×××はバ主になるようです ~ダイスで生き抜く未来のウマ娘世界~   作:今峰鏡

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初予約投稿です。
うまくいってたらいいな……


ジュニア級 4月

 さて、前回一気にバ主契約までしてしまった白石トレーナーですが、ここで一度夢に賛同してくれる金持ちさんのところに向かいましょう。今回の付添は秘書のキミノワルツさんだけです。

 

「ご無沙汰しとります、帯金さん。今日はウマ娘とバ主契約が成ったご報告に来まして」

 

 桐生院の応接室のソレに比べて、数段は高級そうな革張りのソファに身を沈めた白石が、対面に座る神経質そうな細身の男性に頭を下げた。

 男性の歳の頃は中年を超えて初老に差し掛かった当たりだろうか、白いものが目立つ髪をオールバックに撫でつけて銀縁のメガネを掛けている。

 男性の名は帯金隆生。一代でレース関係の会社を立ち上げた傑物である。

 

「それはそれは、おめでとうございます、白石先生」

「これがなかなか将来有望な娘でして、今からデビューが楽しみですわ」

 

 桐生院向日葵のレース教室でスカウトした白毛のウマ娘。彼女のトレーニング環境を少しでもよくするため、白石はこの敏腕社長の元へと訪ねてきたのであった。

 

 白石のその言葉に、帯金はソファから身を乗り出して訊ねる。

 

「……ということは、以前の件も考えてもらえましたかな?」

「ええ――」

 

1.「御社のシューズを優先的に使う言う話でしたな」スピード上昇率アップ

2.「御社のプールを使わせてもらえる言う話でしたな」スタミナ上昇率アップ

3.「御社の筋トレ機材を貸してもらえる言う話でしたな」パワー上昇率アップ

4.「御社のダンススタジオを借りられる言う話でしたな」根性上昇率アップ

5.「御社のデータベースを閲覧させてもらえる言う話でしたな」賢さ上昇率アップ

6. 白 石 最 強

 

【1D6:1】

 

「御社のシューズを無料で卸してもらう代わりに、優先的に使う言う話でしたな」

「えぇ、練習用でも構いません。白石さんほどのトレーナーが弊社のシューズを使ってくれると言うだけで宣伝になる」

「願っても無い話で、是非ともご協力させてください」

 

 白石は深く頭を下げると、恐縮する帯金にキミノワルツから受け取った契約書を手渡す。

 既に白石の印が捺されたそれに帯金が自らの印を捺すと、二人は笑顔で握手を交わした。

 実際に使ってみないと分からないが、オビカネスポーツはレース用品業界に於いて新参ではあるものの評判がいい。必ずハッピーシュートの力となるだろう。

 

 

 

 そんなワケで、入学試験をパスしたハッピーシュートは、ついにトレセン学園へと入学したのですが……

 

 ハッピーシュートのコミュ力【1D100:19】

 

 う~ん、これは、友達できそうにありませんねぇ……

 賢さも低めですし、適当に授業を流して、さっさとトレーナー室へと向かうようです。

 

UUU

 

「ほな、改めて自己紹介しよか。俺がシュートのトレーナーになる白石祥明や。よろしゅうな」

「助手の黒須理仁っす、気軽にリヒトって呼んでね」

「秘書のキミノワルツです。今後ともよしなに」

 

 白石陣営の三人が各々に自己紹介をすると、ハッピーシュートはおずおずと頭を下げた。

 人見知りをする質でありながら、つい虚勢を張りがちなシュートであるが、未だ慣れない環境にどこか不安そうだ。

 

 さて、ここでシュートから各メンバーへの友好度を見てみましょう。

 

白石 【1D100:86】

リヒト【1D100:97】

キミノ【1D100:95】

 

 たかぁい!

