Dolls' Frontline STAND ALONE COMPLEX 作:へなころ
かなりとっ散らかってしまいました。
中盤以降、ちょっと雑で読みにくくなったかもです。すみません。
ところで、22年9月23日からのタイトルイラストの57、可愛いっすね。
なんかキリッとしてて自分的にはツボっすね。
wikiのリンク貼っときます。
https://wikiwiki.jp/dolls-fl/タイトルイラスト
「トキタ様、お待ちしておりました」
そんなビジネスライクな挨拶から始まる出会いは一般市民からしてみればビジネスくらいしかないだろう。
この場もご多分に漏れずビジネスではあるのだが、来客は小さいながら一企業の社長家族だった。
ビジネスなのに何故家族? そう思うかもしれない。しかし、第三次大戦とコーラップス汚染を経たこの滅び行く世界では旅行などごく一部の金持ちしかできないものとなっていた。それはそうだろう。生きていくだけで精一杯の人間が大半なのだ。例え金があったとて安全な旅など保証されない。2000年代初頭の紛争地帯を旅する様なものだ。いや、それすら生ぬるいのかもしれない。
なので、ビジネスにかこつけて家族帯同で旅行する者は多い。真っ当なビジネスであれば互いに金蔓なので騙される可能性は限りなく低くなる。相手の地域の状況も分かる。なのでだいぶ安全な旅となる。
それに例え自分の街にいたとて安全とは言い切れない。反PMCテロによる被害ならまだ可愛い。鉄血人形やE.L.I.D.感染者による都市の壊滅など決して他人事ではない現状がある。
そんな訳でトキタマシーナリーのトキタ社長も妻と娘を連れてビジネストリップに来たという事だ。
「トキタ社長? 大丈夫ですか?」
受け入れ企業のドールハウス社の担当営業が心配そうに顧客へと声をかける。ビジネス相手の体調を気遣うなどよっぽどの事だ。誰の目から見てもトキタ社長が疲れている様に見えたのだろう。
「あ、ああ。大丈夫です。ちょっとヘリの長旅に疲れまして・・・」
「娘のワガママに妻が怒りましてね、大変だったんです・・・」
ひっそりと耳打つように営業に伝えたのだが、妻と娘は不機嫌そうな顔を向けてくる。
「「あなた(パパ)、何かしら(何かな)」」
「あ〜、何でもないよ・・・・」
コッソリと告げたはずなのにそれを察知する女性陣。それにタジタジの社長を見て優秀な営業は全てを察した。ここは疲れた社長を励まして上手くビジネスを成功させようと考えていた。
──
────
──────
──────────
「ドールハウス社?」
「ええ。このトラックの企業ロゴから直ぐに判明しましたぜ」
「R-13基地の城下町に本社を置く新興の企業ですな、少佐」
R-15基地に現れた重装備なメカメカしいアンドロイドを従えたトラック。そのトラックのロゴからイシカワ達は直ぐに企業を割り出していた。
「主な営業品目は・・・アンドロイドの整備と中古を含めたアンドロイドの販売」
「地場の中小企業や個人向けがメインだけど、活動品目や範囲は拡大傾向よ」
素子の疑問に対してイシカワとそれを引き継いだ57が聞きたいであろう情報を答える。
「R-13基地は・・・やり手の女性上級指揮官が治めている」
「僕は面識はないが、珍しくクリーンな指揮官だって聞くよ。情報が本当なら見える範囲に悪どい企業は置かないと思うよ」
コータがグリフィン内の情報を追加する。話しぶりからしてグリフィンの指揮官は多かれ少なかれグレーな職場と分かる。
まあ、武力とある程度の裁量を持っていると言うことは、ある意味ヤクザ組織と近い機能があるということ。
基地間や一般市民との関係は、それに近いものになる可能性があるとも言える。
コータの同僚のアリス指揮官がノンナにしていたその態度を見てもその判断は間違いないものと言えた。
余計な考えに意識が向いていた事を素子は自覚して話を続ける。
「R-15との取引記録はハック可能か?」
「難しいですね。メインサーバーがR-13基地内に置かれています。基地システムからは切り離されていますがセキュリティは共有されているので捕捉される可能性が高いですな」
「R-13基地との揉め事は色々とまずい。絶対回避で頼むよ」
