NEW GAME! ~omnibus love stories~ 作:黒ゴマアザラシ
敦視点
「敦さんっ」
今日も俺は複数のディスプレイと向かい合い佳境となっている開発の追い込みに躍起になっていたわけだが、背後から聞き慣れた声に反応してその方角を向いた。
そこには、最近共にキャラデザを担うこととなった涼風が資料を抱えながら立っていた。
「お忙しいところ済みません。少し良いですか?」
「あぁ、構わないぞ」
そう答えると同時に時計を確認すると時刻は夜七時を示していた。
どうやら思った以上に没頭していたようだな。
「そのまま話してくれ」
俺は作業を進めながら耳を傾ける。
「さっきプロトタイプ版の案が採用されたので、お礼を言いたくて……本当にありがとうございますっ! 敦さんのおかげです」
涼風の弾むような明るい声音を聞き届けると、俺もまた口許を緩めた。
「ほとんどお前が描いたようなもんだろ?それにこれからが本番だ。気を引き締めてけ」
「はい!」
涼風は元気よく返事をすると共に頭を下げた。……まぁ、こうやって感謝されるのは悪い気がしない。むしろ嬉しいくらいだ。
「それにしても相変わらず、すごい集中力ですね……」
涼風は感心したように言うと、手元にある資料に目を落とす。
実際、この2週間、作業の傍らで涼風のサポートをしていたわけだ。
が、さっきも言った通り、俺はほとんどなにもしていない。涼風自身の力であそこまで仕上げたのだ。
それは、彼女の努力によるものだろう。
「お前だって充分すごいさ」
謙遜するわけでも誇るわけでもない。ただ事実を述べただけに過ぎない。
「いえいえ、私なんてまだまだですよ……」
しかし当人は納得いかない様子だった。きっと先日の3Dの一件があるのだろう。
選ばれた興奮による万能感と、現実とのギャップによって生じた焦りで少し様子が変だったのだが、滝本がうまいこと相談に乗ってやったらしい。
あのコミュ障で有名な彼女も随分と成長を見せたようだ。
増田のことも少なからず影響があるのだろう。もうアイツを童貞とからかうことができないのは寂しく感じるが、それでも彼女が立ち直れたなら良かったと思う。
「それで……その、敦さんはこの後空いてますか?」
「…空いてるけど、どうした?」
不意打ちのような質問に思わずキーボードを打つ手が止め、涼風の顔を見た。
彼女はどこか緊張しているのか頬を赤らめているように見える。
一体なんなんだ?
「いえ…今日ってほらクリスマスじゃないですか」
「そうだな」
俺は首をかしげた。
言われてみればそうだが、だったら尚更俺にその話題を振ってくる意味がわからない。
「そういうの、家族とか友達とか誘った方がいいんじゃないのか? ほら、桜とか」
夏にバイトに来ていた彼女の幼なじみを引き合いに出すと、涼風の眉毛が八の字になった。
「それがですね、ねねっち、大学の友達と予定があるって断られたんです。それにーー」
「それに?」
「葉月さんが、日頃お世話になってる人にお礼言った方がいいかもみたいなこと話してて……」
「葉月の奴…」
またしょうもないこと言い出しやがって……。
しかもそれを真に受けるとは。
まあ、こう言うところもコイツの美点か。
と、どこか懐かしい気持ちになる。
「それで……敦さんには、コンペのアドバイスとか、その後も色々してくれたので、もしよかったら一緒に食事でもどうかなって……」
最後の方は恥ずかしかったのか尻すぼみになりながらも涼風はそう言ってくれた。……まぁ、別に断る理由もないな。
「わかった。飯行こうぜ。少し待っててくれるか? もうすぐ片付くから」
「はいっ!」
涼風は嬉しそうな声を上げると、小走り気味に立ち去った。
……まさか、こんな展開になるとは。
正直、予想していなかった。
こういうのは初めてって訳ではないが、職場の後輩に面と向かって誘われたこと久しぶり……いや、最近あったな。
と、不意に2ヶ月前のことを思い出した。
仕事を大忙しで片付けて、お姫様のワガママに付き合ったことが。
「…あの」
また声をかけられる。涼風とは違う声だ。
そしてこの独特のイントネーション。
すぐにわかった。
振り返れると、飯島が立っていた。
資料を持っていた涼風とは対照的に、、手を後ろに回して所在なさげにしていた。
表情も不安なのか自信がないのか俯きがちである。
俺は椅子を回転させて彼女と向き合う形をとった。
何か用事だろうか?
