無職転生 ~領主になったら本気だす~   作:華氏使うな

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第十五話「森の謎」

 

「はあ…書類とにらめっこしてた方が、まだ楽そうでしたよ…」

 

「別に良いじゃない!外で動いた方が楽よ!」

 

嫁さんの体力が有り余りすぎて着いていけない、どうも、ルーデウスです。

今回ですけども、突然ですが小国並みに広い領土を回って、ピレモン叔父さんとかくれんぼをしてみた!

やっていこうと思います。

 

ルールですが、ヒントは一切無し!

制限時間は、フィリップ曰く一ヶ月だそうです!

僕が勝利すると、嫌がらせを辞めて貰える権利が勝ち取れます!

 

クソゲー乙。

 

「というか、最初は誰かを使って地道に聞き込みするところからですよ?僕達だけで探すなんて、到底無理ですよ」

 

「そうじゃないわよ」

 

なんだなんだ。ハッ、まさかギレーヌに警察犬の真似事をさせるとかじゃないだろうな。

いや別に、俺が見てみたいとかそういう訳じゃないよ。

 

「どういうことです?」

 

「ほら、あったじゃないの!あの……そう!森よ、森!」

 

「あー…?あっ!有りましたね、そんなの」

 

「あのときはルーデウスが怖がって行けなかったけど、絶対あそこよ!あの森は絶対可笑しいわ!」

 

「確かに…」

 

エリスが言ってるのは、俺達が最初に行った森のことだろう。

確かに、あの森は様子が可笑しかった。

魔物の駆除は定期的にされるので、魔物が居ない、というのは頷ける話だ。

しかし、小動物の類いでさえ全く居ない、というのは明らかに異常だろう。何か作為的な物を感じる。

 

「一応、行ってみますか?」

 

すると、サル顔の男が突然割って入ってきた。

 

「おっと!先輩、話は聞かせて貰ったぜ!」

 

「なんだ新入り、突然どうした」

 

「俺も行かせてくれよ!今回だけだからさ。森ってんなら、中々に危ないだろ?だから、道を覚えたりするのは、任せてくれればやるぜ?」

 

どうしたんだ、新入り。お前にはもっとポテンシャルを活かせる場所があるだろうに。

 

「フィリップ様に許可は?」

 

「もう取ってきた。だから大丈夫だぜ?先輩」

 

「偉く用意周到じゃねえか」

 

しかも、完全に着いて来る着満々だ。

いや、断る理由も無いし、居てくれりゃ有難いんだけどさ…

なんでわざわざ?

 

「でも、どうして着いて来るんだ?普通に、書類とにらめっこしてりゃ良いじゃねえか」

 

「ジンクスなんだよ」

 

「はあ…」

 

答える気が無いのか、それとも真面目に答えてるのかは分からないが、とにかく俺には良く分からないってことが分かった。

 

まあ、なんやかんや言いつつも有能な男だしな。

連れて行って損は無いだろう。

 

「じゃ、俺とエリスとギレーヌとギースの、四人パーティだな」

 

「その、先輩…パーティって言い方は辞めてくれよ」

 

「はあ…」

 

大概コイツも変な野郎だな。ギース。

 

ーーー

 

馬車の道中では、ギースが食事係だった。

ギースは料理が中々に旨かった。

 

パウロからも聞いたことがあったが、ギースは黒狼の牙でシーフ、つまりは雑用係をやっていたらしい。

ただ、雑用に関しては一級の才能を持ってたんだとか。

 

で、ゼニスに料理を教えたのもギースらしい。

そして、その腕前の程は…

 

「私にも料理を教えなさいよ!」

 

あの、エリスが。

礼儀作法や数学に寸分足りとも興味を示さなかったエリスが、教えを乞う程の物である。

更に、俺の日本人の舌を満足させられる程の物でもある。

 

焼いとけばなんでも旨い!って言って食いそうなギレーヌは兎も角として、これは中々の腕前ということが分かるだろう。

 

「んあ?いや、エリスの嬢ちゃんには……いや、そうだな。じゃあ、俺になんかもう一個、デカイ良いことがあったら教えてやっても良いぜ?」

 

ギースのエリスに対する対応は、俺に対する物と一緒で良く分からなかった。

あしらってるのか、本気なのか相変わらず読み取れない返事である。

ある意味、ポーカーフェイスの亜種みたいな話術なのかもな。

 

「そう?分かったわ!」

 

エリスも大人しく引き下がったようだ。

言葉にし難いが、ギースの言葉は不思議と納得してしまうのだ。

俺も『ジンクスだ』と言われて、寸分も意味は分からなかったが、『ああ、そうなんだな』という気持ちになったのだ。

これが計算の上に成り立って居るのなら、多分詐欺師でもやった方が良いだろう。

 

武力と知力。この二つを兼ね備えたからか、馬車の道中は非常に順調だった。

 

ーーー

 

「ここか」

 

唯一初見なギースが、そんな声を上げた。

今は再び、あの謎な森に着いたところである。

 

「動物の気配がしないと言う話だったが…普通に気配がするようだが?」

 

「ええ?そんなバカな」

 

ギレーヌは感覚が凄まじいので、這いつくばらずとも痕跡を追う位はお手の物だった。

というか、獣の気配がする?

