Dolls' Frontline STAND ALONE COMPLEX   作:へなころ

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時間がかかった割に進みませんでした。すみません。

アリス指揮官のところのアサルトライフル部隊の隊長さん登場です。
一応、キャラの説明wikiを貼ります。
Zas M21さんです。星5の優秀なキャラです。
https://wikiwiki.jp/dolls-fl/Zas%20M21


8.アリス

コータ達がアリスの尻拭い、と言う名目でモトコの仲間を回収する計画だ。モトコ達の情報が広がるのは正直よくないからである。

 

「アリス、会社からの命令と作戦の内容と結果を共有したい」

コータのその言葉にアリス指揮官が顔を顰める。それもそうだろう、自身の判断と失敗を開示しろと言われているわけだから。

 

「・・・・分かったわ。コータに頼む手前ね。特別よ」

少し考えたアリスは抵抗も気負いもなく話しをはじめるが、これは彼女の優秀さを表している。

グリフィンの前線指揮官はメンツも大切にしなければやっていけない仕事であるが、折れるところは折れる必要がある、非常にバランスが求められる仕事である。これが肌で理解できない指揮官は・・・・出世が出来ないのは運がいい方で大方この世から御退場させられる事になる。

彼女は若いながら理解できていた。

 

「作戦本部からの指示書はこれ。闇市を社の管理下に収めろ。との内容ね」

そう言うと共に指示書を開示するアリス

 

「なるほどね。それでアリスの立てていた作戦も聞きたい」

コータはさらに踏み込んで聞いていく。

 

「・・・・闇市を牛耳る組織の幹部たちの拘束。抵抗する場合は射殺を戦術人形達に命じていたわね」

あどけなくコータに話していた姿とは打って変わり、冷徹な目で話すアリス。

 

「なるほどね・・・・」

理解した顔をするコータと素子。アリスの話ぶりから瞬時に状況を理解した二人も優秀だった。

アリスは拘束と説明したが実際は違うのだろう。

恐らくは闇市を牛耳る連中を拘束した上での処刑つまり粛清、それが彼女の狙いだったのだろう。

だがこの判断は間違っているものでもない。何故なら過去の黒い繋がりを全て白紙に戻すチャンスだからだ。

 

グリフィンが前線基地を作るにあたり、どうしても現地に違法に住む底辺の人間をまとめる必要がある。不要であれば皆殺しにしても構わないのだが経済圏や居住地拡大を考えれば利用しない手はない。進出するグリフィン基地の能力は進出当初は高くないため現地の非合法組織を利用せざるを得ない。当然現地組織も自身が生残るためにグリフィンに癒着しようとする。指揮官個人への上納金や接待などなどあの手この手で生き残りを賭ける。定期的に転勤して赴任する指揮官を骨抜きにして寄生する事で生き残ろうとする。強いものに取り入る、それがこの滅び行く世界で生き残る肝なのだろう。

その様な状況でアリスはこの機に乗じて全て白紙に戻す事を選択した。会社組織的な判断としては決して間違った選択ではない。どこかで過去からの膿を出し切り真っ当に変える必要があるからだ。

もちろん、うまく行ってこその話ではあるのは間違いないが。

 

「・・・・・・・・・」

「アリスの判断は妥当だね。しかし、戦術人形がやられたのは信じ難いな。僕達に戦闘の映像をみさせてくれないか」

 

「分かったわ」

そう答えるとアリスは戦術人形の作戦中の視覚記録映像を共有した。

 

ーーーーーーー

ーーーー

 

都市の入り口の場面から映像は始まる。

塀に囲まれた都市の入り口の門が閉じられ、有事を想定した防衛用の銃座に数名の民兵らしき男が構えているが、その動きから練度はそれほど高くなさそうに見える。

 

「武器を捨てて投稿しなさい」

門前に展開した戦術人形部隊の隊長らしき人物が拡声器で投稿を促している。

可愛らしい女の子たちが似つかわしくない銃をもち警告している姿は、戦術人形を知らぬものが見たら不気味に見えるだろう。

しかし、女の子の声で警告を発するが相手からは先制の銃撃が帰ってくる。数名の敵兵が先走り射撃を開始してしまった様だ。

 

