×××はバ主になるようです ~ダイスで生き抜く未来のウマ娘世界~   作:今峰鏡

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間が空いたのに短めです。
今週はもうちょっと書きたい……!


クラシック級 10月 後編

 

【イベント 10月】

【1D10:8】

1.向日葵  ◆◇◇

2.シュート ◆◆◇

3.リヒト  ◇◇◇ 

4.キミノ  ◆◆◇

5.帯金   ◆◆◇

6.奥さん  ◆◇◇

7:ライバル ◇◇◇

8.仲間たち ◇◇◇

9.ママ   ◇◇◇

10.白 石 最 強

 

 

UUU

 

「凱旋門賞か! なるほど流石はシュートだな! 良いな、実に良い、特に字面が良いと思う。『凱』って字が特に格好良い! 書けないが」

「わたしも書けないのです!」

「あんた達ねぇ……ちょっと待って、いざ書けって言われると私も……」

 

 ウンウン唸る三人のウマ娘が、ダートコースに木の棒で存在しない漢字を書き連ねていた。

 ハッピーシュートにオウショウケイマ、そしてカズサヒカリだった。

 

「ガイと言うからには『男』という字が入っているのでは無いか?」

「は? なんで?」

「ナイスガイのガイなのです!」

「あぁそういう……いや、男は入ってなかったような?」

 

 三人寄れば文殊の知恵と言うが、繰り広げられるのは三文芝居にも満たないコントである。むしろウマ娘が三人寄って姦しいばかりであった。

 

 彼女達はシュートのチャンピオンズカップ出走と、ケイマのメイクデビューへ向けての調整のため、ダートコースで併せを行った後であった。

 既に気の早い秋の陽は傾き始めており、さして間を置かず薄闇が辺りを覆うことになるだろう。

 

 結局『凱』の字が分からぬまま、漢字談義に飽きた三人の話題は別のものへと移っていた。

 そこはやはりレースウマ娘らしく、自然とレースの――秋のGⅠ戦線の話になる。

 

‖10月末時点のGⅠレースの結果‖

 

★スプリンターズS

1.モブウマ娘

2.新たなライバル

3.ツキノカガヤキ

4.メイドノミヤゲ

5.メイドノミヤゲ

6.短距離最強

【1D6:6】

 

★秋華賞

1.カイノクロコマまさかの出走回避!?

2.カイノクロコマトリプルティアラを蹴って秋シニア三冠狙いへ

3.カイノクロコマトリプルティアラ達成!

4.カイノクロコマトリプルティアラ達成!

5.カイノクロコマトリプルティアラ達成!

6.風 林 火 山

【1D6:4】

 

★ダート三冠

1.地方からの刺客

2.ダート三強時代

3.イズモヤエガキ念願のGⅠ勝利!

4.イズモヤエガキニ冠達成!

5.イズモヤエガキ三冠達成!

6.砂の帝国の後継者

【1D6:6】

 

★天皇賞・秋

優勝ウマ娘の実力【1D50:14】+50(GⅠ補正)[64

 

 

「やはりスプリンターズSは【エイジオブゴールド】だったな。『短距離最強』と呼ばれるだけはある」

「ミヤゲもツキノカガヤキ先輩も、その人に負けちゃったのよね……」

「流石は『黄金スプリンター』なのです」

 

 現在の短距離路線は、一人のウマ娘が時代を作っていた。

 『黄金スプリンター』の異名を持つエイジオブゴールドが最強ウマ娘として時代の旗手を担っており、その一強時代を崩そうとしたウマ娘こそ、アイビスSDでシュートと戦ったツキノカガヤキや、欧州マイル三冠を制したメイドノミヤゲであった。

 

 スプリンターズSでは終始【1D3:1】(1.先頭 2.先段 3.中段)を走り、それを追走するツキノカガヤキも、最後方から追い込むメイドノミヤゲも寄せ付けずにゴールするという強い走りを見せた。

 

「そんな人と戦わなくちゃいけないのね……」

 

 白石の言う『全距離・全バ場でのGⅠ勝利』を達成するためには、いつかは戦わなくてはならない相手だ。考えると憂鬱になるが、しかしその前に超えなければならない相手がいる。

 

