Dolls' Frontline STAND ALONE COMPLEX 作:へなころ
お気に入りが100件を超えました。ひとえに読者の皆さまのおかげです。ありがとうございます。
57の幼女義体の話を書いたら義体欲しくなっちゃって、ブラックカード交換しましたが、あれいいですね。
ログイン時の「会いたかった〜」からのドアップ上目遣い、FALのフェネックを画面にぶん投げる、「子供の時に見る目を養わないとFALちゃんみたいな大人になっちゃうよ(FALのとこ強調)」と言った暴言(笑)
もう最高ですね。
話の方向性は、パラデウスさんち方面で行きたいんですけど、上手くまとめられるかどうか。
もう、あの博士が謎すぎてどう書けばいいのか頭抱えています(笑)
クオリティ低下の危機です(笑)
時はイシカワ達が先制のハッキング攻撃を受ける少し前に戻る。
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素子とベクターは研究所から少し離れた路地裏に居た。美少女と美女の二人である。こんな深夜も人目のつかない場所も不釣り合いである。
そんな二人は目立たないように素早く研究所の敷地境界の塀に近づく。
サラッと周囲を確認して、ベクターが側の街灯にまるで身軽な猿のように駆け上る。ほんの数秒研究所の敷地を確認してすぐに地面に降りると共に再び景色に溶け込む。
モトコの横に近づき、調査結果を端的に共有するベクター。側から見たらシチュエーションはさておき美女二人が自然に話している様にしか見えない。
「電気柵も監視塔も無いわ。赤外線探知器もなし、ついでに警備員も居ない」
「潜入は簡単、私が先に行くよ」
「分かったわ」
それだけのやり取りを行い、潜入を開始する。
ベクターが塀の側のオフィスビルの壁を駆け上がり三角飛びの要領で空中に飛び上がり美しい宙返りで敷地内に降り立つ。続いて一〇〇式義体の少女体型の素子が降り立つ。ベクターの確認の通り警備員も監視設備も無く難なく敷地内へと侵入する事が出来た。
降りると共に二人して素早く二階建ての建物の屋上へとよじ登る。
屋上の空調設備からダクトを通して建屋内へと潜入したのだった。
敷地内を巡回する警備員、防犯カメラ達はいつも通り、特に異常を感じ取ることは無かった。
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「今までの確認でおかしなところは何も無い」
「調査は順調。継続する」
「了解」
素子が無線映像通信を介して指揮中継担当のイシカワへ定時連絡を入れる。
その後、建屋を2階から1階へと定期的に巡回する警備員をやり過ごしながら調査するが特に何も無い。ごく普通のありふれた実験室や事務所があるのみ。置いてある紙ベースのデーター類を確認したが特に不審点は無し。全ての調査結果は素子の勘違いを表していた。
ここまでの室内のチェックで約5分、流石、優秀な二人である。
・・・・
「で? どうする? 気が済んだなら帰る??」
一階の隅にある人気が皆無の機械室に身を隠し調査の結果の確認と進退を決めるミーティングを行う。と言っても今まで怪しいところもなくたいして話すことも無かった。
さして興味なさそうに話すベクターの判断はシロ、これ以上はムダ、速やかに帰りましょう。と言うことらしい。
「・・・・・」
「いや、まだよ。まだ終わってないわ」
「ん? モトコ、どいうこと?」
「念のためこの研究所の建設当時の工事写真を確認したんだけど、建屋の規模に対してかなり深く掘っていたわ」
「まさか、と思ったけどこの機械室の送風機を見て確信を持った」
「市への申請には地上2階建、で登記されていたのは私も確認している。つまり秘密の地下室があると?」
「ああ。この送風ダクトが地下に伸びている」
「秘密の地下施設があるのだろう。ここから入るぞ」
「いいよ。気が済むまで付き合うよ」
ベクターはダルそうに返しているが決してそんなことはなく、モトコについて行く気満々なようだ。この素っ気なさがベクターのデフォルトな訳で、やる気が無ければ無視して相手をしないだろう。
