ROMANCE DOGOOON!!
「な、なんということでしょう⋯⋯!」
ここは、海賊王ゴールド・ロジャーが産まれ、そして処刑された町、ローグタウン。別名、『終わりと始まりの町』。
そしてまさにこの場所は、ロジャーが処刑された死刑台の置かれた広場。そんな海賊時代の始まりの象徴とも呼べる場所で、少女は奇跡を目の当たりにし、震えていた。
「なははは。やっぱ生きてた。もうけっ!」
先程まで死刑台の上で首をはねられ死にそうになっていた青年が、何事もなかったかのように麦わら帽子を拾い上げ、笑う。その姿は見る者全てに衝撃を与え、そして、少女もそんな中の一人であった。
「う、占いの結果は大凶! 私はあの人が死ぬことを確信して心の中でなむなむと念仏を唱えていたというのに、まさかの生還!? これはまさに、運勢を乗り越えた奇跡⋯⋯!!」
少女の手は、驚愕と感動にぷるぷると震え、その手に持った水晶玉も小刻みに振動する。
そして少女の外見で何よりも特徴的な耳と尻尾も同時にぷるぷると震え⋯⋯少女の足は、自然と麦わら帽子の青年を追いかけていた。
「なんて奇跡だべ! あの人は間違いなく未来の海賊王に違いな⋯⋯うぎゃあ!?」
少女の足は、普通の人よりも速い。途中誰かにぶつかった気もしたが、少女は気付かずにあの青年を追いかける。
「運勢をはねのける奇跡! あの人こそシラオキ様の御使いに違いありません! あの人についていけばきっと、運勢最高! 占い大吉!! 向かうところ敵無しです!!」
ハッピーな未来を妄想し、むふーっと鼻息を荒くする少女。しかし、浮かれていたのがよくなかった。
「どどど、どうしましょう!? 見失ってしまいましたー!!」
急に荒れ始めた天候と、自分の不注意により、麦わら帽子の青年を見失ってしまった少女は、オーバーリアクション気味に頭を抱える。
しかし、こんな困った時はいつだって、彼女は自分の信じる『占い』の力に助けられてきた。慌てながらもぽんっと何もない空間から1本の棒を取り出した。
「ふんにゃか、はんにゃか~! 『棒みくじ』よ、私の探し人はいずこに!?」
ていやーっと勢いよく放り投げた棒は、地面に着地し、こてんと左に倒れる。その直後、ぽんっと音を立てて棒は消えるが、その時には既に少女は棒が倒れた方向へ走り始めていた。
「棒みくじの示す方向に待ち人あり! きっとこっちにシラオキ様の御使いがいるはずです!」
雨はますます激しさを増す。視界もかなり悪い中、少女は『くじ』の示した方向を信じて夢中で走り続ける。
⋯⋯夢中になりすぎた結果、少女は目の前で自分を静止する人物の声に気が付かなかった。
「お、おい、そこのお前止まれ! 俺は猛獣使いのモージ! 俺にはこの船を燃やすという大事な仕事が⋯⋯ぎゃー!!」
「がおーー!?」
「ふんぎゃー!?」
少女はライオンに乗った毛むくじゃらの男と思いっきり衝突。三者三様の悲鳴を上げたが、ふっとんで海に落ちたのは男とライオンだけで、少女は運良く海には落ちずに止まることができた。
「いたたた。何かにぶつかったような気がするような⋯⋯。むむっ!? この船は何でしょうか。⋯⋯はっ!? まさかこの船に乗れというお告げ!? これに乗ればあの麦わらの御使い様が来るということですね、シラオキ様!」
こうして、占いを信じた少女は、船へと乗り込み、少女が1人乗り込んでいるとは知らずに、嵐に追い立てられるようにして出航した海賊船、『ゴーイングメリー号』。そして、『麦わらの一味』。
「よっしゃ。偉大なる海に船を浮かべる進水式でもやろうか!! ⋯⋯おれはオールブルーを見つけるために」
「おれは海賊王!!!」
「おれぁ大剣豪に」
「私は世界地図を描くため!!」
「お⋯⋯お⋯⋯おれは勇敢なる海の戦士になるためだ!!!」
「えっと、私は、幸運な未来を掴むために!」
「「「「「いくぞ!!!
麦わらの一味は、それぞれの夢を口にし、ガコォン!と樽の蓋を蹴り開ける。そして⋯⋯
「「「「「誰だお前!!!?」」」」」
少女以外の全員が揃って叫び、そして少女は、そんな彼らに向かって満面の笑みを浮かべて、こう答えた。
「はい! 私、マチカネフクキタルです!!!」
サブタイトルはROMANCE DAWNと有名実況の台詞をかけたものです。