 

 とは言え、入学までにも何度か会っているおかげか、陣営の三人には気を許しているようだ。特に穏やかな物腰で人懐っこく、おまけに幼気な顔立ちながらイケメンなリヒトには、淡い恋心のようなものを抱きつつ有るようにも見える。

 

「ハッピーシュート……です。よろしくおねがいします、白石先生、リヒトさん、キミノさん」

「そんな畏まらんでもええよ、自然体で行こうや」

「ほんとに? じゃあ改めて――よろしくね、センセ」

 

 照れながら歯を見せてにへへと笑うシュートの態度から察するに、緊張は完全に溶けたようだ。 

 白石は(ひとまずは安心やな)と内心安堵の息を吐きつつ、テーブルの上の番組表(レーシングスケジュール)に視線を落とした。

 

「んじゃ、まずは最初の目標……メイクデビューをいつにするか、やけど」

 

1.春 6月

2.夏 8月

3.秋 10月

4.冬 12月

【1D4:4】

 

「12月や」

 

 白石が指さしたのは12月前半のデビュー戦だ。

 既に本格化が始まりかけており、すぐにでもメイクデビューに出走できそうなほど能力の高いウマ娘の定石から外れた出走ローテーションに、シュートのみならずリヒトまで怪訝そうな表情を浮かべた。変わらぬ微笑を浮かべたままなのはキミノだけだ。

 

「……」

「なんや、不満そうやな」

 

 何も言わずこちらを見つめるシュートに対し、白石は挑発的にニヤリと笑った。

 

「正直今すぐにでもデビューしたいわ。でもセンセがそう言うからには、きっと理由があるんでしょ?」

「分かっとるやないか。あのなシュート、お前のバ体はもう出来上がっとる。ぶっちゃけ明日にでもメイクデビューに出走して一着取るんも難しくないやろう。けど――それで強くなれるんか?」

 

 白石の問いかけに言い淀む。

 正直わからない。

 シュートは類稀なる素質を持ってはいたが、桐生院のレーシングスクールの模擬戦で全戦全勝というわけではなかった。

 走るのは楽しい。

 勝つと嬉しい。

 でも、勝ってからどうするかなんて、考えたことも無かった。

 勝って得るものについて、意識したことも無かった。

 

「それは……」

「格下を甚振って喜んどるようでは強くなれへん。なにか得るものがなければレースを走る意味はあらへん。せやからジュニア級いっぱいをトレーニングに費やす。ほんで本番はクラシック級からや」

 

 真剣な目でこちらを見つめる白石には、きっとソレが明確に見えているのだろう。

 自信に満ち満ちた歴戦のトレーナーの風格に、シュートはごくりと唾を飲む。

 

「取るで、GⅠ」

「――はいっ!」

 

UUU

 

 軽くスケジュールについて打ち合わせて、その場は解散となった。

 キミノは未だトレセン学園に不慣れなシュートを連れ立って【1D2:1】1.美浦 2.栗東 寮へと向かっている。

 師とその弟子だけが残るトレーナー室で、机の上の資料を片付けていたリヒトが白石へと問いかけた。

 

「先生、本当にいいんすか?」

「何がや」

「12月までデビューしないなんて……あの娘の能力ならジュニア級の重賞だって総嘗めに出来るっすよ!」

 

 7月の函館ジュニアステークスに始まり、新潟ジュニアやアルテミスステークス。GⅡならば京王杯やデイリー杯もある。

 それに12月デビューとなれば、ジュニアGⅠの阪神JFや朝日杯FSはもとより、ホープフルステークスすら実績不足で出走できないだろう。

 芝・ダートの全距離GⅠ制覇を目標に掲げる白石にとって、それはあまりにも致命的な足踏みとはならないか。

 そうした懸念を含んだ問いかけだったが、帰ってきたのは叱責であった。

 

「ドアホウ! せやからお前はいつまで経っても助手なんや!」

「いや、それは先生が卒業させてくれないから――」

 

 言いかけたリヒトを視線で黙らせると、白石は話し始める。

 

「確かにシュートの身体能力は非凡や。お前の言う通りジュニア級の重賞にも手が届くやろう。けどな、根性がなっとらん」

「根性すか? メンタルが弱いようには見えないっすけど」

「あんなぁ、俺が最強になりたいか言うたときの返答、お前も聞いとったやろ」

 

 思い返すのは桐生院の所でのやり取り。

 初対面の少女に投げかけた、名伯楽の問いと、その答え。

 

 『強くはなりたいけど、別に最強までは……』

 