素子がガチャっとハンドルを回してダクトの整備用のハッチを開ける。それと共に風が吹き抜け底の見えない真っ暗なダクトの穴がまるで地獄への入り口の様にも見える。が、躊躇なく素子とベクターは飛び込んで行ったのだった。
──────────
「地下三階くらいね」
モトコの義体の速度センサーと落下時間から簡単に正確な深度が計算される。元民生用人形の義体に軍用ほどの優秀なセンサーは搭載されていないが、基本機能の応用でこの程度は十分計算可能だった。
ダクトの中をハイハイする様に進んで行く二人。
真っ暗なダクト内も人形のアイカメラに搭載された赤外線暗視機能で問題なく見える。二人は特別な義体なので
ちなみに二人のメインウェッポンの"KRISS Vector"には16Lab謹製のPEQである赤外線線レーザーサイトが取り付けてある。作戦能力の低下は全く無い。
「そうだね」
「でもここは狭いよ。ダクトの外から撃たれたら即死。早く出たいわね」
ベクターは狭いダクト内にいる事が嫌な様だ。まあ、それは素子も一緒なわけだが。
「そうね。出れそうなところから出るから、今は我慢しなさい・・・・・・ストップ!」
すぐ目の前の送風口のフィンの隙間から廊下が見える。廊下は明るい様だ。
赤外線モードから可視光モードに変換するが人間が明順応するように目を顰めて覗く。
そこには、アサルトライフルらしき銃を持ち歩く不気味な兵士の団体が見えていた。
その兵士達はまるで50年前のジャパニメーションに出てくるロボット兵器、あるいは宇宙服のような防具をつけていた。
白を基調としたコスプレのような不気味な防具をつけ、青いバイザーのフルフェイス様の防護具を装着した集団。その姿はベクターの持つグリフィンのデーターベースと照合するがどことも合致しない。そう、その結果を見る限り違法製造の人形としか言えない。・・・モトコと初めて会った時の様に。
「ふっ・・・。戦術人形、各国兵士リストに該当無しよ」
思わず近距離通信で吹いてしまったベクター。その珍しいベクターの姿を見て??? を浮かべる素子だが、ベクターは続けてイシカワに詳細調査を依頼するつもりだった。が・・・・
「モトコ! イシカワと通信が繋がらない!」
「何っ!」
機密区域には通信不能にする仕掛けが敷かれていることも珍しくはない。ここもその機密に該当するので通信不能であっても不審ではない。
しかし、秘密の施設に謎の集団の登場と何か偶然が重なりすぎていた。
素子自身も改めて連絡を試みるがやはり結果は変わらず繋がらない。
丁度このタイミングでイシカワ達がハッキング攻撃を受けて通信不能となったところであった。研究施設に何ら通信障害を起こす仕掛けは無いのだが、そんなことを素子たちが知る術はなかった。しかし状況から相手の術中に嵌まっているであろうことは感じていた。
「モトコ、どうする? 引き返すなら今だと思うけど」
どうにも嫌な空気をひしひしと感じているベクターがかなり深刻な、真面目な顔で問うてくる。事実そうなのだろう。ここから一歩進んだら色々な意味で引き返せなくなることが容易に想像できる。
ここが限界。ベクターはそう判断していた。
「・・・・・・」
「調査は継続よ」
しかし、素子の返事はベクターの意見とは相反するものだった。
「モトコっ! ここから先は危険だ」
「私は人形だから最悪やられても生き返る事が出来る。けど貴女は電脳化したサイボーグとはいえ人間。死んだら生き返る事はできないんだよ」
「あら。それが普通じゃない。前の世界のこの仕事ではみんなそれが当たり前よ」
「これくらいの事態は想定内。継続よ」
「・・・・・・」
ベクターにはそれ以上続ける言葉は発せなかった。
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私は何を言っているのか。
"ここから先は危険だ"
私は何故こんな言葉を吐いたのか。
今回の任務の
あり得ない。許容できない。
何故? 何故なんだ? 私は一体何を考えていた?
任務の失敗を心配していた?
