NEW GAME! ~omnibus love stories~ 作:黒ゴマアザラシ
青葉視点
「ゲーム展、どんなかんじなんでしょうね」
「企業日やから一般の日よりも空いとるはずやで」
「去年も行ったけどすごくおもしろかったよー」
八神さんにゲーム展に行ってみるようにと進められた私たちとゆんさんとはじめさんは、キャラ班を後にしてオフィスを出ようとしていた。
ゆんさんもはじめさんも凄く楽しみにしてるみたい。それもそのはずだ。
だって、今日初めて、『フェアリーズストーリー3』が一般公開される。私もちょっとドキドキしてる。
そうしていると、前から敦さんと葉月さんが並んで歩いてくるのが見えた。
「そういや葉月、前に桜が見つけた階段付近のバグについてなんだけどあれどうすんだ?」
「あぁ、あれは仕様だよ。偶然にチラリと見えるパントゥ…そこにロマンがあるのさ」
「それCERO的にアウトじゃね?」
敦さんと葉月さんが二人で話しているところは、入社して半年も経っていない私から見てもそう珍しいことじゃない。
多面的に制作に携わってる敦さんにとってはディレクターの葉月さんと話すことはほぼ毎日に見かけることだ。
「おや?」
そう思っていると、葉月さんが私たちに気づいてこっちを向いてくる。敦さんも遅れて私たちに気づいた。
目があった途端、私たちは揃って挨拶する。
「「おはようございますっ」」
「っ……おはようございます」
一応、先輩と上司だからちゃんとしないと。
でもゆんさんは何故か敦さんを睨んでる。何でだろ?
「涼風君じゃないか……あぁ、今日は企業日だったね。八神君が行くように言ったのかな?」
「そういやもうそんな時期か」
「敦さん達も忙しいんですか?」
「まぁな」
ため息をつきながら敦さんはぼやいている。さっきの話もバグのことみたいだしやっぱり忙しいみたい。
でも、さっきねねっちがそれ見つけたんだよね?
ねねっち、ちゃんと働いてるんだ。よかった。
この前コード抜いちゃったことや、うみこさんにいつも叱られてるところがあったから少し心配してたけど安心した。すると、敦さんは突然顔の色を変えて私の方を向いた。
「なぁ、涼風。もしも俺と同じ背丈の、灰色の髪をした男が話しかけてきたら、無視して逃げろ。いいな?」
「えっ?」
あまりに当然切り出されたので、困惑した私は思わず聞き返してしまう。敦さんはさらにグッと近づいて念を押して言った。
「いいな?」
「は……はい」
その瞳はまっすぐ私を見つめていた。それがよりいっそう恐怖を引き立たせる。ゆんさんもはじめさんも怖がってる。
その時の様子は、依然敦さんのお見舞いに来て、私があるディスクを見つけたときの雰囲気とどこか似ていた。
誰なんだろう……その人。
「あ、確かにアイツも行ってるだろうな。敦君、せっかくだし君も行ってみたらどうだ?」
「はぁ!?」
敦さんの忠告を聞いた葉月さんは何か面白いイタズラでも思いついたような顔で敦さんにも話を向けてきた。
それに対して敦さんは露骨に嫌な顔をする。
「嫌に決まってるだろ。なんでよりにもよってアイツがいるところに行かなくちゃいけねぇんだ」
「へー、でもアイツ、涼風君達が無視した程度でなんとかできるとは思えんのだが」
「……っ!」
嗜虐的な笑みを浮かべながら、葉月さんは敦さんを追いつめている。
敦さんも返す言葉が無くなってきているのが見て取れる。
そんなに怖い人なの? 二人が言っているアイツって……。
「決まりだな」
「待てよ! まだ行くとは言って──」
「はなちゃん!」
「はーい♥」
葉月さんのかけ声と同時に、ピアスをした細身の男性がどこからともなく現れて驚いてしまう。
えっ……、今どこから出てきたの?!
