バトルスピリッツ GranWars   作:草薙蒼士

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初めまして、草薙蒼士です。
今回から、「バトルスピリッツ GranWars」始まります。
最終添削で慌てたので文面がおかしい部分があるかもしれません。それでも大丈夫な方はよろしくお願いします!(後からちゃんと修正します)


第1話 太陽降臨

桜舞う春の季節、賑わいのある街。赤い髪の青年「絢星(あやせ)太陽(たいよう)」は人々が行き交う街道を眺めるように歩いていた。

太陽はまだ小学生だった頃に親の仕事の都合で遠くへ引っ越し、同様の理由で昨日この街に戻ってきた。昨日の内に引っ越しの後片付けを済ませ、今日は懐かしの街を出歩く予定だったのだ。

 

「ここにも新しい店建ったんだな…」

 

数年前と変わった街の風景に感心しながら足を進める。彼は今世界中で流行りのカードゲーム"バトルスピリッツ"が大好きなカードバトラーだ。彼が生まれ育ったこの街では、バトルスピリッツが盛んで、カードショップや公式大会で使われるスタジアムも複数ある。彼の目的地は無論、かつてから利用していたカードショップ。目的地に近づくにつれて太陽の足取りが段々と速くなる。あまりにも浮かれていたせいか、太陽は曲がり角に注意せず、別方向からやってくる少女と衝突してしまった。

 

「きゃっ!」

 

「うわっ!」

 

太陽と少女はお互いに尻餅をついてしまう。

 

「痛った〜…」

 

「痛てて…すいません。怪我無いですか?」

 

先に立ち上がり、少女に手を貸そうと伸ばした時、太陽は彼女の顔に見覚えがあることに気づき、その名を口にした。

 

「…あれ、もしかして…月乃?」

 

「へ?なんで私の名前…?」

 

「えっと、俺、太陽!絢星太陽!小さい頃にによく一緒に遊んでた!」

 

「…え!?うそ、太陽くん!?」

 

太陽に名を呼ばれ、少女「機央(はたなか)月乃(つきの)」は喫驚しながらも喜びの表情を浮かべる。

 

「久しぶりだね!どうしてここに?」

「親父の仕事の都合でこっちに帰ってくることになったんだ。昨日引っ越してきて、今日は久々に街を歩いてみようと思ってさ。もちろん、懐かしのカードショップにもな」

「そうなんだ。それなら一緒に行こうよ!私も行く予定だったから」

 

太陽は月乃の提案を受けて、2人でカードショップへと向かった。

 

 

「やっぱり5年も経つと、ここの中も変わるもんだな」

 

町一番の大型ショッピングモールの中にある、幼少期から太陽が月乃と遊びに来ていたカードショップ・ポラリス。今でも利用している月乃にとっては特に思うことはないが、太陽からすれば5年前とは内装がすっかり変わっていた。

 

「店長、こんにちは〜!」

 

「やあ。月乃ちゃん、いらっしゃい。…ん?」

 

月乃がロロの店長に挨拶をする。店長が笑顔で返すが、月乃の隣の太陽に気づくと目を細め、思い出したように名を呼んだ。

 

「あれ?君、もしかして、太陽君かい!?久しぶりだね!いつ、こっちに戻ってきたんだい?」

 

「久々っすね、店長!昨日引っ越してきたんです。またよろしくお願いします!」

 

数年ぶりに再会した店長と太陽も挨拶を交わし、2人は店の奥にあるバトルスペースに向かう。そこでは大勢の客がカードバトルを楽しんだり、パックを開けてデッキを組んだりと賑わっていた。

 

「すっげぇ…昔と変わらないくらい賑わってるなぁ。…なあ、月乃。早速だけどバトルしないか?最近組んだデッキがあるんだけど、試してみたくってさ」

 

「良いよ、私も太陽くんに見せたいデッキがあるの!負けないよ!」

 

