仮面ライダーとウマ娘   作:気まぐれな富士山

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前回の続きです!


筋肉バカとウマ娘

「ここが、戦兎がいるっつうセントラ学園か…………」

 

彼の名は万丈龍我。

桐生戦兎の元相棒であり、新世界にて唯一戦兎と同じ世界から来た者。

その正体は仮面ライダークローズで、戦兎と共に仇敵であるエボルトを倒した。

 

「お邪魔しま〜す……て、警備ザルだなオイ。」

「どこがザルですって?」

「うぉっ?!びっくりした………。女に背後を取られるのは初めてだぜ。」

「ご要件は?無いなら通報しますよ。女子生徒が多いので。」

「あー、俺は万丈龍我。桐生戦兎に会いに来た。ここで働いてるんだっけ?」

「桐生トレーナーのお知り合いでしたか!失礼しました。私は駿川たづなと申します。ご案内しますね。」

 

 

緑色の服の麗人、たづなに連れられ、戦兎のトレーナー室へ向かう万丈。

 

「しかし広いな〜!部屋いくつあるんだ?」

「体育館や図書室、視聴覚室などもありますし、カフェテリアやジムなどもございますよ。」

「ジム!?ウマ娘は女子ばっかだってのに、ジムあんのか!?はぁ〜すげぇな!」

「はい、着きましたよ。ここが桐生トレーナーのトレーナー室です。」

「うぉっ、早いな。よーし、久々のご対面か…………」

 

思えばあれから数年が経つ。

あの頃、苦楽を共にした仲間に、久方振りの再開だ。

 

「元気してるかな…………よし!開けるぞ!」

 

開き戸式の扉を掴み、思い切り開く。

 

「よう戦兎!久しぶりだな!」

 

ポコポコ……

シュワァァァ……

 

「五月蝿いねぇ……私のラボをにノックもせず思い切り開く者がまだこの学園にいたとは…………。」

「せ、戦兎がウマ娘になったぁ!??」

「落ち着いてください万丈さん!」

 

 

「それでは、私は失礼しますね。」

「おう!案内サンキューな!」

 

ガラガラ

バタン………

 

「先生の知り合いだったとは。失礼したね万丈くん。」

「まさか戦兎が本当にウマ娘のトレーナーになってやがるとは………。アイツ、変なやつだろ。」

「まさか!尊敬されるべき人さ。先生の発明品は素晴らしいものばかりだよ。」

「そういやそうだな。俺のドライバーも戦兎が作ったものだったしな…………」

「ドライバー?もしかして、これかい?」

 

タキオンが机から取り出したのは、万丈には懐かしくも苦い思い出となったあの、ビルドドライバーだった。

 

「おいそれ!?お前が作ったのかよ!?」

「私じゃない先生が作ったんだ。安心したまえ。先生から何もかも聞いてる。君のハザードレベルのことも、新世界のことも。」

「そういう事かよ……はぁーよかったぜ。なんせ変身できる事は秘密だからな。というか、ネビュラガスの効果はどうなったんだよ。あれヤバいんじゃなかったか?」

「それも改良済みだ。私の薬品と先生が持ってきたネビュラガスを混合した時、人体に影響のないネビュラガスを作り出せたのさ。しかし、ついこの間だよ。君たちの元の世界にあったスカイウォールの破片と思われる物が観測されたのさ。」

「ッ!?それって…………それって?」

 

ガクッと椅子から崩れ落ちるタキオン。

 

「先生から聞いていたがこれ程とは…………」

「うるせぇ。んで、どうなるんだよ。」

「……簡潔に言うと、スマッシュが復活したのさ。」

「!」

「スカイウォールから発生するネビュラガスと人間を素材に作られるスマッシュが先生と私の前に現れた。即ち誰かがスカイウォールの破片を使い、民間人をスマッシュに変えているということさ。」

 

スマッシュによる民間人への被害。

LOVE&Peaceを基本理念とする万丈と戦兎には許し難い事実だった。

 

「恐らく、難波重工の様な企業がバックについていると考えられる…………。」

「クッソ…………許せねぇ!あ、そういや戦兎の野郎は?今どこにいるんだよ。」

「生憎、先生はトレーナー会議に出席していてね。今度の私のレース出場に必要なんだ。」

「あぁ?じゃあ俺はどうすりゃ…………」

「たづなさんに許可はもらっているだろう?しばらく学園内を探索してきたらどうだい?但し、痴漢に間違われない様にしたまえよ。」

「わーってるって!」

 

広いトレセン学園の中、この筋肉バカが向かう場所は1つだった。

 

「やっぱジムだろ!フンッ!」

「見てあの人…………」

「本当に人間?だってあれ、150kgだよ?」

「ベンチプレスで150上げるんだ…………。」

 

 

コソコソと自分の筋肉について囁かれる。

前世では馬鹿とだけ呼ばれていた万丈にはあまりない体験だった。

 

「もっと、もっとだ!」

「横、失礼します。」

 

その隣に現れたのは、このトレセン学園でも指折りの脳筋として話題のウマ娘。

名は、ミホノブルボン。

 

