転生したら女神様!?〜退屈だから子育てやらなんやらします〜目指せ世界最強お母さん! 作:参勤交代02
「では、レイン、アリア。行きます」
「行ってらっしゃい母さん」
「行ってらっしゃ〜い」
翌日の昼再び王都に行くために私は家を出ました。ちゃんと三人で食事が摂れるように夕飯の時間には帰ってこようと思います。昨日、私は改めて三人で食卓を囲むことの幸福、そして二人の大切さを知ることが出来ました。
誰にもあの二人は渡しません.............いや、まぁレインやアリアが好きな人や恋人が出来た時はさすがに考えますよ、しっかりした子でなかったら認めませんが。
「その時がきたらちゃんと祝福して送り出してあげましょう。少し寂しい気がしますが......。さて、王都に転移しましょうか」
いつも通り王都の近くに転移し入口のところまで歩き検問を受けます。今は冒険者カードがあるのでそこまで長いこと待つことはなくすぐに王都に入ります。
いつも転移魔法でこちらに来てますがこれって普通ではないですよね、少し怪しいですかね。ガルレール学園は国中から人が来るだけあって確か全寮制だったはずです。
二人と離れたくないから王都で暮らしましょうか.....いや難しいですね。なんというか身の危険を感じます。
「二人が学園生活を楽しんでくれたらそれでいいですね」
そこからは特になにもなく気づけば冒険者ギルドの前にいました。フードをよく被り扉を開けて中に入ります。中はお昼の時間だけあって以前来た時よりも多くの人がおり、私が入るとほぼ全員がこちらに視線を向けてきて仲間の人たちとなにやら話し始めました。
どうやらすでに昨日の話は広まってしまったようですね、さすが冒険者情報の伝達が早いです。相変わらず胸への視線もありますが。
『あいつがそうだよあの........』『え!あれがブラックミノタウロスの.....』『普通の女じゃねぇか......』
そんな冒険者たちの横を通り過ぎてまっすぐ受付のところへ向かいます。受付についてソフィさんを探そうとすると声が掛けられました。
「シェリアさん!こちらです!お待ちしてました!!」
声の主はソフィさんだったようで、わざわざ手を振りながら大きな声で私を呼んできました。まるで私が来るのを分かっていたようでした。
(ギルドに入ったときからこちらを見ていたんですかね?)
「こんにちはソフィさん、随分と元気ですね?」
「えへへ、すみませんついテンションが....昨日の話の続きをするために来てくれたのですよね?」
「はい、今日はそのつもりで来ました。子どもたちにも言ってきたので大丈夫です。ここでそのままお話するのですか、それとも場所を変えますか?」
「あ、その事なんですが今日はこの奥に行ってもらいギルドマスターと話していただきます。そこでこれからのシェリアさんについてお話なさると思います」
ギルドマスター....文字通りギルドのトップですがそんな人と話をするのですか。ギルドマスターは基本元高ランクの冒険者がなれる役職です、元冒険者としても今回の件は無視できないようですね。
「ギルドマスターですか....分かりました。では、案内をお願いできますか?」
「はい、もちろんです。そちらにあるカウンターからこちらに来てもらい、私についてきて下さい」
ソフィさんに言われた通り受付の横にあるカウンターからソフィさんたちのいる中へ入り、彼女の後ろをついて行きます。どうやらギルドマスターの部屋は一階のこの奥にあるようです。もっと二階とかにあると思っていたんですがね。
「ソフィさん王都のギルドマスターはどんな方なんですか?そういったことは知らなくて......」
ふと気になったことをソフィさんに聞いてみます。どんな方なんでしょう、そもそも男性か女性かもわかりません。ギルドマスターになるぐらいなんですから真面目な方なんでしょうか、それとも冒険者らしく豪快な方なのでしょうか。色々と頭の中で考えているとソフィさんが教えてくれました。
「アントンさんですか?そうですねぇ基本真面目ですけど少しガサツな人ですかね。元Aランクの冒険者で当時は豪剣のアントンって呼ばれるほどの実力者だったらしいですよ」
異名からしてかなり豪快そうな方ですね、気難しい方よりは話しやすそうなので良かったです。ギルドマスターとは是非友好的な関係を築きたいですね。
「そうなんですか、それはお会いするのが楽しみです」
その話が終わると、とても豪華でいかにも機関のトップがいるという雰囲気がある部屋につきました。緊張しているわけではないですがやはり最初の印象は大事です。気を引き締めていきましょう。
「ここがギルドマスターがいる部屋になります。まず私が中に入りますのでそれに続いて入ってきて下さい」
私が了解の意味を込めてうなずくとソフィさんは扉をノックして部屋の中の主に声を掛けました。
コンコン「アントンさん、ソフィです。昨日言ったシェリアさんをお連れしました」
「おっ、そうか分かった、入っていいぞ」
中から男性の声がし、ソフィさんが扉を開けて中に入ったので私も続いて中に入りました。
部屋は正面にテーブルとその左右にソファが置いてあり、その奥に大きな執務机に座っている大柄の男性がいました。
「ソフィご苦労、そしてお前があのブラックミノタウロスを倒したやつだな。俺はここのギルドマスターをやっているアントンだ、よろしく頼む」
そう言ってギルドマスター、アントンさんは私に挨拶をしてきました。
