×××はバ主になるようです ~ダイスで生き抜く未来のウマ娘世界~   作:今峰鏡

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今回特定の宗教について言及しています。
本作ではあらゆる宗教、宗派について批判する意図はありません。


クラシック級 3月 中編

 

 青鹿毛のウマ娘は右手を下ろすと、マントを翻してこちらに背を向けた。

 肩越しに振り返りながら日章旗を振り振り、悪戯気な笑みを浮かべて告げる。

 

「バスを用意しておりますので、どうぞこちらに。皆様をメイダントレセン学園までお連れするであります」

 

 疑う事無く彼女の後を付いて、ぞろぞろと歩き出した日本トレセン学園一行が向かった先に待っていたのは、『メイダンレース場』の文字が入った高級そうな大型バスであった。

 日本から来た数十人は促されるままバスのトランクに荷物を預けて乗り込むと、白石達一行もそれに続く。

 それなりに余裕がある座席にシュートが座り、その通路を挟んで反対側にシャイターンバスターが滑り込むと、バスはすぐに発車した。

 

 ドバイの洗練された街並みを滑るように進むバスの中で、シャイターンバスターは反対側の座席に並んで座るシュートと白石に声をかけた。

 

「はじめまして、ミスター白石。そして白毛のお姫様。先程も名乗らせて頂きましたが改めて――シャイターンバスターであります、以後お見知りおきを」

「ご丁寧にすみませんなぁ。白石祥明や、よろしゅう」

「えっと、ハッピーシュートです……」

 

 もじもじと答えるシュートに、シャイターンバスターは薄く微笑んで白石に言葉を投げる。

 

「ハッピーシュートさんは奥ゆかしい方でありますな。彼女のような方を大和撫子と言うのでありましたか?」

「そないなモンやあらへん。ただの人見知りですわ。シャイターンバスターさんこそ日本語がお上手で」

「お褒めに頂き光栄であります。自分は日本の文化やアニメが大好きでして、言葉も独学で覚えたものでありますから、そう言っていただけると安心します」

 

 嬉しそうにマントの裾を両手で持ってヒラヒラとさせるシャイターンバスターに、社交辞令は終えたと考えたのか、白石は眼鏡の弦を持ち上げると問うた。

 

「で、何の用や。喧嘩なら()うたるぞ、シュートが」

「ちょっとセンセ!?」

 

 低い声で言う白石にシュートがギョッとした目を向けるが、シャイターンバスターは気にした素振りも見せない。むしろ笑みを濃く、深くする。

 

「面白い方でありますな、これが本場のお笑い(オワライ)と言う奴でありますか――いや、失敬、挑発する気は無かったのであります。ただ――」

 

1.日本の『最強』とお話してみたかった。

2.ハッピーシュートさんとお話してみたかった。

3.自分達は協力出来ると思うのでありますよ。

4.貴方がたが自分の『敵』足るのか確かめたかった。

5.貴女に一目惚れしたのでありますよ、シュートさん。

6.白 石 最 強

【1D6:3】

 

 シャイターンバスターが()()()と体を乗り出してきた。

 シュートの座席のヘッドレストに手を置いて、彼女の眼前に顔を寄せる。驚いたシュートが白石側に身体を倒すが、白石も上体を傾がせて青鹿毛のウマ娘の視線をまっすぐと受け止め初めた為、いよいよ逃げ場が無くなった。

 仕方なく再び身体を戻すと、今度は目と鼻の先に艶の良い褐色の肌と榛色の瞳、すっと通った鼻梁とぽってりとした唇のラインが、美しい横顔を形作っているのを目の当たりにして、ごくりと唾を飲む。なんだかエキゾチックな良い香りまでして頭がくらくらしてきた。このウマ娘、顔が良すぎる。

 

 そんなシュートの葛藤を他所に、シャイターンバスターはひっそりと声を潜めて言った。

 

「白石トレーナー、自分達は協力できると思うのでありますよ」

(やだ、ちょっと低めの声まで格好良すぎる! ヤバイわよ!)

「それは、俺等にラビットになれっちゅう事か?」

「んふっ……違いますよ、()()は日本の『最強』の指導方法に興味があるだけです」

(なにその笑い方!? えっっっっろ!!)

