そんな事があった入学式から数週間の時が経った。
その間に、しのぶと善一、それから童磨。彼等と一勝に何かかかわりが出来たかと言うとそんなことはなく何事もなく数週間の時が過ぎた。
一勝は思うのだ。なぜこうなったと……。
この学園に入学するに際し、彼の目標は友達百人できるかなと言う可愛らしい目標があった。しかし、入学式前にやらかした出来事、すなわち入式前の出来事から彼はやばいといううわさがながれ、尾びれ背びれが付き、覚えのない噂へと変化していったことにより、彼の友達数は今現在では0。一人も友達のいない学園生活を送っている。
そんな彼が書いた作文がある。長々と書くのは面倒なので一言にまとめればひねくれた文章。
そんな内容の作文を先生に素直に提出したために彼は今職員室に呼ばれていた。
「よもやよもやだ」
「……」
「一勝少年。君は何か悩みがあるようだが俺にその悩みを聞かせる気はないか?」
「ありませんよ。何も」
「嘘はいけない。作文を読んだが君が友達が出来ない事に悩んでいるのはすぐにわかることだ」
「じゃあ、聞かないでくださいよ煉獄先生」
「はっはっはっ、俺は君から君の口でその悩みをちゃんと話してほしいのだよ」
「……」
「ふむ、話す気はないと言うことだな。良し分かった。君にはとある部活に所属してもらおう」
「は?」
「うむ、我ながら良い案だ」
「いや、でも……」
「君はまだ何の部活にも所属していないと聞く」
「え、ええ。まだどこにも所属していないし、どこかの部活に入る気もないです」
「なら、特段構わないわけだ。ついて来たまえ一勝少年」
「え、ええ」
どこか強引にも思える誘い方、だが彼なりの優しさを感じる行動を見て一勝はとりあえず悪いことにはならないだろうと煉獄杏寿郎の後を付いていく。
多分。彼の先生は人気者なのだろう。一勝は素直にそう思えた。
『勇往邁進』と言って気合を入れて歩いていた女子生徒、影の薄そうな男子生徒、さらには不良っぽい生徒からチャラい生徒まで誰もが彼に挨拶をしていく。
どこからどう見ても人気者の先生。自分とは真逆で少しの嫉妬を覚えるが彼のなんでもない笑みを見ると嫉妬する自分すらも馬鹿らしいように感じ結局は今の自分を憂うように溜息をつくしかない。
「はあ」
「むっ、先ほどからどうした一勝少年。元気は若者の特権だぞ」
「そういう先生の方が元気よく感じますがね」
「そうか? そうかもしれんな。はっはっはっ!」
「で、目的地はどこですか?」
だんだんと人気の少ない場所へと突き進んでいく彼。
彼の性質からして裏表がないとは思うもこうも人気のない場所まで連れていかれるとなんだか不安になる一勝だった。
「目的地はここだ」
そう言って、彼が指差したのは一つ空き教室。本校舎とは離れており用がなければ誰も立ち寄らないような教室だ。
「入るぞ」
そう言って煉獄は扉を開けた。中は机やいすを置いてあり倉庫代わりにしているのがよくわかる。だが、一つ異質なのはこの教室には人いすわっている気配があることだ。一つのコップに一つのポットそれらが教室の中央に置かれている長椅子に置かれており、そしてその端でぼうっと外を眺める一人の少女。
見覚えのある少女だ。髪を後ろの方で束ねそれを大きな蝶々型の髪留めで留めた美少女。彼女の名前は何度か聞いたことがある。
「しのぶ嬢。君のサポートをする少年を連れてきたぞ」
「煉獄先生はいる時はノックをお願いします」
意気揚々と入っていった先生にしのぶと呼ばれた少女は不機嫌そうにそう返した。
「はぁ、まあいいです。私は胡蝶しのぶ。奉仕部部長。あなたの名前を教えてくれるかしら坊や」
うーん、トレースできてないな……