×××はバ主になるようです ~ダイスで生き抜く未来のウマ娘世界~ 作:今峰鏡
【イベント 1月】
【2D6:2】
[出目6が クロコ → ライバル に変化しました]
1.向日葵 ◇◇◇
2.シュート ◇◇◇
-.リヒト ◆◆◆ MAX!
3.キミノ ◆◇◇
4.帯金 ◆◆◇
5.奥さん ◆◇◇
6:ライバル ◆◇◇
‖シュートの家庭環境を決めます‖
裕福度【1D100:60】(レース教室に通えるレベルなので最低保証30)
家族の人数【1D6:1】
[1ぃ!? 片親で兄弟は居ないようです……]
‖保護者の方はお父さんかお母さんか‖
【1D2:2】(1.シングルファザー 2.シングルマザー)
[ウマ娘の母親はウマだと明言はされていませんが、それらしい描写が多いのでお母さんもウマ娘とします]
[……ちょっとダイスを振ろうかと思いましたが、ヒト娘だとさらに複雑な家庭環境になりそうなので止めておきます。]
[さて、女手一つで中流よりやや上の経済環境……大変ご苦労されたと思いますが、ご職業は?]
‖母親の職業‖
1.元重賞ウマ娘で、その時の賞金を切り崩しながら今は働いています。
2.桐生院家と縁がある家柄なので、その伝手でレース関係の仕事をしています。
3.ウマ娘は身体能力が高いので、肉体系の仕事だとエリートなんです。
4.大手企業の会社員です。ホワイトな環境なので助かっています、白毛だけに。
5.作家をしていまして、毎日が在宅勤務だから子育ても余裕――なわけ無いでしょ締切がぁ!
6.白 石 最 強
【1D6:4】
[本当は姉とか妹をスカウトする展開にならないかなと思ってダイス振ったのに……]
[流石にお母さんはスカウトできません]
[という訳で、シュートの帰省編with白石センセです]
千葉県某所、桐生院のレース教室のある台地の林から車で(あるいはウマ娘の脚で)数十分の所にある市街地を、赤地に黄色のラインをペイントしたセダンタイプのイタリア車が、場違いな排気音を響かせながら走っていた。
車を運転しているのはリムレスタイプの眼鏡をかけたスーツ姿の垂れ目の中年男性で、助手席には白毛のウマ娘を乗せていた。
白石とハッピーシュートだ。
ハッピーシュートは一ヶ月の休養期間を実家で過ごすため、白石は彼女を送るついでに、親御さんへ対面で近況報告をしに千葉県まで来ていたのだった。
ちなみに、以前この車を運転していたキミノワルツは実家に帰省したままだ。先日も仁美宛に親戚からのマリハラ*1が酷くてウンザリしている旨のLANEが届いたそうなので、あまり羽は伸ばせていないようだが……
閑話休題。
市街地をしばらく走っていたイタリア車は、こぢんまりとした一軒家の前に停まった。
白石は家の前の駐車スペースに車を入れると、シュートの母親の物と思われる軽自動車にぶつけないよう気をつけながら車のドアを開け、セカンドバッグ片手に外へ出る。
長時間の運転で凝った肩をほぐしながら、さっさと玄関へと向かうシュートの後を追った。
「ママ~ ただいま~」
鍵を開けて玄関から家の中に声を掛けると、パタパタとスリッパの音がして一人の女性が姿を表した。
シュートの年齢を考えると、若くても30代後半から40代のはずだが、そうとは思えない若作りの女性だ。
ショートカットの白毛に同色の耳と尻尾――ウマ娘であるから若作りなのは当然かも知れないが。
‖ちなみにお母さんの年齢は?‖
【3D6:7】+30 = 37歳
[うおっ 思ったより若い!? 37歳高収入(裕福度60)家持ち車持ち関東圏在住シングルマザーはちょっとどころじゃないエリートですよ!? しかもこれ大学卒業前後でシュートを産んでますよね……ちょっとダイス数間違えた感ありますが、困ったらダイスを振ってみましょう]
夫とは【1D3:1】(1.離婚 2.死別 3.未婚)
離婚したのは【1D15:12】年前 [25歳の時に離婚、シュートは4歳でした]
[恐らく離婚してからシュートのために頑張ったんでしょうね……おじさん今泣きそうです]
「はい、おかえりなさい。白石先生もようこそいらっしゃいました、どうぞお上がり下さい」
「どうもお久しぶりです、上がらせていただきますわ」
ペコリと頭を下げ敷居を跨ぐ白石は、シュートの母親とは既に面識があった。「バ主として大事なお子さんを預かるんやから当然の事や」とは白石の言だが、LANE等でシュートの近況について細かく連絡を入れていたのは、女手一つで苦労してシュートを育ててきたであろう彼女への配慮でもあった。