彼女とは依然、妙な縁を感じるがゆえ、俺は様子を伺う。
「……あの、その…これっ」
すると、飯島は意を決したように声を上げた。
差し出されたものは小さな包み。
「…今年は色々迷惑かけたので、そのお詫びです」
もじもじとしながら、しかししっかりと俺の目を見て彼女は続けた。
なるほど。
つまりこれはクリスマスプレゼントと言うことか。
「そうか。ありがとうな。だが、別に気にしなくていいのに」
「私が気にするんですっ」
そんなものかなと思いつつも俺は素直に感謝の言葉を述べ受け取ることにした。
包装紙を開くと中からは、懐中時計のようなモノが出てきた。
だが、開けてみても中は空っぽ。
数秒ほ眺めていと、これの用途がわかった。
「これ、携帯灰皿か」
「はい…そうです」
何を恥ずかしがっているのか知らんが、もみ上げの髪を指先でクルクルと弄りながら飯島は答えた。
よく見ると耳まで真っ赤になっている。
「しかもこれ、随分と高い奴じゃないか?」
「……」
沈黙は肯定だった。
このブランドは見たことがある。
福沢諭吉が5人必要なモノだ。俺もネットで調べたりはしたが手を出せなかった代物だ。
「いくらなんでも受け取れないよ。こんな高級品」
「受け取ってください」
「いや、さすがに悪いって」
「いいからっ」
頑として譲らない。
それどころか、彼女は俺の手の中に無理矢理押し込んでくる始末だ。
「わ、私の気持ちなので! とにかく、受け取ってくださいっ」
「っ……」
勢いに押されてしまい、俺はそのまま懐に収めるしか無かった。
とはいえ、夫婦でもなければ、恋人でもない。
その上、同じ職場にいる年下で異性にここまでされて黙っているわけにはいかない。
「ちょっと待ってろ」
俺は自分の財布を取り出すと、入っていた諭吉を数枚、茶封筒に入れてつき出す。
「ほら」
「そ、それこそ受け取れませんよっ。そないなこと期待して渡したんやないんですし」
まさか金を返されるとはおもっていなかったのか、関西弁と敬語が混ざった変な喋り方になっているが、俺は構わず続けた。
「お前にじゃない。みうとれんに渡してやれ」
「えっ?」
それは4月に出くわした飯島の妹と弟のことだ。この季節になればお年玉やらなにやらで入り用になるだろう。
それなのに俺ばっかりこんな高級なモノ受け取れるわけがない。
せっかくの年末年始なのだ。懐が寒い思いなんてされたら、目覚めが悪いし使えるわけがない。
だから、アイツらに使ってくれと言っているのだ。
「それと…、これも」
茶封筒と一緒に俺は引き出しの中から綺麗にラッピングされた袋を取り出す。中身はもちろんクリスマスプレゼントだ。
それも二つ。
飯島の兄妹達へのモノだ。
中にはゲームソフトが入っている。
4月の時、欲しいと話していたのを覚えていたから。
二人とも小学生くらいだったから、喜んでくれるはずだ。
俺はそれを飯島に手渡す。
彼女の手に渡った瞬間、その瞳が大きく見開かれた。
「え…そんなっ」
「いいから。遠慮せず貰ってくれ。アイツらにもよろしく言っといてくれ」
「……」
飯島は何も言わず、ただじっと俺を見つめてくる。
なんだ? どうしたんだろう。
「……ずるいです。そういうの」
「? 何がだ?」
「……いえ、なんでもありません」
はぁーっとため息をつく飯島だったが、ようやく納得してくれたらしい。
「わかりました。お言葉に甘えて頂戴しますね」
「ああ。そうしてくれ」
これで一件落着である。
飯島はまるで自分の顔を隠すかのように深くお辞儀をして去って行った。
……なんというか、本当に不思議な縁だと思った。
休日にたまたま会って、飯をおごってやって、共に雨の中を歩いて、看病してもらって、混浴で遭遇して……。
