×××はバ主になるようです ~ダイスで生き抜く未来のウマ娘世界~   作:今峰鏡

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インタールード 京都・芝3000mの理由

 

天候【1D4:1】1.快晴 2.晴れ 3.曇り 4.雨(※今のところフレーバーです)

 

 

★注目ウマ娘のステータスを公開します。

 

①『ワイルドファイア』

SP C

ST B

PW D

根 D

賢 B

適正:バ場A 距離A  

 

スキル:『疾走(はし)れ、燎原の火よ。』:『スタートフェイズ』で出遅れなかった場合、『レースターン』のダイス数を『+1』する。この効果はダイス合計値が30以上である限り続き、最終ターンまで続いた場合、全てを燃やし尽くす炎は自分以外の補正値を『-5』する。ただし効果が終了した場合は、燃え尽きてそれ以降の自身の補正値を『-10』する。

 

 

②『ブルーサイレント』

SP C

ST B

PW D+

根 B

賢 E+

適正:バ場A 距離A 

 

スキル:『蒼海は青き空より出でて』:『最終ターン』に向けてロングスパートをかけ、ターンごとの補正値にそれぞれ『-5』『+5』『+10』する。この能力はレースターンが『3ターン以下』のレースでは発動しない。

 

 

③『ミツリンエルフ』

SP B

ST B

PW E

根 D+

賢 D+

適正:バ場A 距離A  

 

スキル【1D2:1】(1なら開放済)[『森霊一射』:『最終ターン』の『ピックアップステータス』を自身の最も『ステータス値』の高いステータスにする(同値の場合はランダム)。この時自身へのあらゆる補正値を『0』にする事で誓い(ゲッシュ)とし、森霊の加護で『ダイス目の数値を2倍にする』]

 

 

★スタートフェイズ

①ワイルドファイア【5D10:32】+20 =52

②ブルーサイレント【5D10:35】-5 =30

③ミツリンエルフ 【5D10:34】+5 =39

 

 

★1第ターン

ピックアップステータス【1D5:5】(1から順に スピ,スタ,パワ,根,

【ワイルドファイアの固有スキル『疾走(はし)れ、燎原の火よ。』発動!】

[ワイルドファイアのダイス数が+1されます]

 

①ワイルドファイア【6D10:50】+20 =70

②ブルーサイレント【5D10:21】-5 =16

③ミツリンエルフ 【5D10:17】+5 =22

 

[ワイルドファイアの勝利!]

 

UUU

 

 数日前、トレーニングを終えたワイルドファイアの前に現れたのは、ハッピーシュートだった。

 

「私、菊花賞に出れなくなっちゃった……」

 

 気不味そうに言うシュートの言葉に、ワイルドファイアはまず故障を疑った。

 トレーニング中の怪我で出走を取り消したのかと、だとしたら、完治までどれくらいかかるのかと、そう問いかける。

 

「そうじゃないわ。脚の腱に疲労が溜まってるから、怪我しないように出走を見送ったほうが良いって」

 

 シュートの言に、ワイルドファイアは一先ず安堵の息を吐いた。

 

「そうか……残念だけど、仕方ないね」

「仕方ない……のかな。私はファイアと――皆と走りたかったのに」

 

 そう言って、シュートは目を伏せた。

 ワイルドファイアは彼女の背に手を回すと、慰めるように寄り添う。

 

「また走れるさ。今年はまだジャパンカップも有マ記念もある。来年だって大阪杯に天皇賞・春も……それにボクとシュートなら宝塚記念のファン投票だって上位に入れるはずだよ」

「うん……」

 

 だけど、シュートは納得していないような、話が食い違っているような、曖昧な返事をして俯いたままだ。

 ワイルドファイアは寄り添ったまま、ただシュートの言葉を待つ。

 きっと彼女は、話したいことがあるのだろうと察していた。

 慰めが欲しいわけじゃない。

 何かの答えが必要なのだと分かった。

 

 暫くの間そうして待っていると、シュートが口を開いた。

 

 

「ファイアは、どうしてレースを走るの?」

 

 

 ぽつりと、何でもないような風に、感情の籠もっていない声音で、彼女はそう言った。

 それでもワイルドファイアは、それが今彼女の最も聞きたい事なのだと気付き、少しだけ考える。

 