「俺に? それはお前がか? それともトレーナーか、バ主が?」

「その()()()()です」

 

 言ってから、シャイターンバスターは細く長く息を吸い、間を区切ると言う。(ひぅんっ……!)

 

「貴方は我々に指導方法を開示する。我々は貴方がたに――貴方がた()()に専用のトレーニング施設や宿泊施設などを貸出す。良い取引ではありませんか?」

(猫撫で声止めてっ! 脳味噌溶けるっ!)

 

 榛色の瞳でじっとりと見つめられた白石の頬を一筋の汗がつたった。

 白石は一度不機嫌そうに唇を曲げると、ゆっくり口を開いた。

 

1.はい

2.いいえ

3.シュート「ひゃ、ひゃいっ……///」

【1D3:3】

[今げらげら笑ってます。そりゃ1/3なら引くよね……]

 

「いや、断ら「ひゃ、ひゃいっ……!」――シュートォ!?」

 

 顔を真赤にしてぎゅっと目をつむったシュートが裏返った声で答えた。

 白目を剥いて顔に縦線を入れた白石が、『ガビーン』というオノマトペを背負って叫ぶ。

 

「はっはっは! 有り難いであります。それではメイダンレース場に着き次第、自分のトレーナーの所へ案内するでありますよ」

「あっ、ちょい待ちぃ!」

 

 シャイターンバスターはさっと二人から離れると、席を立って運転席の方へと歩いていく。

 白石は舌打ち一つ、シュートを睨みつけた。

 

「はっ……!? 私は何を……」

「シュート、お前なぁ……」

「だ、だって……ごめんなさい」

 

 しゅんと耳を倒すシュートを見て一つため息を吐くと「まあええわ」と区切って、運転手に何やら耳打ちするシャイターンバスターを睨みつけて言った。

 

「どちらにせよ、ちょっかい掛けられるんは時間の問題やったしな。ドバイ(ここ)はあいつらのホームや、接触しよ思えばいくらでもやり様はある……せやけど、これで俺らは日本勢も()()()()()()()()()

「えっと、それって?」

「日本の皆で仲良く頑張ろう言うとる所で、一人だけ特別扱いされるんや。『何やアイツ』て思われるんも仕方無いやろ……ホレ、言うたそばから仕掛けてくるで」

 

 白石が顎をしゃくって運転席を示すと、メイダンレース場の門を潜ったバスは学園の方向では無く、木々に囲まれた細道に入った。

 何度かドバイに来たことのあるトレーナーを中心に不審気なざわめきが広がり始めた頃、大型トラックを有した一軒の豪邸の前でバスが停車する。

 

「それではミスター白石とお連れの皆様はこちらでお降りください、ここからは別の者が案内するであります」

 

 困惑する周囲を尻目に立ち上がった白石に促され、シュート達3人も怪訝な表情で彼に続く。

 白石達がバスから降りると、ドアの向こうで手を振りながらシャイターンバスターが言った。

 

「それでは、また後ほどお会いするでありますよ」

 

 ドアが締まり、バスは今度こそ校舎の方へと去っていった。

 去り際に窓から興味深げな目線を投げかける日本陣営達の中には、シュートをじっと睨めつけるイズモヤエガキの姿もあった。

 

 いくつかのスーツケースと共に置き去りにされた白石達が見上げる豪邸は、ドバイらしく近代的でデザイン性の高い建物だ。

 その隣に見える大型トラックも内と外で芝とダートに分かれており、よく手入れされていることが分かる。

 

 シュートが敷地内を興味深げに見渡している横で、白石がキミノとリヒトに簡単な事情を説明していると、彼らの傍に黒塗りの高級車が停まった。

 車から降りてきたのは――

 

1.シャイターンバスターのトレーナー

2.シャイターンバスターのトレーナー

3.シャイターンバスターのバ主

4.欧州のウマ娘

5.アメリカのウマ娘

6.白 石 最 強

【1D6:3】

 

 ドバイの民族衣装(カンドゥーラ)――俗に言う『石油王ファッション』に身を包んだ男性は、車から降りるなり白石へと手を差し出して満面の笑みで名乗った。

 

『はじめまして、白石トレーナー。私は【シャムス】と言います、お会いできて光栄だ』

『白石です。お招き頂き有難うございます、殿下』

 