ってよく見たら前に佐藤さんとりんさんの時に敦さん達と話してた人だ。
「今日はどんな感じにする~?」
「はなちゃんのおまかせで」
「OK♥」
「だから話を勝手に進めんじゃ──ぎゃああああああ!」
敦さんが言い終わる前に、敦さんを捕まえた花男さんはそのまま彼を引きずって会議室がある方向に消えていく。状況にいまいちついていけない私たちは、敦さんたちを追いかけようとしたけど、葉月さんに止められた。
「あ・・・・・・敦さんたちは何を?」
「なに、10分もしたらすぐにわかるさ」
葉月さんに言われるがまま、私たちはその場で二人を待つことにした。
すると、会議室の方から2つの声が聞こえた。
「フンッ!」 「アーッ!」
「「「・・・・・・」」」
今のは聞かなかったことにしようと、私たちはその場で無言のやりとりを行った。
こうしてると敦さんたちがひふみ先輩に佐藤さんとりんさんのことを押しつけたのと似たようなことなんだけど、こんなかんじなんだな。
・・・・・・そういえば、ひふみ先輩はどうしてるんだろ。
八神さんは先に行っていると言ってたけど、メールの返信はまだない。いつもなら早いのに。
と、そこまで考えていると葉月さんの言うとおり10分経っていた。そろそろ二人が戻ってくる頃と思ってた時、会議室の方から二人の人影が見えた。
片方はピアスをした細身の男性、花男さんだ。
そして、花男さんの隣を歩いていたのは――
「「「!?」」」
私たちは息をのんだ。
「あの……敦さんですか?」
「それ以外の誰だって?」
「いやホントに誰ですか!?」
私たちの目の前に現れたのは見たことのない宮本敦だった。
まず違ったのは見た目。
特徴的な目のクマは消えてなくなって、むくみのある顔もすっきりとしている。その上、綺麗に整った顔の上には縁のない眼鏡まである。髪の毛も散髪されていて、ほどよい癖っ毛になっている。
服装も、八神さんのようにだらしない格好ではなく、ファッション誌で見かけるような格好だ。
「どうかしたかい?
「えっ・・・あの・・・・・・名前?」
そして次はしゃべり方。低くて重く、そのくせに変に柔らかい声は、いつものだらけたしゃべり方とは違って随分ていねいだ。
あと、私のことを名前で呼んだ。
「そこまで驚かなくてもいいじゃないか。ま、
そう言いながら眼鏡を外すと、いつものだらけたしゃべり方に戻った。
「素顔はハンサムなんだから、ずっとその顔でいればいいじゃない」
「花男、簡単に言うな。維持するのがしんどいんだよ」
余計に訳がわからなくなってしまう。はじめさんもきょとんとしてるし、ゆんさんに至っては、あんぐりと口を開けて顔をいろんな色にコロコロ変えている。
「こういう仕事してると、メディアに露出する時もあるからね。視界の有無で性格をスイッチしてるんだよ。ちょっとしたおまじないさ」
また眼鏡をつければ、だらけた口調とは打って変わって、ていねいな口調に早変わり。
まるで役者のような口ぶりだ。
どっちが本当の敦さんかもわからない。まさか二重人格!?
いや、使い分けてるだけだし、そういうのじゃないのかな?