イシカワとコータの回答を聞き素子は考える。相手に気付かれずにハックするその方法を。
「分かったわ。
ニッコリ微笑む少佐を見て、トグサは嫌な予感しかしなかった。
──────────
──────
────
──
「トグサ、架空の会社のトキタマシーナリーを作ったからな。お前は今からトキタ社長だ」
「ダミーのホームページも銀行口座とニセの取引記録と一緒に作っといたわ」
イシカワと57の仕事は早かった。素子の提案を聞いた30分後にはS地区のそれなりの街にそれなりに歴史のある中小企業が存在することになっていた。
流石のイシカワだが娘を自称する57もしっかりイシカワのやり方を学んでいる様だ。イシカワも最近は娘を自称されてもあまり否定しなくなった。とは言ってもこれは諦めの方が大きいのかもしれないが。
「つまり俺はトキタ社長となってドールハウス社へ訪問するわけですね」
「しかし、取引記録の確認はどうします? 俺一人だと流石にやれないですよ」
「ああ、それについても考えているわ。FALと57を家族として同行させる」
「えっ! FALと57・・・を・・・家族として?」
「二人を一緒に連れて行ったら不審ですよ。妻と愛人? そんな設定あります?」
「最後まで聞きなさい。一人は娘の設定で行くわ」
「さっき、ペルシカに相談したらいい案があると。ね」
「機材はヘリで速達で送ってもらっている」
トグサは状況が全く読めていない様で、ムスメ????? とうわ言のように呟いていた。
素子には考えがあった。前の世界では子供体型の義体を用いる事があった。今もまた少女型の一〇〇式ベースの義体を使用している。
ならばあるのでないか? 戦術人形にも特殊な子供型義体が。
それをペルシカに確認したら、まさにちょうどいいのがある。と。ならば話は早かった。
──
────
──────
──────────
「パパ〜〜〜。ファイファイにおもちゃ買って〜〜〜」
「お、おおぅ」
「やったー。とびっきり高性能な電子戦装置を買って貰おうっと」
「おい、コラ」
幼女体型の義体に換装した57が上目遣いでイシカワに絡んで遊んでいる。いつもと違う幼女義体を楽しんでいる様だ。
絡まれたイシカワも普段と違う幼女体型の57の絡みに戸惑っている様だった。
57専用の幼女型義体は最近ロールアウトした特殊品だ。好き物の指揮官に法外な値段で売る予定とかなんとか・・・。I.O.P.は相当悪どいとしか思えない。
銀髪に可愛らしくクリッとした瞳それにアップなツインテール。服はノースリーブの白いワンピースに白いニーハイソックス。靴は黒いパンプスとなっておりまさに外行きに相応しく丁度良かった。
ただし今回は作戦の関係上、銀髪では都合が悪かった。なのでトグサとFALの髪色に合わせてライトブラウンに特別に変更されている。つまりFALが母親役で57はその娘役、と言う設定だ。
「いや・・・少佐。理屈は分かりますけどね。ただ、いきなりこんな設定キツイですよ・・・」
これでもかといった困った顔のトグサ。
そりゃそうだろう。美人二人の一人が子供になって、しかも自分の妻と子供の設定とか。いくらサイボーグとアンドロイドが溢れる元の世界から来たとは言え、人間の脳の理解を超えている。
「トグサ。私は出来ない命令はしないわ。お前なら出来る。やりきって見せろ」
微妙に笑みが混ざった顔の少佐が言うに、恐らく大したことではないと思っているのだろう。
もちろんFALも57も能力の高い兵士であるので仕事に対して心配はしていないが・・・・
(これ、絶対に普通に終わらないですよ・・・・)
トグサは心労が溜まるであろうことを確信していたが、口に出す事はなくミーティングは解散となった。
──────────
ミーティングが終了し各自が散らばっていく。9課はプロの集まりなのでこの辺りの動きは早い。
トグサもトキタ社長になり切るためにさっさとミーティングルームを後にするが、
「トグサ! ・・・・ちょっと!」
後ろからFALの声が掛かる。どうやらトグサの後を追って部屋から出てきた様である。
部屋の中で話しかけなかったところを見ると、二人だけで話したかったのだろう。
「うん、どうした? FAL」
