転生したら女神様!?〜退屈だから子育てやらなんやらします〜目指せ世界最強お母さん!   作:参勤交代02

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第三十三話 王宮へ行く

 馬車に乗り、王宮に着くまでの道のりで私は四人から学園での生活について話を聞いていました。ちなみに馬車の中ということと二人の友達という事でフードは取っています。

 

「それでね、学園は教室だけじゃなくて寮もすごく綺麗なんだよ!」

 

「出てくるご飯も美味しいしね」

 

「学園で働いている料理人は、全員王都でも腕利きの方たちなのよね」

 

「たまに家で出てくるものよりも美味いと思う時があるくらいだしな」

 

「そうなんですね、やはり国で運営している学園はそういったもころも完璧なのですね.......ってどうしたんですか、アリア?」

 

 学園の設備や食事などについてを聞き、私がそれに相槌をしていると、隣に座っていたアリアが何故か頬を膨らませていました。私以外の三人もどうしてアリアがそんなことをしているのか分からず、首を傾げていました。

 私が声をかけるとアリアは少し小さな声で呟くように言いました。

 

「たしかに食堂のご飯は美味しいけど、お母さんの料理の方が美味しいもん....学園に来てから何回もお母さんの料理が食べたいって思ってた....」

 

「アリア.....クスッ、嬉しいことを言ってくれますね、いいですよ、今度好きなだけアリアの食べたいものを作ってあげますからね」

 

「え!ほんとうに!約束だよお母さん!」

 

「えぇ、約束です」

 

 あまりにも可愛らしい理由で膨れていた事が分かり、私はアリアの頭を優しく撫でながらそう言います。すると、アリアは先程とは打って変わって、まるで大輪の花を咲かせたように笑顔となり、私に向かって身を乗り出してきました。

 

「アリアは本当にお母様が大好きなのね、あんな顔学園でも見たことないわ」

 

「ほんとな〜、あれ、ライアンあたりが見たらやばいだろうなぁ」

 

 アリアが調子を取り戻し、また五人で会話に花を咲かせていると、エレーナちゃんがレインとアリアのことで気になる話をしだしました。

 

「そういえば、レインとアリアは私たちのクラスで一番の成績を取っているのですよ」

 

「え、そうなのですか?そんなこと手紙には書いてなかったのですが.....一番とは具体的にどういうことなのですか?」

 

「二人はどの分野においてもトップの成績なのです、座学に関しては平民の方とは思えないほど教養を備えており、魔法や武器を扱うことにおいてはもうほぼ学ぶことがないのではと思ってしまうほど完成されています。私も魔法には自信がありましたが、二人を見ているとまだまだだということを自覚させられますね」

 

「エレーナちゃんにそこまで褒められると照れちゃうな〜」

 

「自分から言うものでもないと思って手紙にも書かなかったんだよな」

 

「まさか俺が剣で負けるとは思ってなかったわ、あの時負けた事が信じられなくて、しばらく動けなかったな」

 

 二人の学園での成績について聞き、私が鍛えたのである程度は予想はしていましたが、そこまで同年代と実力に差が出ているとは思っていなかったので目を見開いて驚いていると、エレーナちゃんから強い視線を感じました。

 

「二人はお母様であるあなたに全て教わったと聞きました、私も王宮で様々な先生方に座学や魔法を教わってきましたが、魔法や武器の扱いはレインとアリアには全く敵いません。それにその容姿もとても平民の方とは思えません。レインとアリアを育てたあなたは一体何者なのですか?」

 

 その目線はまるで正体不明の生物を見る、またはこちらの正体を探ろうとする王のような目で見てきます。とても九歳の女の子が出来る視線ではなく、いやでもこの子が王族に名を連ねる者なのだと自覚させられます。

 その視線から逃げることはせず、しっかりとその綺麗で吸い込まれてしまいそうな瑠璃色の瞳に目を合わせ、答えます。

 

「私は二人の母親であり、それ以上でもそれ以下でもありません。たしかに魔法などは二人に教え、そこら辺の人には絶対に負けないという自信がありますが、それは単純に私の実力があるというだけです。エレーナちゃんからしたら私は、ただの友達のお母さんでしかありませんよ」

 

「そうですか......ふふっ、お母様がシェリアさんを気に入る理由が分かった気がします、ただの友達のお母さん....私も今度シェリアさんに魔法を教わってもよろしいですか?」

 

「あ、なら俺もシェリアさんに剣術教えて欲しい!レインに負けたままは悔しいからな」

 