そして、こうしてプレゼントを貰ったりする。
考えてみれば、奇妙な関係だな。
まあ、悪くはないが。
そんなことを考えながら作業を片付けていると、涼風が戻ってきた。
「あれっ? 敦さん、それ何ですか?」
彼女は俺が1人で作業しているのを見ると、不思議そうな顔をする。
当然だ。基本的に俺の机は何も無い。整理されているというよりかは、そもそも何も置いていない。
普段あるのは目の前に広げられている3台のディスプレイとパソコンのみ。
だから、そこに普段見かけないモノがあるというのは違和感を覚えるのだろう。
「ん? これか?」
「はい」
「見れば分かるだろ? クリスマスプレゼントだよ」
「えっ!?︎」
彼女は目を丸くする。
「誰からのですか?」
「内緒だ」
飯島の立場もある。
職場の異性にこんなもの渡したのを後輩に知られればきっと居心地が悪くなるだろう。
なぜ渡しなのかはわからんが。
「えぇ〜気になりますよ〜」
「ダメだ。企業秘密だ」
「むぅ〜」
不満げに頬を膨らませる彼女を尻目に俺は作業を片付けて席を立った。
「んじゃ行くか」
「もー、誤魔化さないでくださいよ」
「はいはい」
背後で騒ぐ涼風を連れて、イルミネーションが彩る街へと繰り出した。
「うわぁ綺麗ですね!」
駅前の交差点に着くと、そこには多くのカップルがいた。
皆、楽しげに寄り添っている。
中には手を繋ぐだけではなく、腕を組んでいる者たちもいた。
俺達はといえば、どちらもそこまでベタベタとくっついているわけではない。あくまで普通くらいの距離感を保っている。
「確かにそうだな」
「私達もあんな風に見えてるんですかね?」
「どっちかっていうと親子だな」
「もうっ、そこは恋人同士に見えるとか言うところですよ」
「はいはい」
「うわぁ、適当に流しましたね」
「当たり前だ」
むくれる涼風を見て改めて思う。端から見たらそうにしか見えない。それだけ年の差が離れているのもさることながら、涼風の小柄な体躯がよりそれを助長していた。
それに、もし仮に俺たちが付き合っていたとしても、周りの連中にはそう見えないだろう。
よくて親子かあるいは……。
「でも……」
「ん?」
「敦さんと一緒に見られて良かったです。こういうの初めてなので楽しいなと思いまして」
「……そうか」
涼風の笑顔を見て思う。
……俺はコイツの夢を形にしてやりたい。
彼女と同じ運命にさせない。そのためにできることなら何でもしよう。
俺は密かに決意を固めた。
「あ、見てください敦さん! ほら、雪ですよ、雪!」
「お、本当だ」
空を見上げると、ふわりと白い粉のようなものが落ちてきた。
どうやら本格的に降り始めたらしい。
「ホワイトクリスマスですね」
「だな」
街全体が白く染まる光景に、どこか幻想的な雰囲気を感じる。
この寒さがなければもっと気分が良いのだが、まあいいか。
それからしばらく、他愛もない会話をしながら歩く。
すると、少し先に大きなツリーが見えてきた。
どうやら、ここが目的地らしい。
「そろそろだな」
「え? 何がですか?」
涼風がキョトンとしていると、やがてそれはやってきた。
「お、始まったぞ」
「っ!」
ライトアップされた巨大なクリスマスツリーが姿を現す。
その周りには沢山の人々が集まっていた。
「すごい人だかりですね」
「そりゃこの時期だからな。まあ、今日は平日だし、まだマシだろ」
「それでも多い気がしますけどね」
時刻は20時を回った頃。
仕事帰りのサラリーマンなどが多いのか、スーツ姿の人間もちらほらと見かける。
そんな中を俺達はゆっくりと歩いた。
「綺麗ですね〜」
涼風は目を輝かせながらクリスマスツリーに見入っている。
その横顔は本当に楽しそうで、見ているこちらも嬉しくなってきた。