「そうだなぁ……」

 

 少し間を置き、シュートに向き直ると俯いた彼女の肩に手を置いて答えた。

 

 

名誉【1D100:86

賞金【1D100:13】

声援【1D100:91

 

 

「――ファンのため、かな」

 

 シュートが少しだけ顔を上げ、問うような視線を投げてくる。

 ワイルドファイアはすこしだけ頷いて続けた。

 

「ほら、ボクはウマドルもしてるだろ? でもホープフルSに出るまでは、そんなに人気じゃなかった。ボクとしてもウマドルとしての人気はどうでも良かったんだ。――でもね、シュートとの叩き合いから一気に人気が出てさ……年末からしばらくは凄かったな、テレビには引っ張りだこで、どこに行ってもファンが待ち構えているんだもん」

 

 シュートの反応を伺うようにひとつ区切ると、飲みかけのスポーツドリンクで喉を潤す。

 シュートは無表情のまま、黙って話を聞いている。

 

「最初は正直『GⅠを好走したからって現金な奴らだ』って思ったよ。でもね、ボクの走りに勇気をもらったとか、熱い戦いに痺れたとか、ライブの歌が良かったとか……そう言われる内に、もっと沢山褒められたい、ボクを褒めてくれる人たちに喜んで欲しい。そんな風に思い始めたんだ」

 

「その人達が、走れって言うから走るの?」

 

 やっと反応したシュートの露悪的な物言いにも、ワイルドファイアは嫌な顔一つしなかった。

 

「そうだね、ファンの人たちがボクの走りを望むのなら、ボクは走り続けるよ」

 

 ワイルドファイアは「単純に、勝って褒められたら嬉しいしね」と、冗談めかして言葉を締めくくる。

 シュートは淡く微笑むと、肩に置かれた手を握った。

 

「ありがとう、ファイア。じゃあ私も、ファイアが勝ったらいっぱい褒めるね」

 

 ――これは、負けられないな。

 ワイルドファイアは密かにそう思い、そしてその思いを実現させるべく駆けていた。

 

「くははっ! シュートが居ないとこんなにすんなり逃げられるんだね!」

 

 どれだけ逃げても必ず自分を追いかけてきた彼女が今日は居ない。それがこんなに楽で、こんなに()()()ことだなんて思いもしなかった。

 

 きっとライバル達は最終直線で仕掛けてくる。それなら自分は自由に逃げて、そのままレースを終わらせてしまうだけだ。

 

「はやく追いかけておいでよ、ブルー。そしてミツリンエルフさん……このままじゃ――ボクが勝っちゃうよ?」

 

 

★2第ターン

ピックアップステータス【1D5:4】(1から順に スピ,スタ,パワ,,賢)

【ワイルドファイアの固有スキル『疾走(はし)れ、燎原の火よ。』継続中!】

[ワイルドファイアのダイス数が+1されます]

【ブルーサイレントの固有スキル『蒼海は青き空より出でて』発動!】

[ブルーサイレントの補正値が-5されます]

 

①ワイルドファイア【6D10:31】+0 =31

②ブルーサイレント【5D10:28】+20 -5 =43

③ミツリンエルフ 【5D10:31】+5 =36

 

[ブルーサイレントの勝利!]

 

UUU

 

「ブルーはさ、何でレースを走るの?」

 

 シュートの部屋で夜食のフライドチキンを食べていたブルーサイレントは目を丸くした。

 何だ、唐突に。

 そう思ったが、その後続いた菊花賞出走回避の理由を聞いて納得した。

 噛みついたチキンの細い骨をバリバリと噛み砕きながら、ブルーサイレントは考える。

 

理由なんているのか?【1D100:65

周囲の期待【1D100:76

強さの証明【1D100:71

 

「そんな難しいこと、一々考えて走ってのか、パイセンは」

 

 あっけらかんと言うブルーサイレントにシュートが鼻白んだ。

 

「それは……」

「走りたいから走ってんだろ、()()()()()()()

 

 油で汚れた指を舐めて、デザートのビスケットにメイプルシロップをかける。ひょいと一口で頬張ると、コーラで流し込んだ。

 

