悪魔の一目惚れ   作:主義

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王女はご執心

あの日からクラウス様のことを忘れた日は一度たりともない。寝ても覚めてもクラウス様のことが頭をよぎる。次に会える日が楽しみ過ぎて毎日の全ての出来事が楽しい。今まで憂鬱だったと思っていた、全ての出来事がクラウス様と出会ってから楽しいものに変わっていった。本当にクラウス様のお力はすごい。私にこんなに影響をもたらすとは…やっぱり恐ろしいお方でもあるのですね。

 

 

でも、やっぱり私は王女、彼だってそんなに暇ではなくてお仕事が忙しい。それに関しては私も分かっているつもりです。だけどやっぱり会えない時間がこんなに辛いものだとは思いもしなかった。初めてこんな風な感情を抱いたからこそ知ったこと。

 

彼と会えたことの嬉しさと同時に会えないことの悲しみが同時にやってくる。

 

 

―――――――

 

そこで私は一つの結論に至った。このまま待っていたとしてもクラウス様と会える日がいつになるかは分からない。待っているだけのお姫様では誰かにクラウス様のことを奪われてしまうかもしれない。そう思ったら行動に移すまで時間は掛からなかった。

私が王位を継ぐ可能性はゼロに等しい。

 

だからこそ、私は自由に行動をすることが出来る。例えば、適当にウソを付いて外出する理由を作る事も。王位を継ぐ可能性が高いお兄様たちでは、こうも簡単に出してはくれないだろう。もし、お兄様たちに何かがあったらそれは国を揺るがすことになるから。

 

 

私は使用人にお願いをして馬車を用意して貰って、お父様には適当に言いつくろった。お父様は私のことを信用してくれているから騙すことはそんなに難しくない。これも普段から理想の王女を演じているお陰。

 

そして私はクラウス様のお家まで向かった。

 

 

クラウス様のお家は他の家と比べればかなりの豪邸。それだけでもクラウス様が成功を収めていることがすぐにわかりますね。でも、さすがにアポぐらいは取るべきでしたね。今日のクラウス様の予定はもう調べ済みですから、家にいることは分かっているんですが、急に来たら引かれてしまうかもしれない。

 

馬車から出てクラウス様の家までうろうろしていると…玄関の扉が開いた。

 

 

「姫様、どうされたのです!??」

 

 

「あ、あの……ちょっと近くまで来たのでお顔をご拝見したくて…」

 

 

「そ、そうですか…。姫様にお時間があれば少し寄っていかれますか?」

 

 

「…よ、よろしいのですか!??」

 

 

「はい。姫様がこんな家でもよろしければですが」

 

 

「かまいません!!」

 

そして私はクラウス様のご自宅に入ることが出来た。家の中は色々と高価なものが置かれているが、そんなことよりも私の目の前を歩いている、クラウス様の背中の逞しさの方に目線がいってしまう。初対面の時は気付きませんでしたが、クラウス様は筋肉質ですね。背中を見るだけでも分かるほどに。決してすべてが筋肉って感じではない。でも、しっかりと鍛え上げられた肉体という感じがしますね。

 

 

「触りたい……」

 

 

「姫様、なにかおっしゃいましたか?」

 

 

「い、いえ、なんでもありません!」

 

 

「そうですか…」

 

クラウス様に聞かれてしまうとは。心の声が漏れてしまっていましたね。

 

 

 

 

 

私は応接室のようなところに案内された。正直、私はクラウス様の隣に腰を下ろしたいけど、さすがにここではそんなことは出来ませんね。クラウス様は私が座ってから私の正面に腰を下ろした。

 

「姫様」

 

 

「なんですか?」

 

 

「姫様は僕のことをどう思いますか?」

 

 

「クラウス様はすっごい努力家で何よりも尊敬できるお方だと思いますよ」

 

 

「それはさすがに過大評価をし過ぎだと思いますよ。僕は姫様にそんな風に言ってもらえるような立派な人間ではないです。少し運が良かっただけ」

 

 

「そんなことはないです!確かに私はまだクラウス様と知り合ってそんなに時間は流れていないです。だからクラウス様の全てを理解しているとは言えないです。だからそんな私が言ったとしても説得力はないかもしれませんが、私はクラウス様はとっても立派な人です。王女である、私も多くの人と会ってきました。そんな私ですから人を見る目はあると思っています。私が見てきた男性の中で一番純粋で誰よりも優しくて、人を包み込む包容力のある人です!だから、私は…クラウス様のこと……尊敬しています」

 

 

尊敬……ここで『愛してます』と言いたい。最初に会った時はあんなことを言えたけど、今、思えばとっても勇気があった。今じゃ彼に愛を伝えることがとっても難しいです。本気で誰かの事を愛してしまったから軽々しく『愛している』と言えなくなってしまった。

 

好意を抱いていない人に『好き』というのは難しくない。だってそれは仮面を張り付けて心のこもっていない言葉を言えば良いだけなのですから。でも、本気で愛している人には……言えない。言ったら引かれるかもしれないと考えちゃったり、嫌われちゃうとか考えたら言えなくなってしまう。

 

 

「姫様がそんな風に言ってくれるなんてお世辞だとしても嬉しいですね」

 

 

「お世辞ではありませんよ」

 

 

「ちょっとお聞きしたいことがあるんですがいいですか?」

 

 

「どうぞ」

 

 

「あのお見合いの後に王国の関係者の方から姫様が前向きな姿勢だと言われたのですが、それは本当ですか?」

 

 

「はい、もちろん!」

 

 

「でも、僕よりもすばらしい男性なんてもっといると思いますけど…」

 

本当にクラウス様は謙虚すぎる。

 

 

「私はクラウス様がいいんです!!私がクラウス様とこれから歩いていきたいと思ったんです!私の命が朽ちるまで私の隣に居て欲しいと初めて思った相手なんです!!!」

 

 

 

私が認めて、私が愛して、私が笑顔にしたい人はあなただけなんですから。

 

 

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