「リヒト、強くなるってのはどれくらいの事言うとる」

「それは……」

「重賞を取れれば強いんか? GⅠ勝てたら最強か? ちゃうやろ、重賞なんはキミノでも取れたぞ」

「ちょ、キミノさんに聞かれたら怒られますよ」

 

 慌てて入口のドアを見やるが、まだキミノが帰って来る気配はない。

 胸をなでおろすリヒトに対し、白石はフンと鼻を鳴らした。

 

「怒るかいな。アイツが弱いんはアイツが一番良く知っとる。ほんでも重賞は取れた。なんでや」

「それは……」

 

 少し考え、答える。

 

「他にライバルが居なかったとか?」

 

「なんや、分かっとるやないか。俺はアイツを勝たすために現役のウマ娘を調べに調べまくって、アイツが一番強いウマ娘になれるレースを選んで出走させた。同じことをシュートにさせてみ、トレーニングで手を抜くようになるぞ」

「つまり……格下と当たらせたら向上心が薄れると?」

 

「それだけやない。そういう考えの奴はな、レースで競り合いになった時にこう考える『私はコイツよりは弱いかもしれないけど、後ろを走ってる奴らよりは強い。それでいいじゃないか』ってな。そんなウマ娘が、必死に前を抜こうと走っとるウマ娘より強いわけあるかいな。そんなモンたとえ一着になろうと強くあらへん。そんなもん最強やない」

 

 そう持論を語る白石の目には、どこか危うい――狂気のようなものが宿っているようにも見えた。

 この師は、どうしてそれほどまでに強さへと拘るのだろうか。

 ともすれば、その言葉は自分自身の思いなのかもしれない。

 最強と持て囃され、頂きを掴んだこの男こそ、挑むべき敵を探して彷徨っているのかもしれない。

 

「先生……」

 

 リヒトが思わず零した呟きに、白石の目から狂気が去る。

 あるいはさっきまでの鬼気迫る瞳の色は、幻だったのかもしれないと思わせるような――

 

「せやから俺がその根性を鍛え直したる言うとるんや。分かったかリヒト」

「ッす……!」

 

 リヒトの返事に白石は重々しく頷く。

 それから各々に作業を始めると、キミノが戻るまで互いに口を開くことはなかった。

 

 ※白石陣営は、根性を中心に鍛えることに決定しました。今後根性トレーニングが発生する確立が上がります。

 

UUU

 

 

 

【トレーニング 4月】

 

シュート【1D7:4】

 

1.スピード(オビカネシューズで効果2倍)

2.スタミナ

3.パワー

4.根性

5.根性

6.賢さ

7.白 石 最 強

 

リヒト【1D6:1】

キミノ【1D6:4】

 

※シナリオ効果で根性確率アップ中

 

[根性のトレーニング進行度が1アップ!]

[根性トレーニングにキミノワルツが同行!]

 

 

 トレセン学園内のトレーニング施設で最も場所をとっているのは、やはりトラックだろう。芝にダート、ウッドチップなどといったコースが、距離ごとにいくつもあり、トレーナーはそれらを代わる代わる使用し、自らの担当ウマ娘を鍛え上げている。

 そうしたトラックの1つ、ダートコースをひた走る白毛のウマ娘がいた。

 ウマ娘はトラック外から掛けられる怒声に追い立てられ、駈歩(キャンター)で一時間近く走らされている。走行距離はおおよそ20000m(20km)程度だろうか。そう聞くととてつもないスパルタトレーニングのように聞こえるが、ヒトミミのマラソンランナーならランニング練習でこれくらいは走る事もざらだ。スタミナに自信のあるウマ娘なら走り切るのが無理な距離ではない。

 

「ほら走れ走れ! 足が止まっとるぞ!」

「も、もう無理……」

 

 とは言え、そこはウマ娘の駈歩である。ヒトミミのランニングとは速度が違う。水分補給をしながらもひたすら走らされているハッピーシュートはもうバテバテで、速度も速歩程度まで落ちてきていた。

 

「レースで無理ぃ言うたら相手が止まってくれるんか! 無理かどうか決めるんはお前とちゃう、相手や!」

「で、もぉ……」

「口答えする余裕があるウチはまだ余裕やな、もう一周!」

「…………」

 

