Dolls' Frontline STAND ALONE COMPLEX 作:へなころ
「クスクスクス…研究所を見て生きて帰れると思うなよ!」
秘密の研究所を覗き見し、あまつさえネイトにすらなれなかった出来損ないのゴミを唆して連れ出した。
その逃亡した犯人の2人に追いついて見ればグリフィンの戦術人形とはね。
これは益々帰すわけにはいかない。幸いジャミングは効いているからコイツらを始末すればそれでお仕舞い。
研究所の周りをうろついていたヤツらの仲間にはドッペルゾルドナーを送ったから余裕で皆殺し確定。
目の前のゴミ人形を屠るために触手を鞭の様に振う。周囲の建物をお構いなしに触手が振るわれるが衝突した建物はおもちゃの積木のが崩れる様に破壊されていく。それ程の破壊力を持った触手が二体の戦術人形に襲いかかる。
直撃し二体の人形を破壊した。・・・と思ったら綺麗に躱して応射して来るではないか。しかも回避しながら
んっ。ちょっと痛いけどその程度。ほぼノーダメージ。遊びにはちょうどいいわね。
「キャハ! 遊び甲斐のありそうなおもちゃ達ね。クスクスクス…やっぱりこうでないと!」
触手を両腕に増やして二人を追い立ててやる。そう、あえて全力を出さずに。猫が捕えたネズミを玩ぶかのようにじっくりと残虐に追い詰めることが楽しくてしょうがない。
周囲の住民などお構いなしに楽しげに無差別な攻撃を行う少女は残虐極まりないが、彼女に罪悪感など一欠片も持ち合わせていない様に見える。この事から彼女を
さあさあさあさあ~どこまで耐えられるかしら? オーバーヒートするギリギリまで負荷を上げて、心折れるまで踊らせてあげる!
心折れて止まったところで、じわじわと手足から燃やして殺しやるよぉ! キャハっ、キャハハハハハハっ!!
うっすらと恍惚の笑みを浮かべて触手を振るい続ける少女は確かに狂っていた。
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しばらく触手の速度を上げ続けて攻撃をしているが、一向に二体のグリフィン人形達は躱し続けていた。余裕が無くなるどころか心なしか連携や動きが良くなっている。だがそれもそうだろう。ベクターと素子は★5のSMG戦術人形の義体であるうえ、グリフィン内で特級の戦闘能力を有しているからだ。少女が壊し続けてきた★2や★3でかつ最適化も極まっていない人形達とは訳が違う。それはまさに素人とオリンピック選手以上の差がある全く別物と言えるほどの差があるからである。
・・・いい加減、ウザったいわね。
少女の思い通りに事が進まずイラつきから触手の動きも大振りになっていたのかもしれない。攻撃の一瞬の隙をついて勝気な目つきの銀髪ボブカットの女が突っ込んでくる。グリフィンのゴミ屑のクセして生意気な目つき、本当に腹が立つ。けど間も無くあの生意気な目は怯える目に変わるだろう。最高に楽しみね。少し考えが逸れた。銀髪女の動きを注視する。特攻? いや違う。触手の懐に入れば勝てると思ったのね。クスクスクス、凡百の人形ね。意図的にそう思わせる様に仕組んでるのにね。
「キャハッ。触手の先端だけだと思ってたの? 馬鹿ね。全て自由自在よ」
触手の根元側を波の様にうねらせて銀髪女の身体に素早く巻きつけてやる。想定外かつ思いの外素早かったようで銀髪女は避ける間も無く絡め取られてしまった様だ。そして触手に触れた表面を通して銀髪女に強毒のハッキングをかける。民生品はおろか旧世代の戦術人形すらものの数秒で制御プログラムをズタズタに破壊する毒性である。捕らえた野良のI.O.P.製の戦術人形でも試したが数分程度で破壊可能だった。だったが、それではつまらないのでジワジワと精神を侵してやったわ。最後は身体のあちこちから冷却水を垂らし震えながら命乞いをしてたっけ? 恐怖と絶望の表情を貼り付けたまま稼働停止した姿はお気に入りのスナップショットの一つになっている。
