ノーゲームノーライフ【ゲーマ兄妹とバグチートな弟がファンタジー世界を征服するそうです】   作:misogi

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ノーゲームノーライフ【四話】

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

【おみごと。それほどまでの腕前、さぞ世界が生きにくくないかい?】

 

 

 

 

そのたった一文で。

 

 

 

 

三人の心境は――――氷点下まで下がった。

 

 

 

 

LED ディスプレイに向き合い、激闘を繰り広げた三人の、その背後。

 

 

 

無機質な光。パソコン、ゲーム機器が奏でるファンの音。

 

 

 

無数の配線が床をのたうち、散らばったゴミと、脱ぎ散らした服。

 

 

 

陽を遮断し切るカーテンが、時が止まったように、時間感覚を奪う空間。

 

 

 

世界から隔離された――――十六畳の、狭い部屋。

 

 

 

そこが兄弟妹の世界――――その、全て。

 

 

 

 

――――苦々しい記憶が三人の脳裏を奔る。

 

 

 

 

生まれつき出来が悪く、その為、人の言葉、真意を読むことに長けすぎた兄。

 

 

 

 

生まれつき世界の欲しい情報が頭に流れ込んで完全に記憶し能力を使うたびに虹色になって行った瞳、そのせいで理解者がいなかった弟。

 

 

 

 

生まれつき高すぎる知能と、真っ白い髪と赤い瞳故に弟と同じで理解者のいなかった妹。

 

 

 

 

――――両親にさえ見放されたまま他界され、ついには心を閉ざした兄弟妹。

 

 

 

 

 

お世辞にも楽しい記憶とは呼べない過去――――いや、現在に。

 

 

 

 

 

黙って俯いた妹。

 

 

 

 

無表情―――いや、瞳だけが画面を睨み付け、睨みだけも人を殺せそうな程の弟。

 

 

 

 

妹を俯かせ、弟をキレさせた相手に怒りを叩きつけるようにキーボードを打つ兄。

 

 

 

 

 

『大きなお世話様どうも。なにもんだ、テメェ』

 

 

 

 

 

ほぼ即座に返信がくる。

 

 

 

 

――――いや、果たしてそれは返信だったのか。

 

 

 

 

答えになっていない文章が届いた。

 

 

 

 

【君達は、その世界をどう思う?楽しいかい?生きやすいかい?】

 

 

 

 

その文章に、怒りも忘れて妹と弟と顔を見合わせる。

 

 

 

 

改めて確認するまでもない。答えは決まっていた。

 

 

 

 

――――「クソゲー」だと。

 

 

 

 

 

…………ルールも不明瞭な、下らないゲーム。

 

 

 

 

 

七十億ものプレイヤーが、好き勝手に手番を動かし。

 

 

 

 

 

勝ちすぎるとペナルティを受ける。

 

 

 

 

 

――――頭が良すぎる故に、理解されず孤立して虐められる妹。

 

 

 

 

 

負けすぎてもペナルティを受ける。

 

 

 

 

 

――――赤点が続いて、教師に、親に怒鳴られても笑顔を保つ兄。

 

 

 

 

 

勝ちも負けも全てを支配する異常な存在。

 

 

 

 

 

――――勝つ方法も負ける方法も全て分かってしまう故に、理解されず気味悪がられ親にさえも『化け物』と言われた弟。

 

 

 

 

パスする権利はなく。

 

 

 

 

――――黙っていればなおも加速していったいじめ。

 

 

 

 

喋りすぎたら、踏み込みすぎと疎まれる。

 

 

 

 

 

――――真意を読みすぎて、的を射すぎて疎まれる。

 

 

 

 

手加減し過ぎればバカにされ、本気を出せば嫉妬によって疎まれる。

 

 

 

――――程よく接すれば、バカにされてると勘違いして疎まれる。

 

 

 

 

目的もわからず、パラメーターもなく。ジャンルすら不明。

 

 

 

 

決められたルールに従っても罰せられ――――何より。

 

 

 

 

ルールを無視した奴が我が物顔で上に立つ―――。

 

 

 

 

 

こんな人生(クソゲー)に比べたら、どんなゲームだって―――簡単すぎる。

 

 

 

 

 

 

テロンッ♪―――と、再度メールが届く。

 

 

 

 

構わずシャットダウンしようとする兄の手を。

 

 

 

 

――――しかし弟と妹が止める。

 

 

 

 

【もし“単純なゲームで全てが決まる世界”があったら――――】

 

 

 

 

その文面に、訝しげに、しかし想像し、憧れを隠すことの出来ない三人。

 

 

 

 

【目的も、ルールも明確な盤上の世界があったら、どう思うかな?】

 

 

 

 

三人は顔を見合せて、自嘲気味に笑い、肯いた。

 

 

兄はキーボードに手を置き。

 

 

 

なるほど、そういうことか、と。

 

 

 

 

『ああ、そんな世界があるなら、俺達は生まれる世界を間違えたわけだ』

 

 

 

――――と、最初に届いたメールの文面になぞらえて。

 

 

 

返信する。

 

 

 

 

 

 

――――刹那。

 

 

 

 

パソコンの画面に微かなノイズが走り。

 

 

 

同時、ブレーカーが落ちたように、バツンッと音を立てて部屋の全てが止まる。

 

 

 

唯一―――メールが表示されていた、その画面を除いて。

 

 

 

 

そして――――

 

 

 

 

 

「な、なんだっ!?」

 

 

 

 

「お、おいおい、こんな現象世界のどの情報にもねぇぞ!!?」

 

 

 

 

「………っ?」

 

 

 

 

部屋全体に、ノイズが走り始める。

 

 

 

家が軋むような音、放電するような弾ける音。

 

 

 

慌てて周囲を見渡す兄と、少し焦りながらも不敵な笑みを浮かべて唯一動いてる画面を見ている弟、そして何が起こっているかわからずただ呆ける妹。

 

 

 

そんな三人を他所に、ノイズはなおも激しくなり――――

 

 

 

ついにはテレビの砂嵐のように。

 

 

 

そしてスピーカーから―――いや。

 

 

 

間違いなく画面から。

 

 

 

今度は文章ではない――――『音声』が返ってきた。

 

 

 

『僕もそう思う。君達はまさしく、生まれる世界を間違えた』

 

 

 

もはや画面以外の、部屋の全てが砂嵐に飲まれる中。

 

 

 

唐突に、白い腕が生える。

 

 

 

 

「なっ!?」

 

 

 

 

「うお!!?」

 

 

 

 

「………ひっ――――」

 

 

 

 

画面から伸びた腕は、兄弟妹の服を掴み。

 

 

 

 

抗う余地もない程の力でもって、三人を引きずりこむ。

 

 

 

 

 

画面の中へ――――。

 

 

 

 

 

『ならば僕が生まれ直させてあげよう―――君達が生まれるべきだった世界にっ』

 

 

 

 

 

―――――――…………。

 

 

 

 

 

 

そして―――――。

 

 

 

 

 

 

 

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