立ち止まり振り返るトグサ
「あ・・・いや、その・・・」
彼女にしたら珍しく歯切れが悪い
「その、前の世界では配偶者と嫡子がいた。のよね・・・」
「今回の任務・・・大丈夫?」
いちいち畏まった言葉を使い気まずそうなそんな雰囲気の、感情が読みづらい態度で話すFAL。
「気を遣ってくれるのかい?」
「けどまあ問題ない。任務だからな。いつもの事さ」
「そう・・・・なら・・・いいわ」
これまたよく分からない態度で返事をしてスタスタと歩いて行ってしまう。
なんかよく分からないが問題はないだろうと考え、トグサも作戦の準備を進めに歩みを進めるのだった。
────────────
────────
────
──
「ハァ? 今日の服はセンスが良いって、なによ!」
「普段の私の服装の良さが分からないわけ!?」
「それ、本気で言ってるの?」
「だとしたら電脳が狂ってるから私の57で撃ち抜いてあげなきゃいけないわね」
「話にならないわね。パパ、パパうるさいファザコンのアンタにセンスを語られたくないわ」
「イシカワが迷惑しているのが分からないのかしら?」
「はぁ!? 何言ってるのよ。このノーセンスドグサレビッチが!」
「アンタこそなによ! 腹黒ファザコン女」
「「あーん! 喧嘩売ってんのか? ゴラァ」」
R-13に向かうハイヤーのヘリの中、FALと57はひたすらお互いを罵しりあっていた。
キッカケは些細なことであったが、互いに掛け合いを続けるなかでエスカレートしていったわけである。
と言っても、リアル空間ではなくセカンダリーレベルにて、である。
リアル空間では・・・
「ママぁ。見て見て。お空飛んでて景色が綺麗」
「あらあら、そうね」
なんて爽やかな親娘を演じている。器用なものだとトグサは呆れる。
しかし同じ空間を共有しひたすら争いを聞かされているトグサにしてはたまった物ではない。そのうちこっちにも飛び火しそうなのでトグサは関わらない様にしている。まあ、その放置の代償としてガリガリとSAN値を削られ続けている訳だが。
・・・・・というのが冒頭に続いていく裏事情である。
R-13に到着したヘリから降車してハイヤーに乗り込みドールハウス社に向かう訳だが、気の利いた飛行場などあるわけもなくグリフィン基地のヘリポートを間借りしている。
当然、警備の戦術人形も沢山居るため非常に緊張する瞬間である。人間に化けている戦術人形などがバレたら洒落にならない。テロと判断されその場で即射殺されるだろう。しかし、FALも57も綺麗に化けておりバレる事はおろか不信がられることすら無かった。そこは流石エリートの二人である。何食わぬ顔で堂々と親娘を演じている。役者やっても通じるんじゃないか?なんてトグサは思う。
ドールハウス社に到着し、営業担当者から挨拶を受け、案内をされている最中に冒頭の気遣いを受けたのだが、疲れるのも致し方ないだろう。何故ならヘリから今の今まで裏で罵り合いが続いている訳だから。歩きながら裏で喧嘩なんて戦術人形のマルチタスクのリソースはどうなっているのか、興味深い話である。
この状況では、トグサだから疲れるだけで済んでいると言っても間違いではない。普通の人なら発狂していてもおかしくないレベルと言えよう。
────────────
「トキタ社長、それでは弊社の生産設備の見学にまいりましょう」
それなりの待遇が伺える応接室に通され挨拶を済まし、パンフレットやプレゼンを通した会社説明を受けて、トキタ社長が求めるプロダクツについての意見交換がなされ温厚に話が進んでいく。営業担当者としてはお互いに無理なく気持ちのいい取引が進みそうな状況であり気分がいいのだろう。ニコニコ顔でトキタ社長一家を工場見学へと誘う。
「いかがですか? 弊社の生産設備は」
いくつか社内の見学ポイントを周り、最後に来たのはアンドロイド製造ラインだった。
売れ筋で数が出る安価な家事用の簡易アンドロイドの生産設備はライン化されており、低速ながら製品が流されて生産されている。
この退廃した時代で、これだけの生産性を持つ中小企業は少ないだろう。立派な会社と評して差し支えがないと言える。
「いや、素晴らしい。御社のやる気と成長力が一目瞭然ですね」
