NEW GAME! ~omnibus love stories~ 作:黒ゴマアザラシ
青葉視点
青葉です。私はなんと早速3Dモデルの仕事を任せてもらえることになりました。村人のモブのだけど、初めて託されたお仕事なので精一杯頑張りたいと思います!
……なのですが、やっぱり初めてなので色々上手くいきません。
やっぱり参考書とは勝手が違って悪戦苦闘中。とはいえ、少しずつ人の形になってきています。
何度も参考書を読み直して、またパソコンの画面を凝視して操作を進める。それを繰り返す。
「おい、お前が例の新人か?」
えっとここは確かあの章に書いてあったような……あ、あったこれだ。
「……おい」
それでここをこうして……こうすると、できたっ!
「先輩を無視するとは良い度胸だな」
「きゃあっ!?」
私は後ろから誰かに頭を捕まれた。そしてそのままギュッと握られると、クレーンゲームのように引き上げられる。
席を立たされた私は恐る恐る後ろを見た。
そこには男の人がいた。宮本さんとは違う。その人は敦さんよりも背が高くて、長い前髪の金髪は片目が隠れていて、そこから覗く目は敦さんよりもキリッとした人だった。その目のせいでにらまれてるように思えた。
「……っ!」
「あ、なんだお前、モデリングやってたのか。集中するのは良いことだが、無視はよくないだろ」
「ごっ、ごめんなさいっ!」
以前頭を捕まれたままの私は、身体を動かすことができないけどそれで表現できる限りの謝罪をする。まさか、先輩の人に声をかけられて無視してしまうなんてっ!
「こらっ、佐藤君。あんまり青葉ちゃんと苛めたらダメよ」
別の方向から、また他の人の声が聞こえた。これには聞き覚えがある。ADのりんさんだ。この柔らかくて母性的な声は間違いない。
その声に釣られたのか、目の前の男の人も手を私の頭から離してくれた。
「あぁ、悪いな」
「違うんですりんさんっ! 私が作業に集中しすぎたせいで」
「あらそうだったのね。でもダメよ佐藤君。青葉ちゃんも悪いけど、もっとやり方があると思うわ」
「……そうだな。悪かったな、えっと、涼風」
ここで初めて、私は後ろから頭をつかんできた男の人を正面から見ることができる。
私よりずっと背が高いせいで、ちょうど胸元に視線が集まるけど、そこには社員証があった。
それには、『グラフィッカー』と言う文字と、『佐藤弘樹』と書かれていた。
入社したと時の挨拶で会ったことがある。同じフェアリーズストーリー3を作っている背景班の一人だ。
「はい、私もすみませんでした。佐藤さん、それで何か用があったんですか?」
声をかけてきたと言うことは何か用事があったのかなと思い、私は改めて本題に入るように促すことにした。
「いや、今日お前の歓迎会だろ。念のため声をかけといてくれって八神から言われたんだよ」
「あっ、すっかり忘れてました」
「……お前なぁ、初仕事で気合いが入るのもわかるが、少しは肩の力抜けよ。ま、一応声はかけたから、歓迎会、遅れずに来いよ」
「頑張ってね、青葉ちゃん」
「はいっ、ありがとうございます」
そう言うと、佐藤さんとりんさんはキャラ班のブースからでていってしまった。
でも、キャラ班のブースを出かかる直前に、りんさんが佐藤さんに声をかけていた。
「それでね、聞いて佐藤君。コウちゃんったらまた――」
八神さんのことを話しているようだけど、結局、どんどん離れていったせいで話の内容を聞くことはできなかった。
●
「それではちょっと遅くなっちゃいましたが涼風青葉ちゃんの新人歓迎会を行いたいと思います……乾杯!」
「「「「「かんぱーい!」」」」」
「今日は会社のおごりだから、みんな好きなだけ飲んで食べてね!よっしゃー!食うぜー!」
「あ!そんなに肉を持ってかないでくださいよ!」
佐藤さんが話してくれた通り、私の歓迎会になることになりました。メンバーは仲良くなったキャラ班の皆と八神さんとりんさん。
そして、佐藤さんと宮本さんまでも来てくれました。
「なんで俺まで来ることに……」
「まぁ敦さん、いいじゃないですか。ほら呑んだ呑んだー」
「……」
でも宮本さんは少し、居心地が悪そう。そしてそれをどこか面白がっている八神さんが宮本さんのグラスにビールを注いでいる。
宮本さんはこの状況はあまり得意じゃ無いのだろうか? 確かに、女の子がたくさんいるから当然なのかも。というか、隣にいるゆん先輩を少し腫れ物扱いしてるような気がする。
一方、佐藤さんはりんさんの隣に座っている。佐藤さんは敦さんとは対照的に落ち着いた雰囲気だ。
「あ、佐藤君、ついであげるね」
「あぁ、悪いな」
佐藤さんとりんさんって、八神さんの次に仲がよさげだ。同期なのかな?