「望むところだ!」

 

太陽と月乃が互いにデッキを抜いたその時だった。

 

「おら退けよォ!」

 

突如、青いジャージに身を包んだ集団が店内に入ってきた。他の客を押し除けながらバトルスペースに入ってきた彼らを見るなり、月乃が彼らの名を呼ぶ。

 

「何だアイツら?」

 

「! チームブルーファング!」

 

「月乃、知ってるのか?」

 

「ガラの悪いカードバトラー集団だよ。皆のバトルスペースを占領したり、カードバトルで負けた相手のカードを奪ったりするんだよ」

 

「えぇ!?…今時どこの不良集団がそんなことするんだよ…?なんでそんな奴らが店に入り浸ってるんだ…?」

 

「ええと、それはね…、」

 

「おぉ?誰かと思えば、機獣女じゃねえか」

 

2人がひそひそと話をしていると、ブルーファングのリーダーと思わしき男「青石」が2人を見つけるなり声をかける。

 

「機央月乃よ!名前で呼べって前から言ってるでしょ!?」

 

「知るか。てめえなんざ、機獣女で十分だ。…あん?」

 

呼びかけられたあだ名に対し月乃が反論するが、青石は鼻で笑うように返す。直後、青石は太陽に視線を向けた。

 

「何だそいつ、見ねえ顔だな?」

 

「俺か?俺は絢星太陽。昨日こっちに引っ越してきたんだ」

 

「へぇ〜、新入りってわけか…。んじゃ、新入りクンに一つアドバイスしてやるよ」

 

青石は太陽の肩に手を置き、耳元に顔を近づける。

 

「ここはな、オレ達の縄張りなんだ。悪いことは言わねえから、大人しく退いた方が良いぜ?」

 

「…お前らにバトルスペースを譲れってことか?」

 

「そうだ。退いてくれりゃ、悪いようにはしねえよ?」

 

太陽が周りを見ると、バトルスペースを使っていた子供達や他の客は不満気ながらも急いでカードを片付けていた。太陽は数秒の沈黙の後に、

 

「断る。お前らがこの街でどれくらい上の立場なのか知らないけど、後から来たくせに皆の場所を独占しようなんて間違ってる!ここを使いたいなら順番を守ってくれ!」

 

そう言い放ち、青石の手を払い除けた。月乃が嬉しそうな顔を浮かべ、他の客も一斉に太陽に視線を向ける。

一方、ブルーファングの面々は太陽を睨みつけ、青石も眉間に皺を寄せながら太陽に問う。

 

「ほぉ、度胸あんじゃねえか。オレ達ブルーファングに歯向かおうってのか?」

 

「言っただろ、どれくらい偉いのかは知らないって」

 

「だったら教えてやるよ!オレ達はなァ、この街最強のカードバトラーチーム・ヘリオポリスのメンバーである"捨河(すがわ)士狼(しろう)"さんが直々に結成した特別なチームなんだよ!!」

 

青石がドヤ顔で堂々と語ってみせ、その背後ではブルーファングのメンバーが「ヒューヒュー!」「青石さんカッケー!」等と盛り上がっていた。しかし、

 

 

 

 

 

「へぇ…。でもそれって、そのヘリオポリスってのが凄いんであって、別にお前らが偉いわけじゃないんじゃないか?」

 

「「「………あ?」」」

 

少し考えた後に太陽から帰ってきた返答に、ブルーファングのメンバーは口を開けてしまった。

 

「月乃、そういうことだろ?」

 

「そうだよ。言っちゃえば、こいつらは捨河士狼の腰巾着!あいつの名前を使わなきゃ自分達じゃ何も出来ないの!」

 

月乃が答える。実際のところ、彼らは件のヘリオポリス・捨河士狼という人物の取り巻きであるが故に、それを利用して好き勝手していた、言わば「虎の威を借る狐」である。他の客達も2人のお陰で火がついたのか、「そうだそうだ!」「いつも勝手なことばかりしやがって!」とブルーファングにブーイングの嵐。流石のブルーファングもこれには後退りするが、青石は拳を握りながら声を荒げた。