そして数分後。
「……んじゃ、そろそろ飯食うか」
「えぇ〜もう少しだけ見てませんか?」
「また来ればいいだろ」
「それもそうですね」
「じゃ行くぞ」
「はい」
2人で連れ立って歩き出す。
向かう先は駅近くのレストラン。
そこで食事をしてから帰ることにした。
「いらっしゃいませ」
店内に入ると、店員が出迎えてくれた。
「2名様でよろしいでしょうか?」
「はい」
「かしこまりました。こちらへどうぞ」
案内されたのは窓際の席。
そこからは先程見た巨大ツリーがよく見えた。
「わぁ、良い眺めですね」
「そうだな。ここにして正解だったな」
「はい」
2人とも料理は既に決めていたので注文はすぐに終わった。
「今日は私が奢りますよ」
「いや…」
流石に断ろうとするが、俺の懐事情は芳しくない。
さっき飯島に兄妹達のお年玉代として渡したからほぼ空っぽだ。
ここは、涼風を立てることとしよう。
「んじゃ、ご厚意に甘えて」
「いえいえ、遠慮なく」
そんなわけで、今回は素直に奢ってもらうことにした。
それからしばらく、俺たちは出てきた料理に舌鼓をうちながら談笑を楽しんだ。
「美味しかったですね」
「ああ」
食事を終え、店を出た俺たちは帰路についていた。
俺は電車に乗る必要はないが、涼風を駅まで送ってやることにした。
辺りはすっかり暗くなっており、街灯の明かりだけが頼りとなっている。
ちなみに支払いだが、予定どおり涼風の奢りとなった。
というのも、涼風が頑なに譲ってくれなかったのだ。
「いつも助けてもらってるんですからこれくらいさせてください」と言われれば強く断ることもできない。
というわけで、大人しく払っていただいた次第である。
「なんだか、レジのお姉さんの顔、凄く微笑ましかったですね」
「多分、親子と思われてたぞ? 俺たち」
「え!? そうなんですか!?」
「まあ、それだけお前が子供っぽいってことだ」
「なっ!?……うぅ……」
涼風が恥ずかしそうに俯いている。
確かに、客観的に見れば、贔屓目に見ても高校生ぐらいにしか見えないもんな。
……しかし、こうやって並んで歩いていると、色々と思い出してしまう。
あの時も、こうして仕事帰りに彼女と歩いたことがあったから。
「……ありがとうな」
自然と口から言葉が出た。
思わず、口をついて出てしまった言葉。
それを聞いた涼風は首を傾げている。
「ん? 何か言いましたか?」
どうやら聞こえていなかったようだ。
俺は苦笑いを浮かべながら誤魔化す。
「なんでもない」
「気になります。なんて言ったんですか?」
「気にするなって」
「も~教えてくださいよ~」
「しつこい」
「むー敦さんの意地悪-!」
●
ゆん視点
「……」
「ゆん、さっきからボンヤリしてるけどどうしたの?」
「え? いや…なんでもないで」
敦さんにプレゼントを渡したあと、はじめを自分の家につれてみうとれんの遊び相手になってもらっていた私だけど、心此処在らずといったかんじやったのを勘づかれてしまった。
「ほんとうに大丈夫?」
「うん、大丈夫」
心配してくれてるはじめには悪いけど、これは私の問題。
だから、これ以上迷惑はかけられへん。
「ふーん」
「な、なんやねんその目は」
「別に?」
「なんかムカつく」
「それはごめんね〜」
そう言ってクスクス笑うはじめを見てるとこっちまでおかしくなってきた。
「はぁ〜もう、せっかく人が真剣に相談に乗ってあげようと思ったのに」
「相談?」
「そ、何を悩んでるか知らないけど、1人で抱え込まないほうがいいんじゃない?」
「……」
「話してよ、力になれるかもしれないよ」
「でも」
「一応、同期じゃん」
「そうやけど」
…確かに、はじめになら話してもええんかな?