ガチャガチャ「トレーニング、ベンチプレス150kgを開始します。」

「おっ、お前も150上げるのか。女にできるのかよ?」

「その発言は、女性蔑視に繋がると考えられます。追加で、ウマ娘の筋力を知らないとは、情報に関して疎いと観測されます。」

「んん?俺は今バカにされたのか?……んー、わかんねぇや。ともかく、お前はすげーんだな!」

「舐めてもらっては困ります。」

 

フゥッ、と息を吐き出すと、ミホノブルボンはベンチプレスを始めた。

その動きに重々しいものはなく、一定の速度で機械的に行われていた。

 

「29……30。ベンチプレス終了。」

「お、おお…………息一つ乱れねぇ…………」

「次のメニュー、ボクシングを開始。」

「もう次に行くのかよ!まるで……そう!ダンボールだな!」

 

全員がガクッと膝から崩れ落ちる。

サイボーグ、という名が思いつかないらしい。

 

「俺も負けてられねぇ!」

「……!それは…………」

 

ガチャガチャと五月蝿い音を醸しながら、取り付けたるはなんと200kg。

 

「そのレベルは、人間に耐えられる重さの限界点の筈です。あなたの筋肉量を目測しても、その重さに耐えるのは難しいでしょう。」

「うるせぇ!俺はいっつもこれ上げてんだよ!うぉぉ!」

「ッ!?そんな馬鹿な…………」

 

そのパワーは尋常ではなく、2、3回押し上げるだけで精一杯のはずだった。

しかし、それは人間の場合。

 

「おりゃァァ!」

 

速度が上がっていく。

回数もそれに乗じどんどんと上がっていく。

 

「50ゥッ!!」

「……信じられません。そんなことが可能だとは……」

「何事もパワーとガッツ!そんでもって、LOVE&Peaceだ!」

「あなたの言動から、ステータス『疑問』が発生。なぜパワーとガッツの後にLOVE&Peaceなのですか。」

「あー、そう言われると…………」

「あなたの回答から、結論『答えのない答え』と『勘』を確認。回答には辿り着けないと考察します。では、元のトレーニングに戻ります。」

「お、おおう…………」

 

今度はサンドバッグを打ち始めるミホノブルボン。

 

「なんだ、ボクシングもすんのかよ。」

「ボクササイズは、筋持久力と、肺活量の、製造に、丁度いいのです。シュッ。」

「おいおい、パンチはそうじゃねぇよ。もっとこう、肘と腰を連動すんだよ。こう、グルっ!て。」

「検証。こうでしょうか。」

「あー違う違う。肩の回転に乗せるんだよ。そうすりゃもっと腹直筋が鍛えられんだよ。」

「成程…………こうでしょうか。」バスッ!

「そうそう!それもっと上げるとよ、こうっ!」バゴォン!

 

万丈が放った一撃は、サンドバッグに重くのしかかる。

 

バキン!ジャラジャラ…………

 

「このサンドバッグは、ウマ娘のパンチに耐えるように作られている筈ですが…………。老朽化でしょうか…………。」

「どうよ!これが俺のパワーだぜ!」

 

力強くカッコつける万丈。

 

「感服しました。私はミホノブルボン。」

「万丈龍我だ。よろしくな!ブルボン!」

 

お互いに手を差し伸べ合う。その時、

 

「キャァァァ!!」

 

学園に悲鳴が響きわたった。

 

「なんだ!?」

「た、助けてぇぇ!!」

「スマッシュ!?」

「いけない、向かわなければ!」

「あ、おい待て!」

 

ミホノブルボンは我を顧みず飛び出した。

間一髪でスマッシュから一般ウマ娘を助け出す。

 

「早く逃げてください!」

「あ、ありがとうございます!」

「おい!お前も逃げろ!」

「グゥゥゥ………」

 

スマッシュがミホノブルボンにじり寄る。

 

「……ッ!?脚が…………」

 

見てみると、さっき助けた時に足を捻ったようだ。

足首に激しい痛みが走る。

 

「バッドステータス、捻挫を確認……。逃げ切るのは不可能と判断…………」

(ああ、まだ……三冠も達成していないのに…………)

「グルァァァ!」

 

死を覚悟した、その瞬間。

 

「オラァッ!」

「グゥゥ!?」

 

スマッシュが壁まで吹き飛ばされる。

 

「おい、立てるか!?」

「あなたは…………あなたも逃げてください。早く。」

「ヘッ、自己犠牲の正義は手前だけじゃねぇんだ!」

 

また唸りながら歩み寄ってくるスマッシュ。

 

「ベルトもねぇが…………俺には筋肉がある!」

「意味がわかりません。早く、早く逃げてください!」

 

拳をかまえ、迎え撃とうとする万丈。

しかし、そこに閃光が降り注ぐ。

 

「ッ!?」

「ったく、お前はどこまで馬鹿なんだよ。」

「…………誰が馬鹿だ。筋肉をつけろ筋肉を。お前こそ遅ぇんだよ戦兎!」

「お前には天っ才物理学者である俺の思考は読めねぇだろうよ。…………まあ、俺は今変身できない。だから、お前がやれ!」

「つってもよ、クローズドラゴンもねぇし、ドラゴンフルボトルもねぇ。どうすんだよ!」

「安心しろって。それはもう作ってあるからさ。」

「万丈さん、いえ、マスター。私も、戦います。少しだけですが格闘技の経験があります。」

「ブルボン…………その精神気に入ったぜ!」

 

ベルトを腰に当て、バックルが装填される。

空中を飛び回るクローズドラゴンを掴み取り、ドラゴンフルボトルを差し込む。

 

『WAKE UP!』

「懐かしいぜ……。この変身がよ。行くぜブルボン!」

「ミッション、変身を開始します!」

『クローズドラゴン!』

 

今、蒼き熱血の戦士が復活する!

