超次元ゲイムネプテューヌ 雪の大地の大罪人   作:アルテマ

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皆大好き、ルウィーのあの兄弟登場回です。

と言っても、彼らにも元ネタがあるのでその辺を注意して書こうと思います。……元ネタ全く知らないけど







第31話 レジスタンスの拠点にて

「……この建物か……と言うよりこの街の中か?」

 

あの暗号のあった家から5キロの地点。地図で確認して間違いなくこの位置が5キロ程の地点であることを確認したイツキは、もう一度目の前に広がる街を見てみた。

 

街と言うより住宅街のように多くの一軒家が並んでいる。たが肝心のここに住む住民のような人影は見当たらず、活気のようなものは全く感じられないゴーストタウンのようだった。

 

とりあえずイツキは立ち止まっていても仕方が無いと判断し、街の中へと入って行った。街の中へと入って行っても寂れたような雰囲気は拭えず、やはり人の気配は感じられなかった。

 

(……暗号を間違えたのかな?)

 

そう考え、イツキは懐からクシャクシャに丸めた暗号を解読した紙を取り出そうとした時だった。

 

「動くな」

 

イツキは両隣から頭の位置に硬く冷たい鉄製のものを突きつけられた。丁度イツキの注意が懐の紙に向いたというのもあるが、イツキはいつの間にか近づかれていることに驚いた。この街の家の路地裏にでも隠れて待ち伏せしていたのだろう。

 

「お前は教会のものか?それとも何の関係も無い一般人か?」

 

「どちらにしても、我等兄弟に見つかったのが運の尽き。大人しくここから立ち去ってもらおう」

 

左右からそれぞれ銃口を突きつける人物はどうやら兄弟であるらしい。イツキとしては今日で3度目の手荒なお出迎えにほとほと嫌気をさしているが、とりあえずハッキリさせなくてはいけないことがあるので、イツキはその銃口を突きつける兄弟に聞いた。

 

「あなた達は、レジスタンスか?」

 

「その通りだ。その様子ではここがレジスタンスの拠点であることは知らなかったようだな」

 

「……そう。なら、僕はあなた達のリーダーに用があるんだ。そこまで連れて行ってくれないか?」

 

「……我らのリーダーに?」

 

「どうする兄者?こいつは教会の人間には見えないけど、あのまないt……リーダーの元に連れて行っても大丈夫なのかな?」

 

「……そうだな弟よ。我等としても判断には困るが、こいつは我等のリーダーに会うことを所望している。つるぺt……リーダーに判断を仰ぐことも兼ねて連れて行くとしよう」

 

(……あ、これ絶対ブランさんの結成したレジスタンスだ)

 

くだらないことを考えたイツキだったが、すぐに後ろ手にするように命じられる。大人しくイツキは命令に従った。その後ろ手に手錠を嵌められ、イツキは後ろから銃を突きつけられた。

 

「よし、では我らについてこい」

 

前に躍り出て前進し始めた男にイツキはその後に追随するのだった。

 

 

 

 

 

 

 

その兄弟に導かれるままにイツキは進むと、町の中の家の中で一際大きい建物の中へと進んだ。

 

てっきりイツキは無理矢理引っ張られたりするのかと思ったが、この2人はそんな手荒なことはせず、精々銃を軽く押して進ませる程度だけであった。相変わらず手錠をしたまま後ろから銃口を突きつけられてはいるが、この兄弟は良心的な性格をしているとイツキは思った。

 

「あら?あなたたちは何故ここに?今はあなた達兄弟の警邏の時間では?」

 

と、廊下を進んでいた所、イツキにとって久しぶりに聞く、よく聞き慣れた声が聞こえてきた。

 

「フィナンシェか……何、その警邏中に怪しい人物を捕縛してな」

 

「兄者と共にこの者の処遇を主に決めてもらおうと思って、連れて来たんだよ」

 

「はぁ、そうですか。それにしても怪しい者とはそこの方でしょうか?……あら?」

 

フィナンシェは2人の兄弟の間に挟まれれている怪しい人物と言うのに注目した所、服装は違うがいつも見ていた自分の主上の側近に似ていることに気づいた。

 

「あ、久しぶり。フィナンシェさん」

 

それに応えるようにイツキは振り向き、フィナンシェを捉えると笑顔で挨拶をした。

 

「あら、お帰りなさいませイツキさん」

 

