×××はバ主になるようです ~ダイスで生き抜く未来のウマ娘世界~   作:今峰鏡

16 / 48
 レースのルールを見直していたら、致命的な間違いをしていたので、ここに訂正しお詫びします。

■最後の競り合い の項 二行目

誤:・対決は【1D10】+補正値 = 競り合い値 の大きいほうが勝ちになります。

正:・対決は【1D100】+補正値 = 競り合い値 の大きいほうが勝ちになります。

 10話のルール説明も、文言含め微修正を入れました。
 それではホープフルS編をお楽しみ下さい。


ジュニア級 12月 後編

 

「喜べシュート、ホープフルSの出走確定や」

 

 ニコニコと笑い通知の入った封筒をヒラヒラさせる白石に、シュートはややげんなりした視線を向ける事で答えた。

 メイクデビュー以外に勝利レースが無いシュートの出走は抽選になるかと思われたが、CMで稼いだファン数のおかげでなんとか滑り込めたと言う。

 

「さて、ホープフルSはGⅠや」

「知ってるわよ、だから緊張してるんじゃない……マジお腹痛い」

 

 そう言ってお腹を押さえるシュートに「軟弱なやっちゃ」と小言を一つ、白石はもう一つの封筒を懐から取り出した。

 

「GⅠ出走ウマ娘には、()()が必要やんな?」

 

 からかうような口調に視線を上げれば、彼がこれ見よがしに持ち上げた封筒には『勝負服』の文字があった。

 

「見たい見たい見ーたーいー!」

 

 シュートが出したデザイン案を元に、職人がブラッシュアップした勝負服のデザインが届いたらしい。ここからレースまでに勝負服を仕上げると言うのだから、職人というのは恐ろしい。

 

「ほな開けるか」

「はいセンセ!」

 

 封筒から取り出された着色図面、そこに描かれていたのは――

 

1.白毛に合わせた純白のドレス

2.白毛とのコントラストが映える漆黒のドレス

3.モノクロ配色のフォーマルなパンツスタイル

4.モノクロ配色でタイトなアウターとミニスカート

5.厨二スタイル、シルバーにチェーンジャラジャラロングコート

6.胸元ざっくり、露出の高いセクシースタイル

 

【1D6:1】

[ハッピーミークの勝負服っぽい白のドレスのようですね]

 

「お~、本人とは似ても似つかんお清楚スタイルやなぁ」

「……言いたいことはあるけど、まぁ勝負服に免じて何も言わないでおくわ」

 

 こうして束の間の楽しみは過ぎて行き、シュートの初の重賞レースが近付いてくる……

 

UUU

 

 ‖ホープフルステークスの注目ウマ娘を決めます‖

 注目ウマ娘【1D6:5】-1(0人の場合は圧勝)[]人

 

 カイノクロコマは出走【1D2:2】(1.する 2.しない

 

[なかなかの強者揃いですね……クロコは耳飾りが左なので、おそらく阪神JFに行ったのでしょう]

 

 

‖注目ウマ娘のステータス評価(GⅠ補正で+50)‖

 ※80超えはライバル化

1人目【1D50:30】+50 [80

2人目【1D50:24】+50 [74]

3人目【1D50:39】+50 [89

4人目【1D50:12】+50 [62]

 

[一人を除いてみんなステータスが高ぁい! 新たなライバルが二人も誕生しましたが、シュートはこの後UAEに行くのに絡む機会はあるんでしょうか……]

 

 

‖ライバルウマ娘の設定‖

・1人目ちゃん

学年【1D2:1】1.中等部 2.高等部 [中等部

身長 120+【6D10:46】 [166cm

バスト【1D5:2】1.無 2.微 3.普 4.巨 5.爆 [微乳

耳飾りの位置【1D2:1】1.右 2.左 [右(元ネタが牡馬)

