今回は少し趣向を変えてみました。
ここは、日本ウマ娘トレーニングセンター学園。
通称トレセン学園。
未来のスターウマ娘を排出するエリート学園。
「遂に来たね、サトちゃん!」
「うん、キタちゃん!」
今日も、金の卵たちが門を潜る。
今年の主役、キタサンブラック。
未来を背負うプリンセス、サトノダイヤモンド。
(ここで、テイオーさんみたいに強くてかっこいいウマ娘になる!)
(ここで、マックイーンさんみたいな強くて綺麗なウマ娘になる!)
「よーし!行っくよーサトちゃん!」
「うん!キタちゃん!」
(お父さんの
彼女、キタサンブラックの父親は、ヘリコプターのパイロットをしながらも、家族の事を第一に考える熱い男だった。
彼女の父が何時も口癖のように言っていたことは1つ。
『いつの時代も変わらない。俺たちが求めるものは、誰もが自由に生きられる、平和だ!』
彼女の祖父が何時も語りかけていたことは1つ。
『土の匂いのしみこんだ、その手が宝物なんだ』
(おじいちゃん、お父さん、お母さん!私、もっと頑張って強いウマ娘になるから!)
彼女のウマ娘としての青春は、ここから始まる。
1つの、事件をキッカケに··············
「やあキタちゃん!トレセン学園へようこそ!」
「テイオーさん!トレーニング中でしたか?」
「うん!でも、キタちゃんの姿が見えたから走ってきたんだ!どう?トレセン学園は?」
トレセン学園は、文字通り競争率がとても高い。
実力主義、変えたいならその脚で変えて見せろ。
だからこそ、折れるウマ娘も多い。
シンボリルドルフの次を狙うトウカイテイオーは、そんなことをこのウマ娘に案じていた。
しかし、それこそ無駄な心配だ。
「最っ高です!みんなレベルが高くて、授業は少しつまらないけど、ご飯も美味しくて!寮では毎日サトちゃんと寝れるし、テイオーさんもいるし!」
「そっか····!よかった!」
彼女の弾ける笑顔は、テイオーの心配など不必要だった。
「じゃあ、ボクもトレーニング頑張っちゃうぞー!」
「はい!頑張ってください!」
「キタちゃん!トレーナーさんが呼んでるよ!」
「うん!今行くね〜」
「あー、疲れたぁ··········」
「頑張ったね··········キタちゃん··········」
午後4時頃になると、ウマ娘たちは疲れた顔で、または少し楽しそうな顔で下校する。
商店街へ向かう者、スター○○クスへ向かう者、寮へ真っ直ぐ帰る者··········
彼女、キタサンブラックは親友のサトノダイヤモンドと商店街へ赴いていた。
「あれ?キタちゃーん!」
「テイオーさん!」
「あら、サトノさんではありませんの」
「マックイーンさん!どうしてここに?」
「テイオーがはちみーを一緒に飲もうと誘ったんですの」
「キタちゃん達も飲む?」
「はい!はちみー多め濃いめ固めですね!」
「わ、私は普通で··········」
「良い判断ですわサトノさん。あれはかなりお腹に溜まりますもの」
はちみーとはハチミツドリンクの呼称であり、テイオーの飲む多め濃いめ固めクラスだとほぼただの蜂蜜である。蜂蜜を砂糖割りにして直飲みしたような飲み物だ。
「ンー!やっぱりはちみーは美味しいね!」
「しょ、しょうでふ··········ングッ、ング!」
「ああほらまた詰まらすんだから。ほらお茶」
「んん、ありがとうサトちゃん」
「一気飲みするからですわ。それが出来るのはテイオーだけですもの」
のほほんとした、他愛もない会話、しかし楽しい日常の会話だ。
そして、事件が起こる。
「ッ!?」
キタサンブラックのみが感じた訳では無い。その場の者殆どが気付いていなだけだった。
感覚の強いというのはあったのだろう。
しかし、未熟な彼女には、行動に移すまでの時間が遅かったのだ。
『『『『ギシャァァァ!』』』』
突如として日常に現れた蜘蛛型の異形。
「何ですの!?」
「ば、バケモノ!??」
その名は、地底人帝国クライシス。その配下である。
「うわぁぁぁ!助けて!」
「テイオー!この!テイオーを離しなさい!」
『ギシャシャ!この娘は実験体にする··········』
「待て!」
その存在を知る、キタサンブラック。
キタサンブラック、彼女の宿命は、クライシスとの運命を断ち切ることだった!
「バッターちゃん!」
現れたのは、MAX時速240kmもの速度で走る専用バイク、アクロバッター!
『イクゾ!ブラック!』
「うん!お願いね!」
どれほど速い敵であろうと、アクロバッターからは逃げられない。
「テイオーさんを離せ!」
『グッ!?小癪な小娘!』
「フッ!」
アクロバッターから飛び降り、構えをとる。
「テイオーさん!今行きます!」
「キタちゃん!来ちゃダメだ!」
大きな送電塔に吊るされるトウカイテイオー。
しかし、それに気を取られ、キタサンブラックは囲まれてしまった!
