無職転生 ~領主になったら本気だす~   作:華氏使うな

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少年期 領内掌握編
第一話「初顔合わせ」


「ルディ!」

 

 

パウロ達が来たのは、あれから三日後のことだった。

凄く疲れた顔をしている。やっぱり親だな。お揃いだもの。

 

「父様。お久しぶりですね。会いたかったですよ。」

 

「挨拶は要らない!早く説明してくれ!」

 

「あ…はい。えっとですね…」

 

俺はパウロに事情を説明する。

エリスと恋仲になったこと。そしたらフィリップに利用されてノトス家を継ぐことになってしまったこと。

で、11歳の俺にはどうしようもないから、パウロに全部任せたい、当主の座も譲る、ということを伝えた。

 

 

「……はぁーー、、、、バカか!」

 

パウロがキレた。

気持ちは分かる。父親から逃げ切ったと思えば、今度は息子が家督を持って追いかけてきたのだ。

 

「で、でも……僕にノトスを押し付ける計画なんて、知らなかったんですよ。精々、ボレアスになるのかなぁ、位にしか思って無かったんです」

 

「お前なぁ…」

 

驚きが一週回って呆れになったらしい。

黙りこんで、ウンウン言いながら俯いてしまった。

 

「…シルフィちゃんは、どうするんだ?」

 

「え、えっと…」

 

忘れてたと言えば、嘘になる。

頭の片隅にはあったのだ。考えないようにしてたけども!

答えに窮して黙ってしまう。11歳の少年が、「相手から迫られたのでつい…」なんて言ったって、下半身に支配されたやべえ奴でしかないだろう。

 

パウロは俺の沈黙をどう受け取ったのか分からないが、深く、深くため息をついた。

 

「あのなぁ、突然そんなこと言われたってどうしろってんだ?それにさ、もうちょい考えてヤろうぜ?ちょっと考えれば面倒なことになるって分かっただろ。お前なら」

 

グチグチと言われる。全くもって言い返せない。

すると、ゼニスが割り込んできた。

 

「貴方の血よ」

 

「それにシルフィちゃんは……え?」

 

パウロが硬直する。

 

「だから、貴方の血よ」

 

「いやいやいや!そんなことは…………」

 

急速に青くなる顔を見るに、思い当たる節があったらしい。パウロのことだ。当然、数人位貴族の娘も頂いてるのだろう。

これに関してはパウロは全く関係ない気がするが、この世界では血への認識が重いらしいからな。

 

「ルーデウス坊っちゃんなら、いつかなされると思って居ました」

 

喜色満面の笑みを浮かべてリーリャが言ってくる。

どういう意味だ、コラ。

そんなに女にだらしないと思われていたのか。

事実ですね。すんません。

 

 

そうこうしてる内にパウロの怒りが静まったようだ。己の血の過失具合が大きいと思ったのかも知れない。

 

「…これから、どうするんだ」

 

「その……出来れば、父様にノトス家を継いで貰いたく…」

 

「……息子のケツ拭くのも、親の努めか…

分かった。ただ、お前にも仕事はして貰うからな」

 

「勿論です」

 

パウロの表情は諦めに満ちていた。

…ちょっとばかし嬉しそうなのは、気のせいだろう。

 

---

 

「パウロ、久しぶりだな」

 

「ギレーヌ…師匠なら、もうちょっと面倒見てやれよ…」

 

「他ならぬ主人らの望みだからな。ルーデウスも乗り気なら、止める理由なんてない」

 

「そうかい…」

 

 

あの後、パウロはフィリップやサウロス、ギレーヌに挨拶をしていた。サウロスには喜ばれ、フィリップには何か釘を刺されていた。

そして今、かつての仲間のギレーヌに食って掛かってる訳だ。

どうやら、あちらでは俺も乗り気だったと思われてるらしい。

いや、全然そんなことないからね!勘違いしないでよね!…割とマジで。

 

で、フィリップらの話によれば、どうやら俺達グレイラット家は、ミルボッツ領の領都に引っ越すことになったらしい。

 

「そういや、エリスちゃん?だっけ?婚約者の紹介もしてくれよ」

 

何処となくくたびれた様子のパウロに話しかけられた。色々と畳み掛けられて疲れたのだろう。

気分転換と息子のことが気になるってのが半々のところか。

 

 

「分かりました。ちょっと探して来ますね」

 

「おう」

 

 

いきなりこんなことになって、エリスとはピロートークどころか、殆んど喋れてなかった。

ヤった相手に放置されてていい気分はしないだろう。殴られなきゃ良いんだけどな。

 

---

 

 

「フンっ!」

 

ボコボコにされました。トホホ…

 

「今さらどの面下げて話しかけて来たのよ!」

 

「いや、すんません。忙しくて…いでっ」

 

また殴られたよ。チクショウ、結婚生活も前途多難そうだなぁ…

 

「おーい、ルディ!って……」

 

あ、やべ、パウロに見られた。

あーあ、見る見る内に顔が死んでらぁ。

 

連れてくるだけならメイドにでも頼めば良いのに、わざわざ自分で探しに行ったのは、エリスに先に大人しくするよう伝えて、

 

「宜しくお願い致しますわ…」

「おっ、良い子だなぁ」

 

的な感じで、せめて嫁のことだけでもパウロの心負担を減らす計画を立てていたからだ。

 

それがむしろ真逆の結果に繋がってしまった。

 

 

絶望的な表情のパウロにクイクイっと手でジェスチャーされる。

 

「なぁ、流石に、もうちょっと相手は選んだらどうなんだ…?(ボソ)」

 

小声で耳打ちされた。

パウロからしてみれば、エリスは抱いたら、

フィリップに政治利用され、要りもしない高位貴族の位を押し付けられ、挙げ句の果てに暴力的、なんていうとんでもない事故物件に見えてるようだ。

 

「よく考えると、ちょっと酷いですね…(ボソ)」

 

こうして羅列してみると、中々に凄まじいな、エリス。いや、実際は可愛いところもあるんだけどね?そういうところも含めて好きに…

 

ってあれ、パウロが何故か飛び退いた。どうし…

 

「ブホェッ!」

 

殴られた。聞こえてたんかい!

避けたらしいパウロは唖然とした表情でエリスを見ている。

エリスは避けられて不満のようで、メチャメチャキツイ目でパウロのことを睨んでる。

 

パウロ視点では義父に暴力を振るう嫁、エリス視点ではいきなり陰口を叩く義父。

 

…大丈夫かなぁ、これ………?

 

 

 

因みに、後でパウロとエリス両方に似たような内容の愚痴を言われた。それを聞いて仲良くなれそうだとちょっぴり安心したのは、また別の話。

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