 

「うるせええええええ!!ブルーファングをコケにしやがって、こうなったらもう許さねえ!新入りだろうが関係無え、カードバトルでボコボコにしてやる!!」

 

そう言うと、青石はデッキを取り出す。後ろのメンバー達も「青石さんやっちまえー!」「ブルーファング副リーダーの力、見せてやれ!」と調子付いたように騒ぐ。太陽は(そこでカードバトルを申し込む辺り、ちゃんとカードバトラーなんだなぁ…)と思いながらもデッキを構えた。

 

「良いぜ、試したいデッキがあったんだ。俺が勝ったら、ちゃんと順番は守ってもらう!悪いな、月乃。お前とのバトル後回しになっちゃうけど」

 

「気にしないで。今の太陽くんのデッキと実力、"バトルステージ"で見せてもらうから!」

 

「…えっ?」

 

 

 

 

 

月乃に店の入り口の向かい側へ案内された太陽は目を丸くした。懐かしの店への興奮で気付かなかったが、そこには、ポラリスの面積の約3分の1はある巨大なステージが一台設置されていたのだ。

 

「これ、バトルステージ!?置いてあったのか!?」

 

「太陽くんが引っ越した2年後にバーチャルシステムを内蔵したバトルステージが導入されて、あちこちのお店や専用のスタジアムに設置されたのは知ってるでしょ?その時こっちにもこれが設置されたんだよ!」

 

「テレビで大会を見て知ってはいたけど、まさかここにバトルステージが置かれてたなんて…」

 

「おい!いつまでボケっとしてやがる!?さっさとステージに上がれ!」

 

目の前の光景に呆気に取られていた太陽だが、青石に怒鳴られて我に帰り、すぐにバトルステージに上がってデッキを準備した。

太陽はバトルステージを見据え、深呼吸をする。昂る心を落ち着かせると、青石と声を揃え、バトル開始の掛け声を高らかに叫んだ。

 

「「ゲートオープン、界放!!」」

 

 

 第1ターン side.青石

 

「先行は俺だ!スタートステップ!ドローステップ!そしてメインステップ!」

 

青石が威勢よくデッキからカードを引く。

 

「まずはコイツだ。『薬売りのテリノスケ』をLv1で召喚!」

 

青石がカードをフィールドゾーンに置くと、バトルフィールドに青い宝石が出現し、その中から木製の収納箱を背負ったスピリット「薬売りのテリノスケ」が現れた。

 

「凄え…スピリットが本当にそこにいるみたいだ…!」

 

太陽が感動のあまり声を漏らす。太陽の様子を見て観客席の月乃も思わず微笑んでいた。

 

「今はこれでターンエンドだ」

 

青石はターン終了の宣言をする。先行1ターン目はアタックすることができず、テリノスケもこのターンは効果を発揮できないため順当である。ターンが回ってきた太陽は、感動に浸っていたがすぐにスイッチを切り替えるように表情を変えた。

 

ライフ:5

リザーブ:S

手札:4

デッキ:35

フィールド:薬売りのテリノスケ(Lv1(1))

トラッシュ:2

 

 

 第2ターン side.太陽

 

「俺のターン、スタートステップ!コアステップ、ドローステップ!」

 

太陽のリザーブにコアが追加された後、デッキからカードを1枚引く。そして太陽は手札のカードに右手を添えた。

 

「メインステップ!『ゴッドシーカー・アルファレジオン』をLv1で召喚!」

 

太陽も青石と同様に手札のカードをフィールドゾーンに置くと、バトルフィールドに赤い宝石が出現し、その中から赤いラインの走った銀色の身体のドラゴンが姿を現した。

 

「ゴッドシーカー!?…ってことは、太陽くん…!」

 