「ママ、私荷物あるし部屋行ってるから」
「はいはい、ママは先生とお話してるから」
「は~い」
「さ、先生。こちらへどうぞ」
「お邪魔します」
そんな遣り取りをしてリビングに通された白石は、生活感の漂うリビングで勧められた椅子に座ると、シュートの母――【ブロンノワール】が紅茶を淹れて来た。
「どうぞ」
「いや、すんません」
来客用だろう上品なカップを手に取り一口飲む。
芳醇な香りが鼻腔に広がり、フルーティーさを感じる味が舌を楽しませてくれる。
良い茶葉だ。バ主との付き合いで良い物を知っている白石は、それなりに高価な茶葉であることを察した。自分が訪ねる事で気を使わせてしまったかも知れないと、少々申し訳ない気持ちになる。
「美味しいお茶ですな、ありがたい」
「先生にはシュートがお世話になってますから」
そう言ってブロンノワールが微笑む。
そうした仕草のひとつひとつに、彼女と同じで女手一つで自分を育ててくれたウマ娘の養母が重なり、白石は安らぐような居心地が悪いような気持ちになった。
「まさか娘がGⅠを勝つなんて……白石先生が娘のバ主になってくださると聞いた時も驚きましたが、今回はもっと驚きました。本当にありがとうございます」
白石が言葉に迷っていると、ブロンノワールが先にそう切り出した。
「いえ、そんな……シュートには素質がありますさかい、自分はそれを引き出してやったに過ぎません」
「そう謙遜なさらないでください。娘の指導は骨が折れたでしょう? 父親が居ない事を負い目に思わないようにと、甘やかして育てた自覚はあります」
「…………」
そう言われると白石には言葉がなかった。
流石に母親を前にして「お宅の娘さんは本当に根性無しで……」と言えるほど白石は図太くない。
言葉に困った白石は近況について語ることにした。
「それでも、最近はアスリートとしての自覚が出てきたように思います。正月に友人のウマ娘と模擬レースをしてから顔つきが変わりましたわ、あの年頃の子供は変わるのに何がきっかけになるか分かりませんな」
これはお世辞でも何でも無く、白石の素直な感想だった。
ポピーミントとの模擬レースに思う所があったのか、纏う雰囲気が変わったことを名伯楽は感じ取っていた。
「それもこれも、娘に貴重な機会をくださった先生のおかげです。職場でも評判になっていて――あ、そうでした! 上司や取引先の方から先生のサインを頼まれていて、ご迷惑でなかったら……」
「ああ! そんなもんナンボでも書かせていただきますわ! 色紙とペンは……」
「ちょっと待っててくださいね」
パタパタと去るブロンノワールの揺れる尻尾を見送る白石は(シュートの才能は母親譲りでは無さそうやな。父親の血筋に名ウマ娘がおるか、それとも突然変異か)などと考えかけ、失礼だなと頭を振って思考を打ち消す。これも職業病だろう。
すぐに戻ってきたブロンノワールから色紙を受け取り、いつもより丁寧にサインを書き終えた白石が口を開く。
「これは内密にしてほしいんですが……」
「はい」
「シュートの次走はドバイ――UAEダービーにしよう思うとります」
「はいぃ!?」
耳を引き絞り、尻尾を立てて驚くブロンノワールの素の驚き様はシュートにそっくりだった。
「あ、いえ……すみません。ドバイ、ですか?」
「えぇ、ほんでそこの成績次第ですが――」
1.ケンタッキーダービーの出走も考えとります。
2.ケンタッキーダービーの出走も考えとります。
3.ケンタッキーダービーの出走も考えとります。
4.トライアルレースの結果次第ですが、羽田盃の出走も考えとります。
5.トライアルレースの結果次第ですが、羽田盃の出走も考えとります。
6.ティアラ路線一冠目、桜花賞に出走予定です。
7.ティアラ路線一冠目、桜花賞に出走予定です。
8.クラシック三冠路線の皐月賞を考えとります。
9.クラシック三冠路線の皐月賞を考えとります。
10.白 石 最 強
【1D10:9】
「――クラシック三冠路線の皐月賞を考えとります」
「あー……すみません。理解が追いつかず……UAEダービーはドバイのダートで、皐月賞は日本の芝ですよね? その、ハッキリと申し上げて、ローテーションの意図が読めないのですが」
ブロンノワールのもっともな指摘に白石は
「これは、まだ身内くらいにしか話しておらんのですが……私は――俺は『最強』のウマ娘を育てたい思とります」
口を閉じて先を促すブロンノワールに白石は続けた。