私の気持ち。
敦さんの事。
からかわれるかもしれないけれど、ずっと誰にも言えなかった事を誰かに聞いてほしい。
そんな思いが、頭の中でぐるぐる回る。
そして、私は気づいたら口を開いていた。
本当に、無意識だった。
きっと、心のどこかではじめを信頼していたんだと思う。
一応、同期やし……
「な、なぁ、はじめ……」
「なに?」
「わ、私な…す――」
「うわーん! ゆんねえちゃーん!」
と聞き慣れた泣き声が部屋に響き渡る。
それと同時に部屋の中に入ってきたのは、泣きながらはじめからもらったおもちゃを抱えているれんだった。
「あぁもう、せっかくのクリスマスなのにどないしたん?」
「みうがぶったのー!!」
「は? みうちゃんが?」
はじめと一緒に泣いているれんの元へ行くと、そこには顔を真っ赤にして涙目になっているみうちゃんの姿があった。
「みうちゃん、どうして叩いたりしたの?」
「だって、れんがウチのおもちゃとったんやー! うわーん!」
「え? えっ?」
「ち、違うもん!! れんが勝手に取っただけだもん!! 私がわるいんじゃなくて、れんが悪いもん!!」
そう言ってまた、わんわんと泣き出した。
こういうところはまだ子供なんやな。
はじめもこういうのは慣れてないせいかお手上げって感じみたいだし……しゃーない。相談はまた今度やな。
「ほら、2人とも泣かんといて、ほら、まだプレゼントあるから」
と、はじめを自分の家に誘った後、敦さんにプレゼントを渡したときにもらったモノを出す。
本当は寝てる時に枕元に置くはずやったんやけど、こうなった以上仕方が無い。
2人に渡すと、さっきまでの事は忘れてくれたのか、目を輝かせながら「これ、もらってもいいの!?」と飛びついてきた。
「もちろんええよ」
「ありがとう、ゆんねえちゃん!!!」
「うぅ、ゆんねぇ、ありがとぉ」
「はい、どういたしまして」
それから、れんとみうは大事そうにそれを持って自分たちの家へ帰っていった。
「ふう、一件落着だね」
「せやな」
「っていうか、プレゼントちゃんと用意してたじゃん。なんで会社で私に相談したの?」
「えっ!?」
マズい。
確かにそうだ。だって、私が敦さんに二人のプレゼントをもらったのははじめに相談した直後なのだから。
はじめが不自然に思うのは当然の事だった。
なんて言い訳しよう。
いやここはもう話すべきか?
だってさっき相談しようとしたことと繋がってはいるし…いやでも――
「「うわーん!!」」
「……」
「……」
また、みうとれんの泣き声が部屋に響き渡った。
「今度はなんだろ?」
「またプレゼント取り合ったんとちゃう?」
「かもね」
なんかもう、お互いの顔を見合わせて笑ってしまう。
さすがにこれは予想外だった。
まぁ、でも、これでよかったのかもしれない。
まだ気持ちの整理がついてない。話せるときが来たら、ちゃんと話そう。
「はぁ、またあやさんと」
「私も手伝うよ」
「助かるわ」
「じゃあ、行こっか」
はじめの言葉に、私は困ったような笑顔で答えた。