召喚されたスピリットを見た月乃は、太陽にまさかと驚きの眼差しを向けた。

 

「来た…!よろしくな、アルファレジオン!」

 

太陽が声をかけると、目前に立つアルファレジオンが振り返り、言葉を返すようにひと吠え。スピリットのやる気を感じ取った太陽は続けて宣言する。

 

「アルファレジオンの召喚時効果発揮!俺のデッキの上から3枚をオープンし、その中のカード名「創界神(グランウォーカー)アポローン」と系統「界渡」か「化神」を持つ赤のスピリットカード1枚ずつを手札に加える!」

 

("創界神"!?まさかアイツ、士狼さんと同じ…?)

 

神の探索者(ゴッドシーカー)。その名を持つアルファレジオンが能力を発揮し、太陽のデッキの上から3枚が公開される。見えたカードは「創界神アポローン」「ファルスクロス・ドラゴン」「リミテッドバリア」の3枚だ。

 

「よし!『創界神アポローン』と『ファルスクロス・ドラゴン』を回収!『リミテッドバリア』はデッキの下だ」

 

太陽の手札に2枚のカードが加わる。残り1枚はアルファレジオンの効果対象ではなかったためにデッキの下へと送られた。

 

「来たれ、灼熱の太陽神!燃え盛る剛弓を撃ち放ち、世界を光で照らせ!創界神ネクサス、『創界神アポローン』を配置!」

 

直後、太陽の背後に炎の渦が巻き起こり、その中からギリシャを彷彿とさせる衣と鎧に身を包み、輝く弓を携えた赤髪の美男子「創界神アポローン」が顕現した。振り返ってその姿を目にした太陽が「よろしくな!」と拳を突き出すと、アポローンも「おう!」と応えるかのように拳を突き出した。

 

「やっぱり…!太陽くんも持ってたんだ…!」

 

現れたアポローンを見て、月乃も目を輝かせていた。

 

(創界神アポローンだと…!?やっぱりコイツ、士狼さんと同じタイプのカードバトラーか…!)

 

太陽とアポローンを見て、月乃は目を輝かせ、青石は一筋の汗を流す。

 

「アポローンが配置された時、フィールドに同名のカードが無ければ【神託(コアチャージ)】!デッキの上から3枚をトラッシュに置き、その中の神託対象のカード1枚につきコア1個をアポローンに置く!トラッシュに置かれたのは『レイニードル(RV)』、『太陽皇ヘリオスフィア・ドラゴン』、そしてアルファレジオン!対象カードは2枚だからアポローンにコアを2個乗せる!」

 

トラッシュに送られた3枚の内2枚のカードがアポローンに力を与える。アポローンの纏うオーラが濃くなり、創界神は力の高まりを感じるような反応を見せた。

 

(様子見してもいいんだけど、ここは先にライフを取らせてもらうか!)

 

太陽がアルファレジオンのカードに右手を添えた。

 

「アタックステップ!アルファレジオン、アタックだ!」

 

太陽の指示を受けてアルファレジオンが青石に向けて突撃する。

 

「フラッシュは無え、ライフで受ける!」

 

青石の正面にコアを模したシールドが展開され、アルファレジオンの火炎放射で破壊された。同時に青石の身体をライフ減少による衝撃が襲い、リザーブにコアが一つ追加される。

 

「ぐっ!てめえ…!」

 

青石:ライフ5→4

 

「これでターンエンド!次はお前のターンだぜ」

 

太陽がターン終了を宣言し、青石に再びターンが回ってくる。

 

ライフ:5

リザーブ:無

手札:5

デッキ:30

フィールド:ゴッドシーカー・アルファレジオン(Lv1(S))

トラッシュ:4

 

 

 第3ターン side.青石

 

「メインステップ!今のライフの分、お返ししてやらぁ!『磯武者キリサメ』をLv1で召喚!ソウルコアを乗せるぜ!さらにネクサス、『No.2 ブルーフォレスト』を配置!」