アントンさんはとても大きく、二メートル近い身長にギルドマスターの制服を押し上げる筋肉とまるで熊のような肉体をしており、短い茶髪を逆立て頬には傷跡が残っています。そんなアントンさんに一瞬呆けてしまいましたがすぐに立ち直り挨拶を返します。
「初めまして、先日ここで冒険者に登録をしたシェリアと申します。本日は昨日の話をするためにこちらに来ました」
「あぁそれについては昨日少し聞いたよ、今日はわざわざすまないな早速話をしよう。そこのソファに座ってくれ」
アントンさんに言われた通りソファに座ると、アントンさんはもう一つソファへそして一緒に来たソフィさんはアントンさんの隣に座りました。
「あ、話し合いをするのにフードでは失礼ですよね。すみません今取ります」
「ん?あぁ、それなら無理に取らなくてもいいぞ。冒険者にも色々と事情があるやつがいる......から......な.....」
「え.......」
話し合いをするのにフードを被ったままでは失礼だと思い、二人の前で被っていたフードを取ると目の前の二人は固まってしまいました。
「?どうかしましたか、アントンさん、ソフィさん?」
話掛けられた二人はハッとした顔になった後、アントンさんが私の顔を見てため息をつきながら言ってきます。
「はぁ.....お前がフードを被っている理由はその顔を隠して無駄な面倒を避けるためか?」
「えぇ、そうです。絡まれたりと大変なのでフードで隠してます」
「なるほどな、その顔じゃあ納得だな。これからもその方が良いと俺も思う」
「シェリアさん、綺麗.....」
と、そんなことがあってやっと本題に入ります。今回話すことは他でもない私がブラックミノタウロスを倒してしまったことについてです。これは昨日も少し話したことですがもう少し詳しく知りたいということで話します。
「つまり、依頼を受けてフォレストウルフを狩っている途中でデカい気配を感じたから見に行ったらそれがブラックミノタウロスで、そんでそのまま倒して戻ってきた。そういうことか?」
「はい、概ねその通りです」
私がブラックミノタウロスを倒すまでの経緯を話すとアントンさんはこめかみを抑えて天井に顔を向けた後こちらを見て呆れたような声で言ってきました。
「なんともまぁ規格外なやつだな、気配を感じてそこに向かうのもそうだし挙句の果てにブラックミノタウロスを一人で討伐とは.....聞いているかもしれないがブラックミノタウロスはAランクの冒険者パーティーが戦うような魔物だぞ?」
「えぇ、知っています。ソフィさんから聞きました」
「そうだよな.....」
アントンさん先ほどとは違い右手の親指と人差し指を顎にあて一層難しい顔をしてなにやらソフィさんと考え始めました。
「この話が事実ならこいつの実力はすでにAランク相当....下に置いておくのはもったいない。しかし登録したばかりのやつをいきなり上げるのは......」
「ですがこれほどの実力者はなかなかいませんよ....」
どうやら私の冒険者ランクをどうするのか考えていたようです。色々考えているようですが残念ながら今の私はそこまで冒険者ランクを上げたいとは思っていません。そこはちゃんと言っとかないとですね。
「あの、アントンさんいいですか?」
「あ、あぁすまん、なんだ?」
「色々と考えているようですがすみません。今の私はそこまで冒険者ランクを上げるつもりはないんです」
「!そうなのか?なぜだ、冒険者なら当然ランクを上げたいだろう?」
「今は子どもたちの面倒を見るので忙しいんです。なのであまり冒険者自体を出来ないので上げる気はないんです」
そうです、今の私はレインとアリアを育て学園に入学させるという大事な仕事があります。空き時間くらいしか依頼なんて出来ません。それならランクなんて上げない方がいいです。
「子どもがいるのか、確かにそれじゃあ厳しいな.....しかしなにも無いというのも問題だからせめてCランクには上げてもらうぞ」
「えぇ、それくらいならあまり他の冒険者の反感も買うこともないでしょうし大丈夫ですよ」
結果的に私はCランクに上がるという事で話し合いは終わりました。その後は、倒したブラックミノタウロスの素材を売ってほしいと言われたのでアイテム袋ごとそれを渡し、渡された二人がひどく驚いたりなどありましたが無事終わりました。
「ほんとに子どもがいるのか?改めてお前を見るととてもそうとは思えんぞ...」
「私も昨日そう思いました。」
話し合いが終わったので部屋から出ようと再びフードを被るとアントンさんとソフィさんがそう言ってきます。確かにこの見た目で子どもがいるようには見えませんよね.....
「本当にいますよ、息子と娘が......まぁ、拾い子なんですけどね」
「..…っそうだったのか、それは大変だな」
「すみません、シェリアさん.....」
二人が少し気まずそうに私に言ってきますがそんな気にすることではないです。なぜなら....…
「気にしないで下さい、私はあの子たちを心から愛していますし、あの子たちも私を母と笑って呼んでくれますから」
そう、私は心の底からあの子たちを愛しているのですから他人がどう思おうと関係ありません。
「ふっ...…そうか。いらねぇ心配だったみたいだな」
「シェリアさんがお母さんなんて、その二人は幸せ者ですね♪」
「ふふっ、ありがとうございます」
笑ってそう言ってくれる二人に感謝しつつギルドマスターの部屋を出て、そのまま冒険者ギルドも出ます。ギルドを出ると辺りはすでに日が傾き夕方になっていました。すぐ帰って夕飯の準備をしましょう。二人はちゃんとお利口にしていますかね。
「では、帰りましょうか愛するわが子が待つ家へ!」