「まぁ強いて言うなら、バ主とかトレーナーとか……あとは親の為かな。ウチってアスリート一家でさ、子供の頃からスポーツはめっちゃやらされてたぜ」

「レースじゃなくて?」

「野球、サッカー、テニス、バスケ……剣道とか空手もやったな。珍しい所だとカッターか、ボートを漕ぐやつ。でも結局、レースが一番しっくり来たからこうして走ってる」

 

 おしぼりで手を拭いて、ゴミをまとめるとビニール袋に放り込んだ。

 

「ゴミは持って帰りなさいよ」

「分かってるぜ。……後は、自分の力がどこまで通用するのか確かめたいって所もある。そんな環境で育ったから、多分、根っからのアスリートなんだろうな」

 

 残ったコーラをストローでズゴゴと音を立てながら飲み切ると、ブルーサイレントは無言で考え込むシュートを置いて部屋を出た。

 

「いっけね、ゴミ持って来るの忘れてたぜ」

 

 

★3第ターン

ピックアップステータス【1D5:1】(1から順に スピ,スタ,パワ,根,賢)

【ワイルドファイアの固有スキル『疾走(はし)れ、燎原の火よ。』継続中!】

[ワイルドファイアのダイス数が+1されます]

【ブルーサイレントの固有スキル『蒼海は青き空より出でて』発動中!】

[ブルーサイレントの補正値が+5されます]

 

①ワイルドファイア【6D10:25】+10 =35

②ブルーサイレント【5D10:24】+10 +5 =39

③ミツリンエルフ 【5D10:19】+20 =39

 

[ブルーサイレントとミツリンエルフの勝利!]

[ワイルドファイアの固有スキル『疾走(はし)れ、燎原の火よ。』継続失敗!]

 

UUU

 

「シュートさんは、何のために走るのですか?」

 

 いつもの夜のお茶会の最中、ミツリンエルフは出し抜けにそう言った。

 問おうとした質問を逆に訊ねられて、ハッピーシュートは鼻白んだ。

 

「…………何で?」

「それは『何故そんな質問をするのか』という意味ですか? それとも『何故自分がしようと思った質問が分かるのか』という意味ですか?」

「……どっちも」

 

 見透かされたような言葉に、シュートは拗ねたように答えた。

 その様子が可笑しくて、ミツリンエルフはくすくと笑う。

 

「ブルーサイレントさんから言われたんです。「パイセンが何か悩んでいるようだから、アンタが相談にのってやってくれ。オレはバ鹿だから上手く答えられない」って。良い友人ですね」

「アイツ……」

「最初は何の事だか分かりませんでしたが、今の怪我の話を聞いてピンと来ました」

 

 紅茶を一口飲むと、ミツリンエルフは続けた。

 

「今まで『走れるから走ってきた』のに、急に走ることを制限されて、『そこまでして何故走るのか』と――そう思ってしまったのですね?」

「すごいね、ミツりんは」

 

 今まで言語化出来なかった胸の内のモヤモヤを言い当てられて、シュートは素直に感心していた。

 それだけで、今までモヤがかかっていた胸中が晴れるようだった。

 

「そうですね、私は――」

 

使命感【1D100:8】

優越感【1D100:55

満足感【1D100:13】

 

「強い相手を下して、自分が上だと見下ろした時――フフッ、下品なんですが、とっても()()()()()から、レースを走るんです」

 

 頬を染め、うっとりと言うミツリンエルフに、シュートは言葉を失った。

 なんて?

 

「だから、シュートさんが菊花賞を回避されたのは、本当に本当に本当に、すっごく残念です。とっても強くて可愛らしい貴女を下したら、きっとこれまでで一番気持ち良いだろうと思ったのに……ふふ、この悔しさは、ブルーサイレントさんやワイルドファイアさんを倒すことで晴らすとしましょう」

 

「えっと……私とミツりんは友達だよね?」

「ええ、私は友達だと思っています。前にも言ったでしょう? 友達とライバルは同義だって」

 

 だからと言って、友人にマウントをとって優越感に浸るのが性癖だなんて堂々と言うヤツがいるだろうか。もっとこう、ライバルと競い合う事が楽しいとか、そうオブラートに包めないものか。

 

「そうやって相手に遠慮をしたら、これまでと一緒でしょう?」

 

 ミツリンエルフの言うことが理解できず、シュートがキョトンとした。

 彼女は少しだけ、長いまつ毛を伏せて寂しそうに言う。

 

