無職転生 ~領主になったら本気だす~   作:華氏使うな

25 / 28
第二十三話「再会」

ーーーロキシー視点ーーー

 

 

親との再会を果たした私は、やることもないので暫く村に滞在することにした。

 

親の想いがやっと分かった。

それだけで、帰ってきて良かったと思う。

その後は、村の外で待ってくれていたエリナリーゼと一緒に、村でダラダラとしていた。

 

ミグルド族を見たエリナリーゼは、お眼鏡に叶ったようで、ミグルド族を早速口説いたりしてたのだが…『童貞っぽい見た目なのに、経験者だったりして扱いが分かりにくい』などとロクでもないことを言って、不満そうにしていた。酷い評価だ。

 

私も舌が肥えてしまったようで、どうにも食事だけは不満を感じていた。が、お互いに概ね良好な生活を送れていただろう。

 

魔大陸にあるとは言っても、基本的に貧乏な村だ。わざわざ、盗賊だってこんな村を襲ったりしない。

そう思っていたのだが…

 

 

ある日の昼下がり。甲羅に何かが当たった音がした。

そして、大きな音を立てた。爆発音だ。こんな音は自然に起きない。

 

「ロキシー!」

 

「はい」

 

エリナリーゼは歴戦の戦士らしく、即座に動いた。

私も杖を持って飛び出す。

 

間違いない、襲撃者だ。全く、何もこんな村をわざわざ襲わないでも……私は、そう思わずには居られないのだった。

 

 

 

ーーールーデウス視点ーーー

 

 

「汚物は消毒だあ!!」

 

俺は、この冒険で学んだことがあった。

それは、無理にでも楽しみを作らなければ、人は壊れてしまうということだ。

だからこそ、バカみたいでもこうしてチンピラの物真似をしているのだ。

尤も、本心で楽しめてはいないので棒読みだが。意味あるのかな、本当に。

 

魔術を直撃させる。

これをすると、鈍いながらに亀どもは逃げ出すので、威嚇するように水マシンガンを飛ばしてやろう、と思ったのだが、今日の亀は動く気配がない。

 

もしや、もう死んでる?

題して、亀の大量不審死事件だ。恐ろしい。周囲にシリアルキラーでも居るのだろうか?あ、俺か。

 

なんて下らないことを考えていたが、ふと魔大陸に来る直前のことを思い出した。

そう言えば、あのときも勝ったと思ったらノーダメージだったのだ。

耐えるどころか、全然平気な生き物が居たって不思議じゃない。魔術があるからと言って慢心していると、ああ言うことになるのだ。

 

確実に、慎重にトドメは刺そう。

爆発なんかじゃ甘っちょろい。直接、火で燃やしてやろう。

 

「死ねえええええええい!!」

 

勿論、遊び心も忘れずにだ。

亀は固いだけで遅いから出来ることだ。

どうせ、ロクな攻撃手段など持ち合わせていない。そう思っていた。

 

アウトレンジから打つことで、確実に安全策を取っていたとさえ思っていた。

 

だから俺は…

 

「そこまでです!」

 

魔術の詠唱に、反応出来なかった。

多少は加減された魔術が直撃する。

 

「ぐぼらっ!」

 

宙を回転しながら地面に落ちる。あ、危ない。一歩間違えてたら首の骨が折れてたぞ。

と、思う間も無く上から女がマウントを取ってくる。

 

フランスパン見たいなロールを持った、超美人の女だ。

つまり、間違って俺は人間に攻撃してしまったのだろう。

 

「ちょ、ちょっと待ってください!」

 

「…ほう?中々イケメンじゃありませんの」

 

ジュルリと女が舌なめずりをする。

喜んで!

いや、違う。貞操の危機だ。童貞じゃないけど。でも、完全に浮気だ。これはいけない。何がいけないって、下半身的にはバッチコイなことだ。

 

「勘違いです、すいません!だからストップ!スターップ!!」

 

「気にしてないですのよ。だからほら、行きますわよ」

 

「そこの人、助けてください!」

 

ダメだ、主語が無いのに何を要求されてるのか完全に分かってしまう。

青い髪の、ロキシーを彷彿とさせる女の子に助けを求める。

その女の子が驚いたように顔を上げる。

 

ジト目の美少女だった。

って、えっ?!