TPOとか言うんだっけそういうの。なるほど、八神さんみたいに正直じゃなくてもこんなやり方もあるんだ。
そこまで考えると、ふと気になることが1つできた。
「視界の有無ってことは、敦さんって目が悪いんですか?」
「軽い近視でね。でもまぁ、普段仕事してる時とかにはつけなくても青葉たちの顔くらい見れる範囲だから仕事には支障はないよ」
そこで日常生活と言うのではなく、仕事と言うのが敦さんらしい。
やっぱり口調が変わってもこの人は敦さんなんだとちょっと安心したりする。
でも眼鏡をつけるのは、あまり落ち着かないからか、敦さんはすぐに外して胸ポケットにしまう。
「ま、涼風はまねしない方がいいかもな」
といつもの口調に戻ってから、敦さんは前に私をからかったみたいに私の頭を撫でようとする。とっさに私はそれをガードする。
「!」
敦さんといい、佐藤さんといい、背の高い男の人に頭上を許しすぎてる気がするから必死だ。
だけど、敦さんの手は私の頭とは違う方向に逸れた。
「あれ? お前ちょっと背が伸びてないか?」
不思議そうな顔で頭を撫でてる敦さんを見て私は戦慄する。
「~~っ!!」
だって……敦さんが撫でてるのは私じゃない。
「敦さん、それゆんさんです……!」
「うおぁ!?」
言われてようやく気がついた敦さんは慌ててゆんさんの頭から手を離す。
ただ、その時一瞬だけ、普段長袖で隠れてる敦さんの右腕に、一筋の縫い傷があることに気付いた。
「……」
はじめさんはそれに気づかず、ゆんさんの頭を撫でたことを笑いながら敦さんをからかい始めた。
「全然大丈夫じゃないじゃないっすかー」
「眼鏡外した直後だからよく見えんかった。あー飯島? 大丈夫か?」
「ゆ……ゆんさん?」
「……」
「立ったまま気絶してる……」
●
ゆんさんが目が覚めたあと、私たちは電車に乗ってゲーム展の会場までたどり着いた。
あの後も、ゆんさんはしぶしぶついてくることになった敦さんを険しい剣幕でずっと睨んでいて、そのせいで敦さんはすごく居心地が悪そうだった。
機嫌を悪くしたゆんさんだけど、それもすぐによくなった。
というもの──
「ああ! ソフィアちゃんが映ってる!!」
「私が作ったモーションも!」
「うちのモンスター!」
私たちが作ったモノたちが、プロモーションビデオとして大きなモニターに映し出されている。
こんなたくさんの人が見てる中でなんたか恥ずかしいけど、八神さんが行けって言ってくれたことがわかった気がする。
ふとはじめ先輩とゆん先輩の方を見ると、目をキラキラさせてモニターを見つめている。
そっか…。はじめ先輩もゆん先輩もこれが初めてなんだよね。しかも入社したばかりの私なんかよりも一年多く……。
そんな凄い作品がこれから、発売されるんだ。
……敦さんは一度PVを見たら適当な感想を述べてから、トイレに行ってくるとか言ってたけど。
やっぱり何回も作ってるとそういう反応になっちゃうのかな?
それは……なんかやだな。
敦さんは、そんな権利なんてないって言ってたけど、やっぱり違うと思う。
でも、それを違うって証明できない自分がもどかしい。
「──ねぇ君たち、もしかして『イーグルジャンプ』の子達かい?」
「「「?」」」
突然知らない人に声をかけられた。
振り返ると薄い灰色の髪をした男の人が立っていた。背広姿をしたその人は、敦さんと同じ体格をしていた。灰色の髪の毛は一本一本が繊細で、毛先はふんわりとしている。それはまるで絵本で出てくるような王子様を思わせた。
「あ……あの、どこかの企業の方ですか?」
「あぁ、失礼。こういう者なんだ」
男の人は自分の服の中から長方形の紙切れを取り出す。見たところ名刺だ。
今日ここにくる前に八神さんに教わったからわかる。一番前にいた私が自分の名刺を取り出して男の人の前に出す。
「か、株式会社イーグルジャンプの、涼風青葉と申しますっ」
ちゃんと言えた。練習したとはいえホントに名刺交換することがあるなんて……。
でもその人は私をじっと見つめるだけで、なにも反応しない。
「……」
「あ、あの……」
「あぁ、ごめんね。あんまり可愛いから見惚れちゃってたよ」
「えぇ!?」
「気にしないで、ほら名刺」
男の人はまるで私の緊張を溶かすような明るいのような笑みを見せながら私の名刺を受け取って、自分の名刺を私に渡してくれる。
受け取った名刺にはこう書かれていた。
株式会社sygames 代表取締役社長 渡邊新一
と。
「……」
……へ?
だいひょーとりしまりやくしゃちょー?
「青葉ちゃんーその人誰──!?」
「あ……青葉ちゃん? その人もしかして……」
はじめ先輩もゆん先輩も、私が受け取った名刺を見て固まっている。
知ってる。
sygames。
有名なソーシャルゲームの会社だ。企業として最近できた会社だけど瞬く間に業績を上げていった。
初めてリリースした『神撃のファフニール』や、最近なら『シャインバース』、『プリセスコネクタ』、『アイドルシスター』どれも有名なゲームだ。
私も高校生の時にクラスのみんなが話してたことを思い出す。
そんな凄い人が今目の前に……!