イツキの挨拶に応えるように、フィナンシェも手慣れた動作で滑らかに会釈を返した。

 

「うん、ただいま。僕がラステイションに行っている間にレジスタンスのメンバーは集まった?」

 

「ええ。少しづつですが、レジスタンスのメンバーがそれぞれ呼びかけて人員を増やしていますよ。……ところでイツキさん。いつも着ている服はどうしましたか?今イツキさんの着ている服はどうもサイズが少し合っていないようですし……」

 

「え?正直僕はこの服が自分のサイズに合わないとは感じているけど、フィナンシェさんは見ただけで分かるの?」

 

「侍従ですから」

 

「その言葉便利だね……」

 

イツキはフィナンシェの侍従としてのスキルに呆れ半分感嘆半分という感じで苦笑いし、ラステイションで調達してきたショルダーバックを背面から前面に回してバックの中に手を突っ込んだ。取り出されたのはイツキがいつも着ていたGパンに、黒のTシャツと赤と黒のチエックのパーカーだった。ただし、それは最早服としての機能を果たしておらず、幾つもの破損や焦げ跡が残っているものだ。

 

この服はイツキが気絶した後、イツキを着替えさせたシアンが一応ボロボロになった服はとって置き、イツキが目を覚ましてから処分するか決めようと考えたのだ。イツキとしてもその服は自分が元の世界から持ってきた唯一の品。例え着ることは出来なくても、肌身離さずに持っておきたかったのだ。

 

「実は前来ていた服はこの通り、ボロボロになっちゃって……とても着れたものでは無いんだ。この服はラステイションで仲良くなった人の借り物」

 

「……無茶したんですか?」

 

「……うん、まあ……」

 

「……私からは何も言いません……いえ、言う権利がありませんが、ブラン様にはどんな無茶をしたのかはしっかり言ってくださいね」

 

普段はあまり怒ることのないフィナンシェと、その強制力のある言葉にイツキは何も言えず、ただコクンと頷くことしか出来なかった。

 

「分かったのなら良いです。ところで、帰ってきたと言うことはブラン様に報告があるのですね?」

 

「あー……報告は報告なんだけど……」

 

「はい?」

 

「うん。まあブランさんにも報告することだし、そこで纏めてするよ」

 

イツキがラステイションに向かったのは、アヴニールがルウィー教会に何故兵器を輸出しているのかというものだった。だがそれは終ぞ分からず、それどころか築き上げたアヴニールとの関係をイツキは壊してしまった。このことを報告してあまり良い方面では捉えられないとイツキは考えていた。最も、このことに関してイツキは反省はしても後悔はしていないが。

 

まあ一応他にも成果はある。それはラステイションの女神のノワールからアヴニールに関する情報を随時報告してもらえるようにしたということ。

 

これはノワールがラステイションの街を守ったイツキにお礼したいということをイツキに伝え、勿論当初のイツキは断ったが、ノワールが中々引き下がらず、ラステイションには暫く来ないことを考えて、アヴニールの行動を見ていてもらえるように頼んだのだ。つまり、イツキはアヴニールの情報パイプを手に入れたのだ。……最も、情報を提供してくれる人物は伏せる気でいるようだが。

 

後報告する点はラステイションで2人の女神、ブラックハートとパープルハートと接触したなどなど、直接は関係は無いことを報告しようとイツキは考えていた。

 

「フィナンシェ、君はこの者と知り合いなのか?」

 

と、ここで話を分かっていない2人の内の1人の、片方の男に兄者と呼ばれていた男がフィナンシェに聞いてきた。フィナンシェはその質問には少し考えて答えた。

 

「……彼は私たちレジスタンスのリーダー、ブラン様の直属の補佐官、イツキさんです」

 

「直属の、補佐官?」

 

「そ、それじゃこの人は教会の人間どころか一般人ですらなく、我らのリーダーの側近なのかい?」

 

「ええ、そうですね」

 

「……ふむ、それは失礼なことをしてしまった。弟よ、手錠を外してやれ」

 

「わ、分かったよ兄者」

 

その兄弟はイツキが自分たちの味方、それも自分たちのリーダーの側近と分かるとすぐに態度を改めて(……と言っても最初からイツキに手荒なことをしたりはしていないので、あまり態度に差があるわけでもないが)イツキの後ろ手に嵌められた手錠をすぐに外した。

 

「重ねて謝罪するが、我らがあなたに行った非礼をお許し頂きたい」

 