意識を捕らえた銀髪女に向けると、苦しそうにもがいている。どうもハッキングの効きがイマイチの様だ。が、そのハッキングに抵抗する為にリソースが費やされている様で先ほどとは違い動きに力強さが無い。少し腹が立つがまあ結果オーライということにしておく。
今回の後始末が完了したらお父様に褒めてもらえるでしょう。そうしたらご褒美にもっと強い毒を授けてもらいましょう。
「もういいわ。クスクスクス。わかったならとっとと死んで!」
銀髪女に巻きつけた触手に万力の様に力を込めると"ミシミシ"と女の義体があげる悲鳴が触手を伝って響いてくる。
「クスクスクス。さようなら!」
さらに少女が触手に力を加えていくと、色々なモノが砕け散る音と共に銀髪女が断末魔の叫びをあげ、果汁を圧搾されるフルーツの如く全身から擬似体液やオイルが吹き出る。ボディ、コア共に触手により圧壊粉砕され稼働停止、すなわち戦術人形にとっての死に至ったと言うことだ。
だが少女はさらに加える力を増していく。締め殺されグッタリとした戦術人形だった残骸はその強大な力に耐えきれず四肢胴体が千切れ飛びバラバラになってしまう。搾られた体液が溜まる地面に散らばった人形の残骸はまるでバラバラ殺人の残虐な現場を呈している。少なくとも銀髪女がこの場で二度と稼働しないことは確実だった。
「満足とは程遠いけど、ゴミにしては十分頑張ったじゃない。クスクスクス。グリフィンが出来損ないの集まりって、本当だったのね。がっかりだわ!」
一匹始末し先程までの苛つきを吹き飛ばした黒ずくめの少女は呟きながら、ゆっくりともう一匹の紫ボブカットの方へとゆっくりと振り返る。
少女が目にしたのは、
つまんないわね。仲間が小間切れにされた程度で心折れるなんてね。
手間が省けたならそれはそれでいいか、と両腕の触手をヘタリ込んでいる人形へ叩きつけて殺してやる。
刺突に叩きつけ、両腕による暴力を徹底的に振るう。相手の戦意が喪失していようがお構いなしに徹底的に攻撃を加える。
念には念を入れて数回自慢の触手を叩きつけてやると、紫ボブカット人形がいた場所に小さなクレーターができ、その攻撃を受けた人形は破片すら残らず粉砕されていた。
「キャハっ! キャハハハハハハハハハハハっ!!!」
「あんっ・・・んっ・・・・き、気持ちいいいいっ! ・・・んっ」
お父様の希望通り研究所を見たゴミを始末し、秘密を守ったわ。
ミッションをコンプリートしたと認識した少女の躰に強烈な快感が迸る。恍惚の表情を浮かべ口の端から涎を垂らし、脚がガクガクと震えている。少女は性的な絶頂に至っていた。
サイボーグに改造された少女は下腹部から下は彼女を作り出したものの手で全て機械に置き換えられていた。女性として子を宿す器官や異性と交わるための器官などの戦闘に不要な物は全て撤去されている。誤解なく書くとすれば彼女の"お父様"の技量を持ってすればそれらを機械化し搭載する事は可能だろう。しかし、意図的に撤去されているうえ、自身の命令を達成することで性的絶頂を与える躰にしているのだ。狂気の沙汰とも言えるが彼女を人として見ずに意思を持った道具として見なせばその所業を理解できなくも無いだろう。つまり"お父様"としては使い捨ての道具と認識している。という事なのだろう。その考えに至らぬ様に洗脳されている少女は、哀れなのか幸せなのかどちらなのだろうか?
さて、落ち着いたところで引き上げよう。
ああ、
え!? 邪魔なゴミ??
そんなものあったかしら?
思考したのは自分の筈だが、何のことだかよく分からず、クビを曲げて不思議そうに右手の触手を見た。
そこには、目の前には、自身の触手が巻き付けられた先程潰しバラバラにした筈の銀髪女が居るではないか!
