超古代の戦 ~最年少の巨人~   作:火野ミライ

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人狂いの姉友

尋常ではない程の汗をかき、息をしているのかパッと見では分からないほど小さい呼吸をくり返す。体のあちこちには傷が出来ており、傷口に当てた布は既に流れ出た血で赤く染まっている。担架に乗せられたリマお姉ちゃん。

 

「リマ!リマ! 目を開けろよ、リマ!」

 

さっきの怪物によって病院が崩落したため、王宮の敷地へとリマお姉ちゃんを始め様々な容態の人達が戦士の助けを受けながら移動していく。いくらこの町に王宮が有ると言っても、歩いて行くにはかなりの時間を必要とする。

 

その上、怪我人や病人はさらに時間がかかるし、瓦礫によって普段の大通りが使えない事も有って、小さな脇道を使っているのも原因一つではあるが。それでも出来るだけ多くの人を救おうとしてくれる王都の戦士には感謝してる。

 

あちこちで悲壮感漂う声や理不尽に家を失った者の嘆きが聞こえてくる事も有って、肉体の疲労だけでなく精神的な疲れも相当な物。何より私が疲れる原因がリマお姉ちゃんの担架を挟んで向こう側にいる人。

 

「死ぬな、リマ! リマァァーーーーーー!!」

 

寸劇の様な悲劇の叫びを上げる血の繋がっている煩い奴。なんでこんなのが私のお姉ちゃんなんだか…… リマお姉ちゃんの手を握りしめながら、呆れた視線を送るもルナは気が付かない。なんなら、普段隠しているつもりらしい男子っぽい口調も出てる。

 

劇団員も真っ青な悲劇のヒロインをやってのけたルナの声で周囲の視線が痛い。取り合えず他人の振りをしながら、リマお姉ちゃんの手を握る力を少し強める。

 

私にとってリマお姉ちゃんは、不思議な魅力を持つ人だ。

気が付いたらそばにいて、世話してくれているルナ以上のお姉ちゃん。小さい時から遊んで貰った気がする。いつも誰かの為に動いて、たとえ自分に損しかない事でもやっている。まるでこの町、ううん。全ての人間大好きって感じ。

 

過剰な程の他人主義な所があって、見守っているだけでも心配になるぐらい。ちょっと前はそんなリマお姉ちゃんが好きじゃなかったし、ルナにも言わないような暴言を言ったりもした。それを聞いたルナが「リマに謝れ!」と怒りに来るのが当時ウザイと思ったが、あの時の私は既に黒歴史なんで思い出したくない。

 

閑話休題(話を戻して)

 

私がリマお姉ちゃんとよりを戻した出来事があった。いつもテストの点数が良い私に言いがかりを付けて、殴ってきた人達からかばってくれたんだ。リマお姉ちゃんは決して反撃の手を上げずに、私をかばい続けた。やがて血を流し始めたのを見て、同級生達は顔を真っ青にして逃げて行った。

 

『どっちにも怪我して欲しくなかったし……』

 

私が傷の手当てをしながら「なんで反撃しなかったの?」と聞いた時、リマお姉ちゃんが返した言葉。思わず呆れた視線を向けたけど、当のリマお姉ちゃんは苦笑いを浮かべるのみ。同時に悟った、リマお姉ちゃんの底なしの優しさに。そして以上までに狂っている事も。

 

ルナは気が付いてないけど、リマお姉ちゃんの家族であるあの人は感じていると思う。なんならお父さんやお母さんも気が付いている。

 

「離れてください」

 

額に汗を浮かべる看護師の人に言われて私達はリマお姉ちゃんから距離を取る。リマお姉ちゃんが運ばれたのは病院ではなく、現在避難場として開かれた城の一室。さっきの怪物で病院が崩壊した為、王様の好意で普段は入る事の出来ない王宮が貸し出されている。

 

リマお姉ちゃんが入って行った部屋を見つめていた私達は、小綺麗な服を着た女性に現在避難民の部屋として貸し出されている一室に案内された。王宮に集められた医師たちがリマお姉ちゃんを手術を受ける中、座ってはいるが頭の中はごちゃごちゃしている。

 

「どうしようどうしようどうしよう… リマが目覚めないとかないよね?死んだりないよね?」

 