 

バトルフィールドに鮫頭の鎧武者が召喚され、続けて青石の背後に青い葉の木が連なる森林が展開される。

 

(ブルーフォレストにソウルコアの乗ったキリサメ…、狙いはコア増やしだろうな)

 

太陽が冷静に青石の狙いを分析していると、青石が攻撃の態勢に入った。

 

「アタックステップ!キリサメ、行っとけェ!!」

 

キリサメが刀を抜き、勇ましく太陽へ駆け出す。

 

「キリサメのアタック時効果、俺はデッキから1枚ドロー。その後、手札1枚を捨てる。さらにソウルコアが乗っている時、てめえのコスト3以下のスピリットを1体破壊するぜ!!」

 

「! アルファレジオン!」

 

太陽が呼ぶのと同時に、アルファレジオンがキリサメを迎え撃たんと飛び立つ。アルファレジオンの火炎弾を躱しすれ違う刹那、キリサメはアルファレジオンを上下真っ二つに斬り裂き、アルファレジオンは声を上げる間もなく爆散してしまった。

 

「決まったなァ!続けてブルーフォレストの効果!系統:「獣頭」を持つ自分のスピリットが効果で相手のスピリットを破壊した時、ボイドからコア2個を自分のフィールドに置くぜ!この効果でテリノスケをLv2にアップ!」

 

テリノスケは自分が強化されたことで喜びで飛び跳ねていた。しかし、太陽は表情を変えず、対抗して効果発揮の宣言をする。

 

「アルファレジオンはタダではやられないぜ!破壊時効果、召喚時と同じくデッキの上から3枚オープンし、対象カードを手札に加える!」

 

「! まだ手札が増えるのかよ…ッ」

 

オープンされたカードは「超弩級星艦シュバルツシルト・ドラゴン」「ドラグ・パルサー」「アポローンの龍星神殿」の3枚。対象はシュバルツシルト・ドラゴンのみだが、龍星神殿には赤の効果でデッキからオープンされた時に手札に加えられる効果がある。破壊されたアルファレジオンを糧に手札を増やす太陽。青石はイライラを隠せなかったが、今はキリサメで太陽のライフを減らす。

 

「ライフで受ける! ぐっ!?」

 

太陽 ライフ:5→4

 

太陽はライフ減少後による衝撃を受け、一瞬驚きながらも感動でいっぱいになっていた。

 

「この衝撃…、まるで本当にバトルしてるみたいだ…。…興奮してきた…!!」

 

一方の青石はアポローンに視線を移す。思いもしていなかった創界神ネクサスの登場に動揺が未だ消えていなかったのだ。

 

(このままテリノスケで追撃してもいいが、相手は創界神使い…。迂闊に手を出せばどうなるか…)

 

「…ターンエンドだ」

 

ライフ:4

リザーブ:1

手札:3

デッキ:33

フィールド:磯武者キリサメ(Lv1(S))、薬売りのテリノスケ(Lv2(3))、No.2 ブルーフォレスト(Lv1(0))

トラッシュ:3

 

 

 第4ターン side.太陽

 

「良いんだな?それじゃ、攻めさせてもらうぜ!『レイニードル(RV)』を2体、それぞれLv3とLv2で召喚!さらに自分が系統:「星竜」を持つスピリットを召喚した時、手札から『ファルスクロス・ドラゴン』をコスト3として召喚するぜ!」

 

一本角が特徴的な小型の青い龍が2体、続けて背中に太陽帆のような物体を背負った赤竜が太陽のバトルフィールドに出現した。赤竜ファルスクロス・ドラゴンはアポローンの神託の対象であり、アポローンにコアが一つ追加される。

 

「アタックステップ!ファルスクロス・ドラゴン、頼む!」

 

太陽の声に応え、ファルスクロス・ドラゴンが飛び立つ。

 