イツキの手錠を外してすぐに兄と呼ばれた方はイツキに頭を下げて謝罪した。その自分たちの非礼を認め、謝る姿勢にイツキは素直に感心した。人とは中々自分の過ちを認められないものだが、言い訳もせずに謝っているこの兄はさぞ人格が優れているのだろうとイツキは判断した。

 

……最も、後々イツキは目の前の兄弟は人格が優れているどころか、欲望に忠実すぎていることに気づくのだが

 

「いえ、気にしていませんよ。フィナンシェさんに紹介されましたけど改めて、女神ホワイトハート直属の補佐官、イツキです。あなたたち兄弟は?」

 

「我々ですか……そうですね、私のことは兄と呼んでください」

 

「僕のことも、弟と呼んでくれ」

 

「え?そう言う名前なんですか?」

 

「いえいえ、これはコードネームのようなものですよ」

 

イツキは2人の兄弟を改めてその姿を確認した。2人とも違うのは髪型くらいで、顔の形やパーツはとても似ていることから双子なのだろうとイツキは判断した。

 

兄の方はイツキより高い身長であり、その顔つきと服装から高貴な者の雰囲気を感じられた。物腰が丁寧なところもその雰囲気に拍車をかけているのだろう。弟と呼ばれた方は兄より少し身長は低いが、イツキより高い身長を持ち、こちらも高貴な雰囲気を纏っていた。

 

「さて、それではイツキさんはブラン様に報告がありますので、あなたたち兄弟は警邏に戻ってください。イツキさんは私が案内します」

 

やや雑談が過ぎたと判断したか、フィナンシェは兄弟に警邏に戻るように言いつけた。

 

「む……了解した。確かにあまり長い間監視を怠るのは良いことではあるまい。それではイツキ殿、我らはこの辺で失礼する。行くぞ、弟よ」

 

「うん、兄者」

 

最後に兄は会釈をし、続いて弟も会釈をすると、元来た道を戻り警邏へと戻っていった。

 

「へー……結構マトモな人達なんだね。あの兄弟に捕まった時はちょっと不穏な事を言っていた気がするけど、気のせいだったみたい」

 

最後まで物腰の柔らかい態度にイツキは更に関心を深めるが、一方でフィナンシェの方はと言うと難しい顔をしていた。

 

「……ええっと……彼らは平時と男性との対面の時は問題無いのですが……少々女性に対してのデリカシーが……主に性癖が……」

 

「?何か言った?フィナンシェさん?」

 

「い、いえ!何でもありませんよイツキさん!それよりも早くブラン様の元へと参りましょう!」

 

「???」

 

最後までフィナンシェが何に慌てているのか分からないイツキだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

「…………」

 

その少女はワンピースをたった一枚着てベットに横たわり、通常の漫画とは少しばかり幅の大きい、所謂同人誌と言うのを読み漁っていた。

 

それだけを見るとどこにでもいる子供のようだが、ここで同人誌を読んでいる少女は、ここ夢見る白の大地 ルウィーの女神ホワイトハートであると同時に、現在のルウィー教会で女神を名乗る偽の女神に対抗する組織、レジスタンスのリーダー、ブランなのだ。

 

では何故そんな重大な人物が暇そうに同人誌を読み漁っているのかというと、ブランとしてもこんなチマチマ隠れているようなことはせず、真っ向から衝突して力技で偽の女神達を倒したいと考えているのだが、それは彼女の補佐官であるイツキと侍従のフィナンシェに止められた。

 

力技で取られた物を取り返す。一見間違ったことには見えないが、それはあくまでその覇権が奪われた物とわかっている者からの視点の話だ。当たり前だがルウィー国民の殆どが女神ホワイトハートがいつの間にか入れ替わっているのか気づいていない。それはルウィー教会の聖職者たちも含めて、だ。仮に力技で取り返したとして、国民は果たしてその覇権を取り戻した物と認識するのかは分からない。そのことを危惧して強硬策に出ようとするブランをイツキとブランは止めたのだ。

 

そんな訳で今の所の目標は『レジスタンスの人員強化』なのであるのだが、あまり強く呼びかけなくても現在ルウィー教会で政治をしている偽の女神に疑問を抱く人は少なからずいるようで、着々と数は増えている。だが、それでも次のステップに上がるためには数は足りない。かと言っておおっぴらにレジスタンスのメンバーを募るなんてことも出来ず、レジスタンスのリーダーとしては待つことしか出来ないのだ。