ルナにいったては私のそばを行ったり来たりして落ち着きがない。周囲には年齢関係なく怪我をしている人、大切な人物の死を知り崩れ落ち涙を流す人、親を探して声を荒げる人、更には学校で同じクラス男の子が担架に運ばれる様子。

 

こうやって冷静に考えられる一方、ルナと同じくリマお姉ちゃんが死ぬんじゃないかと不安で泣きそう。それでも泣かないのは先程の出来事が頭に残っているから。

 

怪物から逃げるに必死でいつの間にかお父さんやお母さんに何度も入ってはいけないと言われた森の中に入ってしまった。暗くて不気味な森で何か恐ろしいモノが出てきそうでリマお姉ちゃんの胸の中で泣き続ける私。

 

そんな時、リマお姉ちゃんはナニかに憑かれたかの様に突然と立ち上がり足元が見えない森の中を歩き始める。迷いなく真っ直ぐ歩くリマお姉ちゃんに手を引かれながら、何度も声をかけるけど反応を示さない。まるで別人のようになったリマお姉ちゃん。でも掌から感じる温もりはいつもと変わらない。

 

そんなリマお姉ちゃんの姿に困惑している内に大きな明らかに人の手が加わっている洞窟………いや、ドアが無い門が見えて来た。私を入口?において一人入っていくリマお姉ちゃん。私の制止する声も聞こえていないようで背中はどんどん見えなくなる。追いかけようと思たけど、なにか変な感じがして無理だった。

 

それからしばらくして急に洞窟の奥から光があふれ出る。そして洞窟から溢れる光に包まれた私は何故か、この光はリマお姉ちゃんだと思っちゃった。そして気が付いたらルナが目の前にいて、怪物と巨人が戦っていたんだ。

 

私にはリマお姉ちゃんが巨人になったようにしか感じられなかった。ありえないのにどうしても否定できない。だって巨人が怪物の爪で切り裂かれた場所と同じ場所から血を流していたんだから…

 


 

結局、リマお姉ちゃんは一夜明けても目覚める事は無かった。けれども一命は取りとめ、今は病室代わりに使われている部屋でぐっすり眠っている。さっき大人の人から渡された湿った布でリマお姉ちゃんの身体を吹いていく私。今、この部屋には私とリマお姉ちゃんしかいない。

 

本当はルナもこの部屋に泊まる気でいたみたいだけど、お母さんが心配なお父さんに連れらて行っちゃった。お父さんは王宮抱えの戦士で一部隊を率いている隊長。まだ仕事があるからお母さんをルナに託すしかなかったんだ。なのでこの場にいないルナの分も看病する。

 

「なにこれ………?」

 

リマお姉ちゃんの身体を拭き終え、布を机の上に置く。その時、ここに運び込まれた時にリマお姉ちゃんが着ていた血まみれの服から顔を出す、不思議な物体が目に入る。手に取ってみると大人の人の手一つ分ぐらいの持ち手がある棒状の物が出てきた。

 

学校でちょっと見た昔の言葉が刻まれた金属、持ち手は大理石だったかな?そんな名前の石みたいな模様。持ち手より上の部分には煌めく宝石を保護するかのようなカーバー。重いけど軽い、そんな不思議な重みをもつ物体。

 

なんと表現していいのか分からないけど、とにかく不思議な物。こんなのリマお姉ちゃん持っていたっけ? いやリマお姉ちゃんのこと全部知っている訳じゃないけど、私の記憶では初めて見た。少しひんやりとしたスティックを手の中で遊ばせながら考えてみる。

 

……うん。リマお姉ちゃんにこう言うのを集める趣味もないはずだし、そもそもルナと違い趣味の物を学校には持って行ったりしない。だからたぶんあの森の洞くつで見つけた物なんだろう。そう結論を出し棚の上に置くと一先ず私も眠りに就くのだった。




キャラ設定「フレア」

ルナの妹で13歳の少女。
赤子の時からリマと交流がありどこか悟っている彼女の事が苦手だった。しかしながらとある日、同級生との騒動の際に庇ってくれた日を境に仲が良くなっていく。色々残なんな面が目立つ姉よりも年上らしいリマの事を自然と「お姉ちゃん」と呼ぶようになった。
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