毛色【1D8:6】1.白毛 2.栗毛 3.鹿毛 4.青鹿毛 

      5.黒鹿毛 6.青毛 7.栃栗毛 8.芦毛 [青毛

長所【1D5:4】1.スピード 2.スタミナ 3.パワー 4.根性 5.賢さ[根性

短所【1D5:4】(被ったら1つ上の数字)

       1.スピード 2.スタミナ 3.パワー 4.根性 5.賢さ[賢さ

 

脚質【1D5:4】1.逃げ 2.先行 3.差し 4.追込 5.その他 [追込

固有スキル【1D10:6】10なら獲得済み [未獲得

 

 

・3人目ちゃん

学年【1D2:2】1.中等部 2.高等部 [高等部

身長 120+【6D10:40】 [160cm

バスト【1D5:3】1.無 2.微 3.普 4.巨 5.爆 [普乳

耳飾りの位置【1D2:2】1.右 2.左 [左(元ネタが牝馬)

毛色【1D8:】1.白毛 2.栗毛 3.鹿毛 4.青鹿毛 

      5.黒鹿毛 6.青毛 7.栃栗毛 8.芦毛 [栗毛

長所【1D5:5】1.スピード 2.スタミナ 3.パワー 4.根性 5.賢さ[賢さ

短所【1D5:2】(被ったら1つ上の数字)

      1.スピード 2.スタミナ 3.パワー 4.根性 5.賢さ[スタミナ

脚質【1D5:4】1.逃げ 2.先行 3.差し 4.追込 5.その他  [追込

固有スキル【1D10:3】10なら獲得済み [未獲得

 

UUU

 

 年末に行われるホープフルステークスまでの二週間は、メイクデビューの疲れを抜くために軽いジョギング以外走ることは禁止され、ひたすら座学に充てられた。

 シュート的には疲労を抜くどころかむしろ疲れる毎日だったが、あくまで彼女自身の主観的な話なので、その意見は白石に黙殺された。

 

「ええか、警戒すべきは【ブルーサイレント】と【メイドノミヤゲ】の追込ウマ娘二人や」

 

 ホワイトボードに貼られた青毛と栗毛の二人のウマ娘の写真を前にして、白石が二本指を立てた。

 写真の横に書き込まれた簡単なプロフィールを見れば、どちらもジュニア級重賞を制して居ることが分かる。

 スラッとした体型の青毛ウマ娘のブルーサイレントはGⅢ札幌ジュニアステークスと、同じくGⅢ京都ジュニアステークスを制して既に重賞を2勝。何故かメイド服を着た栗毛のウマ娘、メイドノミヤゲは、GⅡ京王杯ジュニアステークスを勝利している。

 そしてどちらも最後方からの末脚勝負で勝っており、上がり3(ハロン)はレース内最速を叩き出していた。

 

「中山は直線が短いさかい、普通に考えりゃ差し追込のウマ娘には不利や。だがな、そんな事は相手もよう分かっとる。だから当然してくるわな、対策を」

 

 白石は机の上に広げられた中山レース場のコース図、その向正面から第3コーナー、そして第4コーナーにかけてを指でなぞった。

 

「向こう正面の下り坂を流して息を入れ、第3コーナーから徐々に前へと進出、第4コーナーで好位に付けてからの末脚勝負――所謂『ロングスパート』とか『まくり』とか言う奴や」

 

 うんうんと頷くシュートに(コイツ本当に分かっとるんかいな)という目を向けながら、白石は続ける。

 

「せやけどこの作戦は長く脚を使えるスタミナと、最終直線の坂で速度を落とさんパワーが必要になってくる。まぁ、ジュニア級でそこまでのスタミナを持っとるやつはまず居らんけどな」

「じゃあ駄目じゃん」

 

 今までの話何だったの、と言う目でこちらを見てくるシュートに(そのスタミナを持っとるのがコイツなんやが……)と心のなかで独り言ちて、白石は再びコース図を指でなぞった。今度は第4コーナーからの最終直線だ。

 