「でんかぁ!?」

 

 英語で話す白石とシャムスの会話に、最も英語に堪能なリヒトが叫び声を上げた。

 日本語以外さっぱりなシュートはキョトンとした顔を、ある程度英語が話せるキミノは驚いた顔でリヒトに訊ねる。

 

「私の聞き間違いかと思ったのですが……やはり?」

「ええ、そうっす。確かに先生は『殿下』と」

「ちょっとリヒトさん、どういうこと? でんか?」

 

 ピンと来ていないシュートだったが、その答えはすぐに白石から告げられた。

 

「おうお前ら、この方はシャイターンバスターのバ主であり、ドバイ王室に属する一人……シャムス王子殿下や、失礼の無いようにせえよ」

 

UUU

 

 豪邸の中に招かれ、各々個室を充てがわれたシュート達だったが、白石一人だけ「殿下と話つけてくるわ」と何処かへ行ってしまった。

 その際に「施設を使わせてくれる言う約束やったからな、トラックやらウェイトルームやら確認してこい」と命じられたリヒトとシュートは、連れ立って洒落た内装の廊下を歩いていた。

 キミノワルツは荷物の整理や出走書類の確認をするために部屋に残っている。

 

 ドバイに着いてからこっち、短い時間で様々な事が起こり過ぎて頭の整理がつかないシュートは、歩きながらリヒトへと質問を投げかける事にした。

 

「ねえリヒトさん、シャイターンバスターは何が目的なのかしら?」

 

 トレセン学園のジャージに着替えたシュートが、小首を傾げてリヒトに問う。

 カツカツと大理石の床を鳴らしながら、強い日差しが差し込むガラス張りの廊下から空を眺めていたリヒトが答えた。

 

「順当に考えれば、俺らの戦力把握っすかね。レースまでの期間でこちらを見極め、その結果を元に作戦を立てるんす」

「でもそれじゃ、私達にもシャイターンバスターの練習とか、バレちゃうんじゃない?」

 

 シュートにしては鋭い指摘に、リヒトも思い当たっていたのか頷く。

 

「そうなんすよ、それにここは相手のホームなんすから、別に何処に居たって監視は容易い……それにUAEダービーに出走するのはイズモヤエガキだって同じっす」

「そうそう! あのガキ! あの娘だってUAEダービーに出るのに、センセもシャイターンバスターも眼中にないみたいだった……GⅠウマ娘なんでしょ? 要注意ウマ娘に挙げてくれても良かったじゃない」

 

 教えてくれていれば空港で絡まれることも、バスの去り際に睨まれることも無かったのにと、シュートが憤慨する。

 リヒトは苦笑いすると「これは俺の想像っすけど」と前置きをして答えた。

 

1.ヤエガキの適正距離はマイルまでだから。

2.陣営が遠征に慣れていないから。

3.今年のダートクラシック級に注目するようなウマ娘が居ないから。

4.地方ウマ娘のため情報が少ないから

5.日本から出走するウマ娘くらいは自分で調べてこいと言う白石の指導。

6.白 石 最 強

【1D6:6】

[どうするんですかこれ!? ちょっと待ってください考えます。 投稿遅れたらこいつの所為です]

 

「それは恐らく――()()()()()()()()()()っす」

「は? 無駄ってどういう事?」

 

 眉を顰めて訝しげに問うシュートに、足を止めたリヒトが真剣な表情でシュートを見た。

 

「今のシュートじゃ、イズモヤエガキに()()()()って事っすよ」

「は、はぁ? 私があのガキに負けるって言うの!?」

「そう言ってるっす。ハッピーシュートではイズモヤエガキには勝てない」

 

 怒りも露わにリヒトへと詰め寄るシュートだったが、真っ直ぐと自分を見据えるリヒトの瞳に白石と似たものを感じると、勢いを失って口を噤んだ。

 

「イズモヤエガキは【1D3:1】(1.2.中央 3.地方)トレセンに飛び級で入学してきた天才少女っす。まぁ白石先生は『本格化がちょっと早かっただけや』なんて言ってたっすけど、天才と言われるだけあって実力は飛び抜けてるっす。全日本ジュニア優駿の二着との差、何バ身か知ってるっすか?」

「……いくつなの?」

 