「──おいシン!」
「!?」
突然肩を掴まれた私はそのまま後ろに引っ張られる。顔を上げると敦さんが私を抱き寄せたのだ。
「敦さん!?」
敦さんの顔が、いつものお化けの様な顔でないのと、彼の身体と密着してしまっているせいか、不思議と顔が暑くなってしまう。
真剣な顔のまま、敦さんはその人に話しかけた。
「うちの社員に何してやがる?」
「何もしていないさ。ちょっと挨拶しただけだよ」
敦さんっ! この人社長さんですよ!? なんで眼鏡かけてないんですかー!?
そんな風な喋り方だと殺されちゃうんじゃと、思ったとき、私はピンときた。
敦さんが話してた同期のことを。
確か社長をしてる人がいるって、まさかこの人!?
そして、今朝会社で敦さん達が私たちに忠告してた人のことも。
「ひさしぶりだね、敦」
「頭の湧いた廃人共から搾取した金で食うステーキの味はうまいか?」
「まるで人の仕事をヤ●ザみたいに言わないでほしいな。ちゃんと消費者の了承を受けて提供してるんだよ? 課金するかしないかは消費者の自由さ」
「……チッ。これだからここに来るのはやだったんだよ」
彼の外連味の無い笑顔に悪態をこぼしながら私を手放した敦さんは、私たちを一瞥すると、目の前にいる社長さんに目を迎直りながら言った。
「お前らは先に帰って仕事でもしとけ。俺は、コイツと話がある」
●
敦視点
「マール・ド・ブルゴーニュ ロマネ・コンティ って知ってるか?」
涼風たちを引き返させたあと、俺は、フェアリーズストーリー3のブース付近の空いたスペースにいる。
隣には、忌々しいコイツを置いて。
「あぁ、もちろんだとも。一本二十万する高級ブランデーだろ?」
「社長のてめぇにゃわからんだろうが、安月給だろうがコツコツ貯めて、ここぞって時に味わおうとした秘蔵の品だ」
「それが?」
「てめぇが会社を辞めたあの日、俺はソイツを開けて祝った。そんくらいてめぇにゃウンザリしてたんだよ」
「僕も、あの時、君のパソコンにウィルス流しこんだりしたっけ?」
「やっぱりあれてめぇか!」
だと思ったよ。
うまい酒飲んでいい気分で仕事しようと思えば、コイツの自作クソゲーをクリアしないとパソコンが開かない仕様になってやがった。そもそもあんな質の悪い嫌がらせするのはシンを除いて他にいない。
本当に最悪な気分だった。
特に今している笑み。
一見気を許してしまいそうになるその顔とこの外連味の無い声は、コイツのなりよりも恐ろしい凶器だ。この笑顔の裏の性根がどれほどひん曲がっているのか、俺は痛いほど知っている。
目的のためなら、どんな手段も選ばず、身内に火中の栗を拾うことすら厭わない男。
だからこそ、わずか数年で自分の会社をあそこまで大きくできたのだろう。きっと、相当な恨みを買っているはずだ。
「そうそう、葉月は元気にしてるかい?」
「まあな。いつも通り女ばっか囲ってこっちが苦労してるよ」
「アハハ、大学の頃から相変わらずだね」
笑みを崩さないシンは『フェアリーズストーリー3』のプロモーションビデオが表示されてるモニターに目を向ける。
その瞬間、ヤツの笑みが変わった。
「八神はどうだい? あの子、また後輩を苛めてないかい? あの可愛い子達も心配だよ。ホントのこと知ったらどんな顔するかな?」
「おい……」
ヤツの口からその名前が出た途端、測らずとも声が濁る。ヤツがこれから話そうとしていることが、それほど胸くその悪いことだからだ。
「今だから言うけれど、あの子の教育には難儀したよ。要領は悪いし、独断専行でチームの雰囲気を悪くする。おまけにあの子供だましのキャラデザときたもん――」
「シンっ!!」
言い終わる前に、俺はヤツの名を叫んだ。周囲の視線がこちらに集まるのを感じるが、そんなことすら些末ごとだ。
ただ、目の前にいるコイツの言葉を俺は許すことはできない。
