Dolls' Frontline STAND ALONE COMPLEX   作:へなころ

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アマプラビデオで攻殻機動隊を見ていたら書きたくなってしまった。
よろしくお願い申し上げます。

SACの笑い男事件の最後のあたり、9課解体の時のタイミングで飛ぶ形です。
あんまり上手くないけどお付き合い頂ければと思います。


オープニング
1.突然ですが


あの日あの時何があったのか、誰にも分からない。

ただ一つ分かっている事は、ここは元の世界とは違うという事だけだった。

そう・・・あの日・・・

 

 

・・・・・・

 

「くそ!奴らはなんなんだ」

防火壁による侵入防止を図るも悉く爆破され足止めにもなっていない。

多人数の兵士が施設へなだれ込んでくる。その統制のとれた動きから見るものが見れば練度の高さが伺える。進行スピードも非常に早い。

 

9課の面々が事務所外の廊下にバリケードを築き侵入者へ銃撃を加えている。

しかし相対する者たちは練度が高い上に装備もよい。強化外骨格までも持ち出しアサルトライフルやマシンガンによる銃弾すらも効果が薄い様だ。

 

通称"笑い男事件"の調査も山場を終えてフィニッシュに向かうタイミングで、敵対勢力から政治的な反攻を受けて窮地に立たされていた。

課長の指示で9課の事務所に集まった彼らは、己の生存を賭けて抵抗を試みる。

 

弾幕を張りながら男たちは敵を推察する。こんな重装備はテロリスト集団はおろか警察関係でも準備は難しい。

「奴らは海上自衛軍の"海坊主"だな」

「なに?あの根室奪還作戦の噂のあれか?」

「ああ、存在しない部隊だから俗称だがな」

敵は軍の特殊部隊。敵勢力の息のかかった海上自衛軍より派遣された部隊であり、9課を解体、抹殺する事を目的に派遣されたのだった。

 

「後退するぞ」男たちの中に居る紅一点。口調から隊長と思われる女性が指示を飛ばす。

携帯式無反動砲を撃ち込むがこれすらも効果が薄い。徐々に敵に押し込まれており事務所への後退をすすめる。事務所から後は無い。ここに籠城して徹底抗戦を行うのだろう。

 

と、そう見せかけて、事務所を爆破し自爆を装い市街地へと散り潜伏する計画だった。

自殺偽装用の簡易義体も準備済み。

あとは最後の爆破準備を進める。敵は一際分厚い防御壁突破に苦慮している。

 

隊長は手際良く自爆システムを起動し

「よし!ここは店じまいだ。脱出するぞ!」

そう宣言して事務所より退去する。

 

・・・・・

自衛軍が扉を破り侵入を開始したと同時に、侵入者もろとも全てを吹き飛ばす規模の大爆発が事務所で起こる。超高層ビル上層階であるが爆発により全ての窓が破壊されガラスが飛び散る。

今まで知る由もなかった一般人にも事件事故が起きていることが分かるようなド派手な状況である。

それも逃亡への時間稼ぎ。そんなはずだった。

しかし...

 

「なんだ?振動が大きい!?」

事務所の自爆の爆薬はたかがしれている。しかし想定を超える明らかに異常な振動である。しかも爆発とは異なり徐々に振動が大きくなってくる。

「うっ・・・」

次の瞬間、ついに宙に体が投げ出される感覚を受け、次いで揉みくちゃにされる感覚。そしとそのまま意識を消失していた・・・

これが「いつもの世界」で受けた最後の感覚だった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

・・

・・・

・・・・

・・・・・

・・・・・・

 

「ううっ。なんだ?一体何が??」

女隊長の草薙素子は目覚めるとともに状況把握に努める。

一時的とはいえ、強敵を前にして意識を失っていたのだ。死んでいてもおかしくは無い状況。

周りを見渡すと部下たちが倒れていた。

すぐに確認するが特に問題は無い。よかった。死んでいる訳では無かった。

 

「バトー、サイトー、起きろ!」

素子は横の二人を起こす。

 

「う・・・少佐・・・!敵は?連中は?」

「少佐!」

バトーと呼ばれるパワー型サイボーグの大男と、短髪隻眼の屈強な男が起き上がる。

「何がどうなってんですかい。少佐」

「敵どころか、場所も・・・おかしくないですかい」

「イシカワ、ボーマ、パズを起こせ」

 