「しまった!」
『ギシャシャ!多勢に無勢ナリ!』
「待っててくださいテイオーさん。すぐ助けますから!」
『どうだかな··········シャシャ!』
「何を··········ハッ!まさか!」
振り向くと、テイオーの吊るされていた紐が今にも切れそうだった。
「テイオーさん!」
「キタちゃん!」
そして、テイオーの自重に耐えられず、紐が切れた!
「うわぁぁぁ!!」
「テイオーさーん!!」
『させるか!ギャァァ!』
敵をウマ娘自慢の脚力と父から教わった合気で捌きながら何とかテイオーの直撃は免れたが、テイオーにかなりのショックが行った。
「テイオーさん!しっかりしてください!」
「キタちゃん··········逃げて··········」カクッ
「テイオーさん··········!テイオーさん!あ゛ぁ゛ぁ゛!!」
涙を必死に堪え、立ち上がる。
『へへ、遺言は聞けたかい?』
「··········テイオーさんは、最後まで自分の事じゃなく、私なんかのことを想っていた········だから私も、戦う!」
「私は、お前たちを絶対に!」
ゆ゛る゛ざな゛い゛!
「変身!」
黒いボディ、真っ赤な目、鉄製の触覚。
ここに、伝説の戦士、南光太郎が蘇る。
「俺は、太陽の子!仮面ライダーBLACK!RX!」
『この声は··········南光太郎だと!?』
「そうとも!俺は、キングストーンと魂を共有している!今キングストーンは俺の娘の中にある。したがって、娘が変身した際に戦うのは、俺だ!娘の友達を、よくもやってくれたなクライシス!」
『貴様··········今度こそ地獄に送ってやろう!ギシャァォ!』
一斉に襲いかかり、一気に仕留める作戦だ。
しかし、彼には通用しない。
平成と昭和を股に掛けた、
「キングストーンフラッシュ!」
『グキャァァ!』
「雑魚は荒方片付いた!後はお前だけだ!」
『ほざけ!すぐさま殺してやる!』
1体1で向き合う。間違いなく、次の一手で勝敗が決まる。
『死ねぇ!』
「RXキック!」
飛び上がったのはRX。
空中で回転し、キングストーンのエネルギーを脚に込める。
敵にはキングストーンと太陽光の光エネルギーが走り、内部から破壊される!
『こんなものでは··········死なん!』
「何っ!?そこいらの雑兵とは違うようだな··········」
そこに、もう1人の秘密を知るものが現れる。
「仮面ライダー!届けものだよ!」
「君は··········サトノちゃんか!?」
彼女、サトノダイヤモンドの父親の名は、秋月信彦。
かつて、南光太郎の親友であり、宿敵となってしまった仮面ライダーシャドームーンの変身者である。
「お父さんが、何かあったらこれを使えって!えい!」
彼女の投げた棒は、大きく弧線を描きながらRXの元に飛んでいく。
「これは··········」
それは、かつてクライシスを倒し、力を封印した際に石になった聖剣、
「リボルケイン!」
そう叫び、ベルトに近づけると、光輝き聖剣の力を取り戻していた。
「くらえ!」
『来いっ!』
飛び上がり、相手に突き刺し、無限の光エネルギーを流し込む必殺技、
「リボルクラッシュ!」
『ガァァァ!!!』
大爆発。
「キタちゃん!あ、いや、光太郎さん··········?」
「サトノちゃん、こんなことに巻き込んでしまってすまない。しかしそうか、信彦が··········」
「はい。ええっと··········体はキタちゃんで、中身は光太郎さんなんですよね··········?」
「そういうことになるな。しかし、君の体にもキングストーンのエネルギーを感じる。もしかしたら君にも被害が及ぶかもしれないな··········」
「大丈夫です!私も、私も··········」
「仮面ライダーですから!」
(シャドームーン··········いや、信彦の宿命は受け継がれていたんだ··········!)
「じゃあ、俺はもとに戻る。キタを·····娘を頼むぞ!」
「·····はい!任せてください!」
「あ、たまには地元に帰ってきてもいいんだぞ!?町のみんなも心配してるからな··········」
「次の稲刈りの時には戻りますよ」
「そうか··········そうか!では、宜しくな!」
変身が解除され、元のキタサンブラックに戻る。
「キタちゃん!」
「テイオーさん、テイオーさんは!?」
「大丈夫、救急車で運ばれて、マックイーンさんが着いてるよ」
「そっか··········よかった··········!」
この事件から、彼女らの騒がしい日常が始まった。
「そういえば、そんな事あったねぇ〜··········」
「結局キタサンブラックさんたちが助けてくれたのですよね··········あの化け物たちは、」
「仮面ライダーが助けてくれたんですよ。とってもかっこいい仮面ライダーが」
「名前は聞けなかったけど、私たちを助けてくれたんです。ね、サトちゃん」
「うん!」
「仮面ライダー、ですか··········」
「なーんか胡散臭いよね。キャロットマンみたいな物ってネットで話題になってるよ」
「でも、私たちは彼に救われたのですよね··········」
「そして今でも戦っている··········かな?」
「きっと、きっとそうですよ」
キタサンブラックが背負う儚くも哀しい運命。
彼女に背負えるか、いや、背負わなければならないだろう。
「キタちゃん··········」
「··········サトちゃん。私、頑張るよ」
この先は彼女達次第だ。
「みんなの平和は、私が守る!」