「クソッ、やられてたまるかよ。撃て撃て!」

「化け物ロボ共め。スクラップになっちまえ」

若い民兵が自棄っぱちとなりAKを乱射し、それにつられるように他の兵士たちも撃ち初めて戦闘が開始される。

民兵からの攻撃で何名かの戦術人形に命中したようだが大きな影響はない様である。

 

「愚かな・・・。全員正当防衛射撃を開始」

隊長のZas M21は冷静に、そして冷徹に作戦開始の合図を送る。それと同時に戦術人形部隊から応射が開始される。

応射開始から間も無く民兵達は次々と倒れていく。民兵達も決して素人なわけではない。有利なポジションから射撃を加えるが僅かに晒している体を正確な射撃で撃ち抜かれる。適正に訓練された戦術人形に人間が勝つなど土台無茶な事である。

数分の戦闘であっという間に民兵達は黙らされる。残るのはそこらから響く呻き声だけである。

 

あらかた片付けた所でZasが半身である銃の銃身の下に取り付けたグレネードを門へ撃ち込む。

「駄目だ・・・退避だ!後退しろ!」

門の向こうから悲痛な叫び声が聞こえたと同時に、発射されたグレネードが着弾し門諸共隠れていた民兵達を吹き飛ばす。

 

「では、街に入り敵の司令部を制圧しますよ」

部隊員達へそう言うと、スタスタと破壊した門を越えていく。歩みを進めるZasは呻き声を上げて倒れる民兵の頭部を撃ち抜きその命を淡々と刈り取っていく。眉一つ動かさずまるで感情のない人形の様に。

 

ーーーーーー

「ここも行き止まり・・・・戻って迂回します」

 

蜘蛛の子を散らす様に混乱していた民兵達を追い立てながらZas達戦術人形は進むが、すぐに異様な雰囲気へと変わる。街の中の主要な道路が彼方此方で封鎖されているのだ。廃車、瓦礫、フェンスなどあらゆる物で封鎖されている。一度強硬突破しようとしたがクレイモアが仕掛けられているのがわかり突破は断念して迂回路を探すしかなかった。

 

(狩る側から、いつのまにか狩られる側になっている?)

Zasは常に狙われているような嫌な感覚が肌に纏わりついている。早く敵司令部に辿り着き任務を終えたい。そんな焦りが湧いた丁度そんな時に左右の建物から銃撃を受ける。

 

「くっ、しつこい!応戦しろ!」

Zasはまた民兵かと思い込んで油断をしていた。繰り返される民兵との戦闘に慣らされていたのだ。それが相手の作戦であるとも知らずに。

雑になった対応の隙をつく様に真後ろ、6時の方向から猛烈な射撃を受ける。7.62x51mm NATO弾を用いたチェーンガンによる正確な射撃だった。光学迷彩を解いたタチコマが右腕に搭載されたガンによりフルオート射撃を加えたのだ。

 

「マンティコア型多脚戦車?バカな・・・いや全員退避!」

Zasが指示を出すが間に合わず数体の戦術人形が悲鳴をあげる間も無くスクラップへと変わる。

遮蔽物に隠れる事が叶った人形が反撃しようとした所で、敵戦車が姿を消す。

 

「なに!?戦車が光学迷彩を装備しているだと!?」

想定外の事態に人形達の動きが止まる。それが致命的な隙を作る。

反対の前方12時の方向に色違いの戦車が姿を現し、50mm榴弾砲を戦術人形達が隠れた遮蔽物裏に撃ち込む。

残ったZas達の部隊員は榴弾の直撃により粉砕され全滅した。

 

ーーーー

ーーーーーーー

 

アリスが共有した映像はZasが破壊された所で止まる。

映像を見ていたコータ達はしばらく声を出せなくなっていた。敵戦車の戦闘力だけでなく罠へと誘い込む見事な作戦である。民兵の命をベットして敵を油断させる気狂いじみた作戦であるが、だからこそ戦術人形達を倒すことができたとも言える。

 

「これは・・・見事な戦術だね」

「クサナギさん、あの戦車は・・・こんな戦術立案することが出来るのですか」

横で映像を注視していたモトコに問いかける。彼女は顎に手を当て彼女なりに何か考えている様だった。

 

「タチコマ・・・あの戦車のAIには少なくとも指揮能力はない。今回の作戦は別の・・・優秀な人間が立てたと思うわ」

 