「せやかて最後方からの末脚勝負は直線の短い中山やと分が悪い。さあどうする?」

「んー……前がバテてくれる事を願う!」

「ま、それも正解やな。せやかてそんな『お祈り』戦法は作戦とは言わん」

「じゃあどうするのよぉ……」

 

 不貞腐れたように唇を突き出すシュートに向けてニヤリと笑うと、白石は得意げに言った。

 

「何も作戦は1つしか立てられんワケや無い。ハイペースなレース展開で前のウマ娘がバテるのを狙いつつ、序盤に体力の消耗を抑えてロングスパートをかける。ほんで行けそうならご自慢の末脚で勝負や! 体力がキレても根性でゴリ押せばなんとかなるやろ!」

 

「え~……そんなの上手くいくワケ?」

「まぁ、いかん」

 

 ハァとため息を付いて爪を眺め始めたシュートに、少々からかいすぎたかと反省しつつも白石は思う。

 シュートの適性がダートに寄っているとは言え、今語ったように彼女の勝率は高い。だが、もし……

 

(もし、2000mを走り切るスタミナと、柔軟に作戦を切り替えられる頭の良さを備えたウマ娘が居た場合……シュートの勝率はガクっと下がる)

 

 一抹の不安を抱えたまま、白石はシュートの注意を惹いて作戦を告げるのだった。

 

UUU

 

 

『ホープフルステークス 中山芝2000m』

 

注目ウマ娘4人

天候【1D4:2】1.快晴 2.晴れ 3.曇り 4.雨(※今のところフレーバーです)

 

★注目ウマ娘のステータスを公開します。

①『ハッピーシュート』

SP C+

ST C+

PW C+(D+)

根 D

賢 E+

適正:バ場C  距離A  

スキル:『最強へと至る道』:1ターン目の『ピックアップステータス』を自分の最も『ステータス値』の高いステータスにする(同値の場合はランダム)。この対決に勝利した場合、『最終ターン』の補正値に『+10』する。

 

②『ブルーサイレント』

(ステータス評価[80])

SP D

ST C

PW D+

根 C+

賢 F

適正:バ場A 距離A  

スキル:未開放

 

③『キュウカンバア』

(ステータス評価[74])

SP D+

ST D

PW E+

根 D+

賢 E

適正:バ場A 距離A  

スキル:なし

 

④『メイドノミヤゲ』

(ステータス評価[89])

(短所がスタミナだったため距離適性はダイスで決めます)

SP C+(C)

ST E

PW D

根 D+

賢 C+

適正:バ場A 距離【1D3:2】(1.A 2.B 3.C)  

スキル:未開放

 

⑤『ワイルドファイア』

(ステータス評価[62])

SP E+

ST D+

PW E

根 E

賢 D+

適正:バ場A 距離A  

スキル:なし

 

★スタートフェイズ

①ハッピーシュート【5D10:17】-5 =12 出遅れ

②ブルーサイレント【5D10:19】-15 =4 出遅れ

③キュウカンバア 【5D10:26】-10 =16 出遅れ

④メイドノミヤゲ 【5D10:21】+15 =36

⑤ワイルドファイア【5D10:18】+5 =33

 

[びっくりするほど出遅れるじゃん!?]

 

 

 【1D8:8】枠⑰番、大外枠で発走を待っていたシュートは「よぉ」と声をかけられ隣を見る。枠入り前の⑯番を挟んでその向こう、⑮番のゲートの中で、長い青毛のスレンダーなウマ娘が気軽そうな仕草で片手を上げていた。

 

「なに?」

 

 不機嫌そうに――見えるだけで、人見知りからくる刺々しい返事を返したシュートに、ブルーサイレントは苦笑して言う。

 

「そう怒るなよ『最強』ちゃん」

「は? 最強ちゃん? 私?」

「『最強』の愛バなんだろ? ポピーミントから聞いたぜ、スゲー走りだったってな」

 

 言われ、誰だったかとシュートが虚空を見つめると、苦笑いから少々ムッとした表情に変わったブルーサイレントが答えた。

 

