転生者達の狂想劇   作:残朧

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無と有の狭間(3)

「残り、10秒です。」

 

 その時、俺はある願いを思いついた。しかし、これが叶えられるという根拠は、後になって考えてみればまったくなかった。チートに当たるかもしれなかったし、そもそも願いとして扱われない、それを願われる可能性を相手側が考えていないかもしれなかった。

 だというのに

 

「…願い一つで、何分延長できる?」

 

 その時の俺はその願いが叶えられるのが前提で、願い一つで何分延ばせるのかなどというバカげた質問をした。

 …今までの応答からして「その延長とは、何を指したものですか?」なんて言われそうでもあった。

 

「10分です。」

 

「延長だ!延長!」

 

「はい。」

 

 いつのまにか、砂が落ちきった砂時計の隣に、それと同じ大きさの砂時計が現れた。その砂時計は砂が全て上にある。

 

「………はぁ〜〜〜」

 

 “ひとまず大丈夫だ”それを認識するとさっきまでの焦りが嘘のように消えてなくなった。思えば、このよくわからない空間で意識を取り戻してから怒涛の展開で、とりあえず気になったことを片っ端から質問していたら、準備期間なんてものが急に始まって、三つの願いの内、一つの使い道は赤ちゃんプレイを回避するために使うことが決まったものの、残り二つは決まっていなかった。

 それについて考えていたら、チートの定義が気になってしまった。

 別に無理してチートスレスレの願いをしようとする必要はないのだが

 

 “もし他の転生者が「原作知識で無双するのは俺(或いは私)だけで十分なんだよぉ!」とかで俺を殺しにきたらどうしよう”

 

 “その転生者の願いが、チートと非チートのギリギリを突いた強力なものだったらどうしよう”

 

 と思うと、やっぱり願いを叶えるならチートスレスレのものにしようと思ったのだ。

 

 (まあその貴重な願いは延長で一つ使っちまったんだけどな!)

 

 こうして余裕をもって冷静に考えていると、途端に自分が馬鹿馬鹿しくなってしまう。

 転生者は複数人いるらしいが、きっと他の奴は赤ちゃんプレイがしたくないから願いで回避するとか、考える時間がほしいから願いを使うなんてしないで、チートじゃない範囲で自分の思うがままの願いを叶えてもらったんだろうな…

 ポジティブに考えよう。考えて、質問する時間が増えたんだ。それでいいじゃないか。

 

「転生者は複数人いるって言ったが、何人だ?」

 

「あなたを含め、5人です。」

 

「俺以外に四人か…」

 

 今気づいたが、明らかにしなくてはならない事柄がまだ大量に残っている。

 

「例えば、叶えられる願いは最大で三つだが、前世の行いや魂の許容量とかで実際は叶えられる願いはゼロで、しかし願ってしまったから転生した瞬間に即死とかしないよな?」

 

「そのようなことはありません。

 それに、もしそれが正しければ一つの願いを消費したあなたは詰んでいるのでは?」

 

 そうだった。俺願い一つ使ったんだった。

 赤ちゃんプレイは…やっぱしたくないから、残りの願いは一つだけ。

 

 …よし、これで行くか。

 

「おい、願い決まったぞ。」

 

「はい。仰ってください。」

 

「まず、一つ目。転生した先の肉体が15になったら俺の意識が目覚めること。そして、二つ目は…逃げようと思ったら絶対にその場から生きて逃げれる能力だ。」

 

「…はい。どちらともチートの定義には当て嵌まりません。転生を開始しますが、よろしいですか?」

 

「あぁ。」

 

 俺はその話が終わった時、すぐに足元を見た。転生テンプレの落下転生をするのかと思ったからだ。しかし、何も起こらなかった。

 

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