 私の言葉を聞いたエレーナちゃんは、少し面食らった顔をした後、目尻を下げて笑いました。その笑顔はエレーナちゃんの素顔が出ているようでとても美しく可憐でした。マーク君も元気に私にお願いをしてきて、雰囲気につられて私も笑ってしまいます。

 

「えぇ、もちろん時間がある時にいくらでも教えてあげますよ。レインとアリアにとって競い合うライバルのような関係になれば私としても嬉しいですね」

 

「エレーナちゃんがお母さんから魔法を教わっても、私はずっと前から教えてもらってるから絶対負けないよ!」

 

「俺もマークに負けたら今まで鍛えてくれた母さんに申し訳ないからね、負けるつもりはないよ」

 

 なんだか、四人が目線を合わせて火花を散らし始めました。とても良い関係の四人で、二人にこんなに良い友達ができてよかったと思うと同時に、学園へ行かせたのは正解だったと改めて思いました。

 

「エレーナ様、そろそろ王宮に着きます」

 

「分かったわ、ありがとうジョセフ。王宮に着いたらすぐにお母様のところへ案内しますね」

 

 ジョセフさんが、外からもうすぐ王宮に着くことを教えてくれエレーナちゃんが王宮では自分が案内すると言いました。王妃様に対面する時が刻々と近づいてきて、私はいつも以上に心臓が激しく脈打ってきました。

 

 それからすぐに王宮へと着き、四人が降りた後馬車を降りると、そこはまるで別世界のように感じました。とても大きく豪華な造りの建物をしており、平民では見ることも難しい調度品などが複数置かれていました。

 

「うわぁ、ここが王宮.....雰囲気というかオーラがちがうなぁ」

 

「なんか俺たち場違い感ないかな?周りに圧倒されそうなんだけど」

 

「大丈夫だって、こう言っちゃなんだがお前たちは見た目がいいからな。立ち振る舞いも平民にしてはしっかりしてるし、シェリアさんなんかどこかの王女様と言われても信じるね、俺は」

 

「さて、お母様がいる部屋はこちらですよ、中はかなり広く初めて来る方は迷子になる方が多いのでしっかりと私に付いてきてくださいね」

 

 エレーナちゃんが言った通り、王宮の中はまるで迷宮のように広く、複雑で迷子になってしまうという人の気持ちがこれでもかと分かってしまいます。レインとアリア、特にアリアは王宮の中の装飾などについて興味津々のようで、周りをキョロキョロとしながら見ていました。

 マーク君はなんてことのない顔をして、腕を頭の後ろに組みながら歩いていました。マーク君のその姿を見る限り王宮に来る事に対して慣れているように感じ、王宮に来ることに慣れる貴族なんて珍しいですから、一体どの位の大貴族なのかと思ってしまいました。

 

 しばらく王宮を縦に横にと移動していると、エレーナちゃんがある扉の前で止まりました。見ると扉もかなり芸術的なものを感じる見た目をしており、来客用の部屋の扉のように感じました。

 

「ここは、他国からなどの重要な方をお通しする来客用の部屋で、他の部屋とはまた違った意味を持ってきます。今日はこの部屋にお母様がいるので、私が入ったら一緒に入ってきてください」

 

「ここにエレーナちゃんのお母さんが......」

 

「王妃様ってことだよね、変に緊張してきた」

 

「大丈夫だって、テリーザさんはそんなおっかない人じゃないし基本優しい人だぞ、俺もよくお世話になってたしね」

 

「そうよ、お母様はかなり気さくな人だから、そんなに緊張しなくても大丈夫よ」

 

 どうやら王妃様は私が想像しているよりもおおらかな人のようです。自分が予想してしていたのとは大分外れていそうだったので顔には出さないですが、内心安心してしているとエレーナちゃんが部屋の扉をノックしました。

 

コンコン

 

「お母様、私です、エレーナです。言われた通りお客様を連れて来ましたよ」

 

「ん?あら、そう。分かったわ、ありがとう。入ってきても大丈夫よ」

 

 扉の中からした声は私の記憶にある声でした。確かあの声は、入学式の時に....

 

「分かりました、では、私の後に続いて入ってください」

 

「え、あ、はい」

 

 私が記憶の中を探って考え事をしているとエレーナちゃんから声が掛かり、思考を中断しました。まだ疑問が解けずに悶々としながら中に入るとそこにいたのは....

 

「こんにちは、初めましてレイン君、アリアちゃん....そして、久しぶりねシェリア....ふふっ、どうしたのそんな顔をして」

 

「テ、テレサさん?!?!」

 

 中にいたのはエレーナちゃんと同じ薄い紫色の髪を持った美しい女性、テレサさんがそこにはいました。


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