「メイクデビューで一緒に走っただろ、あんたの2着だった栃栗毛のデカ女だよ」

「あぁ、うん……覚えてる覚えてる」

「完全に忘れてたなオイ、自分より遅い奴は眼中にないってか?」

「そういうわけじゃないけど……あの時はセンセに怒られたから……」

 

 実際、シュートはメイクデビューの時のことをあまり覚えていなかった。その後に白石から叱責された事と、突然の海外遠征発言に全て持っていかれていたからであるが、そんな事を知る由もないブルーサイレントは怪訝な表情を浮かべる。

 

「はぁ? 1着だったのに怒られたのか? どんなトレーナーだよ」

「あれは……あの時は、私が手を抜いたから――」

「――あ゛?」

 

 ブルーサイレントの表情が一瞬にして不機嫌なモノに変わった。

 ブルーサイレントとポピーミントはクラスメイトだ。同じ中等部の3年生で、ルームメイトでもある。

 そのポピーミントが泣いていたのだ。

 まだ新人の担当トレーナーに初勝利を届けたかったと、全力で追ったけど追いつけなかったと、悔しさに声を震わせて泣いていたのに、この女はあろうことか「手を抜いていた」だって……!?

 

「テメェ、何様のつもりだよ……言うに事欠いて手を抜いていただ? 舐めやがって……!」

「はぁ? アンタには関係無くない?」

 

 勿論そんな事情を知らないシュートからしたら、突然キレられたようにしか見えない。ただでさえあの時の事を後悔していると言うのに、初対面の相手にそこを突かれシュートも頭にきていた。

 

「ていうかアンタ年下でしょ、先輩に対する態度がそれ?」

「関係ねぇだろ歳はよォ!」

「私が手を抜こうがどうしようが、それこそアンタには関係ないでしょ!」

 

「あ、あの~」

 

 と、後ろから声をかけられ二人同時に振り向くと、そこには困ったように愛想笑いを浮かべる眼鏡をかけた小柄なウマ娘がいた。

 8枠⑯番【キュウカンバア】だ。

 

「えっと、入っていいっスかね? はいるっスね?」

 

 そう言って体を縮こませて枠入りしたキュウカンバアに、ブルーサイレントが皮肉げに言葉を投げる。

 

「おいお前、お隣のセンパイには気をつけたほうが良いぜ、ビュービュー先輩風吹かしてくるからよ」

「はぁ? アンタこそいきなり喧嘩売ってきてさ、ヤバイ奴じゃん」

「誰がヤバイ奴だ!」

「アンタがでしょうが!」

「えっと……」

 

 身長140cm程度のキュウカンバアは、必死に二人を見上げてこう言った。

 

「多分、アタシが最年長っス。高等部2年なんで……」

「は?」

「あ?」

 

 ガシャン――

 

 3人が顔を見合わせると同時、ゲートが開いた。

 

 

★1第ターン

【ハッピーシュートの固有スキル『最強へと至る道』発動!】

[ピックアップステータスのダイスが変化します]

ピックアップステータス【1D2:2】(1から順に スピ,スタ

[出遅れによりハッピーシュート、ブルーサイレント、キュウカンバアの補正値に-10]

 

①ハッピーシュート【5D10:20】+15 -10 =25

②ブルーサイレント【5D10:26】+10 -10 =26

③キュウカンバア 【5D10:32】+0 -10 =22

④メイドノミヤゲ 【5D10:18】-10  =8

⑤ワイルドファイア【5D10:32】+5  =37

 

[ワイルドファイアの勝利!]

