され続けて消えかけているようで、あと一撃で壊れるとみたのか。スコーピオンが一気に勢いよく振り下ろし---

 

「---やめて……やめろ! やめろッ! これ以上、私の大切な人たちを傷つけないで---ッ!!」

 

刹那、割れ目から目と手を覗かせた卵のような姿で、殻の左側に青い花模様がある東郷の精霊が、紡絆に振りかざされた攻撃を受け止めた。

紡絆はその姿を見て驚くが、腹を抑えて見つめながらすぐに気づいたように笑みを浮かる。

そして、呂律が回らないのか口パクで口を開いた。

『おまえならやれる』と。

 

「私……ずっと友奈ちゃんや紡絆くんに守ってもらってた。だから今度は---私が勇者になって二人を守る!」

 

その覚悟は認められたのか、勇者システムのアプリを起動させた東郷の姿が光に包まれると、スカイルブルーの衣装に髪は更に伸び、膝まで掛かるロングヘアーとなっていた---

 

 

 

 

 

 

 

 





〇継受紡絆/ウルトラマンネクサス
ガチの(前世以外の)記憶なし。
一人だけのわゆ、わすゆ並に満身創痍だが、ダメージの強制解除によってギリ生きてる。
でも腹貫かれてるし大量の猛毒を体内に注入されてるんだよね。
牛鬼(他精霊も含む)に懐かれているらしい。

〇東郷さん
『好き』の意味を友達にしなければ多分付き合いましょう…! ルートだった子。
原作とは違い、友奈だけじゃなくて紡絆と友奈を守るために変身した。

〇友奈ちゃん
さらっと紡絆がウルトラマンであることを知った子。
告白にはドキドキしたりしてました。

〇エボルトラスター
妹とバリヤーについてはウルトラマンの意思。しかし妹については紡絆自身が否定したので、意味がなかった。

〇小都音
喧嘩別れした妹。
実はお兄ちゃんである紡絆が大好きだが、喧嘩で思わず……。
名前はエロゲーから。

〇蠍座
みんな大っ嫌いスコーピオン・バーテックス。
原作では勇者を二人殺し、共同で一人殺した『勇者殺し』の存在。
本作ではウルトラマンを変身解除+瀕死まで追い込んだ。

〇ガルベロス
幻覚で惑わせていたが、実はこちらも死にかけ。
最後に嫌がらせした。

▼ようやく来た質問
Q.紡絆くんが勇者部に所属することになった経緯

A.友奈ちゃんと東郷さんと同じタイミングで部活に。しかし風先輩からすると入れるように言われただけで、()()()()不明。大赦も調査中ではあるが、実は……?
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