 UAEダービーでの強敵、イズモヤエガキを三度も下してダート三冠に輝いた『砂の帝国の後継者』。

 あのエンプレスガビーが築いた帝国の継承権を巡る争いに名乗りを上げたウマ娘の名を【ノーザンセブンス】と言った。

 

「チャンピオンズカップはシュートかレメゲトンかノーザンセブンスかの、三人の争いになるとクラスメイトは言っていたぞ!」

「でもでも、エンプレスガビーさんが引退してからのダート路線は戦国時代だって、リヒトさんは言っていましたから、他にも強い人が居るかも知れません!」

 

「そうね、センセは――」

 

‖チャンピオンズカップの注目ウマ娘数‖

【1D3:2】+1[3人

 

「もう一人、名前を上げていたわ」

「ほう、それは?」

 

「――イズモヤエガキ。あのデカガキに油断するなって」

 

 ドバイでシャイターンバスター達と共に挑んだ()()()使()()の名前を上げると、思わぬ所から声が上がった。

 

「ヤエちゃんなのです?」

 

 親しげにイズモヤエガキの名を呼ぶヒカリに、シュートが驚いて問う。

 

「知り合いなの?」

「はい! ルームメイトなのです! でも、最近はノーザンセブンスさんに負けて落ち込んでいたから、心配していたのです」

「そっか、イズモヤエガキは飛び級で入学してるから、年はヒカリと同じなのね」

 

 身体もデカければ態度もデカいヤエガキを、ついブルーサイレント達と同世代のように思っていたが、成長が早いだけで彼女は未だ13歳だった。

 

「ふむ……ダート三冠路線ではノーザンセブンスに負けたとは言え、大師匠(おおししょう)様がそう言うのならば油断はできんな。頑張れシュート、お前なら勝てる!」

「何を根拠に……」

()れはバカだから根拠などという物は分からん! だがシュートが強いという事は知っているぞ、何せずっといっしょに走っていたのだからな!」

 

 桐生院の相マ眼に適うウマ娘しか入学できず少数精鋭だったレース教室では、人数の少なさから毎度同じ相手と模擬レースを行っていた。

 その中でも実力が突出していたシュートは、ケイマにとって親友であり憧れだった。

 

「己れはシュートが『最強』だと信じているぞ! まあそれも、己れがデビューするまでの間だがな!」

 

 はっはっは! と笑うケイマを照れくさそうに小突くシュートを羨ましそうに見ていたヒカリだったが「最強と言えば……」となにかを思い出したかのようにポツリと零す。

 

「シュートさんの世代の最強はシュートさんの菊花賞回避があってから、トリプルティアラを達成したカイノクロコマさんだって、よく言われているのです」

「おお! 己れも聞いたぞ、『ブルーハワイ』より『黒蜜』だとな!」

「何の話よ。かき氷?」

 

「クラシック三強の()()()サイレントと()ッピーシュート、そして()()ルドファイアで()()()()()()らしいぞ!」

「私一文字だけじゃない!」

 

「それに乗っかって、カイノクロコマさんは山梨銘菓の信玄餅にかける()()だって言われてるんですよ」

「結構無理矢理ね!? そこはかき氷からもってきなさいよ!」

 

「己れ、信玄餅を綺麗に食べられないんだ……」

「難しいですよね、きな粉がこぼれちゃったり、黒蜜が溢れたり……」

「知らないわよ! というか食べたこと無いわ、私」

 

 辺りはすっかり暗くなり、寮の窓に明かりが灯る。

 校舎のまだ明るい部屋では熱心なトレーナーか職員が残業をしているのだろう。

 晩秋が近付く秋の夜に冷たい風が吹く。

 それでも熱を帯びる少女たちのおしゃべりは、未だ終わりそうになかった。

 

[オウショウケイマ、カズサヒカリとの併せで、スタミナとパワーのトレーニング進行度がそれぞれ1アップ!]