 

 

 出遅れた大外枠の3人を置いてレースは進む。

 思い切りよく飛び出たメイドノミヤゲは、ダバダバとターフに駆け出す要注意ウマ娘()()()3人を尻目に、想定通りスピードを緩めて後方集団最内へと位置取りする。スタミナを温存する作戦だ。

 代わりにハナを取ったのはワイルドファイアだった。よく晴れた中山の芝を踏みつけ往くその姿は、燃えるような鹿毛の髪と相まって、まるで野火のようだった。

 燎原の火(ワイルドファイア)は瞬く間にターフを燃え広がり、第1コーナーまでの急坂を登り切る頃には、早くも縦長の隊列を形成していた。

 

 

★2第ターン

ピックアップステータス【1D5:3】(1から順に スピ,スタ,パワ,根,賢)

 

①ハッピーシュート【5D10:30】+5 =35

②ブルーサイレント【5D10:27】+5 =32

③キュウカンバア 【5D10:28】-5 =23

④メイドノミヤゲ 【5D10:30】+0 =30

⑤ワイルドファイア【5D10:34】-10 =24

 

[ハッピーシュートの勝利!]

 

 

(やっぱり芝は走りにくい……!)

 

 ハッピーシュートは怪力のカズサヒカリ程では無いが、十分にパワーに恵まれたウマ娘だ。

 その力強い踏み込みは豊富なスピードを生み出す原動力となっているが、その力強さが仇となり、クッション性の高いダートに比べて硬い日本の芝では脚への負担が大きい。

 

 それでもシュートは懸命に脚を繰り出し第1コーナーの急坂を登っていく。

 出走ウマ娘随一のパワーで同じ出遅れ組を置き去りにし、スタミナの消費も構わず先段へと取り付く。

 もはや必勝の位置取りは取れない。だが自分は前目のレースしか知らない。ならば――

 

(前へ! 前へ! 前へ……!)

 

 坂を登りきった向こう、バックストレッチへと続く下り坂の途中に、燃えるような鹿毛を見た。

 

(前へ!!)

 

UUU

 

 一方のブルーサイレントもシュートに準ずるパワーを()って坂を駆け上がる。

 だが。

 

(オレよりパワーがあるってのか!?)

 

 消耗を避けるべく後方集団の中頃に着けるために、ポツンと離れた最後方から坂を駆け上がった自分よりも速く、力強く、前へと行くシュートを見て、ブルーサイレントは動揺を隠せなかった。

 出走ウマ娘が確定してから何度も見た中山ダート1800mのメイクデビュー、その中で見た走りが脳裏にフラッシュバックする。

 

(このまま行かせて、オレは追いつけるのか? いや、あんなペースで2000mを走りきれるワケがねぇ、オレは後ろでアイツが潰れるのを待てば良い!)

 

 思わず感じた迷い。

 それは奇しくも、メイクデビューでポピーミントが感じた不安と同じものだった。

 

 

★3第ターン

ピックアップステータス【1D5:2】(1から順に スピ,スタ,パワ,根,賢)

 

①ハッピーシュート【5D10:20】+15 =35

②ブルーサイレント【5D10:23】+10 =33

③キュウカンバア 【5D10:23】+0 =23

④メイドノミヤゲ 【5D10:28】-10 =18

⑤ワイルドファイア【5D10:29】+5 =34

 

[ハッピーシュートの勝利!]

 

 

「後方組は終わったな」

 

 お上品なバ主席では悪態の一つも吐けないとスタンド最前列に陣取っていた白石が、ターフビジョンを見上げてポツリと呟いた。

 今日はヒカリのダンスレッスンで不在の仁美とキミノに代わり、隣に立っていたリヒトが驚いた顔で白石に訊ねた。

 

「終わったって、確かにブルーサイレントはシュートと一緒に出遅れてたんで分かるっすけど、最有力のメイドノミヤゲは危なげなく後方に着けて、前を伺ってるみたいっすよ?」

 

 リヒトの言う通り、栗毛のメイドウマ娘は後方集団最内の経済コースを走り、スタミナの消耗を抑えている。追込ウマ娘らしく、あとは溜めた末脚を爆発させるだけに思えるが……

 