もしかすると、もう引き払った後なのかも知れない。

 

「いや、なんか痕跡があるかも知れねえだろ?取りあえず、行くだけ行ってみようぜ」

 

「まあ、そうだな。全く別のことでも、何か異変があるなら見に行くべきだ」

 

別にそんなこと言われなくても、見に行くつもりだったんだが…まあ良い。

 

「で、馬車に残るのは誰にしますか?」

 

「今回は護衛は要らんだろう。特に貴重品も持って居ないしな」

 

「じゃ、早速行きましょ!」

 

エリスに半ば引きずられるように森に連れて行かれる。

大人組も後からノソノソと着いてきた。

 

些か身軽過ぎる気もするけど、大丈夫なのだろうか?

今から怪しい森に突入するようなノリには思えなかった。

 

「ふむ…特に、人間らしい臭いはしないな」

 

「そうかい。じゃ、もっと奥に行こうぜ」

 

ギレーヌとギースは若干ぎこちない。

別に普通に話はするんだが、どう説明した物か。

同じパーティに属していたように感じられない?そんな感じだ。

 

もっとも、それを掻き消す程エリスのテンションが高いので、それほど空気は重くないのだが。

 

「見て、ルーデウス!これは確か食べられる奴よ!」

 

「いやクッソ劇物ですよそれ!捨ててきて!ダメです!」

 

さっきから良く分からないキノコを持ってきたり、変な植物を持ってきたり…

王都の貴族はエリスのことを『山猿』だとか『野生児』だとか渾名してたようだが、この調子だと攻撃力はあっても野生で生きて行けるかは、怪しい感じだ。

 

何はともあれ、かなりデコボコな面子な物の、割と探索は上手く行っていた。

 

 

ーーー

 

二時間程経った頃。

 

「む…何か、あっちの方から変な臭いがするな。行くぞ」

 

「おい、ちょっと待ってくれ。今、計測し直すから」

 

ギレーヌが唐突にそんなことを言い出した。

ギレーヌレーダーは案外優秀なのかも知れない。

 

「変な臭い?ピレモンね!きっとピレモンよ!」

 

エリスが嬉しそうに叫んだ。

が、直ぐに表情を固くする。微妙に口角が上がってるが、可愛らしい物だ。

 

「一応、危険があるかも知れないので戦闘準備をお願いします」

 

ギレーヌの反応的にまだ距離は有りそうだが、何時でも魔術を打てるように俺もしておく。

エリスとギレーヌも剣を抜いた。

唯一、ギースだけが特に気負って無さそうだが、周囲の面子に対する信頼の表れだろう。

 

草木を掻き分け進んでいく。

相変わらず、動物が居ないとかそう言うことはない。

 

五分ほど進んだ所だろうか。

 

「……有りましたね」

 

目の前に有ったのは、小さな小屋だった。

ギレーヌの言っていたのはこれのことだろう。

 

しかし…

 

「何て言うか、猟師とかが使うような荒屋って感じが…」

 

あまり、ピレモンがここで陰謀を企んでるようには思えない規模の小屋なのだ。

有り体に言えば、凄くちんまい。

 

「いや、こんな所まで猟師は来ない筈だぜ。何かあると思って間違いねえ筈だ」

 

おばあちゃんの知恵袋ギース曰く、そうらしい。

ピレモンと言う奴は、意外にも目的の為なら、貴族としての体裁など気にしないタイプなのだろうか。

 

ちょっと意外だ。

 

「じゃ、じゃあ…中に入りますよ?」

 

「おう」

 

「ああ」

 

「ええ」

 

無言で、気配を殺してドアに近づいていき…

体当たりでドン!っとドアを開ける。

 

「これは……?」

 

中にあった物は…

別に、書類や金の類いでは無かった。

 

「あー、何て言うか、その…」

 

「ショボいわね」

 

エリスがズバッと言う。

中にあったのは、小さな机と椅子、そして数着の男物の服だけであった。

 

机の上にはコップが置いてある。

 

「若干水滴が付いていますね」

 

「ということは、数日前まで誰かが此処に居たのかぁ?」

 

ピレモンが此処に潜伏してたなら、俺はちょっとピレモンを尊敬するかも知れない。

そう思える位、物が少ない。

 

「とは言えども、ここにピレモンが潜伏して居たんですかね?あまりイメージに合わないような…」

 

「匂い的に、ピレモンの物ではないようだな」

 

ギレーヌセンサーによれば、ピレモンでは無かったようだ。

となると、森の隠者だとか、なんかの調査員だとか、そういう奴の住処だったのかもな。

 

「ここを探しても仕方なさそうですね…別の場所に行きますか」

 

「そうね」

 

この後も俺達は森の中をウロウロと探していたが…

結局、この他に何かが見つかることは無かった。

 

いよいよ以って、ヒント0だ。





何ステッドさんが居たんですかね?
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