ノーゲームノーライフ【ゲーマ兄妹とバグチートな弟がファンタジー世界を征服するそうです】   作:misogi

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ノーゲームノーライフ【五話】

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

白く染まる視界。

 

 

 

それが、目を開いたから―――即ち陽の光だと認識出来たのは。

 

 

 

久しく感じていなかった、網膜を焼かれる感覚故。

 

 

 

そしてようやく光に慣れつつある瞳に飛び込んだ景色から、兄は理解した。

 

 

 

そこは―――上空だった。

 

 

 

 

「うぉおおあああっ!?」

 

 

 

「………ッ!?……んだよこれはぁあああ!!?」

 

 

 

 

狭い部屋から一気に広がった広大な空間。

 

 

 

 

―――だが兄と弟が叫ばせたのは、視界に広がった景色の異常さ故だった。

 

 

 

空の脳が、状況を把握しようと脳回路を焼き切らんばかりに加速し、叫ばせる。

 

 

 

 

「「なん――――なんだこれぇえええっ!」」

 

 

 

 

 

―――何故ならばどう見ても、何度見返しても。

 

 

 

 

空に、島が浮かんでいた。

 

 

 

 

目を、頭を何度疑っても、視界の果てで空を飛んでいるのは、ドラゴンで。

 

 

 

 

どう考えても自分が知る『地球』のそれではない景色。

 

 

 

 

だが、それよりもなのよりも。

 

 

 

 

眼下に広がる雲から、浮遊感の正体が、落下している事実だと気づき。

 

 

 

 

「「あ、死ぬ」」

 

 

 

 

という確信に変わるまで、兄と弟が要したのは、実に三秒だった。

 

 

だがそんな悲愴な確信を打ち破るように。

 

 

高らかに叫ぶ声は、隣から聞こえた。

 

 

 

 

 

「ようこそ、僕の世界へッ!!」

 

 

 

 

壮大で、異常な光景を背後に、落下しながら『少年』は腕を開いて笑う。

 

 

 

「ここが君達が夢見る理想郷【盤上の世界・ディスボード】ッ!この世のすべてが単純なゲームで決まる世界ッ!そう―――人の命も国境線さえもッ!」

 

 

 

空や零に遅れること十秒ほどだろうか。

 

 

ようやく状況を把握したのか、目を見開いて、泣きそうな顔で零に抱きつく白。

 

 

 

「……あ、あ、あなた―――誰―――っ」

 

 

精一杯の、しかし囁くような抗議の叫びをあげる白。

 

 

だが相変わらず楽しそうに笑って、少年が言う。

 

 

 

「僕? 僕はね~、あそこに住んでる」

 

 

 

言って、遠く――――地平線の彼方の巨大なチェスのコマを指差す少年。

 

 

 

「そうだね、君達の世界風に言うなら―――“神様”―――――かな?」

 

 

 

頬に人差し指を当てて、可愛げに、愛嬌を込めて言う、自称神。

 

 

――――だがそんなのは知ったことではなかった。

 

 

 

「それよりオイ、コレどうすんだよッ!地面が迫って――――うぉおおおお、零ぃぃ白ぉッ!」

 

 

 

「ちょっ、しろにそらぁ、くっつくなぁああああ、く、首しまってるぅぅうううう!!!」

 

 

 

 

「…………~~~~~~~~っ」

 

 

 

白と零の手を抱き込むように、意味があるのかわからないが、自分を下にする空。

 

 

そして声にならない声で、零の首を掴んで絶叫をあげる白。

 

 

空や白とは、別のことで絶叫をあげる零。

 

 

そんな三人に、神を名乗る少年は、楽しげに告げる。

 

 

 

「また会えることを期待してるよ。きっと、そう遠くないうちに、ね」

 

 

 

 

―――――そうして、三人の意識は暗転した。

 

 

 

 

 

――――――――…………

 

 

 

 

 

 

「ぅ………うーん……」

 

 

 

土の感触。草の香り―――気がつくと、空は、地面に倒れていた。

 

 

 

うめきながら起き上がる空。

 

 

 

 

「―――な、なんだったんだありゃ………?」

 

 

 

 

――――夢か?

 

 

 

そう思うが、空は口にしないでおいた。

 

 

 

「………うぅ………変な夢」

 

 

 

「………あぁ、変な夢だ」

 

 

 

と、空に遅れて目を覚ました妹と弟が、うめく。

 

 

 

――――わざわざ口にしなかったのに妹と弟よ。

 

 

 

嗚呼、愛しい妹と弟よ。

 

 

 

“夢じゃなかったフラグ”なんてたてないでおくれ。

 

 

そう思いながら起き上がるが、どう気づかぬふりをしても足場は土。

 

 

 

見慣れない高い空、そして――――

 

 

 

 

「うをああああ!」

 

 

 

 

 

自分が崖っぷちに立っていることに気づいて、慌てて後ずさる空。

 

 

――――崖から一望出来る景色を見渡す。

 

 

 

そこには、ありえない景色が広がっていた。

 

 

 

…………いや、違う、言い直そう。

 

 

 

空に島。龍。そして地平線の山々の向こうに、巨大なチェスのコマ。

 

 

つまり、夢オチは―――――なかった。

 

 

 

 

 

「なあ、弟と妹よ」

 

 

 

「………ああ」

 

 

 

「………ん」

 

 

 

それを、光ない目で眺めながら、兄弟妹は言う。

 

 

 

 

「“人生”なんて、無理ゲーだ、マゾゲーだと、何度となく思ったが」

 

 

 

「…………そうだな」

 

 

 

「………うん…………」

 

 

 

三人、声をハモらせて言う。

 

 

 

 

「「「ついに“バグった”………もう、なにこれ、超クソゲぇ…………」」」

 

 

 

 

そうして――――三人の意識は、再び暗転した。

 

 

 

 

 

■■■   ■■■  ■■■   ■■■

 

 

 

 

 

 

 

 

――――『こんな噂をきいたことあるだろうか』――――。

 

 

 

 

あまりにゲームが上手すぎる者のもとには、ある日、メールが届くという。

 

 

 

本文には――――短い文と、URLがはられているだけ。

 

 

 

 

そしてそのURLをクリックすると、あるゲームが始まる。

 

 

 

 

そのゲームをクリアすると―――――この世界から消えるという。

 

 

 

 

 

そして――――

 

 

 

 

 

異世界へと誘われるという、そんな『都市伝説』。

 

 

 

 

 

 

 

 

………あなたは、信じますか?

 

 

 

 

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