NEW GAME! ~omnibus love stories~   作:黒ゴマアザラシ

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完結したと聞いたのでリメイクです。


プロローグ

 ガキの頃、なんでこんな仕事をやりたいと思っていたのだろう。

 と、俺はそんなことに十四年間も答えをだしあぐねてる。

 思えば、この道を志した時間よりも長く、俺はここにいる。

 答えなんて一生わからない。例えわかったとしても、それは求めてるものではないのかもしれない。

 

 「……働きたくねー」

 

 色も落ち、着崩れた、どこで買ったのかも忘れたジーパンのポケットからタバコとライターを取り出し、そのうちの一本に火をつける。

 肺に大量の煙が充満し、脳にニコチンが染み込んだくるのがわかる。最初こそ抵抗はあったが、今はこれが妙にくせになる。

 

 「……」

 

 煙が夜空に吸い込まれるのをボケーッと、ビルの屋上で眺めてる。星は見えない。その代わり地上には文明が作り出した光がギラギラと俺を睨みつけてくる。

 まともじゃないよな。ここにいる全員。なんでそこまで働かなくちゃいけないんだよ。他にやることないの? ほら、家には愛する家族とか待ってないの? そんなに仕事ばっかしてると逃げられるぞ?

 

 まあ、社畜で愛する家族なんていない俺がなに言ってんだってはなしだよな。そもそも家すらあるのかないのか怪しいし。このビルが俺の家? 

 やだなーそれ。

 と、そんな俺の人生を悲観してると屋上のドアがガチャリと鳴る。

 

 「随分と余裕なんだな。こんなところでサボれるなんて」

 

 ……このサディスティックな声。奴しかいない。

 

 振り返れば予想通り。灰色がかったウェーブのかかったロングヘア、メガネとストールを身につけた奴が立っていた。

 

 「なんだよ、葉月。あれ、使い魔のあまんちゅ怪獣アハゴンはお連れじゃないのかい?」

 

 「お前そんなこと言ってると海子君に風穴あけられるぞ?」

 

 「うるせぇ、どーせアンタもさぼりのくせに」

 

 「プッ……しかし……あまんちゅ怪獣アハゴンってクフッ…………。確かにあの子は怪獣だな。ハハハ……」

 

 と、葉月はウェーブのかかった髪を揺らしながらは腹を抱えて笑っている。

 おいおい、俺から振った話題とはいえ笑いすぎだろ。メガネずれてるし。

 

 「まあ、使い魔としては些か凶暴がすぎるね。もう少し従順な使い魔がほし──」

 「みっともない隊長には、どんな一兵卒の兵士でも従いたくないものですよ」

 

 「「!?」」

 

 うおっ、噂をすれば……。

 

 「それで?」

 「ぐえっ……!」

 

 日焼けサロンに行ってるのか? と訊ねたくなるくらいに焼けた色黒の肌、まるで葉月とは対局の焦げ茶色の髪をした彼女、阿波根うみこが葉月しずくを締め上げてる。

 コイツ、一応葉月の部下だよな? 大丈夫かよ、上司にCQCかまして。

 

 「お二方はこんなところで何油を売っているですか?」

 

 「ち……、違うんだようみこ君、私は敦君に話がアイタタタタタ!」

 

 「全く、宮本さんもタバコ休憩もほどほどにしてください。明日から新入社員が来るんですから」

 

 「新入社員?」

 

 初耳だ。大きなプロジェクトを同時に3つもやってるから耳にする暇がなかった。

 言われてみればもう季節は春だ。新卒で入ってきたんだろう。

 

 「はい。ですので、新人にみすぼらしい格好を見せないでください」

 

 「ふーん、別にいいっしょ? 長続きするかわかんないし」

 

 ふかしてたタバコの火を消すため、備え付けられているスタンド灰皿に押しつける。

 これは俺の経験則だが、新入社員にはあまり期待しない方が良いと言うことだ。事情かは大体想像がつく。

 どーせ、子供このからうちの作品をやってファンになったとかそのクチだろう。

 