いや違う。今までだって成功率が悪い任務もあった。けど指揮官に翻意を促すことなどなかった。
今までは私は
いつから私は狂ったのだ? さっきから何度も自己診断プログラムを回しているが、なんの異常も見つからない。
そんな訳ない。私はおかしい。絶対におかしい。こんなんじゃ任務に差し支える。
無事に帰れたら、ペルシカリア博士に相談して精密診断と修復を行わなければ。
最悪治らなければメンタルの初期化か廃棄処分となるだろう・・・けど、こんな状態の私が存在するよりマシだ。
メンタルが狂うなんて人形失格だ。
怖い。怖いよ。
ダクトの中を素子と共に這いずるベクターは、答えの出ない演算をひたすら繰り返していた。
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「ベクター、この部屋から侵入するぞ」
素子とベクターがダクトを這い進んだ先の、ある部屋に通じる通気口のフィンの隙間から部屋を覗き見る。
内部は何かの治験施設の様だが暗くてよく見えない。少なくとも照明も消え人の気配も感じないことから侵入には最適だ。
「ん・・・ベクター? 大丈夫か?」
「大丈夫。何も問題はない」
返事が鈍かったベクターの返答を聞きながら素子は通気口のフィンを内側から器用に外す。"コトリ"と小さな音を立てて外れたフィンと共に部屋に降り立つ二人。通風口手をかけて前回りする様に降りる二人は全く音を立てることなく地に立つ。
「ふう。窮屈なところからやっと出れたわね」
「そうだね」
そんなやりとりをしながら自身の武器のチェックをし、周囲を見渡す。やはり研究実験施設のような治験施設の様な独特の部屋である。間違いないのは何らかの生体的な研究であろうことは理解できた。
義肢装具とはいえガラテアの研究所である。ここまで来て動物の実験ということはないだろう。その対象は? 推して知るべしという事だ。
PC端末でもあればハックしてここの秘密を暴けるだろう。という事でPCを探すが見つからない。
「さて、どうしたものかしらね」
次の手はどうしようか考えていた時、事態が大きく動く事になる。
「そこに居るのは・・・誰?」
他に誰も居ないと思っていた室内から何者かの声が掛かる。
素子もベクターもその声に身構える。何せ自分達の索敵に引っ掛からなかったのだから。
最大限の警戒心を持って声の方向を確認する。
改めて確認すると、みすぼらしい治験用の簡易ベッドの上に少女が横たわっていた。何故検索に引っ掛からなかったのか分からないが、何らかの特殊なスキルを付与されている、のだろうか。
声の主は彼女のようだった。
ベッドに横たわる少女はかなり体調が悪いだろうことが感じ取れた。ひどく肉体的にまた精神的に辛そうである。そう、人間で言えばかなり辛い病魔に侵され高熱に苛まれている、そんな見た目であった。
かわいらしい肩ほどの長さの黒髪の少女が苦しそうにベッドに横たわっているが・・・服装はまるでボロ切れのような灰色のフード付きのポンチョ様の服を着ている。だが、異様なのは服装ではなかった。
そう。彼女の身体が異様なのだ。灰色のポンチョから出た脚が人のそれではなかった。彼女の脚はまるで黒い木の枝のような無機質な脚、それに機械の、よく見れば鉄血兵の腕が取り付けられていた。少し考えればグリフィンの基地から流された部品だろう事が想像できた。
どうも胴体以外は機械化がなされている様だった。この世界では許されない行為が為されている、そう想像させられた。
彼女から声をかけられてベクターが半身のサブマシンガンを構えるが、素子により素早く静止させられる。
敵対意志が無いことをアピールするとともに少女の出方を伺う。素子自身も少女の扱いを決めかねていた。
しばし見合う時が過ぎた後、素子とベクターにとって想定外の事態が起こった。
苦しそうな表情の中、不審者を見る目つきで素子を見つめる少女の顔が、突然パッと明るくなり・・・・
「ああっ! ・・・お父様はついに・・・ついに完成したのね」
全く想定外の問いかけに、返す言葉を失う素子とベクターだった