「そう言えばさ、青葉って彼氏いんの?」
「い、いるわけないじゃないですか!」
宮本さんを面白がるのに飽きた八神さんは、今度は私に話題を振ってきた。
か、彼氏っ!
いきなりなんてこと聞いてくるんですかこの人は!
さっきも辛子が入っているたこ焼きを食べさせてきたり、少しイジワルが過ぎる。
子供の頃から絵の勉強してたからそういう暇が無かったと言えばそれまでだ。
そりゃあ、私だってそういうのを夢見たことはありますけど、なんでそういうこと聞いてくるかなぁ。
八神さんにからかわれっぱなしの私は少しムキになって、つい喰い気味に返してしまう。
「でも、八神さんはいそうですよね」
「へっ!? い、いるわけないじゃん!」
「なに初々しく照れてるんですか……」
カウンターを食らったのが予想外だったのか、それともそういう経験が無いのか、八神さんは途端に女々しい反応を見せてくれた。
そして、自分に矢面が経つのを嫌ったのか、なんとまた宮本さんに話を振る。
「あ、敦さんはどーなんっすか? 今までそんな話聞いたこと無いんですけど」
「あ? なんで俺なんだよ」
「い、い、か、らっ! 応えてくださいよっ!」
八神さん、どこまで話を逸らしたいんですか。
若干呆れていると、宮本さんはグラスに入ったビールを飲み干して言った。
「……いた。とだけ」
「えーなんですかそれ、余計気になりますよ」
「口止めされてるんだ。許せ」
「むー、つまんないですよ。あ、じゃあ、佐藤はどうなの?」
「……俺は、いない」
さっきまで落ち着いてお酒を楽しんでいた佐藤さんは、少し肩を揺らしながらも淡々と応えた。
「あら、そうなのね。佐藤君はそう言う人いそうだと思ってたのに」
意外にも、その話題に食いついてきたのがりんさんだった。
「……なんでだよ?」
「ほら、佐藤君って背が高いし、目元もキリッとしてるからかっこいいなって」
「んふっ……! んふっ……!!」
「だ、大丈夫佐藤君!?」
「わ、悪い……」
りんさんの『かっこいい』というフレーズが出てきた途端、佐藤さんは急に咳き込んだ。
ん?
どういうことだろう。何か、何かすごいひっかかりを覚えた。
「もー佐藤も敦さんもつまんないなー。つーか、仕事ばっかしてっとよー。そんな暇ねぇっつーの!」
そして八神さんはちょっと目を離した隙に大分酔いが回っている。宮本さんと佐藤さんの話をしている間に、結構呑んだみたい。
「ちょっとコウちゃん飲み過ぎじゃ無い?」
酔っている八神さんを見かねたりんさんは、彼女が持っているグラスを取り上げる。
「これは私が呑むわ」
「ちょ…その酒強いよ…」
そしてそのお酒をグイッと一気に飲み干してしまった。あまりにいい飲みっぷりに感心しているのもつかの間、りんさんの表情が変わった。
「……私も彼氏はいないわ」
うわぁ!
すごい酔ってるこの人!