 「いや、案外面白い娘だったぞ?」

 

 「なに? 知ってんの?」

 

 いつの間にかアハゴンのCQCから逃れた葉月のメガネがキラリと光る。

 

 「私が採用した」

 

 「……」

 

 なんとなく察しがついた。どうせ可愛い女の子だったから採用取ったのだろう。

 ていうか、子じゃなくて娘になってるし。

 

 「で? どこの大学? 美大? それとも専門?」

 

 「いや、高卒だ」

 

 「はぁ?」

 

 おいおい。大丈夫かよそいつ。人雇うたって金かかるんだぞ? 普通の会社なら高卒でも仕事やっていけるだろうがうちが作ってるのは素人が触っていいもんじゃねぇぞ。俺も高卒だけど。

 面接官がコイツだったってだけ幸運か。

 

 「芳文美術の受験結果の発表と、うちの採用の知らせが同時に届いたらしくてね。それでうちを取ってくれたんだ」

 

 「へぇ……」

 

 芳文美術。俺でも知っている。少なくとも関東近辺で言えばかなり上のランクだ。それなら大学出てからでも良かっただろうに。

 

 「本人の希望で、グラフィックチームのキャラ班に配属させる予定だ。あそこには遠山君と八神もいるし、良くしてくれるだろう」

 

 あぁ、あいつらか。八神はともかく、遠山がいるなら新人でも1ヶ月で逃げ出すことはないだろう。

 

 うちの会社がここ数年大分でかなり楽になったのはあいつらの功績といっていい。

 俺とて遠山には世話になってるくらいだ。今でも泊まり込みで働き積めてるが、俺が入社したころに比べればまだマシだ。

 思えば、あいつらも高卒だったな。八神も遠山も、多分今回のがうまくいったら出世するだろ。

 確か遠山はプロデューサー志望で、八神は……いや、よそう。あいつもかなり門が取れたし間違えはしないだろう。

 

 「敦君には、二人のサポートとしてキャラ班に配属することになったから明日から頼むぞ。勿論、今持ってる仕事もキチンとこなしてくれよ」

 

 「おい、そんなの聞いてないぞ」

 

 「ホントはもっとはやく伝えるつもりだったさ。君が忙しいから後でって言うから」

 

 「っ……」

 

 この女喰いめ。

 あのチーム女しかいないの知ってるだろ。新人だって女だろうし。

 コイツ、永遠の二十歳とかほざく癖に入社したのは俺と同──

 

 「うみこ君!」

 

 何か察知した、葉月の叫び声と同時にアハゴンは疾走し、俺の胸元に潜り込んだと思ったら視界が上に向いた。

 おそらく、顎を思いっきりカチアゲられたのだろう。

 さっきあまんちゅ怪獣アハゴンとか言ってたのを聞かれたのか、目が完全に殺す気だった。

 速さ故か、不思議と痛みはなかった。その代わりに二日酔いのような耳なりと目眩が俺の脳を掻き回す。

 俺の意識はそこで完全にシャットダウンした。

 

 ──こんなことが毎日ある会社。

 複数の仕事の囲い込み、バグとマスターアップのクソッタレにまみれたこの会社が作るのは家庭用ゲームソフト。

 その名も株式会社イーグルジャンプ。

 ここに入社してはや十四年間──

 

 俺はなんでこんな会社に入ったのだろう。




一人目の主人公

名前 宮本 敦

年齢 32歳

誕生日 11月16日

星座 蠍座

血液型 A型

身長 174㎝

体重 55キロ

最終学歴 高卒

好きなもの タバコ、中華料理全般

嫌いなもの 仕事そのもの

特技 暗記

出身地 東京

役職 作る作品によって変わる。ゲーム制作に関することなら大抵のことはできる。

リメイク前と比べて、性格とかも若干変わっています。その変も含めて楽しんでいただけると幸いです。
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