「アリス、あの街の民兵達はそんなに高い能力を持っていたのかな?」

モニタの向こうのアリスに向き直る問いかける

 

「無いわね。数回会ったことはあるけど、マフィア崩れと言ったところかしら」

「こんな大規模な集団戦の作戦立案や指揮などできないはずよ」

出来るなら簡単に制圧しようなど立案しないわ。と付け加える。

 

「一番あり得る可能性としては・・・私たちの仲間がいる可能性が高い。タチコマを指揮できる事を考えてもそう考えるのが妥当よ」

モトコが小声で伝えてくる。念のためアリスに聞こえない様に気を遣っているのだろう。

しかし、そうか。ならば・・・

 

 

「アリス指揮官」

 

「ん?畏まって何かしら?」

 

「民兵たちの皆殺しはなしだ。連中は制圧してアリスの配下に組み入れる。それでいいかい?」

 

「・・・ここまできたら社の指示範囲で収まるならなんでも構わない。やり方は任せるわ。どっちみち私の部隊は被害が大きく期日内での作戦の完遂は不可能だしね。その代わり輸送や物資の提供はさせてもらうわ」

戦闘は出来ないとはいえ最低限の協力を行い、共同作戦の体に持っていくあたりアリスの強かさが伺える。しかし逆に言えばコータの提案を大筋飲まざるを得ないとも言える。本来であれば民兵達を無力化したかった所だろう。ここまできたらそうも言っていられない。作戦を完遂できるだけでも御の字だ。コータとしてもタチコマ達の回収をしたいところでお互いの都合としても収まりがいい。

 

「明日、少人数の精鋭で相手の司令部に潜入し、相手のボスと話をつける」

「人員はベクターとモトコの二名だ。頼めるかな?」

「アリスからは民兵達の幹部の顔写真を提供してほしい」

 

「・・・指揮官の頼みなら仕方ないわね」

「問題ない。ベクター、よろしく」

「ふん・・・」

嫌々な雰囲気を出すベクターに軽く笑顔を作ったモトコに求められた握手を、これまた嫌々握るベクター。

相性が悪い様に見えるが、そうでもないと思える。まあ、作戦は大丈夫だろう。

 

「民兵達の写真は共有したわ」

アリスの声をうけ写真をモニタに映す。

 

「うん?珍しいな。女性のボスか」

おさげの様に金髪を纏めた、隻眼の女が映し出される。見た目はアラフォー位の年齢か。

 

「そうね、お陰で前任、前々任の指揮官は大分骨抜きにされた様ね」

ちょっと軽蔑した様な口調でどうでもよさそうにいうアリス。

どうやら今までの男指揮官は女ボスから下の接待も受けていた様だった。

 

 

「では、明日の朝出立だ。アリス、人員輸送は頼む」

「分かったわ。コータよろしくね」

 

この後、副官のG36やアリスのとこの副官も交えて作戦の詰めを行い、明日に備えて早々に解散とした。

 

ーーーーーーー

「ふー、やっと一息だ」

 

自室でお茶を淹れてまったりとした時間を過ごしながら課題を整理する。

まずはモトコと戦友の集合を助けて彼女の信頼を得る事が必要だろう。彼女から未知の技術をどれだけ引き出せるかだ。

後、大きいのが社長への説明だ。I.O.P.への協力を仰ぐ関係から隠し通すのは無理だ。

しかし、社長は一筋縄ではいかない。下手したら処刑されるリスクがある。

まだまだ障害は多い。多いが人類生存のチャンスなのは間違いない。

 

(僕ならできる。必ず人類を救ってみせるさ)

決意を新たに早めにベッドに滑り込むのだった。

 




Zas相手に乱射してしまったシーンは、セカンドシーズンの出島で橋を落とす戦闘時に先制攻撃をしてしまった招慰難民の民兵をイメージしてみました。

民兵のボスは、S.A.Cの19話のクルツコワまんまのイメージとしています。
S.A.Cの女性の敵キャラ大好きなんですよね。フェムとかサノーも好きなんで、チャンスがあればそんなイメージのキャラを出したいですね。

次はベクターと素子のデュオによる潜入ですかね?でもその前に一息入れる予定です。
あんまり上手く書ける気がしないけど・・・・頑張ります(泣)

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