「シュートさんが私とどこか一線を引いている事は分かっています。それが決して悪い感情による物で無い事も、なんとなく察しています。でも私は、シュートさんとブルーサイレントさんやワイルドファイアさん達のような関係が羨ましくて……だから、取り繕うのを辞めました。こんな事、トレーナーさんにだって話したこと無いんですよ?」

 

 ミヤゲさんはある意味私と同類ですから、察しているでしょうけど。と付け加え、ミツリンエルフはシュートをじっと見つめた。

 シュートはその瞳を見つめ返す。

 綺麗で、深い森のような、神秘的な目だった。

 

「うん、そうね。じゃあ私も遠慮は辞める。……って言うか、あんな事言われたら遠慮する気も起きなくなるわよ」

「うふふ。嬉しいです」

「あんまり褒めてないんだけど……うん、分かった。走る理由って、そういう事でも良いのね」

 

UUU

 

 ひとつの解を得て晴れ晴れしく笑ったシュートの顔を思い出し、菊花賞を走るミツリンエルフはレース中にも関わらず笑みをこぼした。

 

 嗚呼、貴女が私に負けて悔しがる表情は、きっとこの笑顔よりも極上の味に違いない。

 

「でもその前に……前菜を平らげてしまいましょう」

 

 走る脚に力を込める。

 彼女の後ろにいるブルーサイレントは、向こう正面の第3コーナーからロングスパートをかけ始めた。

 過去にこの舞台で勝利した【ミスターシービー】や【ゴールドシップ】と同じような、掟破りの下り加速だ。

 

 2度の敗戦で既に学んだ。

 認めよう、直線勝負ではブルーサイレントに勝てないと。

 

「ならば私は、ロングスパートをかける貴女から『逃げ』て、一人旅を続けるワイルドファイアさんを『差す』ッ! お付き合いしますよ、京都の坂の禁忌(タブー)破りッ!」

 

 背後に迫る力強い足音を背負い、ミツリンエルフは脚を早めた。

 

 

★最終ターン

【ミツリンエルフの固有スキル『森霊一射』発動!】

[ピックアップステータスのダイスが変化します]

[ミツリンエルフの補正値が「0」になり、ダイス目が2倍になります]

 

ピックアップステータス【1D2:2】(1.スピ 2.スタ

【ブルーサイレントの固有スキル『蒼海は青き空より出でて』発動!】

[ブルーサイレントの補正値に+10]

【ワイルドファイアの固有スキル『疾走れ、燎原の火よ。』のペナルティ!】

[ワイルドファイアの補正値-10]

 

①ワイルドファイア【5D10:35】+20 -10 =45

②ブルーサイレント【5D10:36】+20 +10 =66

③ミツリンエルフ 【5D10:9】×2 =18

 

[ブルーサイレントの勝利!]

[ダイス目えええええええ!? 1D10ちゃうんやぞ!!!!]

 

UUU

 

 スタンドから最初に見えたのはワイルドファイアだった。

 単騎で逃げ続けるワイルドファイアは、坂を下りきってスタンド前の直線へと入る。

 しかしそのすぐ後ろからはミツリンエルフが猛スピードでコーナーへと突っ込んできていた。

 

「あっ」

 

 しかし勢いがつきすぎたミツリンエルフはコーナーで大きく膨らんでしまい、最終直線に入る頃には大外いっぱいの位置に居た。

 そのロスにつけ込むようにして、同じ様に加速しながらも華麗なコーナリングで最終コーナーを回ったブルーサイレントが内側に並ぶ。

 

「がんばれっ!」

 

 末脚を開放し、先頭を行くワイルドファイアへミツリンエルフとブルーサイレントが迫る。

 三人の距離はみるみる縮まり、残りはあと200mとなった。

 

「三人ともがんばれっ!」

 

 スタンドから大きな声で叫ぶ白毛の少女の声は、レースを走る三人に届かない。

 それでも彼女は叫ぶのを止めなかった。

 

 ハッピーシュートのその顔に、このレースを走れなかった悔しさは今は無い。

 ただただ、友人たちの健闘を祈る、一人のレースファンの顔だった。

 

 

★最終直線

1.ワイルドファイア、粘って粘って逃げ切り勝ち!