明らかに目の焦点が合っていないのが素人目にもわかる。
「あおばちゃん! しんじんはせんぱいにおさけをつぐものれす!」
今まで大人で頼りになるお姉さんみたいなりんさんの豹変に動揺していると、そのままりんさんに目を付けられる。
「はぁ……」
とりあえず言われるがままりんさんが持っている空のグラスにビールを注ぐ。注ぐけど……
「……」
口では言わないけど、りんさんはわかってないなぁと首を横に振る。
「す、すみません!!」
「びーるのただしいつぎかたってのわね! こうするのよ! こうちゃん!」
今度は八神さんがターゲットにされた。八神さんも私と同じようにりんさんのグラスにビールを注ぐ。グラスにビールが溢れるギリギリ。ちょうどビールの黄色と白い泡が七三になるくらいのところで止めた。
「これ。これがえてきにもあじにもべすとなの」
「おぉ……」
りんさんの堂々とした熱演と、八神さんのどや顔につい感動してしまう。
でもりんさんはそれを飲み干す前に気を失ってしまった。
「あー弱いのに飲むから~」
そうか、これが大人の飲み会のマナーなのか。私の知らないことばかりだ。ちゃんと覚えないと。
「涼風、変なこと覚えるな。むしろこうなるな」
「そうだぞ。こうならないようにするのが大人だからな」
気を失ったりんさんを尻目に呆れている宮本さんと佐藤さん。
佐藤さんに至っては、自分の上着を倒れたりんさんに被せている。
なんだろう。佐藤さん、りんさんに対してちょっと優しいような気がする。違和感を覚えたのは私だけでは無く、八神さんも同じだった。
「佐藤ってさ、りんに対してだけ妙に優しいよね。好きだったりして~」
「!?」
そうなのっ!?
だとしたらあの時、りんさんに恋人について聞かれたときに見せた動揺にも説明が付く。
もしかして佐藤さん、本当にりんさんのこと好きなんじゃ……。
「……そんなわけないだろ」
「あはは、だよね~」
「ったく……ほら、遠山。しっかりしろ。風邪ひくぞ」
「う~ん。こうちゃ~ん」
「……」
所謂、べべれけになったりんさんは佐藤さんに声をかけられているのに八神さんの名前を呼ぶ。そして、その光景を見ている佐藤さんからどこか悲しげな、生気が抜けていくような、体温がどんどん下がっていくような、そんな雰囲気を感じる。
流石にここまで来ると私にもわかる。
佐藤さん、りんさんのこと好きなんだ。
あぁ、嫌なこと知っちゃったなぁ。
●
その後も、ひふみ先輩に代わって初めてお酒を頼もうとして、飲み方とか色々戸惑うことばかりで大変だった。
でも、それは今まで自分が子供だったから知らなかった新しい、大人の世界でもあってすごく刺激的だった。
自分も早く飲めるようになりたいな。
「敦さ~ん、なんか面白いこと話してくださいよ~」
「面白いことって……んな適当な」
飲み会もかなり佳境になる、話すことも無くなり始めた頃に、また八神さんが宮本さんに話を振った。それもあまりにもおおざっぱすぎるほどの。
「えーいいじゃないですか。年長者なんだし。昔の面白い話とかないんですか~?」
「ねぇよ。こんなところで仕事の話とかしたくない」
「ふーん。じゃあさ、青葉は敦さんに何か聞きたい事ってある?」
「私ですか?」
またいきなり変な無茶ぶりを振ってくるなぁこの人は。
そんなの急に思いつくわけ無いのに……そうだ。
私は入社したときに感じたことを宮本さんに聞いてみることにした。
「あの、宮本さんの同期ってどんな人だったんですか?」
「え? 青葉、そんなんでいいの?」
「私、この会社に入って、同期とかいなかったんで。少し興味があって。だめですか?」
「いや、別にいいよ。話してやる」
宮本さんはグラスに入ったお酒を飲んでから、一呼吸置いて話し始めた。
「俺の同期は俺を含めて六・・・・・・いや、五人だ」
「え? 六人って言いかけませんでした?」
「五人だ」
宮本さんは喰い気味に訂正した。なにか引っかかるけど、流石にあまり深入りするのも失礼と思った私は、あくまでその体で話を聞くことにした。
「そのときはこの会社もそこまで大きくなかったけど、そのときは人手が足りなかったからか結構採用したんだ
「つまり、まだ『フェアリーズストーリー』ができていない。まったくの無名だったってわけではないが、少なくとも今ほどじゃない。
「そんで、五人とも別の部署に回された。
「一人は大卒の奴でな。エリート気取りで高卒の俺らを見下してた。仕事はできてたらしいが、周囲にかなりの反感を買ってたな」
「その人は、どうなったんですか?」
「辞めたよ。二ヶ月もせずにな。何分胸糞の悪いやつだったから、なんで辞めたのか、今どうしてるかはわからん。まあ、大卒で二ヶ月で仕事を辞めたらその後の再就職は絶望的だ。その後完全に音信不通だから、つまりそういうことだろ」
「そうですか」
宮本さんは興味なさげな顔でその話をする。ちょっと重たい話になってしまったと一瞬後悔してしまう。やっぱり、それくらい厳しい場所ってことなのかな?