「Lv2アタック時効果、BP5000以下の相手のスピリットを破壊することで、俺は1枚ドローできる!」

 

ファルスクロス・ドラゴンがバトルフィールドの上空へ飛び上がり、フィールドを照らす太陽の光を吸収し始める。直後、ファルスクロス・ドラゴンは右手から光線を放ち、キリサメを焼き払った。続けて右手を青石に向ける。

 

「ライフで受けるッ!」

 

青石 ライフ:4→3

 

ファルスクロス・ドラゴンの右手から再び光線が放たれ、青石のライフを射抜いた。だが、太陽は止まらない。

 

「まだまだ行くぜ!Lv3のレイニードルでアタック!」

 

2体のレイニードルの片方が青石に突貫をかけた。

 

「ぐあっ!」

 

青石 ライフ:3→2

 

「もう一体のレイニードルも行けぇっ!」

 

「…そう何度も喰らってたまるかよ!テリノスケでブロックだ!」

 

残ったレイニードルも突貫を仕掛けるが、目前に立ったテリノスケが大きく跳ね上がり、背中にのしかかったことで地面に伏し、そのまま散ってしまった。

 

「ターンエンド、だな」

 

ライフ:4

リザーブ:2

手札:5

デッキ:26

フィールド:ファルスクロス・ドラゴン(Lv2(s+1))、レイニードル(rv)(Lv3(3))、創界神アポローン(Lv1(3))

バースト有り

トラッシュ:0

 

 

 第5ターン side.青石

 

青石の後ろではブルーファングの面々が追い詰められた焦りから騒ぎ立てており、青石は「うるせえ!黙ってろ!」と彼らに怒鳴りつけた。

 

(ちくしょぉ…いい加減このターンで決めなきゃやられちまう…!)

 

「『水師オット』、『獣童パンザー』をLv1で召喚!」

 

フィールドに髭を生やしたカワウソのような風貌の槍使いと、半裸姿の青い豹の獣人が威勢良く飛び出した。

「パンザーの召喚時効果!デッキの上から4枚をオープンし、その中のアルティメットカード1枚を手札に加える!…来たぜ、俺の切り札ァ!!」

 

目当てのカードが来たらしく、青石が今引き当てたそれを勢いよく掲げた。

 

「『戦国六武将タイダル・ブルー』…!!」

 

「おうよ!このターンで終わりにしてやるぜ!!不足コアをテリノスケから確保して、タイダル・ブルーをフル軽減で召喚だァッ!!」

 

瞬間、青石のフィールドに一際大きな青のシンボルが出現し、その中から青の甲冑に身を包み、三日月の兜に眼帯を付けた三つ首の鎧武者が姿を現した。テリノスケは力が抜けながらも、パンザーやオットと共に大将の登場に喜んでいた。

 

「流石にXレアのアルティメット…、迫力が違うな…!」

 

太陽がタイダル・ブルーに気を取られている間に青石はアタックステップに移行した。

 

「このターンで終わりにしてやる!タイダル・ブルー、やっちまえ!!」

 

指示を受けたタイダル・ブルーは、その眼光で太陽を捉えると、腰の刀を抜いて突き進む。

 

「アタック時効果発動!コスト7以下の相手のスピリットを1体破壊する!ファルスクロス・ドラゴンをぶった斬れ!!」

 

ファルスクロス・ドラゴンはタイダル・ブルーを迎え撃たんとするも、タイダル・ブルーの一太刀によって一刀両断されてしまった。

 

「さらに、タイダル・ブルーのソウルコアを除外することで、ソウルドライブを発揮!次のターン、てめえはリフレッシュステップとメインステップを使えねえ!!」

 

「! ライフで受ける!」

 

太陽が両腕を交差して防御の構えを取る。直後、タイダル・ブルーの無慈悲な斬撃が太陽を襲った。

 