 荒い息を吐きながら、無言で人を睨み殺せそうな視線を向けてくるシュートに、白石は鼻を鳴らして顎をしゃくる。「はよいけ」と言った所だろう。シュートはもはや常歩程度にしか動かない脚に鞭打って、トラックに蹄鉄の跡を刻み始めた。

 

 腕を組み、不機嫌そうな顔でシュートを見送る白石の隣へと、薄桃色のブラウスにロングスカートの女性が歩み寄ってきた。

 明るい鹿毛のロングヘアを揺らし、肉置きの良い臀部から同色の尻尾を垂らすウマ娘は、手に持ったタブレットを軽く操作しつつ、細身のショートブーツで土を踏み歩いてくる。

 キミノワルツだ。

 

「先生、トレーニング中に申し訳ありません。オビカネシューズとの提携契約書を今日中に仕上げていただきたいのですが」

 

 そう言って、各種契約書や付属資料の一覧をタブレットに表示し白石へと手渡す。

 白石はざっと目を通すとタブレットを突き返し、シッシと手を振って答えた。

「そないなもんキミノの方で上手いことやっといてくれや」

「そうもいきません、一度くらいは目を通していただかないと」

 

 これは誤魔化して逃げられへんな。と察した白石は溜息一つ。

 

「わあったわあった! ったく、キミノはウチのかみさんより口うるさくてかなわんわ。ざっと見てハンコ押したらすぐ戻ってくるさかい、シュートを見といたってや」

「はい、先生」

 

 にっこりと微笑み見送るキミノに、白石は「いい性格になったモンや」と捨て台詞を吐くと、せかせかトレーナー室へと去っていった。

 

 白石の背中が校舎に消えた頃、シュートがふらつきながらキミノの前へと戻って来る。

 ぜえぜえと荒い息を吐いて膝に手をつき俯くと、額から滝のように流れる汗が前髪から垂れてダートへ染みを作った。

 

「お疲れ様です、シュートさん」

 

「……キミ……ぜぇ、こんにち……はぁ、はぁ」

「無理に返事をしなくても結構ですよ。はい、ドリンクとタオルです」

「あり……がとう、キミノ……さん」

 

 律儀に礼を言いながら、タオルを首にかけ、受け取ったスポーツボトルの中身を勢いよく呷る。

 2L近くを一気に飲み干すと、シュートは大きく深呼吸をしてから汗を拭き始めた。

 しばらくして人心地ついたシュートから、軽く絞れそうなほどの汗を吸ったスポーツタオルと空になったボトルを受け取ると、キミノが口を開く。

 

「先生の指導は厳しいでしょう」

 

 キミノの問いに、シュートが引きつった表情で深々と頷いた。

 

「正直……心折れそう」

「分かります。私も何度も怒鳴られました」

 

 思い出すのは数年前。担当トレーナーが引退し、新しいトレーナーがやってきた時のこと。

 まだ若いそのトレーナーは、開口一番こう言った。

 

「強くなりたいか?」

 

 その言葉に頷いたキミノワルツが『芝1800 GⅢ・中山ウマ娘ステークス』に勝利したのは一年後の事だった。

 白石はレースを選んだから勝てたと言ったが、それだけで勝てるほどレースは甘くない。

 バ主の支援を受けてトレセン学園に入学し、メイクデビューまでこじつける事の出来たウマ娘の中でも、3人に1人は1勝も出来ずに支援を打ち切られて引退を余儀なくされ、オープンクラスまで進めるウマ娘は一割程度、重賞勝利ウマ娘となればほんの一握りでしか無い。

 いくら勝てるレースにだけ出走したとは言っても、そこで勝利できたのはキミノワルツが強くなったからだ。

 

(あの人が、強くしてくれたからだ)

 

 今でも、キミノワルツは自信を持って言い切れる。

 

「――ですが、確実に強くなれます。私達もサポートしますから、どうか諦めずに着いてきてください」

 

 師に似た真っ直ぐな瞳で見つめられ、シュートは重々しく頷く。

 

「……分かった。じゃあ、もう一本」

「はい、頑張りましょう」

 

 優しく微笑むキミノに見送られ、白毛のウマ娘は再びダートコースへと駆け出した。

 

[キミノワルツのサポートにより根性トレーニング進行度がさらに1アップ!]