何故コイツがいるのか意味が分からない。混乱したのかほんの僅か思わず止まってしまった。
「モトコに、いい夢見させてもらってイっちゃったみたいね。ふふっ、ちょっと焼けちゃうわね」
「"お父様"がどこの誰だか聞きたいけど・・・まあいいや。お前は私と地獄行きだよ」
淡々と気だるそうに話す銀髪女の口から"お父様"の言葉が出たところで我に帰る。
コイツらまさか私を逆にハックして・・・幻覚を見せて・・・・馬鹿にしてっっ! 。そう思考した所で銀髪女の右手にあるものが目に入った。それは、安全ピンとセーフティーレバーが外れたいつ爆発してもおかしくない二つのグレネードだった。
「ひっ・・・・」
銀髪女の狂気の行動に思わず恐怖を感じ悲鳴が漏れる。と同時に本能的に後ずさろうとしたところで女が空いた手で胸ぐらを掴み後ずさった自分を引っ張り引き寄せられてしまう。そして女の身体と自身の身体が密着する時、そこに二つのグレネードが差し込まれる。
「地獄行きだって言ったろ? ・・・モトコはやらせないよ」
「こ、コイツ・・・・離せぇぇぇ」
逃げられないことを悟った少女は銀髪女を殺しにかかる。締め殺して逃げる。そう考えて行動に移そうとした時、その瞬間、少女の視界が真っ赤な炎に包まれていた。
(モトコ・・・コイツは抑えるから、早く・・・)
「ベクタ──ぁぁぁっ」
最後まで続かなかった通信に対して、素子は思わずバディーの名を叫んでいた。
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ベクターが触手に捕えられ破壊される。その直前にモトコはセカンダリーレベルからベクター本体にアクセスして、ベクターへとハッキングを掛けるプログラムを遡上していく。
少女の触手から彼女のボディを通り電脳へとアクセスする。電子戦攻撃を受ける事を想定していなかったのか大した防壁もない。得てして攻撃に自信のある者は防御が弱かったりする。防壁があるとどうしても攻撃の邪魔になるからだ。しかし素子に言わせればそんなのは駆け出しのハッカーとさして変わらない。本当の強者は攻撃も防御も完璧だ。何が言いたいかと言えば、この少女の電子戦能力は駆け出しレベルだということだ。
あっさり電脳内に侵入した素子は少女の眼を奪い、思考中枢に電脳ドラッグを改造したプログラムを注入する。そう、ごく自然な幻覚を見せるプログラムを、である。
その作用により少女はベクターと素子を思い通りに殺す夢を見させられることとなる。勝利への自信に溢れる少女はその理想的な展開に何ら疑いを持つことすらなく、まんまと騙され自身にとって都合のいい妄想を自身の電脳へと垂れ流し続ける操り人形へと成り果ててしまう。
電子戦に於いては、素子にパーフェクトゲームで完敗したと言えよう。
しかし、確かに素子は電子戦には勝利したのだが、黒ずくめの少女がフリーズした隙をついてベクターが特攻を掛けてしまう。素子としても止めようとはしたが、止めることは出来なかった。
ベクターと少女に挟まれた二発の
「ベクタ──ぁぁぁっ」
素子が叫んだ時には、弾き飛ばされたベクターは、地面にうつ伏せに倒れメラメラと燃えている。助かる可能性は・・・・低いだろう。
一方、相手の少女は・・・・?
素子が視線を向けると火だるまになった少女が悲鳴を上げ、自身を焼く火を消すべく自身地面を転がっていた。
「ぎ、ギイイイイイイイィィィィ」
「熱・・・熱いいいいいい。熱い熱い熱イイィイィイイィイイイイィイイ」
少女も炎に包まれ生まれてこの方感じたことのない苦痛、他者に一方的に与えてきた感覚をその身に一心に受けている。
今なら撤退可能。そう素子が判断するが・・・・・
”ドガッツ”
突然、何か鋭い連続攻撃が予想外に飛んでくるが、素子は素早い立体起動で躱していく。
連続攻撃を躱し、着地した素子が見た攻撃主は・・・・火だるまになった少女とうり二つ少女だった。
いつの間にか地面でのたうち回る少女の横に立っていた。黒いローブのような服、体形ともに火だるまの少女にうり二つ。違うのは腰の帯の色が銀色であることだった。
(チツ。もう一匹いたとは・・・)
正直、素子としてはかなり苦しい状況に追い詰められていた。金帯の少女一人でてこずっていたところをベクターを犠牲になんとか抑え込んだわけで。それなのにもう一人追加とは・・・・
このままでは勝てる要素がないが、幸いなことに次の攻撃がこないことから察して、どうやらいま交戦する気はあまりなさそうである。
「ニモゲンお姉さま・・・・」
「マーキュラスぅうううう・・・・あいつを・・・アイツを殺せええぇぇぇええええ」