2.ミツリンエルフ、クビ差抜け出した!

3.競り合い

4.ブルーサイレント差し切った!

5.ブルーサイレント差し切った!

6.ブルーサイレント差し切った!

7.ブルーサイレント差し切った!

8.ブルーサイレント差し切った!

9.ブルーサイレント差し切った!

10.ブルーサイレント、大きく突き放してゴールインッ!

【1D10:3】

 

 

★最後の競り合い

 

①ワイルドファイア 根性D【1D100:81】+0 =81

②ブルーサイレント 根性B【1D100:47】+20 =67

③ミツリンエルフ  根性D+【1D100:56】+5 =61

 

[ワイルドファイアの勝利!]

 

UUU

 

 一気に縮まった差は、残り100mを切ってからもゼロになることは無かった。

 どこにそんな力が残っていたのか、ワイルドファイアが粘り切る。

 ミツリンエルフも大外に回ったロスを考えれば信じられない加速を見せ、ブルーサイレントに食らいつく。

 ブルーサイレントどれだけ加速しても、二人は限界を超えて身体を併せてくる。

 

 だが、ブルーサイレントの加速が勝った。

 残り一完歩でワイルドファイアを追い抜こうというその時――既に三人は並んでゴール板を駆け抜けていた。

 

 その様子をスタンドから見ていたシュートの肩から力が抜けた。

 自分が走っていた訳では無いのに疲労感が酷い。

 掲示板を見上げれば、ⅠからⅢまで数字が灯っていない。

 場内アナウンスによれば、写真判定に入ったと言う。

 

「決めたわ、センセ」

 

 隣に立つ白石を見上げ、シュートは清々しい表情で告げた。

 白石は黙って腕を組んだまま、シュートに先を促す。

 

「私の走る理由。私は――」

 

1.自分のため

2.センセのため

3.友のため

4.ファンのため

5.ママのため

6.ハ ピ ー ト 最 強

【1D6:5】

 

「私がレースを始めたのは、ママに勧められたから。それで、ここまで走ってこれたのも、ママが女手ひとつで私を育ててくれたから。だから恩返しがしたいの」

「…………」

「ファイアが言ってたわ、応援してくれる人達に喜んで欲しいから走るんだって。それで私も誰に一番喜んでほしいか考えたの。そしたらそれは――ママだった。私はママに一番喜んで欲しい」

 

 笑顔で言うシュートの視線を切って、白石は雲一つ無い秋空を見上げた。

 口の端を歪に曲げて、少し震える声で言った。

 

「ほな、怪我する訳にはいかんな。……お母さんは何よりも、お前の無事が一番大事やろ」

「うん……だからね、大丈夫よ、センセ。ここで皆と走れなかったけど、私は悔しくないよっ……!」

 

 か細く震えるようになった声に、ハッとした白石が視線を下げる。

 笑顔で、だけど白石と同じ様に口の端を歪に曲げて、シュートが涙を堪えていた。

 白石がシュートの頭にぽんと手を置く。

 がしがしと頭を撫でられ、うつむくシュートの足元に、ひとつふたつと雫が落ちた。

 

 白石がシュートの頭から手を離しても、彼女は暫くの間そうしていた。

 眼鏡を外し、眉間を指で抓んだ白石が再び空を眺めていると、ワっと歓声が上がった。

 

 

京都11R 菊花賞 着順

 

1着 ワイルドファイア   

2着 ブルーサイレント ハナ

3着 ミツリンエルフ  ハナ

 

 

 沸き立つスタンドの群衆に紛れ、俯いていたはずのシュートが顔を上げていた。

 その顔に、もう涙はなかった。

 

「おめでと、ファイア。いっぱい褒めてあげないとね」

 

 




まさかあの状況からワイルドファイアが勝つとおもわんやんやん!!!!!!!!!

ものすごい低確率をすり抜けて、ワイルドファイアが勝った瞬間変な声が出ました。
ブルーサイレントも惜しかった……
そして大事な所でダイス目が振るわなかったミツリンエルフは一度お払いに行ったほうがいいとおもいます。


というか、ママのためって……そんなんセンセでなくとも泣くじゃんね。

というわけで次回、流石にブロンノワールさんを登場させたいと思います。お楽しみに。
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