「【1D6:6】+6[12]バ身っす」

 

「GⅠを大差勝ちって事!? 強すぎるわよ……」

 

「そう思っているのはきっと、他陣営も同じっす。だからシャイターンバスターの目的は――」

 

 

「『イズモヤエガキ包囲網の結成』 御名答であります、ミスター黒須」

 

 

 廊下の暗がりから投げられた声に、二人がはっと視線を向ける。

 カツカツカチャカチャと、軍靴とシャムシールの音を鳴らして現れたのは、褐色肌に青鹿毛のウマ娘。

 シャイターンバスターだった。

 

「シャイターンバスター……」

「お察しの通り、これからお仲間になるのであります。気軽に「シャイたん」と呼んで欲しいでありますなぁ!」

 

 思わず名前を零したリヒトに悪戯っぽい顔で言うシャイターンバスターを視界に入れ、シュートが顔を赤らめた。

 

「また会ったでありますな、白毛のお姫様」

「ひゃ、ひゃい……」

 

 すっと手を握られたシュートの身体が、薄手袋越しの体温を感じて()()()と跳ねた。

 その様子を見て、リヒトが二人の間に体を割り込ませる。

 

「まだ仲間になったと決まったわけじゃ無いっす」

「釣れないでありますなぁ、ミスター黒須は」

 

 二人の遣り取りを見たシュートは、ハッとすると表情を引き締めて言った。

 

1.アンタと組めばあのガキに勝てるのね?

2.アンタなんか居なくても、私はガキなんかに負けたりしない!

3.『包囲網』って事は、他にもお仲間が居るのね?

4.私は『勝つ』わ、何をしてでも。

5.リヒトさん、女の子にドキドキしちゃうのって……変だと思う?

6.ハ ピ ー ト 最 強

【1D6:5】

[この女神やりやがった!! 何で的確にネタ選択肢を撃ち抜くのぉ!?]

 

「――リヒトさん」

 

 いつになく真剣な声音に、リヒトは振り向いて応える。

 

「なんすか、シュート」

 

「女の子にドキドキしちゃうのって……変だと思う?」

 

 リヒトはズッコケた。

 シャイターンバスターすら目を点にしている。

 シュートから桃色の空気が噴出した。

 

「あ、あのね……シャイたんを見てると、なんだか胸がドキドキしてくるのっ! か、からだが熱くなって……おかしいよこんなの、私達女の子同士なのに……」

「何もおかしくは無いでありますよ。人を好きになるのに性別は関係無いであります」

「ちょいちょいちょいちょい! 今そういう雰囲気だったっすか!? というかドバイの宗教的に同性愛は不味いっすよ! 百合なのは駄目! 死刑!」

 

 ちなみにこれはマジである。イスラム教では同性愛を禁じており、イスラム教を国教に定めているドバイでは下手すると死刑なのだ。

 

「はっはっは! 自分は日本オタクでありますからな、当然百合も嗜んでいるであります!」

「そういう問題!?」

「まさかこんな所で念願の日本嫁を手に入れられるとは。自分、亡命も辞さない構えであります!」

「お、およめしゃん……」

「シュートォォォォ! 戻ってくるっす!」

 

 ちなみに現実でもドバイのお姫様が何人も国外逃亡を試みているので、あまり冗談にならない。

 

 キメ顔でシュートの手を握るシャイターンバスター、目をハートにして顔を赤くするシュート、そして右往左往して慌てるリヒト。

 三人は話し合いを終えた白石がやってくるまでそうしていたと言う。




このダ女神ィ! どうしてくれるんですかマジで!
イズモヤエガキの強キャラ化に加えてキマシタワーの建設とか、もう滅茶苦茶だよ!

次回どうなるかは私にも分かりません。


それと前回から急にUAが増えて、嬉しいと同時に困惑しています。
いや、本当に嬉しいんですけど、何故?????

とまれ読んでくださっている皆様、評価してくださっている皆様には感謝の言葉しかありません。
これからも作者がダイスの女神様に振り回される様子をお楽しみいただければ幸いです。

P.S. これまで通勤通学中に楽しんでもらおうと朝6時投稿をしてきましたが、UAが急に増えたお礼(?)に今回は執筆後即投稿をしてみます。
ご意見ご感想があれば是非感想までどうぞ!
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