「二人目は高卒の奴でな。ソイツは仕事ができなかった。いつもミスして謝ってばかりだった」
「その人も、すぐにやめちゃったんですか?」
「いや、五年持った。徐々に仕事も出来るようになってきてな。そのあと結婚して会社を辞めて、田舎に帰って家業を継いだらしい。今では八歳の息子と五歳の娘がいるそうだ」
二人目の話を聞いて、少し安心する。そっか、そういう風に新しい人生をスタートできた人もいるんだ。でも、辞めちゃったのか。
次の人の話をするとき、宮本さんは目に見えて機嫌が悪そうな雰囲気になる。
「三人目は大卒でな。ソイツは恐ろしく仕事ができた。もっと上に行くとか言って会社を辞めて、今は自分が会社を立ち上げてたらしい。性格は最悪だけど、頼りになるヤツだったよ」
それでもどこか懐かしそうな顔をしている。嫌っているけど、宮本さんにとっては思い入れのある人なのかな?
「四人目は高卒だけど仕事はできた。だけど悪い上司に捕まってな。かなりひどい目に合わされてたよ。それでも七年間続けた後、料理の勉強して今は近くの居酒屋やってるよ。そこそこ繁盛してる」
「そうですか……」
なんだか、申し訳ない気持ちになってしまった。だって、理由はどうあれ、宮本さんの同期はほとんど辞めている。
八神さんやりんさんみたいに仲が良かった人もいただろうに、離ればなれになるのは少し悲しいな。
「なぁ、涼風。俺がさっき話した奴らは人それぞれだったけど、ソイツらの違いは何だと思う?」
私が気を悪くしたのを気にしてくれたのか、宮本さんに問いかけてきた。
違い?
なんだろう。確かに色んな人がいた。でも違いはなんだと具体的に聞かれると困る。
少し考えた私は、なんとか納得のいく答えを絞り出した。
「忍耐力……ですか?」
「まあ、そういうだろうな。でも俺からすれば──」
宮本さんは言った。
「ないんだ。違いなんて」
「そうなんですか?」
まさかと思う答えに目を見開いてしまう。
「なぜなら、俺たち五人。全員が今言ったようになる可能性があったわけだ。最初の奴が続いた可能性もあったわけだし、続けてた奴がすぐ辞める可能性もあった」
「……」
「一言でいえば、わからないんだ。どうなるかなんて、俺だって色んな奴を見てたが、ソイツがどうなるかなんて神様でもない限りわからない。だから、忍耐力なんかで一括りにはできないんだよ」
「なるほど……」
「お前は今日仕事を任せられたららしいけど、お前はマジメすぎるから追い込みすぎて自爆する可能性がある。たから──」
コップの中にある焼酎を全部飲み干してから宮本さんは言う。
「自分のペースを守れ。多少乱しても、すぐに戻せるようにしろってことだ」
「自分のペースって敦さん乱しすぎゃないですか」
「余計なこというな。まぁ、なんだ、要は俺みたいになるなって話だ」
そう言うと、宮本さんは両手をパンっと叩く。それは、もうこの話は終りだと言っているように見えた。
「とにかく、今日の新歓はここでお開き!そんじゃ、俺は帰るぞ」
そう言うと、宮本さんはスッと席を立つ。ふと周囲を見渡すと、もう皆引き上げる準備をしている。完全にできあがったゆん先輩ははじめ先輩が介抱して、ひふみ先輩はいつの間にかいなくなっていた。
「私はまだ飲み足りないんだけどなー。二次会行く人いる~」
でも八神さんはまだ帰るつもりでは無かったみたい。
「わたしはいけます……!」
りんさんもだ。いつの間にか目が覚めている。さっきまであんなにベロンベロンだったのに大丈夫なのかな。
「じゃあ、私とりんと青葉の三人だね」