「ありがとうございます。見学でお伝えしたいことが分かってもらえて嬉しいです」
トキタ社長と営業担当者が足を止めてにこやかに話している。その横で・・・
「うわ〜、すごい! ロボットさんが流れてる〜」
と声を上げて57がラインへと駆け寄る。
どこからどう見ても幼い子供にしか見えない。
「危ないから気をつけるのよ〜」
なんてFALが心配したように、かつ、お淑やかに声をかける。
こちらもどこからどう見ても、いいとこ生まれの社長夫人にしか見えない。
「大丈夫ですよ」
「お嬢ちゃん、柵は超えちゃダメだからね」
「は〜い」
子供らしい間伸びした返事をしつつ安全柵の前で齧り付くように見学を始める57。可愛らしい女児にしか見えない。当然営業担当から怪しまれることも無かった。
「すみませんねうちの娘が」
「いえいえ大丈夫ですよ」
そんな和やかな会話がなされているところで柵に駆け寄っていた57の眼が突如鋭くなる。とても幼女のそれとは思えないほどに。
横目で素早く営業担当者を見る。トグサに向かって熱弁を振るっているのかこちらを見ていない。少人数居るライン工も全くこちらを見ていない。監視カメラの位置も全て把握済みで死角を確保している。誰も見学者の幼女などに気を留めてはいなかった。完全なるノーマーク。
57はすぐ横に置かれた生産管理用PC端末に近寄り、ワンピースのポケットに入ったマイクロカードを端末の外部ポートへ差し込む。生産ラインを見ながら片手で素早くである。一連のこの間僅か2秒程であり誰からも怪しまれる事は無かった。
マイクロカードにはイシカワ特性のウイルスと専用無線通信機能が付与されていた。差し込むと同時に不審なく端末に無線通信が可能となる。
そこを足掛かりに57がネットワーク空間へとダイブする。
(トグサ、FAL、行ってくるわ。時間稼ぎはお願いね)
(頼むぞ)
セカンダリーレベルを介した極秘通信上で挨拶を済ませて作戦を進める。
打ち合わせ通り、義体に最低限のリソースのみを残して57はドールハウス社のネットワークへとダイブする。今の57の義体は最低限の会話とラインを見ているふりだけをする外見未満の動きしか出来ない。ダイブから戻ってくるまで時間稼ぎが必要となる。
──
────
────────
──────────────
「うわ。何このネットワーク。めんどくさ」
ネットワークにダイブした57が顔を顰めて呟く。と言うのも当初想定していたセキュリティより数倍強度と数が多いからである。
「
「ひとつずつ行くしかないか」
攻性防壁を破壊して進むのは簡単だけど100%バレる。今回の任務は極秘潜入なのでそれは出来ない。丁寧にひとつずつ承認作業を進めて通過していく。
・・・・・・・・・
「ふ〜。頭が痛くなってきたわ」
もう大分進んだが電脳をフルに使っているため熱を持ち頭痛となって負荷の影響が現れる。
そんな時、どこからか声が聞こえてくる。恐らくトグサがセカンダリーレベルを介して話しかけてきているのだろう。
(57、まだか? そろそろ次の見学へ行きそうな雰囲気だ)
「まだよ。まだ時間が必要だわ」
(あまり引き伸ばせない。駆け足で頼む)
「ッ・・・了解。じゃあ急ぐわよ!」
確実性を許容できる限界まで落として速度を上げる他ない。
そうなると独立した防壁との多少の戦闘は覚悟が必要で、メンタルモデルに対するダメージリスクは上がる。
・・・・・・・・・・
「くぅ・・・キツイわね」
「修理装置・・・しばらくつかえないわよね」
いくつかの防壁を無理に押し通り重傷とまではいかないがそれなりダメージを負っていた。
しかし、なんとかR-13基地独立サーバのドールハウス基幹システムに辿り着いていた。
「やっと目的の場所ね」
さっと見渡し目的のターゲットを探し出す。ライセンス関係のシステムを素早く見つけ、手をかざしてイシカワが作ったプログラムを注入する。
「よしOK! "枝つけ"完了」
「トグサ、FAL、すぐに戻るわ」
そう伝えると、ダッシュで来た道を戻っていく。
その彼女の痕跡はサーバ管理者、セキュリティプログラムに一切見つかる事は無かった。
──────────────
────────
────
──
(ただいま!)