 

「し、師匠?!」

 

「え?……あっ、ルディ?!」

 

俺は四週間の旅の果てに、まさかの再会を果たしたのだった。

 

 

ーーー

 

 

「お久しぶりです、師匠!」

 

ロキシーが居た。

それだけで、俺の今までの旅の鬱憤は全て消しとんでいた。

髪、目、顔…どれを取っても、やっぱりロキシーは素晴らしい。

 

「ちょっと、わたくしにも反応して下さっても良いのですのよ」

 

「あっ、すいません、どちら様でしょう」

 

「冷たいですわね。わたくしの名前はエリナリーゼ。エリナリーゼ・ドラゴンロードですわ」

 

フランスパンの美人さんの方は、エリナリーゼと言うらしい。何処かで聞いたことのあるような名前だ。どこだっけ?

まあ、そんなことはどうでも良い。

 

今はロキシーだ。

エリナリーゼと話してると、ズルズルと浮気してしまいそうな気がする。それはいけない。というか、エリス達は無事なのか?

すっかりその可能性は考えていなかったが、パウロ達も拐われてるかも知れない。

魔大陸に俺を放逐した犯人の目的はサッパリ分からないが、情報収集はすべきだろう。

 

それに、何が左に進めだ。ロキシーとの再会以上に良いことなど無い。ヒトガミとやらを信じなくて本当に良かった。

 

「僕はルーデウス・グレイラットです。宜しくお願いします」

 

考えることが多くて空返事になってしまったが、浮気しないためには、この位で丁度良い。そうとさえ思っていたのだが…

 

「げえっ、パウロの息子ですの?」

 

突然、エリナリーゼの誘惑度が格段に下がった。パウロあいつ、一体何やったんだ?

 

「こんなに可愛らしい子がパウロの息子なんて、運命は残酷ですわ…!」

 

「あの…父様は一体、何をしたんですか?」

 

「知らなくて良いですのよ」

 

今度はエリナリーゼの返事が素っ気無くなった。

魔大陸にまで来ても轟くパウロの名。世界が狭いのか、パウロの顔が広いのか。

というか、非常にパウロが何をしたのか気になる。これもエリナリーゼの作戦なのか?

なんて策士なんだ。

 

暫くエリナリーゼをジーっと見るが、結局答えてくれることは無かった。いつか聞き出してやりたい。

そういえば、エリナリーゼってパウロのパーティメンバーか。ギース達が喋ってたんだ。

 

「………」

 

ロキシーはさっきから凄く静かだ。

チラチラと此方の方を見てくる。

 

「で、師匠、さっきから静かですね」

 

「あっ、その…ルディが思ったより大きくなってて…」

 

ほほーん、惚の字か?

なんてことだ。凄まじく嬉しい。自発的に貞操の危機だ。

俺は今12歳だが、健康的な生活を送ってるお陰でそれなりに大きい。若干、ロキシーを越えてるかな?って位だ。可能性はある。

あれ、でもそう考えると今のロキシーってお姉さんになってないと可笑しくないか?

 

「師匠はあんまり変わりませんね」

 

「魔族ですから。寿命が長いんです」

 

「ほーん……因みに、師匠は今おいくつで?」

 

「46歳です。ミグルド族の寿命は200歳位なので、人間に換算すると…18歳位ですね」

 

ナチュラルに失礼なことを聞いてしまったが、ロキシーは気にしてなかった。流石だ。

そして、前世と合わせて同い年か。ちょっと嬉しい。

ただ、18歳か。なら、もうちょい大きいJKロキシーになってそうな物だが、個人差の範囲なのか?

 

「ここは私の故郷なんですよ」

 

そう言う語り口でロキシーが話し出す。

幼い頃に辛かったこと。

村を出たこと。

冒険者になったこと。

そして、俺達と出会い、里帰りしようと思ったこと。

親と分かり合えたこと。

 

そんなことを話してくれた。

想いが伝わってくる、素晴らしい話だった。

 

「あっ、あれが私の両親なんですよ」

 

ロキシーがそんなことを言う。

目線の先には、中学生位の男女が二人。

が、何故か硬直してる。

 

(んん?)

 

更に二人の目線の先には……

先程までロキシーが幸せそうに語っていた生家が、激しい音を立てて燃え盛っていた。

 

はわわ…

 

 

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。