「あれは消耗を抑えとるんちゃう。もういっぱいいっぱいなだけや」

「えっと……今は1200mを超えたあたりっすけど」

「だから適性は短距離かマイルあたりなんやろ。ただでさえ体の出来上がっとらんジュニア級ウマ娘にとって中距離は長い。とてもやないが、2000mを走りきれるとは思えんな」

 

 言われてみれば、後方集団の中でも徐々に後ろの方へ後退しているようにも見える。

 

「という事は、ブルーサイレントもスタミナが足りてないと?」

 

 同じ後方集団を走るブルーサイレントがターフビジョンに写し出されたのを見て、リヒトが問うた。

 

「いや、ブルーサイレントのスタミナは十分足りとった。せやけどなぁ、出遅れを取り戻すのに体力を使い果たしとるな、アレは」

「えっ! じゃあシュートもヤバいんじゃ……」

 

 出遅れたブルーサイレントがスタミナ切れに陥っていると言うことは、同じ出遅れ組で、尚且つ先頭集団に着けるために脚を使ったシュートも危ないのではないか。そう危惧するリヒトを、白石は鼻で笑って答える。

 

「俺はな、レース前にシュートへ秘策を授けとる」

「それは、どんな?」

 

 ごくりと唾を飲み込み訊ねるリヒトに、白石はニヤリと笑って告げた。

 

「スタミナですり潰せ、や」

 

 

★最終ターン

ピックアップステータス【1D5:3】(1から順に スピ,スタ,パワ,根,賢)

[必要スタミナ不足によりキュウカンバア、メイドノミヤゲ、ワイルドファイアにマイナス補正が入ります]

 

①ハッピーシュート【5D10:36】+5   =41

②ブルーサイレント【5D10:24】+5   =29

③キュウカンバア 【5D10:31】-5 -10 =16

④メイドノミヤゲ 【5D10:25】+0 -20 =5

⑤ワイルドファイア【5D10:20】+0 -5 =15

 

[ハッピーシュートの勝利!]

 

 

 ――さあ第3コーナーを回って第4コーナーに入ります。先頭は依然ワイルドファイア、燃え尽きること無く進んでいく。二番手は少し離れてハッピーシュート、三番手はやや後方――

 

 ――おっとここでブルーサイレント上がってきた! ジリジリと順位を上げていきます! 対して最後方メイドノミヤゲは動かない、直線勝負を狙っているのか不気味な構え――

 

 残ったスタミナでロングスパートをかけながら、ブルーサイレントは流れる汗を拭う。ジリジリと近づいてくる先頭集団に目立つ白毛の尻尾が見えた。

 

(捕まえたぜ手抜きヤロウ!)

 

 第4コーナー出口の下り坂でさらに加速し、ハッピーシュートの足裏の蹄鉄がハッキリ見える位置まで来ていた。

 

(末脚勝負なら誰にも負けねえ! このまま先頭の鹿毛女までブチ抜いてやる!)

 

 気合一閃。

 直線に入り、残り300m弱。

 加速するべく脚に力を込めた時だった。

 

(前に……進めねえッ!)

 

 中山レース場の最終直線には見えない壁が聳え立っている。

 200m足らずで4m近い坂を登りきらなければゴールに辿り着けないこのコースは、パワーとスタミナの足りないウマ娘を、これまで何人もはじき返して来た。

 

 そしてスタミナを消耗しすぎたブルーサイレントもまた、この壁の餌食となる。

 

(坂ッ! なんでっ……前にッ! アイツ……()()()()()()()()()()()()()()()

 

 まるで寝苦しい夜に見る悪夢のように、踏み込んでも踏み込んでも前に進めないこの坂を、ハッピーシュートだけが、エスカレーターを登るようにスイスイと進んでいく。

 そんな理不尽な光景に、胸中を絶望感に蝕まれつつあったブルーサイレントとは対象的に、それでも諦めない燃える心の持ち主がいた。

 

 そのウマ娘は坂の上に見えるゴールを目指して、一心不乱に駆けていた。

 スタミナはもう、ブルーサイレント以上に残っていない。

 後ろから力強い足音が迫ってくる。

 それでも彼女は諦めない。

 

 そのウマ娘の名前を、ワイルドファイアと言った。

 

 

★最終直線

 

1.ワイルドファイア逃げ切った!