「最強のウマ娘とは何か。ずっと昔から、この界隈ではファンの間でも、ウマ娘の間でも、トレーナーの間でも議論されてきました。答えは様々ですが、しかしどれもこう但し書きが付く。『ダートなら』『クラシックなら』『スプリンターなら』『ステイヤーなら』!!」
語りながら興奮してきたのか、白石の語調が荒くなってきた。
ブロンノワールが唾を飲み込む音が大きく響いた。
「最強議論に度々挙がる三冠バ【ナリタブライアン】ですら高松宮記念は勝てんかったんです! ウマ娘の適正、脚質を超えて勝つことは実に難しい……だからこそ! クラシックで、短距離で、長距離で、芝でダートで国内で国外で! あらゆる場所でGⅠに勝利すれば、それは文句なしの最強ウマ娘ちゃいますか!?」
白石の言葉はあまりにも極論だ。
だが、どんな距離、どんなバ場でも勝てるウマ娘がこれまで存在したかと言うと、それもまた『否』だった。
確かにその偉業を成し遂げたウマ娘が居たとすれば――それは紛れもなく『最強』と言えるだろう。
「俺は現役『最強』のトレーナーと呼ばれとります。その『最強』が『最強のウマ娘』を育て上げたら……レースはもっと盛り上がる。そう思いませんか?」
白石の問いかけに、ブロンノワールは考え込む。
この狂気を宿す『最強』に、果たして大切な娘を預けたままで良いのか、その答えを決めるために彼女は白石へ逆に問いかけた。
「白石先生は何故……そこまで『最強』に拘るんですか?」
娘を想う母親の真剣な眼差しを受け止めて、白石は少しだけ怯んだ。
もしいい加減な返答をしたら、娘に害を成す狂人だと思われたら、自分は直ちにウマ娘の膂力で殴り殺されるだろう――それほどの凄みがあった。
白石は紅茶を一口飲んで喉を湿らせると、意を決して語る。
「俺は子供の頃、フランスにおりました。その頃の欧州レースはまあ酷いもんで、日本でもレース衰退期にありましたが、それ以上でした」
日本の地方でもあった、ブックメーカーによる闇賭博問題。トレーナーへの給与未払やウマ娘への賞金未払問題。人種問題の先鋭化によって発生した、トレーナーの指導をウマ娘への虐待だと主張する種族差別問題。感染症の世界的流行に伴うレース界でのパンデミック。東欧での戦争勃発に伴うウマ娘徴兵問題。英国のEU離脱による欧州レースの結束の崩壊……数え上げればキリがない問題が、当時の欧州では発生していた。
「今こそバ主制度が成立して、英国王室や中東王室のバ主参入もあり国内海外共にレースは熱を取り戻しつつあります。ですが、今のレース界隈にはスターが居ない。【シンボリルドルフ】が【ミスターシービー】が【ナリタブライアン】が【オルフェーヴル】が居たあの時代には、遠く及ばんのです……」
まさに黄金期。
URAファイナルズ成立時のトレセン学園は、絶頂期にあったと言っても過言ではないだろう。
「俺はあの頃のレースを取り戻したい。そのためには圧倒的なスターが、あらゆるウマ娘の目標であり超える壁となる『最強』が必要や。そして――」
「貴女の娘さんには――ハッピーシュートにはその素質がある」
「UAEダービー出走は、シュートの精神的成長を促す目的もあります。せやけど一番の目的は、世界の目をシュートに向けさせる事です。そして世界が注目するウマ娘が、日本で三冠バになる……実に劇的な『最強』の誕生ちゃいますか?」
胸の内を吐露し、白石は一旦落ち着いて深呼吸する。
次の瞬間自分の夢は、野望は、露と消えるかも知れない……そんな事を思いながら。
‖ブロンノワールの反応は……‖
【1D100:92】(1ほど悪い 100ほど良い)
リビングには暫くの間重い沈黙が落ちた。
白石は真剣な眼差しをブロンノワールから外さない。
ブロンノワールは瞑目して、白石の言葉を咀嚼しているようであった。
知らず知らずの内に力が入っていたのか、強く握りしめられていた白石の手が白を通り越して青くなり、すっかり冷たくなった頃だった。
つう――と、ブロンノワールの閉ざされた目尻から雫が落ちた。
白石がハっと目を見開く。
ゆっくりと瞳を開いたブロンノワールは、頬を紅潮させて、戸惑うように笑んだ。
「娘をそこまで買っていただけているだなんて、思ってもいませんでした」
「お母さん……」
「私も衰退期の生まれですし、ウマ娘ですから先生の気持ちは良く分かります。走るのは得意じゃありませんでしたが、それでも好きでしたから……」
彼女が幼い頃はレース衰退期真っ只中で、もしレースを走りたいと言おう物なら白い目で見られるような時代だった。
何より走るのが好きな