「えっ!? 私もですか?」
「当たり前じゃん。今日の主役なんだから」
「わ、わかりました」
そうだよね。せっかく私のために用意してくれたのに、せっかくだし八神さんのこともこの機会に色々聞こう。
と、席を立とうとして気がついた。宮本さんが座っていた席に、何か落ちている。拾ってみるとそれはライターだった。しかも、それはコンビニとかでよく見る安いモノでは無く、映画で見るような高そうなもの。
「これは?」
「あ、それ敦さんのじゃ無い? 忘れたのかな」
「私、渡してきますっ!」
「あ、ちょっと青葉!」
「すぐ戻りますっ!」
私はお店を出て、走り出した。まだ出て行ってそこまで時間が経っていないはずだ。運動とか
走るのは苦手だけど、今ならまだ間に合うかも知れない。
それに、実はまだ聞けてないことがある。というよりかは、話を聞いていてできたこと。
それをどうしても、宮本さんに聞きたかった。
「!」
しばらく走ると宮本さんの後ろ姿があった。ポケットに手を入れて何かを探している。多分、このライターの事だ。早く渡さないと。
「宮本さん!」
「ん?」
「あの……! これ、忘れ物──へぶっ!!」
追いついたと思うと安心して、足がもつれた私はそのまま盛大に転んでしまった。
「お、おい。大丈夫か?」
「……うぅ~。痛いです~」
宮本さんは私の手をつかんで転んだ私を起こしてくれる。
男の人の前であんな派手に転んでしまうなんて恥ずかしい。走っていたせいか余計にドキドキしている。
「つかこれ、わざわざ持ってきてくれたのか?」
「はい、高そうなモノだったので」
「そうか。悪いな」
「あのっ、その、宮本さん!」
ライターを手渡して、改めて宮本さんの顔を見る。
「今度はなんだ?」
「あ、いえ、実はまだ一つだけ気になることがありまして」
「俺の同期は五人だ。六人じゃない」
「いえ、そうではなくてですね」
宮本さんはさっきの話の続きだと思って、ため息をつきながら頭を掻く。だけど違う。確かに気になるけどそうじゃないのだ。
「で? 要件はなんだ?」
「……その、宮本さんって、仕事、楽しいですか?」
「……」
「あ、いえ、すみません! まだ全然仕事してない私がこんなこと聞いて」
それが私の聞きたかったこと。知り合いや仲間がたくさん辞めて、一人になった宮本さんは寂しくないのかなと思った。
私だって同期がいないのは寂しかったのに、それで、本当に仕事が楽しいと思えるのかなと。
「涼風」
「はいっ! ごめんなさい!」
「いや、謝らなくていい。ただ──」
宮本さんは尋ねてきた。
「お前は、この会社の仕事、楽しいか?」
「え?」
同じ質問を返されて困惑してしまう。
だけど答えなきゃと、少し考え込んでから、ちゃんと目を見ていった。
「楽しいですよ。まだ、全然できませんけど、八神さんや、りんさん、はじめ先輩にゆん先輩、ひふみ先輩と一緒のキャラ班で働くのは、とても楽しいです」
「そうか」
「宮本さんも、その中に入ってますよ?」
思わず笑みがこぼれてしまうと、宮本さんは私の元に歩み寄ってきた。
「え? あの宮本さん?」
「……」
宮本さんは私の頭に手をぽんと置いて、優しく撫でてきた。
「……って! こ、子供扱いしないでくださーい」
「まあ、頑張りな」
「もー! 宮本さんのバカ―っ!」
二人目の主人公
名前 佐藤弘樹
年齢 25歳
身長 185cm
体重 69kg
最終学歴 高卒
好きなもの タバコ、遠山りん
苦手なもの 八神コウ
得意なこと 自炊、ギター
役職 グラフィッカー(背景班)