 

Are you ready?(用意はいいか?)

「「変身!(できてるよ)」」

 

『Wake up burning!Get CLOSS-Z DRAGON!Yeah!』

 

「おお、合体した!」

『行きましょう、万丈さん。』

「よっしゃ!今の俺たちなら…………」

 

『「負ける気がしねぇ!(しません!)」』

 

「オラァ!ハッ!ドラァ!」

「グウァァ!」

 

復活したクローズの力は強力の一言で、スマッシュを圧倒していく。

 

「先生!」

「タキオン君、遅いじゃないか。」

「あれは、まさか万丈くんですか?」

「ああ。あの猿以下知能しかない馬鹿だよ。」

「………そんな人に、あの力が使いこなせますかねぇ?」

「まあ、そこは信頼していいよ。あの馬鹿は…………」

 

どこか懐かしそうに微笑み、戦兎は語った。

 

「筋肉バカで、友情バカだからな。」

 

 

「オラァ!どうだ!」

「グゥァァ……!ガァァッ!」

「うぉっ!このやろ!」

『マスター、決めましょう!』

「だな!とうっ!」

『Ready GO!』

 

高く飛び上がり、蒼き炎の龍が姿を現す。

 

「キメるぜ!ブルボン!」

『はい!』

『ドラゴニック!フィニッシュ!』

「『はァァァァ!!』」

 

蒼炎の龍の炎に乗り、一撃で敵を粉砕する。

 

キュイーン…………

 

「よっしゃ!勝利だ!」

「ステータス、『勝利』を確認。やりましたね、マスター。」

「おう!………マスターって、俺のこと?」

「はい。万丈龍我氏をマスターと認めました。よろしくお願いします。マスター。」

「えぇ……///なんか照れるけどよ…………」

「照れてんじゃねぇよ。お疲れ様、ブルボンちゃん。」

「桐生トレーナーに、アグネスタキオンさん。お疲れ様です。」

 

ぺこり、とお辞儀をするブルボン。

 

「おめー、また研究とかいって好き勝手しやがってよ〜。」

「研究するならその環境に身を置くのが1番だろ?これはそのための合理的対応だよ。お前こそ、よくそのバカ脳みそで生活できたな。」

「誰が馬鹿だ!筋肉をつけろ筋肉を!」

 

再会を喜ぶ2人を尻目に、ミホノブルボンに近寄るアグネスタキオン。

 

「どうやら君も、選ばれた様だね。」

「選ばれた……というより、選んだ、の方が正しいかと思われます。私はマスターと共に戦うことを選んだ……。あなたもそうではないのですか?タキオンさん。」

「ククッ……やはり君もか。これからが、楽しみだねぇ……♪」

 

再会を喜ぶ戦兎と万丈。

その再開による出会い。

自らの運命に同じ思いを感じるタキオンとブルボン。

出会いと再開に想いを馳せる4人であった。

 

〜数日後〜

 

「とりあえず、ブルボンはウチのチームに入るってことでいいな?講師は万丈にやってもらうけどよ。お前もそっちの方がいいだろ?」

「ありがとうございます。桐生トレーナー。」

「んで、万丈は外部講師ってことで。」

「おし!任せとけ!」

「それで先生。チームの名前はどうします?」

「そうそれ!昨日悩んだ末に決めたんだよ。」

 

悩んだ末に決めたチーム名。それは…………

 

「チーム、nascita!なんてどうだ?」

「nascita……イタリア語で『誕生』という意味か。素晴らしいですね!先生。」

「新たな世代の誕生……というのことでしょうか。良いと思います。」

「んーまあ、戦兎が決めたならいいと思うぜ。」

 

2人にとっては因縁的な名前であるため、最初はかなり悩んだという。

 

「よーし、チームnascita!頑張るぞー!」

「「「おー!!」」」

 

このチームこそが、新たな世代の始まりになるとは、誰も思わなかった。

 

 

 

「ところで、何でここセントラ学園って名前なんだ?」

「トレセン学園だよ!このバカ!」

「バットステータス、『馬鹿』を確認。訂正してください桐生トレーナー。マスターは一般の方よりも知能レベルが低いだけなのです。」

「ククッ、今の皮肉は面白かったよブルボン君!」

「お前ら俺をバカにしてんのかぁ!バカにするにしても、筋肉をつけろ筋肉を!」

 

賑やかな日々が、やってきそうだ。

 

 

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