 

「……ハァ……」

 

小さくため息を漏らすブラン。そのため息に含まれている思いはもどかしさだ。だが、ブランはレジスタンスのリーダーとして出来ることがなくもどかしい思いを感じているわけでは無い。彼女自身今はまだ動く時では無いとは理解しているのだ。では、何にもどかしさを感じているのか。

 

「……イツキ……」

 

人知れずブランはイツキの名を呟いた。ずっとブランの中で渦巻いている引っかかるような不快の感情の根源、それはイツキの事だった。

 

イツキとブランの出会いは良く言えば運命的な、悪く言えば小説のようなご都合主義的な出会いで始まった。モンスターの討伐に行ったところ、そのターゲットにイツキが襲われているのを見て、ブランはイツキを助けた。

 

怪我をしていたのでブランはイツキを連れ帰り、事情を聞こうとすればイツキは記憶喪失、更に独自で調べればイツキの正体は異世界人であった。完全にこのゲイムギョウ界に居場所の無いイツキを、ブランは保護をして場所を作った。

 

ブランとしてはこの保護にあまり深い意味を持ってして行った訳ではない。最初こそ胡散臭さを感じていたりはしたが、イツキと触れ合うにつれてイツキと言う人物の優しさや誠実さを知ることが出来たから。

 

まだイツキと出会って一ヶ月立つ程度だが、ブランはイツキと話したり、一緒に何かしたりすることを楽しみ、それらが終わっても次にイツキと過ごすことを楽しみにしていた。

 

一緒に徹夜で小説の構想や研究でディスカッションしたり、ギルド経由で課せられたクエストを一緒にこなしたり、街の子供達と一緒に遊んだりして、時にはブランはイツキから大事なことを教わったりもした。

 

イツキがラステイションに行ってから、まだ数日程度しか経っていない。だがその数日間、たった数日間にいつも一緒にいたイツキがいないだけで寂しさを感じ、ブランはそれだけ自分の思いがイツキに占められていたのだ。

 

ブランにとって、これは恋なのか、それとも家族愛や親友関係のような感情なのかは分からない。ただ、どちらにしても既にかけがえのない大切な存在なのだ。

 

「……っ……」

 

ブランが歯噛みして思い出したのは、あのルウィー教会を奪われる日ともなった、あの夜の光景。

 

視線の先で自分を守ろうと闘うイツキに対して、あの時何も出来ずに地面に這いつくばり、挙げ句の果てに女神としての力を奪われ、その女神の力によって苦しむイツキを何も出来ずに見ていることしか出来なかった。

 

そして何よりも、イツキをあの血濡れた狂気の存在へと変えてしまった。あの時ブランはイツキのやったことを否定はしなかったが、イツキはその目覚めさせてしまった力に負い目を感じ、今でもそれに対して苦しんでいる筈だ。とブランは考えていた。

 

そんな苦しむイツキを、たった一人で調査のために他国へと行かせた自分に、これまた自己嫌悪を感じるブラン。結局のところ、自分にはイツキに対してやってあげたことは大したことではないと感じていた。

 

「……イツキ……」

 

またブランはイツキの名前を無自覚の内に呟き、周りに人などいないのに、手元にあったマクラに深く顔を埋めた。

 

「ブラン様、失礼します」

 

そんな時、3回のノックの後に部屋のドアを開けて入ってきた者が居た。ブランは入ってきた人物を確かめようとはせず、マクラに深く顔を埋めたままであった。声から入ってきた人物が分かっているので問題が無いのである。

 

「……何?フィナンシェ?今日のレジスタンスの新メンバーの確認書類にはもう目は通したわよ」

 

「いえ、そうではなくブラン様にご報告を申し上げる方がいらしたので、案内をしたのです」

 

ブランはてっきりフィナンシェは寝っ転がって仕事もしていないことを咎めようとしていると思い、今日の仕事は終わっていることを伝えたが、どうも報告があるのは向こう側らしい。だが、ブランは今報告を受けてもマトモに頭に入るような気はしなかったので、とりあえずこの場にいるらしい報告をしたいと言う人物を確認し、引き取り願おうと考えて、マクラから顔を上げた。

 

「……今はそんな気分じゃ無いわ。また今度にしてもら……!」

 

ブランの言葉は続かなかった。

 

「久しぶり。ブランさん」

 

その人物は、ブランがちょうど今思い焦がれていた人物なのだったから。

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