「ぐっ!うわああああっ!」

 

太陽:ライフ4→3

 

「太陽くん!」

 

「パンザー!テリノスケ!てめえらも続け!」

 

パンザーとテリノスケが攻撃態勢に入り、青石が笑みを浮かべたその時だった。

 

「ライフ減少でバースト発動!『超弩級星艦シュバルツシルト・ドラゴン』!パンザーとテリノスケを破壊し、効果発揮後にLv2で召喚する!」

 

「なんだと!?」

 

太陽のバーストエリアから戦艦型の巨大なドラゴンが現れ、青石のスピリット2体を焼き払った。さらにバトルフィールドにそのまま召喚され、神託によりアポローンにコアが追加される。

 

「クソッ!ここに来てバーストかよ…ッ」

 

「さあ、どうするんだ?オットで攻撃しても良いけど、このターンで俺のライフは削りきれない」

 

「てめえに言われなくてもわかってらァ!!だが、てめえも返しのターンで俺を倒せねえのは同じだ!次の俺のターンで今度こそ終わりにしてやるぜ!」

 

「…いや、お前に次のターンは無いぜ?」

 

ライフ:2

リザーブ:4

手札:2

デッキ:

フィールド:戦国六武将タイダル・ブルー(Lv3(1))、水師オット(Lv1(1))、No.2 ブルーフォレスト(Lv1(0))

 

 

 第6ターン side.太陽

 

「俺に次のターンは無えと言ったな?アタックできるスピリットは一体しかいないてめえに何ができるってんだ!?」

 

「まあ見てろって。俺はこのまま、アタックステップに行くぜ!」

 

不敵な笑みを浮かべる太陽。ハッタリだと軽視しつつも警戒する青石。

 

「シュバルツシルト・ドラゴンでアタック!Lv2アタック時効果、ターンに1回、トラッシュのコスト8以下の「星竜」のスピリットカード1枚を手札に回収することで回復!」

 

空を征くシュバルツシルト・ドラゴンがトラッシュからカードを1枚回収して太陽の手札に戻す。そして、太陽はそれとは別の、手札にあった1枚のカードを掲げた。

 

「燃え盛れ、太陽の龍!流星の如く天を駆けろ!『太陽神星龍アポロヴルム』を、シュバルツシルト・ドラゴンに煌臨!」

 

瞬間、太陽の背後から赤い龍のオーラが翼を広げて飛び立ち、シュバルツシルト・ドラゴンと重なって輝きを放つ。あまりの眩しさに月乃や青石、観客は目を閉じていたが、輝きが途絶え瞼を開けると、燃えるような頭髪に金色の頭部、赤い身体に金色と白の鎧を纏い、胸に青く輝く宝石が埋め込まれたドラゴンがそこにはいた。

 

「こいつが俺のキースピリット、創界神アポローンの化神スピリット『太陽神星龍アポロヴルム』だ!!」

 

その言葉に呼応するかのようにアポロヴルムは、一際高い咆哮を轟かせる。

 

 

「太陽くん…やっぱり持ってたんだね…!」

 

「煌臨…!?しかも…Xレア、だと…!?」

 

驚きを隠せない青石と観客に紛れ、月乃はただ1人太陽の完全勝利を確信していた。

 

「アポロヴルムの降臨時、アポローンに神託!コアが5個集まったことでLv2にアップだ!」

 

コアが集まったアポローンは力が増し、全身から先程よりも強力なオーラを放つ。

 

「アポロヴルム、アタック継続!ライフを砕け!!」

 

「させるかよアホが!オットでブロック!」

 

主人を守るためにオットがアポロヴルムに果敢に立ち向かうが、アポロヴルムの灼熱の炎によって灰も残さず消えてしまった。

 

「チッ!だが、このターンてめえがもう一度アタックしようが、俺のライフは削りきれない!それにこっちにはタイダル・ブルーが残ってる!次のターンでてめえにトドメを…、」