 

UUU

 

 つるべ落としのように地平線へ太陽が消えた後も、煌々と明かりを灯す蛍光灯の下でウェイトトレーニングを続ける栗毛のウマ娘が一人――ダート界現役最強『砂の悪魔』レメゲトンである。

 

 レメゲトンは持ち上げていた数百キロのバーベルを、ガシャンと音を立ててラックに戻すと、負荷を受けて震える手をじっと見つめた。

 数年前まではこんな事は無かった。

 彼女が自身の衰えを感じたのは、丁度一年前。昨年のチャンピオンズカップの前だった。レースこそなんとか勝てたものの、衰えを自覚した彼女は招待を確実視されていたドバイワールドカップを最後に引退するつもりだった。

 

 

 そんな事を考えながらチャンピオンズカップのウィニングライブへと向かう道すがら、長身の青毛ウマ娘から声をかけられる。

 否、それは()()()()()()()と言うより、()()()()()()()()と言う方が正しい。何故ならその時点で『彼女』は自分への興味を失っていたのだから。

 

「やはり、使()()()は王に成れないのね」

 

 ハッとして顔を上げた先、こちらを見るともなしに眺める『女帝』と目が合った。

 

「エンプレスガビー……」

 

「残念だわ。いいえ残念でもないのかしら。貴女の実力は現役時代に分かっていたのにね? それでも多少は期待をしていたのよ。でも、今の貴女に興味はないわ」

 

 一方的に捲し立てるような独特な口調で話す彼女の言葉の真意は分からない。

 だがこの時、レメゲトンは自分がもう『終わった』のだと理解した。

 

「お疲れ様。こんなに長い間走り続けた事は称賛に値するわ。もうゆっくりとお休みなさいな、レメちゃん」

「……そうだね、エンビー。結局あたしは、キミへと続く扉の『鍵』を開けられなかった」

「おかしな話しね? 宮殿の門に鍵なんて無いのだわ。門を閉ざすのは閂よ」

「ふふ、必要なのは『鍵』じゃなくて『破城槌』だった訳か。こんな小さな鍵じゃ、そりゃ勝てないはずだ」

「叩いて壊そうなんて、無粋な話ね? 生憎、私は籠城戦なんてしないの」

 

 何故か勝ち誇ったように得意げに、エンプレスガビーがふんと鼻を鳴らした。

 現役時代から変わらないその態度に、レメゲトンは思わず笑ってしまったのを覚えている。

 

 

「妹分の敵討ちだなんて嘯いて現役を続けたけれど……なんてことは無い。まだ走りたかっただけなんだな」

 

 いつの間にか震えの収まっていた手のひらをぎゅっと握る。

 南部杯では、僅差だったがまだ勝てた。

 だが、再来月は分からない。

 

「ハッピーシュートにノーザンセブンス、そしてヤエ……新しい時代の扉を開く『鍵』達が揃った今、もうあたしの居場所はないのかも知れないね」

 

 ()()()

 

「ああ――こんなにも()()()()……!」

 

 誰よりも勝利を求める悪魔が笑う。

 女帝と同じ時代を駆けた砂の悪魔が、崩れかけの身体から零れ落ちる砂粒を掬って哄笑する。

 サラサラと流れ行く時計の砂は、あと()()()()()残っていない。

 

 それでも悪魔は、細く消えかけた月を見上げて笑った。

 

 

 

 【 R E S U L T 】

 

 スピード ■■■■□[C+]

 スタミナ □□□□□[B+ → A]

 パワー  ■■□□□[C+]

 根性   ■■■■□[D]

 賢さ   ■■□□□[D]

 

 




 なんだかヤバ気な強敵がまた増えてしまいました。エイジオブゴールドにノーザンセブンス……いったいどんなウマ娘なんだ!(作者もまだ知らない)

 そして覚えていらっしゃるでしょうか、UAEダービー編のエピローグに登場したレメゲトンさんが再登場です。
 覚えていらっしゃらない方は『インタールード それぞれのレース後』を御覧ください。

 これを書くにあたってドバイ編を読み直したのですが、話数が嵩んでダレてないかなと心配しながら書いていた割に、案外いい塩梅でびっくりしました。こうなってくると普段のレースが薄味過ぎないか心配になってしまう今日この頃です。

 それと例のタイトルについてのアンケートですが、思ったよりタイトル変更しなくていいよ派の方や、そのタイトルはねーわ派の方が多くてびっくりしました。
 なのでタイトル変更については暫く保留とさせていただきます。

 それでは長々と失礼しました、また次回。

拙作のタイトル変更について

  • 変更しない方が良い
  • タイトルを『最強トレーナーは~』にする
  • 変更するにしても↑のタイトルは無いわ
  • その他(感想に意見下さい)
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