だからこそ、娘が好きなだけ走れるようにと、有名な桐生院家のレース教室に入れたのだ。
そして、その結果が最高の形で実を結び、彼女の夢はスタートラインに――否、スタートゲートに入ったのだ。
絶好枠の1枠①番。『最強』と言う名の
「その話は、娘に?」
「まだ全ては話しとりません。プレッシャーになりかねませんから」
「そうですね。親からしてみても、あの子はまだ未熟ですから……」
そう言うと、ブロンノワールは口元を抑えて涙ぐむ。
ふと、これまでの娘の成長を思い出したのだろう。
立派になった――いや、立派になろうとしている娘に、感極まったのだった。
「『最強』の夢を背負った娘を、先生が大事にしてくださるだろう事は、よく分かりました」
「それはもう! 僭越ながら自分の娘のように思うとります」
「あら、それならあの子にも、ようやく父親が……出来て――」
言いながら、ついにブロンノワールはわんわんと泣き始めてしまった。
慌てた白石が立ち上がりかけるが、ブロンノワールに手で制されておずおずと椅子に座る。
ブロンノワールの泣き声は暫く続き、それが次第に嗚咽に、そして啜り泣きに変わると、彼女は手で顔を隠しながら立ち上がった。
「すみません、化粧が崩れてしまって……顔を洗ってきます」
「いえ、どうぞごゆっくり」
いそいそと退室するブロンノワールを見ないように気を使って送り出すと、ようやく肩の力が抜けた白石は、冷めきった紅茶を啜る。
あそこまで感動してくれるとは思わなかったが、自分の胸に抱いていた夢に愛バの母親が賛同してくれた事は素直に嬉しかった。
と、紅茶を飲みきろうとした時であった。
バンと大きな音を立ててリビングの扉が開いた。
「ちょっとセンセ! ママに何したの!?」
そう言って飛び込んできたのはシュートだ。
眉を怒らせて耳を後ろに限界まで絞っている。
「ママが洗面所で泣いてたんだけど! ママに非道い事したならセンセでも許さないから!」
どうやら啜り泣くブロンノワールを見たらしい。
怒り狂うシュートを宥めようと、自分の夢に触れないよう白石は言葉を探す。
「あー、シュートの活躍を話しとったらな、ママさん感動してもうたみたいでな……」
「はぁ!? そんなんであんなに泣くワケないじゃん!」
親の心子知らずと言うか、子供の居ない白石でもコレくらいは分かる。
(そんなんで、親は泣くんやで……)
そんな事を思いながらもブンブンと揺さぶられる白石は、落ち着いたブロンノワールがリビングに戻ってくるまで目を回し続ける事になったという。
[実家に帰ってしっかり休養した事で練習効率アップ! 次の練習のトレーニング進行度に+1]
【 R E S U L T 】
1.向日葵 ◇◇◇
2.シュート ◆◇◇
-.リヒト ◆◆◆ MAX!
3.キミノ ◆◇◇
4.帯金 ◆◆◇
5.奥さん ◆◇◇
6:ライバル ◆◇◇
今回の話を書くにあたり、関東圏の三十代後半女性やシングルマザーの平均収入やなんやかんやを調べる内、そうした中で小さな娘を育てながら一人で頑張ってきたブロンノワールさんに、年が近いのも手伝って感情移入しすぎて、ずっと泣きながら執筆していました。
この健気で強い女性を傍で支えてあげたい。その苦労も、喜びも、ともに分かち合いたい――だから、結婚してほしい。
主人公の母親強火ガチ恋勢の誕生です。
それでもなるべく贔屓しないようにダイスの女神様の采配に従ってお話は続けていきますので、これからもお付き合いいただけると幸いです。
ダ女神様のせいで三冠バ目指すことになったのは恨んでいませんとも。
むしろ白石最強をギリ引かなかったことを感謝しているくらいです。
◆おまけのちょっとした設定
ブロンノワールさんは大卒の有名企業勤務、勤続15年。(一般の両親健在の家庭と比較して)裕福度「60」と言う事で、幅を持たせて年収600~800万円くらいを想定しています。
家持ちなのも、長く住んで娘をのびのびと育てるなら、小さくても一戸建てを借りるか買うかした方が良いと考えたからでしょう。
ホワイトな企業の良心的な人事なら、家持ちで娘が居る女性社員を遠くに飛ばそうとは思わないですからね。あまり無碍に扱うと組合とかも出てきますし……
と言うか男だろうと女だろうとウマ娘だろうと、そう言う風に頑張ってる社員が居たらマトモな上司は引き上げようとしますし、よっぽど出世は早いと思います。勿論そのチャンスを掴んでモノにしたのは、ブロンノワールさんの努力によるものだと断言しますが。
以上、強火ガチ恋勢の解説でした。