 

「言っただろ?次のターンは無いって。アポローンのLv2の効果【神域(グランフィールド)】発動!系統:星竜の自分のスピリットが相手のスピリットかアルティメットを破壊した時、相手のライフを1つリザーブに置くぜ!」

 

「何ィ!?」

 

太陽が右手を鉄砲の形にして青石に照準を合わせると、背後のアポローンが弓を構え、力の限り弦を引く。太陽が「バン!」と叫ぶと、アポローンは矢から手を離す。放たれた矢は勢いよく青石に向かっていき、命中した瞬間に青石のライフのコアが粉々に粉砕された。さらに衝撃で青石の体が後ろに吹っ飛ばされる。

 

「ぐぅあッ!!」

 

青石 ライフ:2→1

 

吹っ飛ばされた青石は胸を抑えながら立ち上がる。

 

「まさか…ライフ貫通の効果を持ってるなんてな…!」

 

「これだけじゃないぜ。煌臨元のシュバルツシルト・ドラゴンのアタック時効果でアポロヴルムは回復している。さらにアポロヴルムには、Lv2からアタック時効果で相手の最もBPの高いスピリットとアルティメットを1体破壊する効果がある!つまり…、」

 

「…!タイダル・ブルー!」

 

太陽の解説を聞いて全てを察した青石はタイダル・ブルーの名を叫ぶも時既に遅し。

 

「アポロヴルム、もう一度アタックだ!Lv2アタック時効果でタイダル・ブルーを破壊!」

 

アポロヴルムが翼を広げ飛翔する。その目に映るは疲労状態の戦国六武将。迫るアポロヴルムを迎え撃つべくタイダル・ブルーは身体を起こして刀を握るが、アポロヴルムの口から放たれた業火は、抗うことを許すことなくタイダル・ブルーを瞬く間に灰塵へと変えた。

 

「俺の…タイダル・ブルーが…」

 

「アポローンの【神域】発揮!最後のライフを砕け!!」

 

太陽の後ろでは既にアポローンが矢を番えており、青石がそれに気付くと同時に矢が放たれ、青石の最後のコアを粉砕した。

 

「ぐぅおああああああッッッ」

 

青石 ライフ:1→0

 

 

「「「………わああああああああああああッッッ!!!」」」

 

観客達は目の前の光景に言葉を失っていたが、理解が追い付いたのか、ショッピングモール全体に響くほどの歓声を一斉に上げた。

 

「ちくしょ〜…!覚えてろよ〜〜〜ッ!」

 

一方、とどめの一撃を喰らい、衝撃でステージから転げ落ちた青石はすぐに起き上がると、捨て台詞を吐きながら仲間を連れて逃げるようにその場を去った。

 

「いやぁ、別に追い出すつもりはなかったんだけど…。順番守ってくれりゃ、俺は良かったし…」

 

ステージを降りながらそう呟く太陽に月乃が駆け寄った。

 

「太陽くん、今のバトル凄かった!まさかアポローンのデッキを使うなんて!」

 

「いやぁ…相手はアルティメット使いだったし、結構ヤバかったけどな…」

 

バトルを終えた太陽は少し疲れた表情をしていた。生まれて初めてバーチャルバトルを体験し、情報量の多いバトルだったのだから無理も無い。それでも、その表情にはどこか満足感が感じられた。

 

「でも…帰ってきて初めてのバトルで勝てたのは、やっぱ嬉しいよ…」

 

 

絢星太陽はまだ知らない。これから己の周囲で巻き起こる戦いの物語を。




GranWars第1話「太陽降臨」を読んでいただきありがとうございます!
拙い文章ですが、お楽しみいただけたでしょうか?余談ですが、初期プロット作りから3ヶ月くらい経ってますね。遅えよ草薙。
話作るの好きなくせに下手な草薙なので、今後も更新は遅くなります。
ありがとうございました!
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