コイツがうちを辞めたのは、フェアリーズストーリー2の開発中。その時期に、コイツはある新入社員と一緒に、イーグルジャンプを辞めたんだ。
「あの時八神を見限ったお前に、今の八神をとやかく言う資格はねぇよ」
「…なんだよ。軽い冗談じゃないか。そんな怖い顔しないで。せっかくのハンサムが台無しだよ。ほら、スマイルスマイル」
目の前にいるこの男は笑みを浮かべ、軽く流そうとする。だが分かる。その瞳は一切笑っていない。ただまっすぐ、『僕は絶対に間違っていない』と疑っていない。そんな目だ。
「アイツじゃ綠の代わりにはなれないよ」
そうだ。だから俺はコイツと涼風達を遭わせたくなかったんだ。ここに来たのだって、こうなることを分かっていたから。涼風達には、コイツの話を聞かせてはならないと。
まるで道化のように大げさな身振り手振りでこちらに歩み寄ってくると、俺の肩に手を置く。
「まああれだ。帰ったら八神に伝えといてくれよ」
そして、俺の耳元でささやいた。
「君がクビにしたあの子、次の新作のキービジュ担当になるんだ。今度のはすごいよ。この国にいる糞虫どもが狂ったように金を貢ぐだろうさ。まるで、悪い薬にでもハマったようにね」
「……てめぇ、つまんねぇヤツになったな」
「でなきゃ何も守れないよ。あの時みたいにね」
あの時という単語に、すでに逆立った俺の神経はさらに逆なでされる。いいや、コイツの場合、虫酸が走るという方が正しい。それは、俺にとって、いいや俺たちにとって忘れることのできないあの事件の事。
「まったく、せめて君がやってくれたなら、まだマシだったんだけどね」
「その手の苦情は、もう何万回も承ってるよ」
俺はヤツの乱暴に手を振り払う。
あの時の後悔のことを俺は未だに後悔している。。俺がコンペに出られなかったことじゃない。俺にとって、そんなことどうでもよかったんだ。
いやいっそのこと、俺があの時死んでいれば……あんなことにはならなかった。知りたくもないことを、気づきたくもないことを、あぁして直視することなんてなかったのに。
無知でいれば、ただの子供のように夢を追いかけていれば、一度も振り返ることなく前に進んでいれば後悔なんてしなくてよかったのに。
だが……そんなこと、もう今更どうこうすると言った話ではない。
もう色んな事が、手遅れだったんだ。
「俺はもう……モノを作ることは、できない」
「……勝手にするといい」
俺に背を向けたシンは、ゲーム展のざわめきがごった返す人ごみに消えていこうとする。
だが、その前に立ち止まって再びこちらを振り返った。そして、わざと周囲に聞こえるような大きな声で言った。
「あぁそういえば、敦、葉月とは寄り戻したのかい?」
「あ? んなわけねーだろ。アイツとはもうとっくに終わっ──」
「「「えぇーーーーーー!!??」」」
「……」
今、聞き慣れた声が聞こえたような。
それが聞こえた方角に目を向けると、俺の素顔を見たときに見せた顔よりもあんぐりとした顔でこちらを覗いている涼風たちがいた。
湧き出た感情は焦りではなく怒りだった。俺はすぐにヤツがいた方向に目を向ける。
だがそこには人ごみがごった返しているだけであの嫌がらせ野郎の姿はどこにもない。ヤツは、最後の最後にとんでもない爆弾を落としていきやがった。
……あの、あの……クソ野郎ー!!
オリキャラ紹介
名前 渡邊新一
年齢 36歳
最終学歴 大卒
身長 174㎝
体重 56㎏
出身地 佐賀県
補足
敦さんが話していた3人目の同期。
初代『フェアリーズストーリー』の制作に携わっていたが、『フェアリーズストーリー2』開発中ににイーグルジャンプを辞めて会社を立ち上げる。
そして、敦さんと葉月さんは元恋人関係で、シンと葉月さんとは同じ大学で一緒にイーグルジャンプに就職した経緯がある。
そう! つまり葉月さんの年齢は3じゅ──おっと、誰か来たようだ。