2.競り合い

3.競り合い

4.ハッピーシュートハナ差で勝利!

5.ハッピーシュートハナ差で勝利!

6.ハッピーシュート差し切ってゴールインッ!

7.ハッピーシュート差し切ってゴールインッ!

8.ハッピーシュート、他バを置き去りにして圧勝!

9.ハッピーシュート、他バを置き去りにして圧勝!

10.ハッピーシュート、上がり最速で圧巻のレコードタイム2:00:00!

 

【1D10:2】

[ワイルドファイアの予想外の健闘に筆がノッてあんな事書いたからフラグが……!?]

 

 

 ――ワイルドファイア粘る! ワイルドファイアまだ燃え尽きない! ハッピーシュート迫ってくる! 残り100mを切ってブルーサイレントはもういっぱいか、勝負はこの二人に託された! 粘るワイルドファイア、迫るハッピーシュート――

 

 

★最後の競り合い

①ハッピーシュート 根性D【1D100:37】+0 =37

⑤ワイルドファイア 根性E【1D100:6】-10 =-4

 

 

 赫く赫い炎は、唐突に燃え尽きた。

 それはまるで、勢いよく燃え上がった野火が、草原を燃やし尽くして消え去るような潔さだった。

 ゴール板の手前、あと一完歩という所で、白き一撃に撃ち抜かれた。

 

 フラフラと歩くような速度で外ラチまで進むと、燃え尽きたワイルドファイアはドサリとターフに寝転がった。

 

 故障でもあったのかと、職員とトレーナーがこちらへ走ってくるのが見えた。

 

「はは……」

「心配して、来てみりゃ……何――笑ってんだ、よ……」

 

 抜けるような青空で埋め尽くされた視界に、息も絶え絶え顔を出したのは、この空と同じ「青」を冠するには黒すぎる毛色のウマ娘――ブルーサイレントだった。

 

「あのさ、あの娘って出遅れたんだよね?」

「あ? あぁ、忌々しいことに、俺とキュウカンバア()()()()も一緒にな」

 

 それを聞いて、ワイルドファイアはまた「くはは」と笑う。

 

「笑ってんじゃねーよ」

「そうだね、ごめん」

 

 そう言って二人を口を閉じるのと、息を切らしてワイルドファイアのトレーナーがやってきたのは同時だった。

 

「ファイア! 大丈夫か?」

 

 2000mを必死になって走った後の自分達よりも荒い息をつくトレーナーを見て、ワイルドファイアとブルーサイレントは同時に笑った。

 

 

 【 R E S U L T 】

 

1着 ハッピーシュート

2着 ワイルドファイア ハナ

3着 ブルーサイレント 2 1/3

 

 

 

★レース勝利ボーナス

 

1.スピード

2.スタミナ

3.パワー

4.根性

5.賢さ

6.バ場適性

7.距離適正

8.白 石 最 強

 

【1D8:7】のトレーニング進行度が【1D3:3】上昇!(適正上昇の場合、1段階のみ)

 

‖距離適性上昇ダイス‖

1.短距離 B

2.マイル B

3.中距離 A

-.長距離 S[MAX!]

 

【1D3:3】 [中距離  に上昇!]

 

 ファン数が【3D100:61】×10 +6000 [6610]人増えた!

 

 

 

 

 【 R E S U L T 】

 

 スピード ■□□□□[C+]

 スタミナ ■■■■□[C+]

 パワー  ■□□□□[C+]

 根性   ■■□□□[D]

 賢さ   □□□□□[E+]

 

 中距離適性 A→S

 

 

【ファン数 2849人 → 9459人】

 

 




 次回はレース後のお話とクラシック級1月になります。
 掲示板回も書きたいですね!
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。