(帰ってきたか! 引き伸ばしも限界だったよ)
(ケガ・・・大丈夫?)
(あ、うん。大丈夫・・・)
帰ってくるなり57の負ったダメージを気にするあたり、FALと57の仲の良さを如実に現れている。喧嘩するほど仲がいい、と言う事なのだろう。
・・・・・・・・・
義体に戻った57は素早くマイクロカードをPC端末から引き抜き、手の中で粉々に潰してポケットに仕舞う。これで万が一痕跡が見つかっても追求される事はない。
「パパぁ、もういいよ」
そのままパタパタとトグサの方に走り寄る57をトグサは抱き止め頭を優しく撫でてやる。その姿はトキタ社長とその一人娘そのものだった。
その後、つつがなく見学と商談は終了して、今回の出張は無事完了となった。
──
────
────────
──────────────
「パパ、ただいま」
「おう! おかえり!って、幼女の姿はやめたのか?」
「うん、手が小さいし背も低いから電子戦装置が使いづらいのよ」
「あれ? それとも幼女姿の方が、パパとしては良かったのかな〜?」
「うるせえ。バカ言ってんじゃねーよ」
帰ってくるなりのイシカワと57のやりとりは平常運転である。もう既にこのやりとりが平常運転になっていた。
トグサ達の潜入は無事成功し、S地区の基地に戻ってきたところだった。
戻ってくるなり、早速ミーティングが開かれる。
「トグサ、FAL、57、困難な潜入任務ご苦労様。枝も無事に機能しているわ」
「それで、貴方たちの帰任までに我々の情報解析も完了しているわ。ベクター頼む」
素子がそう伝えると補佐をしていたベクターが壁の大型モニターを点けて、あるリストを映し出す。
数多くの会社等の組織名と連絡先、卸品の種類と数が綺麗にまとめられていた。
「これがR-15からの鉄血人形部品の売買のリストですか?」
「・・・・・・・」
「元刑事としての勘ですが、相当ホワイトな取引先ばかりに見えますが?」
トグサが映し出されたリストをざっと見て感想を溢す。
「ええ、そうね。売却先をひとつひとつ洗ってみたが特に怪しい所は無かった」
「あのマッチョな中年指揮官も馬鹿ではない。それなりに考えているってことかしらね」
少佐もトグサの推察に肯定的な調査結果と意見を付け加える。
「あの宴会が強烈すぎるからな。まあ色眼鏡で見られてるって事なのかもな」
渋い顔を見せて呟くバトーに対して、モトコが振り向き苦笑いを向けている。
方向性は違うにしても、どこかバトーとマッチョ指揮官は共通するところを感じたからだった。
「以上の結果を依頼元のグリフィン情報部には解答済みだ」
「一応、こちらの見解も述べたが、そこは全く聞く耳を持たなかった」
「その態度も含めて社長に苦言は述べておいた。今後多少はマシにはなるだろう」
「おっしゃ。クソな仕事も終わったし、打ち上げでもやるか?」
最後に、既にグリフィンには報告済みの旨、荒巻から報告で締められた。
バトーの反応の通りこの話は実質クローズとなる。
・・・筈だった。
「いや、まだよ。ちょっと気になる点があって」
「え? まだなの?」
「少佐もシロだって言ったじゃん」
心底残念かつウンザリそうな顔を向けるバトー。バトー以外も不思議そうな顔を向けている。
「依頼された仕事はシロで終わり。ただ購入先に気になるところがあって。ね」
「課長とも相談したけど、ここから先は9課の仕事になるわ」
「購入先? そこも調べて怪しいところは無かったんですよね?」
「何処が気になるのか教えてもらえますか」
トグサの質問を受けてモトコがモニタに映し出されたリストの一社をハイライトする。
"ガラテア義肢装具研究所"の文字が強調される。
そこに映し出された会社に怪しさを感じるものは誰一人として居なかった。