ようやく火が消えたニモゲンと呼ばれた少女がよろよろと立ち上がるが無惨な状態に変貌していた。艶やかな黒髪と服はほぼ焼けおち両腕の触手も切断されている、そして顔を含む生体部品は酷く焼け爛れている。どこか怪しげで儚げだった美少女の顔は完全に化け物の様に変わり果てていた。
自身を焼いた素子達に対する憎悪が募りに募り、殺すことしか頭に無いらしい。
「姉様、残念ですが
「うるさい! 殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ殺せよおおぉおぉぉおおぉ」
「・・・・・・」
上司でもあるあのお方の言うことを違える事は何があっても許されない。恐らくニモゲン姉様は錯乱しているのだろう。マーキュラスがそう判断した瞬間、ニモゲンを抱えてその場を飛び退く。飛び退くと同時にその場にマシンガンとアサルトライフルの正確な斉射と三発の榴弾が飛んでくる。銃弾により巻き上げられる瓦礫と"ドゴーン"という榴弾の着弾音が響き渡る。
「少佐! 大丈夫か!」
「モトコ! 助けにきたよ」
バトーとルイスが少し離れた所から大声で声をかけてくる。ただならぬ雰囲気を感じ取ってくれたのだろう。横のFALも大きく頷いている。FALは(酒さえ飲まなければ)大声を出して騒ぐタイプでは無いからまあそんな反応なのだろう。決して興味がないとかそう言うわけでは無い。
3人は当てる気のある牽制のすぐ後に、素子の元へ駆け寄る。
「誰しも誤りはする、しかしそれを主張し続けるのは愚か者だけ。ですわ」
「撤退しますわ、お姉様」
「・・・・・・ちっ」
「それに、
マーキュラスがそう言うと、袖の下からボールの様なモノを投げ捨てる。素子達との中間に転がるそれは第五部隊長のグローザの頭部だったものだった。ガラクタに成り果てた生首の顔は傷だらけで開いたままの目に光はなく明らかに稼働停止していると理解させられる。そして後頭部の骨格には大きな穴が空いている。恐らくだが何かを直接電脳に刺してアクセスし強制的に情報を吸い出したのだろう。
「グローザ・・・」
誰かの呟きが聞こえる。第五部隊はコータの基地内では強い部隊だし特に夜戦に関しては最強クラスである。そこの隊長が無惨な姿となっているのだ。隊は目の前の銀帯の少女に全滅させられたと考えるしか無い。いたずらに攻めず警戒体制をとる。
「では皆さまご機嫌よう」
「次に会ったら貴様ら全員、バラバラに引き裂いて、粉々に叩き潰してやるッ!」
マーキュラスが未だ狂ったように挑発を続けるニモゲンを抱えて、空いた方の触手を振るう。
素子たちを攻撃をするつもりは無いその触手は周囲の建物をそこで生活する者と共に破壊して瓦礫を舞い上がらせる。
舞い上がった粉塵が落ち着いた時、そこに二人の少女の姿は無くなっていた。
──────────
「ふー、引いてくれたか」
戦闘は終了したが、ゆっくりは出来ない。この街の防衛部隊が動きだしているからだ。聞こえてくる音から既にこちらに向かってきているだろうことがわかる。グリフィンの治める街とは言え極秘任務中の為、この街の警備人形に見つかるわけにはいかない。
「バトー、ベクターを回収しろ」
そう言うと素子はグローザの頭部を拾う
「お? ベクターのやつ運がいい。まだギリギリ稼働してるぜ」
「少佐、この触手の残骸はどうします?」
ベクターの胴体に巻き付いた触手がたまたまコアへの致命的なダメージを防いだようだった。
「・・・・・」
「一部持ち帰るぞ」
少し考えて、ペルシカへの土産になるならとサンプルとして持ち帰る。
「よし! 撤収するぞ!」
潜入調査の筈が、想定外の激しい戦闘となった厳しい任務。地平の先に光が見え始め長かった夜が間も無く明けようとしていた。
ニモゲンさん、マーキュラスさん達でした。
・9課
ガラテアグループの秘密研究所をつき止め、謎の白色の兵士達とサイボーグの少女と交戦
人体実験を受けた少女の証人は確保するも脱出中に殺害される
相手のトップのコードネームは"お父様"らしい
今後はガラテアに対する調査を強く進める予定?
・パラデウス(ガラテアを隠れ蓑にしている)
秘密研究所を暴かれるも、拐われた証人の殺害には成功。ただし潜入者は取り逃す
グローザから襲撃者の情報を採取成功、グリフィンのヤシマ指揮官の名前は割られた。
異世界から来た全身義体の兵士(モトコ、バトー)の存在を確認
なお、全て"お父様"に伝わっている模様
・戦場になった街のグリフィン基地
指揮官はあまりやる気のないサラリーマンの文官系指揮官
今回の戦闘はテロと断定して副官のMP5に丸投げ
出世欲、金銭欲が強く手柄は取りたいが責任は取りたくないため誰に今回の被害の責任を押し付けるか思案中
テロ犯人、ガラテア、副官のMP5、誰でもいいようだ。
ガラテアのグレイ医師には下心を持っていた模様