そう、自分達が倒れているのは見知った場所では無かった。

どうやら高層ビルのなかである事は確かだが、知らない場所。何故なら荒れ果てた廃墟であるからだ。

そして、窓が割れて無くなった眼前に広がるのは廃墟の山だった。

人が住む気配が全く無かった。

 

「どこかの招慰難民居住区か?」いやそんなはずはない。

「であれば、ハックされ記憶の改竄?」その可能性は低い。それに9課全員をやる動機がない。

「あるいは防壁迷路の類に捉われて見せられた世界か?」この可能性は考えられたが・・・

 

「少佐、これは現実ですな」

声の方を向くとイシカワが頭を撫でながら起き上がっていた。

「あと、ネットワークが一切使えません。全ての電源が落ちているのと・・・この街の状況からネットワーク自体も期待出来ないでしょう」

「短距離の無線通信のみです」

 

「・・・・」

「分かった。皆、携行武器はあるな」

「サイトーは高所から街の確認、イシカワはこの部屋の確保、ボーマとパズ、私とバトーはツーマンセルで建物の探索だ。1時間後にこの部屋に集合だ」

「状況及び情報の確認と、水食料の確保を主眼に置け」

「「了解」」

 

イシカワ以外のそれぞれは廃墟の部屋から任務を全うすべく飛び出していった。

 

・・・・・

 

「このビルはオフィスビルだったようだな。が、人は全くいないな。放棄されて久しいようだ」

バトーが事務机の上を見るがめぼしいものは無い。

 

「うん?おいおいおいおい・・・マジかよ」相方のバトーが相当驚く何かを見つけたのか驚きの声を上げる。

「少佐、これを見てくれ」

そう言ってボロボロの卓上カレンダーを差し出す。そこには2049年と書いてある。

廃墟のカレンダーが2049であれば、今日はそれ以上の年であるという事を表している。

馬鹿な。2049年だと?今年は2030年だ。そんなカレンダーがあるわけがない。

日付けと曜日は確かに2049年である事が計算より分かる。カレンダーをめくると所持者のイベントであろうことの書き込みが見つかるが、悪戯にしては手が込んでいる。

 

「約20年後の世界と言うことか?」そんな事ありえない。

「それに文字から東欧諸国かロシアか・・・」

どういう事だ?我々は日本の新浜市に居たはずだ。

 

その後めぼしい情報はなく、地階付近にあったスーパーの成れの果てから幾ばくかの缶詰と水を回収し、元の部屋に戻ることとなった。

 

・・・・・・

 

6人が元の部屋に集合するが、手に入れた情報はどれもこれも信じられないものしか無かった。

曰く、違う時代、違う場所に移動した事を示す証拠であり、その荒唐無稽な事象を否定するものは一つとして無かったのである。

 

「カレンダーを見つけたが、2049年。しかも東欧の文字から日本では無いことが伺える」

「ネットワーク端末と思しきPCを発見したが、型式は不明。電脳との接続形式のコネクタは無し。外部接続と思われるジャックがあるものの接続形式は不明」

「電源関係は全て停止。人の姿も一切無しだ」

「食料関係は一部保存食は見つかったがほぼ無し。現状一ヶ月間の生存も難しいと言わざるを得ないな」

 

分からない。この信じられない事象は置いておくとして、なぜこのような大都市に人が居ないのか。

どんなに戦火に巻き込まれようとも人が1人もいないと言うのはおかしい。

長崎の招慰難民達もボロボロの建物に住み着いていた。人と言うのは何としても生きようとする。廃墟であろうとも人が一人もいないというのは異常だ。

・・・・ありえない。想定外の、人が住めない事情があるのか?

 

 

「少佐、地図を見つけたのだが数キロ先にこの街の中央行政庁の建物があるようだ」

「なんらかの設備や情報があるかも知れない」

パズが地図と共に情報を伝える。

 

「・・・・・・」

得体の知れない嫌な予感がする。夜の移動はやめておくべきか。

 

「分かった、明日は行政庁舎の調査を行うぞ」

「今日はそれぞれ休め。就寝中も周囲への警戒は怠るな」

 

全く意味のわからない初日は、こうして幕を下ろしたのだった。

これが激動の開幕である事は、誰一人として理解できていなかった。

 




次話投稿に時間はかかると思います。
気長に待っていただけると幸いです。
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