 

 【 R E S U L T 】

 

 スピード □□□□□ 

 スタミナ □□□□□

 パワー  □□□□□

 根性   ■■□□□

 賢さ   □□□□□

 

 

UUU

 

 

【イベント 4月】

【1D6:4】

1.向日葵  ◇◇◇

2.シュート ◇◇◇

3.リヒト  ◇◇◇

4.キミノ  ◇◇◇

5.帯金   ◇◇◇

6.奥さん  ◇◇◇

 

 

 ハッピーシュートのトレーニングを終え、キミノワルツに急かされていたオビカネシューズとの契約書を仕上げた後も、白石の仕事は終わらない。今日のトレーニングの経過や今後の予定の策定、バ主協会やトレセン学園へと提出する書類の作成など、トレーナー兼バ主の仕事は多岐に渡る。

 もう夜も更けてきた頃、白石はそれらの中で今日中に終わらせておく必要のある仕事を収めると、データをクラウド上に保存してキミノワルツに声を掛ける。

 

「ほれ、書類仕上げたで」

「はい先生……確認しました、こちらで送付しておきます」

 

 自分のパソコンを操作し、各所へとメールを送信するキミノをぼおっと見詰めながら、白石はその身をデスクチェアへと深く沈めた。

 暫くディスプレイへと視線を固定していたキミノであったが、流石に白石の視線に気付いたのか顔を上げて困ったような照れたような表情を浮かべる。

 

「先生、どうしましたか?」

「お前の「ハイセンセイ」ってのもすっかり口癖になってしもうたなと思ってな」

「はい先……ふふっ」

 

 いつもの調子で答えかけ、思わず零してしまった笑いに、白石も笑う。

 「なっはっは」と楽しげに笑ってから、何かを思い出したように表情を改め、バツが悪そうに続けた。

 

「――すまんかったな……」

「はい?」

 

 白石の謝罪にキミノは首を傾げる。

 謝られるような事に心当たりはない。

 須臾の沈黙を、白石が破った。

 

「厳しくするばっかりで、お前を強いウマ娘にする事はできんかった……本当の意味で勝たせる事はできんかった」

 

 白石の言葉に、キミノワルツは「そんな事無い」と大声を上げそうになった自分を自制し、ぐっと口を噤む。

 

 私は強くなった。

 昼間シュートと話していた時に思った事は間違いのない本心だ。

 それを、この人だけは分かっていない。

 

 だからキミノは自分の思っている事を言い聞かせるように、諭すように伝える。

 

「…………いいえ、先生。万年未勝利だった私が、重賞を一つ勝てたのです。先生が、勝たせてくれたんです」

 

 だから私は、この人を尊敬しているのだ。

 だから私は、この人に――

 思いかけた言葉を振り切って、キミノは続ける。

 

「十分以上の成果ですよ。前から思っていましたが、先生の価値基準はおかしいです」

「せやか……せやかもな」

 

 拗ねたような口調で、からかうように言うキミノに、白石も思わず相好を崩すと、自嘲気味に呟いた。

 すっかり暗くなったトレセン学園のグランドを眺める白石に、キミノは続けて声を投げかける。

 それはいつかの後悔を懺悔するかのような口調だった。

 

「あの娘は――シュートさんは私に似ています」

「甘ったれの小娘やったもんな」

 

 皮肉げに混ぜっ返す白石の言葉を、キミノは否定しない。

 

「ええ、だから――どうか今度こそ、(シュートさん)を強いウマ娘にしてあげてください」

 

 キミノの真っ直ぐな視線に晒され、白石は照れたように「ん……」とだけ返すと、いそいそと帰り支度を始めてしまった。

 キミノワルツは自分もパソコンの電源を落とすと「お送りします」と車のキーを手に持った。

 

 [キミノワルツとの絆が深まった!]

 [次の練習では必ずキミノワルツが同行します。]

 

 

【 R E S U L T 】

 

1.向日葵  ◇◇◇

2.シュート ◇◇◇

3.リヒト  ◇◇◇

4.キミノ  ◆◇◇

5.帯金   ◇◇◇

6.奥さん  ◇◇◇

 




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